JP4376426B2 - 縦葺屋根板材の接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦葺屋根板材の接続構造に関するものであり、特に互に接続しようとする隣接する屋根板材本体の位置決めを容易に行うことができるようにすると共に、既存の瓦棒葺屋根の上に被せるようにして堅牟な縦葺屋根を形成することができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
縦葺屋根板材の接続構造として図14に示したものが知られている。上記接続構造101は、互に接続しようとする隣接する屋根板材本体102,102の被接続部102aを支持する支持部103aを上端側に有していて、下端側に屋根下地材201及び防水シート202上への固定部103bを有している止め金具103と、上記止め金具103に着脱自在に取付けられて、上記支持部103aとの間で上記隣接する屋根板材本体102の被接続部102aを挟着する接続金具104と、上記接続金具104によって接続された上記互に隣接する屋根板材本体102,102の被接続部102aを覆うように取付けられるキャップ部105と、を備えている。
【0003】
図15に示したように、上記止め金具103は、上記支持部103aを中心にし、その両側部を同方向に略直角に折り曲げて一対の脚部103c,103cを形成すると共に、これら一対の脚部103c,103cの下端を外側に向けて略直角に折り曲げて一対の固定部103b,103bを設けることにより形成されている。上記支持部103aの中央は平坦部103dになっていると共に、その両側部は緩やかな傾斜部103e,103eになっている。上記平坦部103dの中心部には、ボルト挿通孔103fが設けられていて、ボルト111とナット112により、上記支持部103a上に上記接続金具104が着脱自在になっている。また、上記固定部103bの中心部には、釘挿通孔103gが設けられていて、釘113により、上記固定部103b及び止め金具103が上記屋根下地材201上に固定されるようになっている。
【0004】
上記接続金具104は、上記止め金具103の支持部103aの中央の平坦部103d上に載置される矩形状の底面板104aと、該底面板104aの四周に起立状の壁面板104bを介して設けられた長方形の枠形状のフランジ部104cと、該枠形状のフランジ部104cの対向する長辺側の外縁に連設された一対の被接続部カバー部104d,104dを備えている。
【0005】
上記接続金具104は、上記底面板104aの中心部にボルト挿通孔104eを有していて、該ボルト挿通孔104eは、上記止め金具103のボルト挿通孔103fと重なり合うようになっている。
【0006】
上記従来の接続構造においては、先ず図16に示したように屋根下地材201上に防水シート202を敷設して、その上に、所定幅及び所定間隔をもって上記止め金具103を釘113で固定する。
【0007】
次に、図17に示したように上記止め金具103の両側部に互に接続しようとする屋根板材本体102,102を配置し、これら屋根板材本体102の被接続部102aを上記支持部103aの平坦部103dの両側の緩やかな傾斜部103eに載置する。
【0008】
次に、図18に示したように、上記支持部103aの平坦部103d上に上記接続金具104を乗せて、ボルト111、ナット112で固定し、上記屋根板材本体102の被接続部102aの端部を上記被接続部カバー部104dで覆うようにして、上記被接続部102aを上記接続金具104のフランジ部104cと上記止め金具103の支持部103aの間で挟着する。
【0009】
次に、図19に示したように、上記一対の屋根板材本体102,102の被接続部102a,102aを覆うようにしてキャップ部105を取付けることにより、上記従来の縦葺屋根板材の接続構造が構成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来の縦葺屋根板材の接続構造には次に述べるような問題点があった。
(1)図20に示したように、従来から存在する古い瓦棒葺屋根301の上に重ね合わせるようにして縦葺屋根を形成する場合に、屋根下地材201等が老朽化している場合に、上記止め金具103を釘113等を屋根下地材201に打ち込んでも釘113等が利きにくく、止め金具103をしっかりと固定できない場合等が発生する。
(2)上記止め金具103には、その両側部に配置した屋根板材本体102の位置決めを行う位置決め部が設けられていなかったために、図17に示した段階で屋根板材本体102の被接続部102aの位置決めを行うのが難しい。上記止め金具103に接続金具104を取付け、該接続金具104の壁面板104bを利用し、これに、上記被接続部102aの一部を突き当てて屋根板材本体102の位置決めをすることも考えられるが、上記接続金具104を取付けてしまうと、接続金具104と止め金具103の間に上記被接続部102aを挿入するのが困難になる。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的として成されたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、接続しようとする隣接する屋根板材本体の被接続部を支持する支持部を上端側に有していて、下端側に屋根下地材への固定部を有している第1の止め金具と、上記第1の止め金具に着脱自在に取付けられて、上記支持部との間で上記隣接する屋根板材本体の被接続部を挟着する接続金具と、上記接続金具によって接続された隣接する屋根板材本体の被接続部を覆うように取付けられるキャップ部と、を備えた縦葺屋根板材の接続構造において、
上記第1の止め金具で上記屋根下地材上に設けられている既存の瓦棒葺屋根の接続部を覆うと共に、上記第1の止め金具を上記瓦棒葺屋根の接続部に固定する第2の止め金具を設け、
上記屋根下地材が老朽化して、上記第1の止め金具だけでは屋根下地材にしっかりと固定することが困難な場合でも、上記第2の止め金具を使用することにより、より確実に固定することができるようにした。
請求項2の発明は、請求項1の縦葺屋根板材の接続構造において、
上記第2の止め金具を、上記第1の止め金具と接続金具との間に挟持する構成とすることにより、
第2の止め金具の第1の止め金具への組み付けを容易に行うことができるようにした。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の縦葺屋根板材の接続構造において、
上記第1の止め金具に、隣接する屋根板材本体の被接続部の一部を当接させることによって屋根板材本体の位置決めを行う屋根板材本体位置決め部を設けることにより、
上記第1の止め金具に接続金具を取付ける前でも上記屋根板材本体の位置決めを行うことができるようにした。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の縦葺屋根板材の接続構造を示す正面図である。上記縦葺屋根板材の接続構造1は、互に接続しようとする隣接する屋根板材本体2の被接続部2aを支持する支持部3aを上端側に有していて、下端側に屋根下地材201及び防水シート202側への固定部3bを有している第1の止め金具3と、上記第1の止め金具3に着脱自在に取付けられて、上記支持部3aとの間で上記隣接する屋根板材本体2,2の被接続部2c,2cを挟着する接続金具4と、上記接続金具4によって接続された隣接する屋根板材本体2,2の被接続部2c,2cを覆うように取付けられるキャップ部5とを備えている。
【0015】
上記第1の止め金具3は、隣接する屋根板材本体2,2の被接続部2c,2cの一部を当接させることにより、屋根板材本体2,2の位置決めを行う屋根板材本体位置決め部3d,3gを有している。
【0016】
上記第1の止め金具3は、上記屋根下地材201上に設けられている既存の瓦棒葺屋根301の接続部302を覆うことができるように形成されていると共に、上記瓦棒葺屋根301の接続部302の心木303或は図2に示す垂木304に固定する第2の止め金具6を備えている。
【0017】
図3に示したように、上記屋根板材本体2は、フラット状のベース部2aと、該ベース部2aの幅方向の両側部に設けられた傾斜状の立上部2bと、該立上部2bの端部に設けられた上記被接続部2cを備えている。上記被接続部2cは、第1,第2,第3の折曲部2d,2e,2fにより略V字状に形成されている。2gはベース部2aに形成された段部、2hはリブ部である。上記屋根板材本体2は、金属板を折り曲げることにより形成されている。
【0018】
図4に示したように、上記第1の止め金具3は、上記支持部3aと、該支持部3aの両側部に連設された一対の脚部3b,3bと、これら一対の脚部3b,3bの端部に連設された一対の固定部3c,3cとからなっている。
【0019】
上記支持部3aは、第1の屋根板材位置決め部及びスペーサとしての一対の起立壁3d,3dを介して、後に詳しく説明する接続金具4を載置する平坦部3eが設けられている。上記平坦部3eの中心部には、ボルト挿通孔3fが設けられていて、ボルト111とナット112により、上記平坦部3e上に次に説明する第2の止め金具6及び接続金具4が着脱自在に取付けられるようになっている。
【0020】
また、上記一対の脚部3b,3bは、上記支持部3aの両側部に連続する第2の屋根板材位置決め部としての傾斜部3g,3gと、これら傾斜部3g,3gに連続する垂直部3h,3hとからなっていて、これら垂直部3h,3hの下端を外方に向けて略垂直に折り曲げることにより、上記一対の固定部3c,3cが形成されている。
【0021】
上記固定部3c,3cの中心部には釘挿通孔3iが設けられていて、釘113により、上記固定部3cが上記屋根下地材201に固定されるようになっている。3jは、上記脚部3bと固定部3cの間に跨って形成された補強用のリブ部である。上記第1の止め金具3は、金属板を折り曲げることにより形成されている。
【0022】
また、上記第2の止め金具6は、上記第1の止め金具3の平坦部3e上に重ね合わせる矩形状の重合部6aと、該重合部6aの長さ方向の両端部を同方向に略垂直に折り曲げることにより形成された一対の脚部6b,6bと、これら脚部6b,6bの下端を外側に向けて略直角に折り曲げることにより形成された固定部6c,6cを有している。
【0023】
上記重合部6aの中心部には、該重合部6aを上記第1の止め金具3の平坦部3e上に重ね合わせたときに、該平坦部3eに設けたボルト挿通孔3fと連通するボルト挿通孔6dが設けられていて、上記ボルト111とナット112により上記第1の止め金具3に取付られるようになっている。また、上記一対の固定部6c,6cの中心部には釘挿通孔6eが設けられている。上記第2の止め金具6は、金属板を折り曲げることにより形成されている。
【0024】
上記接続金具4は、矩形状に形成されていて、長辺側に一対の被接続部カバー部4a,4aが設けられ、短辺側に一対の回転阻止用の突部4b,4bが設けられている。
【0025】
上記接続金具4は、上面の中心部にボルト挿通孔4cを有し、該ボルト挿通孔4cの両側には補強用のリブ部が設けられている。上記接続金具4は金属板を折り曲げることにより形成されている。
【0026】
そして、上記第1の止め金具3上に第2の止め金具6を重ね合わせ、更にその上に接続金具4を重ね合わせて、ボルト111、ナット112で三者は一体的に結合されて使用されるようになっている。
【0027】
図5に示したように、上記キャップ部5は、略逆U字状のキャップ本体部5aと、該キャップ本体部5aの両側部に設けられた一対の略V字状の係合部5b,5bを備えている。そして、図1に示したように、上記一対の係合部5b,5bを、上記止め金具3等を挟んで隣接する屋根板材本体2,2のV字状の被接続部2c,2cに係合することにより、上記第1の止め金具3等の上方を覆うようにして、上記一対の屋根板材本体2,2間に組付けられるようになっている。
【0028】
次に、図6に示すように既存の瓦棒葺屋根301の上に本発明の接続構造を使用して縦葺屋根を形成する場合を例にとって説明する。
【0029】
先ず、図7に示したように、第1の止め金具3上に第2の止め金具6を重ね合わせた状態で、これを上記既存の瓦棒葺屋根301の接続部302に配置し、第1の止め金具3を釘113等で屋根下地材201に固定すると共に、第2の止め金具6を釘113等で屋根下地材201側に固定する。上記第2の止め金具6の固定は、図7に示したように釘113を上記瓦棒葺屋根301の接続部302内の心木303に打ち込み、或は図8に示したように垂木304に打ち込むことにより行われる。
【0030】
次に、図9に示したように、第1の止め金具3の両側部に配置した屋根板材本体2,2の被接続部2cの最外端部(上記第1の折曲部2dと第2の折曲部2eとの連続部)2iを上記第1の止め金具3の第1の屋根板材位置決め部としての起立壁3dに当接させると共に、上記屋根板材本体2,2の傾斜部2bの上端部を上記第1の止め金具3の第2の屋根板材位置決め部としての傾斜部3gに当接させて、上記屋根板材本体2,2の位置決めを行う。
【0031】
次に、図10に示したように、上記ボルト111とナット112を使用して接続金具4を取付けて、該接続金具4と上記第1の止め金具3の間で上記屋根板材本体2,2の被接続部2c,2cを挟着すると共に、これら被接続部2c,2cに上記キャップ部5を被せることにより、図1に示した本発明の縦葺屋根板材の接続構造1が構成されるのである。
【0032】
図11は、第1の止め金具3の変形例を示す。この変形例において、第1の止め金具3の支持部3aは、フラットに形成されている。そして、上記第2の止め金具6と接続金具4の間には、ナット401やプラスチック等のスペーサ402が介在されて、図12に示したように、第1の止め金具3の支持部3aと接続金具4の間に、屋根板材本体2の被接続部2aの収容空間501を形成するようになっている。他の構成は、図1〜図10に示した基本例と同じであるので同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0033】
また、図13は、新しい屋根下地材201上に縦葺屋根を形成する場合を示すものであり、この場合に第2の止め金具6は必要に応じて使用され、必要ない場合には取除かれる。なお、上記実施例において、第2の止め金具6は、第1の止め金具3に対して着脱自在としたが第1の止め金具3と一体的に形成してもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明の縦葺屋根板材の接続構造には次に述べるような効果がある。
(1)請求項1の縦葺屋根板材の接続構造は、第1の止め金具に第2の止め金具を設けたので、屋根下地材が老朽化していて、第1の止め金具だけでは固定が不充分な場合に、第2の止め金具を使用することにより固定をより確実なものにすることができる。
(2)請求項2の縦葺屋根板材の接続構造は、第2の止め金具の第1の止め金具への組み付けを容易に行うことができる。
(3)請求項3の縦葺屋根板状の接続構造は、第1の止め金具に屋根板材本体の位置決めを行う屋根板材本体位置決め部を設けたので、従来のように接続金具を取付けなくとも、屋根板材本体の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の断面図。
【図2】本発明の断面図。
【図3】屋根板材本体の断面図。
【図4】(A)は要部の分解斜視図、(B)は要部の斜視図。
【図5】キャップ部の断面図。
【図6】縦葺屋根の斜視図。
【図7】組立工程図。
【図8】組立工程図。
【図9】組立工程図。
【図10】組立工程図。
【図11】変形例の分解斜視図。
【図12】変形例を使用した断面図。
【図13】屋根下地材上に新規に縦葺屋根を形成する場合を示す斜視図。
【図14】従来例の断面図。
【図15】(A)は従来例の要部の分解斜視図、(B)は要部の斜視図。
【図16】従来例の組立工程図。
【図17】従来例の組立工程図。
【図18】従来例の組立工程図。
【図19】従来例の組立工程図。
【図20】従来例の問題点を示す断面図。
【符号の説明】
1…縦葺屋根板材の接続構造、2…屋根板材本体、2c…被接続部、3…第1の止め金具、3a…支持部、3b…固定部、3d,3g…屋根板材本体位置決め部、4…接続金具、5…キャップ部、6…第2の止め金具、201…屋根下地材、301…瓦棒葺屋根、302…瓦棒葺屋根の接続部。
Claims (3)
- 接続しようとする隣接する屋根板材本体の被接続部を支持する支持部を上端側に有していて、下端側に屋根下地材への固定部を有している第1の止め金具と、
上記第1の止め金具に着脱自在に取付けられて、上記支持部との間で上記隣接する屋根板材本体の被接続部を挟着する接続金具と、
上記接続金具によって接続された隣接する屋根板材本体の被接続部を覆うように取付けられるキャップ部と、
を備えた縦葺屋根板材の接続構造において、
上記第1の止め金具で上記屋根下地材上に設けられている既存の瓦棒葺屋根の接続部を覆うと共に、上記第1の止め金具を上記瓦棒葺屋根の接続部に固定する第2の止め金具を備えている
ことを特徴とする縦葺屋根板材の接続構造。 - 請求項1において、
上記第2の止め金具は、上記第1の止め金具と接続金具との間に挟持される
ことを特徴とする縦葺屋根板材の接続構造。 - 請求項1又は請求項2において、
上記第1の止め金具は、隣接する屋根板材本体の被接続部の一部を当接させることにより、屋根板材本体の位置決めを行なう屋根板材本体位置決め部を有している
ことを特徴とする縦葺屋根板材の接続構造。
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