JP4375858B2 - 多液混合制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二液ポリウレタン塗装等で使用されるような主剤と硬化剤を精度良く計量混合制御して供給する、多液の混合制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境汚染問題への対応が各分野で求められていて、塗料や塗装方法等においても早急な改善が求められているが、二液ポリウレタン塗装や二液エポキシ塗装はそのひとつの対応策として伸長している塗料と塗装方法である。二液ポリウレタン塗装や二液エポキシ塗装は溶剤成分の少ない主剤に対して触媒である硬化剤を混合して吹き付けることにより、反応硬化させて塗膜を形成することから、溶剤の削減が図れると同時に乾燥炉の不要化や低温化ができ、エネルギー削減に有効な塗装方法である。さらに、耐候性・耐薬品性・耐水性等の塗膜性能にも優れていることから、生産量が増加している。
【0003】
しかし、二液ポリウレタン塗料や二液エポキシ塗料のような二液塗料においては、主剤に対して硬化剤を混合した場合に可使時間と言われる使用可能時間の制限が有って、この可使時間を過ぎると塗装装置内で硬化してしまうため可使時間内に塗装作業を行う必要が有る。また、装置の流路内壁等において硬化し固着してしまうため、流量の変化が生じたりやメンテナンスを頻繁に行う必要があるなどの問題点を有していた。このため、スプレーガンにできるだけ近い位置で、直ぐに吹き付ける量を塗装直前に主剤に対して硬化剤を精度良く混合することが求められていた。
【0004】
この対応策として、空圧駆動式の開閉弁で2種類の液体を各々断続的に計量しながら交互に混合部へ送り、混合された2液を直ちにスプレーガンへ塗料ホースで送る方法が行われているが、吹き付ける量の2液を順次流れの中で精度良く混合することは難しく、問題点を有していた。特に、安全面で空圧駆動式の開閉弁を使用せざるを得ないことから、開閉弁の閉じ遅れによる混合比誤差が発生する問題があって、特開平6-294674や特開平11-165118で開示された制御方法等により対応が成されていた。
【0005】
しかし、従来の制御方法では、第1液の制御目標量を(他液実吐出量×混合比×固定修正値)とし、この制御目標量を流量計が計測すると開閉弁を閉じることで、第1液の基準吐出量に近づける制御をしているが、固定修正値であるため基準吐出量に対して実吐出量が多めあるいは少な目となる傾向があって、混合比誤差が許容範囲を外れやすい傾向があった。また、他の制御方法では、第1液と他液の各々の制御目標量を(実吐出量−前回サイクルの超過量)として、各々の液を基準吐出量に近づける制御をしているが、混合比が大きくなると少量側液の基準吐出量が少なくなって誤差が大きくなってしまう傾向があった。この結果、これら従来の制御方法では、一定の流量の場合には混合比誤差が許容範囲に維持されるが、自動塗装の場合や1台の多液供給装置へ複数のスプレーガンを接続し、各々のスプレーガンが個別に使用されるような場合には、供給の断続と流量の変化が激しく、混合比誤差が許容範囲に維持することが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、複数の流体を交互に計量・供給しながら混合室で混合して、スプレーガンへ供給する多液の混合制御方法において、供給の断続と流量の変化が激しい場合でも、混合比誤差が小さくて許容範囲に維持できる混合制御方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では少なくとも2種類の液を一定の混合比率で混合するように各々の液を順次にかつ個別流路で流量を各々の流量計で計測しながら混合室へ供給するように各々の開閉弁を制御する多液混合制御方法において、予め設定された混合比率に応じて第1液の基準量と他液の基準量を演算する方法と、前記第1液と前記他液の各々の前記開閉弁への閉止信号が出力後に前記第1液と前記他液の各々の液流が停止するまでの各々の超過流量を計測する方法と、前記第1液の前記基準量から該第1液の前回サイクルで計測した超過流量を差し引いて算出した該第1液の制御目標量を該第1液の前記流量計が計測すると該第1液の前記開閉弁に閉止信号を出力する方法と、前記他液が前記第1液の直前サイクルの実流量に混合比率を乗じた量から該他液の前回サイクルで計測した超過流量を差し引いて算出した該他液の制御目標量を該他液の前記流量計が計測すると該他液の前記開閉弁に閉止信号を出力する方法とからなり、各方法が制御装置によって実行される多液混合制御方法とすることによって、混合精度の良い多液混合制御が行われる。
【0008】
【発明の実施形態】
図1は本発明の多液混合制御方法のブロック図を示し、a液が供給装置1aから流量計2aと開閉弁3aを経て混合機4へ送られる。一方、b液は供給装置1bから流量計2bと開閉弁3bを経て混合機4へ送られる。a液とb液は混合機4で混合され、混合液7となってスプレーガン等の吐出開閉弁5を経由して吐出される。混合機4へは複数の吐出開閉弁5が接続される場合があって、この場合には混合液7の供給停止がランダムに行われると共に、混合液7の吐出量が大きく変化することになる。
【0009】
吐出開閉弁5が開くと、制御装置6は予め入力された混合比αになるように、開閉弁3aと開閉弁3bを交互に開閉させ、a液の基準量Vaとb液の基準量Vbを混合機4へ供給しようと制御する。しかし、空気駆動式の開閉弁3aと開閉弁3bでは制御装置6からの制御信号に対して作動遅れがあるため、各々に超過量Waと超過量Wbが生じてしまい、混合比誤差が大きく発生してしまう。さらに、流量変化がともなうと開閉弁3aと開閉弁3bの作動遅れに対する超過量Waと超過量Wbも変化してしまうため、より大きな混合比誤差が発生することになる。各々の液の基準量と超過量は流量計2aと流量計2bで計測したパルス数として、制御装置6へ送られる。
【0010】
これらの混合比誤差を小さくして許容範囲内に維持するために、本発明では以下のような制御方法を発明した。図2は本発明の多液混合制御の説明図で、演算量と実際量の構成を示す。まず、制御装置6が開閉弁3aを開き、a液の吐出量が演算で算出したa液の目標量VA=(基準量Va−前回超過量Wa’)に達すると開閉弁3aを閉じる制御を行い、その時に開閉弁3aの閉じ遅れで生じる超過量Waによってa液実吐出量がa液の基準量Vaに近づくようになる。次に、開閉弁3bを開き、b液の吐出量が演算で算出したb液の目標量VB={a液の実吐出量(VA+Wa)×混合比α−前回超過量Wb’}に達すると開閉弁3bを閉じる制御を行い、その時に開閉弁3bの閉じ遅れで生じる超過量Wbによってb液実吐出量がb液の基準量Vbに近づくことになる。この結果、直前のa液の実吐出量に対する混合比を考慮しながら、各々の液が前回の超過量を修正して演算した目標量で開閉弁を制御することにより、混合液7の供給停止がランダムに行われたり、混合液7の吐出量が大きく変化した場合に於いても混合比誤差を小さく、しかも設定混合比に対して大きめ、あるいは少なめに偏ることのない混合比を維持できる。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(1)混合比率が大きくなっても、混合比誤差が大きくならず一定範囲に維持できる。
(2)設定混合比に対して大きめ、あるいは少なめに偏ることのない混合比を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多液混合制御方法のブロック図を示す。
【図2】本発明の多液混合制御の説明図で演算量と実際量の構成を示す。
【符号の説明】
1a・1b 供給装置
2a・2b 流量計
3a・3b 開閉弁
4 混合機
5 吐出開閉弁
6 制御装置
7 混合液
Claims (1)
- 少なくとも2種類の液を一定の混合比率で混合するように各々の液を順次にかつ個別流路で流量を各々の流量計で計測しながら混合室へ供給するように各々の開閉弁を制御する多液混合制御方法において、
予め設定された混合比率に応じて第1液の基準量と他液の基準量を演算する方法と、
前記第1液と前記他液の各々の前記開閉弁への閉止信号が出力後に前記第1液と前記他液の各々の液流が停止するまでの各々の超過流量を計測する方法と、
前記第1液の前記基準量から該第1液の前回サイクルで計測した超過流量を差し引いて算出した該第1液の制御目標量を該第1液の前記流量計が計測すると該第1液の前記開閉弁に閉止信号を出力する方法と、
前記他液が前記第1液の直前サイクルの実流量に混合比率を乗じた量から該他液の前回サイクルで計測した超過流量を差し引いて算出した該他液の制御目標量を該他液の前記流量計が計測すると該他液の前記開閉弁に閉止信号を出力する方法と、
からなり、各方法が制御装置によって実行される多液混合制御方法。
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