JP4370064B2 - レンズの心取り装置 - Google Patents

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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単レンズの芯出しを行った後に心取りを行うレンズの心取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンズの心取りを行う装置としては、特開昭60−259365号公報に開示されており、この心取り装置を図10を用いて説明する。図10は上記心取り装置の一部を示してある。
【0003】
上記心取り装置は、心取りを行うレンズ204に光源201からのレーザ光を透過させ、その透過光の光点位置を光点位置検出器203で検出して心取りを行う装置で、心取りを行うレンズ204は、第1レンズチャック軸205上に載置され、第2レンズチャック軸206とでチャック可能になっている。
【0004】
第1レンズチャック軸205は、下板207aと上板207bおよび中板207cを有するフレーム207の中板207cに回転可能に支持されている。この第1レンズチャック軸205は、その回転軸208を通る貫通孔205aからなる中空部を有する円筒形状になっており、貫通孔205aを通って光源201からのレーザ光がレンズ204を透過可能になっている。
【0005】
第2レンズチャック軸206は、フレーム207の上板207bの下方において第1レンズチャック軸205の上方に設置されており、第1レンズチャック軸205と同心に回転可能で且つ第1レンズチャック軸205に対して接近・離反可能なようにZ方向に摺動可能となっている。この第2レンズチャック軸206も、第1レンズチャック軸205と同様に、その回転軸208を通る貫通孔206aからなる中空部を有する円筒形状になっており、レンズ204を透過したレーザ光は貫通孔206aを通過して光点位置検出器203に到達可能になっている。
【0006】
光源201は、レーザの光路が第1レンズチャック軸205と第2レンズチャック軸206の回転軸208を通るように、フレーム207の下板207aに配置されている。
【0007】
光点位置検出器203は、第2レンズチャック軸206の上方に位置するようにフレーム207の上板207bに取り付けられ、上記回転軸208上に設置されており、その受光面上にレンズ204を透過したレーザ光が投影され、その光点位置をX−Y座標電圧に変換することができるようになっている。光点位置検出器203と第2レンズチャック軸206の間には、コリメートレンズ202が配置されており、心取りするレンズ204の光学特性に応じてレーザ光を集束するように位置調整可能となっている。
【0008】
上記第1レンズチャック軸205の基端部には、歯車209が取り付けられている。この歯車209には、フレーム207の下板207aに設けたモータ210に取り付けた歯車211が噛合わされており、モータ210の駆動により第1レンズチャック軸205とともにレンズ204の回転が行われる。また、第1レンズチャック軸205に載置したレンズ204の側方には、レンズ204をX方向に移動するロッド215が、支持台218を介してフレーム207の中板207c上に設置されている。ロッド215は、支持台218に回動可能に支持されたねじ軸217に螺合され、ねじ軸217を回動するモータ216によりX方向に進退可能となっている。そして、上記モータ210,216を駆動することで、第1レンズチャック軸205上に載置されたレンズ204の位置を調整可能となっている。
【0009】
上記光点位置検出器203とモータ210,216には、演算表示装置230が接続されており、光点位置検出器203からの信号の処理とモータ210,216の駆動制御を行えるようになっている。
【0010】
さらに、第1レンズチャック軸205に載置したレンズ204の側方には、レンズ204の研削を行う砥石220が配置されている。砥石220は、レンズ204に対して回転しながらX方向に進退可能となっている。
【0011】
上記レンズの心取り装置で心取りする際、まず、第1レンズチャック軸205に対するレンズ204の心だし作業を行う。
【0012】
第1レンズチャック軸205の上にレンズ204を載置し、光源201からのレーザ光をレンズ204に照射しつつ、モータ210により第1レンズチャック軸205とともにレンズ204を回転軸208回りに回転させる。光源201からのレーザ光は、第1レンズチャック軸205の貫通孔205aを通ってレンズ204を透過し、その透過レーザ光は第2レンズチャック軸206の貫通孔206aを通り、コリメータレンズ202を介して光点位置検出器203の受光面にレーザ光の光点が投影される。そして、光点位置検出器203から受光面上の光点位置が演算表示装置230に入力される。このとき、第1レンズチャック軸205の回転軸208とレンズ204の光軸とが一致していないと、光点位置検出器203からの出力電圧(X−Y座標電圧)は一定とはならない。
【0013】
光点位置検出器203からの出力電圧が一定でない場合は、まず、モータ210の回転を停止してレンズ204の回転を停止する。そして、次にモータ216を駆動し、ねじ軸217によりロッド215をレンズ204に対してX方向に進退させてレンズ204の位置を調整し、その調整が終了したらレンズ204から待避させる。
【0014】
そして、再度、第1レンズチャック軸205をモータ210により回転させ、光点位置検出器203からの出力電圧の振れを演算表示装置230により確認する。この作業を出力電圧の振れが無くなるまで繰り返し、第1レンズチャック軸205の回転軸208とレンズ204の光軸とを一致させる。これにより心だし作業が終了し、次にレンズ204の心取り作業を行う。
【0015】
心だし作業を行った後、第1レンズチャック軸205の回転を停止させる。そして、第2レンズチャック軸206を下降させて第1レンズチャック軸205との間でレンズ204をチャックし、再度、第1レンズチャック軸205をモータ210により回転させる。
【0016】
この状態で、砥石220を回転させたまま、レンズ204に対してX方向に進退させ、砥石220によりレンズ204を研削する。これによりレンズ204の心取りが完了する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のレンズの心取り装置では、第1レンズチャック軸205および第2レンズチャック軸206に貫通孔205aおよび貫通孔206aを貫設し、各レンズチャック軸205,206を中空にした上で、この中空部分にレーザ光路を確保している。
【0018】
しかしながら、小径レンズを対象にしてレンズの心取りを行う場合、この小径レンズをチャックする各レンズチャック軸205,206も小径化する必要があり、各レンズチャック軸205,206そのものを小型円筒形状にしようとすると、上記中空部分にレーザ光路を確保できないという問題点があった。
【0019】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、従来と同等以上のレンズの心取り精度を保ちながら、同時に微小径のレンズの心取りを可能にするレンズの心取り装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明に係るレンズの心取り装置は、レンズを載置した状態で回転可能な第1レンズ保持部材と、第1レンズ保持部材に対向した位置に設けられ、レンズを上記第1レンズ保持部材とで挟持した状態で同期回転する第2レンズ保持部材と、上記レンズの被検面に向かって光を出射して、その反射光に基づいてレンズの偏心を検出する偏心検出器と、上記第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材との間に進退可能であり、上記偏心検出器から出射された光をレンズの被検面に向かうように反射させる光反射部材と、上記偏心検出器の検出結果に基づいて上記レンズの位置を調整させるレンズ押し部材と、所定位置に移動したレンズを回転させて、レンズの心取りを行う研削手段と、を具備することとした。
【0021】
本発明によれば、第1レンズ保持部材にレンズを載置して回転させつつ、光反射部材を介して偏心検出器から光をレンズの被検面に照射し、その照射光を上記被検面で反射させる。レンズの被検面で反射された光は、上記光反射部材を介して上記偏心検出器に入射される。この際、第1レンズ保持部材の回転軸に対してレンズの光軸が偏心している場合、レンズ押し部材によりレンズの位置調整を行い、上記回転軸とレンズ光軸を一致させる。このとき、レンズの被検面は、第1レンズ保持部材に保持されるレンズ面とは反対側のレンズ面であり、微小径のレンズであっても行うことが可能である。第1レンズ保持部材の回転軸とレンズの光軸を一致させた後、光反射部材を待避させ、レンズを第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材とで挟持し、第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材を同期回転させ、レンズの外周を研削手段で加工し、高精度なレンズの心取りを行う。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明のレンズの心取り装置を示す断面図を用いて説明すると、第1レンズ保持部材としての下軸ヤトイ2と第2レンズ保持部材としての上軸ヤトイ3は、上下に対向させてフレーム1に設けられており、これらの下軸ヤトイ2と上軸ヤトイ3は、フレーム1に対して高精度な同軸度と振れで回転可能に取り付けられている。
【0027】
下軸ヤトイ2は、上軸ヤトイ3の下方に配置され、その上部先端に心取りするレンズ20を、後述する被検面21を上方に向けて載置し、モータ16により回転軸4回りに高精度な偏心度で回転駆動される。
【0028】
一方、上軸ヤトイ3は、上記回転軸4と一致する回転軸4回りに回転可能となっており、図示しない動力伝達手段によって、上記モータ16により上記下軸ヤトイ2と同期して回転されるようになっている。また、上軸ヤトイ3は、図示しないZ方向駆動手段によって、下軸ヤトイ2との高精度な同軸度と振れを保ったままでZ方向(上下方向)へ回転軸4に沿って摺動可能となっている。すなわち、上軸ヤトイ3を下方に移動させることで、上軸ヤトイ3の下部先端をレンズ20の被検面21に当接させて下軸ヤトイ2との間でレンズ20を挟持し、既に下軸ヤトイ2上で回転軸4とレンズ20の光軸25が一致されている状態のレンズ20の位置を維持できるようになっている。
【0029】
また、フレーム1には、下軸ヤトイ2に載置されたレンズ20の被検面21に対して上方から光を出射可能な偏心検出器としての偏心測定器30が設けられている。この偏心測定器30は、上記レンズ20の被検面21の回転軸4に対する光軸25の傾きを光学的に検出可能となっており、上記光であるレーザ光を発するレーザ光源31と、下軸ヤトイ2に載置したレンズ20の被検面21の曲率に対応させてレーザ光源31からの出射ビームの広がりを調整するためにZ方向と直交するX方向(図において左右方向)に移動可能なレンズ群32と、レーザ光源31からのレーザ光を透過するとともに上記被検面21で反射してきた求心反射光を反射する偏光ビームスプリッタ34と、偏光ビームスプリッタ34で反射された求心反射光を検出するためのCCDカメラ33が備えられている。そして、上記被検面21の光軸25が下軸ヤトイ2の回転軸4に対して傾きを持っているときには、CCDカメラ33上で偏光ビームスプリッタ34からの求心反射光が、上記傾きに応じた半径を有する円を描くようになっている。
【0030】
また、フレーム1には、X方向に進退可能な可動軸を有するシリンダ35が偏心測定器30の上方に配置されている。シリンダ35の可動軸の先端には、光反射部材としての全反射ミラー36が、レーザ光源31からのレーザ光をレンズ20の被検面21に反射させるとともに被検面21からの求心反射光を偏光ビームスプリッタに反射させるように調整して固定され、下軸ヤトイ2(レンズ20)と上軸ヤトイ3との間で下軸ヤトイ3の回転軸4(測定位置)に対して進入および退避可能なように設けられている。すなわち、全反射ミラー36は、レンズ20の偏心検出時には、上記測定位置に移動され、下軸ヤトイ2と上軸ヤトイ3によるレンズ20のクランプ時には、上軸ヤトイ3の移動を妨げないように測定位置から待避位置へ移動可能になっている。
【0031】
下軸ヤトイ3に載置されたレンズ20の側方には、レンズ20の位置調整を下軸ヤトイ3上で行うレンズ押し部材40が設けられている。レンズ押し部材40は、X方向とY方向に微動可能なステージ41とステージ42上に固定されており、ステージ41,42を進退させることでレンズ20の位置調整を可能にしている。
【0032】
さらに、下軸ヤトイ3に載置されたレンズ20の側方には、上記レンズ押し部材40と干渉しない位置に、レンズ20の心取りを行う研削手段としての回転砥石50が設けられている。回転砥石50は、X方向とY方向に微動可能なステージ51とステージ52上に固定されており、回転砥石50を回転させながらステージ51,52により微動させることでレンズ20の外径を研削可能にしている。
【0033】
上記構成からなるレンズの心取り装置の作用を説明する。
上軸ヤトイ3を上方に移動させ、下軸ヤトイ2上にレンズ20を載置する。そして、全反射ミラー36をシリンダ35により上記測定位置に移動させ、下軸ヤトイ2に載置したレンズ20の偏心測定を行う。このとき、回転砥石50が待避位置にあり、モータ16は停止した状態である。
【0034】
偏心測定は、偏心測定器30のレンズ群32をレンズ20の被検面21の曲率に対応させてX方向に移動し、上記被検面21からの求心反射光がCCDカメラ33に映るように調整する。このとき、偏心測定器30のレーザ光源31から射出されたレーザ光の往路は、レンズ群32と偏光ビームスプリッタ34を透過し、全反射ミラー36で下方に反射し、上記被検面21に求心入射して、偏光方向を90°変化させて反射する。上記被検面21で反射された求心反射光の復路は、全反射ミラー36で反射された後、さらに偏光ビームスプリッタ34で反射してCCDカメラ33へ導かれる。
【0035】
次に、下軸ヤトイ2をモータ16により回転させ、レンズ20も下軸ヤトイ2の回転軸4を中心に回転させる。このとき、下軸ヤトイ2に載置されているレンズ20の被検面21の光軸25が、下軸ヤトイ2の回転軸4に対して傾きを持っていると、求心反射光はCCDカメラ34上で円を描く。そして、この円の半径と被検面21の曲率半径とから下軸ヤトイ2の回転軸4に対する被検面21の光軸25の傾き量を算出し、この算出結果に基づいてレンズ20の心だしを行う。
【0036】
心だしは、上記算出結果により、レンズ押し部材40をステージ41とステージ42により進退させてレンズ20を下軸ヤトイ2上で移動し、下軸ヤトイ2に対するレンズ20の位置を調整して上記傾き量を小さくしていく。そして、下軸ヤトイ2の回転軸4とレンズ20の被検面21の光軸25とを一致させる心だしを行った後、レンズ押し部材40と全反射ミラー36を待避位置に移動する。そして、上軸ヤトイ3を下降させてレンズ20を下軸ヤトイ2との間で挟持し、レンズ20をクランプ固定してレンズ20の研削を行う。
【0037】
研削は、レンズ20を下軸ヤトイ2と上軸ヤトイ3によりクランプ固定したまま、モータ16と図示しない動力伝達手段により下軸ヤトイ2と上軸ヤトイ3を同期回転させ、回転砥石50を回転させながらステージ51とステージ52により進退させてレンズ20の外径の研削と面取りを行う。そして、回転砥石50によるレンズ20への所定の研削が終了した後、回転砥石50を待避位置に移動させ、その回転を停止する。また、モータ16の回転を停止させて、下軸ヤトイ2と上軸ヤトイ3の回転を停止し、上軸ヤトイ3を上方に移動させてレンズ20のクランプを解除し、レンズ20を下軸ヤトイ2上から取り出す。以上により、レンズ20の心取りが完了する。
【0038】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を図2および図3に基づいて説明する。図2は本実施の形態1のレンズの心取り装置を示す断面図、図3はレンズ押し部材を示す斜視図である。
【0039】
図2において、フレーム101は、X方向(図における左右方向)に延在させた下板101aと上板101bをZ方向(図における上下方向)に延在させた側板101cの下部と上部に有する断面コの字形状をなしている。このフレーム101の下板101aには、第1レンズ保持部材としての下軸ヤトイ102が回転可能に設けられている。
【0040】
一方、フレーム101の上板101bには、下軸ヤトイ102と対向した位置に第2レンズ保持部材としての上軸ヤトイ103が回転可能に設けられている。
【0041】
下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103は、それぞれの回転軸104が一致しており、フレーム101に対して高精度な同軸度と振れで、同期回転可能に取り付けられている。なお、下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103は、多機種のレンズの心取りが行えるように、交換可能となっている。
【0042】
下軸ヤトイ102は、先端の表面の中心部がくり貫かれた略円柱形状をなしており、載置するレンズ120の保持面120aの円周上に接触するような突起部102aを有している。また、下軸ヤトイ103の内部には、吸着孔としての貫通孔122が設けられており、この貫通孔122を図示しない真空ポンプ等で負圧にすることにより、下軸ヤトイ102上に載置されたレンズ120を安定して保持するようになっている。
【0043】
下軸ヤトイ102の基端部は、フレーム101の下板101aより下方に突出しており、その基端部には、ヘリカルギア105が取り付けられており、モータ116の回転駆動力がヘリカルギア106,107,108,109,110および105を介して下軸ヤトイ102に伝達するようになっている。
【0044】
一方、上軸ヤトイ103は、下軸ヤトイ102と高精度な同軸度と振れを保ったまま上下方向(矢印Z方向)に摺動可能であり、下軸ヤトイ102に対向している先端の表面の中心部がくり貫かれた略円柱形状をなしており、下軸ヤトイ102上に載置されているレンズ120の被検面121の円周上に接触するような突起部103aを有している。
【0045】
上軸ヤトイ103の基端部は、フレーム101の上板101bより上方に突出しており、その基端部には、ヘリカルギア111が取り付けられており、モータ116の回転駆動力がヘリカルギア106,112,113,114,115および111を介して上軸ヤトイ103に伝達するようになっている。
【0046】
なお、ヘリカルギア115およびヘリカルギア114は、ヘリカルギア115とヘリカルギア114を連結する軸部材117がフレーム101の上板101bの上面に設置されているシリンダ118に回転可能に保持されており、このシリンダ118により上下方向に移動可能となっている。これにより、ヘリカルギア115およびヘリカルギア114の上下方向の移動に合わせて上軸ヤトイ103も上下方向に移動する。
【0047】
上軸ヤトイ103が上方向に移動して、上軸ヤトイ103の突起部103aがレンズ120の被検面121と離れた状態すなわち待避位置に移動した状態では、ヘリカルギア114とヘリカルギア113とが離れる。
【0048】
一方、上軸ヤトイ103が下方向に移動して、上軸ヤトイ103の突起部103aがレンズ120の被検面121と当接した状態すなわち心取り位置に移動した状態では、ヘリカルギア114とヘリカルギア113が噛合うようになっている。
【0049】
このように、本実施の形態では、ヘリカルギアを用いることで、下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103とが高精度な同期回転が可能となる。そして、上軸ヤトイ103は、下軸ヤトイ102上に載置されたレンズ120の挟持(クランプ)とモータ116からの回転駆動力の伝達が同時に行える。
【0050】
また、フレーム101の側板101cには、下軸ヤトイ102上に載置されたレンズ120の偏心を光学的に測定する偏心検出器としての偏心測定器130が設けられている。この偏心測定器130は、レンズ120の被検面121での求心反射光を検出するためのCCDカメラ133、光としてのレーザ光を出射するレーザ光源131、レンズ群132および偏光ビームスプリッタ134を具備している。
【0051】
レーザ光源131、レンズ群132および偏光ビームスプリッタ134はX方向に同軸上に配置されており、CCDカメラ133は偏光ビームスプリッタ134の反射位置で且つ上記軸から外れたところに配置されている。
【0052】
レンズ群132は、レンズ120の曲率に合わせてレーザ光源131から出射されたレーザ光の広がりを調整するために、上下方向に対して垂直方向(矢印X方向)に移動可能となっている。
【0053】
そして、レンズ120の被検面121の光軸125が下軸ヤトイ102の回転軸104に対して傾きを持っていると、レンズ120を載置した下軸ヤトイ102を回転させたときに、CCDカメラ133上で求心反射光が円を描くようになっている。
【0054】
また、フレーム101の上板101bの下面には、シリンダ135により回動可能な光反射部材としての全反射ミラー136が設けられている。この全反射ミラー136は、シリンダ135を駆動することにより、下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103との間で且つそれらの回転軸104上である測定位置と、偏心測定器130の開口部分130aを覆う待避位置との間を回動するようになっている。
【0055】
下軸ヤトイ102に載置されたレンズ120の側方には、レンズ押し部材140が設けられている。このレンズ押し部材140は、図3に示すように、下軸ヤトイ102に載置されたレンズ120と接触して押圧する接触面140aを先端に有するLの字形状をなしている。
【0056】
レンズ押し部材140は、フレーム101の下板101a上に設けられX方向に微動可能なXピエゾステージ141上に取り付けられており、上記偏心測定器130の測定結果に基づいてXピエゾステージ141を駆動することにより、レンズ120の外周面120bを押圧してレンズ120の位置を微調整する。
【0057】
一方、下軸ヤトイ102に載置されたレンズ120の側方で且つレンズ押し部材140の対向位置には、研削手段としての回転砥石150が設けられている。
【0058】
この回転砥石150は、X方向に移動可能なXステージ151上に取り付けられており、このXステージ151がZ方向に移動可能なZステージ152上に取り付けられている。Zステージ152はフレーム101の下板101a上に設けられており、回転砥石150は、Xステージ151とZステージ152により、加工位置と待避位置に移動可能となっている。
【0059】
そして、回転砥石150により、レンズ120の光軸125と下軸ヤトイ102の回転軸104とが一致した状態すなわち調心した状態のレンズ120の外周面(外径)120bを研削して面取りするいわゆる面取りを行う。
【0060】
なお、図示していないが、上記研削や面取りを行う際、レンズ120の外周面120bに向かって研削液を流す研削液流出装置やレンズ120を研削したときに発生する研削粉が回りに飛散しないようにする研削粉飛散防止用のシャッターを設けても良く、これにより安定した研削や面取りを行うことができる。
【0061】
次に、上記構成からなるレンズの心取り装置の作用を図2〜図6に基づいて説明する。図4は下軸ヤトイ上に載置されたレンズの求心反射光によりCCDカメラ上に描かれる円の軌跡を示す図、図5は本実施の形態のレンズの心取り装置によるレンズの心だし状態を示す断面図、図6は本実施の形態のレンズの心取り装置によるレンズの心取り状態を示す断面図である。
【0062】
まず、シリンダ118を駆動することにより、図2に示すように、上軸ヤトイ103を上方向の待避位置に移動させ、ヘリカルギア114とヘリカルギア113とを離した状態にする。
【0063】
そして、下軸ヤトイ102上に、両側の光学面(被検面121と保持面120a)が凸形状であるレンズ120を載置する。その後、図示しない真空ポンプ等によって下軸ヤトイ102の貫通孔122内を負圧にし、レンズ120の保持面120aを下軸ヤトイ102の突起部102aに吸着させる。
【0064】
次に、シリンダ135を駆動することにより、全反射ミラー136を下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103との間で且つそれらの回転軸104上である測定位置に移動させる。
【0065】
その後、偏心測定器130のレンズ群132をX方向に移動させ、レンズ120の被検面121の曲率半径に合わせた位置に調整する。偏心測定器130のレーザ光源131から出射されたレーザ光の往路は、レンズ群132と偏光ビームスプリッタ134を透過し、全反射ミラー136で下方に向けて反射した後、レンズ120の被検面121に求心入射して、偏光方向を90°変化させて反射する。
【0066】
そして、求心反射光の復路は、全反射ミラー136で反射し、偏光ビームスプリッタ134で上方に向けて反射してCCDカメラ133に導かれる。
【0067】
この状態で、モータ116を回転させ、モータ116の回転駆動力がヘリカルギア106,107,108,109,110および105を介して下軸ヤトイ102を回転させる。
【0068】
これにより、下軸ヤトイ102上に載置されたレンズ120も回転し、下軸ヤトイ102の回転軸104とレンズ120の被検面121の光軸125が一致していない状態では、求心反射光はCCDカメラ133上で円の軌跡を描く。
【0069】
具体的な求心反射光の様子を図4を用いて説明する。
図4において、CCDカメラ133上に捕らえられた求心反射光の回転軌跡は、点線で示すような円を描いている。この回転軌跡の画像を画像演算することにより、円の半径と中心を求める。ここで、円の半径は回転軸104と光軸125との傾き量に相当し、円の中心は回転軸104に相当する。さらに、レンズ120の被検面121の曲率半径から偏心量を算出する。
【0070】
次に、算出した偏心量に基づいて、図5に示すように、Xピエゾステージ141を駆動することにより、レンズ押し部材140をX方向に進退させ、レンズ押し部材140の接触面140aでレンズ120の外周面(側面)120bを押圧する。これにより、レンズ120の位置を調整し、レンズ120の光軸125と下軸ヤトイ102の回転軸104との傾き量を小さくしていく。
【0071】
つまり、求心反射光のスポットが上記円の中心に一致させることにより、下軸ヤトイ102の回転軸104とレンズ120の被検面121の光軸125が一致することになる。
【0072】
このとき、下軸ヤトイ102の貫通孔122を負圧としているため、レンズ120がレンズ押し部材140の進退によって、下軸ヤトイ102上から落ちることはない。なお、レンズ押し部材140の駆動量とCCDカメラ133上での求心反射光の移動量との関係は予め算出されている。
【0073】
そして、下軸ヤトイ102の回転軸104とレンズ120の被検面121の光軸125とを一致させた後、図6に示すように、レンズ押し部材140と全反射ミラー136を待避位置に移動させる。このように、全反射ミラー136は、待避位置に移動すると、偏心測定器130の開口部分130aをカバーする役目を果たし、後に行う心取りのときに発生する研削粉や研削液の付着を防止でき、偏心測定器130が汚れない。
【0074】
次に、シリンダ118を駆動することにより、上軸ヤトイ103を下方向に移動させ、この上軸ヤトイ103と下軸ヤトイ102とでレンズ120を挟持(クランプ)する。このとき、ヘリカルギア114とヘリカルギア113とが噛合う。
【0075】
その後、モータ116を回転させることにより、レンズ120をクランプした状態で上軸ヤトイ103と下軸ヤトイ102を同期回転させる。この状態で、回転砥石150を待避位置から加工位置に前進させるとともに、Xステージ151とZステージ152を駆動することにより、レンズ120の外周面(外径)120bの研削と面取りを行う。
【0076】
そして、レンズ120の面取りが所定量達したところで、面取りを終了し、回転砥石150を待避位置に移動させる。
【0077】
その後、モータ116の回転を停止させ、上軸ヤトイ103を上方向に待避させてから、レンズ120の吸着を停止させ、面取りされたレンズ120を下軸ヤトイ102上から取り出す。
【0078】
本実施の形態によれば、下軸ヤトイ102の貫通孔112を負圧してレンズ120を下軸ヤトイ102上に吸着しているので、レンズ押し部材140によりレンズ120を押圧して下軸ヤトイ102に対するレンズ120の心だし作業を行う際に、レンズ押し部材140の進退によりレンズ120が下軸ヤトイ102上から落ちるのを防ぐことができる。
【0079】
また、レンズ102を研削してレンズ102の心取りを行う際に、全反射ミラー136をシリンダ135により回動して偏心測定器130の開口部分130aをカバーするので、心取り作業中に生ずる研削液や研削粉(切り粉)等の付着を防止し、偏心測定器130が汚れるのを防ぐことができる。
【0080】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2を図7に基づいて説明する。図7は本実施の形態のレンズの心取り装置を示す断面図である。
【0081】
本実施の形態のレンズの心取り装置は、図7に示すように、実施の形態1と同様に、断面コの字形状をなすフレーム101に第1レンズ保持部材としての下軸ヤトイ102および第2レンズ保持部材としての上軸ヤトイ103が配設されており、その説明を省略する。また、下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103を同期回転させる構成、および偏心検出器としての偏心測定器130のフレーム101の設置位置およびその構成も、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略するし、実施の形態1と異なる構成について、以下に説明する。
【0082】
図7において、フレーム101の上板101bと偏心測定器130との間には、シリンダ135によりX方向(図の左右方向)に進退可能な光反射部材としての全反射ミラー136が設けられている。この全反射ミラー136は、シリンダ135を駆動することにより、下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103との間で且つそれらの回転軸104上である測定位置と、その測定位置から移動可能になっている。すなわち、全反射ミラー136は、レンズ120の偏心測定時には上記測定位置に移動され、レンズ120を下軸ヤトイ103と上軸ヤトイ103とでクランプする際には上記測定位置から待避位置へ移動可能になっている。
【0083】
また、下軸ヤトイ102に載置されたレンズ120の側方両側には、レンズ120の位置調整を行うレンズ押し部材140,140が、下軸ヤトイ103の回転軸104を中心にして180°の位置で対向して設けられている。両レンズ押し部材140は、実施の形態1と同様に、Lの字形状をなしている。
【0084】
図7において、下軸ヤトイ102の右側に配置されている一方のレンズ押し部材140は、X方向に微動可能なXピエゾステージ141上に取り付けられている。Xピエゾステージ141は、フレーム101の下板101a上に取り付けられZ方向に移動可能なZピエゾステージ142に取り付けられており、レンズ押し部材140はX方向とZ方向に移動可能になっている。
【0085】
また、他方のレンズ押し部材140は、X方向に微動可能なXピエゾステージ143上に取り付けられ、このXピエゾステージ143は、フレーム101の下板101a上に取り付けられZ方向に移動可能なZピエゾステージ144に取り付けられており、このレンズ押し部材140も上記一方のレンズ押し部材140と同様に、X方向とZ方向に移動可能になっている。
【0086】
両レンズ押し部材140,140は、偏心測定器130の測定結果に基づいてXピエゾステージ141,143およびZピエゾステージ142,144により移動され、下軸ヤトイ102上に載置してあるレンズ120の位置を微調整する。
【0087】
本実施の形態に備えた下軸ヤトイ102には、実施の形態1の下軸ヤトイ102と異なり、レンズ120を吸着するための貫通孔が設けられていない。この下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103は、実施の形態1と同様に、多機種のレンズの心取りが行えるように、交換可能となっている。なお、レンズ押し部材140によりレンズ120の位置調整を行う際には、対向させた一つのレンズ押し部材104,140により行うので、レンズ120が下軸ヤトイ102から落ちることはない。
【0088】
また、本実施の形態では、研削手段としての回転砥石150が、X方向とZ方向およびX,Z方向に直交するY方向に移動可能に設けられている。すなわち、回転砥石150は、レンズ120の加工位置と待避位置に移動可能となっており、レンズ120の光軸125と下軸ヤトイ102の回転軸104とが一致した状態すなわち調心したレンズ120の外周面(外径)120bの研削と面取りを行えるようになっている。
【0089】
なお、図示していないが、上記研削や面取りを行う際、レンズ120の外周面120bに向かって研削液を流す研削液流出装置やレンズ120を研削したときに発生する研削粉が回りに飛散しないようにする研削粉飛散防止用のシャッターを設けても良く、これにより安定した研削や面取りを行うことができる。
【0090】
次に、上記構成からなるレンズの心取り装置の作用を図7〜図9に基づいて説明する。図8は本実施の形態のレンズの心取り装置によるレンズの心だし状態を示す断面図、図9は本実施の形態のレンズの心取り装置によるレンズの心取り状態を示す断面図である。
【0091】
まず、シリンダ118を駆動することにより、図7に示すように、上軸ヤトイ103を上方向の待避位置に移動させ、ヘリカルギア114とヘリカルギア113とを離した状態にする。
【0092】
そして、モータ116により回転駆動されていない下軸ヤトイ102上に、光学面が凹凸形状(被検面121が凹形状で保持面102aが凸形状からなるメニスカスレンズ)であるレンズ120を載置する。
【0093】
次に、シリンダ135を駆動して全反射ミラー136をX方向に移動させ、全反射ミラー136を下軸ヤトイ102と上軸ヤトイ103との間で且つそれらの回転軸104上である測定位置へ配置させる。
【0094】
その後、偏心測定器130のレーザ光源131から出射されたレーザ光をレンズ120の被検面121に求心入射し、レンズ120の被検面121からの求心反射光をCCDカメラ133で捕らえ、下軸ヤトイ102の回転軸104とレンズ120の被検面121の光軸125が一致していない状態において求心反射光がCCDカメラ133上で描く円の軌跡の画像を演算処理し、円の半径と中心を求めるとともに、レンズ120の被検面121の曲率半径から偏心量を算出するまでは、実施の形態1と同様である。
【0095】
次に、算出した偏心量に基づいて、図8に示すように、Xピエゾステージ141,143とZピエゾステージ142,144を駆動することにより、レンズ押し部材140をX方向とZ方向に進退させ、レンズ押し部材140の下面でレンズ120の被検面121の外縁部を押圧する。このとき、一方のレンズ押し部材140(図8にあっては、右側のレンズ押し部材140)により押圧してレンズ120の位置を調整し、レンズ120の光軸125と下軸ヤトイ102の回転軸104との傾き量を小さくしていく。
【0096】
つまり、求心反射光のスポットが上記円の中心に一致させることにより、下軸ヤトイ102の回転軸104とレンズ120の被検面121の光軸125が一致することになる。なお、レンズ押し部材140の駆動量とCCDカメラ133上での求心反射光の移動量との関係は予め算出されている。
【0097】
そして、下軸ヤトイ102の回転軸104とレンズ120の被検面121の光軸125とを一致させた後、図9に示すように、レンズ押し部材140と全反射ミラー136を待避位置に移動させる。
【0098】
次に、シリンダ118を駆動することにより、上軸ヤトイ103を下方向に移動させ、この上軸ヤトイ103と下軸ヤトイ102とでレンズ120を挟持(クランプ)する。このとき、ヘリカルギア114とヘリカルギア113とが噛合う。
【0099】
その後、モータ116を回転させることにより、レンズ120をクランプした状態で上軸ヤトイ103と下軸ヤトイ102を同期回転させる。この状態で、回転砥石150を待避位置から移動させてレンズ120の加工位置に配置し、回転砥石150をX,Y,Z方向に微動し、レンズ120の外周面(外径)120bの研削と面取りを行う。
【0100】
そして、レンズ120の面取りが所定量達したところで、面取りを終了し、回転砥石150を待避位置に移動させる。
【0101】
その後、モータ116の回転を停止させ、上軸ヤトイ103を上方向に待避させてから、レンズ120の吸着を停止させ、面取りされたレンズ120を下軸ヤトイ102上から取り出すのは、実施の形態1と同様である。
【0102】
本実施の形態によれば、2つのレンズ押し部材140,140を下軸ヤトイ102の回転軸104を中心にして180°の位置に対向配置し、各レンズ押し部材140を、それぞれのXピエゾステージ141,143によりX方向に移動可能であるとともに、それぞれのZピエゾステージ142,144によりZ方向に移動可能であるので、凹凸レンズの芯出し行って心取りを行うことができる。
【0103】
また、レンズ押し部材140,140により、芯出しを2箇所で行えるので、下軸ヤトイ102の停止位置がラフであっても良く、下軸ヤトイ102に対する芯出しを高精度に行うことができる。
【0104】
さらに、レンズ102を載置する下軸ヤトイ102は、円筒形状ではなく、内部に貫通孔を有しない略円柱形状なので、小型化と高精度化を容易に実現することができる。
【0105】
なお、上記した具体的実施の形態から次のような構成の技術的思想が導き出される。
(付記)
(1)互いの距離を狭めることでレンズを押圧し、かつ同期回転する少なくとも2つのレンズ保持部材と、
上記レンズ保持部材の上に載置されたレンズの偏心を光学的に検出する偏心検出器と、
先端部にレンズ押し部材を配し、少なくとも1方向に駆動可能で上記レンズ保持部材の上に載置されたレンズを押圧するステージと、
上記レンズ保持部材と共に回転させたレンズを研削手段とからなるレンズの心取り装置であって、
上記レンズ保持部材間に配置され、進退する光反射部材を有することを特徴とするレンズの心取り装置。
【0106】
(2)レンズを載置した状態で回転可能な第1レンズ保持部材と、
第1レンズ保持部材に対向した位置に設けられ、レンズを上記第1レンズ保持部材とで挟持した状態で同期回転する第2レンズ保持部材と、
上記レンズの被検面に向かって光を出射して、その反射光に基づいてレンズの偏心を検出する偏心検出器と、
上記第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材の回転軸上に進退可能であり、上記偏心検出器から出射された光をレンズの被検面に向かうように反射させる光反射部材と、
上記偏心検出器の検出結果に基づいて上記レンズの位置を調整させるレンズ押し部材と、
上記レンズの外周面に向かって進退可能なレンズの心取りを行う研削手段と、を具備することを特徴とするレンズの心取り装置。
【0107】
(3)上記光反射部材は、上記第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材の回転軸上である測定位置と、上記偏心検出器の開口部分を覆う待避位置との間を回動可能であることを特徴とする付記(2)に記載のレンズの心取り装置。
【0108】
(4)上記第1レンズ保持部材と上記第2レンズ保持部材は、略円柱形状の表面の中心部をくり貫いた、レンズの保持面の円周上と接触する突起部を有することを特徴とする付記(2)または(3)に記載のレンズの心取り装置。
【0109】
(5)上記レンズ押し部材は、上記第1レンズ保持部材および第2レンズ保持部材の回転軸に沿って移動可能であるとともに、上記回転軸に対して直交方向に移動可能であることを特徴とする付記(2)から(4)のいずれかに記載のレンズの心取り装置。
【0110】
付記(1)のレンズの心取り装置によれば、レンズ保持部材に載置したレンズの上面から光学的にレンズの偏心を検出するので、レンズに対して光源から光を照射する貫通孔をレンズ保持部材に設けて中空にしなくても良いため、レンズの研削時に偏心検出器の光源と光点検出器を覆い、研削粉や研削液等で汚れるのを防止することができる。また、レンズ保持部材を中空にしなくても良いため、レンズ保持部材を小型で高精度にすることができ、微小径レンズの調心、研削が可能であり、装置も小型化と低価格化が可能である。
【0111】
また、レンズの心だしと外径の研削を連続して行えるため、レンズの心取り加工を高速化かつ省人化を可能である。
【0112】
さらに、光反射体を用いてレンズの偏心測定をしているため、測定部に汚れが付くのを防ぐことが可能である。
【0113】
また、微小ステージを有するため、微小径の凹凸レンズや凹凸レンズ(メニスカスレンズ)の調心と外径研削の自動化が可能である。
【0114】
付記(2)のレンズの心取り装置によれば、偏心検出器から出射した光を光反射部材により反射させて第1レンズ保持部材に載置したレンズの被検面に向かって照射し、その反射光を上記光反射部材により反射させて上記偏心検出器に取り込んで第1レンズ保持部材の回転軸に対するレンズの偏心状態を検出できるので、第1レンズ保持部材および第2レンズ保持部材の小型化が可能で、微小径のレンズであっても、高精度に心取りを行うことができる。
【0115】
さらに、偏心検出器の検出結果に基づいて、レンズ押し部材を移動し、レンズの調心を連続的に行えるので、レンズの心取りの高速化と省人化を図ることができる。
【0116】
付記(3)のレンズの心取り装置によれば、研削手段によるレンズの心取り中に、光反射部材により偏心検出器の開口部分を覆い、研削加工時の切削粉や研磨液等の汚れが偏心検出器に付着するのを防ぎ、安定した高精度の心取り作業を連続して行うことができる。
【0117】
付記(4)のレンズの心取り装置によれば、略円柱形状の表面の中心部をくり貫いて形成した突起部の先端にレンズを載置することで、第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材の回転軸とレンズの光軸とを一致させることができる。さらい、円柱形状の第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材にすることで、各レンズ保持部材の小径化を図ることが可能で、微小径のレンズであっても高精度の心取りを行うことができる。
【0118】
付記(5)のレンズの心取り装置によれば、レンズの調心を行うレンズ押し部材が上記第1レンズ保持部材および第2レンズ保持部材の回転軸に対して平行および直交して移動可能であるので、例え凹形状のレンズ面を片面に有するレンズであっても、正確かつ容易に芯出しを行うことができる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係るレンズの心取り装置によれば、偏心検出器から出射した光を光反射部材により反射させて第1レンズ保持部材に載置したレンズの被検面に向かって照射し、その反射光を上記光反射部材により反射させて上記偏心検出器に取り込んで第1レンズ保持部材の回転軸に対するレンズの偏心状態を検出できるので、第1レンズ保持部材および第2レンズ保持部材の小型化が可能で、微小径のレンズであっても、高精度に心取りを行うことができる。さらに、偏心検出器の検出結果に基づいて、レンズ押し部材を移動し、レンズの調心を連続的に行えるので、レンズの心取りの高速化と省人化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための概略的な断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるレンズ押し部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるレンズの偏心状態の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1を示す断面図で、レンズの心だし状態を示している。
【図6】本発明の実施の形態1を示す断面図で、レンズの心取り状態を示している。
【図7】本発明の実施の形態2を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2を示す断面図で、レンズの心だし状態を示している。
【図9】本発明の実施の形態2を示す断面図で、レンズの心取り状態を示している。
【図10】従来のレンズ心取り装置を示す断面図である。
【符号の説明】
2,102 下軸ヤトイ
3,103 上軸ヤトイ
20,120 レンズ
30,130 偏心測定器
36,136 全反射ミラー
40,140 レンズ押し部材
50,150 回転砥石
122 貫通孔

Claims (1)

  1. レンズを載置した状態で回転可能な第1レンズ保持部材と、
    第1レンズ保持部材に対向した位置に設けられ、レンズを上記第1レンズ保持部材とで挟持した状態で同期回転する第2レンズ保持部材と、
    上記レンズの被検面に向かって光を出射して、その反射光に基づいてレンズの偏心を検出する偏心検出器と、
    上記第1レンズ保持部材と第2レンズ保持部材との間に進退可能であり、上記偏心検出器から出射された光をレンズの被検面に向かうように反射させる光反射部材と、
    上記偏心検出器の検出結果に基づいて上記レンズの位置を調整させるレンズ押し部材と、
    所定位置に移動したレンズを回転させて、レンズの心取りを行う研削手段と、
    を具備することを特徴とするレンズの心取り装置。
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