JP4370026B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、挿入部に柔軟部分を有するオートクレーブ滅菌対応の内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
挿入部を体腔内等に挿入することによって体腔内の深部等を観察したり、必要に応じて処置具を用いることにより治療処置等を行なうことのできる内視鏡が医療分野において広く用いられるようになった。医療用内視鏡の場合、使用した内視鏡を確実に消毒滅菌することが感染症等を防止するために必要不可欠である。
【0003】
従来の消毒滅菌処理はエチレンオキサイド等のガスや消毒液に頼っていたが、周知のように滅菌ガス類は猛毒であり、滅菌作業を安全性を確保した状態で行わなければならないため、煩雑な作業が要求される。また、滅菌後に機器に付着したガスを取り除くためのエアレーションに時間がかかるため、滅菌後すぐに使用できないという不都合がある。また、ガスが与える環境への悪影響が問題視されている。さらに、ランニングコストが高いという問題がある。
【0004】
一方、消毒液の場合は消毒液の管理が煩雑であり、消毒液の廃棄処理に多大な費用が必要となる問題がある。
【0005】
そこで、最近では、煩雑な作業を伴わず、滅菌後、すぐに使用でき、しかもランニングコストの安いオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)が内視鏡機器では主流になりつつある。
【0006】
このオートクレーブ滅菌の代表的な条件としては、米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992があり、この条件としてはプレバキュームタイプで滅菌工程132℃、4分、またグラビティタイプで滅菌工程132℃、10分になっている。オートクレーブ滅菌の温度としては一般的に115℃〜140℃の間で設定されることが多い。
【0007】
一般的なプレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌工程には、滅菌対象の医療機器を収容した滅菌室内を滅菌前に減圧(陰圧)するプレバキューム工程と、その後に、滅菌室内に高圧高温水蒸気を送り込んで滅菌処理を行う滅菌工程と、滅菌処理後、内視鏡を乾燥させるために滅菌室内を再度減圧する乾燥工程とが含まれている。
【0008】
プレバキューム工程は、その後に行われる滅菌工程の際に医療機器の細部にまで蒸気を浸透させるための工程であり、滅菌室内を減圧することによって収容された医療機器全体に高圧高温蒸気が行き渡るようになる。尚、このプレバキューム工程は、エチレンオキサイドガスを使用するガス滅菌においても採用されている。
【0009】
プレバキューム工程及び乾燥工程における滅菌室内の圧力は、大気圧に対して−0.07MPa程度である。一方、滅菌工程時の圧力は、大気圧に対して+0.2MPa程度に設定される場合が多い。
【0010】
一般に、挿入部に柔軟性を有する内視鏡や湾曲部を有する湾曲付き内視鏡の場合、柔軟性を有する挿入部や湾曲部の外装部材として、ゴム、エラストマー等の柔軟な高分子材料を素材とする外皮チューブが使用されている。また、内視鏡は薬液浸漬を可能とするために全体を水密に密閉できる構造となっている。
【0011】
したがって、内視鏡を水密状態を保持したままの状態でオートクレーブ滅菌処理を行った場合、プレバキューム工程等の減圧工程の際に、内視鏡の外装の中で最も柔軟な外皮チューブが膨出し易くなり、耐久性が損なわれるおそれがある。同様に、内視鏡を構成する部品間の接合部の比較的弱い部分が内視鏡の内側と外側との圧力差の影響を受けることにより、耐久性が低下してしまう。
【0012】
そのため、実公平1−12802号公報に開示されている気密内視鏡では、オートクレーブ滅菌と同様のプレバキューム工程を有するエチレンオキサイドガス滅菌等のガス滅菌処理を行う際に、内視鏡外壁に設けられた内外連通装置に気密解除キャップを装着して内視鏡内外の通気性を確保することにより、減圧工程時に湾曲部の外皮チューブが膨出するのを防止している。
【0013】
また、特開昭63−315024号公報に開示されている、予め内視鏡外壁の一部に連通路が設けられている内視鏡の場合は、連通路に装着されている防水キャップを外した状態でエチレンオキサイドガス滅菌等のガス滅菌処理を行うことにより、内視鏡の内側と外側との圧力差をなくし、減圧工程時に湾曲部の外皮チューブ等が膨出するのを防止している。
【0014】
また、特開平8−86966号公報には、通常は閉じられている内外連通弁を内視鏡の隔壁部に設け、この内外連通弁に、内視鏡内側から外側への通気のみを許容する逆止弁を装着自在とし、内外連通弁に逆止弁を装着したときは内外連通弁が開き、また、内外連通弁から逆止弁を取り外す動作の際には、内外連通弁と逆止弁とが強制的に同時に開いた状態となり、内視鏡の内側と外側とが連通する強制連通過程を設けた内視鏡が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実公平1−12802号公報、及び特開昭63−315024号公報に開示されている手段を用いて、オートクレーブ滅菌の際に、内視鏡の内側と外側とを連通させた場合には、高圧高温水蒸気が内視鏡内部に積極的に侵入してしまうため、内視鏡内部に侵入する蒸気によって、内視鏡内部に設けられている観察手段を始めとする各種内蔵物や内部部材の劣化を早期化させてしまうという問題がある。
【0016】
また、特開平8−86966号公報の構成を実現すれば、オートクレーブ滅菌の際に高圧高温水蒸気が内視鏡内部に侵入する量を減少させることはできるが、オートクレーブ滅菌後に逆止弁の取外しを忘れると、内視鏡の内部が外気圧よりも低くなるため、外皮チューブが内部構造体に貼りついた状態となり、次回使用の際に、外皮チューブのスムーズな相対動作が阻害され、耐久性が低下してしまう。
【0017】
また、逆止弁を取り外しても内外連通弁と逆止弁が強制的に同時に開いた状態にされるのは逆止弁を取り外す過程の一部ゆえ、素早く逆止弁を取り外すと内視鏡外部の空気が十分に内視鏡の内部に入らず、この場合も外皮チューブが内部構造体に貼りついた状態が継続されてしまい、前述と同様の不具合を起こすおそれがある。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑み、オートクレーブ滅菌時に内視鏡内部への高圧高温水蒸気の侵入を阻止すると共に、次回の内視鏡使用までに内視鏡内外の圧力差を確実に解消することのできる内視鏡を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、先端湾曲機構を有し、湾曲機構の外装に柔軟なチューブ体を設け、内視鏡手元側に設けた周辺機器への接続部に装着することで内視鏡を水密状態に保持するキャップを有する内視鏡において、前記接続部に内視鏡の内外を連通する通気口を設け、前記キャップに相対的に内視鏡の内側よりも外側の圧力が低いときのみ開放動作する弁体を設けると共に、前記キャップは前記接続部に対して着脱可能としたことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、オートクレーブ滅菌を行う前に、内視鏡の接続部に対して内視鏡内部を水密状態に保持するキャップを装着することで、オートクレーブ滅菌前の減圧工程において滅菌室が減圧されると、弁体が開放動作して内視鏡内外の圧力差が無くなり、柔軟なチューブ体の圧力差によって生じる膨出が防止される。そして、その後のオートクレーブ滅菌の際には、内視鏡の外側の圧力が内側の圧力に対して相対的に高くなるため、弁体が自動的に密閉されて内視鏡内部の水密性が保持され、内視鏡内部への高圧高温水蒸気の積極的な侵入が阻止される。また、次回、内視鏡を使用する際には、接続部に対して周辺機器を接続するために、必ずキャップが取り外されるため、そのとき外気が内視鏡内部に導入されて、内視鏡内外の圧力差が解消される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1、図2に本発明の第1実施の形態を示す。ここで、図1は電子内視鏡の概略構成図、図2は逆止弁キャップの縦断面図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態で採用する電子内視鏡(以下、単に「内視鏡」と称する)1は、CCD等の固体撮像素子を先端に内蔵する挿入部2と、この挿入部2の基端側に接続され、観察者が把持して種々の操作を行う操作部3と、この操作部3より延出したユニバーサルコード4とから構成されている。
【0023】
ユニバーサルコード4の端部に、周辺機器への接続部であるコネクタ部5が設けられ、このコネクタ部5に、周辺機器である光源装置、カメラコントロールユニット(以下、CCU)に接続するライトガイドコネクタ6と、映像信号伝送用コネクタであるカメラコネクタ7とが設けられている。
【0024】
挿入部2は、先端部8と、湾曲自在で外装に柔軟な外皮チューブ39を有する湾曲部9と、可撓性を有する可撓管10とで構成されている。
【0025】
また、操作部3には、湾曲部9の動作を制御する湾曲操作レバー11と、鉗子等の処置具を挿入する処置具挿入口12と、画像のフリーズ、レリーズ等を行うための複数のスイッチ13が設けられている。
【0026】
さらに、カメラコネクタ7の内側には内視鏡内外を通気するための通気口14が穿設されている。このカメラコネクタ7には防水キャップ15が着脱可能となっており、この防水キャップ15をカメラコネクタ7に装着することによって内視鏡1は水密に密閉されて構成され、防水キャップ15を取り外すことによって内視鏡1の隔壁内外を通気することができる。
【0027】
内視鏡1を流水洗滌、或いは薬液浸漬するときは、この防水キャップ15をカメラコネクタ7に装着して、内視鏡1全体を水密に密閉し、内視鏡1の内部への液体の侵入を阻止する。
【0028】
さらに、カメラコネクタ7には、防水キャップ15に代えて逆止弁キャップ200を装着することも可能である。図2に示すように、この逆止弁キャップ200はキャップ本体201を備え、このキャップ本体201の底部に逆止弁202が配設されている。この逆止弁202は、キャップ本体201の底面に穿設された連通口201aに挿通された弁棒203を備え、この弁棒203の図面下側の端部に弁部203aが形成され、この弁部203aの首下部分に、Oリングなどのゴム製のシール部材204が装着されている。一方、図面上側の端部に弁ばね受け部203bが形成されている。
【0029】
この弁ばね受け部203bとキャップ本体201の底面との間に、弁棒203を、図面上方へ付勢する弁ばね205が介装され、この弁ばね205の付勢力により、弁部203aが、連通口201aの外面側に形成された弁座201bに対しシール部材204を介して密着される。
【0030】
さらに、逆止弁キャップ200の開口部側に、カメラコネクタ7の外周に装着される取付け部206が設けられ、この取付け部206の内面下部に、取付け部206をカメラコネクタ7に嵌装したとき、カメラコネクタ7の端部に密着して水密性を保持する、Oリングなどのゴム製のシール部材207が設けられている。尚、取付け部206はカメラコネクタ7の外周に対し、ねじによる嵌合、或いはラッチ等により抜け止めされた状態で掛止される。
【0031】
弁部203aは、弁ばね205の付勢力により着座方向へ常時押圧されており、通常時は、弁部203aが弁座201bにシール部材204を介して押圧密着され、一方、オートクレーブ滅菌の減圧工程時には、内視鏡1の内圧が外圧に対して相対的に高くなり、その圧力差が弁ばね205の付勢力以上となったとき、弁棒203が弁ばね205の付勢力に抗して開弁方向へ移動し、その結果、弁部203aが弁座201bから離間して、連通口201aを開放する。尚、弁部203aの開放タイミングは、弁ばね205のばね定数により設定することができる。
【0032】
次に、上記構成による本実施の形態の作用について説明する。
内視鏡1は使用後、オートクレーブ滅菌可能なものであっても、必ず洗滌を行う必要がある。流水洗滌時、或いは薬液浸漬時には、カメラコネクタ7に穿設されている通気口14から内視鏡内部に液体が侵入しないように、このカメラコネクタ7に防水キャップ15を装着して、内視鏡1の外装全体を密閉し、水密状態を保持する。これにより、洗滌の際、或いは薬液浸漬の際に、内視鏡1内部への液体の積極的な侵入が阻止され、内装されている各部材の劣化を防止する。
【0033】
この場合、防水キャップ15に代えて逆止弁キャップ200をカメラコネクタ7に装着しても、内視鏡1内部への液体の積極的な侵入を阻止することが可能である。すなわち、流水洗滌時は内視鏡1の内圧と外圧とがほぼ等しく、又、薬液浸漬時は内視鏡1の内圧に対して外圧がやや高くなるため、弁部203aは、弁ばね205の付勢力を受け、或いは弁ばね205と外圧との双方の付勢力を受けて弁座201bに対しシール部材204を介して密着されて、水密性が確保される。そのため、本実施の形態による逆止弁キャップ200を、内視鏡1の内圧に対し外圧が等しいか、高い条件下では、通常の防水キャップとして機能させることができる。
【0034】
そして、所定に洗滌が終了した後、カメラコネクタ7から防水キャップ15を取り外し、代わりに、逆止弁キャップ200を装着し、内視鏡1をプレバキュームタイプのオートクレーブ滅菌室に収容し、滅菌処理を行う。
【0035】
その際、先ず、滅菌前のプレバキューム工程において、滅菌室内を減圧(陰圧)する。滅菌室内が減圧されると、内視鏡1の内圧が外圧に対して相対的に高くなり、やがて、内視鏡1の内圧と外圧との圧力差が、逆止弁キャップ200の逆止弁202に設けられている弁ばね205の付勢力よりも大きくなると、弁棒203が弁ばね205の付勢力に抗して突出動作し、この弁棒203の端部に形成されている弁部203aが弁座201bから離間して、連通口201aを開放する。
【0036】
すると、内視鏡1の内部の圧力が、逆止弁キャップ200に穿設されている連通口201aから外部に放出され、内視鏡1内部と外部との圧力差がなくなる。その結果、内視鏡1の外装の中で最も柔軟な外皮チューブ39の膨出が防止され、また、内視鏡1を構成する部品間の接合部の比較的弱い部分も圧力の影響を受ることがなくなり耐久性が向上する。
【0037】
そして、内視鏡1の内圧と外圧とがほぼ等しくなると、逆止弁202の弁部203aが弁ばね205の付勢力を受け、弁座201bに対しシール部材204を介して着座され、連通口201aが再び密閉される。
【0038】
その後のオートクレーブ滅菌工程では、滅菌室内が大気圧に対しやや高い圧力で滅菌処理が行われるため、逆止弁202の弁部203aは、弁ばね205と外圧との双方の付勢力を受けて弁座201bに、シール部材204を介して密着されるため、連通口201aが完全に密閉されて水密性が確保される。
【0039】
その結果、オートクレーブ滅菌工程において、内視鏡1を高圧高温水蒸気により滅菌処理を行っても、蒸気が内視鏡1の外装内部に積極的に侵入することはなく、蒸気による内視鏡1内部に設けられている観察手段を始めとする各種内蔵物や内部部の劣化が防止され、耐久性が向上する。
【0040】
尚、この場合、オートクレーブ滅菌時に使用する高圧高温水蒸気は、水密に密閉された内視鏡外装の高分子材料からなる部材等を透過して内視鏡外装内部に徐々に侵入し、また、このとき内視鏡1は120〜140℃程度にまで熱せられるが、外皮チューブ39は温度変化等の影響により破損することはない。
【0041】
そして、オートクレーブ滅菌が所定に終了した後、内視鏡1を滅菌室から取り出すと、内視鏡1内部が外気に対し低圧状態となっているため、例えば湾曲部9を構成する外皮チューブ39は、湾曲部9の内部構造体に張り付いた状態となる。
【0042】
このままの状態で湾曲操作を行えば外皮チューブ39に損傷を与える可能性はあるが、内視鏡1を使用する際には、必ず、その前に、カメラコネクタ7を、図示しないCCUに接続しなければならないため、逆止弁キャップ200は、内視鏡1を使用する前に必ず取り外されることになる。
【0043】
逆止弁キャップ200を取り外すと、カメラコネクタ7に穿設されている通気口14から内視鏡1の内部に外気が導入され、内視鏡1の外壁を境とする内圧と外圧との圧力差がなくなる。従って、外皮チューブ39は、内部構造体に張り付いた状態が解消され、内視鏡1は正常な状態で使用することができる。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、カメラコネクタ7に内視鏡内外を連通させる通気口14を設け、オートクレーブ滅菌前に、通気口14を含むカメラコネクタ7に逆止弁キャップ200を装着することにより、滅菌前のプレバキューム工程において滅菌室内が減圧(陰圧)されたときは、内視鏡1の内圧と外圧との圧力差により、弁部203aが弁ばね205の付勢力に抗して開き、連通口201aが開放されて、内視鏡1の内圧が外圧とほぼ等しくなるため、湾曲部を構成する外皮チューブ39が膨出してしまうことがなく、外皮チューブ39の耐久性が向上する。
【0045】
また、大気圧よりもやや高い圧力下で行われるオートクレーブ滅菌では、逆止弁202の弁部203aが弁ばね205と外圧との双方の付勢力を受けて、弁座201bに対しシール部材204を介して密着されて、連通口201aが密閉されて、内視鏡1の内部と外部とが遮断されるため、高圧高温水蒸気が内視鏡1の内部に積極的に侵入することはなく、内視鏡1の内部に設けられた各種内蔵物や内部部材の水蒸気による劣化が防止され、耐久性が向上する。
【0046】
さらに、オートクレーブ滅菌が所定に完了した後の内視鏡1を使用する場合、カメラコネクタ7をCCU(図示せず)に接続するために、逆止弁キャップ200は必ず取り外されるので、取り外したときに、カメラコネクタ7に穿設されている通気口14から内視鏡1の内部に外気が導入されて、内視鏡1の内圧と外圧とに差が無くなり、湾曲部9を構成する外皮チューブ39が内部構造体に張り付いた状態から解放されるため、実際に内視鏡1を使用して湾曲操作を行う際に外皮チューブ39が損傷を受けてしまうことはない。
【0047】
尚、この場合、図3に示すように、コネクタ部5に可撓管100を介してカメラコネクタ7が接続されているタイプの内視鏡であっても、このカメラコネクタ7に逆止弁キャップ200を装着してオートクレーブ滅菌をすることにより、上述と同等の作用効果を得ることができる。
【0048】
又、図4に本発明の第2実施の形態による逆止弁キャップの縦断面図を示す。尚、本実施の形態で採用する内視鏡は、図1或いは図3に記載されたものと同じであるため、図面の記載は省略する。また、図2に示されている逆止弁キャップ200と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施の形態に示す逆止弁キャップ210は、第1実施の形態に示す逆止弁キャップ200を構成するキャップ本体201の一側に、開閉弁211を取付けたものである。オートクレーブ滅菌処理が所定に終了した後、開閉弁211を操作し、この開閉弁211から内視鏡1の内部に外気を取り込み、内視鏡1の内圧を外圧と同じ圧力に戻す。
【0050】
従って、本実施の形態によれば、逆止弁キャップ210を取り外すことなく、内視鏡1の内圧を外圧と同等の圧力に戻すことができるため、逆止弁キャップ210を内視鏡1内圧の抵抗を受けることなく比較的簡単に取り外すことが可能となる。
【0051】
この開閉弁211は、例えば頭部に突出されているプッシュボタン211aを押すことにより開弁し、この押圧力を解除することで、内装する弁ばね(図示せず)の付勢力により自動的に遮断するプッシュ式開閉弁であり、手動により開放動作させるようにしても良いが、一点差線で示す開放キャップ211cを用い、この開放キャップ211cを頭部側から装着し、開閉弁211の一側に突設するピン211bに開放キャップ211cに形成された係合溝を係合させて掛止し、プッシュボタン211aの開放状態を維持させるようにしても良い。
【0052】
尚、この開閉弁211に内装されている弁ばねは、オートクレーブ滅菌時の圧力で、プッシュボタン211aが開弁動作することのないような、ばね定数に設定されている。
【0053】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
逆止弁キャップ210に設けられている逆止弁202の弁部203aは、弁ばね205の付勢力により、キャップ本体201に形成された弁座201bに対しシール部材204を介して密着されて連通口201aを閉塞し、水密性が確保されている。
【0054】
従って、この逆止弁キャップ210をカメラコネクタ7に装着すれば、少なくとも内視鏡1の内圧と外圧とにほとんど差のない条件下では、弁ばね205の付勢力により弁部203aを弁座201bに対しシール部材204を介して押圧密着されて、水密性が確保されているため、この逆止弁キャップ210を、通常の防水キャップとして機能させることができる。
【0055】
そのため、内視鏡1を洗滌する前に、カメラコネクタ7に対して逆止弁キャップ210を装着すれば、第1実施の形態に示すような防水キャップ15を用いることなく、洗滌や薬液浸漬を行うことができ、更に、それに続くオートクレーブ滅菌までの一連の工程を、逆止弁キャップ210を装着したままの状態で連続して行うことができる。
【0056】
そして、内視鏡1を、所定に流水洗滌し、或いは薬液に浸漬した後、オートクレーブ滅菌を行うために滅菌室へ投入し、滅菌前のプレバキューム工程において滅菌室を減圧すると、逆止弁キャップ210に設けた逆止弁202の弁部203aが弁ばね205の付勢力に抗して開弁し、連通口201aが開放されて、内視鏡1内部の圧力が外部に放出されるため、内視鏡1内部と外部との圧力差が無くなり、外皮チューブ39の膨出が防止される。
【0057】
そして、その後の滅菌工程では、滅菌室内が大気圧に対してやや高い圧力に設定された状態で高圧高温水蒸気が送り込まれるため、弁部203aは、弁ばね205と外圧との双方の付勢力を受けて、弁座201bに対しシール部材204を介して密着されるため、連通口201aが密閉されて水密性が確保され、内視鏡1内部への高圧高温水蒸気の積極的な侵入が阻止される。
【0058】
そして、オートクレーブ滅菌が所定に終了し、滅菌室から内視鏡1を取り出した後、逆止弁キャップ210を取り外す前に、キャップ本体201の一側に併設されている開閉弁211のプッシュボタン211aを手動により、或いは開放キャップ211cを装着することで押圧して、開放させる。
【0059】
すると、この開閉弁211から外気が内視鏡1内に導入され、内視鏡1の内圧が外圧と同じ圧力に戻される。その結果、逆止弁キャップ210は、内視鏡1の内圧抵抗を受けることなく、比較的簡単にカメラコネクタ7から取り外すことができる。
【0060】
このように、本実施の形態によれば、前述した第1実施の形態による効果に加え、逆止弁キャップ210に開閉弁211を併設したので、オートクレーブ滅菌処理が終了した後、逆止弁キャップ210をカメラコネクタ7から取り外す前に、開閉弁211を開放させることにより、逆止弁キャップ210を取り外すことなく、外気を内視鏡1内に取り込むことができるので、その後の逆止弁キャップ210を、内視鏡1の内圧抵抗を受けることなく比較的簡単に取り外すことができる。
【0061】
また、図5に本発明の第3実施の形態による逆止弁キャップの拡大図を示す。本実施の形態では、第1実の形態に示す逆止弁キャップ210に穿設されている連通口201a(図2参照)の外面に、第2実施の形態で示したものと同等の動作をする開閉弁211を設けたものである。
【0062】
そして、薬液浸漬は開閉弁211を閉弁状態のまま行い、逆止弁202(図2参照)が薬液などの液体に直接触れることを防止する。又、オートクレーブ滅菌の際には、開放キャップ211cを開閉弁211に、第2実施の形態と同様に装着して、開閉弁211の開放状態を維持させることで、逆止弁202を正常に機能させる。
【0063】
このように、本実施の形態では、逆止弁202の表面側に開閉弁211を設け、薬液浸漬の際には、開閉弁211を閉弁状態とすることで、逆止弁202を薬液などの液体から保護し、液体による逆止弁202の固着を防止し、耐久性の向上を図ることができる。
【0064】
[付記]以上詳述したように、本発明によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
(1)先端湾曲機構を有し、湾曲機構の外装に柔軟なチューブ体を設け、内視鏡手元側に設けた周辺機器への接続部に装着することで内視鏡を水密状態に保持するキャップを有する内視鏡において、
前記接続部に内視鏡の内外を連通する通気口を設け、
前記キャップに相対的に内視鏡の内側よりも外側の圧力が低いときのみ開放動作する弁体を設けると共に、
前記キャップは前記接続部に対して着脱可能としたことを特徴とする内視鏡。
【0065】
(2)上記(1)において、前記接続部は、内視鏡の映像信号伝送用コネクタであることを特徴とする。
【0066】
(3)上記(1)において、前記キャップは、内視鏡接続時に内視鏡内外を連通状態または水密状態に切り換え可能な開閉弁を有することを特徴とする。
【0067】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、内視鏡の接続部に装着して内視鏡内部を水密状態に保持するキャップに、相対的に内視鏡の内側よりも外側の圧力が低いときのみ開放動作する弁体を設けたので、このキャップを、オートクレーブ滅菌前に接続部に装着することで、オートクレーブ滅菌前の減圧工程において滅菌室が減圧されても、この減圧により弁体が開放動作するため、内視鏡内外の圧力差が無くなり、柔軟なチューブ体膨出が防止され、チューブの耐久性が向上する。
【0068】
そして、減圧工程後のオートクレーブ滅菌の際には、内視鏡の外側の圧力が内側の圧力に対して相対的に高くなるため、キャップに設けた弁体が自動的に密閉されて内視鏡内部の水密性が保持され、内視鏡内部への高圧高温水蒸気の積極的な侵入が阻止され、内視鏡内部に設けられた各種部品の水蒸気による劣化が防止され、耐久性が向上する。
【0069】
また、次回、この内視鏡を使用する際には、接続部に対して周辺機器を接続するために、必ずキャップが取り外されるため、そのとき外気が内視鏡内部に導入されて、内視鏡内外の圧力差が解消され、内視鏡を正常な状態で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態による電子内視鏡の概略構成図
【図2】同、逆止弁キャップの縦断面図
【図3】同、別の態様による電子内視鏡の概略構成図
【図4】第2実施の形態による逆止弁キャップの縦断面図
【図5】第3実施の形態による逆止弁キャップの拡大図
【符号の説明】
1 電子内視鏡(内視鏡)
7 カメラコネクタ(接続部)
8 先端部
9 湾曲部
14 通気口
39 外皮チューブ(チューブ体)
200,210 逆止弁キャップ(キャップ)
202 弁体(逆止弁)
Claims (1)
- 先端湾曲機構を有し、湾曲機構の外装に柔軟なチューブ体を設け、内視鏡手元側に設けた周辺機器への接続部に装着することで内視鏡を水密状態に保持するキャップを有する内視鏡において、
前記接続部に内視鏡の内外を連通する通気口を設け、
前記キャップに相対的に内視鏡の内側よりも外側の圧力が低いときのみ開放動作する弁体を設けると共に、
前記キャップは前記接続部に対して着脱可能としたことを特徴とする内視鏡。
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JP25479499A JP4370026B2 (ja) | 1999-09-08 | 1999-09-08 | 内視鏡 |
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-
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