JP4375685B2 - エンジン制御装置 - Google Patents

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に自動二輪車等のガソリンエンジンにおいて高速回転時でもエンジンの回転変動に影響を受けずに正確な火花点火時期および/または燃料噴射時期の制御を行うエンジン制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンジン制御装置は、エンジンを電子制御する場合、エンジン運転状態の変化に制御の演算時間が間に合わなくなる場合が想定されている。
このための解決手法として、例えば演算時間が間に合わなくなった場合に火花点火時期や燃料噴射量を固定値とするものや、演算自体を隔回転周期で行うものである。(例えば特公平2−48731号)
【0003】
図10に従来のエンジン制御装置の要部ブロック構成図を示す。
図10において、従来のエンジン制御装置は、センサ51、エンジン制御ユニット(ECU)55から構成されている。
図9(a)に、図10に示すエンジン制御装置の火花点火時期制御タイミングチャートを示す。
【0004】
エンジン制御ユニット55は、マイクロコンピュータを含む公知の制御ユニットの一例である。
クランク軸と連結されているロータ52に設けたリラクタ53とパルサコイル54によって間欠的に発生するパルサ信号SLをエンジン制御ユニット55に供給する。
また、負荷センサ等の各種センサからの信号をエンジン制御ユニット55に供給する。
【0005】
エンジン制御ユニット55は、間欠的に発生するパルサ信号からその周期CRを演算し(図9(a)に於いてはSL1とSL3との時間間隔を演算)、該周期CRからエンジンの回転速度Neを演算して求める。
そして回転速度Neから点火時期テーブルを検索して点火時期を求める。
エンジン制御ユニット55が燃料噴射制御も行うものであれば、回転速度Neとエンジン負荷センサ信号とから燃料噴射マップを検索して燃料噴射量を求める。
【0006】
求められた点火時期の値は、クランク回転の基準位置に対しての回転角(クランク上死点何度前であるとの値:BTDC)であるから、これを周期CRに対する時間に変換する演算を行って点火時刻Tigを求める。
そして、パルサ信号SL5の到達を基準にカウント開始している点火カウンタのカウント値がTigになったら、イグニッションコイルに信号を出力して火花点火を行う。
【0007】
以上述べた従来技術では、テーブルやマップの検索や点火時刻の演算に時間がかかる。
特に点火時期を点火時刻に変換する演算は、割り算(CR=1/N)であるため演算時間が長くなる。
更にパラメータの変化によって演算時間が異なるものであり一定ではない。
従って、求められた点火時刻Tigに対して点火時刻Tigを算出する為の演算完了が間に合わない場合が発生しうる。
【0008】
また、アイドリング等の低回転運転時には一回転中にも回転変動が生じているから、パルサ信号SL5が来てから点火時刻Tigに至るまでのクランク回転速度も一定ではない。
従って、点火時刻Tigが大きな値である場合には演算完了が間に合っても、回転変動によって実際に点火するタイミングとエンジンの最適点火タイミングとの間にズレが生じてしまう場合がある。
このズレはエンジンの気筒数が少ない程大きなものとなりがちである。
【0009】
図9(b)は、図9(a)とは別の先行技術であり、図9(a)に対して次の点が異なる。
即ち、図9(a)では周期CR2に基づいた演算を周期CR3中に行い、周期CR3の開始と同時にカウントを開始したカウント値と前記演算結果とで点火動作を行うが、図9(b)の場合では周期CR2中に行った演算結果によってCR2の次周期のCR3の開始と同時にカウントを開始したカウンタ値にて点火動作を行う。
【0010】
図9の(b)では、求められた点火時刻Tigに演算完了が間に合わない点が解決されるが、演算が基礎とする回転周期は図9(a)の場合に対し一回転前の周期のものとなるため、クランクシャフトの回転変動が大きい場合には実際に点火するタイミングと点火を行う時点での最適点火タイミングとの間にズレが生じ、正確な点火動作を得られない場合がある。
また、この先行技術の図9の(b)であっても、エンジン一回転中の回転変動に起因するズレは解決できない。
【0011】
以上図9(a)(b)では、点火制御で説明したが、燃料噴射の場合も類似のものであり、入力に必要な各種センサの数が異なったりすること(例えば水温センサや吸気圧センサ等を付加するなど)によって、マップ検索やその補正演算が複雑で全演算時間が長くかかることによる課題は同様である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
マップ検索は、回転数(N)と各種のセンサ信号量とに対応した燃料噴射データを検索するものであり、各種センサからの信号量とクランクシャフト(エンジン)回転数(N)に対応する特性値として時間の形でROM等の記憶素子に該データを予め記憶させてあるものである。
例えば、回転数とスロットル角に対する燃料噴射量データを検索し、燃料噴射量を得る。
【0013】
テーブルの検索は、回転数(N)に対応した点火時期データを検索するものであり、クランクシャフト(エンジン)回転数(N)に対応する特性値として角度の形でROM等の記憶素子に該データを予め記憶させてあるものである。
例えば、回転数に対するBTDCデータを検索し、点火時期を得る。
【0014】
ここで、テーブル検索演算やマップ検索演算は、演算処理時間が一定でなく、かつ比較的長い時間を要する。
また、マップ検索からの燃料噴射データは各種センサからの信号量と回転数に対応する燃料噴射量値であり、テーブル検索からの進角データは回転数に対するBTDCの角度値である。
しかし、実際の点火作動時に基本となるのは、パルサ信号SL5が来てからの経過時間のタイミングである。
従って、ここで角度から時間値への変換を行う必要が生じ、この変換が割り算(CR=1/N)であるために演算時間が長くなる。
更にパラメータの変化により演算時間が異なるものであり、一定ではない。
【0015】
上記のような事情に鑑み、本願発明は高回転時でも所定の時間内で演算処理を行い、かつ最新の回転周期とのズレを少なくしたエンジン制御装置を提供することを課題とする。
【0016】
また、本願発明は、回転変動の影響によって回転周期を演算している間に実際のエンジンのクランク角と点火カウンタ値とに生じてしまうズレを少なくしたエンジン制御装置を提供することを課題とする。
【0017】
さらに車両、特に自動二輪車等に用いられるマイクロコンピュータは、現状ではコスト面の都合から4〜8ビット程度の安価な物を採用したい場合があるが、複雑な制御プログラムの場合には、その全演算を短時間で行うには処理能力が足らず、また演算のクロックも遅いため、マイクロコンピュータを高性能で高価なものにせざるを得ない場合がある。
【0018】
従って複雑な制御を単純な構成で実現可能とした、高性能でありながら安価なエンジン制御装置を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため請求項1に係るエンジン制御装置は、クランクシャフトに連動して回転するロータにリラクタを設け、該リラクタに対応して設けたパルサコイルが発生するパルサ信号に基づいて火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を制御するエンジン制御装置であり、パルサ信号をカウントする計数手段と、パルサ信号の回転周期と入力信号を基にテーブル検索および/またはマップ検索とを行い、火花点火角度および/または燃料噴射量を検索し、検索した値から火花点火データ(IGT)および/または燃料噴射データ(IJT)の演算を行う検索演算手段と、回転周期とデータ(IGT/IJT)の値に基づいて、パルサ信号からの火花点火の実行時刻(Tig)および/または燃料噴射の実行時刻(Tij)を演算する作動タイミング演算手段とを備えたものにおいて、検索演算手段の演算と、作動タイミング演算手段の演算とを分け、作動タイミング演算手段の演算は、パルサ信号直前の回転の回転周期を用いて行い、検索演算手段の演算は、その直前の回転より1回転前の回転周期を用いて行うようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項1に係るエンジン制御装置は、検索演算手段の演算と、作動タイミング演算手段の演算とを分け、作動タイミング演算手段の演算は直前の回転の回転周期を用いて行い、検索演算手段の演算はその直前の回転より1回転前の回転周期を用いて行うようにしたので、エンジンの回転変動やテーブル検索値および/またはマップ検索値の変化に伴う演算時間の変動に左右されずに、最新のセンサ信号に基づく回転周期で演算した火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を得ることが出来る。
【0021】
また、請求項2に係るエンジン制御装置は、回転周期に対しリラクタの周長を、Nを自然数とした1/2Nの比率とすることを特徴とする。
【0022】
請求項2に係るエンジン制御装置は、回転周期に対しリラクタの周長を、Nを自然数とした1/2N の比率としたので、回転数等を時間関数に変換する時に、通常の割り算(CR=1/N)を行わず、単純なシフト演算をすることが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、この発明は、テーブル検索および/またはマップ検索と、これら検索値に基づいて1回転周期前に行う火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の演算と、この演算結果と最新の回転周期に基づいて行う最新の火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の演算とを2分割にし、エンジンの回転変動やテーブル検索値および/またはマップ検索値の変化に伴う演算時間の変動に影響されずに、火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を得ることができるので正確な制御ができ、単純な構成で低価格化が図れるエンジン制御装置を提供するものである。
また、本実施の形態は、火花点火時刻および/または燃料噴射時刻に適用することができる。
【0026】
図1は請求項1に係るエンジン制御装置の要部ブロック図である。
エンジン制御装置1は、エンジン回転センサ、スロットル角センサ、吸気菅負圧(PB)センサ、水温センサ等の各種センサと、記憶素子と、マイクロコンピュータとから構成する。
図1において、エンジン制御装置1は、センサ2と、計数手段3、検索演算手段4、作動タイミング手段5で構成する。
なお、ここでは、火花点火時期の制御について説明する。
【0027】
センサ2は、リラクタンスの変化を利用した電磁ピックアップ方式を用いたものでクランクシャフトに付随するフライホイールの一部に周長を45゜にしたリラクタを備え、これに非接触に対向したパルサコイルから構成される。
【0028】
また、センサ2は、回転するリラクタの侵入時に発生する開始カウンタ信号SL1(奇数番号)と、リラクタの退去時に発生する終了カウンタ信号SL2(偶数番号)とからなるパルサ信号SL(これら開始カウンタ信号と終了カウンタ信号をまとめてパルサ信号と称する)を計数手段3、検索演算手段4および作動タイミング手段5に供給する。
なお、センサは図示しない波形整形回路を用いて矩形波のパルス信号を発生する。
【0029】
計数手段3は、水晶発信器、波形整形回路、クロック発信回路、カウンタ回路、極性分別回路等で構成し、センサ2からのパルサ信号SLをカウントし、パルサ信号SLに対応した2カウント遅れのコマンド信号Scを検索演算手段4に供給する。
なお、パルサ信号SLは極性分別回路によって分別した開始カウンタ信号SL1(奇数番号)もしくは終了カウンタ信号SL2(偶数番号)のどちらでも良く、一応以後、開始カウンタ信号SL1をパルサ信号SLとして扱う。
【0030】
検索演算手段4は、演算手段、検索手段、記憶/演算手段を備え、パルサ信号SLよりエンジンの回転数(N)に対応する点火時期データをテーブルから検索する。
【0031】
次に、テーブルからの検索値に基づいて火花点火時刻を演算し、計数手段3からのコマンド信号Scが来たら、演算結果の信号IGTを作動タイミング手段5に供給する。
【0032】
作動タイミング手段5は、極性分別回路、演算回路、ROM等のメモリを備え、センサ2からの最新のパルサ信号SL(開始カウンタ信号SL1(奇数))を供給されると、検索演算手段4からの信号IGT(2回転周期前)と、1回転前の回転周期に基づいて演算し、火花点火時刻の信号Tigを出力する。
【0033】
また、作動タイミング手段5は、1回転前の回転周期に基づいて信号IGT値等を演算する場合に、角度から時間値への変換を割り算(CR=1/N)で行わずにシフト演算を行う。
【0034】
ここで、シフト演算が出来る様に、予め割り算の分子係数を角度として記憶させて置き、1回転周期(360゜)で除算を行う。
このことは、2回転周期前で検索したデータ値に対して「1回転周期に対し何分の1で点火をする。」というものである。
なお、燃料噴射制御は火花点火制御と同一構成、同一作用なので説明を省略する。
【0035】
図2は、この発明に係る検索演算手段4のブッロク構成図である。
なお、図2では燃料噴射制御について説明する。
検索演算手段4は、演算手段11、検索手段12、記憶/演算手段13を備える。
【0036】
演算手段11は、カウンタ回路、極性分別回路、演算回路等で構成し、パルサ信号SL(開始カウンタ信号SL1)の間隔からクランクシャフト(エンジン)の周期を知る。
さらに、この周期からエンジンの回転数を演算し、回転周期と回転数の値を検索手段12と記憶/演算手段13に供給する。
【0037】
検索手段12は、スロットル角センサ、吸気管負圧(PB)センサ、水温センサ等の各種のセンサ量とエンジンの回転数とに対応する燃料噴射データをROM等の記憶素子に事前にマップとして記憶させて置く。
例えば、エンジンの回転数とスロットル量とに対応した燃料噴射量の数値(3次元)としてROM等の記憶素子に事前にマップとして記憶させて置く。
【0038】
次に、検索手段12は、スロットル角センサ、吸気管負圧(PB)センサ、水温センサ等の各種センサからの値を読み込み、これらの値が異常な値でないかチェックを行う。
【0039】
さらに、検索手段12は、パルサ信号SLから得た回転数(N)とセンサ信号量とを基にマップ(3次元)検索し、マップ検索で得た燃料噴射量のTi値を記憶/演算手段13に供給する。
【0040】
記憶/演算手段13は、極性分別回路、カウンタ回路、マップ検索回路、ホールド回路等で構成し、検索手段12からのマップ検索で得た燃料噴射量のTi値を、回転数から回転周期に対応した時間関数に変換した値に基づいて燃料噴射量を演算し、数値をホールドして置き、計数手段3からのコマンド信号Scが来たら、演算結果の信号IGTを作動タイミング手段5に供給する。
【0041】
このように、請求項1に係るエンジン制御装置は、検索演算手段の演算と、作動タイミング演算手段の演算とを分け、検索演算手段の演算を作動タイミング演算手段の演算よりも1回転周期前で行うので、エンジンの回転変動やテーブル検索値および/またはマップ検索値の変化に伴う演算時間の変動に左右されずに、最新のセンサ信号に基づく回転周期で演算した火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を得ることが出来るのでエンジンの回転変動に影響されず正確な制御ができる。
【0042】
図3は請求項2に係るエンジン制御装置の全体構成図である。
図3において、エンジン制御装置10は、センサ2、計数手段3、検索演算手段4、作動タイミング手段5、切り替え手段6を備える。
なお、センサ2から検索演算手段4までは図1と同じ構成なので、説明は省略する。
また、燃料噴射制御は火花点火制御と類似構成、類似作用なので説明を省略する。
【0043】
作動タイミング手段5は、極性分別回路、演算回路、ROM等のメモリを備え、センサ2からの最新のパルサ信号SL(開始カウンタ信号SL1)を供給されると、クランクシャフト(エンジン)の回転数と検索演算手段4からの信号IGTとから、1回転前の回転周期に基づいて信号のIGT値等と演算し、直ちに点火時間を指示する火花点火時刻の信号Tigoを切り替え手段6に供給する。
【0044】
切り替え手段6は、演算回路、極性分別回路、クロック回路、記憶素子等を備え、センサ2からの終了カウンタ信号SL2(偶数番号)が来るまでに、作動タイミング手段5で得た火花点火時刻の信号Tigoを出力できるときは、信号TigoをTigとして火花点火時刻を出力する。
【0045】
また、火花点火時刻の信号Tigoを出力中に終了カウンタ信号SL2(偶数番号)が来た場合は、1回転前の回転周期を開始カウンタ信号SL1(奇数番号)から終了カウンタ信号SL2(偶数番号)までの周期時間に換えて演算し、火花点火時刻の出力信号Tigを出力する。
【0046】
上記切替えを行う理由は、下記のためである。
開始カウンタ信号SL1(奇数番号)が来て直ちに点火が出来る点火時間ならば回転変動による誤差分が小さい。
しかし、点火時間が長いと誤差分が大きくなってしまう。
【0047】
そのため、点火時間が長い場合(例えばエンジンの回転数が低い時等)に、終了カウンタ信号SL2(偶数番号)が来たならば、1回転前の回転周期に基づいて行っていた演算を、最新の開始カウンタ信号SL1(奇数番号)から終了カウンタ信号SL2(偶数番号)までの時間に基づいて行う演算に切り替える。
【0048】
さらに、このことは、1回転周期に対応する角度(360゜)を開始カウンタ信号SL1から終了カウンタ信号SL2までの角度(45゜)に切り替えて演算をすることある。(リラクタの周長を45゜にしたので、回転周期に対しリラクタの周長は、1/23 の比率となる。)
【0049】
図4は、この発明に係る火花点火時期制御と燃料噴射時期制御のタイミングチャート図である。
【0050】
図4において、負極性のパルサ信号は回転するリラクタの侵入時(リラクタとパルサコイルとが出会った時)に発生する開始カウンタ信号SL3,SL5(奇数番号)、また、正極性のパルサ信号はリラクタの退去時(リラクタとパルサコイルとが離れた時)に発生する終了カウンタ信号SL4,SL6(偶数番号)である。
なお、最新の開始カウンタ信号をSL5として説明する。
【0051】
開始カウンタ信号SL3(奇数番号)と終了カウンタ信号SL4(偶数番号)の間隔が周長を45゜に設定したリラクタに対応する。(リラクタの周長を45゜にしたので、回転周期に対しリラクタの周長は、1/23 の比率となる。)
【0052】
また、1回転前の開始カウンタ信号SL3と最新の開始カウンタ信号SL5の間隔、もしくは1回転の終了カウンタ信号SL4と最新の終了カウンタ信号SL6の間隔はクランクシャフトの周期(一回転)CRである。(1回転周期=360゜これは一定)
ただし、時間の単位系としての回転周期は、例えば(SL5−SL3)や(SL6−SL4)で、回転数により変化している。
【0053】
1回転前の開始カウンタ信号SL3が来ると、まず、2回転前の周期CR1からクランクシャフトの回転数(N)を演算する。
【0054】
次に、今回の火花点火時期を算出するために、この回転数(N)よりクランク角の最適値(BTDC)をテーブルから検索する。
さらに、この進角値を時間関数に演算(CR1=1/N)する。
なお、ここでの回転周期は、(SL3−SL1)の時間である。
【0055】
また、燃料噴射量を算出するために、この時スロットル角センサ、吸気菅負圧(PB)センサ、水温センサ等の各種のセンサからの値を読み込むとともに、これらの値が異常な値でないかチェックを行う。
さらに、この回転数とセンサの値(例えば、TH=スロットル量)とから燃料噴射量をマップから検索する。
同様に、この燃料噴射量の値を噴射弁の開弁時間に演算する。
また、ここでの回転周期は、(SL3−SL1)の時間である。
【0056】
先のテーブル検索値から最終の火花点火データを算出し、信号IGTとしておく。
また、先のマップ検索値とから最終の燃料噴射データを算出し、信号IJTとしておく。
【0057】
なお、信号IGT算出のためのテーブル検索および信号IJT算出のためのマップの検索は、図に示すように、前回の火花点火時刻Tig1(n-1)の演算および前回の燃料噴射時刻Tij1(n-1)の演算が実行された後のパルサ信号動作時間(SL4−SL3)内のタイミングA(n)で実行するか、または終了カウンタ信号SL4発生後の、前回の火花点火時刻Tig2(n-1)および前回の燃料噴射時刻Tij2(n-1)の演算が実行された後の1回転前の周期CR2内のタイミングB(n)で実行する。
【0058】
また、テーブル検索およびマップ検索のタイミングA(n),B(n)は、タイミングA(n)のみで実行してもよく、タイミングB(n)のみで実行してもよく、タイミングA(n)およびタイミングB(n)の双方で実行してもよい。
【0059】
次に、最新の開始カウンタ信号SL5が来ると、2回転前の回転周期(SL3−SL1)を基に1回転前の周期CR2の間に検索、演算をした火花点火データの信号IGTと1回転前の回転周期(SL5−SL3)の角度を基に最新の火花点火時刻Tigを演算する。
【0060】
同様に、最新の開始カウンタ信号SL5が来ると、2回転前の回転周期(SL3−SL1)を基に1回転前の周期CR2の間に検索、演算をした燃料噴射データの信号IJTと1回転前の回転周期(SL5−SL3)の角度を基に最新の燃料噴射時刻Tijを演算する。
【0061】
次に、火花点火時刻の演算式を数1で示す。
なお、ここでは、便宜上火花点火時刻をTig1と記する。
【0062】
【数1】
Tig1=CR2×IGT×(90゜/360゜)−Tig演算時間
【0063】
ここで、上記数1の演算式の説明をする。
CR2は、最新の回転周期(SL5−SL3)である。
IGTは、2回転前の回転周期(SL3−SL1)を基に1回転前の周期CR2の間で検索および演算結果の(火花点火時間)信号である。
Tig演算時間は、この演算にかかった時間である。
【0064】
また、(90゜/360゜)は、BTDCの角度は1回転周期に対する時間関数であるので割り算(比率)を行う事と同等なので、シフト演算が出来る様に予め割り算の分子係数を90゜として記憶させて置く。
しかし、実際の演算時には、演算式、数2の様にシフト演算が出来る。
【0065】
【数2】
Tig1=CR2×IGT×(1/22)−Tig演算時間
【0066】
また、上記の火花点火時刻をTig1を出力中に終了カウンタ信号SL6が来てしまったならば、最新の回転周期(SL5−SL3)を開始カウンタ信号SL5から終了カウンタ信号SL6までの周期時間に換えて演算し、出力信号Tigを火花点火時刻の信号として出力する。
【0067】
なお、このことは、1回転周期に対応する角度(360゜)を開始カウンタ信号SL5から終了カウンタ信号SL6までの角度(45゜)に切り換えて演算する事である。(リラクタの周長を45゜にしたので、回転周期に対しリラクタの周長は、1/23 の比率となる。)
【0068】
この時の演算式を数3で示す。
なお、ここでは、便宜上火花点火時刻をTig2と記する。
【0069】
【数3】
Tig2=DT×IGT×(90゜/45゜)−DT−Tig演算時間
【0070】
ここで、上記数3の演算式の説明をする。
DTは、最新のパルサ信号動作時間(SL6−SL5)である。
IGTは、2回転前の回転周期(SL3−SL1)を基に1回転前の周期CR2の間で検索および演算結果の(火花点火時間)データである。
Tig演算時間は、この演算にかかった時間である。
【0071】
また、(90゜/45゜)は、BTDCの角度は1回転周期に対する時間関数であるので割り算(比率)を行う事と同等なので、シフト演算ができるように予め割り算の分子係数を90゜として記憶させて置く。
同様に実際の演算時には、演算式、数4の様にシフト演算が出来る。
【0072】
【数4】
Tig2=DT×IGT×(21)−DT−Tig演算時間
【0073】
また、燃料噴射時刻の演算式は、上記の火花点火時刻の演算式と同じであるため演算式を省略するが、演算式上での火花点火時刻と燃料噴射量との対応は、下記に示す通りである。
IGTをIJT、TigをTij、Tig1をTij1およびTig2をTij2とし、数4に代入することで燃料噴射時刻を算出することができる。
【0074】
このように、請求項1と請求項2に係るエンジン制御装置は、検索演算手段の演算と、作動タイミング演算手段の演算とを分け、検索演算手段の演算を作動タイミング演算手段の演算よりも1回転周期前で行い、回転周期に対しリラクタの周長を、Nを自然数とした1/2N の比率としたので、エンジンの回転変動やテーブル検索値とマップ検索値の変化に伴う演算時間の変動に左右されず、さらにまた、火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を出力中に、エンジンの回転変動が起きても時間関数の変換をシフト演算することで、素速く切り換えられ、最新のセンサ信号に基づいた、火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を得ることが出来るので、正確かつ最適な火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の制御ができる。
【0075】
図5〜図8はこの発明に係るエンジン制御装置の制御方法のフロー図である。
図5はメインのフロー図、図6はテーブル/マップ検索処理のフロー図、図7は奇数パルス信号処理のフロー図、図8は偶数パルス信号処理のフロー図である。
【0076】
なお、図6のテーブル/マップ検索処理が請求項3に記載のパルサ信号を入力する過程から火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を出力する過程までの処理を行うものにおいて、この処理が入力信号の値に応じて所要時間が可変ものであり、図7および図8の演算処理が入力信号の値に拘らず所要時間が一定となる処理に対応する。
【0077】
図5のメインのフロー図において、電源投入後、初期化した後にクランク回転が発生すると、パルスが複数入力され、ステップS1でステージ確定の確認判断を行い、ステージ確定の場合にはステップS2に移行し、ステージ確定ができない場合にはステップS7のEXITによりメインフローを抜ける。
【0078】
ステップS2ではパルスが奇数パルスか否かの判断を行い、奇数パルスの場合にはステップS3に移行して奇数パルス信号処理を行う。
一方、奇数パルスでない場合にはステップS4に移行する。
なお、ステップS3の奇数パルス信号処理の詳細は図7で説明する。
【0079】
ステップS4ではパルスが偶数パルスか否かの判断を行い、偶数パルスの場合にはステップS5に移行して偶数パルス信号処理を行う。
一方、偶数パルスでない場合にはステップS7のEXITによりメインフローを抜ける。
なお、ステップS5の偶数パルス信号処理の詳細は図8で説明する。
【0080】
ステップS5の偶数パルス信号処理後、ステップS6では周期CR(n)に基づくテーブル/マップ検索処理を行う。
なお、ステップ6のテーブル/マップ検索処理の詳細は図6で説明する。
ステップS6終了後はステップS7のEXITによりメインフローを抜ける。
【0081】
図6のテーブル/マップ検索処理フロー図において、ステップS11で周期CR(n)およびセンサ値とから火花点火データIGT(n+1)を検索し、続いてステップS12では、周期CR(n)およびセンサ値とから燃料噴射データIJT(n+1)を検索して図5のステップS6に戻る。
【0082】
図7の奇数パルス信号処理のフロー図において、ステップS21では周期CR(n)の演算を実行し、ステップS22では火花点火データIGT(n)と周期CR(n)とから点火時刻Tig(n)を算出する。
【0083】
ステップS23では算出された点火時刻Tig(n)を点火カウンタにセットしてステップS24に移行する。
なお、ステップS23でセットされたカウンタは、セット値を時間経過と伴にダウンカウントしてゆき、0になった時点で点火処理を行う。
【0084】
ステップS24は燃料噴射データIJT(n)と周期CR(n)とから燃料噴射時刻Tij(n)を算出する。
【0085】
続いて、ステップS25では算出された燃料噴射時刻Tij(n)を燃料噴射カウンタにセットする。
なお、ステップS25でセットされたカウンタは、セット値を時間経過と伴にカウントダウンしてゆき、0になった時点で燃料噴射を行う。
【0086】
図8の偶数パルス演算処理のフロー図において、ステップS31ではパルサ動作時間DTの演算を実行し、ステップS32では周期CR(n)での点火処理が既に終了しているか否かの判定を行い、既に終了している場合にはステップS35に移行し、終了していない場合にはステップS33に移行する。
【0087】
ステップS33では、火花点火データIGT(n)とパルサ動作時間DT(n)とから点火時刻Tig(n)を算出する。
ステップS34では、算出した点火時刻Tig(n)を点火カウンタにセットする。
【0088】
ステップS35では周期CR(n)での燃料噴射処理が既に終了しているか否かの判定を行い、既に終了している場合にはメインに戻り、終了してない場合にはステップS36で燃料噴射データIJT(n)とパルサ動作時間DT(n)とから噴射時刻Tij(n)を算出する。
【0089】
続いて、ステップS37では算出された噴射時刻Tij(n)を燃料噴射カウンタにセットした後、メインに戻る。
【0090】
なお、図7および図8のフローで説明した演算処理は、シフト演算で行うことにより一定の時間となるため、演算に用いる周期CRは演算直前の周期とする。
【0091】
一方、火花点火データIGTおよび燃料噴射データIJTのテーブル/マップ検索に要する処理時間は検索時点により異なるため、テーブル/マップ検索に用いる周期は、点火時刻Tig(n)および噴射時刻Tij(n)に用いる周期CRよりも一周期前の周期に基づいて行う。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係るエンジン制御装置は、検索演算手段の演算と、作動タイミング演算手段の演算とを分け、検索演算手段の演算を作動タイミング演算手段の演算よりも1回転周期前で行うので、エンジンの回転変動やテーブル検索値とマップ検索値の変化に伴う演算時間の変動に左右されずに、最新のセンサ信号に基づく回転周期で演算した火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を得ることが出来るので、精度の高い火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の演算が得られ、低コストで正確かつ最適な制御ができる。
【0093】
また、この発明に係るエンジン制御装置は、回転周期に対しリラクタの周長を、Nを自然数とした1/2N の比率としたので、回転数等を時間関数に変換する時に、割り算(CR=1/N)を行わず、シフト演算ができるので、一層細かな制御によってエンジンの回転変動に影響されずに精度の高い火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の演算が得られので、高速時のエンジン回転が高い場合でも、アイドリング時の様な回転変動の大きい時においても、演算処理時間がクランクシャフト(エンジン)の回転変動に追従でき、正確かつ最適な火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の制御ができる。
【0094】
よって、演算を異なる回転周期に2分割することにより、エンジン負荷やクランクシャフト(エンジン)の回転数の変動に対して、容量の小さなマイコンでも演算時間がクランクシャフト(エンジン)の回転に追従でき、単純な構成で低価格化が図れ、正確な火花点火時刻および/または燃料噴射時刻の制御ができるエンジン制御装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るエンジン制御装置の全体構成図
【図2】この発明に係るエンジン制御装置の検索演算手段のブッロク構成図
【図3】請求項2に係るエンジン制御装置の全体構成図
【図4】請求項1および請求項2に係る火花点火時期制御と燃料噴射時期制御のタイミングチャート図
【図5】この発明に係るエンジン制御装置の制御方法のフロー図
【図6】この発明に係るエンジン制御装置の制御方法のフロー図
【図7】この発明に係るエンジン制御装置の制御方法のフロー図
【図8】この発明に係るエンジン制御装置の制御方法のフロー図
【図9】従来の火花点火時期制御のタイミングチャート図
【図10】従来のエンジン制御装置
【符号の説明】
1,10…エンジン制御装置、2,51…センサ、3…計数手段、4…検索演算手段、5…作動タイミング手段、6…切り替え手段、11…演算手段、12…検索手段、13…記憶/演算手段、52…フライホイール(ロータ)、53…リラクタ、54…パルサコイル、55…エンジン制御ユニット(ECU)、CR1,CR2…クランクシャフトの周期(一回転)、DT…パルサ信号動作時間、IGT…火花点火データ、IJT…燃料噴射データ、SL…パルサ信号、SL1,SL3,SL5…開始カウンタ信号、SL2,SL4,SL6…終了カウンタ信号、Tig1,Tig2…火花点火時刻、Tij1,Tij2…燃料噴射時刻。

Claims (2)

  1. クランクシャフトに連動して回転するロータにリラクタを設け、該リラクタに対応して設けたパルサコイルが発生するパルサ信号に基づいて火花点火時刻および/または燃料噴射時刻を制御するエンジン制御装置であって、
    前記パルサ信号をカウントする計数手段と、前記パルサ信号の回転周期と入力信号を基にテーブル検索および/またはマップ検索とを行い、火花点火角度および/または燃料噴射量を検索し、当該検索した値から火花点火データ(IGT)および/または燃料噴射データ(IJT)の演算を行う検索演算手段と、前記回転周期と前記データ(IGT/IJT)の値に基づいて、前記パルサ信号からの火花点火の実行時刻(Tig)および/または燃料噴射の実行時刻(Tij)を演算する作動タイミング演算手段とを備えたものにおいて、
    前記検索演算手段の演算と、前記作動タイミング演算手段の演算とを分け、前記作動タイミング演算手段の演算は、前記パルサ信号直前の回転の回転周期を用いて行い、前記検索演算手段の演算は、その直前の回転より1回転前の回転周期を用いて行うようにしたことを特徴とするエンジン制御装置。
  2. 請求項1記載のエンジン制御装置において、
    前記回転周期に対し前記リラクタの周長を、Nを自然数とした1/2の比率とすることを特徴とするエンジン制御装置。
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