本発明は、機器の駆動源等に用いられるステッピングモータの改良に関するものである。
ステータの位相合わせをボビン端子台にて行う超小型のステッピングモータが提案(特許文献1)されている。この提案におけるステッピングモータの分解斜視図を図9に示す。
図9において、111は周方向に多極着磁されたマグネット、112はシャフトであり、これらでロータ110を構成している。ロータ110に対向するステータ120としてそれぞれ同一形状のものを2組を備え、マグネット111の軸方向両端側に対向配置されている。ステータ120は、内ヨーク121、コイルボビン122及び外ヨーク123と内ヨーク121と外ヨーク123の各内径側を磁気的かつ機械的につなぐ円筒部材124より成る。コイルボビン122は樹脂などの絶縁材で作られ、外周側にボビン端子台122aがある。内ヨーク121と外ヨーク123は共に磁性材にて作られ、それぞれの歯形状の磁極部121b及び123bがマグネット111の外周面に対向している。また、外ヨーク123の磁極部123bは内ヨーク121の磁極部121bに対し電気角で180°の位相差を持つ位置に配置されている。これら磁極部123bと磁極部121bの相対位置規制を行っているのがコイルボビン122のボビン端子台122aであり、この構成について図10を用いて説明する。
図10(a)はコイルボビン122を軸方向から見た図であり、図10(b)はコイルボビン122の断面図である。コイルボビン122のボビン端子台122aにはステータ規制部122d,122eが設けられており、このうちステータ規制部122dが内ヨーク121の磁極部121bと係合し、ステータ規制部122eが外ヨーク123の磁極部123bと係合している。このように係合することにより、内ヨーク121とコイルボビン122、外ヨーク123とコイルボビン122がそれぞれ位置決めされ、内ヨーク121と外ヨーク123とが互いに電気角180°の位置に正しく保持される構成となっている。
また、上記構成のステッピングモータでは、2組のステータ120間の回転方向位置が所定角(通常は電気角90°)の位置に位置決めしておく必要がある。そこで、モータケース131の開口部131aとボビン端子台122aに設けられたヨーク規制部122fとを係合させ、該ヨーク規制部122fの位置がステータ規制部122d,122eに対し所定のずれ角を形成するように設定することで、2組のステータ120間の位相差を作り出している。これらによって、位置合わせが容易で、組み立て性を向上させたものとなっている。
別の従来例として、2組のステータの位置決めを別部品にて行うステッピングモータが提案(特許文献2)されている。図11にその分解斜視図を示す。
図11において、201は、マグネットに対向しているステータ(内側磁極部及び外側磁極部)と該ステータを励磁するコイルとを有し、これらを樹脂により覆った一体の第1磁気ユニットである。同じく202は、マグネットに対向しているステータ(内側磁極部及び外側磁極部)と該ステータを励磁するコイルとを有し、これらを樹脂により覆った一体の第2磁気ユニットである。203はマグネット、204はマグネット203が固着され、該マグネット203を回転可能に保持しているシャフトである。205,206は軸受けである。
この構成のステッピングモータは、2組の第1及び第2の磁気ユニット201,202をマグネット203の両端側から挟み込むことで成るものである。詳しくは、樹脂で覆われた第1の磁気ユニット201と同じく樹脂で覆われた第2の磁気ユニット202とを突き合わせて一体化した円筒形状のモータとして構成されるものであり、その突き合わせ部にピンや突起などの形状部を設けてそれぞれの外側磁極部が所定の角度を維持しつつ位置決めができるようにし、その後突き合わせ部に接着樹脂を塗布して硬化させ固定されて成るものである。
特開2003−9497号公報
特開2003−189528号公報
上記特許文献1のステッピングモータにおいては、内ヨーク121と外ヨーク123の位置合わせは直接ボビン端子台122aで行っているので、かなり精度よく組み立てることができる。しかしながら、2組のステータ120間の位相合わせは、コイルボビン122とステータ120、コイルボビン122とモータケース131という2つの段階を経て、結果的にステータ120同士が位相合わせされるものであって、部品公差などを考慮すると、ステータ120間の位相合わせ寸法精度が良いものとは言えない。このようにステータ同士を一つの部品にて位相合わせを行う規制部を設けた別部材(モータケース131に相当)を用いたのでは、部品点数が増えたり、また部品形状が複雑になったりするなどの問題がある。
特許文献2に示すステッピングモータにおいても、外側を覆う樹脂にて位置決めを行っているので精度の良い位置決めにはならないが、特許文献1に示すものに比べればモータケースを介さない分だけ、精度よくなる。また、モータケース部品そのものが必要ないので、部品点数を減らすことはでき、組み立ても容易であるという利点も有する。しかしながら、ステータやコイルを樹脂にて覆うインサート成形する必要があり、そのためのコストが高くなるという欠点がある。
(発明の目的)
本発明の第1の目的は、第1と第2のステータの周方向の位置合わせを一つの部品にて行うことによって、精度を良好なものにすることのできるステッピングモータを提供しようとするものである。
本発明の第2の目的は、第1と第2のステータの周方向の位置合わせを一つの部品にて行うとともに、この一つの部品によって各ステータおよびマグネットを外部より保護することで、部品点数を削減し、組み立て性を良好にして、低コスト化を実現した、高精度のステッピングモータを提供しようとするものである。
上記第1の目的を達成するために、本発明のステッピングモータは、周方向に分割して異なる極に交互に着磁される円筒形状のマグネットと、前記マグネットの一方側の外周面に所定の間隔をもって対向配置される第1の外側磁極部が形成される第1のステータと、前記マグネットの他方側の外周面に所定の間隔をもって対向配置される第2の外側磁極部が形成される第2のステータと、軟磁性材料から成り、前記第1および第2のステータと磁気的に接続され、前記マグネットの一方側の内周面に固定される第1の内側磁極部および前記マグネットの他方側の内周面に固定される第2の内側磁極部が形成される回転軸と、前記第1の外側磁極部および第1の内側磁極部を励磁する第1のコイルと、前記第2の外側磁極部および第2の内側磁極部を励磁する第2のコイルと、前記第1のコイルが巻回される第1の円筒部と、前記第2のコイルが巻回される第2の円筒部とが前記回転軸の軸方向に前記マグネットを挟む位置に配置され、前記第1の円筒部および前記第2の円筒部から延出形成されることで、前記第1の円筒部と前記第2の円筒部とを連結するボビン端子台が形成されるとともに、前記ボビン端子台の内周面に前記第1の外側磁極部および前記第2の外側磁極部が係合する係合溝が形成されるボビンとを有することを特徴としている。
また、上記第2の目的を達成するために、本発明のステッピングモータは、周方向に分割して異なる極に交互に着磁される円筒形状のマグネットと、前記マグネットの外周面に所定の間隔をもって対向配置される第1の外側磁極部が形成される第1のステータと、前記第1の外側磁極部から周方向に所定角度だけずれた位置で、前記マグネットの外周面に所定の間隔をもって対向配置される第2の外側磁極部が形成される第2のステータと、軟磁性材料から成り、前記第1および第2のステータと磁気的に接続され、前記マグネットの内周面に固定される内側磁極部が形成される回転軸と、前記第1の外側磁極部および前記内側磁極部を励磁する第1のコイルと、前記第2の外側磁極部および前記内側磁極部を励磁する第2のコイルと、前記第1のコイルが巻回される第1の円筒部と、前記第1の円筒部からから延出形成されることで、前記マグネットの外周面の一方側を覆うように形成される第1のカバー部と、前記第1のカバー部の内周面に前記第1の外側磁極部および前記第2の外側磁極部が係合する第1の位置規制溝とが形成される第1のボビンと、前記第2のコイルが巻回される第2の円筒部と、前記第2の円筒部からから延出形成されることで、前記マグネットの外周面の他方側を覆うように形成される第2のカバー部と、前記第2のカバー部の内周面に前記第1の外側磁極部および前記第2の外側磁極部が係合する第2の位置規制溝とが形成される第2のボビンとを有することを特徴としている。
本発明によれば、第1と第2のステータの周方向の位置合わせを一つの部品にて行うことによって、精度を良好なものにすることができるステッピングモータを提供できるものである。
また、本発明によれば、第1と第2のステータの周方向の位置合わせを一つの部品にて行うとともに、この一つの部品によって各ステータおよびマグネットを外部より保護することで、部品点数を削減し、組み立て性を良好にして、低コスト化を実現した、高精度のステッピングモータを提供できるものである。
以下の実施例1及び実施例2に示す通りである。
図1〜図3は本発明の実施例1に係る図であり、そのうち、図1はステッピングモータの分解斜視図、図2は図1のステッピングモータの組み立て後の軸方向の断面図である。
図1及び図2において、1は円筒形状からなるマグネットであり、その外周面を円周方向にn分割(本実施例1ではn=10)してS極及びN極が交互に着磁された着磁部を有する。2は軟磁性材料からなる第1のステータであり、外筒及び中央に穴部2gの開いたドーナツ状の天板2fで構成されている。該第1のステータ2の外筒はその先端部に軸方向に延出する第1の外側磁極部2a,2b,2c,2d,2eが形成され、該第1の外側磁極部2a〜2eは円周方向に720/n度(本実施例1では72度)間隔で形成されている。3は軟磁性材料からなる第2ステータであり、外筒及び中央に穴部3gの開いたドーナツ状の天板3fで構成されている。該第2のステータ3の外筒はその先端部に軸方向に延出する第2の外側磁極部3a,3b,3c,3d,3eが形成され、該第2の外側磁極部3a〜3eは円周方向に720/n(本実施例1では72)度間隔で形成されている。
前記第1のステータ2の外側磁極部2a〜2e及び前記第2のステータ3の第2の外側磁極部3a〜3eは、共に軸と平行方向に延出する歯形状をしている。この構成により、ステッピングモータの直径を最小限にしつつ、磁極部の形成が可能となる。つまり、もし外側磁極部を半径方向に延びる凹凸で形成するとその分該モータの直径は大きくなってしまうのであるが、本実施例1では、軸と平行方向に延出する歯形状により外側磁極部を構成しているので、該モータの直径を最小限に抑えることができる。
4は円筒形状の第1のコイルであり、後述のボビン9に巻き付けられる。この第1のコイル4は外径がマグネット1の外径とほぼ同じ寸法となっている。5は円筒形状の第2のコイルであり、同じく後述のボビン9に巻き付けられている。この第2コイル5の外径もマグネット1の外径とほぼ同じ寸法となっている。
6は軟磁性材料から成る回転軸であり、第1のコイル4及び第2のコイル5の内径部に挿入され、かつマグネット1の内径部に接着固定されている。この回転軸6には、マグネット1に対向している第1のステータ2の第1の外側磁極部2a〜2eと対向した軸方向の範囲でマグネット1を挟む位置に外径寸法D1なる第1の内側磁極部6aが形成されている。回転軸6は一部6c,6eが第1のコイル4の内径部に挿入されており、第1の内側磁極部6aは第1のコイル4への通電によって第1の外側磁極部2a〜2eとは反対の極に励磁される。第1の内側磁極部6aの軸と垂直方向の断面形状は図3に示すような円形形状である。
同様にして、回転軸6にはマグネット1に対向している第2のステータ3の第2の外側磁極部3a〜3eと対向した軸方向の範囲でマグネット1を挟む位置に外径寸法D1なる第2内側磁極部6bが形成されている。回転軸6は一部6d、6fが第2のコイル5の内径部に挿入されており、第2の内側磁極部6bは第2のコイル5によって第2の外側磁極部3a〜3eとは反対の極に励磁される。第2の内側磁極部6bの軸と垂直方向の断面形状は第1の内側磁極部6aと同様に円形形状である。
第1の内側磁極部6aと第2の内側磁極部6bとに挟まれた部分(図2のTで示す連結部分)はその外径がD2であり、D1>D2が成り立つ径となっている。D2は小径であるために第1の内側磁極部6aと第2の内側磁極部6bの間の磁気抵抗が大きくなるように作用する。これにより、第1のコイル4への通電により発生する磁束が軟磁性材料から成る回転軸6を介して第2のコイル5及び第2の外側磁極部3a〜3e、第2の内側磁極部6bに影響を及ぼすことを防いでいる。同様にして、第2のコイル5への通電により発生する磁束が軟磁性材料から成る回転軸6を介して第1のコイル4及び第1の外側磁極部2a〜2e、第1の内側磁極部6aに影響を及ぼすことを防ぎ、回転が安定したものとなるような構成となっている。また、回転軸6は軸部6eが後述の第1の軸受け7と嵌合し、軸部6fが後述の第2の軸受け8と嵌合することによって回転可能に保持されている。
マグネット1は回転軸6の第1の内側磁極部6aあるいは第2の内側磁極部6bの部分に固着されている。このようにマグネット1はその内径を第1及び第2の内側磁極部6a,6bで埋められているので該マグネット1の機械的強度が増え、また第1及び第2の内側磁極部6a,6bはバックメタルとして働き、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになり、高温下の環境で使用されても減磁による磁気的劣化も少なくなる。
7は軟磁性材料から成る第1の軸受けであり、第1のステータ2の穴部2gで固定されており、これによって第1の軸受け7と第1のステータ2が磁気的に接続されている。また、第1の軸受け7の内径部において回転軸6の軸部6eと嵌合することによって該回転軸6を回転可能に保持するとともにこの嵌合部において第1の軸受け7と回転軸6が磁気的に接続されている。以上のことにより、第1の軸受け7を介して第1のステータ2と回転軸6とが磁気的に接続され、第1のコイル4により発生する磁束が流れやすくなっている。
8は軟磁性材料からなる第2の軸受けであり、第2のステータ3の穴部3gで固定されており、これによって第2の軸受け8と第2のステータ3が磁気的に接続されている。また、第2の軸受け8の内径部において回転軸6の軸部6fと嵌合することによって該回転軸6を回転可能に保持するとともにこの嵌合部において第2の軸受け8と回転軸6が磁気的に接続されている。以上のことより、第2の軸受け8を介して第2のステータ3と回転軸6とが磁気的に接続され、第2のコイル5により発生する磁束が流れやすくなっている。
9は第1のコイル4と第2のコイル5が巻き付けられる樹脂モールドにて作成のボビンである。ボビン9の円筒部9aの外周に第1のコイル4が巻き付けられ、ボビン端子台9cに設けられた端子9fにコイル端がからげられる。同様にして、ボビン9の円筒部9bの外周に第2のコイル5が巻き付けられ、ボビン端子台9cに設けられた端子9gにコイル端がからげられる。ボビン端子台9cが軸方向に延び、前記円筒部9aと9bが連結されており、これらが一体で構成されている。
ボビン9を上記の構成にしたことにより、ボビン端子台9cに多少の力がかかっても該ボビン端子台9cが倒れたり、破損したりする危険性は少なくなっている。また、ボビン端子台9cの内周面側には係合溝9d,9eが設けられており、係合溝9dに第1のステータの第1の外側磁極部2aが嵌合し、係合溝9eに第2のステータの第2の外側磁極部3aが嵌合している。係合溝9d及び係合溝9eはその位置が円周方向に180/n度(電気角で90度)ずれた位置に設けられている。よって、これら係合溝9d,9eと嵌合している第1の外側磁極部2aと第2の外側磁極部3aは相対的に180/n度(電気角で90度)ずれて位置決めされることになる。ボビン9は、第2のコイル5が巻き付けられている円筒部9bとその端子部を別部品にて作成してもかまわない。
10は構成部品を覆い隠すカバーであり、ボビン端子台9cの部分が切り欠かれており、平板を丸めたもので構成できるので安価である。該カバー10の軸方向両端からそれぞれ第1のステータ2と第2のステータ3を差し込み、組み立てを行う。また、カバー10は非磁性板材にて形成されており、第1のステータ2と第2のステータ3との間の磁気回路を分断してお互いの磁極部の影響が出にくい構成となっている。
特許文献1にて提案されたステッピングモータでは、ボビンに設けられた位置決め部によって、まずボビンと第1のステータが規制され、その後このボビンに設けられた係合部とカバーとが係合し、これらを第2のステータにも行うことにより、最終的に第1のステータと第2のステータとが位置決めされるものである。その際、第1のステータと第2のステータとの位置誤差は、ボビンに設けられた係合溝の公差と、係合溝とステータとの嵌合公差と、ボビン上のステータ規制部とカバーとの嵌合公差とが2組、つまり倍の数の公差が積み重なった誤差によって管理されており、ステータ間の位置誤差は大きなものになってしまい、精度が良くない。寸法の小さい小型ステッピングモータでは特にこの公差による誤差が大きく響き、回転精度などに大きく関与してくる。これに対し、本実施例1では、上記構成にすることによって、第1のステータ2と第2のステータ3との相対位置誤差はボビン9に設けられた係合溝9d,9eの公差と、該係合溝9d,9eと第1、第2の外側磁極部2a,3aとの嵌合公差のみで管理されており、位置決め精度ははるかに向上したものとなっている。また、2組の第1、第2のステータ2,3の位置決めを行っている係合部(係合溝の部分)を樹脂によるモールド成形によって作られるボビン9に設けたことで、係合部を一体的に成形可能であり、余分なコストもかからない。
図3(a)〜(d)は図2のA−A断面、図3(e)〜(h)は図2のB−Bの断面であり、これらを用いて本実施例1におけるステッピングモータの回転駆動について詳細に説明する。なお、図3(a)と(e)とが同時点の断面図であり、図3(b)と(f)とが同時点の断面図であり、図3(c)と(g)とが同時点の断面図であり、図3(d)と(h)とが同時点の断面図である。
図3(a)と(e)の状態は、第1のコイル4及び第2のコイル5に通電して第1の外側磁極部2a〜2eをN極に、第2の外側磁極部3a〜3eをS極に、それぞれ励磁した際の様子である。この状態から、第1のコイル4への通電を反転させ、第1の外側磁極部2a〜2eをS極に励磁し、第2の外側磁極部3a〜3eはS極に励磁したままにすると、マグネット1は反時計回りに18度回転し、図3(b)と(f)に示す状態になる。
次に、第2のコイル5への通電を反転させ、第1の外側磁極部2a〜2eはS極に励磁したままにし、第2の外側磁極部3a〜3eをN極に励磁すると、マグネット1は更に反時計回りに18度回転し、図3(c)と(g)に示す状態になる。次に第1のコイル4への通電を反転させ、第1の外側磁極部2a〜2eをN極に励磁し、第2の外側磁極部3a〜3eはN極に励磁したままにすると、マグネット1は更に反時計回りに18度回転し、図3(d)と(h)に示す状態になる。次に第2のコイルへ5コイルへの通電を反転させ、第1の外側磁極部2a〜2eはN極に励磁したままにし、第2の外側磁極部3a〜3eをS極に励磁すると、マグネット1は更に反時計回りに18度回転する。
以後、このように第1のコイル4及び第2のコイル5への通電方向を順次切り換えていくことによって、マグネット1は通電位相に応じた位置へと順に回転する。この際、第1の外側磁極部2a〜2eと第2の外側磁極部3a〜3eとの相対的な位置誤差があると、トルクが出ないだけでなく、停止精度もこれに準じて悪くなるし、個体差が大きく出てしまうので、モータとしての性能が悪くなる。前記特許文献1で提案されているステッピングモータでは、第1のステータと第2のステータとの位置合わせを別の部品(モータカバー)を介して行っているので、最終的に第1のステータと第2のステータとの位置誤差は大きくなる構成であった。これに対し、本実施例1では、第1のステータ2と第2のステータ3との位置合わせをボビン端子台9cに係合部(係合溝9d,9e)を設けることで行っており、一つの部品内で第1のステータ2と第2のステータ3との位置合わせが完了するので、寸法誤差が少なく、両者の相対位置も精度よく決まる。そのため、二つのステータの位置誤差に伴う駆動性能の悪化も少なく、性能の良いステッピングモータとなる。また、ボビン9は絶縁体であり、樹脂モールドで作成されているので、第1の外側磁極部2aと第2の外側磁極部3aとの間で磁気的に接続されるといったこともないし、規制溝を設けてのモールド成形も容易である。
上記構成のステッピングモータにおいては、次のような特徴もある。
第1のコイル4により発生する磁束は、マグネット1の外周面に対向する第1の外側磁極部2a〜2eとマグネット1の内周面に固定された回転軸6の第1の内側磁極部6aとの間を通過するので、特許文献1に提案されているものに比べて効果的にマグネット1に作用する。同様にして、第2のコイル5により発生する磁束は、マグネット1の外周面に対向する第2の外側磁極部3a〜3eとマグネット1の内周面に固定された回転軸6の第2の内側磁極部6bとの間を通過するので、効果的にマグネット1に作用する。その際に、マグネット1の内周面に対向する回転軸6の第1、第2の内側磁極部6a,6bはマグネット1の内周面との間に空隙を設ける必要がないので、外側磁極部と内側磁極部との距離を狭くでき、磁気抵抗を小さくすることができるから出力を高めている。
また、第1及び第2の内側磁極部6a,6bは単一の回転軸6で一体に構成されているので、外側磁極部と内側磁極部が別部品として存在するものに比べて容易に製造でき、コストも安い。また組み立てそのものも容易である。
さらに、マグネット1は内径部に回転軸6が固定されるので、強度において優れたものとなるばかりでなく、熱による変形の虞れも少なく、またバックメタルとして回転軸6が作用するので、マグネットの磁気的劣化も少ないものとなる。
以上の説明より明らかなように、本実施例1においては、出力が高いステッピングモータとなり、低コストでありながら、駆動性能、停止精度も良好なものとなる。
図4〜図8は本発明の実施例2に係わる図であり、そのうち、図4は本実施例2に係わるステッピングモータの分解斜視図、図5は図4のステッピングモータの組み立て後における軸方向の断面図、図6は図4のステッピングモータの構成部品であるボビンの詳細を示す構成図、図7は図5のC−C断面図である。
これらの図において、11は円筒形状のマグネットあり、その外周表面を円周方向に等間隔に4の整数倍である4×n分割(nは整数であって本実施例2ではn=4、よって分割数16)してS極、N極が交互に着磁されている。14は円筒形状の第1のコイルであり、15は同じく円筒形状の第2のコイルであって、共にその中心部はマグネット11の中心部と一致しており、軸方向に並んでマグネット11を挟む位置に配置されている。この第1、第2のコイル14,15の外径はマグネット11の外径とほぼ等しい。これらの第1、第2のコイル14,15は後述のボビン19,20に巻き付けられている。
12は第1のステータであり、13は第2のステータであって、共に軟磁性材料で構成され、円筒形状の外筒部がある。第1のステータ12には、マグネット11の外周面に所定の隙間をもって対向する第1の外側磁極部12a,12b,12c,12dが形成されている。この第1の外側磁極部12a〜12dは、円筒形状の第1のステータ12の外筒部の先端を切り欠くことで周方向に複数に分割され、それぞれがマグネット11の一方の端面から軸方向に延出した歯形状をしている。そして、第1の外側磁極部12a〜12dは360/n度、すなわち90度ずれて形成されている。第2のステータ13には、同じくマグネット11の外周面に所定の隙間をもって対向する第2の外側磁極部13a,13b,13c,13dが形成されている。この第2の外側磁極部13a〜13dは、円筒形状の第2のステータ13の外筒部の先端を切り欠くことで周方向に複数に分割され、それぞれが第1のステータ12の場合と反対のマグネット11のもう一方の端面から軸方向に延出した歯形状をしている。そして、第2の外側磁極部13a〜13dも360/n度、すなわち90度ずれて形成されている。
第1のステータ12は第1のコイル14によって励磁され、第2のステータ13は第2のコイル15によって励磁される。第1のステータ12の第1の外側磁極部12a〜12dと第2のステータ13の第2の外側磁極部13a〜13dとは同一形状であって、互いの櫛歯形状の磁極部の先端が向かい合う向きでかつマグネットの外周面にマグネットの軸と並行方向の位置に関して重複するように配置される。第1の外側磁極部12a〜12dと第2の外側磁極部13a〜13dはマグネット11の軸方向の長さの全て(図5中の寸法A部)においてマグネット11の外周面に対向している。また、第1のステータ12と第2のステータ13とは互いの歯形状の磁極部の位相が135/n度、すなわち33.75°ずれて配置されている。図7においてその角度をCで示している。
第1のステータ12と第2のステータ13とは互いの櫛歯形状の磁極部のマグネット11に対向する1歯あたりの角度範囲(図7においてDで示す)は360/(4×n)度以下、すなわち22.5度以下である。第1のステータ12の第1の外側磁極部である歯(例えば12a)と第2のステータ13の第2の外側磁極部である歯(例えば13a)の中心が33.75度ずれるように配置しているので、第1の外側磁極部12a〜12dと第2の外側磁極部13a〜13dとは同一形状であって、互いの櫛歯形状の磁極部の先端が向かい合う向きでかつマグネット11の外周面にマグネットの軸と並行方向の位置に関して重複するように配置されていてもお互いに接触することなくマグネット11に対向することができる。このため、第1の外側磁極部12a〜12dと第2の外側磁極部13a〜13dがお互いにクロストークを生じることがないので、回転精度及び回転出力が低下してしまうことはない。
16は軟磁性材料から成る回転軸であり、マグネット11の内径部に固定されている。この回転軸16にはマグネット11に対向している第1のステータ12の第1の外側磁極部12a〜12dと対向した軸方向の範囲においてマグネット11を挟む位置に外径寸法D1なる内側磁極部16aを形成してある。第2の外側磁極部13a〜13dは第1のステータ12の第1の外側磁極部12a〜12dとマグネット11の軸と並行方向の位置に関して重複するように配置されているので、内側磁極部16aは第1の外側磁極部12a〜12dと第2の外側磁極部13a〜13dの両方と対向していることになる。回転軸16は一部16cが第1のコイル14の内径部に挿入されており、第1の内側磁極部16aは第1の外側磁極部12a〜12dに対向する角度範囲部が第1のコイル14への通電によって第1の外側磁極部12a〜12dとは反対の極に励磁される。回転軸16の内側磁極部16aの軸と垂直方向の断面形状は図7に示すように円形形状である。また同様にして、一部16dが第2のコイル15の内径部に挿入されており、内側磁極部16aは第2の外側磁極部13a〜13dに対向する角度範囲部が第2コイル15への通電によって第2の外側磁極部13a〜13dとは反対の極に励磁される。回転軸16はマグネット11を内側磁極部16aにて固着している。
17は軟磁性材料から成る第1の軸受けであり、第1のステータ12に固定され、回転軸16の軸部16eを回転可能に保持している。18は同じく軟磁性材料から成る第2の軸受けであり、第2のステータ13に固定され、回転軸16の軸部16fを回転可能に保持している。これら第1の軸受け17、第2の軸受け18は共に軟磁性材料であって、コイル14及び15への通電によって、回転軸16の内側磁極部16aとともに励磁され、磁気回路を構成する。これによって、軸受けを非磁性材料にて作成するのに比べて磁気回路の磁気抵抗が小さくなるので発生するトルク自体は大きくなる。しかし、回転軸16と軸受けとの間では吸着力が発生して摩擦力によるトルク損失が生じたり、摺動面の耐久性を損なう可能性はあるので、本実施例2においては、第1の軸受け17、回転軸16の軸部16e,16f、第2の軸受け18の表面に、潤滑材の塗布、潤滑塗装(フッ素系潤滑塗装・グラファイト系潤滑塗装・二硫化モリブデン系潤滑塗装)、潤滑メッキ(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粒子を含有した無電解ニッケルメッキやテフロン(商標)潤滑無電解ニッケルメッキなど)等を施し、摺動面の摩擦によるトルク損失を抑制したり、摺動面の耐久性を損なうことを防いだりして、出力トルクの大きいステッピングモータとしている。
19は第1のコイル14が巻き付けられる絶縁材料から成るボビンである。図6(a)にボビン19の斜視図を、図6(b)に軸方向から見た平面図を示す。円筒部19aに第1のコイル14が巻き付けられ、コイル端がボビン端子台19kに設けられた端子19lにからげられる。また、第1のコイル14が巻き付けられる円筒部19aとは逆の方向へ延出したカバー部19bが設けられている。このカバー部19bの内径はマグネット11の外径よりも大きく、またカバー部19bの外径は各ステータの外径よりも若干大きな寸法となっている。このカバー部19bの内径側には位置規制溝19c〜19jが設けられている。ボビン19は第1のステータ12の外側磁極部12aと位置規制溝19cとが係合するようにして、第1の外側磁極部12aの歯先側から挿入され、組み立てられる。この際、残る第1の外側磁極12b,12c,12dもボビンに設けられた溝19i,19g,19eにそれぞれ挿入されることになる。このとき、位置規制溝19i,19g,19eの内径(図6にてD3で示される寸法)は各ステータの外側磁極部の内径と同じになっており、組み立ての際、各ステータの外側磁極部の歯先が内側に倒れるのを防いでいる。また、第1のステータ12及び第2のステータ13の軸方向に延びる第1、第2の外側磁極部12a〜12d,13a〜13dが互い違いに向き合うように組み立てられ、その際、第2のステータ13の外側磁極部13a,13b,13c,13dがボビン19の位置規制溝19d,19f,19h,19jと係合するようにして組み立てられる。
以上のように、規制溝19cと19d、19eと19f、19gと19h、19iと19jが所定の回転方向位相で設けられており、ここに第1のステータ12の第1の外側磁極部12a〜12dと、第2のステータ13の第2の外側磁極部13a〜13dが係合することでそれぞれの相対位置を決定することができる。この所定の回転方向位相とは、本実施例2では135/n度、すなわち33.75°(電気角で270度)ずれた位置である。第1のステータ12と第2のステータ13との相対的な位相誤差が大きいと、駆動性能そのものが低下するだけでなく、回転精度も悪くなるといった影響を及ぼす。本実施例2では、第1のステータ12と第2のステータ13との位相管理をボビン19に設けられた規制溝19cによって直接行っているので、寸法誤差も少なく、精度よく位置決めができる。また、ボビン19は樹脂モールドにて成形しているので、規制溝19cを設けた部品の作成も容易だし、さらに規制溝19cとそれ以外の外側磁極部が挿入される溝19e,19g,19iによって、比較的曲がりやすい外側磁極部の倒れを防いでおり、マグネット11と接触する恐れがない。また、カバー部19bの延長上に端子台19kが設けられているので、端子台19k自体に多少の力が加わっても該端子台19kが倒れたり、破損したりする心配が少ない。
20も第1のボビン19と同様の第2のボビンである。円筒部20aに第2のコイル15が巻き付けられ、コイル端がボビン端子台20kに設けられた端子20lへからげられる。本実施例2では、コストダウンのために第1のボビン19と同形状のものを用いているので、カバー部20bの内周面には各ステータの外側磁極部の位置規制溝20c〜20jが設けられているが、実際のステータ位置規制は第1のボビン19にて行われているので、第2のボビン20に規制溝が設けられる必要はなく、外側磁極部と接触しないように位置規制溝20c〜20jに相当する8個の溝が設けられていればよい。ただし、第1のボビン19のときと同様に、各溝の内径部は第2のステータ13の第2の外側磁極部の歯が倒れないように規制することになる。
上記第1のボビン19及び第2のボビン20は、組み立てられた際に、カバー部19b,20bが向き合うようになる。その際、カバー部19b,20bの上端面19n,20nがちょうど当接してボビン同士が固定される。また、カバー部19b,20bはマグネット11及び各ステータ12,13の外側磁極部を外周から囲むような寸法になっているから、組み立て後は、マグネット11及び第1及び第2の外側磁極部12a〜12d、13a〜13dが、ボビン19及び20によって完全に隠された(外側から見えない)状態となっている。つまり、外部からの影響(外力やごみ挿入など)を受けやすいロータ部(マグネット等)と、変形しやすいステータの外側磁極部がボビンによって完全に覆われているので、モータケースなるものはこの駆動装置には必要がなく、部品コストの削減と、組み立て工程の削減を図ることができるものである。
また、第1、第2のボビン19,20の端面には突起19m及び20mが設けられており、ここで、回転軸16の軸方向の規制を行っている。軸方向の規制を軸受けで受ける方法もあるが、ここで行うと、回転軸と軸受けとが共に軟磁性材料であるために吸着がおこりやすい。磁気回路を効率的なものにするためには、回転軸と軸受けが接触していることが望ましいが、それは比較的吸着によるロスの少ないラジアル方向でのみ行い、スラスト方向ではロスが大きくなるので非磁性材料にて行うのが望ましい。
本実施例2におけるステッピングモータの組み立てについては、次の通りである。
まず、第1のステータ12の穴部12gに第1の軸受け17を固定する。第1のコイル14が巻き付けられた第1のボビン19に第1の外側磁極部12a〜12dを該ボビン19に設けられた位置規制溝19c,19i,19g,19eに沿わせながら挿入する。ステータ13についても同様にして作成する。そして、これらのステータユニット2組を回転軸16に固定されたマグネット11をその軸方向に挟んで、第1及び第2の外側磁極部を互いのボビン19,20に設けられた位置規制溝に沿わせながら組み合わせる。そして、ボビンの円筒部19b,20bの上端面が接触したところで接着し、固定する。
したがって、特許文献1や2に提案されているものに比べて、2組のステータの位置決め精度がよいだけでなく、特許文献1のようなモータケース部品の削減ができ、特許文献2のような樹脂によるインサート成形も必要ないので、部品コストも安く、また組み立てが単純で組み精度もよい駆動装置となっている。
このステッピングモータも実施例1と同様に、第1のステータ12の外筒部と回転軸16の間であって、第1の軸受け17を介したこれらの連結部近傍に第1のコイル14を配置し、第1のステータ12の第1の外側磁極部12a〜12dと回転軸16の内側磁極部16aとの間にマグネット11を挟んでいる。また、第2のステータ13の外筒部と回転軸16の間であって、第2の軸受け18を介したこれらの連結部近傍に第2のコイル15を配置し、第2のステータ13の外側磁極部13a〜13dと回転軸16の内側磁極16aとの間にマグネット11を挟む。つまり、第1及び第2の外側磁極部12a〜12d,13a〜13dがマグネット11の外周表面と対向し、内側磁極16aがマグネット11の内周表面に位置して前記第1の外側磁極部12a〜12dと対向し、同じく第2の外側磁極部13a〜13dと内側磁極部16aとが対向している構造になっている。
ここで、マグネット11の軸方向の長さをA1とし、実施例1の場合と比較する。実施例1ではマグネットの極数を4×nとすると、第1の外側磁極部の数は2×n個、第1のステータと第2のステータとの間に設けられた軸方向でのギャップをT1(図2のTに相当)とすると、実施例1でのマグネットとの対向長さは(A1−T1)/2である。以上のことより、実施例1におけるマグネットへの総対向量はn×(A1−T1)となるのに対し、実施例2ではn×A1となり、総対向量は多くなる。これにより、マグネットをより有効に利用でき、出力の大きなステッピングモータとする事ができる。
図8は、図5のC−C断面図であり、これを用いてステッピングモータの駆動について説明する。
図8(a)の状態は第1のコイル14及び第2のコイル15に通電して、第1の外側磁極部12a〜12dをN極に励磁し、第2の外側磁極部13a〜13dをS極に励磁している状態である。図8(a)の状態から、第1のコイル14への通電を反転させ、第1の外側磁極部12a〜12dをS極に励磁し、第2の外側磁極部13a〜13dはS極に励磁したままにすると、マグネット11は反時計回りに11.25度回転し、図8(b)に示す状態になる。次に、第2のコイル15への通電を反転させ、第1の外側磁極部12a〜12dはS極に励磁したままにし、第2の外側磁極部13a〜12dをN極に励磁すると、マグネット11は更に反時計回りに11.25度回転し、図8(c)に示す状態になる。次に、第1のコイル14への通電を反転させ、第1の外側磁極部12a〜12dをN極に励磁し、第2の外側磁極部13a〜13dはN極に励磁したままにすると、マグネット11は更に反時計回りに11.25度回転し、図8(d)に示す状態になる。
以後、このように第1のコイル14及び第2のコイル15への通電方向を順次切り換えていくことによって、マグネット11は通電位相に応じた位置へと順に回転する。この際、第1の外側磁極部12a〜12dと第2の外側磁極部13a〜13dとの相対的な位置誤差があると回転時のトルクが出ないばかりでなく、停止精度もこれに準じて悪くなるので、モータとしての性能が悪くなる。特許文献1で提案されているもののような第1のステータと第2のステータとの位置誤差が大きくなるような構成に比べ、本実施例2では、第1のステータ12と第2のステータ13との位置合わせが正確に行われているため、このような駆動性能の悪化が少ない。
上記構成のステッピングモータには、次のような特徴もある。
第1のコイル14により発生する磁束は、マグネット11の外周面に対向する第1の外側磁極部12a〜12dとマグネット11の内周面に固定された回転軸16の内側磁極部16aとの間を通過するので、特許文献1に提案されているものに比べて効果的にマグネット11に作用する。同様にして、第2コイル15により発生する磁束は、マグネット11の外周面に対向する第2の外側磁極部13a〜13dとマグネット11の内周面に固定された回転軸16の内側磁極部16aとの間を通過するので、効果的にマグネット11に作用する。その際に、マグネット11の内周面に対向する回転軸16の内側磁極部16aはマグネット11の内周面との間に空隙を設ける必要がないので、外側磁極部と内側磁極部との距離を狭くでき、磁気抵抗を小さくすることができることから出力を高めている。
また、内側磁極部16aは単一の回転軸16で一体に構成されているので、外側磁極部と内側磁極部が別部品として存在するものに比べて容易に製造でき、コストも安い。また組み立てそのものも容易である。さらに、マグネット11は内径部に回転軸16が固定されるので、強度において優れたものとなるばかりでなく、バックメタルとして回転軸16が作用するので、マグネットの磁気的劣化も少ないものとなる。
さらに、特許文献1に示されるものに比べて、マグネットと対向する磁極部の軸方向の長さを多くとれるので、外側磁極部12a〜12d、13a〜13d及び内側磁極部16aとマグネット11を有効に利用することができ、ステッピングモータの出力を高めることができる。
以上の説明から明らかなように実施例2のステッピングモータにおいては、部品を構成しやすく、低コストであって、より高精度な位置決めによって高性能、高出力なものとすることができる。
なお、上記各実施例においては、マグネットの内径部に固定される出力軸を、第1の外側磁極部と第2の外側磁極部の両方の軸方向の所定範囲において対向し、第1のコイル及び第2のコイルにより励磁される内側磁極部が形成された構成にしているが、これに限定されるものではなく、第1の外側磁極部と第2の外側磁極部のうちの少なくとも一方の軸方向の所定範囲において対向し、第1のコイルと第2のコイルの少なくとも一方により励磁される内側磁極部が形成された出力軸としても良い。
本発明の実施例1に係わるステッピングモータを示す分解斜視図である。
図1に示すステッピングモータの組み立て完成状態の断面図である。
本発明の実施例1に係わるステッピングモータの駆動を説明するための図である。
本発明の実施例2に係わるステッピングモータを示す分解斜視図である。
図4に示すステッピングモータの組み立て完成状態の断面図である。
図4に示すステッピングモータの構成部品であるボビンの詳細を示す構成図である。
図5のC−C断面図である。
本発明の実施例2に係わるステッピングモータの駆動を説明するための図である。
従来のステッピングモータを示す分解斜視図である。
図9のステッピングモータのコイルボビンの詳細を示す構成図である。
従来の別のステッピングモータを示す分解斜視図である。
符号の説明
1,11 マグネット
2,12 第1のステータ
2a〜2e,12a〜12d 第1の外側磁極部
3,13 第2のステータ
3a〜3e,13a〜13d 第2の外側磁極部
4,14 第1のコイル
5,15 第2のコイル
6,16 回転軸
6a,6b 第1,第2の内側磁極部
16a 内側磁極部
7,17 第1の軸受け
8,18 第2の軸受け
9 ボビン
9d,9e 係合溝
10,21 ケース
19 第1のボビン
19c〜19j 位置規制溝
20 第2のボビン
20c〜20j 位置規制溝