JP4371496B2 - 眼底血流計及びその信号処理方法 - Google Patents

眼底血流計及びその信号処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼底上の血管内の血流速度を計測する眼底血流計及びその信号処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からレーザードップラ眼底血流計は、被検眼の眼底の被測定血管に波長λのレーザービームを照射し、その散乱反射光を光検出器により受光し、血流からの散乱反射光であるドップラシフトした成分と、静止している血管壁からの散乱反射光との干渉信号を検出し、周波数解析して血流速度を求める装置である。
【0003】
対象とする血管内の血流を、血球分布が一様なポアゼイユの流れで、その散乱強度が血球数に比例すると仮定すると、得られるドップラシフトのスペクトル密度は、血管中心の最大流速に対応するカットオフ周波数Δfmaxまで、ほぼフラットな形状のスペクトル分布となることが導かれ、レーザードップラ眼底血流計では、このΔfmaxを最大流速に比例する物理量として検出している。
【0004】
2方向観測法では、このカットオフ周波数Δfmaxを異なる2つの方向から受光した信号に対して求めることによって、ΔfmaxとVmaxの関係を次式のように、装置の構成及び眼軸長で決定する2つの観測方向のなす角度Δαと、波数ベクトルkの大きさ即ち2π/λとにより表現する。
Vmax={λ/(n・α)}・|Δfmax1−Δfmax2|/cosβ …(1)
【0005】
ここで、2つの受光器で受光した受光信号から算出した周波数の最大シフトをΔfmax1、Δfmax2、レーザー光の波長をλ、測定部位の屈折率をn、眼内での2つの受光光軸のなす角度をα、眼内で2つの受光光軸がつくる平面と血流速度ベクトルとのなす角度をβとしている。
【0006】
このように、2方向から計測を行うことによって測定光の入射方向の寄与が相殺され、眼底上の任意の部位の血流を計測することができる。また、2つの受光光軸がつくる平面と眼底の交線と、血流速度ベクトルとのなす角βとを一致させることにより、β=0゜となって真の最大血流速度を測定することができる。
【0007】
各カットオフ周波数Δfmaxの決定は、従来はオペレータが目視で判断して決定しているが、自動的に求める論文としてAPPLIED OPTICS,Vol.27,No.6,pp.1126-1134(1988)「Retinal laser Doppler velocimetry: toward its computer-assisted clinical use」(B.L.Petrig,C.E.Riva)が知られている。この論文中には具体的な記載はないが、FFT波形のパワースペクトルがカットオフ周波数Δfmaxのところで不連続即ち垂直に落ちる理想的なモデルを考慮して、カットオフ周波数Δfmaxを求めているものと推察される。
【0008】
このカットオフ周波数の決定精度は、周波数解析の結果が理想的なモデルに近ければ近い程上昇する。即ち、理想的モデルとの差異を評価することによって、測定値の信頼度を表すことができる。上述の論文においては、この理想モデルとの差異をカットオフ周波数決定後に、そのカットオフ周波数Δfmaxを使用して評価して測定の信頼度としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例の評価方法では、最終的なカットオフ周波数Δfmaxの決定に演算時間が掛かり、結果を瞬時に得ることは難しい。従って、例えば測定開始前に、測定ビームの血管に対する位置などの特定の測定条件の設定の確認を取り込んだ測定の信号の良否で判定する場合などでは、演算時間によって条件設定の良否の判断を実時間で行うことが困難となる問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、スペクトルの抜けの影響を軽減して、測定信号の良否の程度を最終的測定値の算出前に短時間で評価する眼底血流計及びその信号処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る眼底血流計は、被検眼の眼底上の血管に可干渉な測定光を照射する測定光照射手段と、前記測定光が血管内粒子により散乱される信号光及び周辺組織から散乱される参照光を受光する受光手段と、該受光手段の信号を周波数解析する周波数解析手段と、該周波数解析手段の出力を基に血流速度を算出する算出手段とを有するレーザードップラ型の眼底血流計であって、前記周波数解析の結果のスペクトル分布を高周波側から累積して積分曲線を算出する積分曲線算出手段と、前記周波数解析の結果を前記積分曲線を使用して高周波領域に存在しホワイトノイズに近似されるノイズ領域と該ノイズ領域よりも低周波側に存在する信号領域との2つの領域に分割する分割手段と、前記信号領域における前記積分曲線を直線に近似する直線近似手段と、前記近似直線と前記積分曲線との一致度を算出し受光信号の良否の程度を数値化する受光信号評価手段と、前記受光信号の良否の程度を視覚化し表示モニタに表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る眼底血流計の信号処理方法は、被検眼の眼底上の血管に測定光照射手段からの可干渉な測定光を照射し、該測定光が血管内粒子により散乱される信号光及び周辺組織から散乱される参照光を受光手段により受光し該受光手段からの受光信号を周波数解析手段により周波数解析し、該周波数解析手段の出力を基に算出手段により血流速度を算出する機能を備えたレーザードップラ型眼底血流計の受光信号の良否の程度を判別する信号処理方法であって、前記周波数解析の結果のスペクトル分布を高周波側から累積して積分曲線を算出する積分曲線算出ステップと、前記周波数解析の結果を前記積分曲線を使用して高周波領域に存在しホワイトノイズに近似されるノイズ領域と該ノイズ領域よりも低周波側に存在する信号領域との2つの領域に分割する分割ステップと、前記信号領域における前記積分曲線を直線に近似する直線近似ステップと、前記近似直線と前記積分曲線との一致度を算出し受光信号の良否の程度を数値化する受光信号評価ステップと、前記受光信号の良否の程度を視覚化し表示モニタに表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の眼底血流計の構成図を示し、白色光を発するタングステンランプ等から成る観察用光源1から被検眼Eと対向する対物レンズ2に至る照明光路上には、コンデンサレンズ3、例えば黄色域の波長光のみを透過するバンドパスフィルタ4、被検眼Eの瞳孔とほぼ共役な位置に設けられたリングスリット5、光路に沿って移動自在な固視標表示用素子である透過型液晶板6、リレーレンズ7、孔あきミラー8、黄色域の波長光を透過し他の光束を殆ど反射するバンドパスミラー9が順次に配列され、眼底照明光学が構成されている。
【0014】
孔あきミラー8の背後には眼底観察光学系が構成されており、光路に沿って移動自在なフォーカスレンズ10、リレーレンズ11、スケール板12、接眼レンズ13が順次に配列され、検者眼eに至っている。
【0015】
バンドパスミラー9の反射方向の光路上には、イメージローテータ14、紙面に垂直な回転軸を有し両面研磨されたガルバノメトリックミラー15が配置され、ガルバノメトリックミラー15の下側反射面15aの反射方向には、光路に沿って移動自在な第2のフォーカスレンズ16が配置され、上側反射面15bの反射方向にはレンズ17、光路に沿って移動自在なフォーカスユニット18が配置されている。なお、レンズ17の前側焦点面は被検眼Eの瞳孔と共役関係にあり、その焦点面にガルバノメトリックミラー15が配置されている。
【0016】
また、ガルバノメトリックミラー15の後方には凹面ミラー19が配され、ガルバノメトリックミラー15の上側反射面15bで反射されたレーザー光がガルバノメトリックミラー15の切欠部を通過するリレー光学系が構成されている。
【0017】
フォーカスユニット18においては、レンズ17と同一光路上にダイクロイックミラー20、集光レンズ21、レーザーダイオードから成る測定用光源22が順次に配列され、ダイクロイックミラー20の反射方向の光路上にはマスク23、ミラー24が配置され、このフォーカスユニット18は一体的に矢印方向に移動可能とされている。更に、ミラー24の入射方向の光路上には、高輝度の他の光源と異なる例えば緑色光を発するトラッキング用光源25が配置されている。
【0018】
ガルバノメトリックミラー15の下側反射面15aの反射方向の光路上には、第2のフォーカスレンズ16の後方にダイクロイックミラー26、拡大レンズ27、イメージインテンシファイヤ付の一次元撮像素子28が順次に配列されて、血管検出系が構成されている。また、ダイクロイックミラー26の反射方向の光路上にはフォトマルチプライヤ29a、29bが配置されて、測定用受光光学系が構成されている。なお、図示の都合上、全ての光路を同一平面上に示したが、フォトマルチプライヤ29a、29bはそれぞれ紙面に直交した方向に配置されている。
【0019】
一次元撮像素子28の出力はトラッキング制御回路30に接続されており、トラッキング制御回路30の出力はガルバノメトリックミラー15、装置全体を制御するシステム制御部31に接続されている。システム制御部31には信号処理手段31a及び記憶手段31bが内蔵されており、システム制御部31の出力は透過型液晶板6、表示モニタ32に接続され、操作部33の出力がシステム制御部31に接続されている。
【0020】
観察用光源1から発した白色光はコンデンサレンズ3を通り、バンドパスフィルタ4により黄色の波長光のみが透過し、リングスリット5を通過した光束が透過型液晶板6を背後から照明し、リレーレンズ7を通って孔あきミラー8で反射される。その後に、黄色域の光のみがバンドパスミラー9を透過し、対物レンズ2を通り、被検眼Eの瞳孔上でリングスリット像として一旦結像した後に、眼底Eaをほぼ一様に照明する。このとき、透過型液晶板6には固視標が表示されており、この固視標は照明光により被検眼Eの眼底Eaに投影され、視標像として被検者に呈示される。なお、リングスリット5は被検眼Eの前眼部において眼底照明光と眼底観察光を分離するためのものであり、必要な遮光領域を形成するものであればその形状や数は問題とならない。
【0021】
眼底Eaからの反射光は同じ光路を戻り、瞳孔上から眼底観察光光束として取り出され、孔あきミラー8の中心の開口部、フォーカスレンズ10、リレーレンズ11を通り、スケール板12で眼底像Ea'として結像した後に、接眼レンズ13を介して検者眼eに観察される。検者はこの眼底像Ea'を観察しながら装置のアライメントを行う。
【0022】
測定用光源22を発した測定光は、集光レンズ21の上方を偏心して通過し、ダイクロイックミラー20を透過する。一方、トラッキング用光源25から発したトラッキング光はミラー24で反射され、マスク23で所望の形状に整形された後に、ダイクロイックミラー20に反射されて、集光レンズ21によりマスク23の開口部中心と共役な位置にスポット状に結像している測定光と重畳される。
【0023】
更に、測定光とトラッキング光はレンズ17を通り、ガルバノメトリックミラー15の上側反射面15bで一度反射され、更に凹面ミラー19で反射されて再びガルバノメトリックミラー15の方へ戻される。ここで、ガルバノメトリックミラー15は被検眼Eの瞳の共役な位置に配されており、その形状は被検眼Eの瞳上において非対称な形状とされている。そして、凹面ミラー19が光軸上に同心に配置されて、ガルバノメトリックミラー15の上側反射面15bと下側反射面15aとを−1倍で結像するリレー光学系の機能が与えられている。
【0024】
このために、ガルバノメトリックミラー15で反射された両光束は、今度はガルバノメトリックミラー15の切欠部の位置へ戻され、ガルバノメトリックミラー15で再び反射されることなくイメージローテータ14へ向かう。そして、イメージローテータ14を経てバンドパスミラー9により対物レンズ2に偏向された両光束は、対物レンズ2を介して被検眼Eの眼底Eaを照射する。
【0025】
このとき、トラッキング光はマスク23により測定点を含み、その血管をカバーする長方形の領域を照明するように整形されており、その大きさは血管走行方向で300〜500μm程度、血管直角方向で500〜1200μm程度とすることが好適である。また、測定光は測定する血管の太さ50〜120μm程度の円形スポット、又は血管走行方向が長手方向となる楕円形状とされている。
【0026】
眼底Eaでの散乱反射光は再び対物レンズ2で集光されて、バンドパスミラー9で反射され、イメージローテータ14を通って、ガルバノメトリックミラー15の下側反射面15aで反射され、フォーカスレンズ16を通り、ダイクロイックミラー26において測定光とトラッキング光とが分離される。
【0027】
トラッキング光はダイクロイックミラー26を透過し、拡大レンズ27により眼底観察光学系による眼底像Ea’よりも拡大された血管像Ev’として一次元撮像素子28上に結像する。このときの撮像範囲はトラッキング光の照射範囲とほぼ同一の大きさである。この血管像信号はトラッキング制御回路30に入力され、血管Evの位置信号に変換される。トラッキング制御回路30はこの信号を使用してガルバノメトリックミラー15の回転角を制御し、血管Evのトラッキングを行う。
【0028】
また、測定光とトラッキング光による眼底Eaでの散乱反射光の一部はバンドパスミラー9を透過し、孔あきミラー8の背後の眼底観察光学系に導かれ、トラッキング光はスケール板12上に棒状のインジケータとして結像し、測定光はこのインジケータの中心部にスポット像として結像する。これらの像は接眼レンズ13を介して眼底像Ea’及び視標像と共に検者に観察される。このとき、インジケータの中心には測定ビームのスポット像が重畳しており、インジケータは操作部33によってガルバノメトリックミラー15を回転することによって、眼底Ea上を一次元に移動することができる。
【0029】
測定に際して、検者は先ず眼底像Ea’のピント合わせを行う。操作部33のフォーカスノブを調整すると、図示しない駆動手段により透過型液晶板6、フォーカスレンズ10、16、フォーカスユニット18が連動して光路に沿って移動する。眼底像Ea’のピントが合うと、透過型液晶板6、スケール板12、一次元撮像素子28は同時に眼底Eaと共役になる。
【0030】
実際の検査においては、検者は眼底像Ea’のピントを合わせた後に、被検眼Eの視線を誘導して観察領域を変更し、測定対象とする血管Evを適当な位置へ移動するために操作部33を操作する。そして、システム制御部31は透過型液晶板6を制御して視標像を移動し、イメージローテータ14を回転して、測定対象とする血管Evの走行方向に対してフォトマルチプライヤ29a、29bの中心を結んだ線が並行になるように操作する。このとき、ガルバノメトリックミラー15を回転することによって一次元撮像素子28の画素配列の方向及び動く測定光の方向は、これと直角の血管Evに対して垂直な方向に調整される。
【0031】
図2は測定操作のフローチャート図を示し、検者は先ず操作部33の測定スイッチを1段押し込むことにより仮測定を開始する。このときに、トラッキングの状態や得られた信号の良否を確認した上で、更に測定スイッチの2段目を押して本測定を開始する。この間、測定光は血管トラッキングシステムの働きにより血管Ev上に保特されるが、その散乱反射光はダイクロイックミラー26により反射されて、フォトマルチプライヤ29a、29bで受光される。フォトマルチプライヤ29a、29bの出力はそれぞれシステム制御部31に出力され、記憶手段31bに記憶された後に、信号処理手段31aにより周波数解析などの処理を経て血流速度に換算される。
【0032】
図3はそのときの眼底Eaの様子を示し、眼底Ea上の被測定血管Evに測定光M及びトラッキング光Tが照射されている。2個のフォトマルチプライヤ29a、29bで受光された信号を、例えば図4のタイミングチャート図に示すように間欠的に10m秒ずつA/D変換して、システム制御部31の記憶手段31bに取込み、信号処理手段31aにおいて、先ずそれぞれの出力信号に対して周波数解析(FFT処理)を行った後で、理論的に求められるFFT信号との差異が数値化される。この数値化された信号の良否の程度は、例えばバーグラフのように視覚的に判断し易い形状に変換され、かつFFTの結果の波形と共に表示モニタ32に表示される。これによって、不慣れな検者でもこのFFTの形状を見て、十分な経験を積まないと困難であった理論的FFT信号との差異を、瞬時に把握することが可能となる。
【0033】
図5はFFTの形状と理論的に求めたFFT信号との差異の定量化する際のフローチャート図を示し、受光瞳の大きさを無視した場合には、理論的に求められるFFTの形状は図6に示すようにステップ状となる。即ち、ドップラ偏移を示す信号部Sと高周波側のホワイトノイズ部Nに分けることができる。この波形を高周波側から積分してゆくとL1で示す折れ線が得られ、その始点と終点を結んだ直線L2から、このL1の値を引いた値はopeで示す三角形となる。
【0034】
しかし、実際に得られる信号は血球密度のばらつきにより平坦なスペクトルとはならず、存在する血球に応じて生ずるスパイク状のスペクトルの足し合わせとなり、種々の電気ノイズを含んだり、受光瞳の形状の影響やマルチ散乱の影響、更には測定光のミスアライメントや被検眼Eの涙によるビームの滲みなどによって、理論形状とはかなり異なった形状となる。従って、同様の処理を行ってもこのようにきれいな3角形とはならず、特にマルチ散乱の影響は信号部Sからホワイトノイズ部Nへ滲み出すようなスペクトル形状を作り出し、カットオフ周波数の決定を困難にする。
【0035】
しかしながら、ノイズ部分に相当するノイズはホワイトノイズであることから、peは常にほぼ直線に近く、また信号がほぼ良好であれば最大値pはほぼカットオフ周波数付近に存在する。更に、得られたスペクトルが理論的なものに近い場合には、opも直線に近いものとなる。
【0036】
図7は実際のFFT波形にこの処理を適用した結果を示し、epoが実際に得られた略三角形の波形で、Lnは高周波部分を直線近似した直線、Lsは低周波数部分を直線近似した直線である。それぞれの近似範囲を例えば得られた曲線の最大ピークの周波数pにより分離すると、直線Lnは最大周波数〜周波数pまで、また直線Lsは0〜周波数pまでである。
【0037】
このとき、直線Lsの近似範囲に関しては、低周波部分はトラッキングの状態や睫毛などにより大きく影響を受けるので、例えばp×0.1〜pまでとし、また直線Lnの近似範囲に関してはノイズがホワイトノイズであることを考慮して、例えば最大周波数〜p×0.8程度までとした方が、より信号を正しく評価することができる。
【0038】
ここで、近似直線Lsと実際の曲線との残差から信号の良否を判別する指標を作ることにより、信号レベル領域において理論的に算出したFFT波形の矩形部分と出力信号から算出したFFT波形との差異を演算して数値化することができる。この演算値を基に表示モニタ32の表示を行うようにすれば、検者はより客観的に測定の良否を判断することが可能となる。
【0039】
以上の処理のように、信号を一度積分処理することによってスペクトルの抜けの影響を軽減することができ、ピーク周波数pを算出することによりノイズ領域と信号領域を比較的安定に分離することができる。更には、カットオフ周波数を決定する前に、簡単な演算で信号の良否の判断を行う指標を作ることが可能となる。
【0040】
ここに示した解析方法は、実際には装置にソフトウェアとして組み込まれることが通例である。このソフトは例えばフロッピーディスクやCDROMといった外部媒体により供給され、使用する前に本体にインストールされる。しかしながら、例えば解析のみを一般のパーソナルコンピュータなどの別の装置で行う場合には、このソフトを別の装置にインストールすることも可能であり、この場合には測定するための光学系などを持つ必要はない。
【0041】
仮測定では以上の動作が繰り返し行われるので、検者は表示モニタ32上に実時間で表示されるFFT波形やバーグラフを見ることにより、本測定において良い測定ができるか否かを判断することができる。ここで、アライメントが不良であったり、或いは被検眼Eに大きな角膜乱視等があって、トラッキング光Tのトラッキング中心と測定光Mとの間に位置ずれが生じ、図8に示すように血管Evに対し測定光Mがずれて照射されている場合には、トラッキングが血管Evに対し正確に行われても、測定光Mが血管Evの中心に照射されていないために、最大血流速度からの信号光がなくなり、かつ血管Ev外の網膜等で不規則に散乱した反射光が血管Evからの信号光に混入するために、フォトマルチプライヤ29a、29bからの出力信号を受けて信号処理手段31aで算出されたFFT波形は、図9に示すようにドップラシフトしている領域からノイズレベルまでがなだらかに繋がった波形になる。
【0042】
また、計算された略三角形の曲線の低周波部分はその近似直線と大きな残差があるために、信号の良否の程度が悪いことが数値化される。従って、検者はこの数値が視覚化されたバーグラフやFFT波形を見て、このまま本測定を行って血流速度を求めても、正しい結果を得ることはできないと判断することになる。
【0043】
このために、検者は表示モニタ32の表示を見ながら、血管Ev上を測定光Mが照射するように図示しない操作部33に設けられたダイヤルを回すことによって、システム制御部31はトラッキング制御回路30を介してガルバノメトリックミラー15にシフト量を与え、測定光Mの照射位置をトラッキングしている血管Evに対して相対的に移動してゆく。このように測定光Mの照射位置が動くにつれて表示モニタ32に表示されるFFT波形が変化し、図10に示すような最大血流速度となる血管Evの中心を含み、かつ血管Ev以外の部位をできるだけ含まない位置に測定光Mがきたときに、FFT波形は図11に示すようにドップラシフトしている領域からノイズレベルまでが急峻に繋がっている波形となる。このときには、計算された略三角形の曲線の低周波部分と、その近似直線との残差は小さくなっている。
【0044】
検者は表示モニタ32の表示上で信号が良好であることを確認した上で、再度操作部33の測定スイッチを押して第2ステップとして本測定を開始する。本測定が開始されると、システム制御部31は記憶手段31bに、所定時間分、例えば2秒間のフォトマルチプライヤ29a、29bからの連続した出力信号を記憶する。記憶された出力信号は測定後に信号処理手段31aによりFFT変換され、最大ドップラシフト量Δfmax1,、Δfmax2が求められて最大血流速度が算出される。
【0045】
なお、本実施例では1個のフォトマルチプライヤ29aの出力処理について述べたが、他方のフォトマルチプライヤ29bも同様に処理を行うことが好適である。更に、システム制御部31は予め設定した許容値と演算した演算値との比較を行って、演算値が許容値以下になったら本測定に移行する測定開始入力信号を出力するように制御すれば、検者の手間を省くことができる。逆に、演算値が計容値より大きくなった場合には、検者が操作スイッチを押しても本測定に移行しないように測定開始入力信号を出力しないよう制御すれば、検者の操作ミスや測定の失敗を減らすことができる。
【0046】
また、第1ステップのときに、2個のフォトマルチプライヤ29a、29bからの出力信号を処理しているが、2個のフォトマルチプライヤ29a、29bは測定部位に対して受光方向が異なるだけなので、一方のフォトマルチプライヤ29aの受光状況が分かれば、他方のフォトマルチプライヤ29bの受光状況もほぼ予測が付く。従って、信号処理手段31aの負担を少なくし処理時間を短縮するために、1個のフォトマルチプライヤ29aからだけで信号処理を行って、表示するように構成してもよい。
【0047】
このように本実施例では、信号処理により得られたドップラ信号の良否の程度を表す数値を仮測定時に利用しているが、この数値は単に仮測定で利用するばかりではなく、本測定終了後にその測定の良否の程度を表すことにも利用することができる。例えば、この数値の測定時間における平均をとり、その値が許容範囲にない場合には測定をエラーとしたが、この平均値を測定の信頼度として利用してもよいし、或いは悪い数値を有する所定の時間に対して正しい測定が行われていないというエラーの判断に使用してもよい。
【0048】
これら一連の解析方法は、装置にソフトウエアとして組み込まれるのが通例である。このソフトは例えばフロッピディスクやCDROMといった外部媒体で供給され、使用する前に本体にインストールされる。しかし、例えば解析のみを一般のパーソナルコンピュータ等の別の装置で行いたい場合には、このソフトを別の装置にインストールすることも可能であり、この場合には測定するための光学系等を持つ必要はない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る眼底血流計及びその信号処理方法は、ドップラ信号の良否の程度を数値化する際に信号を一度積分処理することによって、スペクトルの抜けの影響を軽減することができ、ピーク周波数を算出することによってノイズ領域と信号領域を比較的安定して分離することができ、カットオフ周波数を決定する前に、簡単な演算により信号の良否の判断を行う指標を作ることが可能となる。また、仮測定で処理を実施すれば、検者は実時間で表示モニタ上に表示されるFFT波形やバーグラフを見ることにより、本測定において良い測定ができるか否かを判断することができる。これによって、被検者への負担を減らすと同時に測定時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の眼底血流計の構成図である。
【図2】動作信号処理のフローチャート図である。
【図3】観察眼底像の説明図である。
【図4】仮測定時の処理のタイミングチャート図である。
【図5】信号の良否の数値化のフローチャート図である。
【図6】受光信号の理論形状のグラフ図である。
【図7】受光信号の実際の形状のグラフ図である。
【図8】測定光がずれているときの流速分布の説明図である。
【図9】フォトマルチプライヤの信号速度のグラフ図である。
【図10】測定光が一致しているときの流速分布の説明図である。
【図11】フォトマルチプライヤの信号速度のグラフ図である。
【符号の説明】
1 観察用光源
2 対物レンズ
5 リングスリット
6 透過型液晶板
8 孔あきミラー
9 バンドパスミラー
12 スケール板
14 イメージローテータ
15 ガルバノメトリックミラー
18 フォーカスユニット
22 測定用光源
23 マスク
25 トラッキング用光源
28 一次元撮像素子
29a、29b フォトマルチプライヤ
30 トラッキング制御回路
31 システム制御部
31a 信号処理手段
31b 記憶手段
32 表示モニタ
33 操作部

Claims (3)

  1. 被検眼の眼底上の血管に可干渉な測定光を照射する測定光照射手段と、前記測定光が血管内粒子により散乱される信号光及び周辺組織から散乱される参照光を受光する受光手段と、該受光手段の信号を周波数解析する周波数解析手段と、該周波数解析手段の出力を基に血流速度を算出する算出手段とを有するレーザードップラ型の眼底血流計であって、前記周波数解析の結果のスペクトル分布を高周波側から累積して積分曲線を算出する積分曲線算出手段と、前記周波数解析の結果を前記積分曲線を使用して高周波領域に存在しホワイトノイズに近似されるノイズ領域と該ノイズ領域よりも低周波側に存在する信号領域との2つの領域に分割する分割手段と、前記信号領域における前記積分曲線を直線に近似する直線近似手段と、前記近似直線と前記積分曲線との一致度を算出し受光信号の良否の程度を数値化する受光信号評価手段と、前記受光信号の良否の程度を視覚化し表示モニタに表示する表示手段とを有することを特徴とする眼底血流計。
  2. 前記分割手段は、前記積分曲線と該積分曲線の始点と終点を結んだ直線との距離が最大となる周波数を基にして前記信号領域を分割する請求項1に記載の眼底血流計。
  3. 被検眼の眼底上の血管に測定光照射手段からの可干渉な測定光を照射し、該測定光が血管内粒子により散乱される信号光及び周辺組織から散乱される参照光を受光手段により受光し該受光手段からの受光信号を周波数解析手段により周波数解析し、該周波数解析手段の出力を基に算出手段により血流速度を算出する機能を備えたレーザードップラ型眼底血流計の受光信号の良否の程度を判別する信号処理方法であって、前記周波数解析の結果のスペクトル分布を高周波側から累積して積分曲線を算出する積分曲線算出ステップと、前記周波数解析の結果を前記積分曲線を使用して高周波領域に存在しホワイトノイズに近似されるノイズ領域と該ノイズ領域よりも低周波側に存在する信号領域との2つの領域に分割する分割ステップと、前記信号領域における前記積分曲線を直線に近似する直線近似ステップと、前記近似直線と前記積分曲線との一致度を算出し受光信号の良否の程度を数値化する受光信号評価ステップと、前記受光信号の良否の程度を視覚化し表示モニタに表示する表示ステップとを備えたことを特徴とする眼底血流計の信号処理方法。
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