JP4376342B2 - 電子時計 - Google Patents
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- G04C3/12—Electromechanical clocks or watches independent of other time-pieces and in which the movement is maintained by electric means wherein movement is regulated by a mechanical oscillator other than a pendulum or balance, e.g. by a tuning fork, e.g. electrostatically driven by piezoelectric means; driven by magneto-strictive means
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子時計に関し、更に詳しくは、カレンダ表示機能を設けても小型化できる電子時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17は、従来の電子時計の一例を示す平面図である。この電子時計900は、時刻表示用のステッピングモータ901の他に、カレンダ表示機構用のステッピングモータ902を設けて、時刻表示部に対してカレンダ部を独立駆動することにより月末の日修正の手間を無くしたオートカレンダ機能付きの電子時計である。ステッピングモータ902は、コイル921と、ステータ922と、ロータ923とから構成され、ロータ923には日板903に回転トルクを伝達する減速機構904が設けられている。ロータ923には、減速機構(減速輪列)に回転トルクを伝えるピニオン924が取り付けられている。減速機構904は、第1の日回し中間車941と、第2の日回し中間車942とから構成されている。
【0003】
カレンダ表示機構は、内周に歯部931を形成した日板903と、第2の日回し中間車942と係合して日板903に回転トルクを伝える日回し車932とから構成されている。日板903は、カレンダ裏板(図示省略)上に回転自在に配置されている。
【0004】
ステッピングモータ902は、地板905の裏側に取り付けた回路ブロックと電気的に接続されており、電子回路からの駆動パルスにより回転する。ステッピングモータ902の回転は、ロータ923のピニオン924、第1の日回し中間車941および第2の日回し中間車942を介して、日回し車932に伝わる。
日回し車932は歯部931と係合しているから、日回し車932の回転により日板903が回転する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ステッピングモータ902の発生するトルクは非常に小さいため、日板903を回転させるには多段の減速機構904が必要になる。このため、オートカレンダ機能を始めとする時刻情報の他に種々の情報表示を行なう多機能を搭載した電子時計900の小型化は困難であるという問題があった。
【0006】
また、ステッピングモータ902が電磁変換機構であるため、時刻表示用のステッピングモータ901に影響を与えるおそれがあり、このため、両ステッピングモータ901、902の距離をある程度確保しなければならない。これも、多機能な電子時計900が小型化できない要因となっていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カレンダ機構などの付加機構を付けても小型化できる電子時計を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る電子時計は、電圧を印加して変位を生じる圧電アクチュエータを、時刻表示以外の第2表示部材の一部近傍に配置すると共に前記圧電アクチュエータを第2表示部材に加圧接触させ、第2表示部材を直接駆動するようにしたものである。
【0009】
圧電アクチュエータを構成している圧電素子に交番電圧またはパルス状電圧を印加すると、圧電効果により圧電素子が伸縮し、圧電アクチュエータに印加電圧に対応した変位が発生する。第2表示部材にこの圧電アクチュエータが加圧接触する構成にすることで、圧電アクチュエータの変位が摩擦を介してして第2表示部材の駆動力となる。第2表示部材としては、例えば日付情報を表示する日板、クロノグラフ、ムーンフェイスなどを挙げることができる。圧電アクチュエータは、ステッピングモータに比べて単位体積当たりの発生力が大きいため、ステッピングモータよりも体積を小さくでき第2表示部材の一部近傍で収まる、さらには発生力が大きいため減速機構が不要であることから、電子時計を小型にできる。また、電磁変換機構でないから、時刻表示用のステッピングモータの影響を受けない。このため、時刻表示用のステッピングモータと離して配置する必要がないため、設計自由度が大幅に増すという効果が得られる。なお、以下の発明においても、同様の作用、効果を得ることができる。
【0010】
請求項1に係る電子時計は、地板と対向位置に時刻表示以外の第2表示部材を設け、電圧を印加して変位を生じる圧電アクチュエータを前記地板と第2表示部材との間に配置すると共に圧電アクチュエータを第2表示部材に加圧接触させ、第2表示部材を直接駆動するようにしたものである。
【0011】
日板等の第2表示部材と地板との間に圧電アクチュエータを配置して、この圧電アクチュエータを第2表示部材に加圧接触させる積み重ね構造で直接駆動するようにしたので、平面スペースが大幅に削減でき、また減速輪列も不要になり、多機能をもつ電子時計が非常に小型に構成できる。
【0012】
また、請求項2に係る電子時計は、地板と対向位置に時刻表示以外の第2表示部材を設け、時刻表示以外の第2表示部材の地板に対向する面に梁部を設け、圧電素子に電気信号を印加して変位を生じる圧電アクチュエータを前記梁部の側面から加圧接触させ、第2表示部材を直接駆動するようにしたものである。
【0013】
日板等の第2表示部材の地板に対向する面に梁部を設け、その梁部の側面に圧電アクチュエータを加圧接触させる構造にすることにより、圧電アクチュエータを梁部の側面に加圧接触させる機構を平面的に配置でき、電子時計を小型化できると共に薄型化することができる。また、このような構造にすることにより、圧電アクチュエータと第2表示部材との接触状態が安定して、第2表示部材の良好な駆動安定性が得られるという効果も得られる。梁部に対して圧電アクチュエータを加圧する方法としては、圧電アクチュエータを直接付勢してもよいし、圧電アクチュエータを接触させた面と反対面から加圧するようにしてもよく、高い設計自由度が得られるという効果もあり、電子時計の小型化に有効である。
【0014】
また、請求項3に係る電子時計は、上記電子時計における圧電アクチュエータは、表面に4分割した4つの電極を設ける共に4つの電極を2つずつ電気的に短絡させた2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子と、表面にほぼ全体にわたる電極を設けた第2の矩形板圧電素子とを有する矩形板圧電振動子であって、前記矩形板圧電素子の電極に各々所定の交番電圧を印加することで矩形板圧電振動子に屈曲振動と縦振動を調和的に発生させることを特徴としている。
【0015】
圧電アクチュエータとして矩形板圧電振動子を用いて、その振動波により日板等の第2表示部材を摩擦により直接駆動する。屈曲振動と縦振動の共振現象を用いることで、矩形板振動子の表面に楕円運動が得られることで、圧電アクチュエータと第2表示部材の加圧接触面の滑りが少なく高い効率が得られる。
【0016】
また、請求項4に係る電子時計は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子時計における圧電アクチュエータは、十文字に等分割した4つの電極を表面に設けると共に対角の電極同士を短絡して2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子と、表面にほぼ全体にわたる電極を設けた第2の矩形板圧電素子とを有する圧電振動子であって、前記矩形板圧電素子の電極に各々所定の交番電圧を印加することで矩形板圧電振動子に屈曲振動と縦振動を調和的に発生させることを特徴としている。
【0017】
圧電アクチュエータとして用いる矩形板圧電振動子に、十文字に等分割した4つの電極を表面に設けると共に対角の電極同士を短絡して2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子を用いている。それによれば、強い屈曲振動が励振でき、請求項3記載の発明による効果に加えて、より大きな発生力が得られるため圧電アクチュエータ自体が小型になり、多機能な電子時計の小型化、薄型化に有効である。
【0018】
また、請求項5に係る電子時計は、請求項3または請求項4に記載の電子時計における圧電アクチュエータは、第1の矩形板圧電素子と前記第2の矩形板圧電素子とを含む複数枚の矩形板圧電素子を重ねて焼成した積層圧電振動子であることを特徴としている。
【0019】
矩形板圧電素子を重ねて焼成した積層圧電振動子を用いることで、積層数に応じて圧電アクチュエータの発生力が増すため、より小型で高出力が得られ、圧電アクチュエータ自体が大幅に小型化でき、電子時計の小型化に有利になる。
【0020】
また、請求項6に係る電子時計は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子時計における圧電アクチュエータの表面に突起を設け、突起を第2表示部材に加圧接触させて第2表示部材を直接駆動するようにしたことを特徴としている。
圧電アクチュエータに設けた突起で第2表示部材に加圧接触するため、圧電アクチュエータの変位から第2表示部材を摩擦で直接駆動する上で有効な変位成分のみを取り出すという効果が得られ、高性能で安定した第2表示部材の駆動が実現できる。
【0021】
また、請求項7に係る電子時計は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電子時計において、嵌合部を有する第1の地板と第2の地板を組み合わせてなる地板を有し、第2の地板上に前記圧電アクチュエータと第2表示部材を設けたことを特徴としている。
【0022】
地板を分割構造にし、1つの地板に圧電アクチュエータおよび時刻表示以外の第2表示部材を設けるようにしたので、第2表示部材、例えば日付機能を持たない電子時計を製造するときは、日板と日板を直接駆動するための圧電アクチュエータを設けた第2の地板を用いずに第1の地板のみで電子時計を構成することができる。逆に、日付機能などの付加機能付きの電子時計を製造するときは、時刻表示部を設けた第1の地板を変更することなく、日付機能を受け持つ第2の地板を第1の地板に嵌合させるだけで、日付機能等の付加機能を有する多機能電子時計を製造できる。このように、第2表示部材とその駆動源である圧電アクチュエータを備えた第2の地板をユニットとして用いることで、電子時計に共通する時刻表示部である第1の地板は全機種共通なものにできるため、安価に多種多様な多機能の電子時計を提供することができる。
【0023】
また、請求項8に係る電子時計は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電子時計において、第2表示部材の移動量を検出する第2表示部材移動量検出手段と、第2表示部材移動量検出手段により検出した信号に基づき、圧電アクチュエータを制御する制御回路と、
を備えたものである。
【0024】
第2表示部材の移動量を検出し、この移動量に基づいて制御回路が圧電アクチュエータの駆動状態を制御する。例えば、第2表示部材が日付情報を表示する日板の場合、日板が1日分回転したか否かを第2表示部材移動量検出手段が検出し、1日分に相当する移動量になるまで制御回路によって圧電アクチュエータを駆動させ、所定の量より送り過ぎた場合は逆送りをさせて所定の移動量に位置で圧電アクチュエータの駆動を停止させる。
【0025】
また、請求項9に係る電子時計は、請求項8記載の電子時計において、第2表示部材に係合して第2表示部材に連動する回転部材を有し、第2表示部材移動量検出手段は回転部材の回転状態を検出することで第2表示部材の移動量を間接的に検知するものであることを特徴としている。
第2表示部材の移動量を、第2表示部材に係合した回転部材の回転状態を検出することで検知する。このため、回転体の回転角度検出で良いため、第2表示部材の移動量がより精度良く検知できるので精密な付加機能駆動の制御が可能となり、高性能な電子時計が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0027】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る電子時計を示す構成図である。図2は、図1に示した電子時計の一部断面図である。この電子時計100は、時針および分針からなる第1表示部材1、コイルブロック、輪列、回路ブロックおよび電池などから構成した時刻表示機構2と、カレンダ機構3とから構成されている。
【0028】
カレンダ機構3は、第2表示部材である日板31と、圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子32と、回転検出部33とを備えている。日板31は、表面に「1」〜「31」までの日付が印刷されており、内側には歯部34が形成されている。また、日板31の下面にはリング状の梁部35が形成されている。
【0029】
圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子32は、日板周縁の一部近傍に配置されている。また、矩形板圧電振動子32は、その中央部を支持部材36により長手方向にスライド可能に支持されており、弾性部材である加圧バネ37によってその先端が梁部35の内面に加圧接触している。梁部35の外周面と地板9との間にはボールベアリング77が介在している。加圧バネ37の他端は、地板9に設けた凸部38により固定されている。
【0030】
回転検出部33は、第2表示部材と係合し連動する回転部材としての歯車39と第2表示部材移動量検出手段としての回転センサ40とから構成されている。
回転部材としての歯車39は、日板31の歯部34に係合している。
図3は、この電子時計のカレンダ機構3の制御システムを示すブロック図である。回転センサ40は、回路ブロックに設けた回転検出回路41に接続されており、この回転検出回路41の出力信号は制御回路42に送られる。また、制御回路42は、圧電アクチュエータ駆動回路43を制御する。矩形板圧電振動子32は、日板31を駆動すると共に日板31の回転に伴い歯車39を回転させる。回路ブロックは、地板9の裏側に取り付けられている(図示省略)。
【0031】
図4は、回転検出部33の断面構成図である。回転センサ40は溝401を有し、この溝401内部の対向面にLED402とフォトトランジスタ403とを配置ている。歯車39の外周部に回転センサ40の溝401を配置し、歯車39の外周部に設けられたスリット405が通過する。このスリット405を通してフォトトランジスタ403がLED光を受光する。フォトトランジスタ403からの受光信号により、日板31の回転が検知される。回転センサ40の端子406は、回転検出回路41に接続されている。
【0032】
図5は、図1に示した圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子32を示す構成図である。この矩形板圧電振動子32は共振タイプのアクチュエータであって、2枚の圧電素子で構成される。その第1層の圧電素子321の一面全部に電極322を形成し(同図(a))、第2層の圧電素子324には、十文字にほぼ等分割された4つの電極を形成しており、対角の電極同士を短絡して2組の電極群325、326を構成する(同図(c))。さらに、2枚の圧電素子321および324を接合する面には、双方ともに一面全部の電極323(GND用電極)を形成し、接着剤で接合している(同図(b))。また、本実施の形態では、これら電極は真空蒸着法により形成しているが、スパッタ法や印刷法などを用いてもよい。
【0033】
この矩形板圧電振動子32は、交番電圧を圧電素子の電極に印加して、縦振動と屈曲振動を同時に発生させてアクチュエータとして用いる。矩形板圧電振動子32の形状は、縦振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数が接近するように決定されており、その共振点近傍の周波数の交番電圧を印加することで、縦振動と屈曲振動の共振点のずれに基づいて縦振動と屈曲振動の変位に位相差が生まれ、矩形板圧電振動子32の側面に楕円軌跡の変位が得られる(同図(d))。そして、このような振動を発生する矩形板圧電振動子32を第2表示部材である日板31に所定の圧力で加圧接触させると、摩擦を介して日板31の駆動力が得られる。
【0034】
圧電素子321は縦振動を励振させるためのものであって、圧電素子324は屈曲振動を励振させるためのものである。圧電素子324に設けられた2組の電極群325および326はどちらか一方を使用し、電極群325を用いて励振される屈曲振動と電極群326を用いて励振される屈曲振動とは、互いに発生する振動変位の方向が逆転する。すなわち、圧電素子324の2組の電極群325と326の選択により、矩形板圧電振動子32の側面に発生する楕円軌跡の変位方向が逆転する。日板31の回転方向は、電極群325および326の切換えにより決定している。なお、圧電アクチュエータとして矩形板圧電振動子を用いるが、円盤形状などの圧電振動子でも構成可能であり、その方式も限定されず単一の振動を用いた方式などでも構成できる。
【0035】
つぎに、この電子時計の動作について説明する。制御回路42は、24時間経過した時点で圧電アクチュエータ駆動回路43に対して日回し信号を出力する。これにより、矩形板圧電振動子32の圧電素子321、324に所定の交番電圧が印加される。圧電素子321、324に交番電圧を印加すると、圧電素子321、324の圧電効果により振動する。振動状態は、図5の(d)に示す通りであり、圧電素子321による縦振動と圧電素子324による屈曲振動により、矩形板圧電振動子32の側面が楕円運動をする。矩形板圧電振動子32の端部32aは、加圧バネ37により梁部35に加圧接触しているから、端部32aと梁部35との摩擦力により日板31が回転する。また、電子時計のメモリにはカレンダ情報が予めインプットされており、月末には小の月、大の月を判別して、制御回路42は何日分、日板を駆動すればよいのかを判断し、圧電アクチュエータ駆動回路43に信号を出力する。
【0036】
日板31が回転すると、当該日板31の歯部34に係合している歯車39の回転状態を回転センサ40が検出し、回転検出回路41に信号を出力する。回転検出回路41からの回転量を示す出力信号は制御回路42に送られる。制御回路42では、日板31の回転量を判断し、1日分回転したところで圧電アクチュエータ駆動回路43に停止信号を送る。この停止信号に基づいて矩形板圧電振動子32の駆動が止み、日板31の回転が止まる。日板31が行き過ぎと判断された場合には、制御回路42は逆転命令を圧電アクチュエータ駆動回路43に出力する。
【0037】
以上、この電子時計100によれば、圧電アクチュエータとして矩形板圧電振動子32を用いて日板31を直接駆動するようにした。このため、従来のような減速輪列が不要になること、圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子32自体のサイズが非常に小さいことから、スペースをとらず、電子時計を小型かつ薄形にできる。また、ステッピングモータのような電磁変換機構を利用しないので、時刻表示機構のステッピングモータに影響を及ぼすことがない。このため、矩形板圧電振動子32とステッピングモータとの配置関係を考慮する必要がないので、設計の自由度が増す。
【0038】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る電子時計を示す一部断面図である。図7は、図6の側面図である。圧電アクチュエータとして矩形板圧電振動子50を用いている。この矩形板圧電振動子50の構成は、実施の形態1で用いた矩形板振動子32と基本的に同じであり駆動原理の説明は省略するが(図5参照)、長手方向の側面より出力を取り出すために2本の突起56を設けたことを特徴としている。この電子時計200では、第2表示部材としての日板51の下部に圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子50を配置して、日板51の下面より突起56を加圧接触させて直接駆動する構造をとっている。この矩形板圧電振動子50は、音叉形状の支持部材52によりその中心部分を挟持し、この支持部材52と地板53との間に加圧バネ54を配置した構造である。矩形板圧電振動子50に設けられた出力取り出し用の突起56には、摩擦係数が大きく、耐摩耗性に優れたエンジニアリングプラスチック製などの摺動材を用いる。また、この突起56は、日板61との加圧接触が均一であること、駆動力を効率的に伝えるため剛性が十分確保されていることが望まれる。突起56と圧電素子321、324とは、接着することで一体化する。なお、本実施の形態では、圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子50に摩擦係数が大きく耐摩耗性に優れたエンジニアリングプラスチック製の突起56を設けているが、突起56を金属などの一般的な材質で構成して、日板51の突起56との摺動面側を摩擦係数が大きく耐摩耗性に優れた材質を貼る、あるいはコーティングなどの表面処理を施すなどの方法をとってもよい。
【0039】
一方、日板51は、地板周囲に設けたリング板57の内周に配置され、日板51とリング板57との間にはボールベアリング58が介在し、日板51を回転自在に保持している。その他の構成は、実施の形態1と同様であるから説明を省略する。
【0040】
圧電素子321および324の電極321、323および325と326のいずれか一方に所定の交番電圧を印加すると、矩形板圧電振動子50の長手方向の側面55に設けた突起56が楕円運動をする(図5参照)。この突起56は日板51の接触面59に加圧接触状態にあるから、突起56の楕円運動により摩擦力を介して日板51を直接駆動する。日板51の制御システムは、実施の形態1のものと同じシステムを採用している。
【0041】
この電子時計200によれば、圧電アクチュエータとしての矩形板圧電振動子50を日板51の下部に配置して日板51を直接駆動するようにしたので、電子時計200のカレンダ機構の平面スペースを小さくできる。また、従来のような減速輪列が不要になり、また圧電アクチュエータ自体のサイズがステッピングモータに比べて非常に小さいので、電子時計200を小型にできる。
【0042】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3に係る電子時計の構造を示す平面説明図である。図9は、図8に示した電子時計の一部断面図である。この電子時計300は、地板60を分割構造にし、第1地板61を時刻表示用に、第2地板62をカレンダ表示用にしたものである。第1地板61と第2地板62とは、蟻溝による嵌合部63を備え、上下方向から押し込むことにより一体化することができる。第2地板62に、上記実施の形態2に示した矩形板圧電振動子50および支持部材52からなる圧電アクチュエータが配置されている。また、日板51は、第2地板62に設けたリング体57の内周に配置されている。リング体57と日板51との間には、ボールベアリング58が介在している。その他の構成は、実施の形態2と同様であるから説明を省略する。
【0043】
電子時計には、カレンダ機能が付いたものと、付いていないものとがある。これらを製造するにはそれぞれ異なる地板が必要になるが、上記構成によれば、カレンダ機能が必要なときに上記第2の地板62を取り付けるようにするから、部品(第1地板61)をカレンダ機能付き電子時計とそうでない電子時計との間で共通化することができる。
【0044】
この電子時計300によれば、カレンダ機能付き電子時計とそうでない電子時計との地板を共通化できるので、製造コストを下げることができる。なお、工場における製造段階で第1地板61と第2地板62とを組み立てるようにしたが、最終製品状態で組み立て可能な構造にすることも可能である。
【0045】
実施の形態4.
図10は、この発明の実施の形態4に係る電子時計の構造を示す一部平面図である。図11は、図10に示した電子時計の一部断面図である。この実施の形態4に係る電子時計400における圧電アクチュエータとしては、実施の形態2の矩形板圧電振動子50を用いており、その支持形態と加圧方式に特徴がある。矩形板圧電振動子50はその中央部分で支持部材102に固定されている。第2表示部材である日板101の地板に対向する面には、ほぼ中央に梁部63が設けられている。矩形板圧電振動子50に設けられた出力取り出し用の突起56は日板101の梁部63内面側に位置している。一方、支持部材102には、加圧バネ64が設けられており、この加圧バネ64の他端には加圧ブロック65が設けられている。加圧ブロック65には、回転自在のボールベアリング66が2個取り付けてある。
【0046】
加圧ブロック65が加圧バネ64により引っ張られると、ボールベアリング66が梁部63の外側面に当接する。これにより、日板101が矩形板圧電振動子50の突起56に対して付勢される。日板101は、地板67に遊嵌されており、この加圧ブロック65と圧電アクチュエータ50とによって狭持されている。
係る構成であっても、電子時計400を小型化することができる。なお、この構成において、実施の形態3のように地板を分割構造にすることもできる。
【0047】
実施の形態5.
図12は、この発明の実施の形態5に係る電子時計を示す一部平面図である。
図13は、図12に示した電子時計を示す一部断面図である。この電子時計500は、実施の形態1の電子時計100と略同様の構成であるが、圧電アクチュエータとして用いている矩形板圧電振動子90が短辺に出力取り出し用の突起71を有している点が異なる。突起71を設けた反対側の短辺には加圧バネ72が取り付けてあり、この加圧バネ72により、突起71を日板73の梁部74に押し当てている。加圧バネ72は、地板75に設けた凸部76に支持されている。
【0048】
この加圧バネ72は、湾曲形状の板バネである。矩形板圧電振動子90の中央部分は、支持部材36により長手方向にスライドできるように支持されている。
梁部74の外周面と地板75との間には、ボールベアリング77が介在している。
この電子時計500のその他の構成および動作は、実施の形態1と同様であるから説明を省略する。なお、この構成において、実施の形態3のように地板を分割構造にすることもできる。
【0049】
実施の形態6.
図14は、この発明の実施の形態6に係る電子時計を示す一部平面図である。
図15は、図14に示した電子時計の一部断面図である。図16は、この圧電アクチュエータによる動作原理を示す説明図である。この実施の形態6に係る電子時計600は、非共振タイプの積層圧電アクチュエータ80を用いた点に特徴がある。積層圧電アクチュエータ80は、突起83を備えている。この電子時計600は、日板86の内周近傍に積層圧電アクチュエータ80を配置し、加圧バネ37により積層圧電アクチュエータ80の突起83を、日板86に加圧接触させて日板を摩擦力により直接駆動するようにしたものである。日板の内周面には、突起83と摺動させるための摺動板88が貼られている。この摺動板88は、摩擦係数が大きく耐摩耗性にも優れたエンジニアリングプラスチックでできている。積層圧電アクチュエータ80は、圧電素子811の積層方向にスライドできるように支持部材109で支持され、また加圧バネ37は地板84に突設した凸部85に取り付けられている。
【0050】
積層圧電アクチュエータ80の圧電素子811は、数10〜数100枚積層されており、各圧電素子811の間にはほぼ全面の電極812が挟み込まれており、積層して焼成されている。各電極812は1枚おきに組として、それぞれ外部電極813で短絡されており、積層された枚数分の圧電素子811が並列接続された形態をなしている。この積層圧電アクチュエータ80は、グリーンシート積層プロセスにより製造する。また、突起83の先端は、斜めにカットされている。圧電アクチュエータ80は、突起方向が日板内周の接線方向に対して平行になるよう配置する。これにより接触角が決まる。日板86は、地板84に対してボールベアリング87を介して回転自在に保持されている。
【0051】
つぎに、この電子時計600の動作について説明する。積層圧電アクチュエータの圧電素子81にパルス電圧を印加すると、積層の効果として大きな変位を得ることができる。それにより、突起83が圧電素子の積層方向に変位するが、突起83の先端は日板86の摺動板88に接触しているため、日板の可動方向に突起がわずかにしなりながら変位する。これにより、日板86をほぼ突起83の変位分だけ回転させることができる。そこで、圧電素子811にパルス状電圧を加えることで、突起83が日板86の内周面にそって伸び縮みを繰り返し、結果として日板86は連続的回転する。この電子時計600によれば、体積の小さな圧電アクチュエータで、非常にシンプルな構成でカレンダ駆動が実現できる。なお、この構成において、実施の形態3のように地板を分割構造にすることもできる。
【0052】
他の実施の形態.
上記では、第2表示部材として日板を例に挙げたが、これに限られない。例えば曜日、月、年を表示するカレンダ板や、月齢を表示するムーンフェイズ、クロノグラフ車などを上記圧電アクチュエータにより駆動することもできる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の電子時計によれば、圧電アクチュエータにより第2表示部材に加圧接触させ、直接駆動するようにしたので、電子時計を小型化でき、設計上の自由度が増す。
【0054】
また、この発明の電子時計(請求項1)によれば、地板と対向位置に第2表示部材を設け、圧電アクチュエータを地板と第2表示部材との間に配置すると共に圧電アクチュエータを第2表示部材に加圧接触させ、直接駆動するようにしたので、平面スペースが削減でき電子時計を小型化できる。
【0055】
また、この発明の電子時計(請求項2)では、地板と対向位置に第2表示部材を設けるとともに第2表示部材の地板に対向する面に梁部を設け、圧電アクチュエータを梁部の側面から加圧接触させるようにしたので、電子時計の設計自由度を高め、小型化、薄型化できる。
【0056】
また、この発明の電子時計(請求項3)によれば、圧電アクチュエータとして、表面に4分割した4つの電極を設ける共に4つの電極を2つずつ電気的に短絡させた2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子と、表面にほぼ全体にわたる電極を設けた第2の矩形板圧電素子とを有する矩形板圧電振動子であって、前記矩形板圧電素子の電極に各々所定の交番電圧を印加することで矩形板圧電振動子に屈曲振動と縦振動を調和的に発生させるようにしたので、効率の良い第2表示部材駆動が可能になるから電子時計を小型化できる。
【0057】
また、この発明の電子時計(請求項4)によれば、圧電アクチュエータとして、十文字に等分割した4つの電極を表面に設けると共に対角の電極同士を短絡して2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子と、表面にほぼ全体にわたる電極を設けた第2の矩形板圧電素子とを有する圧電振動子であって、前記矩形板圧電素子の電極に各々所定の交番電圧を印加することで矩形板圧電振動子に屈曲振動と縦振動を調和的に発生させるようにしたので、より大きな発生力が得られるため圧電アクチュエータ自体が小型になり、多機能な電子時計の小型化、薄型化に有効である。
【0058】
また、この発明の電子時計(請求項5)によれば、圧電アクチュエータとしては、複数枚の矩形板圧電素子を重ねて焼成した積層圧電振動子にしたので、積層数に応じて圧電アクチュエータの発生力が増すため、より小型で高出力が得られ、圧電アクチュエータ自体が大幅に小型化でき、電子時計の小型化できる。
また、この発明の電子時計(請求項6)によれば、圧電アクチュエータの表面に突起を設け、突起を第2表示部材に加圧接触させて第2表示部材を直接駆動するようにしたので、高性能で安定した第2表示部材の駆動が実現できる。
【0059】
また、この発明の電子時計(請求項7)によれば、嵌合部を有する第1の地板と第2の地板を組み合わせてなる地板を有し、第2の地板上に前記圧電アクチュエータと第2表示部材を設けるようにしたので、、電子時計に共通する時刻表示部である第1の地板は全機種共通なものにできるため、多種多様な電子時計を安価に提供することができる。
【0060】
また、この発明の電子時計(請求項8)によれば、第2表示部材の移動量を検出する第2表示部材移動量検出手段と、第2表示部材移動量検出手段により検出した信号に基づき、圧電アクチュエータを制御する制御回路とを備えており、 第2表示部材の移動量を検出し、この移動量に基づいて制御回路が圧電アクチュエータの駆動状態を制御する。
【0061】
また、この発明の電子時計(請求項9)によれば、第2表示部材に係合して第2表示部材に連動する回転部材を有し、第2表示部材移動量検出手段は回転部材の回転状態を検出することで第2表示部材の移動量を間接的に検知するようにしたので、回転体の回転角度検出で良く、第2表示部材の移動量がより精度良く検知できるので精密な付加機能駆動の制御が可能となり、高性能な電子時計が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る電子時計を示す構成図である。
【図2】図1に示した電子時計の一部断面図である。
【図3】図1に示した電子時計の回路構成を示すブロック図である。
【図4】回転検出部の断面構成図である。
【図5】図1に示した圧電アクチュエータを示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る電子時計を示す一部断面図である。
【図7】図6のA部側面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る電子時計の構造を示す平面説明図である。
【図9】図8に示した電子時計の一部断面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る電子時計の構造を示す一部平面図である。
【図11】図10に示した電子時計の一部断面図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る電子時計を示す一部平面図である。
【図13】図12に示した電子時計を示す一部断面図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係る電子時計を示す一部平面図である。
【図15】図14に示した電子時計の一部断面図である。
【図16】この圧電アクチュエータによる動作原理を示す説明図である。
【図17】従来の電子時計の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 第1表示部材
2 時刻表示機構
3 カレンダ機構
9 地板
31 日板
32 矩形板圧電振動子
33 回転検出部
34 歯部
35 梁部
36 支持部材
37 加圧バネ
39 歯車
100 電子時計
Claims (9)
- 地板と対向位置に時刻表示以外の第2表示部材を設け、電圧を印加して変位を生じる矩形形状の圧電アクチュエータを前記地板と第2表示部材との間に配置すると共に圧電アクチュエータを第2表示部材の下面に加圧接触させ、第2表示部材を直接駆動するようにしたことを特徴とする電子時計。
- 地板と対向位置に時刻表示以外の第2表示部材を設け、
前記第2表示部材の地板に対向する面に梁部を設け、電圧を印加して変位を生じる矩形形状の圧電アクチュエータを前記地板と前記第2表示部材との間に配置するとともに前記圧電アクチュエータを前記梁部の側面に加圧接触させ、第2表示部材を直接駆動するようにしたことを特徴とする電子時計。 - 前記圧電アクチュエータは、
表面に4分割した4つの電極を設ける共に4つの電極を2つずつ電気的に短絡させた2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子と、
表面にほぼ全体にわたる電極を設けた第2の矩形板圧電素子と、
を有する矩形板圧電振動子であって、
前記矩形板圧電素子の電極に各々所定の交番電圧を印加することで矩形板圧電振動子に屈曲振動と縦振動を調和的に発生させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子時計。 - 前記圧電アクチュエータは、
十文字に等分割した4つの電極を表面に設けると共に対角の電極同士を短絡して2組の電極群を構成した第1の矩形板圧電素子と、
表面にほぼ全体にわたる電極を設けた第2の矩形板圧電素子と、
を有する圧電振動子であって、
前記矩形板圧電素子の電極に各々所定の交番電圧を印加することで矩形板圧電振動子に屈曲振動と縦振動を調和的に発生させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子時計。 - 前記圧電アクチュエータは、
前記第1の矩形板圧電素子と前記第2の矩形板圧電素子とを含む複数枚の矩形板圧電素子を重ねて焼成した積層圧電振動子である、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電子時計。 - 前記圧電アクチュエータの表面に突起を設け、
前記突起を第2表示部材に加圧接触させて第2表示部材を直接駆動するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子時計。 - 嵌合部を有する第1の地板と第2の地板を組み合わせてなる地板を有し、
第2の地板上に前記圧電アクチュエータと第2表示部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電子時計。 - 前記第2表示部材の移動量を検出する第2表示部材移動量検出手段と、
第2表示部材移動量検出手段により検出した信号に基づき、前記圧電アクチュエータを制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電子時計。 - 第2表示部材に係合して第2表示部材に連動する回転部材を有し、
前記第2表示部材移動量検出手段は、前記回転部材の回転状態を検出することで第2表示部材の移動量を検知するものである、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子時計。
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