JP4409819B2 - 多液混合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の液体を一定の比率で混合する多液混合装置に関し、特には主剤と硬化剤とを混合しながら吐出して塗装する塗装機などに好適な多液混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば主剤と硬化剤とを所定の比率で混合しながら吐出する二液塗装機においては、主剤と硬化剤とを別々の経路で交互にプレミキサに供給した後、両液をスタティックミキサに供給して混合する混合装置を備えている。前記スタティックミキサには、ホースを介してスプレイガンが接続されており、前記スプレイガンから混合液(塗料)が吐出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−347460号公報(第2頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の混合装置では、主剤及び硬化剤が交互にプレミキサへ供給されると、それに押し出されてプレミキサ内の混合液がスタティックミキサへ流入し、更にスタティックミキサ内の混合液がスプレイガンに向かって押し出され吐出される。つまり、スプレイガンからの混合液の吐出動作と主剤及び硬化剤のプレミキサへの供給動作との間にはバランスが保たれている。
【0005】
従って、スプレイガンの吐出動作の停止によりバランスが崩れると、プレミキサ内の混合液が主剤或いは硬化剤の供給源側に逆流するおそれがある。そこで、各液の供給源からの供給路には逆流防止弁が設けられていた。
【0006】
ところが、何らかの事情で逆流防止弁が機能しなくなった場合にはプレミキサからの混合液の逆流を防止できず、逆流した混合液が供給路を供給源に向かって流れてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、混合液の吐出動作の停止時に混合機内の混合液が供給路側に逆流することを防止できる多液混合装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の多液混合装置は、異なる複数の液体が順次に供給されることにより前記液体を混合する混合機と、前記混合機に対して異なる複数の液体を独立的に供給するための複数の供給路と、前記供給路の各々に設けられた開閉弁と、前記開閉弁の開閉動作を制御することにより前記複数の液体を順次に前記混合機に供給する液体供給動作を実行する制御装置と、前記混合機に吐出経路を介して接続され前記混合機内の混合液を吐出するためのスプレイガンとを備え、前記吐出経路に、当該吐出経路を流れる混合液の流量を計測する流量計を設け、前記制御装置は、前記流量計からの信号に基づいて前記スプレイガンからの混合液の吐出動作の実行及び停止を判断し、それに連動させて前記液体供給動作を実行及び停止させるように構成され、さらに、前記スプレイガンの吐出動作が停止したと判断して開放している開閉弁を閉鎖したときに、当該開閉弁を閉鎖した時点における供給残量を記憶し、吐出動作が再開したと判断したときには、前記吐出動作の停止に応じて閉鎖された当該開閉弁を前記供給残量に相当する時間だけ開放させる動作から液体供給動作を再開させるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、制御装置は、スプレイガンの吐出動作が停止されると開放状態にある開閉弁を閉鎖して液体供給動作を停止し、吐出動作が実行されると前記開閉弁を開放して液体供給動作を再開する。つまり、スプレイガンからの混合液の吐出動作が停止しているときには供給路に設けられた開閉弁が全て閉鎖されて供給路及び吐出経路内の液体の流れが停止する。従って、混合機内の混合液が供給路側に逆流することがない。
【0011】
流量計は、スプレイガンの吐出動作の実行及び停止に応じた信号を出力する。従って、制御装置は、流量計からの信号に基づいて液体供給動作を実行したり停止したりすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例に係る二液混合形塗装機1(多液混合装置に相当)を概略的に示す全体構成図である。本実施例に係る塗装機1は、主剤供給源を構成する3個の圧送ポンプ2〜4、硬化剤供給源を構成する1個の圧送ポンプ5、洗浄用シンナの圧送ポンプ6を備えている。尚、図示しないが、前記ポンプ2〜6にはそれぞれ主剤、硬化剤、洗浄用シンナを収容するタンクが接続されている。
【0013】
また、前記圧送ポンプ6は、いずれもマニホールド7に接続されている。マニホールド7は、内部が主剤流路8及び硬化剤流路9に分かれている。前記主剤流路8の4個の入口部にはそれぞれ開閉弁10〜13が設けられており、そのうちの開閉弁10〜12に前記主剤用の圧送ポンプ2〜4は接続されている。また、硬化剤流路9の2個の入口部にはそれぞれ開閉弁14,15が設けられており、そのうちの開閉弁14に前記硬化剤用の圧送ポンプ5は接続されている。そして、洗浄用シンナの圧送ポンプ6は前記開閉弁13,15に接続されている。
【0014】
前記開閉弁10〜15は、防爆上の理由から空圧駆動式のものが採用されている。前記開閉弁10〜15の駆動用の加圧空気は、加圧空気供給源16から電磁弁17を介して供給されるようになっている。
【0015】
マニホールド7の主剤流路8の出口部は主剤通路18(供給路に相当)を介してプレミキサ19に接続されている。また、マニホールド7の硬化剤流路9の出口部は硬化剤通路20(供給路に相当)を介して前記プレミキサ19に接続されている。前記主剤通路18及び硬化剤通路20の途中部にはそれぞれ流量計21,22及び逆流防止弁23,24が設けられている。
【0016】
前記プレミキサ19は、例えば特開平11−347460号公報に記載されているプレミキサと同様に、混合室の内部に分配管を有する二重筒状構造を有している。前記主剤通路18は混合室に、前記硬化剤通路20は分配管にそれぞれ接続されている。
【0017】
プレミキサ19の混合室及び分配管に対して主剤及び硬化剤が所定の混合比率となるように交互に供給されると、両液は大まかに混ぜ合わされた状態で混合室出口から排出される。混合室出口にはスタティックミキサ25が接続されており、主剤と硬化剤はスタティックミキサ25内でほぼ均一に混ぜ合わされる。前記プレミキサ19及びスタティックミキサ25から混合機26が構成される。
【0018】
前記スタティックミキサ25の吐出口には、ドレン弁27が接続されている。ドレン弁27の一の出口部には混合液ホース28(吐出経路に相当)を介してスプレイガン29が接続されている。前記混合液ホース28の途中部には流量計35が設けられている。また、前記ドレン弁27の別の出口部にはドレンホース30が接続されており、前記ドレンホース30の先端部には排液タンク31が配置されている。
【0019】
前記スプレイガン29は、作業者が手動で操作することにより開閉される吐出弁を有している。前記吐出弁を開放することによりスタティックミキサ25内の混合液は混合液ホース28を通ってスプレイガン29から吐出され、前記吐出弁を閉鎖することによりスプレイガン29からの混合液の吐出動作が停止する。
【0020】
前記ドレン弁27は、前記開閉弁10〜15と同様の空圧駆動式のものが採用されている。前記ドレン弁27の駆動用の加圧空気は、図示しない加圧空気供給源から電磁弁を介して供給されるようになっている。スタティックミキサ25からドレン弁27に流入した液体は、塗装作業の際には混合液ホース28側に流れ、洗浄作業の際にはドレンホース30側に流れる。
【0021】
図2は、本実施例に係る塗装機1の電気的構成を概略的に示すものであり、制御装置32は、塗装機1の各種の動作を制御する制御プログラムやプレミキサ19や混合機26の容量といった各種のデータを予め記憶している。制御装置32には、流量計21,22,35及び操作キー33が接続されている。また、制御装置32には、電磁弁17及び表示器34が接続されている。
【0022】
前記流量計21,22,35は、例えば一定流量を計測することにより1つのパルス信号を発生するように構成されている。特に、前記流量計35はスプレイガン29からの混合液の吐出動作が実行されることに伴い混合液ホース28内を流れる混合液の流量を計測する。従って、本実施例では、前記流量計35が吐出検知手段を構成する。
【0023】
前記操作キー33及び表示器34は塗装機1が備える図示しない操作パネルに設けられている。前記操作キー33は、主剤と硬化剤の混合比率や塗料の色替え(主剤の選択)等の設定を行うためものであり、表示器34は、塗装機1の運転状況の表示や異常報知などを行うものである。そして、前記制御装置32は、前記流量計21,22,35からのパルス信号や操作キー33の操作信号等に基づき予め格納された制御プログラムに従って表示器34や電磁弁17の駆動を制御するようになっている。本実施例では、前記制御装置32及び電磁弁17から液体供給手段が構成される。
【0024】
次に、上記構成の作用について説明する。操作キー33が操作されて主剤種類や主剤と硬化剤との混合比率等が設定されると、制御装置32は設定された混合比率及びプレミキサ19の容量に基づき、1回の供給サイクルにおける主剤及び硬化剤の供給量を演算により求め、記憶する。
【0025】
そして、液体供給動作の開始が指示されると、制御装置32からの指令信号に基づき電磁弁17が作動して開閉弁10〜12のいずれか及び開閉弁14が一定時間ずつ交互に開放される。これにより、液体供給動作が実行される。このとき、制御装置32は、流量計21から入力されるパルス信号に基づき主剤のプレミキサ19への供給量を検出し、流量計22から入力されるパルス信号に基づき硬化剤のプレミキサ19への供給量を検出する。そして、これらの検出結果に基づき所定のタイミングで電磁弁17の動作指令信号を出力する。
【0026】
この結果、主剤及び硬化剤がそれぞれ予め設定された供給量ずつ順にマニホールド7に供給され、主剤通路18及び硬化剤通路20を通ってプレミキサ19に向かう。プレミキサ19に供給された主剤と硬化剤は大まかに混合された後、スタティックミキサ25へ供給されて完全に混合される。
【0027】
また、このとき、作業者によりスプレイガン29の吐出弁が開放されると、スタティックミキサ25内の混合液は混合液ホース28を通って前記スプレイガン29から吐出される。この結果、流量計35は混合液ホース28内を流れる混合液の流量に応じたパルス信号を出力する。
【0028】
この状態で、スプレイガン29の吐出弁が閉鎖されて吐出動作が停止されると、混合液ホース28内を混合液が流れなくなるため、流量計35はパルス信号を出力しなくなる。すると、制御装置32は吐出動作が停止したと判断して電磁弁17に対して供給停止信号を出力する。これにより、主剤用或いは硬化剤用の開閉弁のうち開放している開閉弁が閉鎖されプレミキサ19に対する液体供給動作を停止する。このとき、制御装置32は、流量計21或いは22からの入力信号から、開閉弁を閉鎖した時点における供給残量を算出して記憶する。
【0029】
また、スプレイガン29の吐出弁が開放されて吐出動作が再開されると、流量計35は混合液ホース28内の液体の流れを検出し、パルス信号を発生する。この結果、制御装置32は電磁弁17に対して動作指令信号を出力する。このとき、制御装置32は、吐出動作の停止に応じて閉鎖された開閉弁を供給残量に相当する時間だけ開放させた後、再び、所定のタイミングで主剤用の開閉弁10〜12のいずれか及び硬化剤用の開閉弁14を交互に開放させるよう電磁弁17を動作させる。
【0030】
このように、本実施例では、スプレイガン29の吐出動作の実行及び停止に応じて開閉弁の開閉が制御される。従って、スプレイガン29からの吐出動作が停止したときは、プレミキサ19に対する液体供給動作が停止され、供給路及び吐出経路内の全ての液体の流れが停止する。このため、プレミキサ29内の混合液が供給路側に逆流することがない。
【0031】
また、本実施例では、混合液ホース28の途中部に流量計35を設け、この流量計35が混合液ホース28内の液体の流れを検出したときには、スプレイガン29が吐出動作を実行していると判断するように構成した。これにより、作業者の操作に基づくスプレイガンの動作を間接的に検出することができる。
【0032】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような変形、拡張が可能である。
【0034】
スプレイガンに設けられる吐出弁を電磁弁から構成しても良い。また、開閉弁10〜15と同様に前記吐出弁を空圧駆動式の弁から構成すると共に加圧空気供給源からの加圧空気を電磁弁を介して供給するように構成しても良い。そして、前記電磁弁の動作信号が制御装置32に入力されるように構成し、電磁弁からの動作信号が吐出動作の実行であるにもかかわらず、前記流量計による混合液ホース内の液体の流れが検知されない場合には、ブザーを鳴動させる等して混合液ホース内に目詰まりが発生している旨を報知するように構成しても良い。
【0036】
制御装置32は、スプレイガンからの混合液の吐出が停止したことに基づいて開閉弁を閉鎖したときに、流量計21若しくは22が液体の流れを検知した場合には、ブザーを鳴動させる等して異常が発生した旨を報知するように構成しても良い。
【0037】
本発明の多液混合装置は、主剤、硬化剤、希釈剤の三液を混合する混合装置や複数種類の液からなる接着剤の混合装置にも適用できる。また、塗料、接着剤に限らず各種の液体を混合する装置全般にも適用できる。更に、粘度が非常に高いゲル状の液体を混合する装置にも適用可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の多液混合装置は、混合機に対する液体供給動作の実行及び停止を、スプレイガンからの混合液の吐出動作の実行及び停止と連動させたので、混合機内の混合液が供給路側に逆流することを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る二液混合形塗装機の全体構成を概略的に示す図
【図2】電気的構成を示すブロック図
【符号の説明】
1は二液混合形塗装機(多液混合装置)、10〜15は開閉弁、17は電磁弁(液体供給手段)、18は主剤通路(供給路)、20は硬化剤通路(供給路)、26は混合機、28は混合液ホース(吐出経路)、29はスプレイガン、32は制御装置(制御手段、液体供給手段)、35は流量計(吐出検知手段)を示す。
Claims (1)
- 異なる複数の液体が順次に供給されることにより前記液体を混合する混合機と、
前記混合機に対して異なる複数の液体を独立的に供給するための複数の供給路と、
前記供給路の各々に設けられた開閉弁と、
前記開閉弁の開閉動作を制御することにより前記複数の液体を順次に前記混合機に供給する液体供給動作を実行する制御装置と、
前記混合機に吐出経路を介して接続され前記混合機内の混合液を吐出するためのスプレイガンとを備える多液混合装置において、
前記吐出経路に、当該吐出経路を流れる混合液の流量を計測する流量計を設け、
前記制御装置は、前記流量計からの信号に基づいて前記スプレイガンからの混合液の吐出動作の実行及び停止を判断し、それに連動させて前記液体供給動作を実行及び停止させるように構成され、さらに、前記スプレイガンの吐出動作が停止したと判断して開放している開閉弁を閉鎖したときに、当該開閉弁を閉鎖した時点における供給残量を記憶し、吐出動作が再開したと判断したときには、前記吐出動作の停止に応じて閉鎖された当該開閉弁を前記供給残量に相当する時間だけ開放させる動作から液体供給動作を再開させるように構成されていることを特徴とする多液混合装置。
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