JP4379765B2 - 合成樹脂製肉薄容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベルをインサート材として胴部外周面に接着した、合成樹脂製肉薄容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂製肉薄容器としては、例えば、ブロー成形、射出成形、そして真空成形、圧空成形等の熱成形によって成形される各種の容器が知られているが、近年において、省資源化、廃棄処理の簡易化等を考慮して、少なくとも胴部だけは、その肉厚を0.1〜0.7mm程度まで薄くした合成樹脂製肉薄容器が用いられるようになっている。
【0003】
通常、これらの合成樹脂製の容器は、肉薄となっている容器本体の胴部に、合成樹脂製等の多様な材料を用いて形成されたラベルが装着される。
【0004】
このラベルの装着は、例えば、合成樹脂製肉薄容器を形成する金型内に合成樹脂製のラベルをインサート材として組付け、その後容器本体の成形を行う際に、容器本体の外周面にラベルを熱により溶着固定するか、または、前述と同様に金型内に組付けたラベルに接着剤を塗布し、容器本体を成形する際に、ラベルを容器本体に貼着する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図3に示すように、成形される容器本体1は、金型10内にラベル5をインサート材として組付けた状態で、胴部2を充分に薄肉に成形するが、この容器本体1の成形に際して、胴部2は、金型10とインサート材であるラベル5とを成形型面として成形されるので、ラベル5を成形型面として成形された胴部分2aと、金型10を成形型面として成形された胴部分2bとから構成されることになり、この胴部分2aと胴部分2bとの境界部分には、ラベルエッジ6に食い込んで極端に肉薄となったノッチ部3が形成される。
【0006】
このノッチ部3は、金型10に直接接触することにより速やかに冷却される胴部分2bに比べて、ラベル5を介して金型10からの冷却力を受ける胴部分2aの冷却速度が遅く、この冷却速度の相違により両胴部分2a、2b間に発生した内部応力が、その境界部分であるノッチ部3に集中して作用する。
【0007】
このため、容器の取扱い時に、このノッチ部3近辺に外部からの衝撃が作用すると、この衝撃を、ラベル5と胴部2とが一体となって受け止めるので、衝撃による外部応力がノッチ部3に集中して作用し易くなり、このためこのノッチ部3にひび割れ等の破損を生じ易くなる、と云う問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解決すべく創案したもので、ラベルをインサート材として成形された薄肉容器において、ラベルエッジの食い込みにより成形される薄肉部分であるノッチ部の、ひび割れの発生を防ぐことを技術的課題とし、もって安定して容器機能を発揮するラベル付き合成樹脂製薄肉容器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明に内、請求項1記載の発明の手段は、
充分に肉薄である胴部を備えた容器本体と、この容器本体の胴部外周面に接着するインサート材であるラベルとから構成される合成樹脂製肉薄容器であること、ラベルの少なくとも下端縁を形成している下端部全域と容器本体の胴部との間を非接着部としたこと、
にある。
【0010】
ラベルの少なくとも下端縁を形成している下端部全域と胴部の間を非接着部としているので、ラベル下端縁のラベルエッジに対向して成形されたノッチ部の近辺部分が、ラベルに拘束されることなく弾性撓み変形し易くなっている。
【0011】
それゆえ、容器の取扱い時に、落下等の衝撃により、非接着部が位置した部分附近に外力が作用すると、この非接着部が位置する部分のノッチ部の近辺部分が全体的に弾性撓み変形して、この作用した外力を吸収し、これによりノッチ部に外部応力が集中して作用するのを阻止し、ノッチ部のひび割れ発生を防止する。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明のラベルの全周端部と胴部との間を非接着部としたこと、にある。
【0013】
請求項2記載の発明にあっては、容器取扱い時に、容器の胴部に、どのような方向から外力が作用したとしても、全てのノッチ部の近辺部分が全体的に弾性撓み変形し易くなっているので、全てのノッチ部でのひび割れの発生を防止する。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明のラベルを、容器本体の胴部外周面に筒状に接着させた、ものである。
【0015】
この請求項3記載の発明にあっては、ラベルが胴部外周面に筒状に、すなわち巻回状に接着しているので、胴部と非接着状態となっているラベルの下端縁を形成している下端部全域、さらには上端縁を形成している上端部全域は、ラベル自身の張力の作用により捲くれ上がることがなく、それゆえラベルの一部が剥がれる状態となることによる、製品の外観体裁の劣化を生じる恐れがない。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の発明のラベルと胴部との接着を、易剥離性とした、ものである。
【0017】
請求項4記載の発明にあっては、ラベルの接着を易剥離性とすると、非接着部を手掛かりとして、ラベルを胴部から簡単に引き剥がすことができ、分別廃棄を行い易い。なお、易剥離性とは、予めラベルと胴部との接着力を弱めに設定するとか、ラベルと胴部との接着を、水とかアルコール等により低下させることができることを意味する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図4は、本発明の第一の実施例を示すもので、ボトル状の容器本体1とラベル5とから構成され、容器本体1は、胴部2、開口部9および底部4を備えている。
【0019】
容器本体1は、一対の割金型であるブロー成形金型10を用いてプリフォームまたはパリソンからブロー成形されるが、容器本体1をブロー成形する割金型の一方のブロー成形金型10は、図2に示すように、容器本体1のブロー成形に先立って、その成形型面の設定された位置にインサート材であるラベル5を、バキューム作用等を利用して、不動に固定保持している。なお、図中10aは、金型10を冷却するための冷却水が通る冷却孔である。
【0020】
すなわち、一方のブロー成形金型10の成形型面の所定位置には、インサート材としてのラベル5が不動に組付けられ、次いでブロー成形金型10内に挿入されたパリソンまたはプリフォームを、通常のブロー成形手段によりブロー成形して、開口部9、底部4および開口部9および底部4よりも肉薄となる胴部2を備えたボトル状の容器本体1に成形する。
【0021】
図3に示すように、容器本体1は、パリソンまたはプリフォームからブロー成形される際に、胴部分2aと胴部分2bとの境界部にラベル5のラベルエッジ6が位置することから、この胴部分2aと胴部分2bとの境界部に延伸が集中し易くなると共に、ラベルエッジ6が食い込み、これにより極肉薄なノッチ部3が形成される
【0022】
このノッチ部3は、ラベル5に接触して形成された胴部分2aと金型10に接触して形成された胴部分2bの冷却速度が異なるため、胴部分2aと胴部分2bとの間に発生した内部応力が集中し、成形された合成樹脂製肉薄容器に外力が加わった場合にひび割れ等が発生しやすい。
【0023】
ラベル5の下端部全域と胴部分2aとの間は、ラベル5の下端部全域に対向して位置するノッチ部3を含んで、接着していない非接着部8としている。
【0024】
容器本体1は、例えば、容器本体1と相溶性のある合成樹脂製のラベルを用いる場合、ラベル5の下端部全域と胴部分2aを離間する剥離材をラベル5下端部全域に設けることにより、ラベル5の下端部全域と胴部分2aとの間に非接着部8を形成し、残部を接着部7とし、また接着剤を用いてラベル5と胴部分2aを固着する場合、ラベル5の下端部全域に接着材を塗布しないことによりラベル5と胴部分2aとの間に非接着部8を形成して、残部を接着部7とする。
【0025】
胴部2にラベル5を接着固定する接着部7は、その接着状態が、易剥離性を持つように設定されており、合成樹脂製肉薄容器の廃棄時における、容器本体1とラベル5との分別が容易に達成できるようにしている。
【0026】
接着部7に易剥離性を付与する手段としては、例えば、ラベル5を、容器本体1と相溶性のある材料で成形した場合には、ラベル5と容器本体1との相溶性が低くなるように材料を選択し、また接着剤を用いる場合は、接着剤の接着力を弱く設定するなり、水とかアルコールの浸透により接着力が低下する接着剤を使用する、とかの手段がある。
【0027】
図4は、落下による衝撃が、矢印方向から合成樹脂製肉薄容器に加わった場合を示し、落下による衝撃が合成樹脂製肉薄容器に加わった場合、容器本体1は、非接着部8の存在により、ラベル5に拘束されることなく、ノッチ部3の近辺部分全体が柔軟に弾性撓み変形するため、この柔軟に弾性撓み変形により衝撃に伴う外部応力の一部を吸収し、これによりノッチ部3に対する外部応力の集中作用を阻止して、ノッチ部3のひび割れ発生を防ぐことができ、合成樹脂製肉薄容器の破損を防止する。
【0028】
図5は、本発明の第二の実施例を示すもので、ボトル状の容器1の胴部2の前面に四隅を円弧状としたラベル5を接着し、ラベル5の全周域に非接着部8を形成している。
【0029】
この第二の実施例にあっては、ラベル5を囲んで形成される全てのノッチ部3に対応して非接着部8が設けられているので、合成樹脂製肉薄容器に対して作用するあらゆる方向からの外力に対して、この非接着部8がノッチ部3を保護するように作用する。
【0030】
なお、ラベル5の四隅を円弧状に角取りすることにより、この四隅が、角取りしない場合に比べて、胴部2表面からの捲れ上がりを少なくすることができ、ラベル5の捲れ上がりによる合成樹脂製肉薄容器の外観体裁の劣化を、効果的に防止することができる。
【0031】
図6は、本発明の第三の実施例を示すもので、ボトル状の容器本体1の胴部2に沿ってラベル5を筒状に巻回接着した合成樹脂製肉薄容器の正面図で、容器本体1は、その胴部2の周囲に亘って筒状にラベル5が接着されており、またラベル5の上下両端部全域と胴部2の間は、非接着部8となっている。
【0032】
ラベル5は、その上下両端部全域と胴部2の間が非接着部8となっていても、この非接着部8に位置する上端部全域および下端部全域は、ラベル5自身の張力により、捲くれ上がることなく、筒状形態を維持する。
【0033】
これにより、胴部2とラベル5との間に非接着部8を形成したとしても、ラベル5の下端部が胴部2外表面から捲くれ上がって、合成樹脂製肉薄容器の外観体裁を劣化させる恐れが少ない。
【0034】
なお、以上の説明では、容器本体1の実施例として、ブロー成形容器を示したが、容器本体1は、ブロー成形品に限定されることはなく、2軸延伸ブロー成形品、射出成形品、さらには熱成形品であっても良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成により、以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明においては、ラベルの少なくとも下端部全域と胴部の間を非接着部としたため、この非接着部が位置するノッチ部の近辺となる胴部部分が、ラベルに拘束されることなく、弾性撓み変形し易くなり、合成樹脂製肉薄容器の取扱い時に、落下等の衝撃が加わって外部応力が作用すると、非接着部が位置するノッチ部の近辺の胴部部分が容易に弾性撓み変形して、この外部応力の一部を吸収して、ノッチ部に外部応力が集中して作用するのを阻止するので、ノッチ部のひび割れ発生を防ぎ、合成樹脂製肉薄容器の破損を防止して、商品の品質を向上させる。
【0036】
また、通常のインサート成形技術をそのまま使用して実施することができるので、無理なく簡単に実施することができる。
【0037】
請求項2記載の発明にあっては、容器取扱い時に、胴部に、どのような方向から外力が作用したとしても、全てのノッチ部の近辺部分が全体的に弾性撓み変形し易くなっているので、全てのノッチ部でのひび割れの発生を防ぎ、合成樹脂製肉薄容器の破損を防止する。
【0038】
請求項3記載の発明においては、ラベル自体の張力により、非接着部のラベル端部が捲くれ上がることがないので、このラベル下端部が捲くれ上がることによる、容器の外観体裁が劣化すると云う不都合の発生がなく、商品としての好ましい外観体裁を安定して維持することができる。
【0039】
請求項4記載の発明にあっては、ラベルの接着を易剥離性としたので、ラベルを容器本体から簡単に引き剥がすことができ、これにより合成樹脂製肉薄容器の廃棄時に、容器本体とラベルとの分別を簡単に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、半縦断した全体正面図。
【図2】図1に示した実施例を成形する割金型の一方を示す、断面説明図。
【図3】図1に示した実施例の、要部拡大縦断面図。
【図4】図3に示した要部の、弾性撓み変形状態を示す要部拡大縦断面図。
【図5】本発明の第二の実施例を示す、全体正面図。
【図6】本発明の第三の実施例を示す、全体正面図。
【符号の説明】
1 ; 容器本体
2 ; 胴部
2a ; 胴部分
2b ; 胴部分
3 ; ノッチ部
4 ; 底部
5 ; ラベル
6 ; ラベルエッジ
7 ; 接着部
8 ; 非接着部
9 ; 開口部
10 ; 金型
10a; 冷却孔
Claims (4)
- 充分に肉薄である胴部(2)を備えた容器本体(1)と、前記胴部(2)外周面に接着するインサート材であるラベル(5)とから構成される合成樹脂製肉薄容器において、前記ラベル(5)の少なくとも下端縁を形成している下端部全域と胴部(2)との間を非接着部(8)とした合成樹脂製肉薄容器。
- ラベル(5)の全周端部と胴部(2)との間を非接着部(8)とした請求項1記載の合成樹脂製肉薄容器。
- ラベル(5)を、胴部(2)外周面に筒状に接着させた請求項1記載の合成樹脂製肉薄容器。
- ラベル(5)と胴部(2)との接着を、易剥離性とした請求項1、2または3記載の合成樹脂製肉薄容器。
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- 2001-08-30 JP JP2001260811A patent/JP4379765B2/ja not_active Expired - Lifetime
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