しかしながら、特許文献1に記載のラベル印像機構を、インクリボンの巻取機構のないテープカセットが装着されたテーププリンタに適用すると、ヘッドを通過した印字形成後のインクリボンを走行案内するものが何も存在しないため、ラベル用テープに重合されていたインクリボンは、ラベル用テープの表面上から僅かずつズレを生じ、その状態でヘッドにより熱転写されると、インクリボンの走行不良(ジャム)が発生するという問題点があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、インクリボンの巻き取り機構がなくても、インクリボンの走行不良を防止できるテープカセットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のテープカセットは、テーププリンタに着脱されるテープカセットであって、基材の表面に感熱転写性又は感圧転写性のインク層が形成されたインクリボンと、基材の表面に印字領域が形成されたテープと、前記インクリボンおよび前記テープを搬送させる通路と、当該通路の途中に設けられた折り返し部分に設けられ、前記インクリボンの表面と、前記テープの表面とを互いに重ね合わせて圧接する一対の圧接ローラと、前記通路の出口に設けられ、前記一対の圧接ローラで圧接された前記テープおよび前記インクリボンを、前記テーププリンタのサーマルヘッドに向けて排出する排出口と、当該排出口から排出され、前記サーマルヘッドによって文字、図形又は記号等が印刷された印字済みの前記テープおよび前記インクリボンを、前記テーププリンタの排出口に向けて案内するガイド部とを備え、前記テープ又は前記インクリボンの、前記インクリボン又は前記テープと重ね合わされる表面の幅方向の少なくとも一端側近傍に粘着材が塗布されていることを特徴とする。
また、請求項2に記載のテープカセットは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記粘着材は、前記テープの、前記インクリボンと重ね合わされる表面の前記印字領域外に塗布されることを特徴とする。
また、請求項3に記載のテープカセットは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記粘着材は、前記インクリボンの、前記テープと重ね合わされる表面の、前記テープの前記印字領域外に対向する部分に塗布されることを特徴とする。
また、請求項4に記載のテープカセットでは、基材の表面に感熱転写性又は感圧転写性のインク層が形成されたインクリボンと、基材の表面に印字領域が形成されたテープと、前記インクリボンの表面と、前記テープの表面とを互いに重ね合わせて圧接する一対の圧接ローラとを備え、前記一対の圧接ローラのうち、何れか1つの前記圧接ローラの外周面には、複数の突起部が前記圧接ローラの径方向外側に向かって突設され、当該突起部は、前記インクリボンの裏面側から前記テープの前記印字領域外に対して圧入することを特徴とする。
また、請求項5に記載のテープカセットでは、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記テープの基材の材質は布であることを特徴とする。
また、請求項6に記載のテープカセットでは、請求項4又は5に記載の発明の構成に加え、前記一対の圧接ローラによって互いに圧接された前記テープおよび前記インクリボンを排出する排出口を備え、前記一対の圧接ローラは、前記排出口の近傍に設けられていることを特徴とする。
また、請求項7に記載のテープカセットでは、基材の表面に感熱転写性又は感圧転写性のインク層が形成されたインクリボンと、基材と、当該基材の印字領域が形成された表面とは反対の裏面に剥離可能に接着された剥離紙とを備えたテープと、前記インクリボンの表面と、前記テープの前記基材の表面とが互いに接触して重なり合った状態で、前記インクリボンが内側、前記テープが外側となるように、前記インクリボンおよび前記テープが巻き付けられるスプールとを備え、前記テープ又は前記インクリボンの、前記インクリボン又は前記テープと重ね合わされる表面の幅方向の少なくとも一端側に粘着材が塗布されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載のテープカセットでは、基材の表面に感熱転写性又は感圧転写性のインク層が形成されたインクリボンと、基材の表面に印字領域が形成されたテープと、前記インクリボンの表面と、前記テープの表面とが互いに接触して重なり合った状態で巻き付けられるスプールとを備え、前記テープおよび前記インクリボンは、互いに接触して重なり合った状態で、前記テープの裏面側又は前記インクリボンの裏面側からダイカット加工されていることを特徴とする。
また、請求項9に記載のテープカセットでは、基材の表面に感熱転写性又は感圧転写性のインク層が形成されたインクリボンと、基材の表面に印字領域が形成されたテープと、前記インクリボンの表面と、前記テープの表面とが互いに接触して重なり合った状態で巻き付けられるスプールとを備え、前記テープおよび前記インクリボンは、互いに接触して重なり合った状態で、前記テープの裏面側又は前記インクリボンの裏面側からエンボス加工されていることを特徴とする。
請求項1に記載のテープカセットでは、テープの表面にはインクリボンの表面が重ね合わされ、そのテープ又はインクリボンの表面の幅方向の少なくとも一端側近傍には、粘着材が塗布されている。そして、テープおよびインクリボンが、互いに重ね合わされた状態で、一対の圧接ローラによって圧接されるので、テープおよびインクリボンが粘着材によって互いに接着される。したがって、圧接ローラによって圧接された直後のインクリボンは、テープ表面に確実に接着されているので、テープ表面よりズレるのを防止することができる。さらに、圧接ローラによって圧接されたテープおよびインクリボンは、ズレることなく互いに重合された状態で、感圧転写又は感熱転写することができるので、インクリボンが、テープ表面よりズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止できる。また、インクリボンに粘着材が塗布された場合、粘着材は、印字使用済みのインクリボンと一緒に、テープから剥がして捨てることができる。
また、排出口から排出されるのは、一対の圧接ローラによって圧接されたテープおよびインクリボンである。よって、テープ表面からインクリボンが剥がれず、確実に接着された状態で排出口から排出される。さらに、排出口から、インクリボンがテープ表面に対してズレることなく接着されて排出されるため、排出口から排出されたテープに対して、感圧転写又は感熱転写しても、インクリボンがテープ表面からズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止することができる。
また、請求項2に記載のテープカセットでは、請求項1に記載の発明の効果に加え、粘着材は、テープの、インクリボンと重ね合わされる表面の印字領域外に塗布される。したがって、印字領域には粘着材が塗布されないので、印字領域に粘着材が付着して、その粘着材の上に印字されて印字が滲んだり、印字が不鮮明になるのを防止することができる。
また、請求項3に記載のテープカセットでは、請求項1に記載の発明の効果に加え、インクリボンの、テープの印字領域に対向する部分には粘着材が塗布されないので、テープの印字領域に対して、その粘着材を介して印字されることによって、印字が滲んだり、印字が不鮮明になるのを防止することができる。
また、請求項4に記載のテープカセットでは、一対の圧接ローラのうち、何れか1つの圧接ローラの外周面には、複数の突起部が突設され、その突起部は、インクリボンの裏面側からテープの前記印字領域外に対して圧入される。すると、圧接ローラによって圧入された直後のインクリボンおよびテープには、圧入方向に向かって食い込んだ穴が形成されるので、テープ表面に対してインクリボンを仮固定することができる。また、テープ表面にインクリボンの表面が仮固定されるだけであるので、印字後のテープから容易にインクリボンを剥がすことができる。さらに、圧接ローラによって圧接されたテープおよびインクリボンは、ズレることなく互いに重合されて仮固定されているので、感圧転写又は感熱転写されても、インクリボンがテープ表面からズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止することができる。突起部は、テープの、インクリボンと重ね合わされる表面の印字領域外に対して圧入されるので、印字領域に穴が形成されない。したがって、テープ表面にできた突起部の圧入による穴の上に印字されて、文字や図形が滲んだり、印字が不鮮明になったりするのを防止することができる。
また、請求項5に記載のテープカセットでは、請求項4に記載の発明の効果に加え、テープの基材の材質は布であるので、テープの突起部が圧入されても、布にできた小さな穴は、テープ貼り付け後に自然に塞がり、テープにできた突起部の穴を目立たなくすることができる。
また、請求項6に記載のテープカセットでは、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、一対の圧接ローラは、排出口の近傍に設けられている。したがって、排出口から排出されるのは、一対の圧接ローラによって圧接され、突起部が圧入された直後のテープおよびインクリボンである。よって、インクリボンが、テープ表面から剥がれずに確実に仮固定された状態で、排出口から排出することができる。そして、排出口から、インクリボンがテープ表面に仮固定された状態で排出されるため、テープの印字領域に対して感圧転写又は感熱転写されても、インクリボンがテープ表面からズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止することができる。
また、請求項7に記載のテープカセットでは、スプールには、インクリボンおよびテープが互いに重なり合って巻き付けられている。そして、テープのインクリボンと重ね合わされる表面の幅方向の一端側に粘着材が塗布されているため、テープ表面にインクリボンが接着された状態でスプールに巻き付けられている。したがって、スプールから巻き取られたテープおよびインクリボンは互いに接着された状態であるので、テープおよびインクリボンが感圧転写又は感熱転写されても、インクリボンがテープ表面からズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止することができる。
また、請求項8に記載のテープカセットでは、スプールには、インクリボンおよびテープが互いに重なり合って巻き付けられている。そして、テープおよびインクリボンは、互いに重合された状態でダイカット加工されている。よって、テープ側からインクリボン側、又はインクリボン側からテープ側に向かって食い込んだ溝が形成されるため、テープ表面にインクリボンが仮固定された状態で、スプールに巻き付けられている。また、スプールから巻き取られたテープおよびインクリボンは互いに仮固定された状態であるので、感圧転写又は感熱転写されても、インクリボンがテープ表面からズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止することができる。
また、請求項9に記載のテープカセットでは、スプールには、インクリボンおよびテープが互いに重なり合って巻き付けられている。そして、テープおよびインクリボンは、互いに重合された状態でエンボス加工されている。よって、テープ側からインクリボン側、又はインクリボン側からテープ側に向かって食い込んだ穴が形成されるため、テープ表面にインクリボンが仮固定された状態で、スプールに巻き付けられている。また、スプールから巻き取られたテープおよびインクリボンは互いに仮固定された状態であるので、感圧転写又は感熱転写されても、インクリボンがテープ表面からズレることがなく、インクリボンの走行不良の発生を防止することができる。
以下、本発明のテープカセットの第1乃至第3の実施形態について、図面に基づいて順に説明する。なお、本発明を適用した各実施形態のテープカセットが装着されるテーププリンタ1は、全ての実施形態について共通であるため、はじめにテーププリンタ1について説明し、以下、各実施形態のテープカセットについて順次説明する。なお、本発明を適用した各実施形態のテープカセットは、インクリボンの巻き取り機構がないため、テーププリンタのラベル排出口からは、ラベル用テープの表面にインクリボンが重合されて排出される。
はじめに、テーププリンタ1の概略構造について説明する。図1は、カバーが開かれたテーププリンタ1の先端側の平面図である。なお、図1の左側をテーププリンタ1の先端側とする。図1に示すように、テーププリンタ1は、ハウジングとして、底の深い略皿型形状の本体容器4と、当該本体容器4に覆設されるカバー(図示外)とを備えている。そして、この本体容器4の先端側の内側には、図示外のカセット装着部が溝状に設けられ、そのカセット装着部には、第1の実施形態であるテープカセット2が着脱可能に装着されている。さらに、本体容器4の先端側側面には、カセット装着部に装着されたテープカセット2の排出口15から引き出され、印字されたラベル用テープ5を、インクリボン6とともに外部に排出するためのラベル排出口34が設けられている。一方、テーププリンタ1の後端側には、テーププリンタ1に必要な電力を供給するための電池(図示外)が装填されている。
また、本体容器4の先端側の内側には、テープカセット2の排出口15からラベル排出口34に向かって、ラベル用テープ5およびインクリボン6の搬送経路が形成されている。そして、その搬送経路に沿うようにして、排出口15側から、サーマルヘッド27、プラテン31、カッター機構35が順に配設されている。ここで、サーマルヘッド27は、テープカセット2の排出口15から排出されたラベル用テープ5に重合されたインクリボン6側に対向するように配置されている。そして、サーマルヘッド27は、インクリボン6の幅方向に沿って配置された多数の発熱素子(図示外)を備えている。さらに、サーマルヘッド27は、これら多数の発熱素子を選択的に発熱させることによって、図示外のボタン群によって入力された印刷データに基づく所望の印刷を、ラベル用テープ5の表面の印字領域(図3参照)に施すことができる。
一方、プラテン31は、回転軸32に軸支された略円筒状の部材であって、ラベル用テープ5およびインクリボン6を挟んでサーマルヘッド27に対向するように配置されている。そして、プラテン31は、ラベル用テープ5およびインクリボン6をサーマルヘッド27に対して押圧している。さらに、プラテン31は、回転軸32に連結された駆動機構(図示外)により回転駆動される。そして、サーマルヘッド27との間でラベル用テープ5およびインクリボン6を挟持しながら、ラベル排出口34側に向かって送り出すことにより、ラベル排出口34から印字されたラベル用テープ5およびインクリボン6を引き出すことができる。
また、カッター機構35は、サーマルヘッド27に対向する印刷位置から、本体容器4に形成されたラベル排出口34までの間を搬送されるラベル用テープ5の裏面側に対向するように配設されたカッター刃36と、先端部が本体容器4の側面から突出し、軸部材37によって回転可能に軸支された切断レバー38とから構成され、カッター刃36と、切断レバー38とは互いに連結されている。そして、カッター刃36は、切断レバー38の回転に伴って、ラベル用テープ5およびインクリボン6の搬送経路を横切る切断位置と、ラベル用テープ5およびインクリボン6の搬送経路から離隔した待機位置との間を往復移動することができる。なお、軸部材37と切断レバー38との間には、バネ(図示外)が配設されており、切断レバー38は、その先端部が本体容器4の側面より離れる方向に常時付勢されている。したがって、テーププリンタ1の使用者は、切断レバー38を本体容器4側に押すことにより、カッター刃36が待機位置から切断位置に移動するため、ラベル用テープ5およびインクリボン6を好きな位置で切断することができる。
次に、第1の実施形態であるテープカセット2について、図1乃至図6を参照して説明する。図2は、第1の実施形態であるテープカセット2の平面図であり、図3は、ラベル用テープ5の表面から見た平面図であり、図4は、図3に示すA−A線矢視方向断面図であり、図5は、ラベル用テープ5にインクリボン6が接着された状態を示す、ラベル用テープ5の長手方向に直交する方向の断面図であり、図6は、ラベル用テープ5にインクリボン6が接着された状態を示す、微弱粘着材層8の長手方向に平行な断面図である。また、図2において、図2の上側をテープカセット2の後端側とし、図2の下側をテープカセット2の前端側とする。なお、図1に示すように、第1の実施形態であるテープカセット2は、ラベル用テープ5の表面に微弱粘着材を塗布し、ラベル用テープ5の表面にインクリボン6を圧接して接着した状態でテーププリンタ1に供給するものである。
まず、テープカセット2の概略構造について説明する。図2に示すように(以下、左右等の方向は図示に基づく)、テープカセット2は、略直方体状のカセット容器10をハウジングとして備えている。そして、当該カセット容器10の右後方角部には、カセット容器10の後方に向かってやや突出し、さらにその先端が左側方に折り返されて延設されたガイド延設部22が設けられている。そして、ガイド延設部22の先端部近傍の前側には、ラベル用テープ5にインクリボン6が重合された状態で排出される排出口15が形成されている。そして、排出口15は、カセット容器10の内側と挿通するため、ガイド延設部22内には、ラベル用テープ5およびインクリボン6の搬送経路が形成されている。さらに、ガイド延設部22の排出口15の後方側の縁部には、排出されるラベル用テープ5およびインクリボン6を前方からやや押し上げながら支持し、回転可能に軸支された下ガイドローラ42が設けられている。また、排出口15の先端側の縁部には、先端がコブ状に形成され、排出されるラベル用テープ5およびインクリボン6に対して後方から接触してやや押圧する上ガイド支持部43が設けられている。そして、これら下ガイドローラ42および上ガイド支持部43によって、搬送されるラベル用テープ5およびインクリボン6の搬送方向が定められ、ラベル用テープ5およびインクリボン6にできる弛みを防止することができる。
一方、カセット容器10の後端部の左側の外側面には、平面視略台形状のテープガイド部24が突設され、そのテープガイド部24の内側には、印字済みのラベル用テープ5およびインクリボン6を通過させ、テーププリンタ1のラベル排出口34側(図1参照)に案内するガイド通路25が形成されている。そして、ガイド延設部22の内側面と、カセット容器10の後端側の外側面と、テープガイド部24の内側面とで囲まれる内側には、平面視略U字型の印字溝部21が形成されている。そして、テープカセット2のテーププリンタ1への装着時には、この印字溝部21の内側に、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31等(図1参照)が嵌るようになっている。
また、図2に示すように、カセット容器10の内側において、カセット容器10内の略中央に設けられ、ラベル用テープ5が外周面に巻き付けられた略円筒状のラベル用テープスプール12が回転可能に軸支されている。一方、ラベル用テープスプール12の後方には、インクリボン6が外周面に巻き付けられた略円筒状のインクリボンスプール13が回転可能に軸支されている。さらに、ガイド延設部22の折り返し付近に設けられ、ラベル用テープスプール12から引き出されたラベル用テープ5と、インクリボンスプール13から引き出されたインクリボン6とを重合した状態で挟持し、それらを両面から圧接する圧接ローラ30が配設されている。この圧接ローラ30は、下ローラ28および上ローラ29が一対となって構成され、下ローラ28は軸支部材28aによって軸支され、上ローラ29は軸支部材29aによって軸支されている。そして、下ローラ28の外周面にはインクリボン6の裏面が接触し、上ローラ29の外周面にはラベル用テープ5の裏面が接触するようになっている。また、圧接ローラ30と、インクリボンスプール13とを結ぶ中間位置には、インクリボンスプール13から引き出されたインクリボン6を、圧接ローラ30に向かって方向転換させ、搬送するための転換ローラ33が、カセット容器10とガイド延設部22との接続部付近の内側面に設けられている。
次に、インクリボン6について説明する。図2に示すインクリボン6は、その表面全体に、感熱転写用のインク層が形成されている。そして、このインクリボン6の裏面側に、サーマルヘッド27(図1参照)が接触して感熱転写されることにより、インクリボン6の表面のインク層に接触するラベル用テープ5の表面に形成された印字領域に印字されるようになっている。そして、図2に示すように、このようなインクリボン6は、インク層が形成された表面が内側、裏面が外側になるように、インクリボンスプール13に巻き付けられている。
次に、ラベル用テープ5について説明する。図3に示すように、ラベル用テープ5は、平面視略帯状に形成されている。そして、図4に示すように、ラベル用テープ5は、テープ本体となる印字用テープ9と、当該印字用テープ9の裏面に塗布された粘着材(図示外)と、当該粘着材を被覆するように積層された剥離紙19とから構成されている。さらに、図3および図4に示すように、印字用テープ9の表面には、文字や図柄が印字される印字領域が、テープの幅方向両端部近傍を除いた部分に形成されている。この印字領域は、使用されるテープ幅によって幅方向の長さが変更される。一例として、ラベル用テープ5の幅が12mmの場合、テープの幅方向両端部より幅3mmずつを除いた幅6mmの印字領域がテープ表面の長さ方向に沿って形成されている。なお、印字用テープ9の材質は、主にラミネートが使用されるが、その他の材質でもよく、例えば、布等でもよい。
さらに、図3および図4に示すように、印字用テープ9表面の、印字領域を除いた幅方向両端部近傍には、微弱粘着材が塗布された微弱粘着材層8,8が形成されている。この微弱粘着材層8,8に塗布される微弱粘着材の具体例としては、水系粘着材であるRE−339、RE−330、T−700(綜研化学株式会社製)などが挙げられる。なお、微弱粘着材は、これらに限らず、弱い粘着性であって、かつ印字後のテープ表面から簡単に剥離する粘着材であればよい。そして、このような構造からなるラベル用テープ5は、剥離紙19が積層される裏面が外側、微弱粘着材層8,8が形成された表面が内側になるように、図2に示すラベル用テープスプール12に巻き付けられている。
次に、上記構成からなるテープカセット2におけるラベル用テープ5の供給機構について、図1および図2を参照して説明する。図2に示すように、ラベル用テープスプール12から引き出されたラベル用テープ5の長手方向先端部は、そのまま圧接ローラ30に向かって搬送される。一方、インクリボンスプール13より引き出されたインクリボン6の長手方向先端部も、転換ローラ33で方向転換され、圧接ローラ30に向かって搬送される。そして、圧接ローラ30において、ラベル用テープ5の表面と、インクリボン6の表面とが徐々に対向し、下ローラ28の外周面には、インクリボン6の裏面が接触し、上ローラ29の外周面には、ラベル用テープ5の裏面が接触する。さらに、図5および図6に示すように、ラベル用テープ5の、微弱粘着材層8が形成された表面に対して、インクリボン6の表面が重合して、下ローラ28および上ローラ29によって圧接されるので、ラベル用テープ5の表面に、インクリボン6の表面が、接着力の弱い微弱粘着材によって接着される。
そして、図2に示すように、圧接ローラ30を通過した後のラベル用テープ5およびインクリボン6は互いに重合して接着した状態(図5および図6参照)で、ガイド延設部22内を搬送され、排出口15より排出される。また、圧接ローラ30は、ガイド延設部22内に設けられ、排出口15に近いため、圧接ローラ30によって圧接された直後のラベル用テープ5およびインクリボン6を排出することができる。よって、インクリボン6をラベル用テープ5に確実に接着させた状態で、図1に示すテーププリンタ1のサーマルヘッド27およびおプラテン31間に供給することができる。
次いで、図1に示すように、テープカセット2の排出口15から排出されたラベル用テープ5は、その表面にインクリボン6が重合して接着された状態で、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間に供給される。そして、サーマルヘッド27によって、インクリボン6の裏面側から、感熱転写されることにより、インクリボン6の表面に接するラベル用テープ5の表面の印字領域に印字される。この時、インクリボン6は、ラベル用テープ5の表面に接着されているので、インクリボン6が感熱転写されても、インクリボン6が、ラベル用テープ5の表面よりズレないため、インクリボン6の走行不良を防止することができる。さらに、印字されたラベル用テープ5は、その裏面にインクリボン6が接着したままの状態で、図2に示すテープカセット2のテープガイド部24のガイド通路25を通過し、テーププリンタ1のラベル排出口34側に搬送される。そして、ラベル排出口34からは、印字されたラベル用テープ5が、その表面にインクリボン6が接着された状態で排出される。そして、ラベル用テープ5表面の微弱粘着材層8,8の粘着性は極めて弱いため、ラベル用テープ5の表面からインクリボン6を容易に剥離することができる。また、インクリボン6を剥離したラベル用テープ5の表面には、乾燥して固化した微弱粘着材が若干付着するが、放置しただけで自然に剥がれ落ちるため、ラベル用テープ5の外観を汚すこともない。
以上説明したように、本発明の第1の実施形態であるテープカセット2によれば、ラベル用テープ5の表面において、テープの幅方向両端部近傍の印字領域外には、微弱粘着材が塗布された微弱粘着材層8が各々設けられている。そして、このようなラベル用テープ5の表面に、インクリボン6の表面が重合され、圧接ローラ30によって互いに圧接される。よって、ラベル用テープ5の表面に、インクリボン6の表面を弱く接着することができる。さらに、圧接ローラ30は、排出口15から近い位置に配設されているため、ラベル用テープ5およびインクリボン6は、圧接されてすぐに排出口15から排出することができる。そして、インクリボン6が、ラベル用テープ5の表面から剥がれたりせず、確実に接着した状態で、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間に搬送させることができる。よって、サーマルヘッド27によって、インクリボン6が感熱転写されても、インクリボン6は、ラベル用テープ5の表面に接着されてズレないため、インクリボン6の走行不良を防止することができる。また、ラベル用テープ5の表面に形成された微弱粘着材層8の微弱粘着材の粘着性は極めて弱いため、ラベル用テープ5の表面からインクリボン6を容易に剥離することができる。また、インクリボン6を剥離したラベル用テープ5の表面に付着する乾燥した微弱粘着材は、自然に剥がれ落ちるため、ラベル用テープ5の外観を汚すこともない。
次に、本発明の第2の実施形態であるテープカセット20について、図1、図7乃至図10を参照して説明する。図7は、第2の実施形態であるテープカセット20の平面図であり、図8は、圧接ローラ300近傍の部分拡大図であり、図9は、図8のB−B線矢視方向断面図であり、図10は、圧接ローラ300の圧接後の、ラベル用テープ50およびインクリボン60の長手方向に平行、かつ幅方向一端部近傍に沿った断面図である。なお、図7に示すように、第2の実施形態のテープカセット20は、第1の実施形態の圧接ローラ30と構造の異なる圧接ローラ300を備え、ラベル用テープ50およびインクリボン60を互いに重合して仮固定するものである。そして、第2の実施形態であるテープカセット20は、第1の実施形態であるテープカセット2とほぼ同じ構造を有し、圧接ローラ30と構造の異なる圧接ローラ300を有している。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態のテープカセット2と構造が共通する部分は、上記説明を援用しながら概略的に説明し、構造の異なる圧接ローラ300の下ローラ280を中心に説明する。なお、図7において、図7の上側をテープカセット20の後端側とし、図7の下側をテープカセット20の前端側とする。
はじめに、テープカセット20の構造について説明する。図7に示すように、テープカセット20は、平面視略長方形状のカセット容器100をハウジングとして備えている。そして、カセット容器100の右後方角部には、カセット容器100の後方に向かって突設され、さらにその先端が左側方に折り返されて延設されたガイド延設部220が設けられている。また、ガイド延設部220の先端部近傍の前側には、印字される前のラベル用テープ50およびインクリボン60が重合して仮固定された状態で排出される排出口150が形成されている。
そして、カセット容器100の略中央には、ラベル用テープ50が外周面に巻き付けられた略円筒状のラベル用テープスプール120が回転可能に軸支されている。一方、ラベル用テープスプール120の後方には、インクリボン60が外周面に巻き付けられた略円筒状のインクリボンスプール130が回転可能に軸支されている。さらに、ガイド延設部220の折り返し付近の内側に設けられ、ラベル用テープスプール120から引き出されたラベル用テープ50と、インクリボンスプール130から引き出されたインクリボン60とを重合した状態で挟持し、それらを圧接して仮固定する圧接ローラ300が配設されている。また、カセット容器100と、ガイド延設部220との接続部付近の内側面には、転換ローラ330が設けられている。
次に、圧接ローラ300について説明する。図8および図9に示すように、圧接ローラ300は、下ローラ280と、上ローラ290とから構成され、下ローラ280は軸支部材280aによって軸支され、上ローラ290は軸支部材290aによって軸支されている。そして、下ローラ280の外周面の幅方向両端部近傍には、径方向外側に向かって、外周面より略垂直に突設された針状の突起部285が複数突設され、外周面の一端側に4本、他端側に4本ずつ等間隔で設けられている。さらに、これら突起部285は、下ローラ280の、ラベル用テープ50の表面に形成された印字領域に対向しない位置に設けられ、ラベル用テープ50の印字領域外である幅方向両端部近傍に対向するようになっている。なお、突起部285を突設する本数は、本実施形態に限られず、これより多くても少なくてもよい。また、突起部285を、下ローラ280の幅方向の一端部のみに設けてもよい。さらに、突起部285を、下ローラ280ではなく、上ローラ290の外周面に設けてもよい。また、突起部285を、下ローラ280および上ローラ290の何れにも設け、各突起部285が互い違いになるようにして設けてもよい。
次に、ラベル用テープ50について説明する。図8に示すように、ラベル用テープ50は、印字される印字用テープ90と、当該印字用テープ90の裏面に塗布された粘着材(図示外)と、当該粘着材を被覆するように積層された剥離紙190とから構成されている。そして、第1の実施形態のラベル用テープ5と同様に、印字用テープ90の表面には、文字や図柄が印字される印字領域(図3参照)が、テープの幅方向両端部近傍を除いた部分に形成されている。なお、ラベル用テープ50の印字用テープ90は、布を材質とした布テープであり、衣服にアイロン付けで接着させることが可能である。また、印字用テープ90の材質は、布に限らず、ラミネートなどの他の材質を用いてもよい。なお、図8に示す印字用テープ90が、「テープの基材」に相当する。
次に、上記構成からなるテープカセット20におけるラベル用テープ50の供給機構について説明する。図7に示すように、ラベル用テープスプール120から引き出されたラベル用テープ50の長手方向先端部は、圧接ローラ300に向かって搬送される。一方、インクリボンスプール130より引き出されたインクリボン60の長手方向先端部も、転換ローラ330で方向転換され、圧接ローラ300に向かって搬送される。そして図8に示すように、圧接ローラ300において、ラベル用テープ50の表面と、インクリボン60の表面とが徐々に互いに対向する。さらに、下ローラ280の外周面に突設された突起部285に、インクリボン60の裏面が接触する。そして、下ローラ280の回転とともに、複数の突起部285は、インクリボン60の幅方向両端部近傍に対して順に圧入する(図9参照)。次いで、インクリボン60が上ローラ290に近づくにつれ、インクリボン60の表面にラベル用テープ50の表面が覆設して重合される。そして、図9に示すように、インクリボン60に対して圧入された下ローラ280の突起部285の先端部が、インクリボン60を介して、ラベル用テープ50の幅方向両端部近傍に対して順に圧入する。すると、図8および図10に示すように、突起部285に圧入されたインクリボン60およびラベル用テープ50の場所には、突起状の凸状穴72が、インクリボン60側からラベル用テープ50側に向かって形成される。そして、この凸状穴72では、インクリボン60がラベル用テープ50側に向かって食い込んで圧入されているので、インクリボン60がラベル用テープ50の表面に仮固定された状態となる。
そして、図7に示すように、圧接ローラ300を通過後は、ラベル用テープ50と、インクリボン60とは互いにズレることなく、ガイド延設部220内を搬送され、排出口150より排出される。また、圧接ローラ300は、ガイド延設部220内に設けられ、排出口150に近い位置にあるため、圧接ローラ300によって圧接され、突起部285によって仮固定された直後のラベル用テープ50およびインクリボン60を排出することができる。したがって、インクリボン60をラベル用テープ50の表面に確実に仮固定した状態で、図1に示すテーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間に供給することができる。
次いで、テープカセット20の排出口150から排出されたラベル用テープ50は、その表面側にインクリボン60が仮固定された状態で、図1に示すテーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間に供給される。そして、サーマルヘッド27によって、インクリボン60側から感熱転写されることにより、インクリボン60の表面と接するラベル用テープ50の表面の印字領域に印字される。この時、図10に示すように、インクリボン60は、ラベル用テープ50の表面に仮固定されているので、インクリボン60が感熱転写されても、インクリボン60が、ラベル用テープ50の表面よりズレることがなく、インクリボン60の走行不良を防止することができる。また、印字されたラベル用テープ50は、その表面にインクリボン60が仮固定された状態であるため、インクリボン60を剥がすことにより、印字用テープ90を使用することができる。また、印字用テープ90は、布テープであるため、印字用テープ90に形成された凸状穴72は自然に塞がる。よって、印字用テープ90にできた凸状穴72を目立たなくすることができる。
以上説明したように、第2の実施形態であるテープカセット20は、第1の実施形態であるテープカセット2の圧接ローラ30を変形した圧接ローラ300を備えたものである。この圧接ローラ300では、下ローラ280の外周面に突設された複数の突起部285が、ラベル用テープ50の表面に重合されたインクリボン60の幅方向両端部近傍に対して順に圧入する。すると、突起部285に圧入されたインクリボン60およびラベル用テープ50の場所には、突起状の凸状穴72が、インクリボン60側からラベル用テープ50側に向かって形成される。したがって、凸状穴72では、インクリボン60が、ラベル用テープ50に向かって食い込んで圧入されるため、ラベル用テープ50の表面に、インクリボン60を仮固定することができる。そして、圧接ローラ300は、排出口150から近い位置に配設されているため、ラベル用テープ50およびインクリボン60は、仮固定されてすぐに排出口150から排出される。したがって、インクリボン60は、ラベル用テープ50の表面から剥がれることなく、確実に仮固定された状態で、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31に搬送される。そして、インクリボン60が感熱転写されても、インクリボン60が、ラベル用テープ50の表面よりズレることがないため、インクリボンの走行不良を防止することができる。また、印字用テープ90は布製であるため、突起部285が圧入され、凸状穴72が形成されても、印字用テープ90の凸状穴72は自然に塞がるので、印字用テープ90にできた凸状穴72を目立たなくすることができる。
次に、本発明の第3の実施形態であるテープカセット200について、図1、図11乃至図13を参照して説明する。図11は、第3の実施形態であるテープカセット200の平面図であり、図12は、重合テープ700の長手方向に直交する方向の断面図であり、図13は、重合テープ700の長手方向に直交する方向であって、かつ幅方向一端部近傍に沿った断面図である。なお、第3の実施形態であるテープカセット200は、第1の実施形態であるテープカセット2を変形したものであり、ラベル用テープ500およびインクリボン600を予め接着させた重合テープ700を、一本の繰り出しスプール125に巻き付けることにより、カセット内の構造を簡略化したものである。なお、第3の実施形態のテープカセット200は、図11に示すように、第1の実施形態のテープカセット2のラベル用テープスプール12およびインクリボンスプール13の代わりに、一本の繰り出しスプール125を備え、それ以外の構造は全て同じである。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態のテープカセット2の構造と共通する部分は、上記説明を援用して概略的に説明し、構造の異なる繰り出しスプール125と、重合テープ700とを中心に説明する。なお、図11において、図11の上側をテープカセット200の後端側とし、図11の下側をテープカセット200の前端側とする。また、図11に示す繰り出しスプール125が、「スプール」に相当する。
テープカセット200の構造について説明する。図11に示すように、テープカセット200は、平面視略長方形状のカセット容器160をハウジングとして備えている。そして、カセット容器160の右後方角部には、カセット容器160の後方に向かって突設され、さらにその先端が左側方に折り返されて延設されたガイド延設部225が設けられている。また、ガイド延設部225の先端部近傍の前側には、印字される前の重合テープ700が排出される排出口155が形成されている。そして、カセット容器160の内側の略中央には、重合テープ700が外周面に巻き付けられた略円筒状の繰り出しスプール125が回転可能に軸支されている。
次に、重合テープ700について説明する。図12および図13に示すように、重合テープ700は、ラベル用テープ500と、インクリボン600とを互いに微弱粘着材で重合して接着したものである。ラベル用テープ500は、テープ本体となる印字用テープ95と、当該印字用テープ95の裏面に塗布された粘着材(図示外)と、当該粘着材を被覆するように積層された剥離紙195とから構成されている。印字用テープ95の表面において、テープの幅方向両端部近傍を除いた部分には、印字領域(図3参照)が形成されている。そして、印字用テープ95表面の、印字領域を除いた幅方向両端部近傍には、微弱粘着材が塗布された微弱粘着材層80が各々形成されている。なお、印字用テープ95の材質は、ラミネートであるが、他の材質でもよく、布等でもよい。一方、インクリボン600は、表面に感熱転写性のインク層を備えている。そして、このようなラベル用テープ500の表面に、インクリボン600の表面が重合されることにより、インクリボン600は、微弱粘着材層80を介してラベル用テープ500に接着され、重合テープ700が構成される。さらに、図11に示すように、重合テープ700は、インクリボン600側が内側、ラベル用テープ500側が外側となるように、繰り出しスプール125の外周面に巻き付けられている。
以上説明したように、第3の実施形態であるテープカセット200には、ラベル用テープ500およびインクリボン600を重合して、予め微弱粘着材で接着された重合テープ700が使用される。そして、カセット容器160内には、重合テープ700が巻かれた一本の繰り出しスプール125だけが設けられている。したがって、テープカセット200のカセット容器160内の構造が簡略化されるので、重合テープ700の交換が容易となる。また、第1の実施形態のテープカセット2のように、カセット容器10内でラベル用テープ5およびインクリボン6を重合して接着する工程を有さずに、予め互いに接着して繰り出しスプール125に巻き付けるため、ラベル用テープ500とインクリボン600がズレて接着されるのを防止することもできる。そして、テープカセット200の排出口155からは、重合テープ700が排出されるため、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間には、ラベル用テープ500およびインクリボン600が確実に互いに接着した状態で供給される。したがって、インクリボン600がサーマルヘッド27により感熱転写されても、ラベル用テープ500の表面よりズレないので、インクリボン600の走行不良を防止することができる。
次に、重合テープ700の第1の変形例について、図14および図15を参照して説明する。図14は、重合テープ701の、インクリボン610側から見た平面図であり、図15は、図14のC−C線矢視方向断面図である。なお、第1の変形例である重合テープ701は、第3の実施形態であるテープカセット200の繰り出しスプール125に巻き付けられた重合テープ700と構造が異なる。
重合テープ701について説明する。図15に示すように、重合テープ701は、上記実施形態と同様に、ラベル用テープ510と、インクリボン610とから構成されている。そして、ラベル用テープ510は、テープ本体となる印字用テープ97と、当該印字用テープ97の裏面に塗布された粘着材(図示外)と、当該粘着材を被覆するように積層された剥離紙197とから構成されている。また、印字用テープ97の表面において、テープの幅方向両端部近傍を除いた部分には、印字領域が形成されている。なお、印字用テープ97の材質は、ラミネートであるが、他の材質でもよく、布等でもよい。一方、インクリボン610は、表面に感熱転写性のインク層を備えている。
そして、このようなラベル用テープ510の表面に、インクリボン610の表面が重合され、図14に示すように、インクリボン610側の面に対して、ダイカット加工が施されることにより、平面視略長方形状のダイカット部400が形成される。そして、図15に示すように、ダイカット部400の外縁に沿って、先端が尖った溝部420が形成される。このため、溝部420において、インクリボン610は、ラベル用テープ510に向かって食い込んで圧入されるため、ラベル用テープ510の表面に対して仮固定することができる。また、図14に示すように、重合テープ701に形成されるダイカット部400は略長方形状に形成されるが、上から見た各角部401はR状に切断されている。したがって、ラベル用テープ510の印字用テープ97を貼り付けた後でも、印字用テープ97をめくれにくくすることができる。そして、このような重合テープ701は、インクリボン610側が内側、ラベル用テープ510側が外側となるように、図11に示すテープカセット200の繰り出しスプール125の外周面に巻き付けられる。
以上説明したように、重合テープ700の第1の変形例によれば、重合テープ700は、ラベル用テープ510およびインクリボン610が重合された状態でダイカット加工が施されている。そして、ダイカット加工された重合テープ701では、インクリボン610を、ラベル用テープ510の表面に対して仮固定することができる。また、ラベル用テープ510の表面に形成される略長方形状の溝部420の各角部401は、R状に切断されているので、ラベル用テープ510の印字用テープ97を貼り付け後、印字用テープ97のめくれを防止することができる。そして、図11に示すテープカセット200の排出口155からは、重合テープ701が排出されるため、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間には、ラベル用テープ510およびインクリボン610が確実に接着した状態で供給される。したがって、インクリボン610がサーマルヘッド27により感熱転写されても、ラベル用テープ510の表面よりズレないので、インクリボン610の走行不良を防止することができる。
次に、重合テープ700の第2の変形例について、図16および図17を参照して説明する。図16は、重合テープ702の、インクリボン620側から見た平面図であり、図17は、図16のD−D線矢視方向断面図である。なお、第2の変形例である重合テープ702は、第3の実施形態であるテープカセット200の繰り出しスプール125に巻き付けられた重合テープ700と構造が異なっている。
重合テープ702について説明する。図16および図17に示すように、重合テープ702は、上記実施形態と同様に、ラベル用テープ520と、インクリボン620とから構成されている。そして、ラベル用テープ520は、テープ本体となる印字用テープ98と、当該印字用テープ98の裏面に塗布された粘着材(図示外)と、当該粘着材を被覆するように積層された剥離紙198とから構成されている。また、印字用テープ98の表面において、テープの幅方向両端部近傍を除いた部分には、印字領域(図3参照)が形成されている。なお、印字用テープ98の材質は、ラミネートであるが、他の材質でもよく、布等でもよい。一方、インクリボン620は、表面に感熱転写性のインク層を備えている。そして、このようなラベル用テープ520の表面に、インクリボン620の表面が重合されている。そして、インクリボン620側の、リボンの幅方向両端部近傍に沿って、略台形状のエンボス加工が施されている。そして、図17に示すように、エンボス加工された重合テープ702には、ラベル用テープ520側に向かって略台形状に突出する穴部430が形成されている。よって、穴部430では、インクリボン620は、ラベル用テープ520に向かって食い込むように圧入されるため、ラベル用テープ520の表面に対してインクリボン620を仮固定することができる。また、印字用テープ98がラミネート製で、エンボス加工された場合は、印字用テープ98に形成された穴部430は貫通せず、やや陥没した凹部が表面に形成されるだけであるので、外観上ほとんど目立たない。そして、このような重合テープ702は、インクリボン620側が内側、ラベル用テープ520側が外側となるように、図11に示す繰り出しスプール125の外周面に巻き付けられるようになっている。
以上説明したように、重合テープ700の第2の変形例によれば、テープカセット200に装着されるのは、エンボス加工が施された重合テープ702である。重合テープ702は、インクリボン620側からエンボス加工されているので、インクリボン620を、ラベル用テープ520の表面に対して仮固定することができる。また、ラベル用テープ520がラミネート製である場合は、エンボス加工であるため、ラベル用テープ520に穴が開いたりせず、印字用テープ98を傷つけることがない。そして、図11に示すテープカセット200の排出口155からは、重合テープ702が排出されるため、テーププリンタ1のサーマルヘッド27およびプラテン31間には、ラベル用テープ520およびインクリボン620が確実に接着した状態で供給される。したがって、インクリボン620がサーマルヘッド27により感熱転写されても、ラベル用テープ520の表面よりズレないので、インクリボン620の走行不良を防止することができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。
例えば、第2の実施形態のテープカセット20において、ラベル用テープ50と、インクリボン60とを別々のスプールに巻き付け、圧接ローラ300で圧接して、突起部285で仮固定したが、第3の実施形態のテープカセット200のように、ラベル用テープ50と、インクリボン60とを、突起物のようなものを圧入して、先に仮固定して、繰り出しスプール125に巻き付けてもよい。
また、第1の実施形態で、ラベル用テープ5の幅方向両端部近傍に、微弱粘着材層8を設けたが、テープの両端部のうち一端部近傍だけでもよい。さらに、第3の実施形態でも、ラベル用テープ500の幅方向両端部近傍に、微弱粘着材層80を設けたが、テープの両端部のうち一端部近傍だけでもよい。また、第2の実施形態で、下ローラ280の外周面の幅方向両端部近傍に突起部285を各々設けたが、ローラの両端部のうち一端部近傍だけでもよい。さらに、第4の実施形態で、重合テープ702の幅方向両端部近傍に沿うように、エンボス加工が施されているが、テープの両端部のうち一端部近傍だけでもよい。また、エンボス形状は略台形状に限らず、例えば、図10に示すように、突起状の凸状穴でもよいし、またその他の形状でもよい。