本発明は、画像形成システムに関し、詳細には、それぞれ独立して動作可能な複数の画像形成装置が連結して動作する際の消費電力を削減する画像形成システムに関する。
複写装置、プリンタ装置及びファクシミリ装置等の画像形成装置は、一般的に画像生産性と市場価格が比例する傾向にあり、画像生産性の低い(1分間当たりの画像形成枚数が少ない)画像形成装置は、画像生産性の高い画像形成装置よりも低価格であり、また、画像生産性の高い画像形成装置は、販売台数も少なくなる傾向にあるため、相対的に割高な価格設定となっていることが多い。
したがって、画像生産性の低い画像形成装置を並列動作させて、画像形成動作を行うことで、一台の画像生産性の高い機器を購入するよりも、低価格で同等の生産性を実現することが可能である。
そして、従来から、連結機能を備えた画像形成装置が出現しており、この連結機能は、個々の画像形成装置は、それぞれ独立して画像形成動作可能であるが、連結機能を使うことで、画像データを共有して、同じ画像データを元に複数の画像形成装置で画像形成動作を行うという機能である。この連結機能を利用することで、画像形成装置の購入コストを低減させつつ、高生産性を実現することができる。
一方、近年、画像形成装置においても省エネルギーの要望が強く、画像形成装置の消費電力を低減することが要望されている。そして、一般的に、画像形成装置において消費電力の低減するためには、画像形成動作時のピーク消費電力を低減させることと、待機状態の消費電力も含めた総消費電力を低減させることとで対応している。
画像形成装置の待機時の消費電力を低減させるためには、通常の待機状態よりも消費電力の少ない省エネルギモードなる状態を設け、省エネルギモードにおいては、待機状態と比較して活電部を少なくするという方式が一般的に取られている。この省エネルギモードでは、省エネルギモードからの復帰要因、例えば、操作部の操作、原稿台への原稿のセット、ネットワークを介した機器からのプリント要求等の復帰要因を受け付ける制御部のみに通電を行い、画像形成コマンドを受信した際に受信部がその他の制御系への通電をコントロールし、画像形成装置を画像形成可能状態に復帰させる(特許文献1等参照)。
また、本出願人は、先に、省エネルギモードの消費電力の削減を向上させるために、他の画像形成装置のウォームアップ時間と設定されたジョブの処理時間とを比較する比較手段と、比較の結果、処理時間がウォームアップ時間以上のとき、他の画像形成装置を起動させる起動信号を送信する制御手段とを設けた画像形成装置を提案している(特許文献2参照)。
さらに、従来、重連コピーが要求された場合、生産性を上げるための重連コピーか否か等を判断し、判断結果に基づき重連コピーを許可するか否かを決定する画像処理装置が提案されている(特許文献3参照)。
特開2000−35732号公報
特開2001−7961号公報
特開2001−256021号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、画像生産性を向上させつつ、より一層消費電力を削減する上で、改良の必要があった。
すなわち、画像形成装置の画像生産性を決定するのは、画像処理制御部の動作周波数や転写紙を搬送するための駆動系、さらには、転写紙に現像剤を定着させるための定着ユニット等の熱容量であるが、省エネルギモードにおいては、画像形成コマンドの受信部以外は通電が行われないため、省エネルギモードにおける消費電力は、画像生産性の大小によらずほぼ一定となる。
したがって、連結機能を使用したシステムにおいては、個々の画像形成装置が各々に内蔵される画像形成コマンド受信部に対して通電を行うため、同等の画像生産性をもつ1台の高速画像形成装置よりも省エネルギモードの消費電力が大きくなるという問題が発生する。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題(目的)は、利用性と生産性とを向上させると共に、低消費電力、低コスト化を実現する画像形成システムを提供することにある。
上記技術的課題(目的)を達成するため、請求項1記載の発明の画像形成システムは、マスター機とスレーブ機とを含む複数のデジタル複写装置がネットワークを介して接続して成り、当該複数のデジタル複写装置が画像データを共有して同じ画像データに基づいて画像形成する連結動作処理を行うと共に、消費電力を削減する省エネルギモードを備えた画像形成システムにおいて、前記複数のデジタル複写装置は、シーケンス制御部及び連結インタフェースを備えると共に、任意な特定の装置からの画像形成コマンドを受信した装置が連結されている相手側装置の当該シーケンス制御部に対して、当該相手側装置の出力すべき画像枚数を自装置の当該連結インタフェースから前記ネットワークを経由してコマンドとして当該相手側装置へ通知する機能を有し、前記マスター機は、画像形成動作の完了後に規定時間が経過した時点で前記スレーブ機に対して、受信中又は保留中の画像形成コマンドがあるか否かの問い合わせを行い、当該スレーブ機の全てが画像形成コマンドを持っていない場合に自装置のシーケンス制御部が自装置の連結インタフェースの出力禁止信号をアサートし、当該スレーブ機の直流電源を停止させて前記省エネルギモードへ移行する機能を有することを特徴とする。
請求項2記載の発明の画像形成システムは、請求項1記載の画像形成システムにおいて、前記複数のデジタル複写装置は、直流電源部、画像制御部、電源スイッチ回路を含む操作部、及びネットワーク制御部を備え、前記スレーブ機は、前記連結インタフェース経由で前記直流電源部に前記出力禁止信号が入力されてアサートされると、当該直流電源部により前記シーケンス制御部、前記画像制御部、及び前記電源スイッチ回路を除く前記操作部の他部への通電を遮断すると共に、前記ネットワーク制御部、前記電源スイッチ回路、及び前記連結インタフェースにのみ直流電源を供給して前記省エネルギモードに移行する機能を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明の画像形成システムは、請求項2記載の画像形成システムにおいて、前記複数のデジタル複写装置は、ゲート回路を備え、前記操作部は、制御部を含んでおり、前記マスター機は、前記省エネルギモード時に自装置内で前記直流電源部により前記シーケンス制御部、前記画像制御部、前記操作部における前記制御部、及び前記ネットワーク制御部への電源供給を停止する機能を有し、前記スレーブ機は、前記省エネルギモード時に前記ゲート回路により前記ネットワーク制御部、及び前記操作部における前記電源スイッチ回路に対して直流電源の供給を停止する機能を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明の画像形成システムは、請求項3記載の画像形成システムにおいて、前記マスター機は、前記省エネルギモード時に画像形成コマンドが前記ネットワーク経由で入力されると、自装置の前記ネットワーク制御部により自装置の前記直流電源部、及び当該ネットワーク経由で前記スレーブ機の前記直流電源部に対する出力許可信号をアサートし、前記マスター機及び前記スレーブ機では、前記直流電源部が前記出力許可信号を入力してアサートされると、直流電源を出力オン状態として直流電源を供給することにより、前記シーケンス制御部が起動されてシステム全体の画像形成動作への移行を開始する機能を有することを特徴とする。
請求項1記載の発明の画像形成システムによれば、上記構成により出力禁止信号に基づいてマスター機によるスレーブ機に対する省エネルギモードの移行が行われるため、利用性を向上させると共に、低消費電力、低コスト化を実現することができる。
請求項2記載の発明の画像形成システムによれば、上記構成により連結される各デジタル複写装置内の各部への省エネルギモードを適宜有効に実施することができる。
請求項3記載の発明の画像形成システムによれば、上記構成により省エネルギモードの実施に際してマスター機よりもスレーブ機の方を低消費電力状態にできる。
請求項4記載の発明の画像形成システムによれば、上記構成によりマスター機に出力許可信号が入力された時点でマスター機及びスレーブ機の直流電源部から直流電源が供給された各シーケンス制御部の起動が行われ、省エネルギモードからシステム全体の画像形成動作への移行を実施できるため、利用性に加えて生産性を向上させることができる。
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1〜図3は、本発明の画像形成システムの第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成システムの第1実施例を適用した画像形成システムを構成する画像形成装置としてのデジタル複写装置1の正面概略構成図である。
本実施例の画像形成システムは、このデジタル複写装置1が複数台LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されて、連結動作することで構築される。
図1において、デジタル複写装置1は、プリンタ部2とスキャナ部3を備えており、プリンタ部2の上に、スキャナ部3が載置されている。
スキャナ部3は、筐体4上部に原稿の載置されるコンタクトガラス5が配設されており、コンタクトガラス5上に載置された原稿は、開閉可能に配設された圧板6によりコンタクトガラス5に密着するように押しつけられる。
筐体4内には、第1走行体7、第2走行体8、ミラー9、10、レンズ11及びCCDイメージセンサ12等が収納されており、第1走行体7及び第2走行体8は、ステッピングモータ13により、副走査方向(図1中左右方向)に相対移動されて、コンタクトガラス5上にセットされた原稿の表面を走査する。
第1走行体7は、光源7aとミラー7bを搭載しており、第2走行体8は、2枚のミラー8a、8bを搭載している。第1走行体7は、ステッピングモータ13によりコンタクトガラス5と平行に副走査方向に移動しながら光源7aからコンタクトガラス5上に載置された原稿に光を照射し、当該原稿の反射光をミラー7bにより第2走行体方向に反射する。第2走行体8は、ステッピングモータ13により第1走行体7の移動に連動して第1走行体7の移動速度の1/2の速度で副走査方向に移動して、第1走行体7から入射される光をミラー8a及びミラー8bによりミラー9方向に反射し、ミラー9は、入射光をミラー10に反射する。ミラー10は、ミラー9からの入射光をレンズ11方向に反射し、レンズ11は、入射光をCCDイメージセンサ12に集光させて照射させる。
CCDイメージセンサ12は、入射された原稿からの反射光を光電変換して、原稿の画像の読み取りを行い、読み取った画像データをプリンタ部2に出力する。
プリンタ部2は、レーザ書込系、画像再生系、定着系及び給紙系等を備えており、レーザ書込系は、レーザ出力ユニット15、結像レンズ16、ミラー17等を備えている。このレーザ書込系は、レーザ出力ユニット15から出射されたレーザ光を結像レンズ16及びミラー17を通して、画像再生系の感光体ドラム18上に照射する。
すなわち、レーザ書込系は、図2に示すように、レーザ出力ユニット15が、レーザ光源ユニット15a、ミラー15b、シリンダレンズ15c及び回転多面鏡(ポリゴンミラー)15d等を備えており、レーザ光源ユニット15aから画像データにより変調されたレーザビームを出射して、ミラー15b、シリンダレンズ15cを介して回転多面鏡15dに入射する。回転多面鏡15dは、モータ15eにより回転されて、入射されるレーザビームを偏向走査して、結像レンズ16を通過させミラー17で反射して、感光体18上に照射して、感光体18上に静電潜像を形成する。
画像再生系は、感光体ドラム18の周囲に、帯電チャージャ19、イレーザ20、現像ユニット21、転写チャージャ22、分離チャージャ23、分離爪24、クリーニングユニット25等が配設されている。画像再生系は、感光体ドラム18の周面を、帯電チャージャ19により一様に高電位に帯電させ、レーザ書込系からレーザ光が照射されて、照射された部分の電位が下がることで、静電潜像が形成される。すなわち、レーザ光は、記録再生の黒/白に応じて、ON/OFF制御され、レーザ光の照射によって、感光体ドラム18の周面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。
画像再生系は、静電潜像の形成された感光体ドラム18に現像ユニット21で、その電位の高低に応じてトナーを付着させて、静電潜像を可視化したトナー画像を形成させ、トナー画像の形成された感光体ドラム18と転写チャージャ22との間に、所定のタイミングで給紙系から転写紙が送り込まれて、転写紙に感光体ドラム18上のトナー画像を転写させる。
画像再生系は、トナー画像の転写された転写紙を、分離チャージャ23及び分離爪24によって、感光体ドラム18から分離させ、定着系に送り出す。
定着系は、搬送ベルト26、定着ユニット27及び排紙トレー28等を備え、定着ユニット27は、ヒータを内蔵した定着ローラ29と加圧ローラ30等を備えている。定着系は、感光体ドラム18から分離された転写紙を搬送ベルト26で定着ユニット27に搬送し、定着ユニット27の転写ローラ29と加圧ローラ30でトナー画像の転写された転写紙を加熱・加圧してトナー画像を転写紙に定着させた後、排紙トレー28上に排出する。
一方、給紙系は、下段給紙カセット31、上段給紙カセット32、手差し給紙台33、給紙ローラ34、35及びレジストローラ36等を備えており、下段給紙カセット31にセットされている記録紙を給紙ローラ34によりレジストローラ対36に搬送し、また、上段給紙カセット32及び手差し給紙台33にセットされている転写紙を、給紙ローラ35によりレジストローラ36に搬送する。レジストローラ36は、給紙ローラ34あるいは給紙ローラ35により搬送されてきた転写紙を、記録プロセスの進行に同期したタイミングにタイミング調整して感光体ドラム18と転写チャージャ22との間に送り出す。
また、定着系の定着ユニット27には、図示しないが、サーミスタ等の温度検知センサが配設されており、温度検知センサは、定着ローラ29の表面温度を検出してアナログの温度検知信号を出力する。
そして、デジタル複写装置1は、その制御系統の主要部が、図3に示すように回路構成されており、シーケンス制御部41、画像制御部42、操作部43、ネットワーク制御部44、ゲート回路45及び連結インタフェース46等の各モジュールを備えており、また、商用電源を直流電源に変換する直流電源部47を備えている。
シーケンス制御部41は、CPU(Central Processing Unit )51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53及び不揮発性メモリ54等を備えている。ROM52内には、デジタル複写装置1としての基本処理プログラム及び省エネ制御処理プログラム等の各種プログラム及びこれらの各種プログラムを実行する上で必要な各種データが格納されており、CPU51は、ROM52内のプログラムに基づいて、RAM53をワークメモリとして利用しつつ、デジタル複写装置1の各部を制御して、デジタル複写装置1としてのシーケンスを実行するとともに、省エネ制御処理を実行して、直流電源部47に出力禁止信号を出力し、また、ゲート回路45にゲート制御信号を出力して、ゲート回路45の動作を制御する。また、CPU51は、デジタル複写装置1の電源オフ時にも記憶しておく必要のあるデータを不揮発性メモリ54に記憶させ、必要に応じて読み出して各種制御に使用する。
画像制御部42は、デジタル複写装置1が作成する画像データの管理、画像処理等を行い、連結機能が有効となっている場合には、連結された他のデジタル複写装置1等の画像形成装置の画像制御部に対して画像データの供給及び受信を行う。画像制御部42には、画像処理を行う画像処理デバイス55と画像データを記憶する画像メモリ56等が実装されている。
操作部43は、デジタル複写装置1の使用者が直接コマンドを入力するためのキー(テンキー、コピースタートキー、モード設定キー等(図示せず))、電源スイッチ回路57、制御部58及び画面表示用のLCD59等が備えられており、制御部58が、キー入力やLCD59への表示画面描画を制御する。また、電源スイッチ回路57は、デジタル複写装置1の電源のオン/オフを行う電源スイッチを備え、電源スイッチの操作でデジタル複写装置1の電源をオン/オフするのに使用されるとともに、電源スイッチは、省エネルギモードから復帰する際の復帰キーとしても使用される。この電源スイッチ回路57は、操作部43の制御部58へ接続されているとともに、直流電源部47にも接続されており、操作部43の制御部58への通電が停止されている状態であってもキー入力が有効な構成となっていて、電源スイッチがオン操作されることで、直流電源部47に出力許可信号を出力する。また、操作部43は、出力許可信号を直流電源部47に出力する。
ネットワーク制御部44は、100BASE−T等のLAN(Local Area Network)とのインターフェース機能を有し、当該LAN等を介して、連結動作する他のデジタル複写装置1等の画像形成装置に接続されていて、省エネルギモード時においては、LANから入力された自機宛てのコマンドからデジタル複写装置1の復帰信号を出力する機能を有している。
連結インタフェース46は、連結システム(画像形成システム)を構成する他のデジタル複写装置1であるマスタ機(システム制御機)またはスレーブ機(被制御機)と接続され、機器間のインタフェースを行う。すなわち、連結インタフェース46は、他のデジタル複写装置1との間で、出力許可信号、各デジタル複写装置1のシーケンス制御部41が通信を行うための通信線及び画像データ転送用の画像バスが接続され、いずれのデジタル複写装置1がマスタ機になるか、スレーブ機になるかは、シーケンス制御部41に実装されている不揮発メモリ54への設定値によって決定され、デジタル複写装置1の使用者またはサービスマンが任意に設定することができる。
直流電源部47は、出力制御信号によって直流電源の出力がコントロールされ、出力許可信号がアサートされると、全ての制御部41〜44、アクチュエータに対して直流電源を供給し、出力禁止信号がアサートされると、起動コマンドを受信する制御部であるネットワーク制御部44、操作部43の電源スイッチ回路57、連結インターフェース46にのみ直流電源を供給する。
そして、出力制御信号は、出力許可信号と出力停止信号の2信号から構成され、出力許可信号は、ネットワーク制御部44、連結インタフェース46及び操作部43の電源スイッチ回路57から入力される。ネットワーク制御部44は、省エネルギモード時、ネットワーク経由の画像形成コマンドを受信すると、出力許可信号をアサートする。操作部43からの出力制御信号線は、操作部43上の電源スイッチ回路に接続されており、省エネルギモード時、使用者によって電源スイッチ回路57の電源スイッチが押されると、出力許可信号がアサートされる。直流電源部47は、出力許可信号のアサートエッジを検出すると、各モジュールに対して、直流電源を出力する。また、連結状態においては、マスター機のデジタル複写装置1のネットワーク制御部44、操作部43から出力許可信号が連結インタフェース46を介して直流電源部47に供給され、直流電源部47は、その信号のみによって出力制御を行う。
また、出力禁止信号は、マスター機及びスレーブ機を構成する各デジタル複写装置1のシーケンス制御部41から発行され、シーケンス制御部41は、当該デジタル複写装置1を省エネルギモードに移行する際に、出力禁止信号をアサートして、この出力禁止信号を受信した直流電源部47が直流電源の出力を停止する。その結果、直流電源部47は、図3に破線で示すように、シーケンス制御部41を含む画像制御部42、操作部43の制御部58及びネットワーク制御部44への電源供給を停止し、システムの消費電力が低減される。
ゲート回路45は、直流電源部47からネットワーク制御部44、操作部43の電源スイッチ回路57への電力供給線に挿入されており、スレーブ機に設定されたデジタル複写装置1は、ゲート回路45により省エネルギモード時、ネットワーク制御部44及び操作部43に対しても直流電源の供給が停止されるため、省エネルギモードにおいては、一切の起動コマンドを受信することができなくなるが、その代わりに、スレーブ機に設定されたデジタル複写装置1は、省エネルギモードにおいて通電された制御部が無くなり、機器(デジタル複写装置1)の消費電力を最小値(直流電源の出力許可信号受信部による電力消費のみ)まで低減させることができる。また、スレーブ機に設定されたデジタル複写装置1ついては、単独で動作させる場合には、スレーブ設定を解除することで、省エネルギモード時、ネットワーク制御部44と操作部43に対する電力供給を行うことができ、通常のデジタル複写装置1として利用することができる。そして、このゲート回路45の導通/遮断は、マスター機/スレーブ機の切換設定によって、シーケンス制御部41のCPU51からのゲート制御信号によって決定される。
次に、本実施例の作用を説明する。上記デジタル複写装置1は、複数のデジタル複写装置1がLANを介して接続されて、当該複数のデジタル複写装置1が、マスター機とスレーブ機とに設定されて連結されて1つの画像形成システムとして構築され、複数のデジタル複写装置1が独立して動作可能であるが、画像データを共有して同じ画像データを元に画像形成する連結動作処理を行う。
そして、本実施の形態の画像形成システムは、この連結機能を備えた各デジタル複写装置1がそれぞれ省エネルギモードを備えており、その省エネルギモード時の消費電力を削減するところにその特徴がある。
すなわち、画像形成システムは、複数のデジタル複写装置1がマスター機とスレーブ機として連結接続され、この連結接続時に、画像形成コマンドを受信したデジタル複写装置1(マスター機、スレーブ機を問わない)は、連結されているデジタル複写装置1のシーケンス制御部41に対して、連結接続されている各デジタル複写装置1が出力すべき画像枚数を連結インタフェース46から通信線を経由してコマンドとして通知する。
マスター機のデジタル複写装置1は、画像形成動作が完了した後、規定時間が経過すると、各スレーブ機のデジタル複写装置1に対して、受信中または保留中の画像形成コマンドがあるか否かの問い合わせを行い、全てのスレーブ機であるデジタル複写装置1が画像形成コマンドを持っていない場合に、マスター機であるデジタル複写装置1のシーケンス制御部41が、連結インタフェース46の出力禁止信号をアサートし、スレーブ機であるデジタル複写装置1の直流電源を停止させる。
そして、シーケンス制御部41により直流電源部47に入力される出力禁止信号がアサートされると、直流電源部47は、図3に破線で示すように、シーケンス制御部41、画像制御部42及び操作部43(ただし、電源スイッチ回路57を除く)への通電を遮断し、図3に太線で示すように、ネットワーク制御部44、電源スイッチ回路57及び連結インタフェース46にのみ直流電源を供給して、省エネルギモードに移行する。
このとき、マスター機のデジタル複写装置1は、その直流電源部47により、図3に破線で示したように、シーケンス制御部41を含む画像制御部42、操作部43の制御部58及びネットワーク制御部44への電源供給を停止して、システムの消費電力が低減され、スレーブ機に設定されたデジタル複写装置1は、さらに、ゲート回路45により、ネットワーク制御部44及び操作部43に対しても直流電源の供給が停止される。したがって、マスター機のデジタル複写装置1よりもスレーブ機のデジタル複写装置1の方が、より低消費電力の状態となっている。
その後、省エネルギモード時、マスター機のデジタル複写装置1に対して画像形成コマンドがLAN(ネットワーク)から入力されると、マスター機のデジタル複写装置1のネットワーク制御部44は、マスター機のデジタル複写装置1及びスレーブ機のデジタル複写装置1の直流電源部47に対する出力許可信号をアサートし、直流電源部47が画像形成システム全体の直流電源を出力オン状態とする。画像形成システムを構成する各デジタル複写装置1の各部に直流電源が供給されることで、各デジタル複写装置1のシーケンス制御部41が起動し、画像形成動作への移行を開始する。
このように、本実施例の画像形成システムは、連結動作に設定された複数のデジタル複写装置1は、省エネルギモード時、マスター機のネットワーク制御部44及び操作部43により、画像形成システム全体の起動を管理することで、複数のデジタル複写装置1が組み合わされた状態においても消費電力を一台のデジタル複写装置1の省エネルギモード時と同等の消費電力で画像形成コマンドを受信することができる。また、起動後は、画像形成システムの画像生産性を、複数のデジタル複写装置1の合算値と同等とすることができ、低コストで高生産性を実現することができる。
図4は、本発明の画像形成システムの第2実施例を適用した画像形成システムを構成する画像処理装置としてのデジタル複写装置60の制御系統の主要部の回路構成図である。
なお、本実施例は、上記第1実施例の画像形成システムのデジタル複写装置1と同様のデジタル複写装置を用いた画像形成システムに適用したものであり、本実施例の説明においては、上記第1実施例と同様の構成部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略するとともに、図示しない部分についても、必要に応じて、上記第1実施例で用いた符号をそのまま用いて説明する。
図4において、デジタル複写装置60は、上記第1実施例のデジタル複写装置1の制御系と同様に、シーケンス制御部41、画像制御部42、操作部43、ネットワーク制御部44、連結インタフェース46及び直流電源部47等を備えているとともに、ゲート回路61を備えている。
ゲート回路61は、直流電源部47からネットワーク制御部44への電力供給線にのみ挿入されており、操作部43の電源スイッチ59への電源線にはゲート回路61が介在しておらず、直接、直流電源部47からの電源線が接続されている。
したがって、スレーブ機に設定されたデジタル複写装置60の直流電源部47に対して出力禁止信号がアサートされた際、ゲート回路61がネットワーク制御部44への電力線を遮断し、省エネルギモード状態においては、ネットワーク制御部44への通電が停止される。これに対して、操作部43の電源スイッチ回路57の回路への電力供給が継続され、省エネルギモードにおいても、操作部43上の電源スイッチ回路57からの起動コマンドを受信することができる。
このように、本実施例のデジタル複写装置60は、連結状態においてスレーブ機に設定されたデジタル複写装置1においても、操作部43からの起動コマンドを受信可能とし、かつ、消費電力の大きなネットワーク制御部44を省エネルギモード時に停止させることで、スレーブ機のデジタル複写装置1の消費電力を低減させることができ、画像形成システム全体の消費電力を削減することができるとともに、使用者の利用性を向上させることができる。
図5及び図6は、本実施例の画像形成システムの第3実施例を示す図であり、図5は、本実施例の画像形成システムの第3実施例を適用した画像形成システムによる省エネ制御処理を示すフローチャートである。
なお、本実施例は、上記第1実施例の画像形成システム及びデジタル複写装置1と同様の画像形成システム及びデジタル複写装置に適用したものであり、本実施例の説明においては、必要に応じて、上記第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
本実施例の画像形成システムは、画像形成システムを構成する複数のデジタル複写装置1を、マスター機とスレーブ機に分類し、ジョブ内容に応じて、省エネルギモード状態の画像形成システムの起動状態を変更する。
本実施例の画像形成システムでは、連結状態にあるマスター機用のデジタル複写装置1の出力許可信号は、マスター機のデジタル複写装置1のネットワーク制御部44と操作部43から入力され、スレーブ機用のデジタル複写装置1の出力許可信号は、マスター機のデジタル複写装置1のシーケンス制御部41によって制御されている。
このような構成の画像形成システム置においては、図5に示すように、省エネルギモード時、マスター機のデジタル複写装置1のネットワーク制御部44または操作部43から画像形成コマンドが入力されると(ステップS101)、まず、マスター機のデジタル複写装置1の直流電源部47に対してのみ出力許可信号をアサートして、直流電源部47から直流電源の供給されたマスター機のシーケンス制御部41が受信した画像形成コマンドの内容を解釈して画像形成枚数(ジョブ枚数)を読み出す(ステップS102)。
当該シーケンス制御部41は、シーケンス制御部41のメモリに予め設定・格納されている基準値と入力された画像形成コマンドの画像形成枚数と比較し(ステップS103)、画像形成コマンドで指示された枚数の方が基準値よりも大きい場合には、スレーブ機のデジタル複写装置1に対する出力許可信号をアサートし(ステップS104)、連結システムとして画像形成動作を実行する(ステップS105〜S108)。すなわち、マスター機のデジタル複写装置1は、マスター機の初期化動作を開始し(ステップS105)、スレーブ機のデジタル複写装置1の初期化が完了するのを待って(ステップS106)、スレーブ機のデジタル複写装置1に画像データを連結インタフェース46を経由して出力する(ステップS107)。スレーブ機のデジタル複写装置1は、データが転送されてくると、当該画像データに対して要求されたジョブ、例えば、必要な画像形成処理を実行する。
そして、マスター機のデジタル複写装置1は、画像データをスレーブ機のデジタル複写装置1に出力すると、当該マスター機のデジタル複写装置1での画像形成動作を開始して、画像形成処理を完了すると処理を終了する(ステップS108)。
また、ステップS103で、画像形成コマンドで指示された枚数が基準値よりも小さい場合には、マスター機のデジタル複写装置1は、スレーブ機に対する出力許可信号はアサートせず、マスター機のデジタル複写装置1の初期化動作を開始し(ステップS109)、マスター機のデジタル複写装置1のみで画像形成動作を実行する(ステップS108)。
また、上記マスター機のデジタル複写装置1のみで画像形成動作を実行するか、スレーブ機のデジタル複写装置1を起動して画像形成動作を実行するかの判断基準となる基準値は、画像形成システムの利用者が任意に設定することができる。
すなわち、マスター機のデジタル複写装置1のみで画像形成動作を実行するか、スレーブ機のデジタル複写装置1を起動して画像形成動作を実行するかの判断基準となる基準値は、シーケンス制御部41の不揮発メモリ54に格納される。工場出荷時には、不揮発メモリ54には、標準値となる基準値が格納されており、初期設定状態においては、マスター機のデジタル複写装置1は、不揮発メモリ54の標準値の基準値を判断基準として連結システムの動作制御を行う。
また、使用者が自分の利用方法に合わせて連結システムの動作制御を変更したい場合には、操作部43に設けられた設定変更スイッチ(図示略)を押し、テンキーから基準値を入力することで不揮発メモリ54に格納された基準値を任意の値に変更することができる。
すなわち、図6に示すように、シーケンス制御部41は、操作部43の設定変更スイッチが押されると(ステップS201)、テンキーの入力を受け付け(ステップS202)、操作部43の確定キー(図示略)が押下されると(ステップS203)、当該テンキーで入力された値に不揮発メモリ54の基準値の値を書き換える(ステップS204)。
このように、本実施例のデジタル複写装置1は、画像形成枚数が少ない画像形成コマンドが入力された場合、マスター機のデジタル複写装置1のみで画像形成動作を実行し、大量の画像形成が必要なコマンドが入力された場合は、スレーブ機のデジタル複写装置1を含む最大の画像形成能力を発揮して画像形成動作を実行することで、画像形成システムの消費電力を削減するとともに、画像生産性を向上させることができる。
また、使用者は、複数のデジタル複写装置1の連結された画像形成システムが、マスター機のデジタル複写装置1のみで実行するジョブ枚数を任意の値に設定することができ、画像形成効率を向上させることができるとともに、画像形成システムの消費電力を削減することができる。
図7は、本実施例の画像形成システムの第4実施例を適用した画像形成システムによる省エネ制御処理を示すフローチャートである。
なお、本実施例は、上記第1実施例の画像形成システム及びデジタル複写装置1と同様の画像形成システム及びデジタル複写装置に適用したものであり、本実施例の説明においては、必要に応じて、上記第1実施例の説明で用いた符号をそのまま用いて説明する。
本実施例の画像形成システムは、画像形成システムを構成する複数のデジタル複写装置1を、マスター機とスレーブ機に分類し、画像形成動作開始までの遅延を短縮しつつ、ジョブ内容に応じて、省エネルギモード状態の画像形成システムの起動状態を変更する。
すなわち、本実施例の画像形成システム置は、図7に示すように、省エネルギモード時、マスター機のデジタル複写装置1のネットワーク制御部44または操作部43から画像形成コマンドが入力されると(ステップS301)、まず、マスター機のデジタル複写装置1の直流電源部47に対して出力許可信号をアサートして、直流電源部47から直流電源をシーケンス制御部41に供給して起動し、起動したシーケンス制御部41が画像形成コマンドの解釈を行う前に、マスター機の初期化動作を開始して、定着ユニットの温度上昇、プロセスユニットの初期化動作等の初期化動作を開始する(ステップS302)。
マスター機のデジタル複写装置1は、起動したシーケンス制御部41が受信した画像形成コマンドの内容を解釈して画像形成枚数(ジョブ枚数)を読み出し(ステップS303)、初期化の完了したマスター機のデジタル複写装置1は、自らの画像形成、すなわち、マスター機での画像形成を開始し(ステップS304)、シーケンス制御部41のメモリに予め設定・格納されている基準値と入力された画像形成コマンドの画像形成枚数とを比較する(ステップS305)。
ステップS305で、画像形成コマンドで指示された枚数(ジョブ枚数)の方が基準値よりも大きい場合には、マスター機のデジタル複写装置1は、スレーブ機のデジタル複写装置1に対する出力許可信号をアサートし(ステップS306)、スレーブ機のデジタル複写装置1の初期化が完了するのを待って(ステップS307)、スレーブ機のデジタル複写装置1に画像データを連結インタフェース46を経由して出力する(ステップS308)。スレーブ機のデジタル複写装置1は、データが転送されてくると、当該画像データに対して要求されたジョブ、例えば、必要な画像形成処理を実行する。
また、ステップS305で、画像形成コマンドで指示された枚数(ジョブ枚数)が基準値よりも小さい場合には、マスター機のデジタル複写装置1は、スレーブ機に対する出力許可信号はアサートせず、マスター機のデジタル複写装置1のみで画像形成動作を実行する。
このように、本実施例の画像形成システムは、マスター機のデジタル複写装置1の起動したシーケンス制御部41が、画像形成コマンドの解釈を行う前に、マスター機の初期化動作を開始し、定着ユニット27の温度上昇、プロセスユニットの初期化動作等を実行し、マスター機が画像形成動作実行可能になるまでの復帰時間を短縮することを最優先制御対象とする。
したがって、操作部43から電源スイッチ回路57の電源スイッチが押され、画像形成システムが起動し、使用者がコピー枚数を設定し、コピースタートボタンを押してから最初の画像が出力されるまでの遅延時間を最短にすることができ、また、設定されたジョブの画像形成枚数が基準値より大きいことが確認された場合、スレーブ機の直流電源部47に対して出力許可信号をアサートし、連結システムの起動を開始する。
その結果、使用者が画像形成コマンドを入力後、最初の画像が出力されるまでの遅延時間を最短とすることができ、使用者の利用性を向上させることができるとともに、スレーブ機のデジタル複写装置1が、ジョブ内容を確認後、起動するため画像形成枚数が少ないジョブの入力によってスレーブ機のデジタル複写装置1が起動することを回避して、無駄な電力消費を防止して、画像形成システム全体としてのより一層消費電力を削減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
総消費電力の削減を図りつつ、複数の複写装置等の画像形成装置を連結して画像データを共有して画像形成する画像形成システム一般に適用することができる。
本発明の画像形成システムの第1実施例に適用されるデジタル複写装置の正面概略構成図。
図1のレーザ書込系の斜視図。
図1のデジタル複写装置の制御系の主要回路ブロック構成図。
本発明の画像形成システムの第2実施例に適用されるデジタル複写装置の制御系の主要回路ブロック構成図。
本発明の画像形成システムの第3実施例に適用されるデジタル複写装置による省エネ制御処理を示すフローチャート。
図5の基準値の設定処理を示すフローチャート。
本発明の画像形成システムの第3実施例に適用されるデジタル複写装置による省エネ制御処理を示すフローチャート。
符号の説明
1 デジタル複写装置
2 プリンタ部
3 スキャナ部
4 筐体
5 コンタクトガラス
6 圧板
7 第1走行体
7a 光源
7b ミラー
8 第2走行体
8a、8b ミラー
9、10 ミラー
11 レンズ
12 CCDイメージセンサ
13 ステッピングモータ
15 レーザ出力ユニット
15a レーザ光源ユニット
15b ミラー
15c シリンダレンズ
15d 回転多面鏡
15e モータ
16 結像レンズ
17 ミラー
18 感光体ドラム
19 帯電チャージャ
20 イレーザ
21 現像ユニット
22 転写チャージャ
23 分離チャージャ
24 分離爪
25 クリーニングユニット
26 搬送ベルト
27 定着ユニット
28 排紙トレー
29 定着ローラ
30 加圧ローラ
31 下段給紙カセット
32 上段給紙カセット
33 手差し給紙台
34、35 給紙ローラ
36 レジストローラ
41 シーケンス制御部
42 画像制御部
43 操作部
44 ネットワーク制御部
45 ゲート回路
46 連結インタフェース
47 直流電源部
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 不揮発性メモリ
55 画像処理デバイス
56 画像メモリ
57 電源スイッチ回路
58 制御部
59 LCD
60 デジタル複写装置
61 ゲート回路