JP4374133B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦型拡散・CVD装置などの基板処理装置に係り、特に装置内のガスフローを改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の縦型拡散・CVD装置における移載室の概略平面図を示す。この装置は、移載室1に1台のボート9を用意して、そのボート9を移載室上方の反応炉(図示せず)に対して搬入出する1ボート装置と呼ばれるものである。移載室1でエアフローを形成しているが、このエアフローには2つ働きがある。
【0003】
一つは、クリーンルーム化である。移載室1のウェハ移載機2等から発生するパーティクルによる汚染からウェハを護るため、移載室1をクリーン状態に保つ必要がある。そこで、従来は、移載室1の一側の壁のほぼ全面に、フィルタとブロアを内蔵したクリーンモジュール3を設け、移載室1の対角線上の他側のコーナ壁に排気ファン4を設ける。ブロアで大気をクリーンモジュール3に引きこみ、フィルタでクリーン化して移載室1に流入させて、クリーンモジュール3からコーナ壁へ斜めに向かう一方向のエアフローFを作り、移載室1で発生したパーティクル等を排気ファン4により外に流出させている。
【0004】
他の一つは、ウェハの冷却である。移載室1の上方に設けた反応炉内でボート9に載置したウェハを処理するが、処理後、反応炉から搬出したボート9上のウェハはまだ高温であるため、ウェハを所定の温度まで冷やす必要がある。そこで、処理後に搬出されてボートロード/アンロード位置Cにあるウェハ及びボート9に、クリーンモジュール3のフィルタでクリーン化された大気を吹きつけて空冷している。すなわちクリーンモジュールによる空冷方式である。なお、図において、5はポッドオープナ、6は移載機エレベータ、及び7はボートエレベータ、8はボートステージである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したような一方向のエアフローを形成する1ボート装置では、排気ファン4の能力が低いため、対角線から外れた場所に位置するウェハ移載機2の背面側にエアのよどみSを生じてしまい、クリーン状態が保持できない。また、ボートロード/アンロード位置Cにおける処理後のウェハを通るエア流は熱と反応残留ガスを含んでおり、他方、ウェハ移載機2側を通るエア流はウェハ移載機2の摺動部等からのパーティクルを含んでいるが、それらのエアが混じって集中排気されるため二次的汚染が生じる。
【0006】
また、ウェハが大型化して12″装置となり、さらには高スループット化のために2台のボートを反応炉に対して交互に搬入出する2ボート装置になると、上述した1ボート装置の問題に加えて、つぎのような問題が生じる。
【0007】
クリーンモジュールによる空冷方式では、装置の省スペース化の要請で、クリーンモジュール3のフィルタとボートステージとの距離が近くなるため、高温のウェハやボートにより熱に弱いフィルタが熱影響を受けてしまう。また、フィルタを通すと、フィルタ自体の圧力損失が大きく、クリーンエアの流速が落ち、所望の流速と流量が得られず、ウェハやボートの冷却時間が長くなる。これを解消するためにフィルタから、より多くのクリーンエアを流そうとすると、ブロアに大きな能力が要求されるようになるが、その要求に応えるには外形寸法や消費電力等が大きくなってしまい、装置に組み込むことが困難になる。
【0008】
上述したように従来の技術では、クリーン化及び排気に関するクリーン関連の他に、フィルタの熱影響、冷却時間の長期化、さらには装置の大型化という冷却関連の問題があった。
【0009】
本発明の課題は、上述した従来技術の冷却関連の問題を解消して、基板の冷却時間を短縮でき、フィルタが熱影響を受けず、しかも省スペース化が可能な基板処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ボートに搭載された基板を処理する反応炉と、該反応炉に対するボート搬入出用の空間を含む部屋と、該部屋に気体を流入して流出させる気体給排系とを備え、前記気体給排系の供給系に、大気又は前記部屋の雰囲気を取り込み、フィルタを介して前記部屋に流入させるクリーンエア供給系と、不活性ガス又は水素ガスを直接前記部屋に流入させる高純度ガス供給系とを併用したことを特徴とする基板処理装置である。
【0011】
本発明によれば、気体給排手段のうちの供給系として、クリーンエア供給系の他に高純度ガス供給系を設けて、この高純度ガス供給系から直接部屋に不活性ガス又は水素ガスを流入させるようにしている。したがって、反応炉から搬出されて高温になっている基板を搭載したボート(ボート等という)に上記ガスを当てるようにすれば、フィルタを介して大気や雰囲気を間接的に当てる場合と比べて、圧損がなく十分な流量及び流速でボート等にガスを吹きつけることができるので、ボート等の冷却時間を短縮できる。また、ボート等を短時間で冷却できるので、他方のクリーンエア供給系のフィルタは、高温になっているボート等からの熱影響を大きく受けないようにすることができる。また、部屋に流入させる不活性ガス又は水素ガスは高純度であるため、その流入に際してはフィルタが不要となるので、供給系のうち、この高純度ガス供給系の分、装置の小型化、省スペース化を実現できる。
【0012】
なお、上記発明において、部屋に流入させた気体の流れを一方向ではなく、二方向に分離させて流し、これらを別々に排出させることで、エアのよどみをなくし、クリーンな状態を保持できるようにすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図7は、第1の実施の形態による縦型拡散・CVD装置としての1ボート装置の移載室を示す概略平面図、図8はエアフローを説明する移載室の斜視図である。移載室が本発明の部屋を構成する。
【0015】
1ボート装置は、処理前のウェハを投入し、処理後のウェハを排出する移載室11を備える。移載室11はハウジング10により区画形成される。ここで移載室11はロードロック室や窒素パージボックスを構成している必要はなく、大気雰囲気でよい。移載室11の向きは、図面左が装置の前方であり、図面右が後方、上が左側、下が右側である。移載室11の前方にポッドオープナ15が設けられ、ポッドの蓋を開閉してポッド内のウェハを移載室11に対して投入・排出できるようになっている。
【0016】
移載室11内の前記ポッドオープナ15側に、ポッドとボートとの間でウェハを移載するウェハ移載機12が設けられる。ポッド及びボートは図示されていない。ポッドは複数枚のウェハを収納する。ボートは多数枚のウェハを水平状態で縦方向に搭載する。ウェハ移載機12は移載機エレベータ16により昇降し、ポッド又はボートの所望の位置にウェハを移載できるようになっている。また、移載室11内のポッドオープナ15側とは反対側であって、図示しない反応炉に対してボート搬入出用の空間Qにボートエレベータ17が設けられ、反応炉に対してボートを搬入出できるようになっている。前記反応炉は、移載室11の上方に立設され、ボートに搭載されたウェハを処理する。
【0017】
移載室11には、フィルタを介して大気を外部から流入させて流出させるクリーンガス給排系Aが設けられる。クリーンガス給排系Aは、クリーンモジュール13、ダクト19(図8参照)、及び排気ファン14とから主に構成される。
【0018】
クリーンモジュール13は、移載室11の左側壁のほぼ全面に設けられる。クリーンモジュール13は、小型化するために移載機側クリーンモジュール13aと冷却側クリーンモジュール13bとに前後に二分割してある。例えばULPA(Ultra Low Penetration Air-filter)などから構成されるフィルタとブロアを備えて、ウェハ移載機12の設けられている移載機側空間Pとボートエレベータ17が設けられているボート搬入出用空間Qとにクリーンエアを流入できるようになっている。
【0019】
ダクト19は、移載室11の前方のポッドオープナ15の下方に、移載室11を横切るように水平に設けられる。ダクト19にはダクト内のガスを吸い込んで装置外へ排出する複数の排気ファン20が設けられる。クリーンモジュール13aのブロアによるガス吸いこみにより、移載室11の外部から移載機側クリーンモジュール13aに大気を引きこみ、フィルタによりクリーン化して、移載室11に流入させる。流入したクリーンエアは、移載室11の移載機側空間Pを横切り、右側壁又は前方壁にぶつかって下降し、移載室11の前方壁の右側下部に設けた開口19aからダクト19に引きこまれて、ダクト19に設けた排気ファン20により装置の外部に排出する。
【0020】
排気ファン14は、冷却側クリーンモジュール13bと対向する移載室11のコーナ壁に、移載室11の高さ方向に沿って所定間隔を開けて複数個設けられる。クリーンモジュール13bのブロアは、移載室11の外部から冷却側クリーンモジュール13bに大気を引きこみ、フィルタによりクリーン化して、移載室11に流入させる。流入したクリーンエアは移載室11のボート搬入出用空間Qを横切り、右側壁又は後方壁にぶつかって、排気ファン14により装置外に流出する。
【0021】
上述したように、移載室後方の排気ファン14に対して、前方位置に排気ダクト19を設けて、移載室に11二方向のエアフローを形成し、そのうちの移載機側空間Pを通過するエア流を、ダクト19を介して排気ファン20から排出する構成とした。これにより移載室11に流入したクリーンエアは、移載機側空間Pとボート搬出入用空間Qとに分流されるので、一側に設けた排気ファン14単独による集中排気ではなく分流排気となる。
【0022】
したがって、一方向のエアフローに比べて、パーティクル等の排出、及び移載室11のクリーン状態を有効に保持することができる。また、ウェハ移載機12の背面側に生じていたエアのよどみを解消することができ、移載室11のクリーン度を保つことができる。さらに、ボート側と移載機側とでエアフローの排気口を異ならせて、エアフローを移載室11内で移載機側空間Pとボート搬出入用空間Qとに分流排気するようにしたので、ウェハ移載機のパーティクルと、プロセスコンタミネーション,異物,ウェハやペリクル上に付着したパターン以外の物質,浮遊塵埃,レジスト,オイルミストなどとの振分け排気が可能となり、二次的汚染を有効に防止できる。
【0023】
その結果、12″装置となって、装置の奥行及び幅、高さが制限されたり、装置が複雑で駆動部が多くなっても、クリーンエアフローが移載室内でよどみなく流れることが可能となり、装置内のクリーン度を清浄に保つことができる。
【0024】
なお、移載室コーナに設けた排気ファン14とダクト19に設けた排気ファン20とは独立運転できるように構成できるから、ボート上にのみウェハがあり、ウェハ移載機が動いていない場合、排気ファン14のみを運転して、ウェハ移載機側のエアフロー及び排気をストップして省エネルギー化をはかることも可能である。
【0025】
次に、装置を2ボート装置とした第2の実施の形態を、図1、図2を用いて説明する。図2は(1チューブ/2ボート)×2構成の12″2ボート縦型拡散・CVD装置を示す概略斜視図である。この縦型拡散・CVD装置は略直方体状のハウジング30を備える。ハウジング30内の部屋は主に上下に分れ、上部には、ヒータ加熱してウェハWに成膜処理する2基の反応炉40と、複数のポッドを収納するカセット棚が設けられる。
【0026】
下部の移載室31には、前記反応炉40に搬入出されるボート41と、ボート41を交換するボート交換装置42と、反応炉40に対してボート41を搬入出するためにボート41を昇降するボートエレベータ37とが設けられる。さらに、複数枚のウェハWをボート41に挿入する前に一括してノッチ合せを行うノッチ合せ機43と、処理前の複数枚のウェハを一括してポッド44からノッチ合わせ機43へ移載し、ノッチ合せ機43からノッチ合せ済みの複数枚のウェハをボート41へ一括して移載するためのウェハ移載機32と、このウェハ移載機32を昇降する移載機エレベータ(図示せず)とが設けられる。同様な移載室31は、反応炉に対応してもう一つ設けられる。
【0027】
なお、図1中、46は補助カセット棚、47は操作パネル、48は2ポートのポッドステージである。また、図示しないがクリーンモジュールが移載室31の手前内壁面に設けられている。
【0028】
このような12″2ボート縦型拡散・CVD装置では、装置の外形寸法に制約があるので、処理後の高温ボートからクリーンモジュールへの熱影響が避けられない。
【0029】
すなわち、12″2ボート縦型拡散・CVD装置の移載室内の主要な構成要素のレイアウトは図4のようになる。左側から順にノッチ合せ機43、ウェハ移載機32、ウェハ移載ステージa(ウェハ移載位置A)、ボートロード/アンロードステージc(ボートロード/アンロード位置C)、ボート冷却ステージb(ボート冷却位置B)がジグザグ状に配列される。このような移載機32及びステージ等を配列した移載室31に流れるエアフローを、例えば互いに離間させた2つのクリーンモジュール33a、33bから流入させ、排気ファン44から排気しても、移載室31内の構成要素が増加しているために、2箇所にエアのよどみSが生じる。1箇所はウェハ移載機32の前方寄りであり、他の箇所は、ボートロード/アンロード位置Cを含む周りである。
【0030】
また、12″2ボート縦型拡散・CVD装置では、装置内にφ300mm用ボートを2本設置する必要があるが、装置の外形寸法には制約があるため、クリーンモジュール33と各ボート間の距離がどうしても近くなり、処理後の高温ボート等からクリーンモジュール33への熱影響が避けられない。この熱影響は、特に、冷却側クリーンモジュール33bによる冷却位置Bでの冷却時間が長くなる場合に、問題となる。
【0031】
そこで、第2の実施の形態による2ボート装置では、図1に示すように、ウェハの冷却位置Bに冷却側クリーンモジュール33bは設置しないで、その代わり、N2ガスを吹き出す冷却ノズル62を設置する。
【0032】
図1は、上述した図2の丸印で囲った移載室31をZ矢視方向から見たときの内部構成図である。ここでは、略直方体のハウジング30内の移載室31に設けられるウェハ移載機、移載機エレベータ、ボートエレベータ等は、図示していない。
【0033】
ポッドオープナ35が設けられているポッド収容室49は、移載室31の前方に設けられて、移載室31とは区画形成されている。移載室31には、気体を流入して流出させる気体給排手段として、室内雰囲気を取り込んで循環流入させるクリーンガス給排系50と、N2ガスをシャワー状に流入させて流出させる高純度ガス給排系60とが設けられる。
【0034】
クリーンエア給排系
クリーンエア給排系50は、フィルタ52及びブロア53を有するクリーンエア供給系としてのクリーンユニット51と、循環ダクト54と、排気ファン34とから構成される。このうちの、クリーンユニット51の一部、及び循環ダクト54から、移載室31の雰囲気を循環させる循環系を構成する。また、クリーンユニット51の他部、及び排気ファン34から、移載室31に大気を取り込み、循環させないでそのまま外部へ排出する非循環系を構成する。
【0035】
移載室31の左側壁に必要とされるクリーンユニット51は、移載機側クリーンユニット51aと冷却側クリーンユニット51bとに前後に分割するが、離間させないで配置する。各クリーンユニット51a及び51bは、それぞれフィルタ52a,ブロア53a、及びフィルタ52b,ブロア53bから構成される。また、独立して運転できるようにする。
【0036】
循環系の一部を構成する循環ダクト54は、垂直ダクト54a、水平ダクト54b、帰還ダクト54cから構成される。垂直ダクト54aは、移載室31のクリーンユニット51と対向する右側壁の前方コーナ部に立設される。高さ方向に適宜間隔で複数の開口を有して、移載室31の移載機側空間Pの雰囲気を太矢印で示すように取り込んで下方に導く。水平ダクト54bはポッド収容室49の下部に、移載室31を横切るように配設され、右側壁側で垂直ダクト54aにより捕捉された雰囲気を移載室31の外側に取り出した後、移載室31の左側壁側に戻す。帰還ダクト54cはクリーンユニット51が設けられた移載室31の左側壁と隣接するポッド収容室49の壁面に設けられ、水平ダクト54bを通って来た雰囲気を導いて、クリーンユニット51に供給する。
【0037】
非循環系の一部を構成する排気ファン34は、後述する冷却ノズル62に対向する移載室31の右側壁のコーナ部に設けられる。冷却ノズル62はコーナ部の上下方向に沿って適宜間隔を開けて複数個設けられる。
【0038】
循環系では、ブロア53の吸引力により、移載室31内の雰囲気の一部を循環ダクト54に取り込み、循環ダクト54を通じてクリーンユニット51に導き、フィルタ52でパーティクルなどを除去してクリーン化し、このクリーンエアを再び太矢印Gaで示すように移載室31内に流入して循環させている。
【0039】
非循環系でも同じく、ブロア53の吸引力により、ボート側クリーンモジュールから移載室31に流入した太矢印Gaで示すクリーンエアの一部が、水平にボート搬出入用空間Qを横切って排気ファン34より排出される。
なお、図1では、循環ダクト54から取り込んだクリーンエアの一部を再度クリーンユニット51に循環させているが、水平ダクト54bに複数の排気ファンを取り付け、循環させずに、移載室31外へ排出しても良い。
【0040】
高純度ガス給排系
高純度ガス給排系60は、クリーンユニット51と隣接して設けられたノズル支持体61と、高純度ガス供給系としての冷却ノズル62と、前述した排気ファン34とから構成される。
【0041】
冷却ノズル62は、移載室31の左側壁後方であって、ボート搬出入用空間Qで冷却されるボート41の対向位置に、ノズル支持体61によって適宜間隔を開けて複数本立設支持される。複数本の冷却ノズル62は、直線配列でもよいが、円筒状フレーム構成のボート41の一部を取り囲むように弧状に配列することが、冷却能率を上げるうえで好ましい。
【0042】
複数本の冷却ノズル62には、ノズル穴63が開けられて、これらの穴63からN2ガスなどの高純度の不活性ガス又は高純度のH2ガス(以下、単にN2ガスという)を、フィルタを介在せずに移載室31に直接高圧で流入させるようになっている。このガスは、図示しないN2ガス供給源からN2ガスラインを経てクリーンユニット51の背面から移載室31内に導かれて、前記冷却ノズル62に分配される。
【0043】
高純度ガス給排系60は、移載室31にN2ガスを取り込み、循環させないでそのまま排出する非循環系を構成する。冷却ノズル62から細矢印Gbに示すようにシャワー状に噴出されたN2ガスは、ボート41等を冷却した後、排気ファン34により吸引されて排出される。
【0044】
次に、上述した構成による移載室31のガスの分流排気を図4と図5とを用いて比較説明するが、その前に、図3を用いて、ボート交換装置42の動きを説明する。図3に示すように、ボートは、ボート交換装置42の旋回アームにより円弧状に軌跡を描いて移動され、3つの位置を取り得る。円弧の中央は反応炉内にボートを挿入し、反応炉内からボートを抜き出すボートロード/アンロード位置C、円弧左端はウェハ移載機32によるボートへのウェハ移載位置A、反対側の円弧右端はボート冷却位置Bである。
【0045】
ボート交換装置42はつぎのように機能する。予め空の2個のボートをA、Bの位置にそれぞれ置く。A位置にあるボートに、ポッドより取り出し、ノッチ合せ機43によりノッチ合せを行ったウェハを移載してボートを満たす。A位置にあるノッチ合せ済みのウェハで満ちたボートを旋回アームによりC位置にもってきて、上昇して反応炉内にロードして所定の処理を行う。反応炉で処理している間、B位置にある空のボートを旋回アームによりA位置にもってきて、別なノッチ合せ前のウェハをポッドから取り出し、ノッチ合せ機43によりノッチ合せを行い、ボートに移載してウェハで満たす。そして下記の操作(a)〜(d)を繰り返す。
【0046】
(a)反応炉でのボートの処理が終了したら、そのボートをアンロードし、C位置に下降した後、旋回アームにより冷却位置BにもってきてN2ガス冷却ノズル61から吐出されるN2ガスで冷却する。
【0047】
(b)冷却している間、A位置にあるノッチ合せ済みのウェハで満ちたボートを旋回アームによりC位置に移し、Cの位置から上昇して反応炉内にロードして、処理する。
【0048】
(c)反応炉で処理している間、B位置で冷却されたボートを旋回アームによりA位置にもってきて、A位置で処理済みウェハを取り出し、ポッドに戻す。
【0049】
(d)処理済みウェハを取り出して空になったボートに新規にポッドより取り出し、ノッチ合せ機43によりノッチ合せを行ったウェハを移載してボートを満たす。
【0050】
さて、上述した構成による移載室31のガスの分流排気を、発明前駆図を示す図4と、第2実施形態を示す図5とを用いて比較説明する。図4では移載室31のノッチ合せ機43で塞がった部分を除いた左側壁にクリーンモジュール33を33aと33bとに分離して取り付けてあるが、図5ではノッチ合せ機43の位置をずらすことにより、クリーンユニット51を冷却ノズル部分を除いた左側壁全面に、分割はするが、分離することなく取り付けてある。
【0051】
図4では移載室内のエアフローは、排気ファン44からのみ排気されるので、よどみSやエアフローの不均一が生じる。しかし、図5のものでは、クリーンユニッ51が、ノッチ合せ機43で死角になっていたコーナ部にも設けられる。また、循環ダクト54からエアフローを取り込み、クリーンユニット51へ循環供給している。このため、分流した一方のエアフローは、ウェハ移載機32の背面にも十分な空気流を形成することができる。また、分流した他方のエアフローは、排気ファン34による排気とブロアによる吸引力で移載室内に大気を引き込んでいる。
【0052】
したがって、図5のものは、図4の排気ファンのみにより移載室雰囲気の排気を行うものと比べて、ウェハ移載機32の前方寄りに空気のよどみが発生しない。また、ボートロード/アンロード位置Cを含む周りにも空気のよどみが発生しない。その結果、移載室31内からパーティクル等が排除され、移載室31をクリーンに保つことができる。
【0053】
また、クリーンモジュールによる空冷方式を採用している図4のものと比べて、図5のものでは、冷却ノズル62から冷却位置BにあるボートにN2ガスを吹きつける方式を採用しているので、冷却時間を短縮できる。図4のように、大気による冷却方式だと、フィルタを介して大気中の塵やパーティクルを除去する必要がある。フィルタ52を通すと、フィルタ52自体の圧力損失が大きく、クリーンエアの流速が落ちる。したがって、フィルタを介したものは、流速と流量に所望の値が得られない。また、フィルタ52からクリーンエアを出すために、ブロア53が必要であるが、多くのエアを流そうとすればするほど、ブロアの能力が必要となり、外形寸法消費電力等、装置に組込むには問題となる。
【0054】
しかし、この点で、図5のように、フィルタ52を介さずに、高純度な不活性ガスを直接噴出するようにすると、所望の流速と流量を容易に得ることができる。しかも、これをN2ガスの専用ラインを増設するだけで実現できる。例えばφ9.52の配管のスペースを用意するだけで足りる。また、配管本数、流量等を増加して冷却能力を上げることも容易である。したがって、大口径の12″ウェハを処理する装置であっても、外形寸法や消費電力等が大きくならず、装置に組み込むことも容易であり、装置の省スペース化を実現できる。クリーンモジュール設置に比べ省スペースでの設置が可能なため、空いたスペースを有効利用可能である。また、クリーンモジュールに比べコスト的なメリットもある。
【0055】
また、2ボート装置になって、ボート41とフィルタ52との距離が近くなっても、N2シャワーによる急速冷却ができ、高温状態になっている時間が短いので、フィルタへの熱負荷が少ない。しかもN2ガスを吹きつけるので、ウェハ上への自然酸化膜の抑制も可能である。また、第2実施の形態は、移載室31にN2ガスを流入させてボートを冷却しているので、移載室を窒素パージボックスとしたり、ロードロック室で構成する必要はない。すなわち、窒素ガス空間をもったことで、本発明は大気雰囲気となるオープン炉装置に適用できる。
【0056】
上述したように第2の実施の形態は種々の優れた点があるが、さらに次のように構成することが好ましい。
【0057】
(1)断熱材部分に多くのN 2 を流す
プロセス処理後のボートは熱処理されているため、非常に高温となっており、ボート、ウェハ、キャップ等の熱がすぐには下がらない。図6に示すように、特にボート41下部のキャップ41aや、その替りに用いる断熱板(図示せず)は、構造上、断熱効果を高くしている。このため、ボート41の他の部分や、ボート41に載置されるウェハに比較して、冷めにくくなっている。なお、キャップ41aの内部には石英ウールが入れてある。また断熱板は、熱容量の大きい石英やSiCの板をウェハと同じくボート柱41bに支持させるものであり、キャップ41aに相当する部分に設けるものである。
【0058】
また、ボート41上のウェハとキャップ41aとを均等のガス流れで冷却した場合には、ウェハを移載室31から排出できる温度(70〜80℃)まで降下させた際のキャップ温度は、まだ200〜300℃近くある。このキャップ温度は、次に移載されるウェハに対して熱の影響を与えるおそれがある。
【0059】
そこで、ボート41に対して断熱板やキャップ41a側、つまり熱容量の高い部分へ、他の部分よりもN2ガスを多く流すようにして、熱容量の高い部分の冷却効果を高めることが好ましい。
【0060】
冷却ノズル62の、ボート41の熱容量の低い部分に対応する部分をA部とし、熱容量の高い部分をB部とした場合(図6(a))、上述したN2ガスを多く流す手段としては、例えば、冷却ノズル62のN2の吹出し穴63をA部よりもB部の方を大きくしたり(図6(b))、冷却ノズル62のB部の穴ピッチP2をA部の穴ピッチP1よりも狭くしたり(図6(C))、さらには図示しないが、A部とB部とにN2ガスを別々に供給するようにして、B部の供給量を増やすようにしてもよい。
【0061】
(2)Tc(温度センサ)を用いてN 2 流量を制御する
図3に示すように、ボートの周辺に熱電対等から構成された温度センサ70を設置し、ボート、ウェハ、断熱板等の温度を監視しながら、温度が高いうちは、N2ガス流量を多くし、温度が下がってくるとN2ガス流量を少なくするというように、N2ガス流量を温度に合わせて制御する。温度センサ70の設置数は、装置の上下方向においては一点、又は多点とする。
【0062】
この場合において、単に移載室31の雰囲気温度を検知するのであれば、冷却ノズル62の近傍を含め、任意の点に温度センサ70を設ければよい。しかし、ボート通過後のN2ガス温度を検知したいのであれば、ボート冷却位置Bにあるボートを通過したN2ガス流位置に温度センサ70を設けるとよい。この場合、ボートの旋回に支障がないように旋回軌跡外に温度センサ70を設けるか、又は温度センサ70を移動自在に設けて、ボート移動する前には旋回軌跡外に位置させ、ボートが移動する際に退避できるようにしてもよい。
【0063】
なお、上述した第1の実施の形態では排気ファンのみによって移載室の雰囲気を排気するようにしたが、第2の実施の形態のダクト循環方式を併用することも可能である。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、気体給排手段の供給系に、フィルタを介して大気を流入させるクリーンエア供給系と、直接高純度な不活性ガス又は水素ガスを流入させる高純度ガス供給系とを併用したので、基板の冷却時間を短縮でき、熱に弱いフィルタが処理後の基板の熱影響を受けることがなくなり、しかも省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2の実施の形態による移載室の気体給排手段及び気体流れを示す説明図である。
【図2】第2の実施の形態による縦型拡散・CVD装置の全体構成を示す透視斜視図である。
【図3】第2の実施の形態による2ボート装置のボート交換装置及びセンサ配置の説明図である。
【図4】第2の実施の形態の前駆技術となる2ボート装置の気体の流れを示す移載室の平面図である。
【図5】第2の実施の形態による2ボート装置の気体の流れを示す移載室の平面図である。
【図6】第2の実施の形態によるボート部位に対する冷却ノズルの対応を示す説明図である。
【図7】第1に実施の形態による1ボート装置の気体の流れを示す移載室の平面図である。
【図8】第1に実施の形態による1ボート装置の気体の流れを示す移載室の透視斜視図である。
【図9】従来例による1ボート装置の気体の流れを示す移載室の平面図である。
【符号の説明】
31 移載室(部屋)
40 反応炉
41 ボート
50 クリーンエア給排系(気体給排系)
51 クリーンモジュール(クリーンエア供給系)
52 フィルタ
53 ブロア
54 ダクト
60 冷却ガス給排系(気体給排系)
62 冷却ノズル(高純度ガス給排系)
Ga 大気雰囲気(クリーンエア)
Gb 不活性ガス
Q ボート搬出入用空間
Claims (2)
- 熱容量の高い部分と熱容量の低い部分とを備えるボートに搭載された基板を処理する反応炉と、
該反応炉に対するボート搬入出用の空間を含む部屋と、
該部屋に気体を流入して流出させる気体給排系と、を備え、
前記気体給排系の供給系は、大気又は前記部屋の雰囲気を取り込み、フィルタを介して前記部屋に流入させるクリーンエア供給系と、不活性ガス又は水素ガスを直接前記部屋に流入させる高純度ガス供給系と、を併用するよう構成され、
前記高純度ガス供給系には、前記ボートにおける前記熱容量の低い部分への前記不活性ガス又は前記水素ガスの供給量よりも、前記ボートにおける前記熱容量の高い部分への前記不活性ガス又は前記水素ガスの供給量を多くする手段が構成されていることを特徴とする基板処理装置。 - 熱容量の高い部分と熱容量の低い部分とを備えるボートに搭載された基板を反応炉で熱処理する工程と、
該反応炉に対するボート搬入出用の空間を含む部屋であって、大気又は前記部屋の雰囲気を取り込み、フィルタを介して前記部屋に流入させるクリーンエア供給系と、不活性ガス又は水素ガスを直接前記部屋に流入させる高純度ガス供給系と、を併用するよう構成された気体給排系にて気体が流入され流出される前記部屋へ、熱処理後の前記ボートを前記反応炉から搬出する工程と、
前記高純度ガス供給系が、熱処理後の前記ボートにおける前記熱容量の低い部分よりも前記熱容量の高い部分へ前記不活性ガス又は前記水素ガスを多く供給する工程と、を有することを特徴とする基板処理方法。
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