JP5640139B1 - 不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面を伝って液が流れることが効果的に防止され、表面に液が残りにくい不織布を提供すること。【解決手段】本発明のエアスルー不織布1は繊維処理剤が付着している熱融着性繊維を含む。エアスルー不織布1は第1層10と第2層20とを有し、これらの層の少なくとも一方に前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が含まれている。第1層第1部位11と、第1層第2部位12と、第2層20との親水度を比較すると、第1層第1部位11よりも、第1層第2部位12の方が親水度が高く、第1層第2部位12よりも、第2層20におけるいずれかの部位の方が親水度が高い。前記繊維処理剤は、ポリオルガノシロキサン、アルキルリン酸エスル及びアニオン界面活性剤を含む。【選択図】図1

Description

本発明は不織布に関する。
本出願人は先に、表面に親水化剤を付着させた芯鞘型複合繊維を熱処理して、該繊維の親水性を変化させる技術、及び当該技術を用いて部分的に親水性が低下した不織布を製造する技術を提案した(特許文献1参照)。不織布の厚さ方向において親水性の勾配を設ける技術は、同文献だけでなく、例えば特許文献2及び3にも記載されている。
ところで、繊維を処理する処理剤として、シリコーン系化合物を配合したものが知られており、例えば特許文献4には、弾性繊維を製造する際の繊維どうしの膠着を防止するために、高重合ポリオルガノシロキサン及びベースオイルからなる油剤を用いることが記載されている。また特許文献5には、高速カード性が劣ることなく、不織布表面のドライネスを液体との接触後も維持させることを目的として、高重合ポリオルガノシロキサンを含む油剤を用いることが記載されている。しかし、該油剤に、アルキル硫酸エステル塩やアルキルスルホン酸塩などを含有させることは記載されていない。
特開2010−168715号公報 特開2005−87659号公報 特開2005−314825号公報 特開2003−201678号公報 特開平5−51872号公報
特許文献1においては、熱伸長性繊維を用いることが必須となっており、それ以外の繊維については想定しておらず、表面の液残り性などについて更に向上が望まれていた。特許文献2及び3に記載の技術についても、表面の液残り性などについて更に向上が望まれていた。
また、特許文献4の技術は、弾性繊維どうしの膠着を防止する技術であり、同文献で用いた油剤を、弾性繊維以外に用いる示唆はない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る不織布を提供することにある。
本発明は、繊維処理剤が付着している熱融着性繊維を含むエアスルー不織布であって、
第1層とこれに隣接する第2層とを有し、第1層及び第2層のうちの少なくとも一方に前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が含まれており、
第1層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第2層から遠い側の部位を第1層第1部位とし、第2層に近い側の部位を第1層第2部位としたとき、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層との親水度を比較すると、下記の(1)及び(2)の関係を満たし、
(1)第1層第1部位よりも、第1層第2部位の方が親水度が高い、
(2)第1層第2部位よりも、第2層におけるいずれかの部位の方が親水度が高い、
前記繊維処理剤が、下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する不織布を提供するものである。
(A)ポリオルガノシロキサン、
(B)アルキルリン酸エステル、
(C)下記の一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤
Figure 0005640139
(式中、Zはエステル基、アミド基、アミン基、ポリオキシアルキレン基、エーテル基若しくは2重結合を含んでいてもよい、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル鎖を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に、エステル基、アミド基、ポリオキシアルキレン基、エーテル基若しくは2重結合を含んでいてもよい、炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Xは―SO3M、―OSO3M又は―COOMを表し、MはH、Na、K、Mg、Ca又はアンモニウムを表す。)
本発明によれば、表面を伝って液が流れることが効果的に防止され、表面に液が残りにくい不織布が得られる。
図1は、本発明のエアスルー不織布の一実施形態の断面構造を模式的に示す図である。 図2は、本発明のエアスルー不織布の他の実施形態の断面構造を模式的に示す図である。 図3は、本発明のエアスルー不織布の更に他の実施形態の断面構造を模式的に示す図である。 図4は、本発明のエアスルー不織布の製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。 図5は、比較例で製造した不織布の断面構造を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の不織布はエアスルー不織布である。「エアスルー不織布」とは、50℃以上の流体、例えば気体や水蒸気を、ウエブ又は不織布に吹き付ける工程を経て製造された不織布を言い、本工程のみで製造される不織布のみならず、他の方法で作製された不織布に本工程を付加して製造した不織布あるいは本工程の後に何らかの工程を行って製造した不織布をも含む意味である。また、本発明の不織布は、エアスルー不織布のみならず、エアスルー不織布と、他の不織布等の繊維シートやフィルム材とを複合化したものも包含する。
本発明のエアスルー不織布は、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤が付着した熱融着繊維を、構成繊維の1種として用いたものである。この繊維処理剤は、本発明のエアスルー不織布の親水度を制御する目的で用いられる。
前記の繊維処理剤が付着した熱融着繊維は、不織布のいずれかの部位に存在していればよい。また、本発明のエアスルー不織布は、この繊維処理剤が付着した熱融着繊維のみから構成されていてもよく、あるいは他の1種又は2種以上の繊維を付加的に含んでいてもよい。
本発明のエアスルー不織布は、第1層及び第2層を含む多層構造のものである。第1層と第2層とは隣接して直接に接しており、両層間に他の層は介在していない。上述した、繊維処理剤が付着した熱融着繊維は、第1層及び第2層のうちの少なくとも一方に含まれている。例えば第1層が、該熱融着繊維を含んでいるか、第2層が該熱融着繊維を含んでいるか、又は第1層及び第2層の両層が、該熱融着繊維を含んでいる。
第1層と第2層とは、それらの層を構成する繊維の材料の種類、繊維の太さ、親水化処理の有無、層の形成方法等の要因によって区別される。本発明のエアスルー不織布の厚さ方向断面を電子顕微鏡で拡大すると、これらの要因に起因して、両層の境界部分を観察することができる。
本発明のエアスルー不織布は、その第1層側を使用面にしてもよく、あるいは第2層側を使用面にしてもよい。どちらの側を使用面にするかは、エアスルー不織布の具体的な用途に応じて決定すればよい。例えば本発明のエアスルー不織布を、吸収性物品の表面シートとして用いる場合には、第1層側を使用面とすることが、該エアスルー不織布が有する種々の特性を最大限活かすことができるので好ましい。
本発明のエアスルー不織布に用いられる前記の繊維処理剤は、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分、すなわちポリオルガノシロキサン、アルキルリン酸エステル、及び一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤を含有している。この3成分を含む繊維処理剤が付着した繊維は、熱処理を施すことにより、ポリオルガノシロキサンが、アルキル鎖を有するアニオン界面活性剤の繊維内部への浸透を促進するため、繊維の表面の親水度が熱処理によって低い値へと変化する。これは、ポリオルガノシロキサンのポリシロキサン鎖と、アニオン界面活性剤の持つ、アルキル鎖が不相溶なため、アニオン界面活性剤が、より馴染みやすい繊維内部へ、繊維が加熱溶融した際に浸透するために起こると考えられる。その中でも、一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤は、アルキル基が嵩高で、親水基を包み込むようにして繊維内部へ浸透していくことが可能なため、ポリオルガノシロキサンの存在により繊維内部への浸透が促進されやすい。これにより、例えば後述する製造工程の一工程であるウエブに熱風を吹き付ける工程において、ウエブ中の繊維が受ける熱量は、熱風吹き付け面とその反対側の面(ネット面)とにおいて自ずと異なっていることにより、熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とでは、受ける熱量が異なり、熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とではその繊維の接触角の値も変わってくることになる。このことを利用して不織布を平面視したときの第1面である一方の面側からこれとは反対側の第2面である他方の面側に向けて親水度に勾配を有する不織布を製造することができる。以下、それぞれの成分について説明する。
〔(A)成分〕
ポリオルガノシロキサンとしては、直鎖状のもの、架橋二次元又は三次元網状構造を有するものいずれも使用できる。好ましくは実質上直鎖状のものである。
ポリオルガノシロキサンのうち好適なものの具体例は、アルキルアルコキシシランやアリールアルコキシシラン、アルキルハロシロキサンの重合物あるいは環状シロキサンであり、アルコキシ基としては、典型的にはメトキシ基である。アルキル基としては炭素数1以上18以下、好ましくは1以上8以下、特に1以上4以下の側鎖を有してもよいアルキル基が適当である。アリール基としては、フェニル基やアルキルフェニル基、アルコキシフェニル基等が例示される。アルキル基やアリール基に代えて、シクロヘキシル基やシクロペンチル基等の環状炭化水素基、ベンジル基のごときアラルキル基であってもよい。また、本発明で言うポリオルガノシロキサンは、界面活性剤の浸透をより促進させ、加熱により繊維表面の接触角をより高い目的にする観点から、親水性の高いPOE鎖で変性したポリオルガノシロキサンを含まない概念である。
本発明において好ましい最も典型的なポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン等が挙げられ、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
ポリオルガノシロキサンの分子量は、高分子量であることが好ましく、具体的には、重量平均分子量で好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、更に好ましくは60万以下である。また、ポリオルガノシロキサンとして、分子量の異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いてもよい。分子量が異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いる場合、そのうちの一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、更に好ましくは60万以下であり、他の一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万未満、より好ましくは5万以下、より好ましくは3万5千以下、更に好ましくは2万以下であり、また、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、更に好ましくは5000以上である。また、重量平均分子量が10万以上のポリオルガノシロキサンと重量平均分子量が10万未満のポリオルガノシロキサンとの好ましい配合比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:10〜4:1、より好ましくは1:5〜2:1である。
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量はGPCを用いて測定される。測定条件は下記のとおりである。また、換算分子量の計算はポリスチレンで行う。
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0ml/min
分離カラム温度:40℃
ポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、熱処理による親水度の変化を大きくする観点から1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、不織布表面で液を吸収させやすい観点から30質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。例えばポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
ポリオルガノシロキサンとしては市販品を用いることもできる。例えば、信越シリコーン社製の「KF−96H−100万Cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200 Fluid 1000000Cs」、また2種類のポリオルガノシロキサンを含有するものとしては、信越シリコーン社製の「KM−903」や、東レ・ダウコーニング社製の「BY22−060」を用いることができる。
〔(B)成分〕
(B)成分であるアルキルリン酸エステルは、原綿のカード機通過性やウエブの均一性などの特性を改良し、これによって不織布の生産性の向上と品質低下を防止することを目的として、繊維処理剤に配合される。アルキルリン酸エステルの具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステルなどの飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステルなどの不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。なお、アルキルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類などが挙げられる。アルキルリン酸エステルは、一種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記繊維処理剤中の(B)成分の配合割合は、カード機通過性やウエブの均一性などの観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、熱処理に起因するポリオルガノシロキサンによる繊維の疎水化を妨げないようにする観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
〔(C)成分〕
(C)成分は、先に示した一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤である。(C)成分は、(B)成分であるアルキルリン酸エステルは含まない成分を指す。また(C)成分は、一種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
一般式(1)中のXが―SOM、すなわち親水基がスルホン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホン酸又はそれらの塩を挙げることができる。ジアルキルスルホン酸の具体例としては、ジオクタデシルスルホコハク酸、ジデシルスルホコハク酸、ジトリデシルスルホコハク酸、ジ2‐エチルヘキシルスルホコハク酸などの、ジアルキルスルホコハク酸、ジアルキルスルホグルタル酸などのジカルボン酸をエステル化し、ジエステルのアルファ位をスルホン化した化合物や、2−スルホテトラデカン酸1−エチルエステル(又はアミド)ナトリウム塩や、2−スルホヘキサデカン酸1−エチルエステル(又はアミド)ナトリウム塩などの飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸エステル(又はアミド)のα位をスルホン化したアルファスルホ脂肪酸アルキルエステル(又はアミド)や、炭化水素鎖の内部オレフィンや不飽和脂肪酸の内部オレフィンをスルホン化することで得られるジアルキルアルケンスルホン酸などを挙げることができる。ジアルキルスルホン酸の2鎖のアルキル基それぞれの炭素数は、4個以上14個以下、特に、6個以上10個以下であることが好ましい。
親水基がスルホン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、より具体的には下記のアニオン界面活性剤を挙げることができる。
Figure 0005640139
Figure 0005640139
一般式(1)中のXが―OSO3M、すなわち親水基が硫酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、ジアルキル硫酸エステルを挙げることができ、その具体例としては、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム塩や、2−ヘキシルデシル硫酸ナトリウム塩などの分岐鎖を有するアルコールを硫酸化した化合物や、硫酸ポリオキシエチレン2‐ヘキシルデシルや硫酸ポリオキシエチレン2−ヘキシルデシルなどの分岐鎖を有するアルコールと硫酸基の間にPOE鎖を導入したような化合物や、12−サルフェートステアリン酸1−メチルエステル(又はアミド)3−サルフェートへキサン酸 1−メチルエステル(又はアミド)などのヒドロキシ脂肪酸エステル(又はアミド)を硫酸化した化合物などを挙げることができる。
親水基が硫酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、より具体的には下記のアニオン界面活性剤を挙げることができる。
Figure 0005640139
一般式(1)中のXが―COOM、すなわち親水基がカルボン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、ジアルキルカルボン酸を挙げることができ、その具体例としては、11‐エトキシヘプタデカンカルボン酸ナトリウム塩や2‐エトキシペンタカルボン酸ナトリウム塩などのヒドロキシ脂肪酸のヒドロキシ部分をアルコキシ化し、脂肪酸部分をナトリウム化した化合物や、サルコシンやグリシンなどのアミノ酸のアミノ基にアルコキシ化したヒドロキシ脂肪酸クロリドを反応させ、アミノ酸部のカルボン酸をナトリウム化させた化合物や、アルギニン酸のアミノ基に脂肪酸クロリドを反応させて得られる化合物などを挙げることができる。
親水基がカルボン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、より具体的には下記のアニオン界面活性剤を挙げることができる。
Figure 0005640139
本発明においては、繊維処理剤として、一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤とポリオルガノシロキサンが配合された繊維処理剤を用いることにより、繊維処理剤で処理された熱融着性繊維は、熱処理により親水度が低下しやすい繊維となる。この理由は、ポリオルガノシロキサンが、特に2鎖以上のアルキル鎖を有するアニオン界面活性剤の繊維内部への浸透を促進するため、繊維表面の親水度が熱処理によって低下しやすい。これは、ポリオルガノシロキサンのポリシロキサン鎖と、アニオン界面活性剤の持つ、アルキル鎖が不相溶なため、より馴染みやすい繊維内部へ、繊維が加熱溶融した際に、アニオン界面活性剤が浸透するために起こると推定される。
前記繊維処理剤中の前記(C)成分の配合割合は、熱処理による親水度の変化を大きくする観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、親水性が高くなりすぎると、液を持ちやすくなりドライ性を損なう観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは13質量%以下である。また、前記(C)成分の前記配合割合は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上13質量%以下である。
繊維処理剤における(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(C)成分のアニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:3〜4:1であり、より好ましくは1:2〜3:1である。また、繊維処理剤における(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(B)成分のアルキルリン酸エステルとの含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:5〜10:1であり、より好ましくは1:2〜3:1である。
本発明で用いる繊維処理剤は、上述した(A)成分ないし(C)成分に加えて、他の成分を含んでいてもよい。前記(A)成分ないし(C)成分以外に配合する他の成分としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン性及びノニオン性の界面活性剤等を用いることができる。
アニオン性の界面活性剤の例としては、アルキルホスフェートナトリウム塩、アルキルエーテルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホネートナトリウム塩、アルキルスルホネートナトリウム塩、アルキルサルフェートナトリウム塩、セカンダリーアルキルサルフェートナトリウム塩等が挙げられる(いずれのアルキルも炭素数6以上22以下、特に8以上22以下が好ましい)。これらは、ナトリウム塩に代えてカリウム塩等の他のアルカリ金属塩を用いることもできる。
カチオン性の界面活性剤の例としては、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライド、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウムハライド等が挙げられ、これらの化合物は、炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましい。上記ハライド化合物におけるハロゲンとしては、塩素、臭素等が挙げられる。
両性イオン性の界面活性剤の例としては、アルキル(炭素数1〜30)ベタイン、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン、スルフォベタイン型両性界面活性剤等のベタイン型両性イオン性界面活性剤や、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性界面活性剤、アルキルベタイン等のグリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性界面活性剤などのアミノ酸型両性界面活性剤、アルキル(炭素数1〜30)タウリン型などのアミノスルホン酸型両性界面活性剤が挙げられる。中でもベタイン型両性イオン性界面活性剤が好ましく、アルキル(炭素数1〜30)ベタインがより好ましく、炭素数16〜22(例えばステアリル)のアルキルベタインが特に好ましい。
ノニオン性の界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(好ましくはn=2〜10)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル(いずれも好ましくは脂肪酸の炭素数8〜60)、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜20)アルキル(炭素数8〜22)アミド、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜20)アルキル(炭素数8〜22)エーテル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
本発明で用いる繊維処理剤は、変性シリコーン等の膠着防止剤等の処理剤を添加してもよい。
本発明のエアスルー不織布は、前記の繊維処理剤が付着している熱可塑性繊維を含むことから、該エアスルー不織布全体でみたときに、厚さ方向に沿って親水度に勾配を有している。詳細には、第1層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第2層から遠い側の部位を第1層第1部位とし、第2層に近い側の部位を第1層第2部位としたとき、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層との親水度を比較すると、下記の(1)及び(2)の関係を満たす。
(1)第1層第1部位よりも、第1層第2部位の方が親水度が高い。
(2)第1層第2部位よりも、第2層におけるいずれかの部位の方が親水度が高い。
つまり本発明のエアスルー不織布は、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層との親水度の大小関係が、第1層第1部位<第1層第2部位<第2層におけるいずれかの部位となる。「第2層におけるいずれかの部位」とは、第2層の厚み方向に沿って測定された親水度のうち、最も親水度が高い部位のことを言う。第1層第1部位及び第1層第2部位についても同様であり、第1層第1部位及び第1層第2部位の親水度とは、これらの部位を厚み方向に沿って親水度を測定したとき、最も高い親水度を示す部位での当該親水度のことである。また、本発明に言う「親水度」は、以下に述べる方法で測定された繊維の接触角に基づきその程度が判断される。具体的には、親水度が低いことは接触角が大きいことと同義であり、親水度が高いことは接触角が小さいことと同義である。
〔接触角の測定方法〕
エアスルー不織布における厚み方向の所定の部位から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、エアスルー不織布から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。不織布から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
上述のとおり、本発明のエアスルー不織布は、第1層において、第1部位から第2部位に向けて親水度が高くなっている。また本発明のエアスルー不織布は、第1層第2部位から第2層に向けて親水度が高くなっている。厚み方向の親水度にこのような勾配が設けられていることに起因して、本発明のエアスルー不織布は、第1面側に液が供給されると、その液は素早く不織布中を透過するようになる。したがって、第1面側の表面において、液が該表面を伝って流れにくくなる。その結果、液が供給された面である第1面側の表面に液が残留しにくくなる。これらの顕著な効果は、本発明のエアスルー不織布を、その第1層側の表面を肌対向面とした、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に特に顕著なものとなる。
図1ないし図3には、上述した親水度の勾配を有する種々の態様の本発明のエアスルー不織布が示されている。以下、これらの図に示される形態のエアスルー不織布について説明する。
図1に示すエアスルー不織布1は、第1層10と第2層20とを有している。第1層10と第2層20とは直接に接しており、両層間に介在する他の層は存在していない。第1層10及び第2層20は、それぞれ単一の繊維層であり、それ以上に細分化された複数層の積層体から構成されたものではない。第1層10と第2層20とはそれらの対向面の全域において結合しており、両層10,20間に空隙は生じていない。なお図1においては、第1層10と第2層20とが同じ厚さで表されているが、これは各層10,20を模式的に示したからであり、実際のエアスルー不織布1においては、第1層10と第2層20の厚さは異なっていてもよい。
第1層10及び第2層20はいずれもランダムに堆積された繊維から構成されている。第1層10を構成する繊維は、繊維の交点においてエアスルー方式で融着している。第2層20についても同様である。また、第1層10と第2層20との境界においては、第1層10を構成する繊維と、第2層20を構成する繊維との交点がエアスルー方式で融着している。付加的に、第1層10を構成する繊維は、エアスルー方式の融着以外の手段で結合していてもよい。例えば熱エンボス加工による融着、高圧ジェット流による絡合、接着剤による接着などの手段で付加的に結合していてもよい。第2層20についても同様であり、また第1層10と第2層20との境界においても同様である。
本発明においては、単一層からなる第1層10を、その厚さ方向に仮想的に二等分したとき、二等分した2つの部位のうち、第2層20から遠い側の部位を第1層第1部位11と呼び、第2層20に近い側の部位を第1層第2部位12と呼ぶ。第1層10は単一層からなるので、第1部位11と第2部位12との間に境界は存在しない。また、第1部位11を構成する繊維と、第2部位12を構成する繊維とは同一である。
図1に示す実施形態の不織布1の第1層10においては、第1部位11よりも、第2部位12の方が親水度が高くなっている。このような親水度の勾配を第1層10に設けるためには、先に述べた繊維処理剤が付着した熱融着性繊維が、第1層10に含まれていることが好ましい。この場合、第1層10は、第1部位11から第2部位12に向けて親水度が漸次高くなっていてもよく、あるいは、第1部位11から第2部位12に向けて親水度がステップ状に高くなっていてもよい。厚み方向に沿った液の透過を良好にする観点からは、第1部位11から第2部位12に向けて親水度が漸次高くなっていることが好ましい。親水度が漸次高くなる親水度の勾配を設ける観点からも、先に述べた繊維処理剤が付着した熱融着性繊維が、第1層10に含まれていることが好ましい。
親水度が漸次高くなっているか、それともステップ状に高くなっているかを問わず、第1層10においては、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上、特に72度以上であることが好ましい。また85度以下、特に82度以下であることが好ましい。例えば第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角は、70度以上85度以下であることが好ましく、72度以上82度以下であることが好ましい。一方、第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、60度以上、特に65度以上であることが好ましい。また80度以下、特に75度以下であることが好ましい。例えば第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角は、60度以上80度以下であることが好ましく、65度以上75度以下であることが好ましい。
親水度に勾配を有する第1層10とは対照的に、本実施形態においては、第2層20はその親水度が、該第2層20のいずれの部位においても同じになっている。そして、第2層20の親水度は、第1層第2部位12の親水度よりも高くなっている。このように、本実施形態の不織布1は、第1層第1部位11、第1層第2部位12及び第2層20の順で親水度が高くなっている。第2層20に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位12に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、20度以上、特に30度以上であることが好ましく、75度以下、特に65度以下であることが好ましい。例えば第2層20に含まれる繊維に対する水の接触角は、20度以上75度以下であることが好ましく、30度以上65度以下であることが好ましい。
本実施形態においては、上述のとおり、第2層20の親水度がいずれの部位においても同じになっているところ、そのような第2層20を形成するためには、例えば繊維に親水性を付与するために従来用いられてきた油剤と呼ばれる繊維処理剤を用いればよい。そのような繊維処理剤としては、例えば各種の界面活性剤が典型的なものとして挙げられる。界面活性剤としては、陰イオン、陽イオン、両性イオン及び非イオンの界面活性剤等を用いることができる。
陰イオン界面活性剤の例としては、アルキルホスフェート塩、アルキルエーテルホスフェート塩、ジアルキルホスフェート塩、ジアルキルスルホサクシネート塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、アルキルスルホネート塩、アルキルサルフェート塩、セカンダリーアルキルサルフェート塩等が挙げられる(前記いずれのアルキルも炭素数6〜22が好ましい。)。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤の例としては、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライド、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウムハライド等が挙げられ、これらの化合物は、炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましい。前記のハライド化合物におけるハロゲンとしては、塩素、臭素等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤の例としては、アルキル(炭素数1〜30)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン、スルフォベタイン型両性界面活性剤等のベタイン型両性イオン界面活性剤や、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性イオン界面活性剤、グリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性イオン界面活性剤などのアミノ酸型両性イオン界面活性剤、アルキル(炭素数1〜30)タウリン型などのアミノスルホン酸型両性イオン界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(好ましくはn=2〜10)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル(いずれも好ましくは脂肪酸の炭素数8〜22)、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22)アミド、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22)エーテル、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
なお第2層20の構成繊維は、上述した(A)成分ないし(C)成分を含む繊維処理剤によって処理されていないことが好ましい。
第1層10から第2層20への液の透過を一層円滑に行う観点から、第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層20に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位12−第2層20)は、1度以上、特に10度以上、更に20度以上であることが好ましく、50度以下、特に40度以下であることが好ましい。例えば前記の差は、1度以上50度以下であることが好ましく、10度以上40度以下であることが更に好ましい。
前記と同様の観点から、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層20に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位11−第2層20)は、上述した第1層第2部位12−第2層20の接触角の差よりも大きいことを条件として、2度以上、特に10度以上、更に20度以上であることが好ましく、65度以下、特に50度以下であることが好ましい。例えば前記の差は、2度以上65度以下であることが好ましく、10度以上50度以下であることが更に好ましい。
以上のとおりの接触角を有する各層・各部位からなるエアスルー不織布を製造するためには、上述した繊維処理剤を用い、かつ後述するエアスルー法における熱風の吹き付け条件、すなわち熱風の温度や風量を適切に制御すればよい。
次に、図2及び図3に示す実施形態の不織布1A,1Bについて説明する。これらの不織布1A,1Bについては、先に説明した不織布1と相違する点について説明し、同じ点については特に説明しないが、不織布1に関する説明が適宜適用される。また図2及び図3において、図1と同じ部材には同じ符号を付してある。
図2に示す不織布1Aのうち、第1層10は、図1に示す不織布1の第1層10と同様の構成となっている。一方、不織布1Aの第2層20に関しては、これをその厚さ方向に仮想的に二等分したとき、二等分した2つの部位のうち、第1層10に近い側の部位を第2層第1部位21と呼び、第1層10から遠い側の部位を第2層第2部位22と呼ぶ。第2層20は単一層からなるので、第1部位21と第2部位22との間に境界は存在しない。また、第1部位21を構成する繊維と、第2部位22を構成する繊維とは同一である。
本実施形態に不織布1Aにおいては、第1層第1部位11と、第1層第2部位12と、第2層第1部位22と、第2層第2部位22との親水度を比較すると、先に述べた(1)の関係、すなわち第1層第1部位11よりも、第1層第2部位12の方が親水度が高いことに加えて、下記の(3)及び(4)の関係も満たしている。
(3)第1層第2部位12よりも、第2層第1部位21の方が親水度が高い、
(4)第2層第1部位21よりも、第2層第2部位22の方が親水度が高い。
このように、本実施形態の不織布1Aは、第1層10に関して親水度の勾配を有し、かつ第2層20に関しても親水度の勾配を有している。そして、親水度の大小関係が、第1層第1部位11<第1層第2部位12<第2層第1部位21<第2層第2部位22となっている。この場合、先に述べた不織布1の第1層10と同様に、第2層20は、第2部位21から第2部位22に向けて親水度が漸次高くなっていてもよく、あるいは、第2部位21から第2部位22に向けて親水度がステップ状に高くなっていてもよい。厚み方向に沿った液の透過を良好にする観点からは、第2部位21から第2部位22に向けて親水度が漸次高くなっていることが好ましい。親水度が漸次高くなる親水度の勾配を設ける観点からも、先に述べた繊維処理剤が付着した熱融着性繊維が、第1層10だけでなく、第2層20にも含まれていることが好ましい。
不織布1Aの第1層10においては、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上、特に72度以上であることが好ましい。また85度以下、特に82度以下であることが好ましい。例えば第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角は、70度以上85度以下であることが好ましく、72度以上82度以下であることが好ましい。一方、第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、60度以上、特に65度以上であることが好ましい。また80度以下、特に75度以下であることが好ましい。例えば第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角は、60度以上80度以下であることが好ましく、65度以上75度以下であることが好ましい。
不織布1Aの第2層20においては、第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角が50度以上、特に55度以上であることが好ましい。また75度以下、特に70度以下であることが好ましい。例えば第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角は、50度以上75度以下であることが好ましく、55度以上70度以下であることが好ましい。一方、第2層第2部位22に含まれる繊維に対する水の接触角は、第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、20度以上、特に30度以上であることが好ましい。また70度以下、特に65度以下であることが好ましい。例えば第2層第2部位22に含まれる繊維に対する水の接触角は、20度以上70度以下であることが好ましく、30度以上65度以下であることが好ましい。
第1層10から第2層20への液の透過を一層円滑に行う観点から、第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位12−第2層第1部位21)は、1度以上、特に10度以上であることが好ましく、30度以下、特に25度以下であることが好ましい。例えば前記の差は、1度以上30度以下であることが好ましく、10度以上25度以下であることが更に好ましい。
前記と同様の観点から、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第2部位22に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位11−第2層第2部位22)は、上述した第1層第2部位12−第2層第1部位21の接触角の差よりも大きいことを条件として、2度以上、特に10度以上であることが好ましく、65度以下、特に50度以下であることが好ましい。例えば前記の差は、2度以上65度以下であることが好ましく、10度以上50度以下であることが更に好ましい。
以上のとおりの接触角を有する各層・各部位からなる図2に示すエアスルー不織布1Aを製造するためには、上述した繊維処理剤を各層に用い、かつ後述するエアスルー法における熱風の吹き付け条件、すなわち熱風の温度や風量を適切に制御すればよい。特に、本実施形態の不織布1Aによれば、図1に示す不織布1と同様の効果が奏される。特に本実施形態の不織布1Aは、第2層20に関しても親水度の勾配を有しているので、図1に示す不織布1で奏される効果が一層顕著なものとなる。
図3に示す不織布1Bは、上述した図2に示す不織布1Aと同様に、第1層10に関して親水度の勾配を有し、かつ第2層20に関しても親水度の勾配を有している。また、図2に示す不織布1Aと同様に、第1層10に関しては、第1部位11よりも第2部位12の方が親水度が高く、かつ第2層20に関しても、第1部位21よりも第2部位22の方が親水度が高くなっている。本実施形態の不織布1Bが、図2に示す不織布1Aと相違する点は、親水度の大小関係が、第1層第1部位11<第2層第1部位21<第1層第2部位12<第2層第2部位22となっている点である。この点以外は、図2に示す不織布1Aと同様である。
要するに、本実施形態の不織布1Bは、先に述べた(1)の関係、すなわち第1層第1部位11よりも、第1層第2部位12の方が親水度が高いことに加えて、下記の(5)、(6)及び(7)の関係を満たす請求項1に記載の不織布。
(5)第1層第1部位11よりも、第2層第1部位21の方が親水度が高い、
(6)第2層第1部位21よりも、第1層第2部位12の方が親水度が高い。
(7)第1層第2部位12よりも、第2層第2部位22の方が親水度が高い。
このように、本実施形態の不織布1Bは、これまで説明してきた不織布1,1Aと異なり、第1層10側から第2層20側に向かうに連れて親水度が順次高くなっているのではなく、第1層第2部位12と第2層第1部位21との間で親水度の関係が逆転している。このような親水度の関係を有する本実施形態の不織布1Bは、これまで説明してきた図1及び図2にそれぞれ示す不織布1,1Aと同様の効果を奏することに加え、第1層第2部位12と第2層第1部位21との間で親水度の関係が逆転していることに起因して、不織布1Bを一旦透過した液が逆戻りしづらいという効果、及び不織布1Bの平面方向に液が拡散しながら該不織布1Bを液が透過するという効果も奏する。液が逆戻りしづらいという効果は、不織布1Bを吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、吸収体に一旦吸収された液が、着用者の耐圧を受けても逆戻りしづらくなるという点で有利である。また、不織布1Bの平面方向に液が拡散しながら透過するという効果は、不織布1Bを吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、吸収体の平面方向のすべての部位において液を吸収させることができ、吸収体の吸収性能を有効活用できるという点で有利である。
不織布1Bの第1層10においては、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上、特に72度以上であることが好ましい。また85度以下、特に82度以下であることが好ましい。例えば第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角は、70度以上85度以下であることが好ましく、72度以上82度以下であることが好ましい。一方、第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、50度以上、特に55度以上であることが好ましい。また75度以下、特に70度以下であることが好ましい。例えば第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角は、50度以上75度以下であることが好ましく、55度以上70度以下であることが好ましい。
不織布1Bの第2層20においては、第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角が60度以上、特に65度以上であることが好ましい。また80度以下、特に75度以下であることが好ましい。例えば第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角は、60度以上80度以下であることが好ましく、65度以上75度以下であることが好ましい。一方、第2層第2部位22に含まれる繊維に対する水の接触角は、第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、30度以上、特に40度以上であることが好ましい。また70度以下、特に65度以下であることが好ましい。例えば第2層第2部位22に含まれる繊維に対する水の接触角は、30度以上70度以下であることが好ましく、40度以上65度以下であることが好ましい。
不織布1Bを一旦透過した液が逆戻りしづらいという効果、及び不織布1Bの平面方向に液が拡散しながら該不織布1Bを液が透過するという効果を一層顕著なものにする観点から、第2層第1部位21に含まれる繊維に対する水の接触角と、第1層第2部位12に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第2層第1部位21−第1層第2部位12)は、1度以上、特に2度以上であることが好ましく、30度以下、特に25度以下であることが好ましい。例えば前記の差は、1度以上30度以下であることが好ましく、2度以上25度以下であることが更に好ましい。
また、第1層10から第2層20への液の透過を一層円滑に行う観点から、第1層第1部位11に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第2部位22に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位11−第2層第2部位22)は、2度以上、特に5度以上であることが好ましく、55度以下、特に45度以下であることが好ましい。例えば前記の差は、2度以上55度以下であることが好ましく、5度以上45度以下であることが更に好ましい。
本実施形態の不織布1Bの第1層10においては、第1部位11から第2部位12に向けて親水度が漸次高くなっていてもよく、あるいは、第1部位11から第2部位12に向けて親水度がステップ状に高くなっていてもよい。一方、第2層20においては、第2部位22から第1部位21に向けて親水度が漸次高くなっていてもよく、あるいは、第2部位22から第1部位21に向けて親水度がステップ状に高くなっていてもよい。
以上のとおりの接触角を有する各層・各部位からなる図3に示すエアスルー不織布1Bを製造するためには、上述した繊維処理剤を各層に用い、かつ後述するエアスルー法における熱風の吹き付け条件、すなわち熱風の温度や風量を適切に制御すればよい。特に、第1層第2部位12と第2層第1部位21との間で親水度の関係を、図2に示す実施形態の不織布1Aと逆転させるためには、第1層10に用いられる繊維処理剤と、第2層20に用いられる繊維処理剤とを比較した場合、親水度の程度が、第2層20に用いられる繊維処理剤のほうがより低くなるように、各繊維処理剤を選択することが有利である。また、第2層20の構成繊維として、後述する熱伸長性繊維を用いることでも、第1層第2部位12と第2層第1部位21との間で親水度の関係を、図2に示す実施形態の不織布1Aと逆転させることができる。
次に、本発明のエアスルー不織布に含まれる、前記繊維処理剤が付着した前記熱融着性繊維について説明する。熱融着性繊維は、繊維処理剤が付着していることによって、これを付着させる前に比して、繊維の表面の親水度が高められている。繊維処理剤の付着量は、繊維処理剤を除く熱融着性繊維の全質量に対する割合が、繊維の親水度を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1〜1.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.0質量%である。
繊維処理剤を熱融着性繊維の表面に付着させる方法としては、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、繊維処理剤への浸漬等が挙げられる。これらの処理は、ウエブ化する前の繊維に対して行ってもよいし、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよい。ただし、後述するエアスルー処理よりも前に処理を行う必要がある。繊維処理剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、ポリエチレン樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。
熱融着性繊維としては、例えば熱融着性芯鞘型複合繊維、非熱伸長性繊維、熱収縮繊維、立体捲縮繊維、潜在捲縮繊維、中空繊維等を挙げることができる。これらの繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの繊維のうち、熱融着性芯鞘型複合繊維を用いることが特に好ましい。
熱融着性繊維は、繊維処理剤の付着の前後いずれにおいても熱融着性を有し、かつ芯鞘型の複合構造を有している。芯鞘型の複合繊維は、同心の芯鞘型でも、偏心の芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも、異型形でもよい。特に同心の芯鞘型であることが好ましい。繊維がどのような形態をとる場合であっても、柔軟で肌触り等のよい不織布等を製造する観点からは、熱融着性繊維の繊度は1.0dtex以上10.0dtex以下が好ましく、2.0dtex以上8.0dtex以下であることがより好ましい。
熱融着性繊維の繊度は、第1層10と第2層20とで同じであってもよく、あるいは相違していてもよい。各層10,20における熱融着性繊維の繊度が相違する場合、第1層10に含まれる熱融着性繊維の繊度よりも、第2層20に含まれる熱融着性繊維の繊度の方が小さいことが好ましい。こうすることによって、第1層10から第2層20に向けて毛管力が高まる勾配が生じ、そのことと、繊維処理剤に起因する親水度の勾配とが相まって、第1層10から第2層20に向けての液の引き込み性が向上するという有利な効果が奏される。尤も、本発明においては、繊維処理剤に起因する親水度の勾配が十分に付与されているので、第2層20に繊度の小さな熱融着性繊維を用いなくても、第1層10から第2層20に向けての液の引き込み性は十分なものとなる。
特に好ましい熱融着性芯鞘型複合繊維としては、例えば、特開2010−168715号公報に記載の「ポリエチレン樹脂を含む鞘部及び該ポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分からなる芯部を有する芯鞘型複合繊維(以下、この繊維を芯鞘型複合繊維Pと言う)」が挙げられる。芯鞘型複合繊維Pの鞘部を構成するポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。特に、密度が0.935〜0.965g/cm3である高密度ポリエチレンであることが好ましい。芯鞘型複合繊維Pの鞘部を構成する樹脂成分は、ポリエチレン樹脂単独であることが好ましいが、他の樹脂をブレンドすることもできる。ブレンドする他の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。ただし、鞘部を構成する樹脂成分は、鞘部の樹脂成分中の50質量%以上が、特に70質量%以上100質量%以下がポリエチレン樹脂であることが好ましい。また、芯鞘型複合繊維Pの鞘部を構成するポリエチレン樹脂は、結晶子サイズが10nm以上20nm以下であることが好ましく、11.5nm以上18nm以下であることがより好ましい。
芯鞘型複合繊維Pの鞘部は、熱融着性芯鞘型複合繊維に熱融着性を付与するとともに、熱処理時に、前述した繊維処理剤を内部に取り込む役割を担う。他方、芯部は、熱融着性芯鞘型複合繊維に強度を付与する部分である。芯鞘型複合繊維Pの芯部を構成する樹脂成分としては、鞘部の構成樹脂であるポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を特に制限なく用いることができる。芯部を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂を除く)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂等が挙げられる。更に、ポリアミド系重合体や前述した樹脂成分の2種以上の共重合体なども使用することができる。複数種類の樹脂をブレンドして使用することもでき、その場合、芯部の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。
繊維処理剤を付着させる熱融着性芯鞘型複合繊維は、芯部を構成する樹脂成分の融点と鞘部を構成する樹脂成分との融点の差(前者−後者)が、20℃以上であることが、不織布の製造が容易となることから好ましく、また150℃以下であることが好ましい。芯部を構成する樹脂成分が複数種類の樹脂のブレンドである場合の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。
繊維処理剤を付着させる熱融着性芯鞘型複合繊維は、加熱によってその長さが伸びる繊維(以下、熱伸長性複合繊維とも言う)であることが好ましい。熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して自発的に伸びる繊維が挙げられる。熱伸長性繊維は、不織布中において、加熱によってその長さが伸長した状態、及び/又は、加熱によって伸長可能な状態で存在している。熱伸長性繊維は、加熱時に、表面の繊維処理剤が内部に取り込まれやすく、繊維やそれを用いて製造した不織布等に、加熱処理によって親水度の大きく異なる複数の部分を形成しやすくなる。
好ましい熱伸長性複合繊維は、芯部を構成する第1樹脂成分と、鞘部を構成する、ポリエチレン樹脂を含む第2樹脂成分とを有しており、第1樹脂成分は、第2樹脂成分より高い融点を有している。第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、その樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とし、これを融点の代わりに用いる。
熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分の好ましい配向指数は、用いる樹脂により自ずと異なるが、例えばポリプロピレン樹脂の場合は、配向指数が60%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは25%以下である。第1樹脂成分がポリエステルの場合は、配向指数が25%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、更に好ましくは10%以下である。一方、第2樹脂成分は、その配向指数が5%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上であり、更に好ましくは30%以上である。配向指数は、繊維を構成する樹脂の高分子鎖の配向の程度の指標となるものである。そして、第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数がそれぞれ前記の値であることによって、熱伸長性複合繊維は、加熱によって伸長するようになる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数は、特開2010−168715号公報の段落〔0027〕〜〔0029〕に記載の方法によって求められる。また、熱伸長性複合繊維における各樹脂成分が前記のような配向指数を達成する方法は、特開2010−168715号公報の段落〔0033〕〜〔0036〕に記載されている。
熱伸長性複合繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合繊維は、第2樹脂成分の融点(融点を持たない樹脂の場合は軟化点)より10℃高い温度での熱伸長率が0.5〜20%であることが好ましく、より好ましくは3〜20%、更に好ましくは5.0〜20%である。このような熱伸長率の繊維を含む不織布は、該繊維の伸長によって嵩高くなり、あるいは立体的な外観を呈する。繊維の熱伸長率は、特開2010−168715号公報の段落〔0031〕〜〔0032〕に記載の方法によって求められる。
熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分と第2樹脂成分との比率(質量比、前者:後者)は10:90〜90:10、特に20:80〜80:20、とりわけ50:50〜70:30であることが好ましい。熱伸長性複合繊維の繊維長は、不織布の製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。不織布を例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30〜70mm程度とすることが好ましい。
熱伸長性複合繊維の繊維径は、不織布の具体的な用途に応じ適切に選択される。不織布を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合には、10〜35μm、特に15〜30μmのものを用いることが好ましい。なお熱伸長性複合繊維は、伸長によってその繊維径が小さくなるところ、前記の繊維径とは、不織布を実際に使用するときの繊維径のことである。
熱伸長性複合繊維としては、上述の熱伸長性複合繊維の他に、特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報等に記載の繊維を用いることもできる。
本発明においては、熱融着性繊維として、熱伸長性繊維と非熱伸長性繊維を混綿されたものを用いてもよい。非熱伸長性繊維は、高融点成分と低融点成分とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維である。複合繊維(非熱伸長性繊維)の形態には芯鞘型やサイド・バイ・サイド型などの様々な形態があり、いずれの形態であっても用いることができる。熱融着性の複合繊維は原料の段階で延伸処理が施されている。ここで言う延伸処理とは、延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作のことである。熱伸長性繊維と非熱伸長性繊維との混合割合は、質量比で、前者:後者が1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは4:6〜6:4である。これにより熱風で不織布の嵩を回復させることがより容易になり、それぞれの繊維を単独で用いるよりも、肌触りとドライ性の良好なエアスルー不織布とすることができる。また、第1層に熱伸長性繊維を用い、第2層に非熱伸長性繊維を用いてもよいし、第2層に熱伸長性繊維を用い、第層に非熱伸長性繊維を用いてもよい。
図4には、本発明のエアスルー不織布を製造するために好適に用いられる製造装置が示されている。同図に示す製造装置100は、第1ウエブ製造部110、第2ウエブ製造部120、エンボス部130、エアスルー処理部140、カレンダー部150及び巻き取り部160を備えている。
第1ウエブ製造部110及び第2ウエブ製造部120はいずれもカード機から構成されている。第1ウエブ製造部110は、目的とするエアスルー不織布における第1層に対応するウエブを製造する部位である。一方、第2ウエブ製造部120は、目的とするエアスルー不織布における第2層に対応するウエブを製造する部位である。第1ウエブ製造部110及び第2ウエブ製造部120には、目的とするエアスルー不織布の具体的な用途に応じて適切な原料繊維が供給され、第1ウエブ111及び第2ウエブ122が製造される。原料繊維には、目的とするエアスルー不織布の具体的な用途に応じて、適切な量の繊維処理剤が付着している。
第1ウエブ製造部110及び第2ウエブ製造部120から繰り出された第1ウエブ111及び第2ウエブ122は、エンボス部130において重ね合わされてエンボス加工が行われる。このとき、第2ウエブ122上に第1ウエブ111が配されるように両ウエブ111,122が重ね合わされる。エンボス部130は例えば凹凸ロール131とアンビルロール132とから構成することができる。エンボス部130におけるエンボス加工の条件は、両ウエブ111,122の構成繊維どうしが加熱下に加圧されてエンボス融着部(図示せず)が形成される条件であればよい。また、熱融着繊維として熱伸長性繊維を用いる場合には、該熱伸長性繊維が伸長する温度条件下にエンボス加工を施すことが好ましい。
エンボス部130において両ウエブ111,122が一体化されて形成された重ね合わせウエブ101は、エアスルー処理部140へ搬送される。エアスルー処理部140は密閉されたチャンバ141を有している。チャンバ141内には周回する無端ベルト142が配置されている。無端ベルト142は通気性の材料、例えば金属ワイヤのメッシュベルトからなる。重ね合わせウエブ101は、無端ベルト142上に載置されて搬送される。チャンバ141内には、所定温度に加熱された空気(以下「熱風」とも言う。)の吹き出し口(図示せず)が設けられている。更にチャンバ141内には、吹き出された熱風の吸引口(図示せず)も設けられている。チャンバ141内に搬送された重ね合わせウエブ101が該チャンバ141内を通過する間に、重ね合わせウエブ101に対して熱風がエアスルー方式で吹き付けられる。熱風の吹き付けは、重ね合わせウエブ101における第1ウエブ111側から行われる。吹き付けられた熱風は、重ね合わせウエブ101における第2ウエブ122側から放出される。この目的のために、前記の吹き出し口(図示せず)は、重ね合わせウエブ101における第1ウエブ111と対向するように配置されており、かつ前記の吸引口(図示せず)は第1ウエブ122と対向するように配置されている。
先に述べたとおり、(A)成分ないし(C)成分を含む繊維処理剤が付着している熱融着性繊維においては、該熱融着性繊維が受ける熱量に応じて繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が相違する。繊維処理剤の浸透の程度が大きくなるほど、繊維処理剤を付着させた初期状態に比べて繊維の親水度は低下する。本製造方法においては、この現象を利用して、目的とするエアスルー不織布に親水度の勾配を生じさせている。
詳細には、エアスルー法によれば、熱風吹き付け面に存在する繊維が最も大きな熱量を受け、かつ熱風吹き付け面と反対側、すなわち無端ベルト142との対向面に存在する繊維が最も小さな熱量を受けるようになる。したがって本製造方法においては、重ね合わせウエブ101における第1ウエブ111の表面に存在する繊維が最も大きな熱量を受け、第2ウエブ122の表面に存在する繊維が最も小さな熱量を受ける。その結果、重ね合わせウエブ101においては、第1ウエブ111側から第2ウエブ122側に向けて、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が小さくなる。このことに起因して、重ね合わせウエブ101においては、第1ウエブ111側から第2ウエブ122側に向けて親水度が高くなる。この場合、第1ウエブ111を構成する熱融着性繊維にのみ前記繊維処理剤を付着させておき、第2ウエブ122を構成する熱融着性繊維には通常の繊維油剤を付着させておくと、第1ウエブ111から形成される第1層10において親水度の勾配が生じて、図1に示す形態のエアスルー不織布1が得られる。また、第1ウエブ111を構成する熱融着性繊維及び第2ウエブを構成する熱融着性繊維の双方に繊維処理剤を付着させておくと、第1ウエブ111から形成される第1層10及び第2ウエブ122から形成される第2層20の双方において親水度の勾配が生じて、図2又は図3に示す形態のエアスルー不織布1A又は1Bが得られる。エアスルー不織布1Aが得られるか又はエアスルー不織布1Bが得られるかは、第1ウエブ111及び第2ウエブ122を構成する各熱融着性繊維に付着させる繊維処理剤の種類や付着量によって制御することができる。例えば第1ウエブ111を構成する熱融着性繊維に付着させる繊維処理剤よりも、第2ウエブ122を構成する熱融着性繊維に付着させる繊維処理剤の方が親水度の高いものである場合には、図2に示す形態のエアスルー不織布1Aが得られやすい。これに加えて、熱風の吹き付けの風量を増やすと、図2に示す形態のエアスルー不織布1Aが一層得られやすい。一方、第1ウエブ111を構成する熱融着性繊維に付着させる繊維処理剤と、第2ウエブ122を構成する熱融着性繊維に付着させる繊維処理剤の親水度が低いものである場合には、図3に示す形態のエアスルー不織布1Bが得られやすい。
このように、以上の方法は、熱の付与によって、繊維処理剤が付与された熱融着性繊維の親水度を、不織布の厚み方向で部分的に低下させることで、親水度の勾配を発現させている。したがって以上の方法によれば、複数枚の不織布を重ね合わせて親水度に勾配を設ける必要がなく、一枚の単一の不織布の厚み方向に沿って親水度に勾配を設けることができる。
エアスルー処理部140においては、上述のとおり、重ね合わせウエブ101の厚み方向に沿った親水度の勾配が生じる。これとともに、エアスルー処理部140においては、重ね合わせウエブ101の構成繊維どうしの熱融着が生じ、目的とするエアスルー不織布102が得られる。得られたエアスルー不織布102は、エアスルー処理部140から出た後にカレンダー部150に導入されてカレンダー加工が行われる。カレンダー加工によって、エアスルー不織布102の表面が平滑となり、毛羽立ち等が少なくなる。その後、エアスルー不織布102は、巻き取り部160において巻き取られる。
なお、以上の製造方法においては、場合によってはエンボス部130によるエンボス加工を行わなくてもよい。その場合には、得られるエアスルー不織布102は、表裏面に凹凸のない平滑なものとなる。これとは対照的に、エンボス部130によるエンボス加工を行い、かつ熱融着性繊維として熱伸長性繊維を用いた場合には、熱伸長繊維の熱伸長に起因して表面に複数の凸部を有するエアスルー不織布102が得られる。凸部は、エンボス融着部によって囲まれた領域に形成される。また凸部は、第2層側から第1層側に向けて突出した形状となる。この理由は、エアスルー処理のときに、第2層側に対応する第2ウエブ122が無端ベルト142と当接しているので、伸長した熱伸長性繊維の突出が無端ベルト142によって規制されるのに対して、第1層側に対応する第1ウエブ111ではそのような規制が存在しないからである。この観点から、熱伸長性繊維を第1ウエブ111に含有させておくと、凹凸感のある凸部を形成しやすくなるので好ましい。
前記のようにしてエアスルー不織布に凸部が形成される場合、該凸部においては、該凸部の頂部から底部にかけて親水度が高くなっている。この理由は次のとおりである。凸部における底部には、エンボス融着部が形成されている。エンボス融着部は、繊維の融着によってフィルム化ないしそれに近い融着状態になっているので、通気性が低下している。一方、凸部における頂部及びその近傍には通気性を妨げる部位が存在しない。その結果、エアスルー処理においては、凸部における頂部及びその近傍ほど熱風が通過しやすく親水度が低下しやすい。逆にエンボス融着ほど熱風が通過しにくく、親水度が低下しにくい。そのことに起因して、凸部はその頂部から底部にかけて親水度が高くなる。
このようにして得られた本発明のエアスルー不織布には、その後、二次加工を施してもよい。二次加工としては、例えば公知の立体賦形加工が挙げられる。
本発明のエアスルー不織布は、その厚み方向に沿った親水度の勾配を活かして、種々の分野に適用できる。例えば生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、失禁パッドなどの身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更に対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。本発明のエアスルー不織布を吸収性物品の表面シートやセカンドシートとして用いる場合には、該エアスルー不織布の第1層側を肌対向面側として用いることが好ましい。
エアスルー不織布の製造に用いるウエブの坪量は、目的とするエアスルー不織布の具体的な用途に応じて適切な範囲が選択される。最終的に得られる不織布の坪量は、10g/m2以上80g/m2以下、特に15g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。
身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。本発明のエアスルー不織布を表面シートとして用いた場合の吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限なく用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の不織布を開示する。
<1>
繊維処理剤が付着している熱融着性繊維を含むエアスルー不織布であって、
第1層とこれに隣接する第2層とを有し、第1層及び第2層のうちの少なくとも一方に前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が含まれており、
第1層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第2層から遠い側の部位を第1層第1部位とし、第2層に近い側の部位を第1層第2部位としたとき、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層との親水度を比較すると、下記の(1)及び(2)の関係を満たし、
(1)第1層第1部位よりも、第1層第2部位の方が親水度が高い、
(2)第1層第2部位よりも、第2層におけるいずれかの部位の方が親水度が高い、
前記繊維処理剤が、下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する不織布。
(A)ポリオルガノシロキサン
(B)アルキルリン酸エステル
(C)下記の一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤
Figure 0005640139
(式中、Zはエステル基、アミド基、アミン基、ポリオキシアルキレン基、エーテル基若しくは2重結合を含んでいてもよい、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル鎖を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に、エステル基、アミド基、ポリオキシアルキレン基、エーテル基若しくは2重結合を含んでいてもよい、炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Xは―SO3M、―OSO3M又は―COOMを表し、MはH、Na、K、Mg、Ca又はアンモニウムを表す。)
<2>
第2層の親水度が、該第2層のいずれの部位においても同じになっている前記<1>に記載の不織布。
<3>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上85度以下であり、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60度以上80度以下である前記<1>又は<2>に記載の不織布。
<4>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上、特に72度以上であることが好ましく、また85度以下、特に82度以下であることが好ましい前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の不織布。
<5>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、60度以上、特に65度以上であることが好ましく、また80度以下、特に75度以下であることが好ましい前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の不織布。
<6>
第2層に含まれる繊維に対する水の接触角が20度以上75度以下である前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の不織布。
<7>
第2層に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、20度以上、特に30度以上であることが好ましく、75度以下、特に65度以下であることが好ましい前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の不織布。
<8>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位−第2層)が、1度以上50度以下である前記<1>ないし<7>のいずれか1のいずれか1に記載の不織布。
<9>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位−第2層)が、1度以上、特に10度以上、更に20度以上であることが好ましく、50度以下、特に40度以下であることが好ましい前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の不織布。
<10>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位−第2層)が、2度以上65度以下である前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の不織布。
<11>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位−第2層)が、第1層第2部位−第2層の接触角の差よりも大きいことを条件として、2度以上、特に10度以上、更に20度以上であることが好ましく、65度以下、特に50度以下であることが好ましい前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の不織布。
<12>
第2層20の構成繊維は、(A)成分ないし(C)成分を含む繊維処理剤によって処理されていない前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の不織布。
<13>
第2層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第1層に近い側の部位を第1部位とし、第1層から遠い側の部位を第2部位としたとき、第1層第2部位と、第2層第1部位と、第2層第2部位との親水度を比較すると、下記の(3)及び(4)の関係を満たす前記<1>に記載の不織布。
(3)第1層第2部位よりも、第2層第1部位の方が親水度が高い、
(4)第2層第1部位よりも、第2層第2部位の方が親水度が高い。
<14>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70〜85度であり、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60〜80度であり、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が50〜75度であり、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が20〜70度である前記<13>に記載の不織布。
<15>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上、特に72度以上であることが好ましい。また85度以下、特に82度以下であることが好ましい前記<13>又は<14>に記載の不織布。
<16>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、60度以上、特に65度以上であることが好ましく、また80度以下、特に75度以下であることが好ましい前記<13>ないし<15>のいずれか1に記載の不織布。
<17>
第2層においては、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が50度以上、特に55度以上であることが好ましく、また75度以下、特に70度以下であることが好ましい前記<13>ないし<16>のいずれか1に記載の不織布。
<18>
第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角は、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、20度以上、特に30度以上であることが好ましく、また70度以下、特に65度以下であることが好ましい前記<13>ないし<17>のいずれか1に記載の不織布。
<19>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位−第2層第1部位)が、1〜30度である前記<13>ないし<18>のいずれか1に記載の不織布。
<20>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位−第2層第1部位)が、1度以上、特に10度以上であることが好ましく、30度以下、特に25度以下であることが好ましい前記<13>ないし<19>のいずれか1に記載の不織布。
<21>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第2部位−第2層第2部位)が、2〜65度である前記<13>ないし<20>のいずれか1に記載の不織布。
<22>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位−第2層第2部位)が、第1層第2部位−第2層第1部位の接触角の差よりも大きいことを条件として、2度以上、特に10度以上であることが好ましく、65度以下、特に50度以下であることが好ましい前記<13>ないし<21>のいずれか1に記載の不織布。
<23>
第2層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第1層に近い側の部位を第1部位とし、第1層から遠い側の部位を第2部位としたとき、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層第1部位と、第2層第2部位との親水度を比較すると、下記の(5)、(6)及び(7)の関係を満たす前記<1>に記載の不織布。
(5)第1層第1部位よりも、第2層第1部位の方が親水度が高い、
(6)第2層第1部位よりも、第1層第2部位の方が親水度が高い。
(7)第1層第2部位よりも、第2層第2部位の方が親水度が高い。
<24>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70〜85度であり、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が50〜75度であり、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60〜80度であり、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が30〜70度である前記<23>に記載の不織布。
<25>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上、特に72度以上であることが好ましく、また85度以下、特に82度以下であることが好ましい前記<23>又は<24>に記載の不織布。
<26>
第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角は、第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、50度以上、特に55度以上であることが好ましく、また75度以下、特に70度以下であることが好ましい前記<23>ないし<25>のいずれか1に記載の不織布。
<27>
第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60度以上、特に65度以上であることが好ましく、また80度以下、特に75度以下であることが好ましい前記<23>ないし<26>のいずれか1に記載の不織布。
<28>
第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角は、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、30度以上、特に40度以上であることが好ましく、また70度以下、特に65度以下であることが好ましい前記<23>ないし<27>のいずれか1に記載の不織布。
<29>
第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第2層第1部位−第1層第2部位)が、1〜30度である前記<23>ないし<28>のいずれか1に記載の不織布。
<30>
第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第2層第1部位−第1層第2部位)は、1度以上、特に2度以上であることが好ましく、30度以下、特に25度以下であることが好ましい前記<23>ないし<29>のいずれか1に記載の不織布。
<31>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位−第2層第2部位)が、2〜55度である前記<23>ないし<30>のいずれか1に記載の不織布。
<32>
第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角と、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角との差(第1層第1部位−第2層第2部位)が、2度以上、特に5度以上であることが好ましく、55度以下、特に45度以下であることが好ましい前記<23>ないし<31>のいずれか1に記載の不織布。
<33>
第1層は、その第1部位から第2部位に向けて親水度が漸次高くなっている前記<23>ないし<32>のいずれか1に記載の不織布。
<34>
前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が、第1層に含まれている前記<1>ないし<33>のいずれか1に記載の不織布。
<35>
第2層は、その第1部位から第2部位に向けて親水度が漸次高くなっている前記<13>ないし<22>のいずれか1に記載の不織布。
<36>
前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が、第2層に含まれている前記<13>ないし<35>のいずれか1に記載の不織布。
<37>
繊維処理剤の付着量は、繊維処理剤を除く熱融着性繊維の全質量に対する割合が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1〜1.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.0質量%である前記<1>ないし<36>のいずれか1に記載の不織布。
<38>
(A)成分であるポリオルガノシロキサンがポリジメチルシロキサンである前記<1>ないし<37>のいずれか1に記載の不織布。
<39>
(A)成分であるポリオルガノシロキサンの分子量は、重量平均分子量で好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、更に好ましくは60万以下である前記<1>ないし<38>のいずれか1に記載の不織布。
<40>
(A)成分であるポリオルガノシロキサンとして、分子量の異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いた前記<1>ないし<39>のいずれか1に記載の不織布。
<41>
(A)成分として分子量が異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用い、
そのうちの一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、更に好ましくは60万以下であり、
他の一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万未満、より好ましくは5万以下、より好ましくは3万5千以下、更に好ましくは2万以下であり、また、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、更に好ましくは5000以上である前記<1>ないし<40>のいずれか1に記載の不織布。
<42>
重量平均分子量が10万以上のポリオルガノシロキサンと重量平均分子量が10万未満のポリオルガノシロキサンとの配合比率(前者:後者)が、質量比で、好ましくは1:10〜4:1、より好ましくは1:5〜2:1である前記<41>に記載の不織布。
<43>
(A)成分であるポリオルガノシロキサンが前記繊維処理剤の全質量に対して1質量%以上30質量%以下の割合で含まれている前記<1>ないし<42>のいずれか1に記載の不織布。
<44>
(A)成分であるポリオルガノシロキサンが前記繊維処理剤の全質量に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更に好ましく、また30質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい前記<1>ないし<43>のいずれか1に記載の不織布。
<45>
(B)成分であるアルキルリン酸エステルが、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である前記<1>ないし<44>のいずれか1に記載の不織布。
<46>
前記繊維処理剤中の(B)成分の配合割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である前記<1>ないし<45>のいずれか1に記載の不織布。
<47>
前記(C)成分が、ジアルキルスルホン酸又はその塩である前記<1>ないし<46>のいずれか1に記載の不織布。
<48>
前記繊維処理剤中の前記(C)成分の配合割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは13質量%以下である前記<1>ないし<47>のいずれか1に記載の不織布。
<49>
繊維処理剤における(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(C)成分のアニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:3〜4:1であり、より好ましくは1:2〜3:1である前記<1>ないし<48>のいずれか1に記載の不織布。
<50>
繊維処理剤における(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(B)成分のアルキルリン酸エステルとの含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:5〜10:1であり、より好ましくは1:2〜3:1である前記<1>ないし<49>のいずれか1に記載の不織布。
<51>
第2層側から第1層側に向けて突出した凸部を複数有し、該凸部においては、該凸部の頂部から底部にかけて親水度が高くなっている前記<1>ないし<50>のいずれか1に記載の不織布。
<52>
前記熱融着性繊維が、熱融着性を有する熱伸長性繊維である前記<1>ないし<51>のいずれか1に記載の不織布。
<53>
熱伸長性複合繊維は、第2樹脂成分の融点(融点を持たない樹脂の場合は軟化点)より10℃高い温度での熱伸長率0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以上20%以下、更に好ましくは5.0%以上20%以下である前記<52>に記載の不織布。
<54>
第1層に熱伸長性繊維を用い、第2層に非熱伸長性繊維を用いた前記<52>又は<53>に記載の不織布。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1ないし4〕
図4に示す製造装置100を用いて、図1に示す形態のエアスルー不織布を製造した。ただしエンボス部130によるエンボス加工は行わなかった。製造装置100の第1ウエブ製造部110に供給する第1ウエブ111の原料繊維及び第2ウエブ製造部120に供給する第2ウエブ122の原料繊維を以下の表1に示す。同表には、各原料繊維に対して施した繊維処理剤の組成も記載されている。エアスルー処理部における熱風の温度は136℃、風速は0.8m/secに設定した。このようにして、同表に示す坪量を有する2層構造のエアスルー不織布を得た。
表1に示す第1ウェブの熱融着性繊維は、芯がポリエチレンテレフタレートであり、鞘がポリエチレンである同心タイプの芯鞘型複合繊維であり、芯と鞘との質量比は芯:鞘=50:50であり、繊度は3.3dtexで、繊維長は51mmであった。また、同表に示す第2ウェブの熱融着性繊維は、芯がポリエチレンテレフタレートであり、鞘がポリエチレンである同心タイプの芯鞘型複合繊維であり、芯と鞘との質量比は芯:鞘=50:50であり、繊度は2.4dtexで、繊維長は51mmであった。また、同表に示す熱伸長性繊維は、芯がポリエチレンテレフタレートであり、鞘がポリエチレンである同心タイプの芯鞘型複合繊維であり、芯と鞘との質量比は芯:鞘=50:50であり、繊度は4.2dtexで、繊維長は44mmであった。芯の樹脂の融点+10℃における熱伸長率は9.5%であった。
表1に示す繊維処理剤は、以下の表5に示すとおりである。なお表1中、成分(A)の配合量は、表5に示す成分(A)の「KM−903」の組成のうち、シリコーンのみの配合量のことであり、「KM−903」全体の配合量ではない(以下の表2ないし表4についても同様である。)。
〔実施例5及び6〕
図4に示す製造装置100を用いて、図2に示す形態のエアスルー不織布を製造した。ただしエンボス部130によるエンボス加工は行わなかった。製造装置100の第1ウエブ製造部110に供給する第1ウエブ111の原料繊維及び第1ウエブ製造部110に供給する第2ウエブ122の原料繊維を以下の表2に示す。同表には、各原料繊維に対して施した繊維処理剤の組成も記載されている。同表に示す繊維及び繊維処理剤は、前述の実施例1ないし4と同じものである。エアスルー処理部における熱風の温度は136℃、風速は0.8m/secに設定した。これ以外は実施例1と同様にして、同表に示す坪量を有する2層構造のエアスルー不織布を得た。
〔実施例7〕
図4に示す製造装置100を用いて、図3に示す形態のエアスルー不織布を製造した。ただしエンボス部130によるエンボス加工は行わなかった。製造装置100の第1ウエブ製造部110に供給する第1ウエブ111の原料繊維及び第1ウエブ製造部110に供給する第2ウエブ122の原料繊維を以下の表3に示す。同表には、各原料繊維に対して施した繊維処理剤の組成も記載されている。同表に示す繊維及び繊維処理剤は、前述の実施例1ないし4と同じものである。エアスルー処理部における熱風の温度は136℃、風速は0.8m/secに設定した。これ以外は実施例1と同様にして、同表に示す坪量を有する2層構造のエアスルー不織布を得た。
〔比較例1及び2〕
図4に示す製造装置100を用いて、図5に示す形態のエアスルー不織布を製造した。ただしエンボス部130によるエンボス加工は行わなかった。製造装置100の第1ウエブ製造部110に供給する第1ウエブ111の原料繊維及び第2ウエブ製造部120に供給する第2ウエブ122の原料繊維を以下の表4に示す。同表には、各原料繊維に対して施した繊維処理剤の組成も記載されている。同表に示す繊維及び繊維処理剤は、前述の実施例1ないし4と同じものである。エアスルー処理部における熱風の温度は136℃、風速は0.8m/secに設定した。これ以外は実施例1と同様にして、同表に示す坪量を有し、第1層10及び第2層20の2層構造のエアスルー不織布を得た。
〔評価〕
評価は、吸収性物品の一例として乳幼児用おむつ(花王株式会社製:メリーズさらさらエアスルー(登録商標)Mサイズ2013年製)から表面シートを取り除き、その代わりに不織布の試験体(以下、不織布試験体という)を用い、その周囲を固定して得た評価用の乳幼児用おむつを用いて行った。このようにして得られたおむつについて、以下の方法で表面シート上での液残り量、及び表面シート上での液流れ距離を以下の方法で測定した。実施例7については、これらの評価に加えて、液戻り量、及び液吸収量を以下の方法で測定した。これらの結果を、以下の表1ないし表4に示す。
〔表面シート上での液残り量〕
おむつを平面状に拡げ、おむつの吸収性コアを覆っているコアラップシートの長手方向の腹側部分の先端から155mmの位置に、注入ポンプを用いて5g/秒の速度で人工尿を40g注入して吸収させ、10分間放置し、更に人工尿40gを注入して吸収させた。斯かる人工尿の注入操作を4回繰り返し、合計160gの人工尿をおむつに吸収させた。注入完了から10分静置した後に、注入点を中心に10cm×10cmの表面シートを剥がし、その質量(W2)を測定する。その後、その表面シートを、乾燥機を用いて105℃で、1時間乾燥させて、その質量(W1)を測定し、次式のようにして、液残り量を算出した。
液残り量(g)=160g注入後の表面材の質量(W2)−乾燥させた表面材の質量(W1)
人工尿の組成は次の通りである。尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.7954質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11058質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06208質量%、硫酸カリウム0.19788質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
〔表面シート上での液流れ距離〕
傾斜角度45°の台の平滑な表面上におむつを、表面シート側を上面にし、かつ腹側を下にして固定する。次いで、この使い捨ておむつに対して、腹側端部から長手方向260mm、幅方向中央の位置に赤色2号で着色した生理食塩水(イオン交換水を用いた0.9%食塩水)40gを注入ポンプを用いて注入速度5g/秒で注入する。注入直後に生理食塩水が表面シート上を流れた最も長い距離(mm)を測定し、これを液流れ距離とする。
〔液戻り量〕
おむつを平面状に拡げ、表面シート上に、円筒状の注入部の付いたアクリル板をのせ、更にそのアクリル板上に錘をのせ、吸収体部分に対して2kPaの荷重を加えた。アクリル板に設けられた注入部は、内径36mmの円筒(高さ53mm)状をなし、アクリル板には、長手方向の1/3の部分、幅方向の中心軸に、該円筒状注入部の中心軸線が一致し、該円筒状注入部の内部とアクリル板の表面シート対向面との間を連通する内径36mmの貫通孔が形成されている。おむつの吸収性コアを覆っているコアラップシートの長手方向の腹側部分の先端から155mmの位置にアクリル板の円筒状注入部の中心軸が来るように配置し、人工尿40gを注入して吸収させ、10分間放置し、更に人工尿40gを注入して吸収させた。斯かる人工尿の注入操作を4回繰り返し、合計160gの人工尿をおむつに吸収させた。注入完了から10分静置した後に、上述の円筒および圧力を取り除いた。次いで、おむつにおける人工尿の注入点を中心としてアドバンテック社製のろ紙No.5C(100mm×100mm,質量測定W3)を16枚、更にその上に3.5kPaの圧力がかかるように荷重をかけた。2分経過後荷重を取り除き、人工尿を吸収したろ紙の質量(W4)を測定し、次式のようにして、液戻り量を算出した。
液戻り量(g)=加圧後のろ紙の質量(W4)−最初のろ紙の質量(W3)
〔液吸収量〕
作製したおむつの質量(W5)を測定する。次に、傾斜角度20°の台の平滑な表面上におむつを、表面シート側を上面にし、かつ腹側を下にして固定する。この状態で、おむつの吸収性コアを覆っているコアラップシートの長手方向の腹側部分の先端から110mmの位置に注入ポンプを用いて5g/秒の速度で人工尿を40g注入して吸収させ、5分間放置し、更に人工尿40gを注入した。斯かる人工尿の注入操作を繰り返し行い、おむつの下方側の端部から漏れ出したら注入を止め、その時のおむつの質量(W6)を測定し、次式のようにして、液吸収量を算出した。
液吸収量(g)=吸収後のおむつの質量(W6)−吸収前のおむつの質量(W5)
Figure 0005640139
Figure 0005640139
Figure 0005640139
Figure 0005640139
Figure 0005640139
表1ないし表4に示す結果から明かなとおり、本発明のエアスルー不織布を表面シートとして用いた吸収性物品は、表面を伝って液が流れることが効果的に防止され、表面に液が残りにくいことが判る。特に実施例7のエアスルー不織布を表面シートとして用いた場合には、これらの効果に加えて、液戻り量が少なく、かつ液吸収量が多くなることが判る。
1,1A,1B エアスルー不織布
10 第1層
11 第1層第1部位
12 第1層第2部位
20 第2層
21 第2層第1部位
22 第2層第2部位

Claims (16)

  1. 繊維処理剤が付着している熱融着性繊維を含むエアスルー不織布であって、
    第1層とこれに隣接する第2層とを有し、第1層及び第2層のうちの少なくとも一方に前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が含まれており、
    第1層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第2層から遠い側の部位を第1層第1部位とし、第2層に近い側の部位を第1層第2部位としたとき、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層との親水度を比較すると、下記の(1)及び(2)の関係を満たし、
    (1)第1層第1部位よりも、第1層第2部位の方が親水度が高い、
    (2)第1層第2部位よりも、第2層におけるいずれかの部位の方が親水度が高い、
    前記繊維処理剤が、下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する不織布。(A)ポリオルガノシロキサン
    (B)アルキルリン酸エステル
    (C)下記の一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤
    Figure 0005640139
    (式中、Zはエステル基、アミド基、アミン基、ポリオキシアルキレン基、エーテル基若しくは2重結合を含んでいてもよい、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル鎖を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に、エステル基、アミド基、ポリオキシアルキレン基、エーテル基若しくは2重結合を含んでいてもよい、炭素数2〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、Xは―SO3M、―OSO3M又は―COOMを表し、MはH、Na、K、Mg、Ca又はアンモニウムを表す。)
  2. 第2層の親水度が、該第2層のいずれの部位においても同じになっている請求項1に記載の不織布。
  3. 第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70度以上85度以下であり、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60度以上80度以下である請求項2に記載の不織布。
  4. 第2層に含まれる繊維に対する水の接触角が20度以上75度以下である請求項2又は3に記載の不織布。
  5. 第2層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第1層に近い側の部位を第1部位とし、第1層から遠い側の部位を第2部位としたとき、第1層第2部位と、第2層第1部位と、第2層第2部位との親水度を比較すると、下記の(3)及び(4)の関係を満たす請求項1に記載の不織布。
    (3)第1層第2部位よりも、第2層第1部位の方が親水度が高い、
    (4)第2層第1部位よりも、第2層第2部位の方が親水度が高い。
  6. 第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70〜85度であり、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60〜80度であり、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が50〜75度であり、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が20〜70度である請求項に記載の不織布。
  7. 第2層をその厚さ方向に仮想的に二等分し、二等分した2つの部位のうち、第1層に近い側の部位を第1部位とし、第1層から遠い側の部位を第2部位としたとき、第1層第1部位と、第1層第2部位と、第2層第1部位と、第2層第2部位との親水度を比較すると、下記の(5)、(6)及び(7)の関係を満たす請求項1に記載の不織布。
    (5)第1層第1部位よりも、第2層第1部位の方が親水度が高い、
    (6)第2層第1部位よりも、第1層第2部位の方が親水度が高い。
    (7)第1層第2部位よりも、第2層第2部位の方が親水度が高い。
  8. 第1層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が70〜85度であり、第1層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が50〜75度であり、第2層第1部位に含まれる繊維に対する水の接触角が60〜80度であり、第2層第2部位に含まれる繊維に対する水の接触角が30〜70度である請求項に記載の不織布。
  9. 第1層は、その第1部位から第2部位に向けて親水度が漸次高くなっている請求項1ないしのいずれか一項に記載の不織布。
  10. 前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が、第1層に含まれている請求項1ないしのいずれか一項に記載の不織布。
  11. 第2層は、その第1部位から第2部位に向けて親水度が漸次高くなっている請求項5又は6に記載の不織布。
  12. 前記繊維処理剤が付着している前記熱融着性繊維が、第2層に含まれている請求項5ないし11のいずれか一項に記載の不織布。
  13. 前記ポリオルガノシロキサンが前記繊維処理剤の全質量に対して1質量%以上30質量%以下の割合で含まれている請求項1ないし12のいずれか一項に記載の不織布。
  14. 前記(C)成分が、ジアルキルスルホン酸又はその塩である請求項1ないし13のいずれか一項に記載の不織布。
  15. 第2層側から第1層側に向けて突出した凸部を複数有し、該凸部においては、該凸部の頂部から底部にかけて親水度が高くなっている請求項1ないし14のいずれか一項に記載の不織布。
  16. 前記熱融着性繊維が、熱融着性を有する熱伸長性繊維である請求項1ないし15のいずれか一項に記載の不織布。
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