JP4369682B2 - ノボラック型エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノボラック型エポキシ樹脂の製造方法に関するものであり、特にフェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの含有量が低減されたノボラック型エポキシ樹脂を高収率で製造できる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集積回路基板に用いられる半導体パッケージは、はんだ付け時の急激な温度変化を受けてクラックを生じやすいことから、一般にパッケージ中のシリカ系フィラーを増量して線膨張率を低下させる方法が検討されている。このため、パッケージ用樹脂として用いられてきたノボラック型エポキシ樹脂も、最近では溶融粘度が低く、しかも高い架橋密度が得られるタイプへ移行されてきている。
【0003】
一般に使用されているノボラック型エポキシ樹脂は、広い分子量分布を持ち、溶融粘度が低くなるに従ってフェノール類ダイマーの含有量が多くなる傾向にある。このフェノール類ダイマーは、硬化した際に三次元架橋に寄与しないため、硬化物の耐熱性を低下させ、また、ベタツキ、ブロッキング等のハンドリングの低下にもつながる。
【0004】
このようなフェノール類モノマーやフェノール類ダイマーの低減方法として、例えばアルカリ触媒存在下でフェノール類に対して過剰のアルデヒドを反応させジメチロール化した後、酸性触媒存在下で大過剰のフェノール類とジメチロール体を反応させた3核体が主成分の樹脂を合成し、この樹脂をエポキシ化する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法によれば、フェノール類モノマーやフェノール類ダイマーおよび高分子量成分の低減効果は確かではあるが、アルカリ触媒を除去する際に生じる大量の塩、および過剰のフェノール類を処理、回収するための設備が必須となるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−190722号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情を背景としたものであって、フェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの含有量が低減されたノボラック型エポキシ樹脂を高収率で製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を克服するために鋭意研究した結果、リン酸類、及び好ましくは特定の有機溶媒を含む相分離状態下、即ち不均一系でフェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させて得られたノボラック型フェノール樹脂に、さらにエピハロヒドリンを反応させてエポキシ化することにより、フェノール類モノマー及フェノール類ダイマーの含有量や分散比が制御されたノボラック型エポキシ樹脂を高収率で製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のノボラック型エポキシ樹脂の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類とをリン酸類の存在下で不均一系反応させる第一工程と、該第一工程で得られたノボラック型フェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応させる第二工程とを有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の第一工程においては、ノボラック型フェノール樹脂を製造する。例えば、原料としてフェノール類及びアルデヒド類、酸触媒としてリン酸、さらに好ましくは反応補助溶媒として非反応性含酸素有機溶媒を併用し、これらから形成される二相分離状態を、機械的攪拌、超音波等によりかき混ぜ混合した二相が交じり合った白濁状の不均一反応系において、フェノール類とアルデヒド類との反応を進めて縮合物を合成する。
【0010】
次に、例えばメチルエチルケトンやメチルイソブチルケトン等の非水溶性有機溶媒を添加混合して該縮合物を溶解した後、静置して有機層と水層の二層に分離させる。その後、水層を除去してリン酸類と反応補助溶媒の回収を図る一方、有機層については湯水洗によりリン酸類を除去した後、減圧蒸留により非水溶性有機溶媒を回収してノボラック型フェノール樹脂を製造する。
【0011】
原料として用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、パラクレゾール、メタクレゾール、ブチルフェノール、フェニルフェノール等が挙げられる。
【0012】
一方、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどが挙げられる。中でも分散度の観点から、特にパラホルムアルデヒドが好ましく用いられる。
【0013】
これらの反応原料はいずれも例示に限定はされず、また、それぞれ、単独で又は2種以上を併用しても良い。
【0014】
フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との配合モル比(F/P)は、好ましくは0.33〜1.00、より好ましくは0.35〜0.90である。配合比が0.33未満では収率向上の効果が弱まる可能性があり、1.00を超えると分子量分布幅が広くなる可能性がある。
【0015】
反応触媒として用いられるリン酸類は、フェノール類とアルデヒド類との相分離反応(不均一系反応)の場を形成する重要な役割を果たすものであり、このようなリン酸類の例としては、例えばメタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸等のポリリン酸、無水リン酸及びこれらの混合物などが挙げられるが、低コストで入手しやすいオルトリン酸水溶液、例えば75質量%リン酸、89質量%リン酸等が一般に挙げられる。
【0016】
リン酸類の配合量は特に限定はされないが、フェノール類100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では相分離反応(不均一系反応)の場を形成しにくくなり、フェノール類モノマーが減少せず収率が低下する可能性がある。また、その上限量は特に限定されるものではないが、反応容積効率、安全性などを勘案すると、好ましくは200質量部以下である。なお、70質量部以上のリン酸類を使用する場合には、反応系への分割投入により、反応初期の発熱を抑えて安全性を確保することが望ましい。
【0017】
相分離反応の促進という観点から、反応補助溶媒としての非反応性含酸素有機溶媒を用いることが好ましい。反応補助溶媒としては、アルコール類、多価アルコール系エーテル、環状エーテル類、多価アルコール系エステル、ケトン類、スルホキシド類からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0018】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の一価アルコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン等の三価アルコールが挙げられる。
【0019】
多価アルコール系エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。
【0020】
環状エーテル類としては、例えば、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、多価アルコール系エステルとしては、例えば、エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル類等が挙げられ、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、1,4−ジオキサンなどが特に好ましい。
【0022】
反応補助溶媒は、上記の例示に限定されず、上記の特質を有し、かつ反応時に液体を呈するものであれば固体でも使用することができるし、またそれぞれを単独で又は2種以上を併用してもよい。反応補助溶媒の配合量としては特に限定はされないが、フェノール類100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10〜200質量部である。
【0023】
反応系中の水の量は、相分離効果、生産効率に影響を与えるが、一般的には質量基準で40%以下である。水の量が40%を超えると生産効率が低下する可能性がある。
【0024】
また、フェノール類とアルデヒド類との反応温度は、相分離効果を高める上で重要であり、一般的には40℃〜還流温度、好ましくは80℃〜還流温度、より好ましくは還流温度である。また、反応時間は、例えば反応温度、原料配合比、リン酸類配合量等により異なるが、一般的には1〜30時間程度である。また、反応環境としては常圧が好適であるが、本発明の特徴である不均一系反応を維持するならば、加圧下または減圧下で反応を行ってもよい。
【0025】
本発明の第一工程では、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との配合モル比(F/P)の範囲によって、以下のようなノボラック型フェノール樹脂が得られる。
【0026】
配合モル比が0.80以上1.00以下の範囲では、GPCの面積法による測定でフェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの合計含有量が10%以下、好ましくは5%以下であり、かつGPC測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.1〜3.0、好ましくは1.5〜2.0のノボラック型フェノール樹脂が得られる。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜4500、より好ましくは600〜3500である。
【0027】
また、配合モル比が0.33以上0.80未満の範囲では、GPCの面積法による測定でフェノール類モノマー含有量が3%以下、好ましくは1%以下であり、かつフェノール類ダイマーの含有量が10%〜95%、好ましくは20%〜90%のノボラック型フェノール樹脂が得られる。この樹脂は、GPC測定による重量平均分子量(Mw)が200〜1200、好ましくは300〜1000、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.8以下、好ましくは1.05〜1.7である。
【0028】
本発明の第二工程においては、第一工程で得られたノボラック型フェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応させエポキシ化させることによりノボラック型エポキシ樹脂を得る。
【0029】
例えば、ノボラック型フェノール樹脂と過剰のエピハロヒドリンを温度計、撹拌装置、油水分離装置を備えた反応容器に仕込み、脱酸素雰囲気、常圧もしくは減圧下において、好ましくは30〜100℃の温度範囲で、アルカリ金属水酸化物の水溶液をゆっくり滴下して、エポキシ化反応を行う。
【0030】
ここで、エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリンやエピブロムヒドリンなどが好ましく、ノボラック型フェノール樹脂の水酸基1モルに対して、好ましくは1〜50モル、より好ましくは3〜10モル添加する。
【0031】
また、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、その使用量は、ノボラック型フェノール樹脂の水酸基1モルに対して、好ましくは0.8〜1.5モル、より好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0032】
エポキシ化反応終了後、水洗することによって副生塩を除去し、さらに過剰のエピハロヒドリンを留去するなどの精製工程を経ることによって、目的とするノボラック型エポキシ樹脂を得ることができる。
【0033】
本発明の製造方法を用いると、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との配合モル比(F/P)の範囲によって、以下のようなノボラック型エポキシ樹脂が得られる。
【0034】
配合モル比が0.80以上1.00以下の範囲では、GPCの面積法による測定でフェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの合計含有量が10%以下、好ましくは5%以下であり、かつGPC測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.1〜3.0、好ましくは1.5〜2.0のノボラック型エポキシ樹脂が得られる。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは700〜6500、より好ましくは800〜5000である。
【0035】
また、配合モル比が0.33以上0.80未満の範囲では、GPCの面積法による測定でフェノール類モノマー含有量が3%以下、好ましくは1%以下であり、かつフェノール類ダイマーの含有量が10%〜95%、好ましくは20%〜90%のノボラック型エポキシ樹脂が得られる。この樹脂は、GPC測定による重量平均分子量(Mw)が300〜1500、好ましくは400〜1200、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.05〜1.8、好ましくは1.1〜1.7である。
【0036】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される物ではない。なお、実施例に記載の「部」及び「%」は、すべて質量部及び質量%を示す。
【0037】
また得られたノボラック型フェノール樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂の特性については下記の試験法により測定した。
【0038】
(I)分散比(Mw/Mn)
分散比(Mw/Mn)は、分子量分布の幅を示す指標であり、東ソー株式会社製GPC(ゲル濾過クロマトグラフSC−8020、カラム(TSKgel):G2000HXL+G4000HXL、検出器UV‐8011(λ:254nm)、キャリヤー:テトラヒドロフラン1ml/min、カラム温度:38℃)の測定により、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めて分散比(Mw/Mn)を算出した。
【0039】
(II)フェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの含有量(%)
GPC測定で得られた分子量分布の全面積に対するフェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの面積を百分率で表示する面積法によって算出し、それぞれの成分含有量とした。
【0040】
(III)軟化点(℃)
JIS−K6910に記載された環球法に準拠し、株式会社メイテック製環球式自動軟化点測定装置ASP−MGK2を使用して測定した。
【0041】
(IV)溶融粘度(Pa・s/180℃)
コーンプレート溶融粘度計(東亜工業株式会社製CONE PLATE VISCOMETER MODEL CV−1)により測定した。
【0042】
(V)エポキシ当量(g/eq)
JIS−K−7236(指示薬滴定法/0.1N過塩素酸酢酸溶液で滴定)により測定した。
【0043】
<実施例1>
温度計、攪拌装置、コンデンサーを備えた反応容器内に、フェノール(P)を97部、92%パラホルム(F)を25部(F/P=0.75)、89%リン酸を193部、メタノールを39部仕込んだ後、攪拌混合により形成される白濁状態(2相混合物)のもとで、102℃まで昇温し、98〜102℃の温度で9時間縮合反応を行なってから反応を停止し、縮合物を得た。
【0044】
次いで、攪拌混合しながらメチルイソブチルケトンを添加して縮合物を溶解した後、攪拌混合を停止して内容物を分液フラスコ内に移して静置し、メチルイソブチルケトン溶液層(上層)とリン酸水溶液層(下層)に分離させた。次いで、リン酸水溶液層を除去し、メチルイソブチルケトン溶液を数回水洗してリン酸を除いた後、再び内容物を反応容器内に戻し、減圧蒸留によりメチルイソブチルケトンを完全に除去してノボラック型フェノール樹脂103部を得た。
【0045】
次に、温度計、攪拌装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器内に、得られたノボラック型フェノール樹脂を50部、エピクロルヒドリンを296部、n‐ブタノール100部を仕込んだ後、70℃まで昇温しノボラック型フェノール樹脂を完全に溶解させた。次いで、50℃まで冷却し48%水酸化ナトリウム水溶液39部を0.5時間かけて滴下し、滴下終了時には内温が70℃になるよう徐々に昇温させた。滴下終了後、70℃にて0.5時間エポキシ化反応を行ってから反応を停止し、内温を室温まで冷却させた後、攪拌混合しながらメチルイソブチルケトンを添加して内容物を溶解させた。次いで、内容物を分液フラスコに移して静置し、メチルイソブチルケトン溶液層(上層)と水酸化ナトリウム水溶液層(下層)に分離させた。次いで、水酸化ナトリウム水溶液層を除去し、メチルイソブチルケトン溶液を数回水洗して水酸化ナトリウムを除いた後、再び内容物を反応溶液内に戻し、減圧蒸留によりメチルイソブチルケトン、過剰のエピクロルヒドリンを完全に除去してノボラック型エポキシ樹脂70部を得た。
【0046】
得られたノボラック型フェノール樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂については、冒頭記載の試験法により、各特性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0047】
<実施例2〜5>
反応条件を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてノボラック型エポキシ樹脂を得、同様の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
【0048】
<比較例1>
温度計、攪拌装置、コンデンサーを備えた反応容器内に、オルソクレゾール(P)を216部、47%ホルマリンを102部(F/P=0.80)を仕込んだ後、蓚酸1部(0.5%/P)を投入した。その後、徐々に100℃まで昇温して95〜100℃の温度で10時間縮合反応を行なって縮合物を少量採取した。次いで、常圧濃縮、減圧濃縮してノボラック型フェノール樹脂225部を得た。
【0049】
次に、実施例1と同様にしてノボラック型エポキシ樹脂70部を得、同様の測定を行った。それらの結果を表1に示す。
【0050】
<比較例2〜3>
反応条件を表1に示すように変更した以外は比較例1と同様にしてノボラック型エポキシ樹脂を得、同様の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
<実施例6>
実施例2で製造したノボラック型エポキシ樹脂30gと、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(旭有機材工業(株)製、Mw;959、Mn;611)15gをアルミカップ中で加熱溶融混合した。次いで該混合物30gと2−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.15gとを粉砕混合して混合物を作成した後、該混合物とカルナバワックス(離型剤)0.30gと無機フィラーとしてクリスタライトA−1((株)龍森製)14gとを60℃の二軸ロールで8分間混錬して試料を作成した。
【0053】
次いで、室温の50×70×2.5mmの成形金型に前記試料を18g投入し、180℃に加熱した20tプレス機により加圧成形(9.8×106Pa、30分間)して成形体を得、20×2.5×2.5mmのテストピースを作成した。このテストピースを、100℃×1時間+200℃×2時間+250℃×4時間の条件でアフターキュアさせた後、TMA測定((株)リガク、圧縮TMA8141BS)を行った。この結果を表2に示す。
【0054】
<実施例7及び比較例4>
ノボラック型エポキシ樹脂を、それぞれ実施例3、比較例2で製造したものに変更した以外は実施例6と同様にしてテストピースを得、同様の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明は、以上の説明から明らかなように、従来型樹脂よりも未反応フェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの含有量は低減されているにもかかわらず、反応時間を大幅に短縮できるため、生産効率の向上を図ることができ、未反応フェノール類及びフェノール類ダイマーの少ないノボラック型エポキシ樹脂を低コストで容易に製造することができる。
【0057】
また、本発明によって得られたノボラック型エポキシ樹脂は、従来の樹脂と同等の溶融粘度や架橋密度を有し、耐熱性や流動性に優れており、例えばIC封止剤、積層板等のバインダーを始めとして塗料や接着剤としても有用である。
Claims (4)
- フェノール類とアルデヒド類とをリン酸類の存在下で不均一系反応させる第一工程と、該第一工程で得られたノボラック型フェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応させる第二工程とを有することを特徴とするノボラック型エポキシ樹脂の製造方法。
- 前記第一工程において、反応補助溶媒として非反応性含酸素有機溶媒を存在させることを特徴とする請求項1に記載のノボラック型エポキシ樹脂の製造方法。
- 反応補助溶媒が、アルコール類、多価アルコール系エーテル、環状エーテル類、多価アルコール系エステル、ケトン類、スルホキシド類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載のノボラック型エポキシ樹脂の製造方法。
- リン酸類がフェノール類100質量部に対して5質量部以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノボラック型エポキシ樹脂の製造方法。
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