本発明は、カメラ等に搭載される駆動装置の改良に関するものである。
回転軸を中心とする直径を小さくし、かつ出力を高めたステッピングモータとして、図10に示すものがある(特許文献1参照)。図10は、特許文献1にて開示されたモータの分解斜視図、図11に図10のモータの断面図であり、これらの図を用いてその構成を簡単に説明する。
201は円周方向に4分割して異なる極に交互に着磁された永久磁石からなるロータ、202はロータ201の軸方向に隣り合って配置された第1のコイル、203はロータ201の軸方向に隣り合って配置された第2のコイル、204は第1のコイル202により励磁され、軟磁性材料からなる第1のステータ、205は第2のコイル203により励磁され軟磁性材料からなる第2のステータである。第1のステータ204はロータ201の外周面に隙間をあけて対向する第1の外側磁極部204a,204bとロータ201の内周面に隙間をあけて対向する第1の内側磁極部204c,204dを備え、第2のステータ205はロータ201の外周面に隙間をあけて対向する第2の外側磁極部205a,205bとロータ201の内周面に隙間をあけて対向する第2の内側磁極部205c,205dを備えている。206は出力軸であり、ロータ201が固着され、第1のステータ204の軸受け部204eと第2のステータ205の軸受け部205eに回転可能に保持されている。207は非磁性材料からなる連結リングであり、第1のステータ204と第2のステータ205とを所定の間隔、位相関係で保持するものである。
上記構成のモータは、第1のコイル202、第2のコイル203への通電方向を切り換えて第1の外側磁極部204a,204b、第1の内側磁極部204c,204d、第2の外側磁極部205a,205b、第2の内側磁極部205c,205dの極性を切り換え、ロータ201を回転させていくものである。
このモータは、コイルに通電することで発生した磁束が外側磁極部からこれに対向する内側磁極部へ、あるいは、内側磁極部からこれに対向する外側磁極部へと流れ、外側磁極部と内側磁極部の間に位置するマグネットに効率的に作用する。また、外側磁極部と内側磁極部との距離を円筒形状のマグネットの厚さ程度とすることができるため、外側磁極部と内側磁極部とで構成される磁気回路の抵抗を小さくすることができる。磁気回路の抵抗が小さいほど、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、出力が向上する。
また、上記モータを更に改良したものとして特許文献2に記載のものがある。この特許文献2には一例(図5参照)として、内側磁極部を円筒形状で構成し、その内側磁極部の内径部に挿入されている出力軸を軟磁性材料で構成し、更にはステータに取り付けられ、該出力軸を回転可能に保持する軸受けを非磁性材料で構成したものが示されている。この提案によれば、出力軸も磁気回路として利用できるためにモータの出力があがる。その際のステータと出力軸の磁気による吸着は軸受けを非磁性材料で構成することで防いでいる。
特開平9−331666号公報
特開平10−229670号公報
しかしながら、上記特許文献2で提案されたものは出力軸も磁気回路として利用できるものの、吸着を避けるために軸受けを非磁性体にて構成しており、ステータと出力軸が磁気的に直接接続されたものではないので、磁気抵抗が大きく、磁気効率の良いものではない。また、第1のコイルへの通電により発生する磁束が軟磁性材料の出力軸を介して第2のコイル及び第2の外側磁極部、第2の内側磁極部に影響を及ぼし、第2のコイルへの通電にて発生する磁束が軟磁性材料の出力軸を介して第1のコイル及び第1の外側磁極部、第1の内側磁極部に影響を及ぼして回転を不安定なものにしてしまう。
また、特許文献1や特許文献2で提案されているものは共にマグネットの内径とそれに対向する内側磁極部との間には所定の間隔が必要であり、それを製造時に管理することはコストアップを招く。また、ステータの形状としても円筒形状の内側磁極部と外側磁極部が必要でありそれらを一体的に構成するのは部品製造上難しい。また、それらを別体で製造し後で一体的に組み立てる場合は部品点数が多くなり、コストアップを招いてしまう。
(発明の目的)
本発明の目的は、低コスト化を達成しつつ、出力の高い駆動装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コイルと、該コイルによって励磁されるステータと、磁気回路の一部をなし、軟磁性材料からなる回転軸と、前記ステータに固定され、前記回転軸を回転可能に保持する、磁気回路の一部を形成する軟磁性材料からなる軸受けと、前記コイルが卷回されるとともに、前記回転軸と前記軸受けの間に位置し、前記回転軸と前記軸受けが軸方向において非接触状態となるようにする規制部を持つ、非磁性材料からなるボビンとを有する駆動装置とするものである。
上記構成においては、ステータ、回転軸、前記ステータに固定され前記回転軸を保持する軸受けが軟磁性材料にて構成され、これらが磁気的に接続された構成にすることにより磁気抵抗の少ない磁気回路を形成するので有効的にマグネットに作用し、出力の高い駆動装置とすることができる。その際、回転軸と軸受けが共に軟磁性材料であることから駆動中に両者の間で磁気吸着力が発生する。モータの高速回転時には吸着力はそれほど影響を及ぼさないが、低速回転時においては回転精度に悪影響を及ぼし、回転を不安定にさせる要因となる。そこで、回転軸の軸方向の規制部を非磁性材料からなるボビンに設けることによって該回転軸と軸受けの軸方向の接触を避け、代わりに回転軸の軸外周面でのみ軸受けと接触することによって、磁気回路の一部を形成しつつ、吸着による抵抗をできるだけ小さくしている。このことによって、特許文献2に示される駆動装置のように軸受けを非磁性体にするものに比べて、磁気吸着による損失よりも磁気抵抗が少なくなることによる効率アップの方が有効なため、高出力であって回転精度をアップする駆動装置となる。さらに、回転軸の軸方向規制部をボビンに設けたことによって、部品点数を増やすことなく、また組み立ても単純な駆動装置となっている。
また、上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心でかつ前記マグネットをそれぞれ軸方向の両端から挟む位置に配置される第1及び第2のコイルと、前記マグネットの外周面に対向し、前記第1及び第2のコイルにより励磁される第1及び第2の外側磁極部と、前記マグネットの内径部に固定され、前記第1及び前記第2の外側磁極部に軸方向の所定範囲において対向し、前記第1及び第2のコイルにより励磁される内側磁極部が形成された軟磁性材料よりなる回転軸と、前記第1の外側磁極部に固定され、前記回転軸の一方を回転可能に保持する、磁気回路の一部を形成する軟磁性材料よりなる第1の軸受けと、前記第2の外側磁極部に固定され、前記回転軸の他方を回転可能に保持する、磁気回路の一部を形成する軟磁性材料よりなる第2の軸受けと、前記第1のコイルが卷回されるとともに、前記回転軸と前記第1の軸受けの間に位置し、前記回転軸と前記第1の軸受けが軸方向において非接触状態となるようにする規制部を持つ、非磁性材料からなる第1のボビンと、前記第2のコイルが卷回されるとともに、前記回転軸と前記第2の軸受けの間に位置し、前記回転軸と前記第2の軸受けが軸方向において非接触状態となるようにする規制部を持つ、非磁性材料からなる第2のボビンとを有する駆動装置とするものである。
また、上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、外周面が周方向に分割して異なる極に交互に着磁された円筒形状のマグネットと、該マグネットと同心でかつ前記マグネットの軸方向に配置されたコイルと、磁極部が前記マグネットの外周面に対向し、前記コイルにより励磁されるステータと、磁気回路の一部をなし、前記マグネットの内径部に固定された軟磁性材料からなる回転可能なロータと、前記ステータに固定され、前記ロータを回転可能に保持する、磁気回路の一部を形成する軟磁性材料からなる軸受けと、前記コイルが卷回されるとともに、前記ロータと前記軸受けの間に位置し、前記ロータと前記軸受けが軸方向において非接触状態となるようにする規制部を持つ、非磁性材料からなるボビンとを有する駆動装置とするものである。
本発明によれば、低コスト化を達成しつつ、出力の高い駆動装置を提供できるものである。
以下の実施例1及び実施例2に示す通りである。
図1〜図3は本発明の実施例1に係る駆動装置であるところのモータを示す図であり、そのうち、図1はモータの分解斜視図、図2は図1のモータの組み立て後における軸方向の断面図である。
図1及び図2において、1は円筒形状からなるマグネットであり、その外周面を円周方向にn分割(本実施例1ではn=4)してS極及びN極が交互に着磁された着磁部を有する。2は軟磁性材料からなる第1のステータであり、外筒及び中央に穴部2cの開いたドーナツ状の天板で構成されている。この第1のステータ2の外筒は先端部に軸方向に延出する歯形状の第1の外側磁極部2a,2bが形成され、該第1の外側磁極部2a,2bは円周方向に720/n度(本実施例1では180度)間隔で所定の歯幅で形成されている。3は軟磁性材料からなる第2のステータであり、外筒及び中央に穴部3cの開いたドーナツ状の天板で構成されている。この第2のステータ3の外筒は先端部に軸方向に延出する歯形状の第2の外側磁極部3a,3bが形成され、該第2の外側磁極部3a,3bは円周方向に720/n(本実施例1では180)度間隔で所定の歯幅で形成されている。
4は円筒形状の第1のコイルであり、後述の第1のボビン9に巻きつけられている。該第1のコイル4はその外径がマグネット1の外径とほぼ同じ寸法となっている。5は円筒形状の第2のコイルであり、後述の第2のボビン10に巻きつけられている。該第2のコイル5はその外径がマグネット1の外径とほぼ同じ寸法となっている。
6は軟磁性材料からなる回転軸であり、第1のコイル4及び第2のコイル5の内径部に挿入され、かつマグネット1の内径部に接着固定されている。この回転軸6は、マグネット1に対向している第1のステータ2の第1の外側磁極部2a,2bと対向した軸方向の範囲にありかつ該マグネット1の内径部に固定される外径寸法D1をもつ部分を内接円柱部分とし、これを第1の内側磁極部6aとしている。回転軸6の円柱部6cが第1のコイル4の内径部に挿入されており、第1の内側磁極部6aは第1のコイル4によって第1のステータ2の第1の外側磁極部2a,2bとは反対の極に励磁される。回転軸6の第1の内側磁極部6aの軸と垂直方向の断面形状は図3に示すような円形形状である。同様にして、この回転軸6は、マグネット1に対向している第2のステータ3の第2の外側磁極部3a,3bと対向した軸方向の範囲にありかつ該マグネット1の内径部に固定される外径寸法D1をもつ部分を内接円柱部分とし、これを第2の内側磁極部6bとしている。回転軸6の円柱部6dが第2のコイル5の内径部に挿入されており、第2の内側磁極部6bは第2のコイル5によって第2のステータ3の第2の外側磁極部3a,3bとは反対の極に励磁される。回転軸6の第2の内側磁極部6bの軸と垂直方向の断面形状は第1の内側磁極部6aと同様に円形形状である。
第1の内側磁極部6aと第2の内側磁極部6bとに挟まれた小径部分は、外径をD2とし、D1>D2が成り立つ径となっている。D2は小径であるために第1の内側磁極部6aと第2の内側磁極部6bの間の部分の磁気抵抗が大きくなるように構成できる。これにより、第1のコイル4への通電により発生する磁束が軟磁性材料からなる回転軸6を介して第2のコイル5及び第2の外側磁極部3a,3b、第2の内側磁極部6bに影響を及ぼすことを防いでいる。同様にして、第2のコイル5への通電により発生する磁束が軟磁性材料からなる回転軸6を介して第1のコイル4及び第1の外側磁極部2a,2b、第1の内側磁極部6aに影響を及ぼすことを防ぎ、回転が安定したものとなるような構成となっている。また、回転軸6はマグネット1を第1の内側磁極部6aあるいは第2の内側磁極部6bにて固着している。また、回転軸6は軸部6eが後述の軸受け7と嵌合し、軸部6fが後述の軸受け8と嵌合することによって回転可能に保持されている。
7は軟磁性材料からなる第1の軸受けであり、第1のステータ2の穴部2cで固定され、またこれによって第1の軸受け7と第1のステータ2が磁気的に接続されている。また、第1の軸受け7の内径部において回転軸6の軸部6eと嵌合することによって該回転軸6を回転可能に保持している。また、該嵌合部において第1の軸受け7と回転軸6が磁気的に接続されている。以上のことにより、第1の軸受け7を介して第1のステータ2と回転軸6とが磁気的に接続され、第1のコイル4により発生する磁束が流れやすくなっている。
8は軟磁性材料からなる第2の軸受けであり、第2のステータ3の穴部3cで固定されており、これによって第2の軸受け8と第2のステータ3が磁気的に接続されている。また、第2の軸受け8の内径部において回転軸6の軸部6fと嵌合することによって該回転軸6を回転可能に保持している。また、該嵌合部において第2の軸受け8と回転軸6が磁気的に接続されている。以上のことより、第2の軸受け8を介して第2のステータ3と回転軸6とが磁気的に接続され、第2のコイル5により発生する磁束が流れやすくなっている。
9は第1のコイル4が卷回されている非磁性材料からなる第1のボビンである。この第1のボビン9の円筒部9aの外周に第1のコイル4が卷回され、ボビン端子9cにコイル端子が絡げられている。円筒部9aの内側には回転軸6の軸方向の規制を行う規制部9bを持つ。この規制部9bが回転軸6の円柱部6cと当接することによって該回転軸6の軸方向規制となっている。非磁性材料からなる第1のボビン9にて回転軸6の軸方向規制を行い、回転軸6と軸受け7がスラスト方向において接触しないことによって、回転軸6の吸着による影響を減少させている。
10は第2のコイル5が卷回されている非磁性材料からなる第2のボビンである。この第2のボビン10の円筒部10aの外周に第2のコイル5が卷回され、ボビン端子10cにコイル端子が絡げられている。円筒部10aの内側には回転軸6の軸方向の規制を行う規制部10bを持つ。この規制部10bが回転軸6の円柱部6dと当接することによって該回転軸6の軸方向規制となっている。回転軸6を第1のボビン9の規制部9bと第2のボビン10の規制部10bとではさみこむ構造になっていることによって、回転軸6の軸方向の位置規制を行っている。
11は円筒形状の連結リングであり、この連結リング11に第1のステータ2と第2のステータ3を固定することで、該第1のステータ2と該第2のステータ3を所望の位置、所望の位相で配置することができる。第1のステータ2と第2のステータ3は同一形状であって、第1の外側磁極部2a,2bと第2の外側磁極部3a,3bとが向かい合うように配置される。その際、図3に示すように、マグネット1の着磁位相と第1のステータ2の外側磁極部2a,2bとの関係は、マグネット1の着磁位相と第2のステータ3の外側磁極部3a,3bとの関係に対してほぼ180/n(本実施例1では45度)ずれて配置される。また、連結リング11は非磁性材料にて形成されており、第1のステータ2と第2のステータ3との間の磁気回路を分断してお互いの磁極部の影響が出にくい構成となっている。
第1のステータ2の第1の外側磁極部2a,2bはマグネット1の外周面に所定の隙間をもって対向しており、第2のステータ3の第2の外側磁極部3a,3bはマグネット1の外周面に所定の隙間を持って対向している。また、マグネット1の内径部に固定されている回転軸6の内接円柱部分が前述したように第1及び第2の内側磁極部を形成している。
第1のコイル4によって発生する磁束は、マグネット1の外周面に対向する第1のステータ2の第1の外側磁極部2a,2bと、マグネット1の内周面に固定される第1の内側磁極部6aとの間を通過するので、効果的にマグネット1に作用する。その際、第1の内側磁極部6aはマグネット1の内周面との間に隙間を設ける必要がない。同様にして、第2のコイル5により発生する磁束は、マグネット1の外周面に対向する第2のステータ3の第2の外側磁極部3a,3bと、マグネット1の内周面に固定される第2の内側磁極部6bとの間を通過するので、効果的にマグネット1に作用する。その際、第2の内側磁極部6bはマグネット1の内周面との間に隙間を設ける必要がない。従って、特許文献1や特許文献2に提案されているものに比べ、外側磁極部と内側磁極部の距離を小さく構成することが可能となり、これにより磁気抵抗を小さくし出力を高めることができる。
また、マグネット1の内径部は回転軸6の第1,第2の内側磁極部6a,6bによって埋められているので、特許文献1や特許文献2で提案されているものに比べ、マグネット1の機械的強度が大きく、またバックメタルとして作用することによりマグネット1の磁気的劣化も少ないものになっている。
更に、特許文献1や特許文献2で提案されているものは、マグネットの外径部と外側磁極部の隙間を精度良く保って組み立てる必要の他に、マグネットの内径部に対向する位置にある内側磁極部をマグネットに対して所定の隙間を設けて配置する必要があり、部品精度のばらつきや組み立て精度が悪いことによりこの隙間を確保できず、内側磁極部がマグネットに接触したり、モータ精度のばらつきなどの不良原因となったりする可能性があった。これに対し本実施例1では、マグネット1の外径部のみの隙間管理だけで良いので組み立てが容易になる。また、第1の内側磁極部と第2の内側磁極部を別の部品で構成するのに比べて、本実施例1ではこれらを単一の部品で構成しているのでお互いの相互差が少なく、また部品点数を減らすことができ、組み立て作業も減らすことができるので、精度が良く、コストの安いモータとすることができる。さらに、特許文献1や特許文献2では外側磁極部と内側磁極部を一体あるいは別部品の接着によって構成しているのに比べて、本実施例1では、第1,第2の外側磁極部2a,3aの構成が単純で、製造方法が容易で安価なものとなっている。
また、本実施例1では、軸受け7を軟磁性材料で形成することにより、該軸受け7を回転軸6の第1の内側磁極部6aを補助するものとして作用させ、同様に第2の軸受け8を軟磁性材料で形成することにより、該軸受け8を回転軸6の第2の内側磁極部6bを補助するものとして作用させているので、第1のコイル4あるいは第2のコイル5により発生する磁束が流れやすいものになり、モータの出力が高められている。
この際、第1の軸受け7と回転軸6との間及び第2の軸受け8と回転軸6との間には吸着力が発生し、摩擦力によるトルク損失が生じたり、摺動面の耐久性を損なったりする可能性がある。回転軸6と第1,第2の軸受け7,8が磁気的に接続していながら軸損失を減らすためには、回転軸6と第1,第2の軸受け7,8との接触面積を磁気飽和が起こらない範囲で減らす必要がある。そこで、回転軸6のラジアル方向かスラスト方向のどちらか一方でのみ接触させればよい。この事を考慮して考えられる構成について、次に説明する。
スラスト方向でのみ接触させる方法としては、図4に示した断面図のような構成が考えられる。図中、17及び18は軟磁性材料からなる第1の軸受け7及び第2の軸受け8の内周部に挿入された非磁性材料からなるチューブである。回転軸6と第1,第2の軸受け7,8はスラスト方向で接触しており、ここで磁気的に接続された構成となっている。この接続部で磁気飽和が起こらないためには接触面積を増やす必要があるが、この部分で接触面積を増やすことは回転時に軸損失をかなり大きくさせてしまう。さらに磁気抵抗の小さい構成にするためには該チューブ17,18を肉薄に構成する必要がある。しかしながら肉薄に形成したチューブは精度が出ず、回転軸を嵌合させるには好ましくない。
そこで、本実施例1では図2に示したように、回転軸6と第1の軸受け7及び第2の軸受け8との接触をラジアル方向でのみ行い、スラスト方向では接触させない構造(ボビン9,10の規制部9b,10b)にすると、小径で構成した軸部6e及び6fのラジアル方向での損失はごくわずかでしかなく、磁気飽和が起こらないように接触面積を増やすことも容易である。さらに、磁気飽和を減らすために回転軸6と第1,第2の軸受け7,8の間に挟んだ非磁性材からなる軸方向規制部材であるボビン9,10の規制部9b,10bの肉厚t(図2参照)を薄くすることも容易である。従来例のように軸受けを非磁性材によって形成することによって吸着は少ない反面磁気抵抗が大きくなるものに比べて、上記構成によって磁気回路の磁気抵抗が減少することによる効率アップの方がより有効的に働き、マグネット1に発生するトルク自体は大きなものになる。また、第1の軸受け7あるいは回転軸6の軸部6eの表面及び第2の軸受け8あるいは回転軸6の軸部6fに潤滑材の塗布、潤滑塗装(フッ素系潤滑塗装・グラファイト系潤滑塗装・二硫化モリブデン系潤滑塗装など)、潤滑メッキ(ポリテトラフルオロエチレン粒子を含有した無電解ニッケルメッキやテフロン(商標)潤滑無電解ニッケルメッキなど)等を施したり、鉄材だけでなく銅を含む材料からなる含油軸受けとすることにより、摺動面の摩擦によるトルク損失を抑制したり、摺動面の耐久性を損なうことを防いだりしてさらにトルク性能をアップさせることが可能である。
さらに、回転軸6のスラスト方向の規制部を非磁性材料であるボビン9,10に設けたことにより、部品点数を増やすことなく、また組み立ても簡単なものとすることができる。
以上のように、駆動装置の磁気損失を最小にしながら、軸損失も減らす構造にしたことによって、従来例に示した構造よりも出力が大きく、駆動性能の良いモータとすることができる。
次に、本実施例1における駆動の仕組みについて、図3(a)〜(h)を用いて詳細に説明する。図3は図2のA−A,B−B断面図であり、図3(a)と(e)とが同時点の断面図であり、図3(b)と(f)とが同時点の断面図であり、図3(c)と(g)とが同時点の断面図であり、図3(d)と(h)とが同時点の断面図である。
図3(a)と(e)の状態から第1のコイル4及び第2のコイル5に通電して、第1のステータ2の外側磁極部2a,2bをN極に励磁し、第2のステータ3の外側磁極部3a,3bをS極に励磁すると、マグネット1は反時計方向に45度回転し、図3(b)と(f)に示す状態になる。次に、第1のコイル4への通電を反転させ、第1のステータ2の外側磁極部2a,2bをS極に励磁し、第2のステータ3の外側磁極部3a,3bをS極に励磁すると、マグネット1は更に反時計方向に45度回転し、図3(c)と(g)に示す状態になる。次に、第2のコイル5への通電を反転させ、第1のステータ2の外側磁極部2a,2bをS極に励磁し、第2のステータ3の外側磁極部3a,3bをN極に励磁すると、マグネット1は更に反時計方向に45度回転し、図3(d)と(h)に示す状態になる。
以後、このように第1のコイル4及び第2のコイル5への通電方向を順次切り換えていくことによって、マグネット1は通電位相に応じた位置へと順に回転する。
なお、マグネット1の外周面を周方向に分割してなる着磁層を軸方向に2つ設け、第1のステータ2と対向する一方の着磁層と、第2のステータ3と対向する他方の着磁層の位相を互いに180/n度ずらし、第1のステータ2と第2のステータ3の位相を同じものとしてもよい。
本実施例1では、特許文献1あるいは特許文献2にて提案されているものと同様に、第1,第2のコイル4,5に通電することにより発生する磁束を直接マグネット1に作用させ、モータを高出力なものにするとともに非常に小型化可能なものとしている。つまり、このモータの径はマグネット1の径に第1,第2のステータ2,3の磁極部を対向させるだけの大きさがあれば良く、また、モータの長さはマグネット1の長さに第1のコイル4と第2のコイル5の長さを加えただけの長さがあれば良い事になる。このため、モータの大きさは、マグネット及びコイルの径と長さによって決まるもので、マグネット1及びコイル4,5の径と長さをそれぞれ非常に小さくすればモータを超小型にする事ができるものである。
この時、マグネット1及びコイル4,5の径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、モータとしての精度を維持する事が難しくなるが、これはマグネット1を円筒形状に形成し、この円筒形状に形成されたマグネット1の外周面に第1,第2のステータ2,3の外側磁極部を対向させ、かつマグネット1の内径部に内側磁極部を固定させた単純な構造としたことにより、モータの精度の問題を解決している。さらに上記の説明で述べたように更に低コストで高出力なものに出来る。
以上のように本実施例1によれば、小型化を損なうことなく、部品形状も単純で構成しやすく、低コストであって、より高出力なモータを提供可能となる。
図5〜図8は本発明の実施例2に係る駆動装置を示す図であり、図5は駆動装置の分解斜視図、図6は組み立て後の駆動装置をその軸方向で切断した断面図である。また、図7及び図8は駆動装置が規制された所定範囲内で往復回転駆動する際の様子を示す図であり、詳しくは、図7はロータに設けられた突起部が固定部材の案内溝の一端に接触した第1の状態での図6のA−A断面であり、図8はロータに設けられた突起部が固定部材の案内溝に接触した第2の状態での図6のA−A断面である。
これらの図において、21はプラスチックマグネットからなる概略円筒形状のマグネットであり、内径部には突起部21eを有し、該突起部の21eが後述のロータ24に設けられた溝部24eと嵌合し接着されている。このマグネット21はその外周面を円周方向にn分割(本実施例2では4分割)して交互にS極とN極に着磁されている。詳しくは、図7に示すように、着磁部21a,21cの外周面がN極に、着磁部21b,21dの外周面がS極にそれぞれ着磁されており、内径部に設けられた突起部21eと着磁位相が常に一定となるように着磁されている。なお、着磁部21a,21cの内周面が外周面と異なるS極に、着磁部21b,21dの内周面が外周面と異なるN極に着磁されていると、モータのトルクを向上させることができる。
22は円筒形状のコイルであり、後述のボビン26に巻回されている。このコイル22はマグネット21と同心で、かつマグネット21の回転軸方向であって、該マグネット21と隣接する位置に配置され、その外径がマグネット21の外径とほぼ同じ寸法である。23は軟磁性材料からなり、コイル22によって励磁されるステータである。該ステータ23は、中心軸と垂直で中心に後述の軸受け25を保持する面23cと、面23cの外周部から軸方向に延びるn/2個(本実施例2では2個)の歯形状の外側磁極部23a,23bからなる。外側磁極部は23a,23bはマグネット21の外周面に所定の隙間を持って対向しており、720/n度(本実施例2では180度)ずれて形成されている。そして、該ステータ23は後述のカバー27に対して所定の位相位置に固定される。
24は駆動装置の出力軸となる軟磁性材料からなるロータである。該ロータ24は出力ピン24fをもち、ここで被駆動部材を駆動させる。また、ロータ24はその円柱部24aがコイル22の内径部に挿入され、該円柱部24aがマグネット21aの内径部に直接固定されている。マグネット21の内径側には、この軟磁性材からなるロータ24の円柱部24aのみが配置され、これが内側磁極部としてマグネット21に作用する。マグネット21とロータ24とを固定する際、該マグネット21の内径部に設けられた突起部21eとロータ24に設けられた溝部24eとを合わせて固定することによって、マグネット21の着磁位相とロータ24(詳しくは出力ピン24f)との位相位置を合わせている。もしくは、ロータ24に対してマグネット21をインサート成形すると、出力ピン24fとの位相関係が一定になるように着磁を行うことが容易にできる。この際、溝部24eはマグネットの空転止めとして働く。
円柱部24aはステータ23の外側磁極部23a,23bと対向して、内側磁極部として働き、外側磁極部と内側磁極部でマグネット21を挟む構造となっている(以下、円柱部24aを内側磁極部24aと記す)。内側磁極部24aはコイル22によって外側磁極部23a,23bとは反対の極に励磁される。内側磁極部24aをマグネット21の内径部に直接固定したことにより、外側磁極部と内側磁極部との隙間はマグネット21の厚みと、マグネット21が回転する際に外側磁極部と接触しないだけの微小な隙間分だけとなるので、磁気抵抗が少なく効果的にマグネット21に磁束が働く構成となっている。
25は軟磁性材料からなる軸受けであり、ステータ23に固定され、ロータ24を回転可能に保持している。また、コイル22の内径部に挿入されており、該コイル22への通電によってロータ24とともに同じ極に励磁される。軸受け25には内径部25aによってロータ21が回転可能に嵌合しており、ここによって軸受け25とロータ24が磁気的に接続されているからロータ24とともに内側磁極部としても作用している。さらに、軸受け25は、ステータ23に固定されていることによってステータ23とも磁気的に接続されていることから、ロータ、軸受け、ステータが磁気的に接続された構成となっている。
これにより、コイル22への通電により励磁された磁極部は磁気抵抗がかなり小さい磁気回路を構成している。ロータ24と軸受け25は嵌合部において接触しているが、回転軸方向では接触しない構成となっている。この理由については後述する。
26は非磁性材料からなるコイル22を卷回するボビンである。コイル卷回部26aの内周部にロータ24の軸方向の規制を行う規制部26bが設けられている。詳しくは、軸受け25とロータ24との軸方向の間に挟まれるようになっており、その軸方向の厚みはできるだけ薄く構成されている。このような構造にしたことによって、ロータ24が軸受け25に軸方向では直接接触しないようになっている。27はモータを覆うカバーであり、該カバー27の平面部には案内溝27aが設けられ、ロータ24の出力ピン24fがこの案内溝27a内の一端あるいは他端に当接することで、ロータ24の回転範囲を所定角度に規制している。また、カバー27に固定されるステータ23は、その外側磁極部23a,23bと案内溝27aとの位相が所定の角度関係(本実施例2では外側磁極部23aあるいは23bから360/n=90度ずれた位置)となるように固定されている。
以上のことによって、マグネット21の着磁位相とロータ24の出力ピン24fの関係、ステータ23の外側磁極部23a,23bと案内溝27a、つまりロータ24及びマグネット21の回転範囲の位相関係、つまりは、外側磁極部23a,23bとマグネット21の回転規制範囲内での着磁位相関係が固定されたことになる。本実施例2では、モータの回転可能角度範囲(案内溝27a)のちょうど中央に出力ピン24fがあるとき、マグネット21の極と極の中心がステータ23の外側磁極部23a,23bの中央に対向するような位相関係となっている。
次に、図7及び図8を用いて、実施例2における駆動装置の駆動のしくみについて詳細に説明する。図7の状態(図7では不図示であるが、ロータ24の出力ピン24fがカバー27の案内溝27aの一端に当接している第1の状態)からコイル22に通電を行い、ステータ23の外側磁極部23a,23bをS極に、ロータ24の内側磁極部24aをN極にそれぞれ励磁すると、マグネット21は反時計回りに回転し、これと一体のロータ24も回転し、その出力ピン24fがカバー27の案内溝27aの他端に当接することによって回転を止められ、図8に示す状態になる。
図8の状態からコイル22に逆方向の通電を行い、ステータ23の外側磁極部23a,23bをN極に、ロータ24の内側磁極部24aをS極に励磁すると、マグネット21は時計回りに回転し、出力ピン24fがカバーの案内溝27aの一端に当接することによって回転を止められ、図7に示す状態に再び戻る。
以上のことにより、上記構成の駆動装置は、コイル22への通電方向を切り換えることによって所定の角度範囲内で往復回転可能となっている。
上記の実施例2によれば、外側磁極部23a,23bと内側磁極部24aは軟磁性材料からなる軸受け25を介して磁気的に接続されており、磁気抵抗の少ない磁気回路を形成している。しかしながら、軸受け25とロータ24とは共に軟磁性材料で形成されていることから、吸着力が発生し、ロータ24の回転性能に影響を及ぼす。前述のように実施例1における駆動装置はモータであったので、高速回転を行えば、ロータの軸方向での接触はほとんどないので影響も少ないが、本発明の実施例2では往復回転の駆動装置であって、駆動し始めの低速時でのロータ24の吸着は駆動特性に大きく影響を及ぼす。軸受け25を非磁性材料にしたのでは、外側磁極部23a,23bと内側磁極部24aとが磁気的に接続された構成にならないので、磁気抵抗が大きくなり、駆動装置の性能アップにならない。
そこで、ロータの軸方向での接触は避け、比較的小径であって吸着トルクが小さくなる軸の外周部(嵌合部)において接触させるのが好ましい。この際、ロータ24と軸受け25とが直接接触しないよう、非磁性材料からなるワッシャーのような部材を間に入れ、これによってロータ24の軸方向の位置規制を行うようにすればよい。該ワッシャーを間に入れる際に磁気抵抗をできるだけ小さくするためには、できるだけ薄い材料であることが好ましい。該ワッシャーを、軸受けの外周部に配置された非磁性材料からなるボビンにて形成すれば、部品点数を増やすことなく構成できるうえ、組み立ても簡単になる。
よって、本実施例2では、ボビン26のコイル22の卷回部26aの内側にロータ24の軸方向の規制部26bを持ち、ここでロータ24の軸方向の位置規制を行っている。また、ロータ24と軸受け25が共に軟磁性材料であって、これらの接触は摩擦抵抗も大きく、ロータ回転時の騒音も気になるので、銅を含む鉄材料からなる含油軸受けなどにするとよい。
ロータ24と軸受け25との接続の方法として、図9のように回転軸方向で接触を行い、周方向での接触を行わないという構成も考えられる。図9は参考例の駆動装置の断面図であり、123はステータ、124はロータ、125が軸受けである。図9のような構成にした場合、磁気飽和しないようにロータ124と軸受け125の接触面積を増やせば、吸着による摩擦は益々大きくなる傾向にあり、また磁気抵抗を少なくするために厚みの薄い非磁性材料にて作成の軸受け125にてロータ124を回転可能に保持すると、軸受け125の内径の寸法精度が出ずにロータ124の回転精度は悪くなる。
以上のことにより、軸受け25は軟磁性材料であって、ロータ24との接続は軸の嵌合部分にて行い、軸方向では接触しない構成とすると磁気抵抗が少ない磁気回路を構成でき、かつ外側磁極部23a,23bと内側磁極部24aとの間にマグネット21を挟む構成としているので、磁束が該マグネット21に効果的に作用して、駆動装置の出力を高めるものである。
以上のように本実施例2によれば、小型化を損なうことなく、部品形状も単純で構成しやすく、低コストであって、より高出力な駆動装置を提供可能となる。
最後に、上記の実施例1及び実施例2による効果について、以下にまとめて記載する。
上記各実施例によれば、軸受け7,8,25が軟磁性材料にて構成され、これらが磁気的に接続された構成にすることにより磁気抵抗の少ない磁気回路を形成するので、有効的にマグネット1,21に作用し、出力の高いモータや駆動装置とすることができる。その際、回転軸6やロータ24と軸受け7,8,25が共に軟磁性材料であることから、駆動中に両者の間で磁気吸着力が発生する。モータの高速回転時には吸着力はそれほど影響を及ぼさないが、低速回転時においては回転精度に悪影響を及ぼし、回転を不安定にさせる要因となる。そこで、回転軸6やロータ24の軸方向の規制部を非磁性材料からなるボビン9,10,26に設けることによって該回転軸6やロータ24と軸受け7,8,25との軸方向の接触を避け、代わりに回転軸6やロータ24の軸外周面でのみ軸受け7,8,25と接触することによって、吸着による抵抗をできるだけ小さくした。このことによって、特許文献2に示される駆動装置のように軸受けを非磁性体にするものに比べて、磁気吸着による損失よりも磁気抵抗が少なくなることによる効率アップの方が有効なため、高出力であって回転精度をアップする駆動装置となる。さらに、回転軸6やロータ24の軸方向規制部をボビン9,10,26に設けたことによって、部品点数を増やすことなく、また組み立ても単純な駆動装置となっている。さらには、ステータの形状としても円筒形状の内側磁極部と外側磁極部が必要でありそれらを一体的に構成するのは部品製造上難しく、またそれらを別体で製造し後で一体的に組み立てる場合は部品点数が多くなり、コストアップを招いてしまうが、回転軸6やロータ24を内側磁極部としているので、このような点も改善される。
以下、実施例1を代表例として更に詳しく説明すると、第1の外側磁極部2a,2bと対向しマグネット1の内径部に固定された回転軸部分を第1の内側磁極部と呼ぶと、第1のコイル4により発生する磁束は、マグネット1の外周面に対向する第1の外側磁極部2a,2bと、マグネット1の内周面に固定された回転軸6の第1の内側磁極部6aとの間を通過するので、効果的にマグネット1に作用する。その際、マグネット1の内周面に対向する回転軸6の第1の内側磁極部6aはマグネット1の内周面との間に隙間を設ける必要がないので、上記従来例(特許文献1あるいは特許文献2)に比べて外側磁極部2a,2bと内側磁極部6aの距離を小さく構成できる。このことは磁気抵抗を少なくし、すなわち出力を高めることができるものである。同様にして、第2の外側磁極部3a,3bと対向しマグネット1の内径部に固定された回転軸部分を第2の内側磁極部と呼ぶと、第2のコイルにより発生する磁束は、マグネット1の外周面に対向する第2の外側磁極部3a,3bと、マグネット1の内周面に固定された回転軸6の第2の内側磁極部6bとの間を通過するので、効果的にマグネット1に作用する。その際、マグネット1の内周面に対向する回転軸6の第2の内側磁極部6bはマグネット1の内周面との間に隙間を設ける必要がないので、上記従来例(特許文献1あるいは特許文献2)に比べて外側磁極部3a,3bと内側磁極部6bの距離を小さく構成できる。このことは磁気抵抗を少なくし、すなわち出力を高めることができるものである。
さらに、第1及び第2の内側磁極部6a,6bがあり、磁気回路となっている回転軸6を回転可能に保持している第1の軸受け7及び第2の軸受け8を軟磁性材料にて形成し、外側磁極部2a,2b,3a,3bに固定することにより、内側磁極部と外側磁極部が磁気的に接続されている。このことにより、第1のコイル7あるいは第2のコイル8により発生する磁束はより流れやすくなり、磁気抵抗を減少させ出力を高めることが可能になる。その際、回転軸6と各軸受け7,8との間に吸着力が発生し、回転精度、特に低速回転時に影響を及ぼす恐れがある。そこで、回転軸6の軸方向の規制は、規制部9b,10bをもつ非磁性材料からなるボビン9,10にて行うことで、回転軸と軸受けがスラスト方向で接触することを避け、回転軸と軸受け部との接続を軸損失の小さいラジアル方向でのみ行う構成としている。このことにより、磁極部の磁気抵抗を小さくしながらも、回転の際にも吸着の影響が少ないため、出力が高く、性能のよい駆動装置とすることができる。
また、第1の内側磁極部6aと第2の内側磁極部6bは単一の回転軸6上で構成されており、外側磁極部を構成しているステータの形状も単純化できるため、従来例(特許文献1及び特許文献2)で提案されている外側磁極部と内側磁極部を一体にて製造あるいは、接続製造するのに比べて、容易に製造でき、コストも安いものになる。
本発明の実施例1に係るモータを示す分解斜視図である。
図1に示すモータの組み立て完成状態の断面図である。
図2に示すモータの軸と垂直方向のA−A,B−B断面であり、モータの回転動作説明図である。
本発明の実施例1に対する参考例を説明するための断面図である。
本発明の実施例2における駆動装置の分解斜視図である。
図5に示す駆動装置の組み立て完成状態の断面図である。
図6に示す駆動装置の軸と垂直方向のA−A断面であり、駆動装置の動作説明図である。
同じく図6に示す駆動装置の軸と垂直方向のA−A断面であり、駆動装置の動作説明図である。
本発明の実施例2に対する参考例を説明するための断面図である。
特許文献1におけるステッピングモータの分解斜視図である。
図9のステッピングモータの組み立て完成状態の断面図である。
符号の説明
1 マグネット
2 第1のステータ
2a,2b 第1の外側磁極部
3 第2のステータ
3a,3b 第2の外側磁極部
4 第1のコイル
5 第2のコイル
6 回転軸
6a,6b 内側磁極部
7 第1の軸受け
8 第2の軸受け
9 第1のボビン
10 第2のボビン
21 マグネット
22 コイル
23 ステータ
24 ロータ
25 軸受け
26 ボビン