JPWO2007029792A1 - 親水性に優れたポリエステル繊維、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品、液移行性に優れた不織布積層体およびそれを用いた吸収性物品 - Google Patents

親水性に優れたポリエステル繊維、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品、液移行性に優れた不織布積層体およびそれを用いた吸収性物品 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2007029792A1
JPWO2007029792A1 JP2007534475A JP2007534475A JPWO2007029792A1 JP WO2007029792 A1 JPWO2007029792 A1 JP WO2007029792A1 JP 2007534475 A JP2007534475 A JP 2007534475A JP 2007534475 A JP2007534475 A JP 2007534475A JP WO2007029792 A1 JPWO2007029792 A1 JP WO2007029792A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
fiber
component
polyester
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2007534475A
Other languages
English (en)
Inventor
稲富 伸一郎
伸一郎 稲富
和史 末岐
和史 末岐
栄樹 的場
栄樹 的場
修平 谷渕
修平 谷渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Publication of JPWO2007029792A1 publication Critical patent/JPWO2007029792A1/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F8/00Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof
    • D01F8/04Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof from synthetic polymers
    • D01F8/14Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof from synthetic polymers with at least one polyester as constituent
    • DTEXTILES; PAPER
    • D04BRAIDING; LACE-MAKING; KNITTING; TRIMMINGS; NON-WOVEN FABRICS
    • D04HMAKING TEXTILE FABRICS, e.g. FROM FIBRES OR FILAMENTARY MATERIAL; FABRICS MADE BY SUCH PROCESSES OR APPARATUS, e.g. FELTS, NON-WOVEN FABRICS; COTTON-WOOL; WADDING ; NON-WOVEN FABRICS FROM STAPLE FIBRES, FILAMENTS OR YARNS, BONDED WITH AT LEAST ONE WEB-LIKE MATERIAL DURING THEIR CONSOLIDATION
    • D04H1/00Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres
    • D04H1/40Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties
    • D04H1/54Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties by welding together the fibres, e.g. by partially melting or dissolving
    • D04H1/541Composite fibres, e.g. sheath-core, sea-island or side-by-side; Mixed fibres
    • D04H1/5412Composite fibres, e.g. sheath-core, sea-island or side-by-side; Mixed fibres sheath-core
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F13/00Bandages or dressings; Absorbent pads
    • A61F13/15Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators
    • A61F13/53Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators characterised by the absorbing medium
    • A61F13/534Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators characterised by the absorbing medium having an inhomogeneous composition through the thickness of the pad
    • A61F13/537Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators characterised by the absorbing medium having an inhomogeneous composition through the thickness of the pad characterised by a layer facilitating or inhibiting flow in one direction or plane, e.g. a wicking layer
    • DTEXTILES; PAPER
    • D04BRAIDING; LACE-MAKING; KNITTING; TRIMMINGS; NON-WOVEN FABRICS
    • D04HMAKING TEXTILE FABRICS, e.g. FROM FIBRES OR FILAMENTARY MATERIAL; FABRICS MADE BY SUCH PROCESSES OR APPARATUS, e.g. FELTS, NON-WOVEN FABRICS; COTTON-WOOL; WADDING ; NON-WOVEN FABRICS FROM STAPLE FIBRES, FILAMENTS OR YARNS, BONDED WITH AT LEAST ONE WEB-LIKE MATERIAL DURING THEIR CONSOLIDATION
    • D04H1/00Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres
    • D04H1/40Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties
    • D04H1/42Non-woven fabrics formed wholly or mainly of staple fibres or like relatively short fibres from fleeces or layers composed of fibres without existing or potential cohesive properties characterised by the use of certain kinds of fibres insofar as this use has no preponderant influence on the consolidation of the fleece
    • D04H1/4326Condensation or reaction polymers
    • D04H1/435Polyesters

Abstract

優れた親水性を有するポリエステル繊維であって、親水性に優れたポリエステルを30質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる複合繊維であり、第一成分が少なくとも繊維表面の50%以上を覆い、第一成分/第二成分=5/95〜60/40(質量%)であり、繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間が10秒以内であることを特徴とする。また、水拡散性に優れた不織布であって、不織布を構成する繊維の50質量%以上がポリエステル繊維であり、液広がり性評価において2cm2以上であることを特徴とする。本発明の吸収性物品は、液拡散層として、上記不織布または不織布積層体を有することを特徴とする。

Description

本発明は、耐久性のある高度の親水性を有するポリエステル繊維、および水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品に関する。また、本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収層あるいは液移行層(液拡散層)として用いることができる不織布積層体であり、更に詳しくは、経血、尿等の体液の液移行性が良く、吸収性物品に使用した場合、吸収体への体液の引き込み性、及び吸収された体液の拡散性を向上させ、残存水分率及びリウェット率によって評価できる液移行性において優れた評価を有する不織布積層体に関する。
ポリエステル繊維は、機械的強度、耐薬品性、耐熱性等に優れているため、衣料や詰め綿をはじめ、産業資材や家庭用品、衛生材料、人工皮革等の幅広い分野で用いられている。また、これら各種用途に用いる繊維には、上記特性以外にも様々な特性を備える必要があり、例えば、代表的な衛生材料である、紙オムツ、ナプキンなどの吸収性物品や、ウェットティッシュ、ワイプスなどの生活資材に用いられる繊維には、高い親水性が要求される。
上記吸収性物品や生活資材では、繊維は、不織布の形態で用いられることが多く、不織布原料として用いられる繊維には、レーヨン、コットンなどのセルロース系繊維や、表面を親水処理した合成繊維などが用いられている。このとき用いられる合成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維や、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系繊維などが挙げられ、さらに、鞘に変性ポリエステル、変性ポリプロピレン、ポリエチレンなどを使用した芯鞘複合繊維などをバインダー繊維として用いるものある。
上述のような合成繊維は、加工性、機械特性、ウェット時の嵩特性などが優れる。しかしながら、合成繊維は、綿、麻、羊毛等の天然繊維やレーヨン等の半合成繊維と比べて親水性が劣る。そこで、合成繊維に天然繊維並みの親水性を付与する方法として、従来種々の方法が提案されている。
例えば、ポリエステル繊維を、芳香族ポリエステルセグメントと親水性ポリオキシアルキレンセグメントとからなるポリエーテルポリエステルブロック共重合体の水性分散体で処理する方法(例えば、特公昭45−1317号公報、特公昭47−2512号公報など)が提案されている。また、上記芳香族ポリエステルセグメントにスルホイソフタル酸アルカリ金属塩成分を共重合したポリエーテルポリエステルブロック共重合体で、ポリエステル繊維を処理する方法(例えば、特開昭59−183786号公報、特公昭63−46191号公報)も提案されている。しかしながら、これらの方法により得られるポリエステル繊維は、洗濯などの水流処理を施すと、繊維の親水性が洗濯前と比較して著しく低下するため、得られる製品の親水性が不十分なものとなり易いという問題がある。この親水性低下の問題をカバーするため、成形後の製品に、ポリエステルポリエーテル共重合体の水分散体等の親水性物質を追加付着させる方法が考えられる。しかしながら、製品に親水性物質を追加付着させる方法では、得られる製品の風合が硬くなりやすく、一般に製品の柔軟な風合を損なうという問題がある。
後加工により、ポリエステル繊維に親水性を付与する別の方法としては、親水基を有する重合可能な単量体を繊維表面で重合させて、繊維表面に親水性被膜を形成する方法(例えば、特開昭53−130396号公報)、親水基である酸性基を有するビニル系モノマーを繊維表面にグラフト重合した後、さらに親水性加工剤で処理する方法(例えば、特開平7−90774号公報)、ポリエーテルポリエステルブロック共重合体の水分散体中に水溶性熱反応型ウレタンと酸性アミノ酸又はその誘導体を添加した処理液で、繊維を処理する方法(例えば、特開平6−41872号公報)、ポリアミンとポリエポキシ化合物からなる水溶液で、繊維を処理する方法(例えば、特公昭36−6645号公報、特公昭38−17898号公報、特開昭55−90680号公報など)等が開示されている。また、表面加工により耐久性と親水性能を向上させる方法として、スルホイソフタル酸金属塩成分とポリオキシアルキレングリコール成分とを共重合した特定のポリエステルポリエーテルブロック共重合体を、ポリエステル繊維表面に多量に付与する方法(特開2001−200479号公報)や、多数のエポキシ基を有する脂肪族ポリエポキシ化合物とポリアルキレングリコールの共重合物を、繊維表面に多量に付与する方法(特開2002−317381号公報)が提案されている。
これらの方法では、ポリエステル繊維の親水性の耐久性はある程度改善されているものの、未だ不十分であり、さらなる改善が望まれているのが実情である。
また、ポリエステルを親水化する方法として、特定のスルホイソフタル酸金属塩成分とポリオキシアルキレングリコール成分とを共重合した特定のポリエステルポリエーテルブロック共重合体を、ポリエステル中に混合する方法も提案されている(例えば、特公平5−61365号公報や特開平6−123011号公報など)。しかし、これらの方法により得られる繊維でも、スルホイソフタル酸金属塩成分に含まれる金属イオンがアルカリ金属である場合には、十分な吸水性は得られていない。
したがって未だ、親水性、および耐久親水性に優れた親水性ポリエステル繊維は得られていない。
上述した様に、従来の方法では、ポリエステル繊維への親水性の付与は不十分であり、また耐久親水性に優れたポリエステル繊維は得られていない。また、吸収性や耐久親水性が不十分な繊維で不織布を製造し、これを吸収性物品に用いた場合、例えば、この不織布を吸収性物品の表面材として用いた場合には、吸収性物品内部への液透過性が不十分となり、尿や経血等の体液排泄物の高分子吸収層への液送りが遅くなり、吸収性物品と着用者の肌との接触面において、液残りおよび液広がりが多く発生する。また、かかる場合には、尿や経血等の体液排泄物が、着用者の皮膚表面に残存し、肌との間でベタツキ感や、濡れ感により、着用時の快適性を阻害したり、さらには、かぶれ等を引き起こす原因にもなると考えられる。
本発明は上述のような従来技術の課題を背景になされたもので、本発明の第1の目的は、耐久性に優れた親水性を有するポリエステル繊維を提案することである。
また、本発明の第2の目的は、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いることにより快適性に優れた吸収性物品を提案することである。
本発明の第3の目的は、経血、尿等の体液の吸収体への引き込み性、および吸収された体液の拡散性を向上させ、残存水分率及びリウェット率によって評価される液移行性において優れた評価を有する不織布積層体およびそれを吸収層あるいは液移行層(液拡散層)として用いた吸収性物品を提案することである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。
即ち、本発明の親水性に優れたポリエステル繊維は、親水性に優れたポリエステルを30質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる複合繊維であり、第一成分が少なくとも繊維表面の50%以上を覆い、第一成分/第二成分=5/95〜60/40(質量%)であり、繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間が10秒以内であることを特徴とするものである。
本発明の水拡散性に優れた不織布は、不織布を構成する繊維の50質量%以上がポリエステル繊維であり、液広がり性評価において2cm以上であることを特徴とするものである。また、本発明の不織布積層体は、不織布を構成する繊維の50質量%以上がポリエステル繊維であり、液広がり性評価において2cm以上であることを特徴とするものである。
さらに、本発明の吸収性物品は、少なくとも表面層、液拡散層、およびバックシートからなる吸収性物品であって、前記液拡散層として、上記不織布あるいは不織布積層体を有することを特徴とする。
まず、本発明の繊維について説明する。
本発明の繊維は、親水性に優れたポリエステル(以下、「ポリエステルA」という)を30質量%以上含む第一成分と、第二成分とからなる複合繊維であり、上記第一成分が、少なくとも繊維表面の50%以上を覆い、第二成分に対する第一成分の質量比が、第一成分/第二成分=5/95〜60/40(質量%)である。
本発明の繊維は、第一成分に含まれるポリエステルAが30質量%以上であり、好ましくは50質量%以上である。また、第一成分は少なくとも繊維表面の50%以上を覆い、好ましくは第一成分が繊維表面の75%以上を覆うものであり、さらに、繊維を構成する第一成分と第二成分の質量比が、第一成分/第二成分=5/95〜60/40(質量比)であり、好ましくは30/70〜60/40である。
第一成分に含まれるポリエステルAが30質量%未満であったり、第一成分の繊維表面を覆う面積が50%未満であれば、親水性が十分得られない。また、第二成分に対する第一成分の質量比が5質量%未満では、安定して、第一成分が繊維表面を覆う面積を50%以上とすることが難しく、一方、第二成分に対する第一成分の質量比が60質量%より高くなると、本発明の繊維を紡糸する際に、第一成分の収縮を第二成分で抑えることが困難となり、生産性や得られる繊維の力学特性が低下する場合がある。
なお、本発明の繊維の構造は、繊維表面を覆う第一成分の面積が上記範囲内であれば特に限定はなく、芯鞘型、サイドバイサイド型などいずれの構造であってもよい。
上記親水性に優れたポリエステルとは、当該親水性に優れたポリエステルを使用して繊維を製造した場合に、繊維表面に存在する油剤あるいは親水剤を除去した状態で、水への沈降時間が10秒以下となるようなポリエステル繊維が得られるポリエステルをいう。ここで、上記沈降時間とは、繊維の親水性能の評価規準であり、沈降時間が短いほど、親水性能が高いことを意味する。すなわち、本発明に係る繊維は、繊維製造工程あるいは後加工において付与された油剤や親水剤を除去した状態で親水性を有するものである。
通常、長繊維でも短繊維でも、編工程、織工程、あるいは紡績工程等の後工程を通過させるために油剤を付与する。一般的には、これらの油剤は親水性であることが多く、かかる油剤が付与された繊維の親水性を水への沈降時間で評価すると10秒以下となる。また、染色などの後加工工程では、繊維に親水剤を付与して洗濯などでも性能が落ちない親水加工を施す場合があり、かかる加工が施された繊維の親水性を同様の沈降時間で評価した場合にも10秒以下となる。
しかしながら、このような油剤や親水剤で処理され、親水性が高められた繊維であっても、当該繊維を用いた製品において、親水性能が低下する場合がある。例えば、スパンレース法で不織布を作製した場合や、吸収性物品として使用する際に、尿あるいは経血に対する耐性を高めるため、繊維に後加工で油剤(工程通過性向上を目的とする上記油剤とは異なる)など付与した場合には、繊維の親水性能が低下してしまうことがある。
なお、本発明では、繊維自体が親水性を備えていることを目的としているので、繊維が本来有する親水性の評価が可能な上記水への沈降時間を繊維の親水性の評価基準として採用している。
尚、上記沈降時間とは、以下の手順にしたがって測定される。まず、十分開繊した短繊維1.0gを丸めて直径7cmの玉状にする。次いで、この短繊維の玉を静かに水面に置いた後、短繊維の玉が完全に水面下に沈むまでの時間(秒)を測定し、これを沈降時間とする。なお、沈降時間は、短いほど親水性に優れる繊維といえる。本発明に係る繊維は、上記沈降時間が10秒以下であるのが好ましく、7秒以下がより好ましく、5秒以下がさらに好ましい。
また、繊維表面の油剤を除去した状態とは、繊維表面の親水化を目的とした油剤および/または親水剤を除去した状態をいう。かかる繊維表面の油剤が除去された繊維は、繊維表面をアルカリで処理する方法により得ることができる。具体的には、沸騰させた抽出溶剤(例えば、エタノール/ヘキサン=75/25(体積比))で10分間、繊維から油剤および/または親水剤の抽出を行い、さらに5g/lの苛性ソーダ水溶液にて、90℃で20分処理した後、水洗、乾燥すれば、繊維表面の親水化を目的とした油剤および/または親水剤が除去された繊維を得ることができる。
上記親水性に優れたポリエステルAとは、下記のポリエステル共重合体であるのが好ましい。ここで、上記ポリエステル共重合体とは、二塩基性酸とグリコールの縮重合により合成されるポリエステル樹脂であって、例えば、エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチレンナフタレート、シクロヘキサンジメチルテレフタレートなどの芳香族系ポリエステルを主成分とするものが挙げられる。特に、耐熱性や力学特性が良好で、安価であるという観点から、主たる酸成分としてテレフタル酸を用い、主たるグリコール成分としてエチレングリコールを用いて得られるポリエチレンテレフタレート共重合体(以下PET共重合体という)が好ましい。
上記PET共重合体は、共重合成分として、上記酸成分およびジオール成分とは異なる他のエステル形成性モノマーを含むものであってもよい。他のエステル形成性モノマーとしては、例えば、酸成分として、スルホン酸塩、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、ジオール成分としては、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコールなどが挙げられる。
上記他のエステル形成性モノマーに由来する成分を共重合成分として含むPET共重合体としては、公知のものを使用することができる。例えば、共重合成分として脂肪族ジカルボン酸を含むPET共重合体としては、デュポン株式会社から「バイオマックス(登録商標)」の商品名で入手可能なものが挙げられる。もちろん、本発明で使用可能なPET共重合体は、これに限定されるわけではない。なお、本発明者らの検討によれば、驚くべきことに、ポリエステル共重合体(ポリエステルA)として、デュポン株式会社から入手可能な芳香族‐脂肪族ポリエステル共重合体「バイオマックス(登録商標)」の4044(融点 200℃)、4046(融点 200℃)または4027(融点 237℃)を使用して得られる繊維は、その親水性が顕著に向上することがわかっている。
上記第一成分のポリエステルA以外の素材および第二成分は、特に限定されないが、繊維の機械的特性やコストなどを考慮すると、ポリエステルを用いるのが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明にかかる繊維の力学特性は特には限定されず、用途に応じて最適な力学特性を付与すればよいが、少なくとも実用に供することが可能な強伸度を有するのが好ましい。例えば、強度は2cN/dtex以上、伸度は15%以上であるのが好ましい。
本発明に用いる繊維の繊度は、特には限定されず、各用途に応じて最適な繊度とするのが好ましい。例えば、空冷の溶融紡糸により本発明の繊維を製造する場合であれば、単繊維繊度は、0.1dtex〜30dtex(デシテックス)の範囲が適用できる。
本発明に係る繊維の形態は、特には限定されない。本発明に係る繊維は、長繊維及び短繊維のいずれの形態でも使用できる。本発明に係る繊維を長繊維として使用する場合には、長繊維をそのまま編加工、織加工、染色加工してもよく、また、長繊維に仮撚加工を施した後、編加工、織加工、染色加工することもできる。本発明に係る繊維を短繊維として使用する場合には、短繊維に捲縮を付与して、紡績時の絡合性(カード通過性)を向上させておくのが好ましい。
また、他の繊維と混繊や混紡する場合には、予め適切な繊維形態に調整しておくのが好ましい。例えば、綿を混紡する場合には、紡績前に、短繊維状で、短繊維同士を混繊し紡績して混紡糸としてもよい。また、長繊維と綿紡績糸とを混繊してもよい。さらに、羊毛を混紡する場合にも同様の方法を採用できる。
以下に本発明に係る繊維の製法の一例を例示する。
定法(例えば、溶融紡糸)による複合紡糸を行い、得られた繊維を延伸し、捲縮を付与した後、切断して短繊維とする。繊維への捲縮の付与は、機械捲縮(座屈捲縮)により行うことができる。例えば、量産化が可能な押し込みクリンパーにて行うのが好ましい。
かくして得られた本発明の繊維は、必要に応じて、そのまま編工程、織工程及び染色工程等の後加工に付してもよい。また、紡績工程に付してもよく、その後さらに、編加工、織加工、染色加工などの後加工工程に付せば布帛を得ることができる。なお、本発明の繊維は、公知のPET100%繊維に比べ、耐加水分解性が劣るので、減量加工などの後加工を行う場合には、適正条件を設定する必要がある。
本発明にかかる繊維からなる繊維構造体(織編物、不織布など)は、必要に応じて、後加工工程において各種機能を付与してもよい。たとえば、難燃性、耐光性、防汚性、耐磨耗性、吸湿発熱性等を、後加工工程により付与できる。
本発明の繊維は、本発明の繊維のみを使用するフィラメント糸、このフィラメントと他の糸とを組み合わせた混繊糸、他の繊維や、綿、毛などと混合した混紡糸、不織布等の原料として好適に用いられる。
次に、本発明の不織布について詳細に説明する。
本発明の不織布とは、不織布を構成する繊維の50質量%以上がポリエステル繊維より構成された不織布であって、下記測定法により評価される液広がり性が2cm2以上を示すものである。
親水性の高い綿やレーヨンを原料とする不織布は、合成繊維を原料とする不織布に比べて機械特性が低く、また、嵩が低くなる。特に、ウェット時の嵩低下は、当該不織布を吸収性物品のセカンド層(通常、吸収性物品の表面層と吸収体との間に設けられる液移行層)として用いた場合、吸収性物品の表面層と吸収体との距離が短くなり、ウェットバック(吸収体から表面層への液体の逆行)が大きくなる。
したがって、本発明の不織布では、原料として、綿やレーヨンに比べて嵩特性に優れたポリエステル繊維を用い、さらに、不織布を構成する繊維の50質量%以上をポリエステル繊維とする。ポリエステル繊維は、好ましくは70質量%以上であり、さらには100質量%であることが好ましい。
本発明に係る不織布は、下記方法により測定される液広がり性が2cm2以上である。好ましくは3cm2以上、さらに好ましくは5cm2以上である。液広がり性が2cm2未満では、当該不織布を吸収性物品に用いた場合に、吸収された尿あるいは経血(液体)が十分に拡散されず、吸収体の狭い範囲で尿などが吸収されることになるため、表面層あるいはセカンド層に尿などが残りやすく、また、ウェットバックが大きくなる。
ここで、上記液広がり性とは、不織布表面における液体の拡散度合いを指標するものであり、下記方法により測定、評価される。まず、ビニールシートの上に所定サイズの不織布を置き、不織布の上に重り(2kg、11cm×22cm)をのせて、不織布がビニールシートにフィットするよう形を整えた後、重りを取り除く。次いで、その不織布の上方高さ1cmの位置より、人工尿をビュレットで1滴(5ml駒込みピペットにて0.077±0.01cc)滴下し、1分後に、不織布表面における人工尿のにじみ量面積を測定する。通常、滴下した人工尿は、不織布表面で楕円形あるいは円形に広がる。したがって、この楕円あるいは円が内接するように長方形あるいは正方形を書き、その縦と横の長さを測定し、縦×横(cm)の計算をすることによって、にじみ量面積が求められる。なお、人工尿としては、純水1リットルに対して尿素20g、塩化ナトリウム8g、硫酸マグネシウム0.8g、塩化カルシウム0.3g、食用青色1号0.015%を溶解したものを使用した。
この様な不織布を得るためには、高度な親水性を有するポリエステル繊維を使用する必要がある。かかる繊維としては、上述したポリエステルAを特定量含む第一成分と、第二成分からなる複合繊維である本発明のポリエステル繊維を用いるのが好ましい。
本発明に係る不織布の製造方法は特に限定されない。例えば、スパンボンド法あるいはメルトブロー法など長繊維不織布を製造する方法、短繊維を開繊し、カード方式、エアレイ方式、あるいは抄紙方式などによりシート化(ウェブ化)する方法(短繊維不織布)などが挙げられる。
上記方法により得られた不織布には、保型のための処理を施しても良い。長繊維不織布の場合には、エンボス加工又はニードルパンチ加工などが挙げられる。また、短繊維不織布の保型方法としては、スパンレース法(水流交絡)、ウォーターパンチ法、ニードルパンチ法などにより機械交絡させる方法、熱溶融性のバインダー繊維を混綿し、熱処理(エアースルー法)あるいは熱圧着して繊維同士を接合させる方法、さらには、樹脂により、繊維同士を接合させる方法(ケミカルボンド法)などが例示できる。また、このとき、2枚以上のシート(ウェブ)を2枚以上積層させて保型処理へと付してもよい。これらの方法により得られる不織布の中でも、繊維の耐久性に優れた親水性を活かせるスパンレース不織布、あるいは嵩特性に優れたエアースルー不織布などが好ましい。
また、得られた不織布に、さらに、熱処理を施すことで、親水性を大幅に向上させることができる。特に、抄紙方式により得られた不織布や、スパンレース不織布に熱処理を施すと、顕著に親水性を向上させることが出来る。熱処理条件としては、処理温度は、70℃から170℃であるのが好ましく、より好ましくは100℃から150℃であり、処理時間は処理温度、熱処理装置の効率にもよるが、10秒以上であるのが好ましく、より好ましくは1分以上であり、5分以下であるのが好ましい。
上述のようにして得られた不織布には、必要に応じて各種機能を後加工工程で付与してもよい。たとえば、難燃性、耐光性、防汚性、耐磨耗性、吸湿発熱性等を、後加工工程で付与することができる。
上記本発明の不織布は、単層で各種用途に用いてもよく、また、不織布を二層以上積層した不織布積層体として用いてもよい。尚、二層以上の積層構造とする場合には、当該不織布積層体には、上述の本発明の不織布が一層以上含まれる。ここで、二層以上の不織布を積層した本発明の不織布積層体について詳細に説明する。
まず、本発明の不織布積層体は、少なくとも第一不織布層と第二不織布層の二層の不織布が積層されてなるものである。
ここで上記第一、第二不織布層として用いられる不織布について説明する。本発明の不織布積層体に用いられる不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のどちらであってもよい。長繊維不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布などが挙げられる。短繊維不織布としては、エアースルー不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布などが挙げられる。もちろん、不織布積層体が二層以上の不織布からなる場合も、不織布の種類は特に限定されず、長繊維不織布、短繊維不織布のいずれも使用できる。
ここで、本発明に係る不織布積層体が、二層の不織布が積層されてなる場合について、さらに詳しく説明する。なお、本発明の不織布積層体は、特に吸収性物品(後述する)に好適に用いられるので、吸収性物品に使用する場合を適宜参照しながら説明する。
まず、第一不織布層とは、本発明に係る不織布積層体を吸収性物品に用いる場合に、着用者の肌と接触する側の不織布層を称する。当該第一不織布層としては、エアースルー不織布あるいはスパンレース不織布を用いるのが好ましい。このとき不織布の製造に用いられる繊維としては、鞘/芯がポリエチレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリプロピレン、変性ポリプロピレン/ポリプロピレンなどで構成される鞘成分がオレフィン系樹脂である芯鞘型複合繊維の表面に親水加工したものや、ポリエステル繊維に親水加工したもの、あるいはレーヨン、コットンなどのセルロース繊維が好ましい。
第二不織布層とは、本発明に係る不織布積層体を吸収性物品に用いる場合に、着用者の肌とは直接接触しない側の不織布層を称する。この第二不織布層には、嵩が得やすいエアースルー不織布あるいは密度を高くできるスパンレース不織布を用いるのが好ましく、スパンレース不織布がより好ましい。
この第二不織布層として用いる不織布は、さらに嵩を得やすくするために、ポリエステル繊維を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有させるのが好ましい。ここで上記ポリエステル繊維とは、ポリエステル100%からなる繊維を意味し、例えば、鞘/芯が、オレフィン/ポリエステル等の芯鞘複合繊維等は含まない。かかるポリエステル繊維としては、上述した本発明のポリエステル繊維、すなわち、上記ポリエステルAを30質量%以上含む第一成分と、第二成分とからなり、上記第一成分が、少なくとも繊維表面の50%以上を覆い、第二成分に対する第一成分の質量比が、第一成分/第二成分=5/95〜60/40(質量%)である複合繊維を用いるのが好ましい。
ここで、本発明のポリエステル繊維を上記第二不織布層に用いる場合、当該ポリエステル繊維の繊度は0.5〜11dtex(デシテックス)であるのが好ましく、より好ましくは1.1〜6.0dtexであり、更に好ましくは1.5〜4.0dtexである。
上記ポリエステル繊維以外の繊維は特に限定されないが、不織布を構成する繊維同士を接着させるためには、上記ポリエステル繊維以外の繊維として、ポリエチレン/ポリエステル(鞘/芯)、ポリエチレン/ポリプロピレン、変性ポリプロピレン/ポリプロピレンあるいは変性ポリエステル/ポリエステルなどの複合繊維を用いるのが好ましい。
なお、第二不織布層として最も好ましいものは、上述した本発明の不織布である。
以上の通り、第一不織布層と第二不織布層について説明したが、本発明の不織布積層体は上記構造に限定されるものではなく、三層以上の積層構造を有するものであってもよい。この場合、第三あるいは第四の不織布層の位置は、上記第一不織布層と、第二不織布層の間であってもよく、また、第一不織布層、第二不織布層に続けて第三、第四の不織布層を設けてもよい(すなわち、吸収性物品に用いた場合、着用者の肌から遠い側)。なお、いずれの場合も、不織布積層体が、後述する残存水分率、リウェット率を損なわないようにするのが好ましい。
これらの不織布の積層方法としては、単に重ね合わせて、吸収性物品を作製する際にヒートシールさせる方法や、バインダーにより不織布同士を接着させる方法などがある。また、各不織布に含有されているバインダー繊維により不織布間を接着させることも可能である。
こうして得られる本発明の不織布積層体の液移行性は、以下に示す残存水分率およびリウェット率によって評価できる。これらの値は小さい程、液移行性に優れるものといえる。
[人工尿による残存水分率およびリウェット率]
人工尿としては、純水1リットルに対して、尿素20g、塩化ナトリウム8g、硫酸マグネシウム0.8g、塩化カルシウム0.3gを溶解したものを使用する。予め市販のおむつを分解し、表層部を取り除いて、吸収体(吸収体S2とする)のみとする。
予め重量を測定した不織布試料を(測定値:A)、吸収体S2の上に重ね、分液ロートから人工尿80cc(測定値:B)を不織布試料の中央に滴下する(滴下速度:80cc/9sec、分液ロート先端部と不織布試料間の距離:1cm)。
3分間放置した後、不織布試料上の人口尿の液の広がりを測定する。次いで、人工尿滴下後の不織布試料のみの重量を測定する(測定値:C)。人工尿の滴下終了後、5分後に、予め重量を測定したろ紙20枚を(測定値:D)、不織布試料上に重ねて、34.3Nの荷重をかける。荷重をかけてから3分後に、ろ紙のみの重量を測定する(測定値:E)。
各評価項目は、上記測定値を基に下記計算式により算出する。
残存水分率(%) =(C−A)/B×100
リウェット率(%)=(E−D)/B×100
本発明の液移行性に優れた不織布積層体とは、上記残存水分率が1%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5%以下、リウェット率が2%以下であるのが好ましく、より好ましくは1.5%以下である。不織布積層体の残存水分率が1%より高くなったり、リウェット率が2%より高くなると、かかる特性を有する不織布積層体を用いた吸収性物品は、使用時の快適性が得られ難くなったり、長期間使用すると、着用者にかぶれの問題などが生じる場合がある。
これまで説明した本発明の不織布積層体は、吸収性物品に好適に用いられる。ここで、吸収性物品としては、オムツ、尿とりパット、ナプキン、パンティライナーなどが挙げられる。
通常、吸収性物品は、表面層,セカンド層(液移行層),吸収体,バックシートから成り立っている。なお、吸収性物品の中には、セカンド層、あるいは、吸収体を有さないもの、また、上記構成に加えて、ティッシュなどのその他の材料が、各層間に用いられているものもある。
上記吸収性物品を構成する各層には、それぞれ役割があり、一般的に、表面層は、液体(尿、経血など)をすばやく吸収する役割、セカンド層(液移行層)は、液体を速やかに吸収体へ移行させる役割、吸収体は、表面層,セカンド層を通過してきた液体を保持する役割、そして、バックシートは、液体が外部へ漏れるのを防ぐ役割、を担っている。
この吸収性物品で重要なことは、表面層に残存する液体量を少なくし、さらに、肌側への液体の戻り(ウェットバック)を少なくし、使用者の快適性を向上させることである。このためには、可能な限り吸収体を有効に活用する必要があり、特に、液移行層であるセカンド層で、十分に液体を拡散させることが肝要である。この結果、広い面積で液体が吸収体に吸収、保持されることとなり、また、各層間における残存液量を低減することができる。
このような表面層に残存する液体量、ウェットバック量が共に低減された吸収性物品を実現するためには、本発明の不織布積層体を吸収性物品のセカンド層(液拡散層)として用いるのが好ましい。特に、吸収性物品に高分子吸収体が用いられている場合には、この吸収体の上、すなわちセカンド層として、本発明の不織布積層体を用いるのが好ましい。
本発明の不織布積層体を、吸収性物品のセカンド層(液拡散層)に用いる場合、不織布積層体の第一不織布層が着用者の肌側となるようにするのが好ましい。また、吸収体を有さない場合も同様に、第一不織布層が着用者の肌側となるように用いるのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、各種測定は以下に記載の方法で行った。
実験例1 繊維の製造及び評価
[沈降時間]
十分開繊した短繊維1.0gを丸め、直径7cmの玉状にする。この短繊維の玉を、静かに水面に置いた後、短繊維の玉が完全に水面下に沈むまでの時間(秒)を測定する。
なお、沈降時間の測定に用いた短繊維としては、下記手順により、繊維表面の油剤および/または親水剤を除去したものを用いた。短繊維8gに対して、90mlの抽出溶剤(エタノール/ヘキサン=75/25体積比)を使用して、10分間ボイル抽出を行い、さらに90℃の5g/lの苛性ソーダ水溶液100mlで20分処理した後、水洗、乾燥する。
[強伸度]
短繊維の強伸度は、JIS L1015 8.7.1(1999)に従って測定した。
長繊維の強伸度は、JIS L1013 8.5.1(1999)に従って測定した。
<実施例1−1>
ポリエステルAとしてデュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点 200℃)を使用し、当該ポリエステルAとポリエチレンテレフタレートとを70対30の質量比で混合したものを鞘成分とした。芯成分として、下記比較例1−1で製造したポリエチレンテレフタレートを用いた。芯成分と、鞘成分とを、それぞれを乾燥し、常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、芯/鞘=50/50、1000m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維に、スタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットして、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度3.5cN/dtex、伸度70%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態で測定した沈降時間の結果を表1に示す。
<実施例1−2>
ポリエステルAとしてデュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点 200℃)を用い、これを鞘成分とし、下記比較例1−1で製造したポリエチレンテレフタレートを芯成分として、それぞれを乾燥した後、常法により、紡糸温度265℃、単孔吐出量2g/分、芯/鞘=50/50、1000m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維に、スタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットして、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度3.3cN/dtex、伸度75%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態で測定した沈降時間の結果を表1に示す。
<実施例1−3>
ポリエステルAとしてデュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点 200℃)を用い、これを鞘成分とし、下記比較例1−1で製造したポリエチレンテレフタレートを芯成分として、それぞれを乾燥した後、常法により、紡糸温度265℃、単孔吐出量2g/分、芯/鞘=60/40、1000m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを、温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度3.8cN/dtex、伸度65%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態で測定した沈降時間の結果を表1に示す。
<比較例1−1>
反応容器に、テレフタル酸ジメチル、エチレングリコールと少量の触媒を仕込み、常法によりエステル交換した後、重合反応を行って、ポリエチレンテレフタレートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートは、融点が256℃であった。このポリエチレンテレフタレートを、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度4.3cN/dtex、伸度60%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態で測定した沈降時間の結果を表1に示す。
<比較例1−2>
比較例1で得たポリエステルに、分子量20000のポリエチレングリコールを2質量%練り込み、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度4.0cN/dtex、伸度65%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態で測定した沈降時間の結果を表1に示す。
<比較例1−3>
比較例1で得られた繊維に、スタッフィングボックスで捲縮を付与した。その後、親水加工剤SR1000(高松油脂製)を2%owf(on weight of fiber)となるように、スプレーにて付与した後、100℃で30分乾燥し、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度4.3cN/dtex、伸度60%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態で測定した沈降時間の結果を表1に示す。
Figure 2007029792
実施例1−1〜1−3、比較例1−1〜1−3の結果より明らかなように、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、更に他のエステル形成性モノマーを含むことを特徴とするポリエチレンテレフタレート(PET)共重合体からなる本発明の繊維は、親水性に優れたポリエステル繊維であることが判る。
実験例2 不織布の製造及び評価
[液広がり性]
20℃、65%RHに温湿度管理された恒温室で、ビニールシートの上に不織布を置き、不織布の上に重り(2kg、11cm×22cm)をのせて、シートにフィットするよう形を整えた後、重りを取り除いた。次いで、その不織布の上方高さ1cmの位置より、人工尿をビュレットで1滴(5ml駒込みピペットにて0.077±0.01cc)滴下させ、1分後の不織布表面におけるにじみ量面積を測定した。なお、滴下した人工尿は楕円形あるいは円形に広がるので、この楕円あるいは円が内接するような長方形あるいは正方形を書き、その縦と横の長さを測定し、縦×横(cm2)を計算することにより、にじみ量面積を算出した。人工尿は、純水1リットルに対して尿素20g、塩化ナトリウム8g、硫酸マグネシウム0.8g、塩化カルシウム0.3g、食用青色1号0.015%を溶解したものを使用した。
[バイレック法による吸上げ長さ]
評価サンプルは、下記実施例及び比較例で製造した不織布を15cm×2.5cmにカットして用いた。なお、評価サンプルは、不織布作成時に不織布が進む方向に15cmとったサンプルをMDサンプル、不織布が進む方向に対し垂直に15cmとったサンプルをCDサンプルとした。
このサンプルをJIS L1907 に準拠して吸水度試験機に垂直に吊るし、試験溶液(日本化薬社製RED RS125を0.1g/lで純水に溶解した溶液)に、サンプルの下端から5mmの位置まで静かに浸漬させた。10分経過後、水面から最も液が吸いあがった箇所の長さ(mm)を測定した。サンプル数n=5の平均値を取った。なお、当該測定により、下記実施例及び比較例で得られた不織布の吸水性が評価でき、測定値が大きいほど、吸水性に優れるものであるといえる。
<実施例2−1>
親水性の高いポリエステル樹脂としては、デュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点200℃)と「バイオマックス(登録商標)4027」(融点237℃)を70対30の質量比で混合したものを用い、これを鞘成分とし、比較例2−1で製造したポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、鞘成分、芯成分それぞれを乾燥した後、常法により、紡糸温度280℃にて、単孔吐出量0.4g/分、芯/鞘=65/35、1300m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.0倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、100℃で乾燥した後、44mmにカットして、短繊維を得た。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間は4.8秒であった。
この繊維を、カード機によりウェッブを作成し、4.9MPaの圧力にて、片面1回づつ、両面で計2回ウォーターパンチを5m/minの速度で施し、自然乾燥して、スパンレース不織布を得た。不織布の目付けは30g/cm2であった。
<実施例2−2>
親水性の高いポリエステル樹脂としては、デュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点200℃)と「バイオマックス(登録商標)4027」(融点237℃)を70対30の質量比で混合したものを用い、これを鞘成分とし、芯成分として、比較例2−1で製造したポリエチレンテレフタレートを使用して、鞘成分、芯成分それぞれを乾燥した後、常法により、紡糸温度280℃にて、単孔吐出量0.4g/分、芯/鞘=65/35、1300m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.0倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与した後、70℃で乾燥後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間は4.8秒であった。
この繊維を、カード機によりウェッブを作成し、4.9MPaの圧力にて、片面1回づつ、両面で計2回ウォーターパンチを5m/minの速度で施し、自然乾燥した後120℃で2分熱処理してスパンレース不織布を得た。不織布の目付けは30g/cm2であった。
<実施例2−3>
親水性の高いポリエステル樹脂としては、デュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点200℃)と「バイオマックス(登録商標)4027」(融点237℃)を70対30の質量比で混合したものを用い、これを鞘成分とし、下記比較例2−1で製造したポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、鞘、芯成分それぞれを乾燥した後、常法により、紡糸温度280℃にて、単孔吐出量0.55g/分、芯/鞘=65/35、1300m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.2倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、自然乾燥後44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間は4.8秒であった。この繊維をカード機によりウェッブを作成し、4.9MPaの圧力にて、片面1回づつ、両面で計2回ウォーターパンチを5m/minの速度で施し、自然乾燥した後、120℃で2分熱処理してスパンレース不織布を得た。不織布の目付けは30g/cm2であった。
<比較例2−1>
テレフタル酸ジメチル、エチレングリコールと少量の触媒を反応容器に仕込み、常法によりエステル交換した後、重合反応を行ってポリエチレンテレフタレートを得た。融点は256℃であった。得られたポリエチレンテレフタレートを、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、親水加工剤「FR627」(互応化学工業製)を0.32wt%となるよう付与し、100℃30分乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は1.8デシテックス、強度4.3cN/dtex、伸度60%であった。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間は1分以上であった。
この繊維をカード機によりウェッブを作成し、4.9MPaの圧力にて、片面1回づつ、両面で計2回ウォーターパンチを5m/minの速度で施してスパンレース不織布を得た。不織布の目付けは30g/cm2であった。
<比較例2−2>
比較例2−1で得たポリエステルに、分子量20000のポリエチレングリコールを2質量%練り込み、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、1000m/分にて紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.5倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに常法によりスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維の繊維表面の油剤を除去した状態での沈降時間は1分以上であった。
この繊維をカード機によりウェッブを作成し、4.9MPaの圧力にて、片面1回づつ、両面で計2回ウォーターパンチを5m/minの速度で施してスパンレース不織布を得た。不織布の目付けは30g/cm2であった。
得られた不織布の諸特性の評価結果を表2に示す。
Figure 2007029792
実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−2により明らかなように、本発明の不織布は、水拡散性および吸水性に優れている。したがって、本発明の不織布を吸収性物品に用いれば、ウェットバックを小さくできることが判る。
実験例3 不織布積層体の製造及び評価
[人工尿による残存水分率およびリウェット率の評価方法]
人工尿としては、純水1リットルに対して、尿素20g、塩化ナトリウム8g、硫酸マグネシウム0.8g、塩化カルシウム0.3gを溶解したものを使用した。
予め市販のおむつを分解し、表層部を取り除いて、吸収体(吸収体S2とする)のみとした。
予め、重量を測定した(測定値:A)不織布試料(長さ:20cm、幅:15cm)を、吸収体S2の上に重ね、分液ロートから人工尿80cc(測定値:B)を、不織布試料中央に滴下した(滴下速度:80cc/9sec、分液ロート先端部と不織布試料の距離:1cm)。
3分間放置した後、不織布試料上の人口尿の液の広がりを、上記液広がり性におけるにじみ量面積の場合と同様の方法で測定、算出した。次いで、人工尿滴下後の不織布試料のみの重量を測定し(測定値:C)、人工尿の滴下終了時から5分後に、予め重量を測定したろ紙20枚を(測定値:D)、上記不織布試料上に重ねて、34.3Nの荷重をかけた。荷重をかけてから3分後に、ろ紙のみの重量を測定した(測定値:E)。
各評価項目は、上記測定値を基に下記計算式により算出した。
残存水分率(%) =(C−A)/B×100
リウェット率(%)=(E−D)/B×100
<複合繊維の製造例1>
親水性の高いポリエステルとして、デュポン株式会社製「バイオマックス(登録商標)4046」(融点 200℃)を使用し、ポリエチレンテレフタレートと70対30の質量比で混合したものを鞘成分とし、融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、鞘成分、芯成分それぞれを乾燥し、常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、芯/鞘=50/50(重量比)、1000m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.0倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフィングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は2.2デシテックス、強度3.0cN/dtex、伸度80%であった(以下、複合短繊維1という)。
<複合繊維の製造例2>
融点が130℃のポリエチレンを鞘成分、融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、常法により鞘成分を260℃、芯成分を295℃で複合紡糸口金パックに導入し、単孔吐出量2g/分、芯/鞘=60/40(質量比)、1500m/分の速度で複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これに初期親水油剤を付与し、温度70℃、延伸倍率2.8倍、延伸速度120m/分で延伸した。加熱した押し込み式クリンパーで、繊維に捲縮を付与した後、温度100℃の熱風で5分間処理し、冷却した後、切断し、繊度2.2デシテックス、長さ44mmの熱接着性複合短繊維を得た(以下、複合短繊維2という。なお、複合短繊維2は、東洋紡績株式会社から「S2.2T 44−ARS」の商品名で入手可能である)。
<複合繊維の製造例3>
初期親水油剤の代わりに耐久親水油剤を付与したこと以外は、複合短繊維2と同様の方法で熱接着性複合短繊維を得た(以下、複合短繊維3という。なお、複合短繊維3は、東洋紡績株式会社から「S2.2T 44−FMK」の商品名で入手可能である)。
<不織布の製造>
実施例および比較例で使用したエアースルー不織布およびスパンレース不織布は以下の方法で作成した。
<エアースルー不織布>
上記複合短繊維1および/または複合短繊維2を用い、これらの複合短繊維1および/または2を下記実施例および比較例に記載の割合で混合して、カード機に通して不織布ウエブを作成した後、熱風循環型の熱処理機にて、温度140℃で10秒間熱処理して、目付20または25g/m2のエアースルー不織布を作成した。
<スパンレース不織布>
複合短繊維3を用い、この複合短繊維3をカード機に通して不織布ウエブを作成した後、4.9MPaの圧力にて片面3回づつ、両面で計6回ウォーターパンチを5m/minの速度で施して、目付25g/m2のスパンレース不織布を作成した。
<実施例3−1>
第一不織布層として、複合短繊維2のみを使用して目付20g/m2の上記エアースルー不織布を作製し、第二不織布層として、複合短繊維1/複合短繊維2=50/50(質量比)の混合綿を使用して目付25g/m2のエアースルー不織布を作製した。得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。この不織布積層体の人工尿による残存水分率およびリウェット率の評価結果を表3に示す。
<実施例3−2>
第一不織布層として複合短繊維2のみを使用して目付20g/m2のエアースルー不織布を製造し、第二不織布層として、複合短繊維1/複合短繊維2=70/30(質量比)の混合綿を使用して目付25g/m2のエアースルー不織布を製造した。次いで、得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。この不織布積層体の人工尿による残存水分率およびリウェット率評価結果を表3に示す。
<実施例3−3>
第一不織布層として複合短繊維2のみを使用して目付20g/m2のエアースルー不織布を製造し、第二不織布層として、複合短繊維1/複合短繊維2=50/50(質量比)の混合綿を使用して目付25g/m2のスパンレース不織布を製造した。次いで、得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。この不織布積層体の人工尿による残存水分率およびリウェット率評価結果を表3に示す。
<比較例3−1>
第一不織布層として複合短繊維2のみを使用し、目付20g/m2のエアースルー不織布を製造し、第二不織布層として複合短繊維3のみを使用し、目付25g/m2のエアースルー不織布を製造した。次いで、得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。この不織布積層体の人工尿による残存水分率およびリウェット率評価結果を表3に示す。
<比較例3−2>
第一不織布層として複合短繊維2のみを使用して、目付20g/m2のエアースルー不織布を製造し、第二不織布層として複合短繊維3のみを使用して、目付25g/m2のスパンレース不織布を製造した。次いで、得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。この不織布積層体の人工尿による残存水分率およびリウェット率評価結果を表3に示す。
Figure 2007029792
実施例3−1〜3−3、比較例3−1〜3−2に示すように、本発明の不織布積層体は、高度の親水性を持つポリエステル繊維を用いているため、不織布積層体の人工尿による残存水分率やリウェット率評価で優れた結果が得られている。したがって、本発明の不織布積層体を使用すれば、吸収体への体液引き込み性や吸収された体液の拡散性が向上された、液移行性に優れた吸収性物品が得られるものと考えられる。
本発明のポリエステル繊維は、耐久性に優れた高度の親水性を有するにとどまらず、吸湿性も良好なポリエステル繊維である。また、必要に応じ、不織布としても、吸湿親水性を生かした各種用途の製品を安価に提供できるものである。
本発明の不織布は、水拡散性に優れた高度の親水性を有するにとどまらず、耐久性に優れている。したがって、本発明の不織布は、スパンレースなどによる処理の後も高い親水性を維持できる。また、本発明の不織布を、オムツ、ナプキンなどのセカンド層に使用した場合、液体の拡散性が高いため、尿や経血を該不織布層で拡散させることができ、さらに下層にある高分子吸収層に効率良く吸収させることができ、トップ層の残存液を低減でき、快適性に優れた吸収性物品を提供できる。
また、本発明の不織布積層体は、残存水分率及びリウェット率によって評価される液移行性において優れた評価を有するにとどまらず、耐久性に優れており、スパンレースなどによる処理の後においても、非常に高い親水性が維持できる。したがって、本発明の不織布積層体を、吸収性物品に使用することにより、吸収性物品内に、親水性の勾配を形成することができ、吸収体表面材の下層にある高分子吸収層へ効率良く吸収させることができる。これにより、肌と肌に接触する表面材との間で懸念されるベタツキ感、濡れ感、かぶれ等が良好であり、装着した際の快適性に優れた吸収性物品を提供することができる。

Claims (11)

  1. 親水性に優れたポリエステルを30質量%以上含む第一成分と、第二成分からなる複合繊維であり、
    上記第一成分が少なくとも複合繊維表面の50%以上を覆い、
    第一成分/第二成分=5/95〜60/40(質量%)であり、
    上記複合繊維表面の油剤を除去した状態での水への沈降時間が10秒以内であることを特徴とする親水性に優れたポリエステル繊維。
  2. 前記親水性に優れたポリエステルが、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、さらにテレフタル酸、エチレングリコールとは異なる他のエステル形成性モノマーを含むポリエチレンテレフタレート(PET)共重合体である請求項1に記載の親水性に優れたポリエステル繊維。
  3. 前記エステル形成性モノマーとして脂肪族ジカルボン酸を含む請求項1または2に記載の親水性に優れたポリエステル繊維。
  4. 前記複合繊維の第二成分がポリエチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれかに記載の水拡散性に優れたポリエステル繊維。
  5. 不織布を構成する繊維の50質量%以上がポリエステル繊維であり、
    液広がり性評価が2cm以上であることを特徴とする水拡散性に優れた不織布。
  6. 前記ポリエステル繊維が、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル繊維である請求項5に記載の水拡散性に優れた不織布。
  7. 少なくとも第一不織布層と第二不織布層の二層の不織布層が積層されており、
    前記第二不織布層が、0.5〜11デシテックスのポリエステル繊維を50質量%以上含有し、
    液移行性評価において、残存水分率が1%以下、リウェット率が2%以下であることを特徴とする液移行性に優れた不織布積層体。
  8. 前記第二不織布層のポリエステル繊維が、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル繊維である請求項7に記載の液移行性に優れた不織布積層体。
  9. 前記第二不織布層が請求項5に記載の不織布である請求項7に記載の液移行性に優れた不織布積層体。
  10. 少なくとも表面層、液拡散層、バックシートからなる吸収性物品であって、
    前記液拡散層が、請求項5または6に記載の不織布であることを特徴とする吸収性物品。
  11. 少なくとも表面層、液拡散層、バックシートを有する吸収性物品であって、
    前記液拡散層が、請求項7〜9のいずれかに記載の不織布積層体であることを特徴とする吸収性物品。
JP2007534475A 2005-09-08 2006-09-07 親水性に優れたポリエステル繊維、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品、液移行性に優れた不織布積層体およびそれを用いた吸収性物品 Withdrawn JPWO2007029792A1 (ja)

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005260757 2005-09-08
JP2005260759 2005-09-08
JP2005260758 2005-09-08
JP2005260758 2005-09-08
JP2005260757 2005-09-08
JP2005260759 2005-09-08
JP2006193877 2006-07-14
JP2006193877 2006-07-14
PCT/JP2006/317791 WO2007029792A1 (ja) 2005-09-08 2006-09-07 親水性に優れたポリエステル繊維、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品、液移行性に優れた不織布積層体およびそれを用いた吸収性物品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2007029792A1 true JPWO2007029792A1 (ja) 2009-03-19

Family

ID=37835907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007534475A Withdrawn JPWO2007029792A1 (ja) 2005-09-08 2006-09-07 親水性に優れたポリエステル繊維、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品、液移行性に優れた不織布積層体およびそれを用いた吸収性物品

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2007029792A1 (ja)
TW (1) TW200722565A (ja)
WO (1) WO2007029792A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI509122B (zh) * 2008-12-25 2015-11-21 Kao Corp Nonwoven and its manufacturing method
JP6211379B2 (ja) * 2013-10-16 2017-10-11 Tmtマシナリー株式会社 紡糸巻取機
JP5809341B1 (ja) * 2014-09-29 2015-11-10 花王株式会社 積層不織布及びその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5234720A (en) * 1990-01-18 1993-08-10 Eastman Kodak Company Process of preparing lubricant-impregnated fibers
JP2769034B2 (ja) * 1990-09-21 1998-06-25 株式会社クラレ 親水性ポリエステル繊維
ATE277208T1 (de) * 1997-05-02 2004-10-15 Cargill Inc Abbaubare polymerfasern: herstellung, produkte und verwendungsverfahren
JP2004532939A (ja) * 2001-03-15 2004-10-28 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 大きなデニールの分割可能な繊維から作られた伸長可能な繊維及び不織布

Also Published As

Publication number Publication date
WO2007029792A1 (ja) 2007-03-15
TW200722565A (en) 2007-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101061028B1 (ko) 고분자 혼성체 섬유, 섬유구조체, 고분자 혼성체 펠릿 및 그들의 제조방법
KR20150042786A (ko) 부직포, 흡수성 물품용 시트, 및 이를 사용한 흡수성 물품
WO2000029657A1 (en) Bicomponent nonwoven webs containing splittable thermoplastic filaments and a third component
WO1993012275A1 (en) Cellulosic fibres
KR20070045220A (ko) 아토피성 피부염 환자용 천 및 의류
EP3184681B1 (en) A water absorption sheet for sanitary napkins comprising a non-woven fabric for sanitary materials
CN110637117B (zh) 无纺布
JP2000160428A (ja) ポリエチレン系繊維およびこれを用いた不織布
TWI762608B (zh) 非織纖維素纖維織物、用於製造彼之方法及裝置、使用彼之方法、及包含彼之產品或複合物
RU2611944C2 (ru) Единая поглощающая текучую среду система для впитывающих продуктов и способы ее изготовления
EP3424475A1 (en) Absorbent body and sanitary article
JPH09310259A (ja) 極細繊維不織布
JP5127690B2 (ja) 繊維及び不織布
JPWO2007029792A1 (ja) 親水性に優れたポリエステル繊維、水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品、液移行性に優れた不織布積層体およびそれを用いた吸収性物品
JP4587410B2 (ja) 複合化不織布、その製造方法及び前記不織布を用いた吸収性物品ならびにワイピングクロス
JP2005139594A (ja) 不織布およびその製造方法
JP7298064B2 (ja) 吸収性物品用シート
JP4433567B2 (ja) 潜在捲縮性複合繊維及びそれを用いた不織布
JP2909164B2 (ja) 吸水性能の優れた複合繊維および不織布
JP4438181B2 (ja) 潜在捲縮性複合繊維及びそれを用いた不織布
JP7245963B2 (ja) 吸収性物品用不織布、吸収性物品用表面シート、及びそれを含む吸収性物品
JP4174995B2 (ja) 耐久親水性複合繊維及びそれを用いた繊維成形体
JP4028958B2 (ja) 耐久親水性繊維およびこれを用いた不織布
JP4225674B2 (ja) 吸収性物品
JP2006057200A (ja) 吸収性物品

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20091110