JP4373051B2 - 通気性袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱気性が優れ、且つ外部からの害虫等の侵入を防止でき水濡れした場合でも水分が袋内に浸透してくるのを防止できる通気性袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、米袋等として使用する通気性袋としては、4角形状の2枚の熱接着性を有する積層フィルムを重ね合わせて、対向する2辺に熱接着部と非熱接着部からなる通気性熱接着部を形成し、形成された通気性熱接着部の非熱接着部から袋の内部の空気を排出させて脱気させるようにした構成の袋が知られている。しかしながら、この構成の袋の場合、非熱接着部の長さを大きくすると脱気性はよくなるが内部に収納した米等の内容物が漏れ出すという問題が出るし、非熱接着部の長さを小さくすると脱気性が悪くなるという欠点を有している。また、非熱接着部を通して害虫等が袋内に侵入したり水濡れした際に水分が袋内に浸透してくるという欠点を有している。
【0003】
上記の欠点を改良した包装用袋としては、例えば、特許第2968229号に記載されているような、少なくとも内面が熱可塑性樹脂フィルム製の包装袋の、融着シール部の一部を未融着で残すことにより、通気部を形成し、この通気部では両面のフィルム長に差を持たせて、穀物が漏れない大きさの孔を形成した構成の穀物包装袋が知られている。しかしながら、この構成の穀物包装袋では、未融着で残して形成した通気部に孔が形成されているので、脱気性は良くなるにしても、通気部に形成された孔から、内部に収納される穀物が漏れ出したり、外部から害虫等が袋内に侵入したり水濡れした際に水分が袋内に浸透してくるという欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、内容物を充填する際に袋内に封入された空気を容易に脱気でき、且つ外部からの害虫等の侵入および水の浸透を防止することができる米等を包装するのに適した通気性袋を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
基材層と熱接着性樹脂層を有する積層フィルムからなり周縁熱接着部により形成された袋であって、少なくとも1箇所の前記周縁熱接着部が非熱接着部と熱接着部からなる通気性熱接着部とされ、前記通気性熱接着部の外側に所定幅を有する積層フィルムの延出部を形成し、前記通気性熱接着部の外縁に隣接させて前記非熱接着部の外側近傍のみの前記延出部における2枚の積層フィルムのうち一方の積層フィルムに内面側に突出する1個ないしは複数個の点状突起が形成され、他方の積層フィルムの内面側は点状突起を形成することなく平坦なままとすることにより、前記非熱接着部およびこの非熱接着部の外側近傍にて前記一方の積層フィルムに形成された内面側に突出する前記点状突起により2枚の積層フィルム間に形成される隙間を通して、内容物を充填する際に内部に封入された空気を脱気する構成とすることにより、非熱接着部の外側近傍の延出部にて表裏2枚の積層フィルム間に点状突起の高さに相当する隙間が形成されるので、内容物を充填する際に袋の内部に封入された空気が非熱接着部を通り抜けて脱気し易くなって脱気性がよくなるものである。また、通気性熱接着部の外側に所定幅を有する延出部が形成されているので、外部からの害虫等の侵入及び水の浸透を防止することができる。
【0006】
上記の通気性袋において、点状突起が直径が1.5〜4.0mmであり、高さが0.1〜0.8mmである構成とすることにより、非熱接着部の外側近傍の延出部において点状突起により2枚の積層フィルム間に点状突起の高さに相当する隙間を確実に形成することができる。
【0007】
上記の通気性袋において、前記延出部の幅が7〜15mmである構成とすることにより、延出部における非熱接着部の外側に隣接して点状突起を形成した場合でも、包装袋の外周端部にて表裏2枚の積層フィルムが密着した状態となるので、外部から害虫等が侵入及び水の浸透を防止することができる。
【0008】
上記の通気性袋において、点状突起が円筒状突起からなる雄型と円筒状孔からなる雌型を使用したエンボスにより形成された構成とすることにより、積層フィルムに保形性に優れるとともに形状の安定したシャープに突出する点状突起を形成できるので、2枚の積層フィルム間に点状突起の高さに相当する隙間を確実に形成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示す平面図、図2は図1におけるI−I拡大断面図、図3は本発明の第2実施形態を示す平面図、図4は本発明の第3実施形態を示す平面図、図5は積層フィルムに点状突起を形成する方法を示す断面図であり、2は周縁熱接着部、3は通気性熱接着部、3aは熱接着部、3bは非熱接着部、4は延出部、5,5'は点状突起、6は雄型、6aは円筒状突起、7は雌型、7aは円筒状孔、11,12は積層フィルムをそれぞれ表す。
【0010】
本発明の通気性袋の第1実施形態は図1、図2に示すとおりである。平面形状は、図1に示すように、基材層と熱接着性樹脂層を有する4角形状の表裏2枚の積層フィルム11,12 の熱接着性樹脂層面を重ね合わせて、対向する長辺からなる2辺に周縁熱接着部2が形成され、対向する短辺の一方に熱接着部3aと非熱接着部3bからなる通気性熱接着部3が形成され、通気性熱接着部3の外側に所定巾を有する積層フィルム11,12 の延出部4が形成され、通気性熱接着部3の非熱接着部3bの外端に隣接する延出部4において一方の積層フィルム11に内面側に突出する複数個の点状突起5が形成されている構成である。
【0011】
第1実施形態の点状突起5が形成された箇所の延出部4における通気性熱接着部3の長手方向と直交方向の断面形状は、図2に示すとおりであり、内面側に突出する点状突起5が形成された積層フィルム11と点状突起5が形成されていない積層フィルム12とが重ね合わせられた状態となって、延出部4の非熱接着部3bの近傍において表裏2枚の積層フィルム11, 12間に積層フィルム11に形成された内面側に突出する点状突起5により点状突起5の高さに相当する隙間が形成され、延出部4の通気性袋の外端部において表裏2枚の積層フィルム11, 12が密着した状態となって点状突起5により形成される隙間を塞いでいる。
【0012】
第1実施形態の通気性袋では、通気性熱接着部3の非熱接着部3bの外端に隣接する延出部4において一方の積層フィルム11に内面側に突出する複数個の点状突起5が形成されて、表裏2枚の積層フィルム11, 12間に点状突起5の高さに相当する隙間が形成されているので、通気性袋の内部の空気は通気性熱接着部3の非熱接着部3bを通って外部に排出されやすくなり優れた脱気性が得られる。また、通気性袋の周縁となる延出部4の外端部において表裏2枚の積層フィルム11, 12が密着した状態となって点状突起5により形成される隙間を塞いでいるので、外部からの害虫等の侵入を防止することができるとともに、水濡れした場合でも水が袋の内部に浸透してくるのを防止することができる。
【0013】
本発明の通気性袋の第2実施形態の平面図は図3に示すとおりである。第1実施形態と比較して、非熱接着部3bの外側近傍において延出部4にやや大きい1個の点状突起5'が形成された構成とされている点で異なる以外は基本的には同じ構成であり、第2実施形態の通気性袋においても第1実施形態と同様の効果が得られるものである。また、第2実施形態では、非熱接着部3bの外側近傍に1個の点状突起5'が形成された構成であるので、点状突起5'を形成する工程の作業性が良くなる。
【0014】
本発明の通気性袋の第3実施形態の平面形状は、図4に示すように、基材層と熱接着性樹脂層を有する4角形状の表裏2枚の積層フィルム11,12 の熱接着性樹脂層面を重ね合わせて、対向する短辺の一方に周縁熱接着部2が形成され、対向する長辺からなる2辺に熱接着部3aと非熱接着部3bからなる通気性熱接着部3が形成され、通気性熱接着部3の外側に所定巾を有する積層フィルム11,12 の延出部4が形成され、通気性熱接着部3の外端の非熱接着部3bの外側に隣接する延出部4において一方の積層フィルム11に内面側に突出する複数個の点状突起5が形成されている構成である。第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に優れた脱気性が得られるとともに、外部からの害虫等の侵入を防止することができ、且つ水濡れした場合でも水が袋の内部に浸透してくるのを防止することができる。
【0015】
第1〜第3実施形態において、積層フィルム11に形成する点状突起の形状としては、直径が1.5〜4.0mm、高さが0.1〜0.8mmとされるものである。点状突起5の直径を4.0mmより大きくすると、シヤープな点状突起5を形成し難くなるとともに点状突起5の保形性が悪くなって、2枚の積層フィルム間に確実に隙間を形成するのが困難となり、逆に、点状突起5の直径が1.5mmより小さくなるとシヤープな点状突起4の形成が困難となる。点状突起5の高さが0.1〜0.8mmとされているので、2枚の積層フィルム間に点状突起5の高さに対応した隙間を確実に形成することができる。複数個の点状突起を形成する場合は、上記の範囲内で、比較的直径の小さい点状突起とし、1個の点状突起を形成する場合は比較的直径の大きい点状突起とするこが好ましい。熱接着部3aの形状は幅を3〜5mmとし端縁を半円形状の角丸とし、隣接する熱接着部3a間の間隔、即ち非熱接着部3bの長さは3.0〜7.0mmとするのが好ましい。非熱接着部3bの外側に点状突起4を形成した場合でも延出部の外端部にて表裏2枚の積層フィルムが密着した状態を保てるようにするため、延出部の幅は7〜15mmとするのが好ましい。
【0016】
積層フィルム11に点状突起4を形成するには、図5に示すような、先端が丸い円筒状突起6aを有する雄型6と円筒状孔7aを有する雌型7を使用し、雄型6と雌型7間に積層フィルム11を載置して加圧しエンボスを行うことにより、保形性の優れたシヤープな形状を有する点状突起4が形成された積層フィルム11を作製することができる。雄型6と雌型7を使用したエンボスは常温で行うのが好ましくエンボス工程の効率をよくすることができる。
【0017】
積層フイルム11,12 を構成する基材層としては、強度的に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、2軸延伸ナイロン(ON)、金属蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(VMPET)等の2軸延伸フィルム、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が使用できる。熱接着性樹脂層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が使用できる。基材層と熱接着性樹脂層は、ウレタン系接着剤を使用したドライラミネーション(DL)、ポリエチレン等による押出しラミネーション(EC)により積層される。本発明の通気性袋は米等を包装するのに使用されるので、強度的に優れた袋であることが必要であり、熱接着性樹脂層を構成する樹脂として線状低密度ポリエチレンを使用するのが好ましい。基材層としてVMPETを使用することにより意匠性の優れた通気性袋とすることができる。
【0018】
積層フィルムの構成としては、例えば、ON15μm/DL/LLDPE50〜60μm、ON15μm/EC15〜25μm/LLDPE30〜70μm、PET12μm/EC15〜25μm/LLDPE40〜60μm、LLDPE30〜40μm/DL/LLDPE40〜50μm、LLDPE60μm/EC25μm、ON15μm/DL/VMPET12μm/DL/LLDPE40〜60μm、ON15μm/DL/VMPET12μm/EC15〜25μm/LLDPE30〜60μm、PET12μm/DL/VMPET12μm/EC15〜25μm/LLDPE40〜60μm等である。
【0019】
【発明の効果】
基材層と熱接着性樹脂層を有する積層フイルムからなり周縁熱接着部により形成された袋であって、少なくとも1箇所の周縁熱接着部が非熱接着部と熱接着部からなる通気性熱接着部とされ、通気性熱接着部の外側に幅が7〜15mmの積層フィルムの延出部を形成し、通気性熱接着部の外端に隣接する非熱接着部の外側近傍の延出部において一方の積層フィルムに内面側に突出する1個ないしは複数個の、直径が1.5〜4.0mmであり、高さが0.1〜0.8mmである点状突起が形成された構成とすることにより、非熱接着部の外側の延出部にて表裏2枚の積層フィルム間に点状突起の高さに相当する隙間が形成されるので、内容物を充填する際に袋の内部に封入された空気が非熱接着部を通り抜けて脱気し易くなって脱気性がよくなるものである。また、通気性熱接着部の外側に所定幅を有する延出部が形成されているので、外部からの害虫等の侵入及び水の浸透を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す平面図。
【図2】図1におけるI−I拡大断面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す平面図。
【図4】本発明の第3実施形態を示す平面図。
【図5】積層フィルムに点状突起を形成する方法を示す断面図
【符号の説明】
2 周縁熱接着部
3 通気性熱接着部
3a 熱接着部
3b 非熱接着部
4 延出部
5,5' 点状突起
6 雄型
6a 円筒状突起
7 雌型
7a 円筒状孔
11,12 積層フィルム
Claims (4)
- 基材層と熱接着性樹脂層を有する積層フィルムからなり周縁熱接着部により形成された袋であって、少なくとも1箇所の前記周縁熱接着部が非熱接着部と熱接着部からなる通気性熱接着部とされ、前記通気性熱接着部の外側に所定幅を有する積層フィルムの延出部を形成し、前記通気性熱接着部の外縁に隣接させて前記非熱接着部の外側近傍のみの前記延出部における2枚の積層フィルムのうち一方の積層フィルムに内面側に突出する1個ないしは複数個の点状突起が形成され、他方の積層フィルムの内面側は点状突起を形成することなく平坦なままとすることにより、前記非熱接着部およびこの非熱接着部の外側近傍にて前記一方の積層フィルムに形成された内面側に突出する前記点状突起により2枚の積層フィルム間に形成される隙間を通して、内容物を充填する際に内部に封入された空気を脱気することを特徴とする通気性袋。
- 前記点状突起が、直径が1.5〜4.0mmで、高さが0.1〜0.8mmであることを特徴とする請求項1記載の通気性袋。
- 前記延出部の幅が7〜15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の通気性袋。
- 前記点状突起が円筒状突起を有する雄型と円筒状孔を有する雌型を使用したエンボスにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通気性袋。
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