JP5254590B2 - 低分子量ノボラック樹脂、その製造方法およびそれを使用した熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

低分子量ノボラック樹脂、その製造方法およびそれを使用した熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、オルソ位同士がメチレン結合で結合しているオルソ置換フェノール類の2核体を主成分とする低分子量ノボラック樹脂、その製造方法およびそれを使用した熱硬化性樹脂組成物に関し、特に、溶融粘度が低いため流動性が高く、耐熱性、耐湿性にも優れた低分子量ノボラック樹脂、その製造方法、それをエポキシ樹脂の硬化剤として使用して、成形時の流動性を著しく向上させることができる熱硬化性樹脂組成物に関するものである。
従来より、エポキシ樹脂組成物は、耐熱性、密着性、電気絶縁性等に優れた硬化物が得られることから、半導体封止材、プリント配線基板、塗料、注型材料用途等に好適に用いられている。エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール樹脂、アミン類、酸無水物などが挙げられるが、半導体封止材用としては耐熱性および耐湿性に優れることから通常フェノール樹脂が用いられている。しかし、近年、半導体の高集積化や実装方式の多様化が進むと同時に、地球環境に配慮するという観点から無鉛はんだ化やハロゲンフリー化が進んでおり、これらに対応できる材料が求められている。
その解決手段の一つとして充填剤の使用量増加がある。充填剤量を多くすることにより成形品の線膨張係数の低減や吸湿率の低減、難燃性の向上が可能となるが、一方で充填量が多くなることにより配合物の流動性が低下し、成形性が悪くなるという問題が生じるため、樹脂成分の低粘度化が必要となる。
このような問題を解決するため、特許文献1にはフェノール樹脂の溶融粘度を下げる手段としてフェノール性水酸基の一部をアルコキシ化した樹脂が提案されている。しかし特許文献1で示されたフェノール樹脂は、重量平均分子量と数平均分子量の分散度は小さいものの、150℃での溶融粘度が80mPa・sまたは250mPa・sであり、エポキシ配合物の粘度を下げるには不十分である。また、エポキシ樹脂の硬化剤として使用した場合、フェノール性水酸基の一部がアルコキシ化されているため架橋密度が低下し、結果として硬化性が劣り、耐熱性、電気特性等で充分満足できるものではない。
また、特許文献2には、ビフェノールとアリルクロライドとを水酸化カリウムの存在下で反応することにより、常温での粘度が数千mPa・sのアリル化ビフェノールを得ている。しかしながら、原料としてアリルクロライドの使用は塩素含有物質の発生を伴うため、地球環境に配慮するという観点でみると工業的に有利な方法であるとはいえない。
特開2004−10700号公報 特開2005−2311号公報
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、溶融粘度が低いため流動性が高く、耐熱性、耐湿性にも優れた低分子量ノボラック樹脂、その製造方法、それをエポキシ樹脂の硬化剤として使用して、成形時の流動性を著しく向上させることができる熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、オルソ位同士がメチレン結合で結合しているオルソ置換フェノール類の2核体が主成分となる低分子量ノボラック樹脂によって達成されることを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される、オルソ位同士がメチレン結合で結合しているオルソ置換フェノール類の2核体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の面積比による含有率が50質量%以上で、かつ重量平均分子量と数平均分子量の分散度が1.5以下である低分子量ノボラック樹脂を提供する。
Figure 0005254590
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。)
また、本発明は、オルソ置換フェノール類とホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドとを、酸性触媒存在下、系中の水分を除去しつつ反応させる前記低分子量ノボラック樹脂の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、エポキシ樹脂の硬化剤として前記低分子量ノボラック樹脂を使用した熱硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の低分子量ノボラック樹脂は、溶融粘度が低いため流動性が高く、耐熱性、耐湿性にも優れており、それをエポキシ樹脂の硬化剤として使用した熱硬化性樹脂組成物は、成形時の流動性が著しく向上する。
本発明の低分子量ノボラック樹脂は、上記一般式(1)で表される、オルソ位同士がメチレン結合で結合しているオルソ置換フェノール類の2核体のGPCの面積比による含有率が50質量%以上で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の分散度が1.5以下である。
一般式(1)で表される2核体の含有率は55質量%であると好ましく、MwとMnの分散度が1.4以下であると好ましい。
一般式(1)において、Rが示すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
Rが示すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
また、本発明の低分子量ノボラック樹脂中に含まれる未反応フェノール類の含有率が1質量%以下であると、より高い効果が期待できることから好ましい。
本発明の低分子量ノボラック樹脂は、オルソ置換フェノール類とホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドとを、弱酸性触媒存在下、系中の水分を除去しつつ反応させることにより、高収率で得られる。
この方法により、オルソ位同士がメチレン結合で結合しているオルソ置換フェノール類の2核体を主成分とする本発明の低分子量ノボラック樹脂が高収率で得られる。
オルソ置換フェノール類としては、例えば、オルソクレゾール、オルソエチルフェノール、オルソプロピルフェノール、オルソ−s−ブチルフェノール、オルソ−t−ブチルフェノール、オルソフェニルフェノール等が挙げられ、オルソクレゾール、オルソフェニルフェノールが好ましい。これらを単独もしくは2種以上を併用して使用することができる。
前記ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドの使用量は、フェノール類の合計量1モルに対して、通常0.3〜1.5モル、好ましくは0.3〜1.2モルの割合で用いる。ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドが0.3モル以上であれば、樹脂の収率が十分であり、1.5モル以下であれば、反応に関与しないホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドの割合が多くならず経済的にも良好である。
なお、この製造方法において、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド以外のアルデヒド類として、例えば、ベンズアルデヒド、フルフラール等を用いて得られる一般式(1)以外の成分を、本発明の低分子量ノボラック樹脂は含有していても良い。
本発明の製造方法において、反応に使用する触媒の種類はフェノール類のオルソ−オルソ結合を形成させる上で重要である。オルソ−オルソ結合を形成させるには反応系を弱酸性とすることが必要であり、弱酸性触媒であれば特に限定されず公知のものを用いれば良く、例えば二価金属(Ca、Mg、Znなど)の酢酸塩類、ホウ酸、二価金属(Ca、Mg、Znなど)ホウ酸塩などが挙げられ、具体的には、酢酸亜鉛、ホウ酸、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム等が好ましく挙げられる。
この触媒を単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
また、弱酸性触媒の配合量は、フェノール類100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.2〜5質量部の割合である。通常のノボラック樹脂を製造するときに使用する触媒として、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などがあるが、これらを使用すると反応系のpHが低くなり、その結果オルソ−オルソ以外の結合が生じて樹脂が高分子量化するため目的の樹脂が得られない。
フェノール類とホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドは弱酸性触媒の存在下、系内の水分を除去しながら反応させることが重要である。それ以外の反応条件については特に制限はなく、例えば、フェノール類とホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒド、並びに触媒を一括で仕込み反応させる方法、またはフェノール類と触媒を仕込み、所定の反応温度にてホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドを添加する方法が挙げられる。このとき反応温度は100〜180℃の範囲で行うと好ましい。100℃以上であると反応の進行速度も良好で、かつ未反応のアルデヒドやメチロール基が残存することもない。また、反応時間も特に制限はなく、ホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒド、並びに触媒の量、反応温度により調整すればよい。反応の際、有機溶媒を使用することも可能である。
反応に用いる有機溶媒としては、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらを単独でもしくは2種以上を併用して使用できる。
有機溶媒の量としては、フェノール類100重量部に対して、1000質量部以下、好ましくは10〜100質量部程度、必要に応じて使用することができる。反応後は、必要に応じて水洗して残存触媒を除去しても良い。更に減圧蒸留または水蒸気蒸留を行って未反応物であるフェノール類を除去しても良い。
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤として、本発明の低分子量ノボラック樹脂を使用したものである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂としては特に限定されず、公知のエポキシ樹脂が使用できる。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の二価のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール変性型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等の三価以上のフェノール類から誘導されるエポキシ樹脂、有機リン化合物で変性されたエポキシ樹脂などが挙げられる。またこれらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
この場合の低分子量ノボラック樹脂とエポキシ樹脂の混合割合は低分子量ノボラック樹脂1.0当量に対し、エポキシ樹脂を0.8〜1.2当量の範囲が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、硬化反応を促進する目的で、硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては、特に限定されず公知のものを使用すれば良く、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上を併用して使用することができる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて、充填剤、改質剤として使用される熱硬化性および熱可塑性樹脂、顔料、シランカップリング剤、離型剤等の種々の配合剤を目的に応じて添加することができる。
前記充填剤としては、特に限定されず公知のものを使用すれば良く、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム等が挙げられる。溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は適用用途や所望特性によって、望ましい範囲が異なるが、例えば、半導体封止材用途に使用する場合は、線膨張係数や難燃性を鑑みれば高い方が好ましく、組成物全体量に対して65質量%以上添加することが好ましく、特に好ましくは85質量%以上である。また、導電ペーストや導電フィルムなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
前記改質剤として使用される熱硬化性および熱可塑性樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用すれば良く、例えば、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で使用できる。
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の合成例に限定されるものではない。以下、部および%は質量基準である。
実施例1(低分子量ノボラック樹脂の製造)
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、オルソクレゾール100部、酢酸亜鉛0.5部を仕込み、内温を130℃にして、37%ホルマリン64部を3時間かけて滴下した。反応中系内に水分が残らないよう、溜出物は全て系外に除去した。滴下終了後同温度で1時間反応した後数回水洗を行い触媒を除去した。次いで170℃、50mmHgの減圧下で水蒸気蒸留を行い未反応モノマーを除去し、GPCによるオルソ−オルソ(o−o’)結合の2核体の面積分率59%、重量平均分子量262、分散度1.2の低分子量オルソクレゾールノボラック樹脂を得た。この樹脂は結晶性を有しており、融点は112℃、溶融粘度(120℃)は1mPa・sであった。これらの結果を表1に示す。また、このノボラック樹脂のGPCチャートを図1に示す。
実施例1〜3および比較例1〜3で得られた樹脂についての分析方法は以下の通りである。
(1)GPC
カラム構成は昭和電工社製KF−801+KF−802+KF−802+KF−803(商品名)で行い、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し流量1ml/分で測定した。分子量はポリスチレン換算、面積分率は全ピーク面積中の百分率で算出した。
(2)融点
メトラー社製DSC20(商品名)を用いて窒素雰囲気中で測定した。
(3)軟化点
エレックス科学社製気相軟化点測定装置EX−719PD(商品名)を用いて昇温速度2.5℃/分で測定した。
(4)溶融粘度
リサーチ・イクウィップ社製ICI粘度計で、120℃で測定した。
実施例2(低分子量ノボラック樹脂の製造)
実施例1において、触媒として、酢酸亜鉛0.5部の代わりに、ホウ酸1部を使用した以外は同様に行い、GPCによるオルソ−オルソ結合の2核体の面積分率64%、重量平均分子量210、分散度1.2の低分子量オルソクレゾールノボラック樹脂を得た。この樹脂は結晶性を有しており、融点は114℃、溶融粘度(120℃)は1mPa・sであった。これらの結果を表1に示す。
実施例3(低分子量ノボラック樹脂の製造)
実施例1において、フェノール類として、オルソクレゾールの代わりにオルソフェニルフェノール100部、37%ホルマリンを41部使用した以外は同様に行い、オルソ−オルソ結合のGPCによる2核体の面積分率76%、重量平均分子量202、分散度1.2の低分子量オルソフェニルフェノールノボラック樹脂を得た。この樹脂は常温で半固形であり、溶融粘度(120℃)は1mPa・sであった。これらの結果を表1に示す。このノボラック樹脂のGPCチャートを図2に示す。
比較例1(ノボラック樹脂の製造)
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、フェノール100部、37%ホルマリン30部、シュウ酸0.5部を仕込み100℃で5時間反応させた。次いで170℃、50mmHgの減圧下で水蒸気蒸留を行って未反応モノマーを除去し、GPCによるオルソ−オルソ結合の2核体の面積分率4%、重量平均分子量470、分散度1.4のフェノールノボラック樹脂を得た。この樹脂は常温で半固形であり、溶融粘度(120℃)は40mPa・sであった。これらの結果を表1に示す。
比較例2(ノボラック樹脂の製造)
比較例1において、フェノール類として、フェノールの代わりに、オルソクレゾール100部、37%ホルマリンを64部使用した以外は同様に行い、GPCによるオルソ−オルソ結合の2核体の面積分率0.8%、重量平均分子量854、分散度1.6のオルソクレゾールノボラック樹脂を得た。この樹脂の軟化点は95℃、溶融粘度(120℃)は1000mPa・sであった。これらの結果を表1に示す。このノボラック樹脂のGPCチャートを図3に示す。
比較例3(ノボラック樹脂の製造)
実施例1において、フェノール類としてオルソクレゾール95部およびメタクレゾール5部、37%ホルマリンを64部使用した以外は同様に行い、GPCによるオルソ−オルソ結合の2核体の面積分率45%、重量平均分子量370、分散度1.4のクレゾールノボラック樹脂を得た。この樹脂の軟化点は55℃、溶融粘度(120℃)は16mPa・sであった。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005254590
実施例4〜6および比較例4〜6(熱硬化性樹脂組成物の調製)
実施例1〜3で得られた低分子量ノボラック樹脂、比較例1〜3で得られたノボラック樹脂のそれぞれに、オルソクレゾール型エポキシ樹脂(エポキシ当量205)をフェノール性水酸基と当量になるように配合し、硬化促進剤のトリフェニルフォスフィンをエポキシ樹脂100部に対して1部、さらに充填剤として溶融シリカ粉末を配合物全重量の70%になるように配合した。これらを100℃の熱ロールにて溶融混練して熱硬化性樹脂組成物を得た。
得られた熱硬化性樹脂組成物を金型にて170℃、15分、圧力30kg/cm2で加圧成形する。その後、170℃で3.5時間アフターキュアを行って、テストピースを作製した。これらを前記の順に対応させて実施例4〜6、比較例4〜6とした。得られたテストピースについて、下記方法で特性を評価した結果を表2に示す。
実施例4〜6、比較例4〜6で得られたテストピースについて、曲げ強度、ガラス転移温度、線熱膨張係数を次の方法により評価した。
(5)曲げ強度
JIS K−6911に準拠した方法で測定した。
(6)ガラス転移温度と熱膨張係数の評価
実施例4〜6、比較例4〜6で得られたテストピースを用いて、耐熱性の評価としてSII社製SSC/5200(商品名)を使用してTMA法にてガラス転移温度及び線膨張係数を測定した。昇温速度は10℃/分で行った。
Figure 0005254590
実施例7〜9および比較例7〜9(熱硬化性樹脂組成物の調製)
実施例1〜3で得られた低分子量ノボラック樹脂、比較例1〜3で得られたノボラック樹脂のそれぞれにオルソクレゾール型エポキシ樹脂(エポキシ当量205)をフェノール性水酸基と当量になるように配合し、硬化促進剤のトリフェニルフォスフィンをエポキシ樹脂100部に対して1部、さらに充填剤として溶融シリカ粉末を配合物全重量の85%になるように配合した。これらを100℃の熱ロールにて溶融混練して熱硬化性樹脂組成物を得た。これらを前記の順に対応させて実施例7〜9、比較例7〜9とした。
得られた熱硬化性樹脂組成物について、充填剤と樹脂が均一に分散しているかどうかを目視にて外観を観察した。実施例7〜9のように充填剤と樹脂が十分に混合している場合は外観色が均一であって手触りが滑らかであるが、比較例7〜9のように、混合が不十分の場合は樹脂が不均一な斑模様となり、かつ樹脂と混合されていない充填剤が粉末のまま存在するため、手触りがパサパサしたものとなる。特性評価試験の結果を表3に示す。
Figure 0005254590
本発明の低分子量ノボラック樹脂は、溶融粘度が低いため流動性が高く、耐熱性、耐湿性にも優れており、それをエポキシ樹脂の硬化剤として使用した熱硬化性樹脂組成物は、成形時の流動性が著しく向上する。
本発明の低分子量ノボラック樹脂を半導体封止材用として使用した場合、充填剤量を多くすることにより成形品の線膨張係数の低減や吸湿率の低減、難燃性の向上が可能となる。また、その硬化物は、良好な耐熱性、耐湿性、機械的特性、電気絶縁性、金属との接着性などを有し、従って、高信頼性を必要とする電子材料用途に非常に有効である。具体的には電子部品の封止材用樹脂組成物、プリント基板用樹脂組成物、プリント基板および樹脂付き銅箔に使用する層間絶縁材料用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト(導電性充填剤含有)、塗料、接着剤、複合材料等に利用可能である。
実施例1におけるノボラック樹脂のGPCチャートである。 実施例3におけるノボラック樹脂のGPCチャートである。 比較例2におけるノボラック樹脂のGPCチャートである。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示される、オルソ位同士がメチレン結合で結合しているオルソ置換フェノール類の2核体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の面積比による含有率が50質量%以上で、かつ重量平均分子量と数平均分子量の分散度が1.5以下であるノボラック樹脂。
    Figure 0005254590
    (式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。)
  2. 前記ノボラック樹脂中に含まれる未反応フェノール類の含有率が1質量%以下である請求項1に記載のノボラック樹脂。
  3. オルソ置換フェノール類とホルムアルデヒドおよび/またはパラホルムアルデヒドとを、二価金属の酢酸塩類、ホウ酸、及び二価金属のホウ酸塩からなる群から選択された少なくとも1種の触媒存在下、系中の水分を除去しつつ反応させる請求項1または2に記載のノボラック樹脂の製造方法。
  4. エポキシ樹脂の硬化剤として請求項1または2に記載のノボラック樹脂を使用した熱硬化性樹脂組成物。
  5. 固形分でノボラック樹脂1.0当量に対し、エポキシ樹脂が0.8〜1.2当量である請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 充填剤を含む請求項4または5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
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