JP4372860B2 - ポリウレタンウレア塗床材用組成物およびその工法 - Google Patents

ポリウレタンウレア塗床材用組成物およびその工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車走行にも耐えうる耐久性と防水性能を有するポリウレタンウレア塗床工法および多層型塗床工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンウレア塗床材は、弾力性があり、防水性能にすぐれていることから従来ビルディングの廊下および室内床、体育館のスポーツ床などの用途に広く使用されて来た。このようなポリウレタンウレア塗床材は、通常トリレンジイソシアネート(以下TDIと略称する)とポリオキシプロピレンポリオールとの反応によって得られるイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、4,4’―メチレンビスー(2―クロロアニリン)(以下MOCAと略称する)をイソシアネート反応成分の主成分とし、これに有機酸鉛塩などの触媒や、必要に応じてポリオール、可塑剤、充填剤、顔料,添加剤等を配合した後、塗工し室温において硬化せしめるものである。
【0003】
近年、スーパーマーケット等の大型店舗、パチンコ等で、屋上を駐車場として利用する場面が多くなって来ている。その際トータル建築コスト削減の為に、軽量舗装が可能でしかも防水性能の高いポリウレタンウレア塗膜系の防水兼舗装床材の要望が多くなってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のウレタン塗床材は主に人間の歩行に対応したものであり、従来のウレタン塗床材を駐車場等に用いると短期間で擦り減って、下層の防水材層、プライマー層、または下地が露出してしまい、また下層である前記防水材層等との間で剥離が起き、車が走行する駐車場等、あるいは、台車等が頻繁に行き来するフロア等に適したポリウレタンウレア塗床材が要望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは種々検討の結果、イソシアネート成分とポリオール成分を含有するイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤を製造するにあたり、主剤のポリオール成分として一般式(I)で示されるビスフェノール基含有ジオールを配合し、一般式(II)で示されるビスフェノール基の含有量を、使用するポリオール全量に対し3〜35重量%とすることにより、ポリウレタンウレア塗床材の特長である防水性能(塗膜の伸び率)を確保した上で大幅な機械的強度の増大が達成でき、車走行に対する耐久性を向上させ得ることを見出した。
【化7】
Figure 0004372860
(一般式(I)中、R1およびR2は各々水素原子または低級アルキル基を示し、Aは炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、m及びnは各々1〜10を示す。)
【化8】
Figure 0004372860
(一般式(II)中、R1およびR2は各々水素原子または低級アルキル基を示す。)
【0006】
本発明は上記の知見に基づいてなされたもので、第1の発明は、
トリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られた、イソシアネート基含有量が5〜10重量%であるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、芳香族ポリアミンを主成分とする硬化剤とからなる2液性常温硬化性ポリウレタンウレア塗床材の塗床工法であって、前記主剤を製造するためのポリオール成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール基含有ジオールを必須成分とし、かつ下記一般式(I)中の部分構造である下記一般式(II)で示されるビスフェノール基の含有量が使用する前記ポリオール成分全量の3〜35重量%の範囲となるように配合して使用し、硬化剤中の芳香族ポリアミンの主成分として4,4'−メチレンビス(2−クロロアニリン)および/またはその変性物を使用し、主剤と硬化剤とを施工現場で主剤のイソシアネート基と硬化剤のイソシアネート反応成分との当量比が0.9〜1.6となるように混合し、塗工することを特徴とするポリウレタンウレア塗床工法である。
【0007】
第2の発明は、
基盤の上に、(1)下層のウレタン塗膜防水材層を施工した後、(2)上層にトリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られた、イソシアネート基含有量が5〜10重量%であるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、芳香族ポリアミンを主成分とする硬化剤とからなる2液性常温硬化性ポリウレタンウレア塗床材であって、前記主剤を製造するためのポリオール成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール基含有ジオールを必須成分とし、かつ下記一般式(I)中の部分構造である下記一般式(II)で示されるビスフェノール基の含有量が使用する前記ポリオール成分全量の3〜35重量%の範囲となるように配合して使用し、硬化剤中の芳香族ポリアミンの主成分として4,4'−メチレンビス(2−クロロアニリン)および/またはその変性物を使用し、主剤と硬化剤とを施工現場で主剤のイソシアネート基と硬化剤のイソシアネート反応成分との当量比が0.9〜1.6となるように混合し、塗工することを特徴とする多層型ポリウレタンウレア塗床工法である。
【0008】
第3の発明は、
前記ポリウレタンウレア塗床材層を塗工した後、さらに(3)防滑仕上げ層を施すことを特徴とする多層型ポリウレタンウレア塗床工法である。
【0009】
第4の発明は、
前記ポリウレタンウレア塗床材層を塗工する前に、基盤の上にプライマー処理することを特徴とする多層型ポリウレタンウレア塗床工法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の主剤を製造するためのポリオール成分として使用するビスフェノール基含有ジオールは上記一般式(I)で示され、メチレンビスフェノール、エチリデンビスフェノール、ブチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール等のR1およびR2が各々水素原子または低級アルキルであるビスフェノールに、炭素原子数2〜4のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)を付加する周知の方法により製造されるものであり、mおよびnで表わされるアルキレンオキサイドの付加モル数1〜10好ましくは1〜6のものを用いる必要がある。ここでm及びnが10を超えると塗床材の強度の向上効果が低下し、かつ接着性の改善効果も期待できなくなる。
【0011】
上記ビスフェノール基含有ジオールは1種類以上のものを混合して使用することができ、また他の通常のポリエーテルポリオールと併用することも可能であるが、本発明の塗床材としての性能を発現させるためには、主剤を製造するためのポリオール中に、上記一般式(II)で示されるビスフェノール基を3〜35重量%含有させる必要がある。3重量%より少ないと塗膜の強度および下塗り材との接着性の改善効果が不十分であり、35重量%を超えると塗床材塗膜の伸び率が低下し、防水性、屈曲性に劣るものとなってしまう。屋上駐車場防水兼舗装用床材では高強度と耐クラック性の両面の性能が要求され引張り強度150kgf/cm2以上、伸び率は150%以上、好ましくは200%以上が最適である。
【0012】
ビスフェノール基含有ジオールと併用することのできるポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが塗膜の強度と伸び率のバランスが良いので好ましい。
【0013】
主剤を製造するためのもう一方の原料であるイソシアネートは、TDIが主成分であること必要であり、イソシアネート成分と本発明に係るポリオール成分を反応させてイソシアネート末端プレポリマーを得る。得られたイソシアネート末端プレポリマーのイソシアネート基含有量は 5〜10重量%の範囲に入るように調製するのが好ましく、更に好ましくは、7〜9重量%の範囲である。5重量%より低いと塗床材塗膜の強度が弱く、10重量%を超えると塗膜の伸び率が低下し防水性能に劣るものとなる。
【0014】
TDIの種類としては、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6―トリレンジイソシアネートの数種類の混合物が市販されているが、2,4−異性体含有率が65重量%以上のものが本発明では使用できる。2,4―異性体含有率の高いものほど塗工に際しての可使時間(塗工可能時間)が長くとれる傾向があり、必要に応じて異性体含有率の異なるものを使用することが出来る。
【0015】
本発明の硬化剤に配合されるイソシアネート基との反応成分は4,4’―メチレンビスー(2―クロロアニリン)(MOCA)が主成分である必要がある。MOCAは、オルソクロルアニリンとフォルマリンとの縮合によってえられるが、このさい若干のアニリンなどで変性したMOCAの変性物も使用することができる。MOCAまたはその変性物は常温では固体であるため、可塑剤あるいはポリオール類に溶解した形で使用される。本発明ではイソシアネート基との反応成分は,MOCAまたはその変性物のほかに、他の芳香族アミンあるいは、ポリオール類を一部併用することができる。併用できる芳香族アミンとしては、1―メチルー3,5―ジメチルチオー2,4または2,6―ジアミノベンゼン、1―メチルー3,5ジエチルー2,4または2,6―ジアミノベンゼン、3,3’―ジメチルー5,5’―ジエチルー4,4’―ジアミノジフェニルメタンなどがあげられるが、これらは塗工に際しての可使時間を確保するためにイソシアネート基の反応成分全量の30モル%以下で使用することが好ましい。
【0016】
MOCAと併用することの出来るポリオール類としては、ポリアルキレンエーテルポリオール、ビスフェノール基含有ジオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが使用できるが、塗床材としての強度などの物性を保持させるためにその使用量はイソシアネート基との反応成分全量の20モル%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明で硬化剤中に使用できる可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジオクチル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、塩素化パラフィンなどの通常の可塑剤、汎用品として販売されているユーレックス(商品名)、キシレン樹脂などのウレタン樹脂用に一般に使用されている可塑剤的なレジン、ポリプロピレンエーテルポリーオルの末端水酸基をアシル化、アルコキシド化などの処理した可塑剤または、イソシアネート末端プレポリマーの末端イソシアネートをメタノール、エタノール、ブタノールなどの一官能性アルコールで封止した可塑剤などを使用することが出来る。
【0018】
可塑剤の使用量は、主剤中のプレポリマー100部に対して15〜60部の範囲内にあることが好ましい。15部より低いと塗床材塗工時に可使時間を確保し難くなり、60部を超えると塗床材としの強度が保持し難くなり、床材硬化後にその表面に可塑剤がブリードしてきやすくなる。本発明では硬化剤には、充填剤、揺変剤、顔料、消泡剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、耐候性付与剤、溶剤などを添加することが出来る。
【0019】
本発明の組成物を塗工するには、施工現場で主剤のイソシアネート基と硬化剤のイソシアネート反応成分との当量比が0.9〜1.6となるように混合し、下地処理された基盤の上に塗布し硬化せしめる。当量比が0.9より低いと、硬化後の塗膜の強度が弱く塗床材用途に不適となり、1.6を超えると、硬化時に発泡現象が起き易く、ひいては硬化後の物性低下をもたらす。
【0020】
本発明の組成物の特徴が最もよく発揮されるのはプライマー処理した基盤の上にまずポリウレタン(ウレア)塗膜防水層を一層塗工し、その上に本発明の組成物を床材として塗り重ねた場合である。本発明の組成物の硬化塗膜は、下層の塗膜防水材層との接着性が従来のウレタン塗床材に比べ極めて良好で、車走行などによる剥がれなどのトラブルの発生が少なくなる。比較的柔らかいポリウレタン(ウレア)塗膜防水材層と、本発明の組成物のような比較的硬く高強度の床材層とを、このように組み合わせる工法をとることにより、クラックに追従し易く、車走行にも耐え、かくして屋上駐車場の防水兼舗装用に好適な塗床材となるのである。
【0021】
塗床材はそのままでも使用できるが、雨、水の介在によりスリップ性が激しくなるため床材の上に必要に応じた防滑仕上げをすることが望ましい。防滑仕上け方法は一般に使用されるアクリル塗料に、ゴム粉或いは無機系骨材を配合して塗布する方法、床材の上に骨材固着のタックコートを塗布し、硅砂等の細粒骨材を散布し、固着する方法等の一般的方法が使用できる。
【0022】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0023】
実施例1
[主剤の調例]反応器に44部のビスフェノール基含有ジオール(ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを付加させたもの。商品名アデカポリオールBPX−11、平均分子量360、旭電化社製)、506部のポリプロピレンエーテルジオール(商品名エクセノール720、平均分子量700、旭硝子社製)、300部のトリレンジイソシアネート(仕込NCO/OH=当量比は2.0)および150部のキシレンを仕込み、80〜90℃で1.5〜2時間反応を行い,イソシアネート基含有率7.14重量%の主剤を得た。このもののイソシアネート末端プレポリマー(溶剤を除いた)のイソシアネート含有率は8.4重量%である。
【0024】
[硬化剤の調例]混合容器中に予め加熱溶融した294部の4,4'−メチレンービス(2−クロロアニリン)の変性物(商品名:ビスアミンA、和歌山精化製)と、153部のフタル酸ブチルベンジル、153部のフタル酸ジオクチルおよび400部の炭酸カルシウムを加え、ディゾルバーで均一に混合し、硬化剤を得た。
【0025】
[主剤と硬化剤の混合]
混合比はすべて重量比で主剤100部に対して硬化剤80部とした。主剤のイソシアネート基と硬化剤中のイソシアネート反応成分との当量比すなわちNCO/NH2(+OH)比を1.2となるようにして混合した。
【0026】
実施例2〜6及び比較例1〜3の主剤と硬化剤も実施例1の方法に準じて調した。それぞれの組成を表1に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0004372860
【0028】
表1中に使用されているそれぞれの成分を以下に示した。
[主剤]
NCO成分
TDI:2,4―異性体含有率80重量%トリレンジイソシアネート(商品名T―80、日本ポリウレタン社製
ポリオール成分
BPX―11:ビスフェノール基含有ジオール(ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを付加させたもの。商品名アデカポリオールBPX―11、平均分子量360、旭電化製)
BPX―33:同上(平均分子量580)
BPX−55:同上(平均分子量790)
D―700:ポリプロピレンエーテルジオール(商品名エクセノール720、平均分子量700旭硝子製)
T―3000:ポリプロピレンエーテルトリオール(商品名アクトコール31―56、平均分子量3000、武田薬品工業製)
T―5000:同上(商品名アクトコール35―34、平均分子量5000、武田薬品工業製)
[硬化剤]
MOCA:4,4’−メチレンービス(2―クロロアニリン)の変性物( 商品名:ビスアミンA 和歌山精化製)
T−3000:主剤で使用したものと同一のもの
BPX―33:主剤で使用したものと同一のもの
BBP:フタル酸ブチルベンジル(可塑剤)
DOP:フタル酸ジオクチル(可塑剤)
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製
オクチックス鉛:鉛オクトエート (日本化学産業社製、鉛含有量20重量%)
【0029】
[塗膜の物性試験]
上記の混合比に従って混合した後、所定の厚さに流延し、20℃で7日間放置した後、JIS−K−6301に準じて引張り試験を行なった。結果を表1に示した。
【0030】
[物性試験の評価]
実施例1〜6、比較例1〜3で得られた塗膜について、伸び率、引張り試験および引き裂き試験を行った。伸び率は150%以上、引張り強度150kgf/cm2以上、引き裂き強度35kgf/cm以上を判定の基準にして、3項目とも基準を超えたものについては、表1中の物性試験の評価の項目を○とした。1項目でも基準値に満たない項目がある場合は×とした。結果を表1に示した。
【0031】
[接着性]
下層にウレタン塗膜防水材を塗工した後、その上に塗床材を塗り重ねる工法において、層間の接着性をテストするために下記のように実施した。すなわち一液湿気硬化型ウレタンプライマー(商品名:CB―30、保土谷建材工業社製)を塗布したスレート板の上に,商品名:CS−F(主剤がTDIのウレタンプレポリマー、硬化剤がポリオールとアミンのウレタンウレア防水剤、保土谷建材工業社製)または商品名:HCエコプルーフ(主剤がTDIのウレタンプレポリマー、硬化剤が主にアミンのウレタンウレア防水剤、保土谷建材工業社製、)を1〜2mmの厚さになるように塗工し、これを屋外に3日間放置した。その上に実施例および比較例の各組成物を(主剤/硬化剤の重量比100/80)1〜2mmになるように塗布した。20℃に7日間放置後JIS−A―5755の剥離接着強さ試験方法に準じて180°ピール試験を行なった。その結果;材料が凝集破壊したものは接着性○(良好)、上層と下層の層間で界面剥離したものは接着性×(不良)とした。結果を表1に示した。
【0032】
[総合評価]
上記の塗膜の物性試験および接着性試験の結果を総合して、本発明の目的に適う性能を示したもの、すなわち両試験とも良好な結果を示したものを○、いずれかまたは両方に欠陥の認められるものを×とした。結果を表1に示した。
【0033】
実施例1〜5は、主剤を構成するポリオールに、ビスフェノール基含有ジオールBPX―11、BPX―33またはBPX―55(それぞれポリオール中のビスフェノール基含有量は5.0、7.4または18.8重量%)を使用し、ポリプロピレンエーテルジオールD―700を併用した場合である。但しこのうち実施例3では硬化剤中に可塑剤以外にポリプロピレンエーテルトリオールT―3000を、実施例4ではビスフェノール基含有ジオールBPX―33を配合している。結果は表1に示す通り塗床材としての塗膜物性はいずれも引張り強度150kgf/cm2以上、引裂強度45kgf/ cm以上の高強度を示し、伸び率も250%以上と良好であった。
実施例6は、主剤を構成するポリオールとしてビスフェノール基含有ジオールBPX―55(ポリオール中ビスフェノール基含有量28.6重量%)のみを使用した場合である。結果は引張り強度170kg/cm2、伸び率270%、引裂強度39kgf/cmと高強度、高弾性を示した。また実施例1〜6の組成物はいずれも下塗り塗膜防水材層との接着性は良好であった。
【0034】
比較例1は、主剤を構成するポリオール中にビスフェノール基含有ジオールを使用しないでポリプロピレンポリオールのみを用いた場合の例であり、塗膜物性は引張り強度120kgf/cm2、引き裂き強度33kgf/cmと実施例の諸例と比較して低く、かつ下面の塗膜防水材層との接着性は不良であった。比較例2は主剤を構成するポリオール中のビスフェノール基含有量が39重量%と、35重量%を超えて使用した場合の例であり、結果は高強度ではあるが伸び率が90%と低く弾性、可とう性にかけ、固く脆い塗膜となり、本発明の目的の塗床材としては不適な性能であることが示された。
比較例1および2、実施例1〜6の結果を勘案すると、本発明の目的とする高強度でかつ塗膜防水材との接着性の良好な塗床材用組成物を得るには、主剤を構成するポリオール中に、ビスフェノール基含有ジオールが限定された範囲で配合されている必要があることが理解される。
【0035】
比較例3主剤のイソシアネート基含有率が3.重量%と低いものを使用した場合の例である。得られた塗膜は引張り強度52kgf/cm2、引き裂き強度14kgf/cmと強度が弱く、本発明の目的の塗床材としては不適当な性能を示した。すなわち主剤のイソシアネート基含有率が一定の限界値より低すぎると本発明の目的には不適当であることが理解される。
【0036】
[耐クラック性の評価]
[セロスパンテンションの試験体の作製]
180mm×120mmのモルタル板の裏面の長手方向の中央に幅1mmのスリットを厚さの約2/3まで入れる。次にモルタル板の表面にプライマーを塗布する。プライマーが乾燥後、ウレタンウレア防水材(商品名:HCエコプルーフ、保土谷建材社製)を塗布して養生させ、所定量の床材を塗布して養生させた後、試験体とした。
【0037】
[セロスパンテンションの試験方法]
試験体のスリット部を折ってモルタル板にクラックを入れる。引張試験機にセットして、1分間5mmの速度でスレート板の両端を長手方向に引っ張り、荷重と引張距離をチャートに記録した。
【0038】
実施例7及び比較例4
実施例7として、実施例2の組成物を1.5mmの厚さで塗工し床剤層とし、、上記防水材層の厚みを0.5mmとして、セロスパンテンションの試験を行なった。また、比較のために、比較例4として従来の床材(商品名:ミリオネートRF―2000、保土谷建材社製)で同様にセロスパンテンションの試験を行なった。試験結果を表2に示した。なお、ミリオネートRF―2000は、主剤がポリオキシアルキレンレン系のポリオールとTDIから得られたイソシアンート末端プレポリマーであり、硬化剤は、MOCAが主成分である。
【0039】
【表2】
Figure 0004372860
【0040】
この結果から、下層に伸び率の高い防水材層を用い、上層に本発明の強硬度、高弾性の床材層を塗布した試験体は、従来の床材層を塗布した場合と比較し良好な耐クラック性を示した。
【0041】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明のポリウレタンウレア塗床用組成物は引張り試験、引裂試験、伸び率とも良好でかつ、下層にウレタン塗膜防水材層を施工した後、上層に接着性の改善された本発明の塗床材組成物を塗工する工法をとることにより、車走行時におけるはがれなどのトラブルの発生を防ぎ、クラックに対する追従性を高めることが出来る。

Claims (4)

  1. トリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られた、イソシアネート基含有量が5〜10重量%であるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、芳香族ポリアミンを主成分とする硬化剤とからなる2液性常温硬化性ポリウレタンウレア塗床材の塗床工法であって、前記主剤を製造するためのポリオール成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール基含有ジオールを必須成分とし、かつ下記一般式(I)中の部分構造である下記一般式(II)で示されるビスフェノール基の含有量が使用する前記ポリオール成分全量の3〜35重量%の範囲となるように配合して使用し、硬化剤中の芳香族ポリアミンの主成分として4,4'−メチレンビス(2−クロロアニリン)および/またはその変性物を使用し、主剤と硬化剤とを施工現場で主剤のイソシアネート基と硬化剤のイソシアネート反応成分との当量比が0.9〜1.6となるように混合し、塗工することを特徴とするポリウレタンウレア塗床工法。
    Figure 0004372860
    (一般式(I)中、R1およびR2は各々水素原子または低級アルキル基を示し、Aは炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、m及びnは各々1〜10を示す。)
    Figure 0004372860
    (一般式(II)中、R1およびR2は各々水素原子または低級アルキル基を示す。)
  2. 基盤の上に、(1)下層のウレタン塗膜防水材層を施工した後、(2)上層にトリレンジイソシアネートとポリオールとの反応によって得られた、イソシアネート基含有量が5〜10重量%であるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、芳香族ポリアミンを主成分とする硬化剤とからなる2液性常温硬化性ポリウレタンウレア塗床材であって、前記主剤を製造するためのポリオール成分として、下記一般式(I)で示されるビスフェノール基含有ジオールを必須成分とし、かつ下記一般式(I)中の部分構造である下記一般式(II)で示されるビスフェノール基の含有量が使用する前記ポリオール成分全量の3〜35重量%の範囲となるように配合して使用し、硬化剤中の芳香族ポリアミンの主成分として4,4'−メチレンビス(2−クロロアニリン)および/またはその変性物を使用し、主剤と硬化剤とを施工現場で主剤のイソシアネート基と硬化剤のイソシアネート反応成分との当量比が0.9〜1.6となるように混合し、塗工することを特徴とする多層型ポリウレタンウレア塗床工法。
    Figure 0004372860
    (一般式(I)中、R1およびR2は各々水素原子または低級アルキル基を示し、Aは炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、m及びnは各々1〜10を示す。)
    Figure 0004372860
    (一般式(II)中、R1およびR2は各々水素原子または低級アルキル基を示す。)
  3. 前記ポリウレタンウレア塗床材層を塗工した後、さらに(3)防滑仕上げ層を施すことを特徴とする請求項2記載の多層型ポリウレタンウレア塗床工法。
  4. 前記ポリウレタンウレア塗床材層を塗工する前に、基盤の上にプライマー処理することを特徴とする請求項2記載の多層型ポリウレタンウレア塗床工法。
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