JP4378565B2 - アルコキシシラン化合物 - Google Patents

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本発明は、新規なアルコキシシラン化合物に関する。本化合物は、特に、光学部材例えば、眼鏡レンズあるいは窓ガラス等の表面改質剤として有用である。
従来から光学体、例えば眼鏡レンズの曇りを防止するための技術がいくつか提案されてきている。曇り防止に作用の点から大きく分けてレンズ表面に吸水性樹脂を被覆することと、いわゆる濡れ現象を利用する2つのタイプが挙げられる。但し、近年では吸水性樹脂による防曇作用は吸水性樹脂を被覆すると表面硬度が低くなってしまうことと、その厚みから反射防止レンズには使用できないことから、後者の濡れ現象を利用した防曇レンズの開発が主流である。濡れ現象とは要はレンズに付着する水分の表面張力による水滴化を防止するもので、レンズ表面に界面活性剤を塗布することが最も一般的である。
このような界面活性剤を塗布してレンズの曇り防止を図った技術として特許文献1に掲げるような技術がある。同文献1では基材表面に酸化チタンを含有する無機親水性硬質層を形成する技術が開示されている。そして、この無機親水性硬質層の表面に塗布された界面活性剤を安定化させるというものである。
特開2003−15092号
ところで、光学体で留意しなければならない課題として水ヤケの問題がある。上記文献1のような界面活性剤の安定化を主目的にすると一般的にはレンズ表面を親水化することとなるため水ヤケしやすくなってしまうからである。ここで水ヤケしやすさは界面活性剤層があれば見かけ上軽減されるが、本質的には下地表面の性質によって決まるものであり、特に界面活性剤層が不十分な状態で使用した場合には下地表面の性質がそのまま現れてしまい、レンズ表面に水ヤケが発生してしまうこととなる。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、水ヤケを防止しつつ、界面活性剤の安定化を図ることができる下地処理層を光学部材表面に形成する新規なアルコキシシラン化合物の提供を目的とする。
即ち本発明は、一般式(1):

Figure 0004378565
[式中、
Rは、同一であっても異なっていてもよく、そして水素原子又は−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH33若しくは−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH2CH33を示し(但し、Rのうち少なくとも一つは−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH33若しくは−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH2CH33を示す。);
mは、0、1または2を示し;
nは、同一であっても異なっていてもよく、そして0〜50の整数を示し、nの総合計は3〜50である。]で表されるアルコキシシラン化合物を提供する。
nは、0〜50、好ましくは0〜20の整数を示し、そして「nの総合計」は3〜50、好ましくは8〜26である。
また、「nの総合計」が最小値3である一般式(1)のアルコキシシラン化合物は、mが0である場合を例に挙げると、グリセリンの3つの水酸基のうち1つに−(CH2CH2O)3−が付加しているものであっても、グリセリンの3つの水酸基全てに−CH2CH2O−が付加しているものであっても、またはグリセリンの3つの水酸基のうち2つに−CH2CH2O−および−(CH2CH2O)2−がそれぞれ付加しているものであってもよい。この場合、−(CH2CH2O)n−が付加するグリセリンの水酸基の位置は中央のものであっても末端のものであってもよい。
本発明はまた、上記一般式(1)のアルコキシシラン化合物を含む表面改質剤を提供する。
本発明による表面処理剤の製造法は特に限定的ではないが、好適な製造法を以下に説明する。先ず、一般式(2):
Figure 0004378565
(式中、mは0、1または2を示す。nは0〜50の整数を示し、nは同一であっても異なっていてもよい。nの総合計は3〜50である。)で示されるグリセリン及びポリ(重合度1〜3)グリセリンのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド平均付加モル数3〜50)と一般式(3):
[化3]
OCN−CH2CH2CH2−Si(OCH33 (3)
(KBM−9007、信越化学工業(株)製)
及び/又は一般式(4):
[化4]
OCN−CH2CH2CH2−Si(OCH2CH33 (4)
(KBE−9007、信越化学工業(株)製)を無溶媒で反応させることによって得ることができる。
尚、反応温度は通常0〜100℃、好ましくは、20〜50℃である。
尚、一般式(2)の化合物は、従来の方法、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンに酸触媒又はアルカリ触媒下でエチレンオキシドを付加させることによって製造することができる。
本発明のアルコキシシラン化合物により下地処理層が形成される光学体(又は、光学部材)としては、曇り防止・水ヤケ防止処理が必要と考えられる物品、例えば眼鏡用レンズ、双眼鏡、望遠鏡のレンズ、窓ガラス、CRT等の光学ディスプレイ、光学フィルター等が挙げられるが、これらに限定されない。
光学体基材の素材としては、例えば無機ガラス及びプラスチックを使用することができる。無機ガラスとしてはSiO2を主成分とするものが挙げられる。また、プラスチックとしては例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂等が挙げられる。
光学体の基材表面上に直接、あるいは光学体の基材表面上に形成された被膜表面上に、本発明のアルコキシシラン化合物を含む表面改質剤(又は、下地処理剤ともいう)を塗布等することによって、下地処理層が形成される。ここで、光学体の基材表面に形成される被膜としては、本発明のアルコキシシラン化合物と反応して十分な密着力を有する被膜であれば特に限定されず、例えば、酸化物被膜やフッ化マグネシウム被膜が挙げられる。また、光学体基材の素材自体が酸化物を含有していてもよく、この場合基材自体が酸化物表面を形成し得る。
光学体の基材表面に形成される酸化物被膜としては、例えばハードコート膜、反射防止膜等が挙げられる。
ハードコート膜はコート用のハードコート液に浸漬し、その後公知の方法にて溶媒を蒸発させて形成される。
ハードコート膜は、特にオルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物微粒子から構成されることが好ましい。そのためのハードコート液は水又はアルコール系の溶媒にオルガノシロキサン系樹脂と無機酸化物微粒子ゾルを分散(混合)させて調整される。
オルガノシロキサン系樹脂はアルコキシシランを加水分解し縮合させて得られるものが好ましい。アルコキシシランの具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルシリケートなどが挙げられる。これらアルコキシシランの加水分解縮合物は、前述のアルコキシシラン化合物を単独または2種類以上組合せ、塩酸等の酸性水溶液で加水分解することによって製造される。
無機酸化物微粒子の具体的な例としては、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ベリリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化セリウム等の各ゾルを単独で又は2種類以上を混晶化して使用可能である。2種類以上を複合化した例としては、例えば、酸化スズと酸化タングステンの複合ゾルが挙げられる。無機酸化物微粒子の大きさはハードコート膜の透明性に関連するので重要である。無機酸化物微粒子の大きさは100nm以下であることが必要であり、特に1〜50nmであることが好ましい。無機酸化物微粒子の配合量はハードコート膜の硬さ、強靭性に大きく影響する。通常はハードコート成分中、40〜60重量パーセントが好ましい。
またハードコート液中には必要に応じ、硬化触媒として、アセチルアセトン金属塩、エチレンジアミン四酢酸金属塩などを添加することも可能である。さらに必要に応じ、界面活性剤、着色剤、溶媒などを添加してコーティング剤を調整することも可能である。
ハードコート膜の膜厚は0.5〜4.0μm、特に1.0〜3.0μmの範囲が好ましい。このような範囲とした点についてまず膜厚0.5μm以上としたのは、薄過ぎる場合には所望の硬度が得られないためである。一方、膜厚を4.0μm以上にすると硬度は上げ易いが、本レンズのクラックが発生しやすくなり、さらに脆くなりやすいなど物性面への問題が生じるためにこのように上限を設定することが好ましい。
反射防止膜は公知の蒸着法やイオンスパッタリング法等により形成されている。反射防止層は、光学理論に基づいた多層構造膜が採用される。膜材料としては、SiO、SiO2、Al23、Y23、Yb23、CeO2、ZrO2、Ta23、TiO2、など一般的な無機酸化物を使用することができる。
反射防止膜は特性の異なるこれらを材料とした薄膜を周知の手段(例えば蒸着)により定石に従って1層から順に蒸着して形成される。
下地処理層は、本発明の一般式(1)のアルコキシシラン化合物を含む下地処理剤(本明細書中で、表面改質剤または表面処理剤ともいう)を、基材又は基材上に形成された被膜(例えば、酸化物被膜)上に、塗布(手塗り、ディッピング法、スピンコート法)、蒸着又はイオンスパッタリング法によって形成される。塗布される場合には下地処理剤には粘度を調整するために溶剤を加えても良い。溶剤としては酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が好ましい。下地処理層の水に対する接触角は50〜90°の範囲に含まれることが必要である。
下地処理剤として使用される一般式(1)のアルコキシシラン化合物は、−(CH2CH2O)n−で示されるポリオキシエチレン基を含む親水部と、基材と反応するカップリング部を有している。
基材と反応するカップリング部は、−Si(OCH2CH33又は−Si(OCH33で表わされるアルコキシシラン基Rであり、この官能基は基材側との結合の関係で好適である。即ち、アルコキシシラン基Rが、基材側のシラノール基−SiOHと反応して共有結合することによって(例えば反射防止膜中の最外層膜に由来するSiO2と反応する)、形成される下地層の耐久性が向上すると考えられる。
下地処理剤に含まれる本発明の一般式(1)で表わされるアルコキシシラン化合物はカップリング部によって基材(酸化物被膜)上に固定されることになる。また、分子量としては430〜3700の範囲のものが使用可能であり、特に600〜2700の範囲が好ましい。
下地処理層の厚みは0.5〜20nm好ましくは1〜10nmである。
下地処理剤は上記いずれかの手段でコーティングされ、常温〜120℃の温度域で30分〜2時間加熱される。特に50〜70℃の温度域で1〜2時間加熱するのが好ましい。
下地処理層の上に形成される防曇層を構成する界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系及びカチオン系が挙げられ、特にノニオン系が好ましいがノニオン系を主体とし異種のものを複合混合して使用することも可能である。また、フッ素系と非フッ素系があるが、特にフッ素系は濡れ性の向上が期待できる。ノニオン系については本出願人の性能評価試験に基づけはHLB値が5〜15の範囲がもっとも防曇性能が高く、この範囲から外れるほど防曇性能が低下する傾向となる。防曇層の厚みは反射防止膜の反射色に影響がでない程度であることが望ましい。
防曇層は界面活性剤を塗布することで形成される。界面活性剤は所定の水又はアルコール系の溶媒に溶解させた溶液として調整される。
本発明の新規なアルコキシシラン化合物により下地処理層を形成した光学部材は、水ヤケを防止しつつ、界面活性剤を塗布することで十分な防曇効果を得ることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
<製造実施例>
実施例1
ジグリセリンエチレンオキサイド平均18モル付加物と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(モル比1:4)の反応物[即ち、一般式(1)においてm=1、nの総合計=18であるアルコキシシラン化合物]の製造
100mlのナス型フラスコ内に、ジグリセリンエチレンオキサイド平均18モル付加物30.0gとトルエン30.0gを入れ、ロータリーエバポレーターにより共沸脱水を行った。
上記脱水物14.76g(15.4mmol)と一般式(4)で示される3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン15.24g(61.6mmol)を十分乾燥させた三角フラスコ内に秤取し密栓した後、25℃以下で48時間攪拌を継続し、目的物30.00gを無色透明粘稠液体として得た。目的物の物性値を表1に示す。
Figure 0004378565
実施例2
ジグリセリンエチレンオキサイド平均8モル付加物と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(モル比1:4)の反応物[即ち、一般式(1)においてm=1、nの総合計=8であるアルコキシシラン化合物]の製造
実施例1と同様の方法で脱水したジグリセリンエチレンオキサイド平均8モル付加物10.37g(20.0mmol)と一般式(4)で示される3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン19.79g(80.0mmol)を十分乾燥させた三角フラスコ内に秤取し密栓した後、25℃以下で72時間攪拌を継続し目的物30.16gを無色透明粘稠液体として得た。目的物の物性値を表2に示す。
Figure 0004378565
実施例3
グリセリンエチレンオキサイド平均8モル付加物と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(モル比1:3)の反応物[即ち、一般式(1)においてm=0、nの総合計=8であるアルコキシシラン化合物]の製造
実施例1と同様の方法で脱水したグリセリンエチレンオキサイド平均8モル付加物11.56g(26.0mmol)と一般式(4)で示される3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン19.30g(78.0mmol)を十分乾燥させた三角フラスコ内に秤取し密栓した後、25℃以下で72時間攪拌を継続し目的物30.86gを無色透明粘稠液体として得た。目的物の物性値を表3に示す。
Figure 0004378565
実施例4
ジグリセリンエチレンオキサイド平均18モル付加物と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(モル比1:2)の反応物[即ち、一般式(1)においてm=1、nの総合計=18であるアルコキシシラン化合物]の製造
実施例1と同様の方法で脱水したジグリセリンエチレンオキサイド平均18モル付加物14.76g(15.4mmol)と一般式(4)で示される3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン7.62g(30.8mmol)を十分乾燥させた三角フラスコ内に秤取し密栓した後、25℃以下で48時間攪拌を継続し目的物22.38gを無色透明粘稠液体として得た。目的物の物性値を表4に示す。
Figure 0004378565
<性能評価実施例>
実施例5
層形成方法
A.基材(テストレンズとその作成方法)
ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド85重量部、チオフェノール15重量部の100重量部に、触媒として2−ジエタノールアミノエタノール0.5重量部を室温で均一溶液とした。次にこの液をレンズ用モールドに注入し、脱気後に引続きオーブン中で10℃から120℃まで22時間をかけてゆっくりと重合硬化させ、屈折率1.6、アッベ数36の光学特性を有する度数0.00のフラットレンズを形成した。以下、本基材については各実施例6、7及び比較例1〜4とも同様である。
B.ハードコート膜の形成(一層目)
反応容器中に、エタノール206g、メタノール分散チタニア系ゾル300g(触媒化成工業(株)製 固形分30%)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン60g、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン30g、テトラエトキシシラン60gを加え、その混合液中に0.01Nの塩酸水溶液を滴下、攪拌して加水分解を行った。次にフロー調整剤0.5g(L−7604:日本ユニカ社(株)製及び触媒1.0gを加え、室内で3時間攪拌してハードコート液を形成した。このハードコート液をAで作製した基板にディッピング法で塗布し、風乾後、110℃×2h加熱硬化させて、膜厚2.0μのハードコート膜を形成した。以下、ハードコート膜については各実施例6、7及び比較例1〜4とも同様である。
C.反射防止膜(多層膜)の形成(二層目)
上記のハードコート膜が形成されたレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着法によって、基板温度60℃で反射防止膜の形成を行った。膜の構成は、光学膜厚で下から二酸化珪素層がλ/4、酸化ジルコニウム層0.5λ/4、二酸化珪素層0.2λ/4、酸化ジルコニウム層がλ/4、最上層の二酸化珪素層がλ/4の5層膜とした。ここで、λは500nmに設定した。以下、反射防止膜については各実施例6、7及び比較例1〜4とも同様である。
D.下地処理層の形成
上記反射防止膜が形成されたレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着法によって、基板温度60℃で下地処理層の形成を行った。蒸着後1時間同温度で保持し、下地処理層を定着させた。下地処理層としては実施例1に示したアルコキシシラン化合物を用いた。水に対する接触角は64.6°とした。
E.界面活性剤層の形成
Dで作製した基板にHLB10.7のフッ素系ノニオン界面活性剤(フタージェント222F、(株)ネオス製)を手塗りで塗布した。
性能評価方法
(a)初期防曇性
界面活性剤層を形成した後、呼気による曇り具合を目視した。
[判定基準]
A:均一な水膜を形成し曇らない
B:斑な水膜を形成する
C:細かな水滴を形成し曇る
(b)耐久防曇性
水中に1分間浸漬した後すぐにエアーブロー乾燥し、呼気による曇り具合を目視した。判定基準は初期防曇性と同じである。
(c)水ヤケ防止性
界面活性剤層を水洗除去し、乾燥した表面に水道水の小さな水滴を付着させ、自然乾燥後ティッシュペーパーで拭き取ってレンズ表面に残るヤケを目視した。
[判定基準]
○:水ヤケはまったくない
△:水ヤケはほとんどないか、めだたない
×:水ヤケがめだつ
評価結果
結果を表5に示す。
実施例6
A.〜C.省略
D.下地処理層の形成
上記反射防止膜が形成されたレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着法によって、基板温度60℃で下地処理層の形成を行った。蒸着後1時間同温度で保持し、下地処理層を定着させた。下地処理層としては実施例4に示したアルコキシシラン化合物を用いた。水に対する接触角は62.3°とした。
E.界面活性剤層の形成
実施例5と同じHLB10.7のフッ素系ノニオン界面活性剤を手塗りで塗布した。
評価結果
結果を表5に示す。
実施例7
A.〜C.省略
D.下地処理層の形成
上記反射防止膜が形成されたレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着法によって、基板温度60℃で下地処理層の形成を行った。蒸着後1時間同温度で保持し、下地処理層を定着させた。下地処理層としては実施例1に示したアルコキシシラン化合物を用いた。水に対する接触角は64.6°とした。
E.界面活性剤層の形成
HLB10.0のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートからなるノニオン系界面活性剤(レオドールTW−O106V、花王(株)製)を手塗りで塗布した。
評価結果
結果を表5に示す。
<性能評価比較例>
比較例1
A.〜C.省略
D.下地処理層の形成
比較例1では下地処理層は形成させなかった。反射防止膜表面の水に対する接触角は38.4°とした。
E.界面活性剤層の形成
実施例5と同じHLB10.7のフッ素系ノニオン界面活性剤を手塗りで塗布した。
評価結果
結果を表5に示す。
比較例2
A.〜C.省略
D.下地処理層の形成
上記反射防止膜が形成されたレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着法によって、基板温度60℃で下地処理層の形成を行った。蒸着後1時間同温度で保持し、下地処理層を定着させた。下地処理剤としてはポリオキシエチレン基を含まないパーフルオロアルキル基を持つシラン化合物を使用した。水に対する接触角は97.8°とした。
E.界面活性剤層の形成
実施例5と同じHLB10.7のフッ素系ノニオン界面活性剤を手塗りで塗布した。
評価結果
結果を表5に示す。
比較例3
A.〜C.省略
D.下地処理層の形成
上記反射防止膜が形成されたレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着法によって、基板温度60℃で下地処理層の形成を行った。蒸着後1時間同温度で保持し、下地処理層を定着させた。下地処理剤としては、
イ)HO−(CH2CH2O)45−H・・・91.7重量%
ロ)一般式(4)に示される3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン・・・8.3重量%
これらイ)及びロ)の反応物を使用した。水に対する接触角は31.2°とした。
E.界面活性剤層の形成
実施例5と同じHLB10.7のフッ素系ノニオン界面活性剤を手塗りで塗布した。
評価結果
結果を表5に示す。
比較例4
A.〜B.省略
C.反射防止膜(多層膜)の形成(二層目)
比較例4では反射防止膜は形成させなかった。
D.下地処理層の形成
比較例4では下地処理層は形成させなかった。
E.界面活性剤層の形成
実施例7と同じHLB10.0のノニオン系界面活性剤を手塗りで塗布した。
評価結果
結果を表5に示す。
Figure 0004378565
表5に示されるように、本発明の新規なアルコキシシラン化合物により下地処理層を形成した光学部材によれば、水ヤケ防止効果および防曇効果の両方を有するという顕著な効果が奏された。
本化合物は、特に、光学部材例えば、眼鏡レンズあるいは窓ガラス等の表面改質剤として有用である。

Claims (2)

  1. 一般式 (1)
    Figure 0004378565
    [式中、
    Rは、同一であっても異なっていてもよく、そして水素原子又は−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH33若しくは−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH2CH33を示し(但し、Rのうち少なくとも一つは−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH33若しくは−CONH−CH2CH2CH2−Si(OCH2CH33を示す。);
    mは、0、1または2を示し;
    nは、同一であっても異なっていてもよく、そして0〜50の整数を示し、nの総合計は3〜50である。]
    で表されるアルコキシシラン化合物。
  2. 請求項1に記載のアルコキシシラン化合物を含む表面改質剤。

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