JP4380189B2 - 絶縁膜用材料及びその製造方法並びに絶縁膜 - Google Patents

絶縁膜用材料及びその製造方法並びに絶縁膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜用材料及びその製造方法並びに絶縁膜に関する。さらに詳しくは、本発明は、電気特性、熱特性、機械特性などに優れ、かつ低誘電率化が可能であって、半導体の層間絶縁膜や表面保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜などに好適に用いられる絶縁膜用材料及びその製造方法並びに絶縁膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体用材料には、必要とされる特性に応じて、無機材料、有機材料などが、様々な部分で用いられている。例えば、半導体用の層間絶縁膜としては、化学気相法で作製した二酸化ケイ素等の無機酸化物膜が使用されている。しかしながら、近年の半導体の高速化、高性能化に伴い、上記のような無機酸化物膜では、比誘電率が高いことが問題となっている。この改良手段の一つとして、有機材料の適用が検討されている。
【0003】
半導体用途の有機材料としては、耐熱性、電気特性、機械特性などに優れたポリイミド樹脂が挙げられ、ソルダーレジスト、カバーレイ、液晶配向膜などに用いられている。しかしながら、一般にポリイミド樹脂はイミド環にカルボニル基を2個有していることから、吸水性、電気特性に問題がある。これらの問題に対して、フッ素あるいはフッ素含有基を有機高分子内に導入することにより、吸水性、電気特性を改良することが試みられており、実用化されているものもある。また、ポリイミド樹脂に比べて、耐熱性、吸水性、電気特性に関して、より優れた性能を示すポリベンゾオキサゾール樹脂があり、様々な分野への適用が試みられている。例えば、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸からなる構造を有するもの、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンとテレフタル酸からなる構造を有するポリベンゾオキサゾール樹脂等がある。
【0004】
しかしながら、さらに厳しい耐熱性、電気特性、吸水性等の向上を要求されている先端分野では、このような要求全てを満足する材料は、未だ得られていないのが現状である。つまり、優れた耐熱性を示すが、誘電率等の電気特性は十分ではなく、また、フッ素導入により電気特性は向上するものの、耐熱性の低下を招くといった不具合が発生している。特に、半導体用層間絶縁膜として有機材料を適用する場合、無機材料に匹敵する耐熱性、機械特性、吸水性が要求され、その上で更なる低誘電率化が求められている。
【0005】
このような高性能化の要求に対して、無機材料である無機酸化物膜の膜中に微細孔を開けることにより、低密度化を図り、比誘電率を低減させる方法が検討されている。空気の比誘電率は1であり、膜中に空気を導入して比誘電率を下げることは、米国特許第3,883,452号明細書に記載されている約20μmの平均孔径を有する発泡重合体を生成させる方法から類推される。しかしながら、空気を膜中に導入することによって、効果的な絶縁体にするためには、膜厚がサブマイクロメーターオーダーで、平均化された比誘電率を有する必要があり、そして膜自体の機械特性も各工程に耐え得るものでなければならい。このような問題を克服する無機材料が、未だ得られていないのが現状である。
【0006】
一方、有機材料においては、サブマイクロメーターオーダーの微細孔を得る技術については、ブロックコポリマーを加熱処理して、サブマイクロメーターオーダーの微細孔を有する樹脂を生成させる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。ブロックコポリマーがサブマイクロメーターオーダーで相分離することは、公知のことであり(例えば、非特許文献2参照。)、天井温度の低いポリマー類が容易に分解することも、高分子化学の分野では、一般に良く知られていることである。しかしながら、比誘電率のみならず、機械特性、電気特性、耐吸水性、耐熱性を満足させながら、微細孔を有する樹脂組成物を得るためには、樹脂、ブロック化技術、熱分解性成分などの組合わせの選択が、非常に限定され、すべての特性を満足できるものは得られていないのが実状である。さらに微細孔のサイズも重要な特性の1つであり、絶縁膜の膜厚が薄くなればなるほど、それだけ微細孔のサイズも小さくすることが求められている。
また、機械特性の一つである弾性率を向上させるためには樹脂に剛直構造を導入することが有効な手段であるが、その半面、有機溶媒に対する溶解性が低下するという問題が生じてくる。
【0007】
また、ブロック化する技術以外の方法としては、グラフト化による方法も考えられ、ポリベンゾオキサゾール前駆体に有機化合物をグラフトさせた化合物を合成し、当該化合物を用いてポリベンゾオキサゾールの閉環挙動についての研究はなされているが(例えば、非特許文献2参照。)、ポリベンゾオキサゾール前駆体と反応性オリゴマーとの相分離構造を変化させるに至っていない。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第5,776,990号明細書
【非特許文献1】
T.Hashimoto, M.Shibayama, M.Fujimura and H.Kawai,"Microphase Separation and the Polymer-polymer Interphase in Block Polymers" in "Block Copolymers-Science and Technology",p.63, Ed. By D.J.Meier(Academic Pub., 1983)
【非特許文献1】
Tae-Kyun Kim et al, "Thermal conversion of t-butyloxycarbonyloxy a attached polyamides to polybenzoxazoles", Polymer Bulletin, 2000, 44, p55-62
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、電気特性、熱特性、機械特性などに優れ、かつ低誘電率化を可能とするとともに、孔のサイズが従来技術より、微細(10nm以下)な絶縁膜を形成することができる絶縁膜用材料とその製造方法並びにそれら絶縁膜用材料により得られる絶縁膜を提供することを目的としてなされたものである。
また、弾性率が高く、有機溶媒に対する溶解性に優れる絶縁膜用材料も合わせて提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造中の末端部に位置するカルボキシル基又はアミノ基と反応性オリゴマーを反応させて得られたポリベンゾオキサゾール共重合体と、当該共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物とを反応させて得られた共重合体を、絶縁膜用材料の膜形成成分として用いることにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)ポリベンゾオキサゾール前駆体構造中の末端部に位置するカルボキシル基又はアミノ基と反応性オリゴマーとを反応させて得られたポリベンゾオキサゾール共重合体と、当該共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物とを反応させて得られた共重合体を膜形成成分として含むことを特徴とする絶縁膜用材料、
(2)ポリベンゾオキサゾール前駆体が、アセチレン基を有するものである、第(1)項記載の絶縁膜用材料、
(3)ポリベンゾオキサゾール共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物が、酸塩化物、ジカーボネート化合物、又はクロロホルメート化合物である第(1)項または第(2)項に記載の絶縁膜用材料、
(4)末端部にカルボキシル基又はアミノ基を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、該カルボキシル基又はアミノ基と反応し得る置換基を有し、且つ該ポリベンゾオキサゾール前駆体の熱分解温度より低い熱分解温度を有するオリゴマーとを反応させて、ポリベンゾオキサゾール共重合体を合成し、次いで、該ポリベンゾオキサゾール共重合体と、該共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応し得る置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物とを反応させて膜形成成分を合成することを特徴とする絶縁膜用材料の製造方法、
(5)ポリベンゾオキサゾール共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物が、酸塩化物、ジカーボネート化合物、又はクロロホルメート化合物である第(4)項記載の絶縁膜用材料の製造方法、
(6)ポリベンゾオキサゾール前駆体が、ビフェニル、ナフタレン、又はビナフチル構造を有するもの、あるいは単環式の芳香族ビスアミノフェノールもしくは単環式の芳香族ジカルボン酸から得られるものである第(4)項または第(5)項に記載の絶縁膜用材料の製造方法。
(7)第(1)項ないし第(3)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料、又は、第(4)項ないし第(6)項のいずれかに記載の絶縁膜用材料の製造方法により得られた絶縁膜用材料を、加熱処理して縮合反応及び架橋反応させて得られるポリベンゾオキサゾールを主構造とする樹脂の層からなり、かつ、孔の大きさが10nm以下の微細孔を有することを特徴とする絶縁膜、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の絶縁膜用材料は、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造中の末端部に位置するカルボキシル基又はアミノ基と反応性オリゴマーとを反応させて得られたポリベンゾオキサゾール共重合体と、当該ポリベンゾオキサゾール共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応し得る置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物とを反応させて得られた共重合体を膜形成成分として含むものであって、当該有機化合物がポリベンゾオキサゾールの主鎖骨格にグラフト化されることにより、樹脂の特性を変化させることなく、樹脂骨格の相溶性を変化させることで、樹脂骨格とその末端に位置するオリゴマー成分の相分離構造が変化し、より微細な相分離構造を形成することを可能にする。
【0013】
また、一般的に、ポリベンゾオキサゾール前駆体が、ビフェニル、ナフタレン、又はビナフチル構造を有するもの、あるいは単環式の芳香族ビスアミノフェノールもしくは単環式の芳香族ジカルボン酸から得られるものである場合には、絶縁膜用材料として、重要な特性の一つである弾性率は、高いものの、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒に対する溶解性が低く、絶縁膜用材料としては、実際には使用できない場合も多いが、本発明によれば、樹脂をグラフト化させることにより、各種有機溶媒に可溶となるように、改質することも可能となる。
【0014】
本発明の絶縁膜は、絶縁膜用材料の樹脂加熱工程において、まず、前記絶縁膜用材料の樹脂骨格にグラフトさせた炭素数2以上10以下の有機化合物が、より微細な相分離構造を変えることなく、熱分解し、続いて、樹脂骨格成分中に、微細に分散した状態で存在するオリゴマー成分が、熱分解し、揮散することにより、ポリベンゾオキサゾール樹脂を主構造とする樹脂膜中に、微細孔を形成させ、低誘電率化し、耐熱性と電気特性を両立させ、なおかつ、微細孔の大きさが10nm以下の多孔質絶縁膜を得ることが、本発明の骨子である。
【0015】
本発明の絶縁膜用材料に用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体は、少なくとも1種のビスアミノフェノール化合物と少なくとも1種のジカルボン酸とを、酸クロリド法、活性エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法により得ることができる。前記ポリベンゾオキサゾール前駆体においては、アセチレン基を有するものが、高耐熱性の微細孔を有する樹脂層を得ることができ、このようなポリベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、前記ジカルボン酸において、アセチレン基を有するものを用いることにより、得ることができる。
【0016】
本発明で用いるビスアミノフェノール化合物としては、2,4−ジアミノレゾルシノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,5-ジアミノヒドロキノン、2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−1,1'−ビナフタレン、6,6'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−1,1'−ビナフタレン、3,3'−ジアミノ−2,2'−ジヒドロキシ−1,1'−ビナフタレン、7,7'−ジアミノ−6,6'−ジヒドロキシ−1,1'−ビナフタレン、1,5−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ナフタレン、2,6−ビス−(3−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシ)ナフタレン、3,7−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、3,6−ジアミノ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、9,9−ビス((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェニル))フルオレン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−5,5'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−5,5'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシ−6,6'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシ−6,6'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、9,9−ビス(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)−3−フェニル−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−((3−アミノ−4−ヒドロキシ)フェノキシ)−3−フェニル−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((2−ヒドロキシ−3−アミノ−4−フェニル)−フェニル)−フルオレン、等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本発明で用いるジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2'−ジカルボキシ−1,1'−ビナフタレン、6,6'−ジカルボキシ−1,1'−ビナフタレン、2,2'−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−1,1'−ビナフタレン、6,6'−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−1,1'−ビナフタレン、4,4'−スルホニルビス安息香酸、3,4'−スルホニルビス安息香酸、3,3'−スルホニルビス安息香酸、4,4'−オキシビス安息香酸、3,4'−オキシビス安息香酸、3,3'−オキシビス安息香酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ジメチル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジメチル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、9,9−ビス(4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニル)フルオレン、4,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビフェニル、3,3'−ビス(3―カルボキシフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、4,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,3'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,4'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,3'−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、4,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、4,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,3'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−p−ターフェニル、3,4'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3,3'−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−m−ターフェニル、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸、9,9−ビス−(2−カルボキシ−フェニル)フルオレン、9,9−ビス−(3−カルボキシ−フェニル)フルオレン、9,9−ビス−(4−カルボキシ−フェニル)フルオレン、ビス−((2−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、ビス−((4−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、ビス−((5−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、ビス−((6−カルボキシ−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(2−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(3−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス(4−(4−カルボキシ−フェノキシ)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((4−(2−カルボキシ−フェノキシ)−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((4−(3−カルボキシ−フェノキシ)−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン、9,9−ビス((4−(4−カルボキシ−フェノキシ)−3−フェニル)−フェニル)−フルオレン等が挙げられる。
【0018】
また、本発明で用いる、アセチレン基を有するジカルボン酸としては、3−エチニルフタル酸、4−エチニルフタル酸、2−エチニルイソフタル酸、4−エチニルイソフタル酸、5−エチニルイソフタル酸、2−エチニルテレフタル酸、3−エチニルテレフタル酸、5−エチニル−テレフタル酸、2−エチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−エチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−エチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−エチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−エチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−エチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−エチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3'−ジエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジエチニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ジエチニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−エチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−エチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−エチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−エチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−エチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−エチニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−エチニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−エチニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−エチニル−ベンゼンの構造異性体、5−(3−エチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(1−エチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−エチニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−エチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−エチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−エチニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−エチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−エチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−エチニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−エチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−エチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(3−エチニル−フェニル)−テレフタル酸、3−フェニルエチニルフタル酸、4−フェニルエチニルフタル酸、2−フェニルエチニルイソフタル酸、4−フェニルエチニルイソフタル酸、5−フェニルエチニルイソフタル酸、2−フェニルエチニルテレフタル酸、3−フェニルエチニルテレフタル酸、2−フェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−フェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−フェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−フェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−フェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−フェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−フェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3'−ジフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジフェニルエチニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ジフェニルエチニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−フェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−フェニルエチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−フェニルエチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−フェニルエチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−フェニルエチニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−フェニルエチニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−フェニルエチニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−フェニルエチニル−ベンゼンの構造異性体、5−(1−フェニルエチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−フェニルエチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(3−フェニルエチニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−フェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−フェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−フェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−フェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−フェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−フェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−フェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−フェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(3−フェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、3−ビフェニルエチニルフタル酸、4−ビフェニルエチニルフタル酸、2−ビフェニルエチニルイソフタル酸、4−ビフェニルエチニルイソフタル酸、5−ビフェニルエチニルイソフタル酸、2−ビフェニルエチニルテレフタル酸、3−ビフェニルエチニルテレフタル酸、5−ビフェニルエチニル−テレフタル酸、2−ビフェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−ビフェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−ビフェニルエチニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−ビフェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−ビフェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−ビフェニルエチニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−ビフェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−ビフェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−ビフェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ビフェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−ビフェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−ビフェニルエチニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3'−ジビフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジビフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジビフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジビフェニルエチニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジビフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジビフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジビフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジビフェニルエチニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジビフェニルエチニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ジビフェニルエチニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−ビフェニルエチニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−ビフェニルエチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−ビフェニルエチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−ビフェニルエチニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−ビフェニルエチニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−ビフェニルエチニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−ビフェニルエチニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−ビフェニルエチニル−ベンゼンの構造異性体、5−(3−ビフェニルエチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(1−ビフェニルエチニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−ビフェニルエチニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−ビフェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−ビフェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−ビフェニルエチニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−ビフェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−ビフェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−ビフェニルエチニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−ビフェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−ビフェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(3−ビフェニルエチニル−フェニル)−テレフタル酸、3−ヘキシニルフタル酸、4−へキシニルフタル酸、2−へキシニルイソフタル酸、4−へキシニルイソフタル酸、5−へキシニルイソフタル酸、2−へキシニルテレフタル酸、3−へキシニルテレフタル酸、2−へキシニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、3−へキシニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、4−へキシニル−1,5−ナフタレンジカルボン酸、1−へキシニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−へキシニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−へキシニル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、4−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、5−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、7−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、8−へキシニル−1,6−ナフタレンジカルボン酸、3,3'−ジへキシニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジへキシニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジヘキシニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジへキシニル−2,2'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジへキシニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ジへキシニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、5,5'−ジへキシニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、6,6'−ジへキシニル−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ジへキシニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ジへキシニル−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビス(2−カルボキシ−3−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−5−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−6−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−2−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−4−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−6−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−3−へキシニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−カルボキシ−4−へキシニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシ−5−へキシニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−へキシニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシ−2−へキシニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−へキシニル−1,3−ジカルボキシシクロプロパン、5−ヘキシニル−2,2−ジカルボキシシクロプロパン、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェノキシ)−5−ヘキシニル−ベンゼンの構造異性体、1,3−ビス(4−カルボキシ−フェニル)−5−ヘキシニル−ベンゼンの構造異性体、5−(3−ヘキシニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(1−ヘキシニル−フェノキシ)−イソフタル酸、5−(2−ヘキシニル−フェノキシ)イソフタル酸、2−(1−ヘキシニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(2−ヘキシニル−フェノキシ)テレフタル酸、2−(3−ヘキシニル−フェノキシ)テレフタル酸、5−(1−ヘキシニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(2−ヘキシニル−フェニル)−イソフタル酸、5−(3−ヘキシニル−フェニル)−イソフタル酸、2−(1−ヘキシニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(2−ヘキシニル−フェニル)−テレフタル酸、2−(3−ヘキシニル−フェニル)−テレフタル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上のビスアミノフェノール化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0019】
本発明において、ポリベンゾオキサゾール前駆体との反応において使用する反応性オリゴマーは、その構造中にポリベンゾオキサゾール前駆体構造中の末端部に位置するカルボキシル基またはアミノ基と反応し、尚且つポリベンゾオキサゾール前駆体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基とは反応しない反応性置換基を有しており、反応性置換基としては、カルボキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基を持つことが必須であり、そしてポリベンゾオキサゾール前駆体の熱分解温度より低い温度で熱分解し、分解物が気化するオリゴマーでなければならない。
オリゴマーについて、具体的に例示すると、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン−オキシエチレン共重合体、ポリオキシメチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレン−オキシプロピレン共重合体、ポリテトラヒドロフラン等のポリオキシアルキレンや、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリα−メチルスチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン等が好適に挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
反応性オリゴマーとしては、上記オリゴマーの側鎖もしくは主鎖の片末端または両末端に反応性置換基を導入したものを用いることができる。工業的に入手が容易であるのは、主鎖の末端を修飾した反応性オリゴマーである。より具体的には、4−アミノ安息香酸エステル化末端スチレンオリゴマー、4-アミノ安息香酸エステル化末端ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)などが挙げられる。
【0020】
本発明において、ポリベンゾオキサゾール前駆体に上記反応性オリゴマーを反応させて得られたポリベンゾオキサゾール共重合体構造中、主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物の例としては、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、ブチリルクロライド、イソブチリルクロライド、バレリルクロライド、イソバレリルクロライド、トリメチルアセチルクロライド、t−ブチルアセチルクロライド等の酸塩化物、ジメチルジカーボネート、ジエチルジカーボネート、ジ−t−ブチルジカーボネート等のジカーボネート化合物、メチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、プロピルクロロホルメート、イソプロピルクロロホルメート、ブチルクロロホルメート、イソブチルクロロホルメート等のクロロホルメート化合物が好適に挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、有機化合物の炭素数が11以上の場合、樹脂骨格に占めるグラフト基の割合が増加し、樹脂骨格とオリゴマー成分の相分離状態に悪影響を及ぼし、絶縁膜における孔の大きさが大きくなるため、好ましくない。
【0021】
本発明におけるポリベンゾオキサゾール前駆体が、アセチレン基を有する繰り返し単位と、それ以外の繰り返し単位とからなる共重合体の場合、それらの繰り返し単位の配列は、ブロック的であっても、ランダム的であってもかまわない。例えば、ブロック的な繰り返し単位の製造方法としては、酸クロリド法による場合、ビスアミノフェノール化合物と、構造中にアセチレン基を含まないジカルボン酸のクロリドとを、予め、反応させて、分子量を上げた後、更に、ビスアミノフェノール化合物と、アセチレン基を有するジカルボン酸のクロリドとを反応させることにより得ることができる。
また、逆に、ビスアミノフェノール化合物と、アセチレン基を有するジカルボン酸のクロリドとを、予め、反応させて、分子量を上げた後、更に、ビスアミノフェノール化合物と、構造中にアセチレン基を含まないジカルボン酸クロリドとを反応させてもよい。
ランダムな繰り返し単位の場合は、ビスアミノフェノール化合物と、構造中にアセチレン基を含まないジカルボン酸のクロリドと、アセチレン基を有するジカルボン酸のクロリドとを、同時に反応させることにより得ることができる。
【0022】
本発明において、共重合体の製造方法の例としては、従来の酸クロリド法、活性化エステル法、ポリリン酸やジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下での縮合反応等の方法を用いることができる。例えば、酸クロリド法では、使用するジカルボン酸クロリドは、まず、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒存在下で、ジカルボン酸と過剰量の塩化チオニルとを、室温ないし130℃程度の温度で反応させ、過剰の塩化チオニルを加熱及び減圧により留去した後、残査をヘキサン等の溶媒で再結晶することにより得ることができる。
このようにして製造したジカルボン酸クロリドと、前記他のジカルボン酸を併用する場合、同様にして得られる酸クロリドとを、ビスアミノフェノール化合物と共に、通常、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン、トリエチルアミン等の酸受容剤存在下に、室温ないし−30℃程度の温度で反応させ、ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成し、これに、更に、予め、反応性オリゴマーを、γ−ブチロラクトンなどの溶媒に溶解したものを加えて、反応させて、ポリベンゾオキサゾール前駆体の共重合体を得る。
【0023】
続いて、当該ポリベンゾオキサゾール前駆体共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応し得る置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物を、γ−ブチロラクトンなどの溶媒に溶解したものを加えて反応させる。次いで、反応液を、水とイソプロピルアルコールの混合溶液などに加え、沈殿物を集め、乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体の末端部に反応性オリゴマーを反応させた共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基に、炭素数2以上10以下の有機化合物をグラフト化させた共重合体を得ることができる。また、ポリベンゾオキサゾール前駆体に反応性オリゴマーを反応させた段階で、反応液を水とイソプロピルアルコールの混合溶液などに加え、沈殿物を回収し、この沈殿物を再度、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒に溶解し、ピリジン、トリエチルアミン等の酸受容剤存在下に、室温ないし−30℃程度の温度で、炭素数2以上10以下の有機化合物を反応させ、反応液を、水とイソプロピルアルコールの混合溶液などに加え、沈殿物を集め、乾燥することによっても、グラフト化させた共重合体を得ることができる。
【0024】
本発明の絶縁膜用材料には、膜形成成分である上記共重合体の他に、目的に応じて各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤としては、界面活性剤、シラン系に代表されるカップリング剤、酸素ラジカルやイオウラジカルを加熱により発生するラジカル開始剤、ジスルフィド類などの触媒等が挙げられる。
【0025】
本発明の絶縁膜用材料の使用方法としては、適当な有機溶媒に溶解させるか又は均一に分散させて、コーティングワニスとして使用することが可能である。具体的に例示すると、当該絶縁膜用材料を有機溶媒に、溶解又は均一に分散させ、適当な支持体、例えば、ガラス、繊維、金属、シリコンウエーハ、セラミック基板等に塗布する。その塗布方法としては、浸漬、スクリーン印刷、スプレー、回転塗布、ロールコーティング、スピンコーターなどの方法が挙げられ、塗布後に加熱乾燥して、溶剤を揮発せしめ、タックフリーな塗膜とすることができる。その後、加熱処理して、ポリベンゾオキサゾール樹脂架橋体に変換して用いるのが好ましい。また、ジカルボン酸成分、ビスアミノフェノール化合物成分、反応性オリゴマー成分及びグラフトさせる有機化合物を選択することにより、溶剤に可溶なポリベンゾオキサゾール樹脂として用いることもできる。
【0026】
本発明の絶縁膜用材料を溶解又は分散させる有機溶媒としては、固形分を完全に溶解する溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてよい。
【0027】
コーティングワニスを調製する場合の溶媒使用量としては、絶縁膜用材料を完全に溶解し得る量であればよく、特に制限されず、その用途に応じて、適宜調整することができるが、一般的にはワニス中の溶媒含有量は、70〜95重量%程度が好ましい。
【0028】
本発明の絶縁膜用材料は、上記のようにして得られた塗膜を、通常、80〜200℃の範囲の温度で、溶媒を蒸発させることにより、主鎖骨格がグラフト化されたポリベンゾオキサゾール前駆体と該オリゴマーユニットとが、微細な相分離構造を形成し、200〜500℃程度の温度で、加熱処理することにより、絶縁膜用材料中のグラフト基が、微細な相分離構造に影響を与えることなく熱分解して、分解物が気化・揮散し、また、絶縁膜用材料中のポリアミドユニットが、環化縮合反応及び架橋反応を生じ、ポリベンゾオキサゾール樹脂となり、最後に、絶縁膜用材料中の該オリゴマーユニットが熱分解して、分解物が気化・揮散し、ポリベンゾオキサゾールを主構造とする樹脂の層に、微細孔を形成させることにより、多孔質絶縁膜である本発明の絶縁膜を得ることができる。この際の熱履歴も微細孔を形成させるには重要である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0030】
なお、実施例及び比較例で作製したフィルムについて、下記の方法により比誘電率及び弾性率を測定すると共に、フィルムの断面を観察した。
(1)比誘電率
JIS−K6911に準拠し、周波数100kHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いて測定を行った。
(2)フィルム断面観察
フィルムの断面について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、微細孔の有無とその孔径を観察した。
(3)弾性率
エリオニクス社製の超微小硬度計ENT−1100を用い、最大荷重10mg、負荷速度1mg/secで測定を行った。
【0031】
実施例1
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン23.2g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド22.7g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLに、アルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。さらに、10℃にした後、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を添加し、次いで、ジ−(t−ブチル)−ジカーボネート39.3g(0.18mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、共重合体97.5gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量10,000、分子量分布2.1であった。
【0032】
得られた共重合体5.00gを、N−メチル−2−ピロリドン20.00gに溶解し、孔径0.2μmのテフロン(R)フィルターで、ろ過してワニスを得た。このワニスを、スピンコーターを用いて、アルミニウムを蒸着したシリコンウエーハ上に塗布した。この際、熱処理後の膜厚が、約5μmとなるように、スピンコーターの回転数と時間を設定した。塗布後、120℃のホットプレート上で、240秒間乾燥した後、窒素を流入して、酸素濃度を100ppm以下に制御したオーブンを用いて、300℃で60分間、加熱させることで、末端をオリゴマーと反応させたポリベンゾオキサゾール樹脂の皮膜を得た。さらに、400℃で60分間加熱して、オリゴマーユニットを分解し、細孔を有するポリベンゾオキサゾール樹脂の皮膜を得た。皮膜上にアルミニウムを蒸着してパターンニングを行い、所定の大きさの電極を形成した。シリコンウエーハ側のアルミニウムと、この電極による容量を測定し、測定後に皮膜の電極隣接部を、酸素プラズマによりエッチングして、表面粗さ計により膜厚を測定することにより、周波数1MHzにおける誘電率を算出したところ2.48であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。
【0033】
実施例2
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン23.2g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド22.7g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLに、アルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、共重合体を得た。この共重合体を、再度、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン300mLに溶解し、10℃にした後、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を添加し、次いで、ジ−(t−ブチル)−ジカーボネート39.3gを、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌した。反応終了後、溶液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて、乾燥することにより、共重合体92.4gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量11,000、分子量分布2.15であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.49であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。
【0034】
実施例3
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン23.2g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド30.3g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLに、アルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。さらに、10℃にした後、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を添加し、次いで、t−ブチルアセチルクロライド24.2g(0.18mol)を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて、乾燥することにより、共重合体90.4gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量12500、分子量分布2.3であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.37であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。
【0035】
実施例4
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン23.2g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド22.7g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLに、アルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。さらに、10℃にした後、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を添加し、次いで、イソブチルクロロホルメート24.6g(0.18mol)を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、共重合体97.5gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量12000、分子量分布2.25であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.42であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。
【0036】
比較例1
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン23.2g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド22.7g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLに、アルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、共重合体81.2gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量20,000、分子量分布2.2であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.47であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約100nmの細孔で非連続であった。
【0037】
比較例2
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン23.2g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド22.7g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLにアルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。さらに、10℃にした後、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を添加し、次いで、ステアロイルクロライド54.5g(0.18mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて、乾燥することにより、共重合体120.8gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量16,000、分子量分布2.5であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ1.88であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約200nmの細孔で非連続であった。
【0038】
実施例5
4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル19.5g(0.09mol)を、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン330mLに溶解し、この溶液に、5−エチニルテレフタル酸ジクロリド22.7g(0.1mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間撹拌した。10℃にした後、トリエチルアミン22.3g(0.22mol)を添加し、次いで、γ−ブチロラクトン100mLにアルドリッチ社製両ヒドロキシ末端ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)56.0g(0.02mol、数平均分子量2,800)を溶解した溶液を、乾燥窒素下、10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で1時間攪拌した。さらに、10℃にした後、トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を添加し、次いで、ジ−(t−ブチル)−ジカーボネート39.3g(0.18mol)を、乾燥窒素下10℃で添加した。添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液をろ過して、トリエチルアミン塩酸塩を除去し、ろ過した液を、イオン交換水6.6Lとイソプロパノール6.6Lの混合溶液に滴下し、沈殿物を集めて乾燥することにより、共重合体87.6gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量11,500、分子量分布2.2であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.23であった。また、この皮膜について断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。さらに弾性率を測定したところ3.0GPaであった。
【0039】
実施例6
実施例5において、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル19.5g(0.09mol)を2,2'−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−[1,1']−ビナフタレン44.9g(0.09mol)とする以外は、実施例5と同様にして、共重合体102.3gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量17,000、分子量分布2.5であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.15であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。さらに、弾性率を測定したところ3.2GPaであった。
【0040】
実施例7
実施例5において、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル19.5g(0.09mol)を2,5-ジアミノヒドロキノン12.6g(0.09mol)とする以外は、実施例5と同様にして、共重合体84.9gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量11,000、分子量分布2.2であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.10であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。さらに、弾性率を測定したところ3.1GPaであった。
【0041】
比較例3
実施例5において、ジ−(t−ブチル)−ジカーボネート39.3g(0.18mol)を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして反応を行なった。トリエチルアミン添加後、10℃で1時間、続いて、20℃で20時間撹拌したところ、反応溶液がゲル化し、回収することはできなかった。
【0042】
参考例1
実施例5において、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシビフェニル19.5g(0.09mol)を4,4'−ジアミノ−3,3'−ジヒドロキシフェニルエーテル20.9g(0.09mol)とする以外は、実施例5と同様にして、共重合体90.4gを得た。得られた共重合体の分子量を、東ソー株式会社製GPCを用いてポリスチレン換算で求めたところ、重量平均分子量16,000、分子量分布2.4であった。
得られた共重合体を用い、実施例1と同様にして、評価用サンプルを得て、誘電率を算出したところ2.10であった。また、この皮膜について、断面をTEMにより観察したところ、得られた空隙は、約10nmの細孔で非連続であった。さらに、弾性率を測定したところ1.5GPaであった。
【0043】
実施例1−4および比較例1、2の評価結果から、本発明の絶縁膜材料から得られた絶縁膜(被膜)は、10nm以下で非連続の微細孔が形成され、しかも低誘電率が得られる結果であった。
また、実施例5−7及び比較例3、参考例1の評価結果から、高弾性率を示すが有機溶媒に対する溶解性が低い樹脂に対しても、グラフト基を主鎖骨格に導入することにより、有機溶媒に対する溶解性が向上し、10nm以下で非連続の微細孔が形成され、しかも低誘電率が得られる結果であった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、電気特性、熱特性、機械特性などに優れ、絶縁膜として低誘電率化および空隙の微細化が可能な絶縁膜用材料、また、有機溶媒への相溶性が良好であり、高弾性率の絶縁膜を形成することができる絶縁膜用材料が提供でき、更に、これを用いた絶縁膜は、半導体用の層間絶縁膜や保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途に、好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリベンゾオキサゾール前駆体構造中の末端部に位置するカルボキシル基又はアミノ基と反応性オリゴマーとを反応させて得られたポリベンゾオキサゾール共重合体と、前記共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物とを反応させて得られた共重合体を膜形成成分として含むことを特徴とする絶縁膜用材料。
  2. ポリベンゾオキサゾール前駆体が、アセチレン基を有するものである、請求項1記載の絶縁膜用材料。
  3. ポリベンゾオキサゾール共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応しうる置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物が、酸塩化物、ジカーボネート化合物、又はクロロホルメート化合物である請求項1または2に記載の絶縁膜用材料。
  4. 末端部にカルボキシル基又はアミノ基を有するポリベンゾオキサゾール前駆体と、該カルボキシル基又はアミノ基と反応し得る置換基を有し、且つ該ポリベンゾオキサゾール前駆体の熱分解温度より低い熱分解温度を有するオリゴマーとを反応させて、ポリベンゾオキサゾール共重合体を合成し、次いで、該ポリベンゾオキサゾール共重合体と、該共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応し得る置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物とを反応させて膜形成成分を合成することを特徴とする絶縁膜用材料の製造方法。
  5. ポリベンゾオキサゾール共重合体構造中の主鎖骨格に位置するヒドロキシル基と反応し得る置換基を有する炭素数2以上10以下の有機化合物が、酸塩化物、ジカーボネート化合物、又はクロロホルメート化合物である請求項4記載の絶縁膜用材料の製造方法。
  6. ポリベンゾオキサゾール前駆体が、ビフェニル、ナフタレン、又はビナフチル構造を有するもの、あるいは単環式の芳香族ビスアミノフェノールもしくは単環式の芳香族ジカルボン酸から得られるものである請求項4または5に記載の絶縁膜用材料の製造方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載の絶縁膜用材料、又は、請求項4ないし6のいずれかに記載の絶縁膜用材料の製造方法により得られた絶縁膜用材料を、加熱処理して縮合反応及び架橋反応させて得られるポリベンゾオキサゾールを主構造とする樹脂の層からなり、かつ、孔の大きさが10nm以下の微細孔を有することを特徴とする絶縁膜。
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