JP4368855B2 - 貴金属コロイド、貴金属微粒子、組成物および貴金属微粒子の製造方法 - Google Patents

貴金属コロイド、貴金属微粒子、組成物および貴金属微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は貴金属コロイド、貴金属微粒子、組成物および貴金属微粒子の製造方法に関し、特に、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子とその貴金属コロイドまたは組成物と、水溶液あるいはアルコールなどの有機溶媒の溶液中での貴金属微粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1〜200nm程度の粒径を有する金属ナノ粒子は、電気特性、磁気特性、触媒特性など、様々な特性が注目を浴びており、様々な分野への応用が期待されている。
【0003】
金などの貴金属のナノ粒子が分散媒中に分散されてなる金属コロイドは、電子のプラズマ振動に起因するプラズモン吸収と呼ばれる光吸収特性を有しているため、各金属元素に特有の発色を有する。
【0004】
例えば金コロイドは520nm近傍に上記のプラズモン吸収を有しており、いわゆるワインレッドの色を示す。
【0005】
上記の金コロイドは、例えば、これを含有する溶液を塗布して加熱することで金メッキを形成することができる塗料として用いる他、例えば、抗体を結合させてなる妊娠検査薬としての利用や、特定の塩基配列を有するDNAを検出する遺伝子診断などのバイオセンシングに利用できる。また、金コロイドを塗布して乾燥させることで金の薄膜や配線としての細線を形成することもできる
【0006】
上記のような金コロイドなどの貴金属コロイドは、分散質である貴金属微粒子と分散媒である水との間に親和性が乏しいため、不安定であり、電解質が存在すると凝集を起こしやすい。
【0007】
そこで、凝集を防止するために、貴金属コロイドを安定化させる作用を有する保護剤を大量に添加する必要がある。
【0008】
しかし、貴金属コロイドが主として高分子からなる保護剤を大量に含んでいると、導電性薄膜を形成する場合に上記のように貴金属コロイドを塗布して乾燥させても導電性を持たない保護剤が導電性を妨害してしまい、有機物を分解するために高温処理を施す必要がある。しかし、このような高温処理を行うと、導電性薄膜の寸法精度などが低下してしまう。
【0009】
上記のように金コロイドの用途が広がる一方で、より簡単かつ低コストで金コロイドを製造する方法が求められていた。
【0010】
例えば、特開2001−192712号公報には、4級アンモニウム塩型金属錯体化合物から配位子の還元的脱離により中心金属を還元して金属ナノ粒子を形成する方法が開示されている。
【0011】
しかし、4級アンモニウム塩型金属錯体化合物という特定の化合物を合成する必要があり、容易に製造することは困難であるという問題がある。
【0012】
また特開平11−76800号公報には、金属化合物を溶媒に溶解し、高分子顔料分散剤を添加し、還元剤としてアルカノールアミンなどのアミンを添加し、金属を還元して、高分子顔料分散剤で保護された金属コロイドを形成する方法が開示されている。
【0013】
しかし、アルカノールアミンなどの毒性の強い薬品を使う必要があるので製造は容易ではなく、さらに高分子顔料分散剤などの入手しにくい材料を使うため、製造コストを削減することが困難であるという問題がある。
【0014】
また、特開平11−80647号公報には、平均分子量が2000〜100万の特定の構造を持つ高分子量顔料分散剤を使用し、還元剤としてアルコールを用い、彩度の高い色材に用いる貴金属または銅のコロイドを得ることが記載されている。
【0015】
さらに、特開平10−66861号公報に実施例には、金属化合物として、硝酸銀、分散剤としてクエン酸ナトリウム、還元剤として硫酸第1鉄またはタンニン酸を用い、2000〜6000rpmの攪拌下に混合し、銀コロイドを得ている。
【0016】
しかし上記の2つの方法では、導電性の高い薄膜を得ることはできない。
また、特開2002−245854号公報の実施例には、アミノ酸のようなアミノ基とカルボキシル基を持つ化合物を保護剤とし、タンニン酸などで貴金属を還元する方法が記載されている。
【0017】
この方法で得られる貴金属コロイドは、導電性インクになりうる安定性があると記載されている。しかし、この方法で得られる貴金属コロイドは少しずつ沈殿が生じるので、長期の保存に適していない。
【0018】
このように、これまでに知られている出発材料の組み合わせでは、薄膜を形成したときに所望の高導電性が得られなかったり、均一に分散させるために制約の多い製造条件で反応させる必要があったり、また、分散性を高めるために高分子系顔料分散剤を使用すると導電性が犠牲になるなどの問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、従って本発明の目的は、簡便に低コストで長期保存可能であり、高い導電性を有する薄膜を形成可能な金コロイドなどの貴金属コロイド、貴金属微粒子とそれを含む組成物、および、そのような貴金属コロイドを形成するための貴金属微粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するため、本発明の貴金属コロイドは、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドであって、遠心分離処理により前記貴金属コロイドから分離される前記保護成分の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在し、前記保護成分が、ペプチドの酸化物である。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、本発明の貴金属コロイドは、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドであって、遠心分離処理により前記貴金属コロイドから分離される前記保護成分の13C−NMRスペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在し、前記保護成分が、グルコサミン化合物の酸化物である。
【0022】
上記の本発明の貴金属コロイドは、好適には、前記貴金属微粒子が、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)または式(2)で表される化合物Aと、前記化合物Aの還元性を補助するアルカリとが混合されてなり、前記貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により形成されてなる。
【0023】
【化1】
Figure 0004368855
【0024】
ここで、Rは、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R、Rはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
【0025】
上記の本発明の貴金属コロイドは、さらに好適には、前記溶液が水溶液である。
【0026】
さらに好適には、前記水溶液のpHが10以上となるように前記アルカリが混合されてなり、またさらに好適には、前記貴金属微粒子が形成された後に、前記水溶液のpHが7以上となるように調製されている。
【0027】
あるいは好適には、前記溶液がアルコール溶液である
【0028】
また、上記の目的を達成するため、本発明の貴金属微粒子は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在するペプチドの酸化物が存在する
【0029】
また、上記の目的を達成するため、本発明の組成物は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在するペプチドの酸化物が存在する貴金属微粒子と、分散媒とを含む
【0030】
また、上記の目的を達成するため、本発明の貴金属微粒子は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物が存在する
【0031】
また、上記の目的を達成するため、本発明の組成物は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物が存在する貴金属微粒子と、分散媒とを含む。
【0032】
また、上記の目的を達成するため、本発明の貴金属微粒子の製造方法は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)または(2)で表される化合物Aとしてペプチドを添加する工程と、前記化合物Aの還元性を補助するアルカリを添加する工程と、前記貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により貴金属微粒子を形成する工程とを有する。
【0033】
【化2】
Figure 0004368855
【0034】
ここで、Rは、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R、Rはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
【0035】
また、上記の目的を達成するため、本発明の貴金属微粒子の製造方法は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)または(2)で表される化合物Aとしてグルコサミン化合物を添加する工程と、前記化合物Aの還元性を補助するアルカリを添加する工程と、前記貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により貴金属微粒子を形成する工程とを有する。
【0036】
【化3】
Figure 0004368855
【0037】
ここで、R は、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、R とR はそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、R とR はそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R 、R はそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
【0038】
上記の本発明の貴金属微粒子の製造方法は、好適には、前記溶液が水溶液である。
【0039】
さらに好適には、前記アルカリを添加する工程において、前記水溶液のpHが10以上となるように添加する。
【0040】
さらに好適には、前記貴金属微粒子を形成する工程において、当該貴金属微粒子が前記水溶液中に分散された貴金属コロイドとする。
【0041】
またさらに好適には、前記貴金属微粒子を形成し、貴金属コロイドとする工程の後、前記水溶液を遠心分離して沈降物と上澄みに分離する工程と、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程とをさらに有する。
【0042】
上記の本発明の貴金属微粒子の製造方法は、好適には、前記溶液が有機溶媒の溶液である。
【0043】
さらに好適には、前記貴金属微粒子を形成する工程の後、前記溶液を静置して沈降物と上澄みに分離する工程と、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程とをさらに有する。
【0044】
またさらに好適には、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程の後、前記沈降物に対して水を加えて水系貴金属コロイドとする工程をさらに有する。
【0045】
またさらに好適には、前記貴金属コロイドとする工程の後、限外濾過あるいは超遠心分離などにより、前記貴金属コロイドを濃縮する工程をさらに有する。
【0046】
またさらに好適には、前記溶液中に有機溶媒用保護剤を添加する工程をさらに有し、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程の後、前記沈降物に対して有機溶媒を加えて有機溶媒系貴金属コロイドとする工程とをさらに有する。
【発明の効果】
【0047】
本発明の貴金属コロイドは、13C−NMRスペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在するペプチド酸化物や、ピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物で保護された貴金属コロイドや、貴金属微粒子の粒径の標準偏差が15%以下である貴金属コロイド、また、塗布して乾燥させた後に、再び水または有機溶媒を与えるとコロイド状態に戻る貴金属コロイドであり、これらは金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤として入手しやすく安価な原材料であるペプチドやグルコサミン化合物などの化合物Aとアルカリを添加することで形成でき、毒性の強い薬品は不要であり、簡便に低コストで製造可能で、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属コロイドである。
【0048】
本発明の貴金属微粒子の製造方法は、毒性の強い薬品は不要であり、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、入手しやすく安価な原材料であるペプチドやグルコサミン化合物などの化合物Aとアルカリを添加するのみで、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属微粒子を簡便に低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に、本発明の貴金属コロイドおよび貴金属微粒子の製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0050】
第1実施形態
本実施形態は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された、粒径が1〜200nmの貴金属微粒子(以下貴金属ナノ粒子とも称する)を保護成分が保護してなり、水中に分散した貴金属コロイドに係る。
【0051】
図1Aおよび図1Bは本実施形態に係る貴金属コロイドの製造方法を示す模式図である。
【0052】
まず、図1Aに示すように、例えば反応容器10に、塩化金酸などの金、硝酸銀などの銀、塩化白金酸などの白金および塩化パラジウムナトリウムなどのパラジウムから選択された貴金属を含有する化合物を溶解した水溶液11を入れ、スターラー12で攪拌しながら、この中に、還元剤として下記の式(1)または(2)で表される化合物Aを溶かした水溶液13を添加する。
【0053】
塩化金酸などの貴金属含有化合物は、特に限定はなく、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属イオンを含有し、水に溶解する化合物であればよい。
【0054】
【化4】
Figure 0004368855
【0055】
ここで、Rは、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R、Rはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
【0056】
上記の化合物Aとして、例えば、式(1)あるいは(2)において、Rが水酸基であるαあるいはβ−アミノ酸やRがアルコキシ基であるαあるいはβ−アミノ酸エステルなどのαあるいはβ−アミノ酸化合物、アミノ基がアセチル化されたαまたはβ−アミノ酸化合物、Rがペプチド結合で結合する原子団であるN末端がα−アミノ酸であるペプチドあるいはその他のペプチドなどを用いることができる。
【0057】
例えば、アミノ酸化合物として、アスパルテーム、グリシルグリシン(ジグリシン)、グリシルグリシルグリシン(トリグリシン)など、N末端がα−アミノ酸であるペプチドあるいはその他のペプチドを用いることができる。
【0058】
あるいは、α−アミノ酸などのアミノ酸またはアミノ酸誘導体を用いることができ、例えば、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リシン、およびそれらのエステルなどを用いることができる。
【0059】
また、例えば、式(1)あるいは(2)において、Rがアミノ基であるアミド化合物などを用いることもできる。
【0060】
また、例えば、式(1)において、Rが水素であり、Rが〔−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)〕であり、R、R、Rが水素であるグルコサミン、あるいはその誘導体であるNアセチルグルコサミンなどのグルコサミン化合物を用いることもできる。
【0061】
また、例えば、式(1)あるいは(2)において、RとRはそれぞれ水素、メチル基などのアルキル基、置換されたアルキル基の他、RとRのいずれかがアセチル基であるアミド化合部なども用いることができる。
【0062】
特に金、銀および白金に対する還元剤としては、ペプチドやグルコサミン化合物を用いるのが好ましい。また、特にパラジウムに対する還元剤としては、アミノ酸を用いるのが好ましい。
【0063】
また、上記のアミノ酸などの化合物を単独で用いる他、混合物としても好ましく用いることができる。
【0064】
次に、図1Bに示すように、例えば、上記の貴金属含有化合物と化合物Aの水溶液を所定の温度(例えば50〜70℃)に加温しながら、この中にKOHやNaOHなどの化合物Aの還元性を補助するアルカリ(アルカリ水溶液14)を添加する。
【0065】
以上の工程で必要な薬品を混合し、所定の温度で攪拌を続けることで、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により、例えば粒径が1〜200nmの貴金属ナノ粒子が形成され、これを保護成分が保護してなり、水中に分散した貴金属コロイドとなる。
【0066】
アミノ酸化合物は、本来化学的に安定であり、通常の環境では還元特性はないが、本発明者はアルカリ環境下ではアミノ酸化合物が金などの貴金属イオンを還元する還元特性を示すことを発見し、本発明を完成するに至った。
【0067】
これは、アミノ酸化合物に含まれるアミノ基とカルボキシル基は、中性状態では−COOと−NH となって安定化しているが、アルカリ環境下ではカルボキシルが−COOとなっているのに対してアミノ基は−NHの形で存在し、還元特性が高められているためと考えられる。
【0068】
上記のアミノ酸化合物以外の上記の化合物Aで示される化合物も、アミノ酸化合物と同様に、本来化学的に安定であるが、アルカリ環境下では貴金属イオンを還元する還元特性を示す。
【0069】
ここで、上記のアルカリを添加する工程において、水溶液のpHが10以上となるように添加することが好ましい。
【0070】
pHが低すぎると、金コロイドの生成反応の反応速度が遅く、反応がほとんど進行しないおそれがある。反応を促進するため、pHが11以上となるように添加することがさらに好ましく、具体的にはpHを11〜12に設定する。還元剤としてα−アミノ酸を用いる場合は、pHを12程度とすることが好ましい。
【0071】
このように、pHを合わせてアルカリを添加するため、pHを確認しながら、ピペットやビュレットなどを用いてアルカリを少しずつ添加することが好ましい。
【0072】
上記のようにして得られた貴金属ナノ粒子(コロイド)から未反応物や塩を低減するために、例えば、(1)遠心分離器を用いた限外濾過(フィルターは分子量30000のものを用い、1500〜3000rpmとする)を行った後、適宜水を加える、(2)浸透膜を用いる、(3)超遠心分離器で分離(50000rpm、10分)し、適宜水を加える、などの処理を行う。
【0073】
このような処理を経て、水溶液のpHが7以上となるように中和して調製することができる。
【0074】
例えば、水溶液を遠心分離して沈降物と上澄みに分離し、上澄みを除去して沈降物を取り出し、水で薄め、pHが7以下とならないように中和する。このとき加える水の量で貴金属コロイドの濃度を調節でき、容易に高濃度にできる。
【0075】
コロイドは保護されていないと凝集してしまうため、長期の保存を行うためには、保護剤を添加するか、高分子材料に懸濁させて固めておくのが一般的である。
【0076】
一方、本実施形態においては、後述のように、還元剤として添加した化合物Aが酸化され、これが貴金属ナノ粒子を取り囲み、保護成分として機能している。このようにして形成された貴金属ナノ粒子(コロイド)は、低分子化合物で保護されているにもかかわらず、保護成分を別途添加しなくても、形成された貴金属ナノ粒子が沈降せずに分散してコロイドとして安定に存在して、数カ月間の長期保存が可能である。
【0077】
但し、より沈降しづらくするために、メチオニンやシステインなどの硫黄を含有するアミノ酸やゼラチンコロイドを添加してもよい。
【0078】
貴金属含有化合物に対するアミノ酸化合物などの還元剤の添加量としては、塩化金酸などの貴金属含有化合物1molに対して、アミノ酸あるいはペプチドなどの還元剤の添加量は1〜10molが好ましく、さらには3〜5molが好ましい。還元剤が少ないと金の還元が十分に行われない恐れがあり、多すぎると過剰となって還元に寄与せずに無駄となってしまう。
【0079】
アミノ酸あるいはペプチドなどの還元剤の種類や濃度などで、貴金属ナノ粒子の粒径を変えることができる。
【0080】
例えば、グリシン、グリシルグリシン(ジグリシン)、あるいは、グリシルグリシルグリシン(トリグリシン)を用いて、本実施形態に従って金ナノ粒子が分散してなる金コロイドを作成すると、グリシンから、グリシルグリシン、さらにグリシルグリシルグリシン(トリグリシン)と変更することで、金ナノ粒子の粒径が徐々に小さく変化する。
【0081】
本実施形態の貴金属コロイドの製造方法によれば、毒性の強い薬品は不要であり、貴金属含有化合物を溶解した水溶液中に、入手しやすく安価な原材料であるアミノ酸化合物やグルコサミン化合物などの還元剤とアルカリを添加するのみで、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により貴金属ナノ粒子を形成して、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属コロイドを簡便に低コストで製造することができる。
【0082】
さらに、本実施形態の貴金属コロイドの製造方法によれば、沈降後に加える水の量や反応に用いる試薬の量などに応じて、20〜30重量%という高濃度の貴金属ナノ粒子を分散してなる貴金属コロイドを製造することができる。
【0083】
上記の貴金属コロイドの製造方法より形成された本実施形態に係る貴金属コロイドは、還元剤としてペプチドを用いた場合、遠心分離処理により貴金属コロイドから分離される保護成分の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、最大のピークが160〜190ppmに存在するという特徴がある。これは、保護成分が、ペプチドの酸化物であることを示している。
【0084】
また、還元剤としてグルコサミンを用いた場合、遠心分離処理により前記貴金属コロイドから分離される前記保護成分の13C−NMRスペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するという特徴がある。これは、保護成分が、グルコサミンの酸化物であることを示している。
【0085】
本実施形態に係る貴金属コロイドは、上記のように製造されることによって、粒径が単分散となっており、貴金属ナノ粒子の粒径の標準偏差が15%以下である特徴を有する。好ましくは、この単分散である粒径は1〜200nmである。
【0086】
貴金属コロイドの使用目的に応じて、単分散のままで使用しても、種々のサイズの粒子を混合して用いることも可能である。
【0087】
また、本実施形態に係る貴金属コロイドは、塗布して乾燥させた後に、再び水を与えるとコロイド状態に戻るという特徴を有する。
【0088】
従来の金コロイドなどは一度乾燥させると水を与えてもコロイドに戻ることはなかったが、本実施形態に係る貴金属コロイドは可能となっている。
【0089】
上記の本実施形態に係る貴金属コロイドは、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属ナノ粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドであって、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属含有化合物を溶解した水溶液中に、上記の化合物Aで示される還元剤と、化合物Aの還元性を補助するアルカリとが混合されてなり、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により形成された貴金属ナノ粒子が水溶液中に分散されてなる。
【0090】
好ましくは、上記のアルカリによりpHが10以上に調整されてなる。
【0091】
例えば金コロイドの場合、金コロイドに特有の525〜530nm領域のプラズモン吸収により、濃いワインレッド色の溶液となる。
【0092】
金コロイド溶液の濃度は、光吸収スペクトル中での520〜525nm領域における光吸収強度を測定して得ることができる。
【0093】
本実施形態に係る貴金属コロイドは、13C−NMRスペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、最大のピークが160〜190ppmに存在するペプチド酸化物や、ピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物で保護された貴金属コロイドや、貴金属ナノ粒子の粒径の標準偏差が15%以下である貴金属コロイド、また、塗布して乾燥させた後に、再び水を与えるとコロイド状態に戻る貴金属コロイドであり、これらは金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤として入手しやすく安価な原材料であるペプチドやグルコサミン化合物などの化合物Aとアルカリを添加することで形成でき、毒性の強い薬品は不要であり、簡便に低コストで製造することが可能で、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属コロイドである。
【0094】
例えば、金コロイドの用途としては、例えば、塗布して加熱することで金メッキを形成する塗料として用いる他、例えば、抗体を結合させてなる妊娠検査薬としての利用が可能である。
【0095】
また、特定の塩基配列を有するDNAを検出する遺伝子診断などのバイオセンシングに利用できる。
【0096】
これは、例えば、検出しようとする塩基配列と完全相補の塩基配列を有するDNAを金ナノ粒子に固定してコロイドにしたもので、検出しようとする塩基配列のDNAと結合すると金ナノ粒子が凝集して溶液の色が変化し、上記の特定の塩基配列のDNAを検出しようとするものである。
【0097】
また、本実施形態に係る貴金属コロイドを用いて、以下のようにして、導電性金属薄膜を形成することが可能である。
【0098】
例えば、限外濾過遠心分離器で分離(3000rpm、30分)し、上澄み液を除去する操作を2回行い、少量の水を加えてガラスなどの容器に入れる。水分が蒸発すると貴金属メッキを得ることができる。
【0099】
また、別法としては、1mmolスケールで形成した貴金属コロイド溶液に0.25mmolのチオジグリコール酸やチオジプロリン酸などの硫黄含有化合物水溶液を加え、50℃の湯浴に攪拌しながら10分間反応させる。得られた溶液を限外濾過遠心分離器(3000rpm、20分)にかけ、沈降物をガラスなどの容器に採取して水20mlを加えて懸濁させ、エタノール20〜40mlを加えて軽く攪拌して放置し、自然乾燥させる。乾燥した部分から貴金属メッキを得ることができる。
【0100】
導電性皮膜や細線を形成するためには、高濃度の貴金属コロイド溶液を用いることが必要となるが、本実施形態によれば、0.1〜0.5mol/リットルという高濃度のコロイド溶液を容易に作成することができる。
【実施例1】
【0101】
金を含有する化合物として、塩化金酸(H〔Au(III)Cl〕・3.8HO)0.5mmol(204mg)を純水30mlに溶解した。
次に、アミノ酸化合物として、アスパルテーム(Aspartame,L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル)1.5mmol(442mg)を純水20mlに溶解し、上記塩化金酸溶液に添加した。
【0102】
次に、塩化金酸とアスパルテームの溶液を湯浴で70℃に加温し、0.5NのKOH水溶液をpHが11〜12となるまで、沈殿が発生しないように、溶液を攪拌しながら5分かけて少しずつ添加した。必要なKOH水溶液は8〜9mlであった。
【0103】
上記のKOH水溶液を添加するときのpH値と溶液の様子を観察した結果を表1にまとめた。
【0104】
【表1】
Figure 0004368855
【0105】
以上のようにして、525〜530nm領域の金コロイドのプラズモン吸収による濃いワインレッド色の溶液が得られた。
【0106】
上記の反応において、pHを11に調整してからの反応時間が10分以内では溶液は赤みを帯び、光吸収スペクトルでは520nmの吸収強度が最大となった。
【0107】
上記の濃いワインレッド色の溶液を遠心分離器(5万rpm、20分)にかけると、沈降物(金コロイド)と上澄みに分離され、上澄みをパスツールで分離した。得られた沈降物(金コロイド)に水を加えると、金コロイドが分散して再び濃いワインレッド色の溶液となった。
【実施例2】
【0108】
塩化金酸0.5mmolの水溶液にグリシルグリシン(ジグリシン)1.5mmolの水溶液を添加し、70℃に加温しながらpHが11となるまでゆっくりとアルカリを添加して、実施例1と同様に、金コドイドが分散した濃いワインレッド色の溶液を得た。試薬の量を多くすると、より高濃度の金コロイド溶液ができる。
【0109】
図2は、得られた金コロイドのTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。
【0110】
上記TEM写真から、粒径を測定したところ、8±2nmであった。
【0111】
上記の金コロイド溶液をガラス皿に採り、少量のエタノールを加えて攪拌し、空気中で乾燥させると、黄金色の被膜となった。得られた黄金色の被膜に水を加えると、金コロイドが分散して再び濃いワインレッド色の溶液となった。
【0112】
また、上記の金コロイド溶液に保護剤となる硫黄含有化合物としてL−メチオニン0.5mmolを純水に溶解した水溶液を加えて、約1時間反応を行った。反応終了後、遠心分離器により沈降物と上澄みに分離し、上澄み液をパスツールで除去し、得られた沈降物(金コロイド)を集めてガラス皿に取り、乾燥機にかけて乾燥させると黄金色の被膜となった。得られた被膜は強固であり、水を加えても溶解しなかった。
【0113】
また、上記の金コロイド溶液のpHを中性〜弱アルカリ性にすることで長期保存することが可能となった。また、これにゼラチンコロイドを加えて乾燥させると、金コロイドに特有のワインレッドの色を見やすくして保存することができるようになった。
【実施例3】
【0114】
塩化金酸0.5mmolの水溶液にα−アラニン1.5mmolの水溶液を添加し、70℃に加温しながらpHが12となるまでゆっくりとアルカリを添加して、実施例1と同様に、金コドイドが分散した濃いワインレッド色の溶液を得た。
【0115】
一方、上記と同じ方法において、アミノ酸としてβ−アラニンを用いたことのみ異なる条件では、α−アラニンを用いた場合からは反応速度が著しく遅いものの、上記と同様の金コロイドが得られた。
【0116】
さらに、β−アラニンを含むペプチドであるβ−アラニルヒスチジンを用いて反応させても、β−アラニンと同様の結果となった。
【0117】
上記の事実から、金コロイド生成反応には、アミノ酸としてはα−アミノ酸が好ましく、ペプチドの場合にもN末端がα−アミノ酸であることが好ましいことがわかった。反応速度が遅いことを除けば、β−アミノ酸も使用できることがわかった。
【0118】
以下、上記のα−アミノ酸とβ−アミノ酸の特性の差異について考察する。
【0119】
例えば、エチルアミン(CHCHNH)、β−アラニン(NHCHCHCOOH)、α−アラニン(NH(CH)CHCOOH)で比較すると、エチルアミン>β−アラニン>α−アラニンの順に、前者ほどアミンとしての性質が強く、後者ほど弱くなることが知られている。
【0120】
α−アラニンでは分子内で共鳴構造を取りやすいが、一方でβ−アラニンでは、アミノ基とカルボキシル基の間においてα−アラニンより炭素鎖が1つ多いために共鳴構造とならず、アミノ基は単にアルキル基に結合しているものと見なせるものである。
【0121】
上記を考慮すると、末端のアミノ基と同一の炭素に結合するカルボキシル基あるいはカルボニル基(アミド基)の共鳴により、金の還元に最適な環境をつくっているものと考えられる。
【0122】
また、上記の金コロイドの生成反応において、還元剤としてトリペプチド、ジペプチドエステル、ジペプチド、α−アミノ酸エステルおよびα−アミノ酸で比較すると、この順で前者ほど金コロイド生成反応が容易に進行し、後者ほど容易ではなくなることがわかった。つまり、還元剤は長鎖の方が沈殿の少ない安定なコロイドが生成できるようである。
【実施例4】
【0123】
塩化金酸1mmolを純水30mlに溶解し、トリグリシン1mmolを加えた。得られた水溶液を60℃の湯浴にて10分間攪拌し、0.5NのKOH水溶液をアルカリ性(pHが約12)となるまで30分かけて添加した。このとき、溶液の色は黄色から赤褐色に変化した。1NのHClを添加してpHを7.5にした。得られた金コロイドに対して、遠心分離器を用いた限外濾過(フィルターは分子量30000、1500〜3000rpm)を行って未反応物や塩を低減した後、適宜水を加えた。
【0124】
得られたコロイド溶液を用いて、粒度分布、XRD、SEM、TEM、UV、電気泳動などの測定や、乾燥した試料の元素分析を行った。
【実施例5】
【0125】
上記の本実施形態に係る貴金属コロイドの保護成分をH−NMRあるいは13C−NMRなどで直接測定することはできない。
【0126】
しかし、貴金属コロイドを遠心分離処理にかけて固体成分と液体成分に分離し、得られた液体成分を濃縮乾固してDOに溶かし、NMR測定を行うという手順を1〜5回行うことで、最後までコロイドについている保護分子を特定することができる。回を重ねるにつれて貴金属ナノ粒子が凝集して粒径が大きくなることが確認され、これは遠心分離処理で得られた液体成分が貴金属コロイドから分離された保護成分を含有していることを示している。
【0127】
図3Aは実施例4で還元剤としてペプチドであるトリグリシンを用いて製造した金コロイドの保護成分の13C−NMRスペクトルである。
【0128】
還元剤としてペプチドを用いた場合、保護成分の13C−NMRスペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、最大のピークが160〜190ppmに存在していることから、ペプチドの酸化物が保護成分として機能していることが確認された。ペプチドそのもののピークは検出されなかった。
【0129】
また、図3Bは実施例4と同様にして還元剤としてグルコサミンを用いて製造した金コロイドの保護成分の13C−NMRスペクトルである。
【0130】
還元剤としてグルコサミンを用いた場合、保護成分の13C−NMRスペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在していることから、グルコサミンの酸化物が保護成分として機能していることが確認された。グルコサミンそのもののピークは検出されなかった。
【0133】
一方、従来技術に係るクエン酸で還元した金コロイドあるいはクエン酸およびタンニン酸で還元した金コロイドの場合、上記の処理とNMR測定を行っても、常にクエン酸の存在が確認され、ペプチドやグルコサミンの場合とは状況が異なっていることが確認された。
【0131】
第2実施形態
本実施形態は、金、銀、白金およびパラジウムから選択された、粒径が1〜200nmの貴金属ナノ粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドに係り、例えば、水中に分散した水系貴金属コロイドあるいは有機溶媒中に分散した有機溶媒系貴金属コロイドに係る。
【0132】
図4Aおよび図4Bは本実施形態に係る貴金属ナノ粒子の製造方法を示す模式図である。
【0133】
まず、図4Aに示すように、例えば、反応容器10に、エタノールなどの有機溶媒中に塩化金酸などの金、硝酸銀などの銀、塩化白金酸などの白金および塩化パラジウムナトリウムなどのパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液20を入れ、スターラー12で攪拌しながら、この中に、還元剤として下記の式(1)または(2)で表される化合物A(21)を添加する。
【0134】
【化5】
Figure 0004368855
【0135】
ここで、Rは、水素、水酸基、メトキシ基などのアルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、メチル基などのアルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、メチル基などのアルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R、Rはそれぞれ水素、メチル基などのアルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
【0136】
上記の化合物Aとして、例えば、式(1)あるいは(2)において、Rが水酸基であるαあるいはβ−アミノ酸やRがアルコキシ基であるαあるいはβ−アミノ酸エステルなどのαあるいはβ−アミノ酸化合物、アミノ基がアセチル化されたαまたはβ−アミノ酸化合物、Rがペプチド結合で結合する原子団であるN末端がα−アミノ酸であるペプチドあるいはその他のペプチドなど、第1実施形態に記載したアミノ酸化合物を好ましく用いることができる。
【0137】
また、例えば、式(1)あるいは(2)において、Rがアミノ基であるアミド化合物などを用いることもできる。
【0138】
また、例えば、式(1)において、Rが水素であり、Rが〔−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)〕であり、R、R、Rが水素であるグルコサミン、あるいはその誘導体であるNアセチルグルコサミンなどのグルコサミン化合物を用いることもできる。
【0139】
また、例えば、式(1)あるいは(2)において、RとRはそれぞれ水素、メチル基などのアルキル基、置換されたアルキル基の他、RとRのいずれかがアセチル基であるアミド化合部なども用いることができる。
【0140】
特に金、銀および白金に対する還元剤としては、ペプチドやグルコサミン化合物を用いるのが好ましい。また、特にパラジウムに対する還元剤としては、アミノ酸を用いるのが好ましい。
【0141】
また、上記のアミノ酸などの化合物を単独で用いる他、混合物としても好ましく用いることができる。
【0142】
貴金属含有化合物に対する化合物Aの添加量としては、貴金属含有化合物1molに対して、化合物Aは1〜10molが好ましく、さらには3〜5molが好ましい。
【0143】
金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物は、例えば、HAuClなどの金含有化合物、AgNOなどの銀含有化合物、KPtClあるいはHPtClなどの白金含有化合物、あるいは、NaPdClあるいはNaKPdClなどのパラジウム含有化合物など、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属イオンを含有し、溶液中に溶解する化合物であればよい。
【0144】
次に、図4Bに示すように、例えば、上記の貴金属含有化合物と化合物Aを混合した溶液を所定の温度(例えば50〜70℃)に加温しながら、この中に化合物Aの還元性を補助するKOHやNaOHなどの粒状のアルカリ22あるいはCHOKなどのアルカリを添加する。有機溶媒による溶液を用いているため、アルカリ22は溶液状態ではなく固形の粒状で添加したり、あるいは高濃度溶液の状態で添加することが好ましい。固体の粉末状のアルカリでも可能であるが、粒状の方が反応が進行しやすく好ましい。
【0145】
以上の工程で必要な薬品を混合して得られた溶液(懸濁液)について、所定の温度で攪拌を続けることで、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により、例えば粒径が1〜200nmの貴金属微粒子(以下、貴金属ナノ粒子とも称する)が形成される。
【0146】
このとき、アミノ酸あるいはペプチドなどの還元剤の種類や濃度などで、形成される貴金属ナノ粒子の粒径を変えることができる。このとき、懸濁液中に空気を通すと反応を速くすることができる。
【0147】
化合物Aとして用いるアミノ酸化合物は、有機溶媒による溶液中においてもアルカリが添加されることで還元性を示し、貴金属イオンを還元して貴金属ナノ粒子を形成することができる。
【0148】
また、グルコサミンなどのアルデヒド基を持つ化合物も、有機溶媒による溶液中において単独では貴金属イオンを還元して貴金属ナノ粒子を形成することはできないが、アルカリを添加することで貴金属ナノ粒子を形成することが可能となる。
【0149】
次に、上記のようにして形成された貴金属ナノ粒子を含む溶液を静置して沈降物と上澄みに分離し、デカンテーションなどにより上澄みを除去して沈降物を取り出す。
【0150】
得られた沈降物に対して、例えば少量の水を加えて、水中に貴金属ナノ粒子が分散してなる水系貴金属コロイドとすることができる。
【0151】
次に、上記で加える水の量を調節することで、さらには限外濾過により濃縮して、あるいは、透析膜を用いた透析になどより塩類や未反応化合物を除去し、水エタノール混合溶液を加えてコロイドを沈殿させ、再び濾過して得られた沈降物に水を加え、例えば20〜30重量%の高濃度の水系貴金属コロイドを形成することができる。
【0152】
得られた水系貴金属コロイドは、例えば1NのHClでpHを7.5程度に調整することができる。
【0153】
また、貴金属含有化合物、化合物Aおよびアルカリを混合した懸濁液中に、予めドデカンチオールなどの硫黄化合物を有機溶媒用保護剤として添加しておくことで、形成される貴金属ナノ粒子が有機溶媒用保護成分により保護された状態で形成され、従って、上記のようにデカンテーションによって沈降物を取り出した後に、クロロホルムやトルエンなどの少量の有機溶媒を加えることで、貴金属ナノ粒子が有機溶媒中に分散してなる高濃度の有機溶媒系貴金属コロイドとすることも可能である。有機溶媒用保護剤の添加量は、例えば貴金属含有化合物:有機溶媒用保護剤=1(mol):0.5〜1(mol)程度とする。
【0154】
上記の還元反応による貴金属ナノ粒子の形成反応は、金、パラジウム、白金の順で長くなる。例えば、金のナノ粒子の形成は例えば1〜数時間程度で終了するのに対して、白金のナノ粒子の形成は1〜数日程度で終了する。
【0155】
本実施形態によれば、毒性の強い薬品は不要であり、貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、入手しやすく安価な原材料であるアミノ酸化合物などの化合物を還元剤として添加し、還元剤の還元性を補助するアルカリを添加することで金属ナノ粒子を形成して、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属コロイドを簡便に低コストで製造することができる。
【0156】
上記の貴金属コロイドの製造方法より形成された本実施形態に係る貴金属コロイドは、還元剤としてペプチドを用いた場合、遠心分離処理により貴金属コロイドから分離される保護成分の13C−NMRスペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、最大のピークが160〜190ppmに存在するという特徴がある。これは、保護成分が、ペプチドの酸化物であることを示している。
【0157】
また、還元剤としてグルコサミンを用いた場合は13C−NMRスペクトルのピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在し、これは保護成分がグルコサミンの酸化物であることを示している。
【0158】
本実施形態に係る貴金属コロイドは、上記のように製造されることによって、粒径が単分散となっており、貴金属ナノ粒子の粒径の標準偏差が15%以下である特徴を有する。好ましくは、この単分散である粒径は1〜200nmである。
【0159】
また、本実施形態に係る貴金属コロイドは、塗布して乾燥させた後に、再び水や有機溶媒を与えるとコロイド状態に戻るという特徴を有する。
【0160】
上記の本実施形態に係る貴金属コロイドは、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属ナノ粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドであって、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、上記の化合物Aで示される還元剤と、化合物Aの還元性を補助するアルカリとが混合されてなり、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により形成された貴金属ナノ粒子が溶液中に分散されてなる。
【0161】
好ましくは、上記の溶液が水溶液であり、pHが10以上となるようにアルカリが混合されてなる。さらに好ましくは、貴金属ナノ粒子が形成された後に、水溶液のpHが7以上となるように調製されている。
【0162】
あるいは好ましくは、上記の溶液がアルコール溶液である。
【0163】
本実施形態に係る貴金属コロイドは、TEM(透過型電子顕微鏡)写真を撮影すると、例えば粒径が1〜200nm程度の非常に小さな粒子が観察され、さらにX線回折スペクトルを測定すると、金属固体であることを示すX線回折のピークが得られ、貴金属ナノ粒子が形成されていることを示す結果が得られる。
【0164】
本実施形態に係る貴金属コロイドは、13C−NMRスペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、最大のピークが160〜190ppmに存在するペプチド酸化物や、ピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物で保護された貴金属コロイドや、貴金属ナノ粒子の粒径の標準偏差が15%以下である貴金属コロイド、また、塗布して乾燥させた後に、再び水を与えるとコロイド状態に戻る貴金属コロイドであり、これらは金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤として入手しやすく安価な原材料であるペプチドやグルコサミン化合物などの化合物Aとアルカリを添加することで形成でき、毒性の強い薬品は不要であり、簡便に低コストで製造可能で、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属コロイドである。
【0165】
本実施形態に係る貴金属ナノ粒子のコロイドは、各コロイドの元素に特有のプラズモン吸収による特有の呈色を示す。
【0166】
金コロイドの用途としては、例えば、金メッキ用塗料、抗体を結合させてなる妊娠検査薬、遺伝子診断などのバイオセンシング、などに用いることができる。
上記の水系貴金属コロイドあるいは有機溶媒系貴金属コロイドについて、ガラス板などに塗布し、乾燥させる(水あるいは有機溶媒を蒸発させる)ことで、非常によい導電性を示す薄膜を形成することができる。
【実施例6】
【0167】
金を含有する化合物として、塩化金酸0.5mmolをエタノール30mlに溶解した。
【0168】
次に、還元剤として、トリグリシン0.5mmolを上記塩化金酸溶液に添加した。
【0169】
次に、塩化金酸とトリグリシンのエタノール溶液(懸濁液)を攪拌しながら湯浴で50℃に加温し、0.2gの固体粒状のKOHを加えた。このとき、空気を通すと反応が速くなった。
【0170】
上記のようにすると、エタノール溶液(懸濁液)から黒色の沈殿が生じ、上澄みは無色となった。静置して沈殿が沈降したら、デカンテーションにより上澄みを捨てた。
【0171】
得られた沈降物に少量の水を加えてコロイド化し、限外濾過により濃縮し、金ナノ粒子が水中に分散してなる高濃度の水系金コロイドを得た。あるいは、透析して塩類や未反応化合物を除去し、水エタノール混合溶液を加えてコロイドを沈殿させ、再び濾過して得られた沈降物に水を加え、高濃度の水系金コロイドを得た。収率は100%に近かった。
【0172】
図5は、得られた金コロイド(金ナノ粒子)のTEM写真である。
【0173】
上記TEM写真から、粒径を測定したところ、3〜6nmであった。
【0174】
また、図6は得られた金コロイド(金ナノ粒子)のXRD(X線回折)スペクトルである。横軸は2θ、縦軸はXRD強度である。
【0175】
上位のXRDスペクトルから、金属固体であることを示すピークが得られ、金のナノ粒子が得られたことが確認された。
【実施例7】
【0176】
金を含有する化合物として、塩化金酸0.5mmolをエタノール30mlに溶解した。
【0177】
次に、有機溶媒用保護剤であるドデカンチオールを0.5mmol加え、加熱攪拌した。
【0178】
次に、還元剤として、トリグリシン0.5mmolを上記塩化金酸溶液に添加した。
【0181】
次に、塩化金酸、ドデカンチオールとトリグリシンのエタノール溶液(懸濁液)を攪拌しながら湯浴で50℃に加温し、0.2gの固体粒状のKOHを加えた。このとき、空気を通すと反応が速くなった。
【0179】
上記のようにすると、エタノール溶液(懸濁液)から黒色の沈殿が生じ、上澄みは無色となった。静置して沈殿が沈降したら、デカンテーションにより上澄みを捨てた。
【0180】
得られた沈降物に少量の水を加えて塩類や未反応化合物を溶解し、静置して上澄みを捨て、得られた沈降物にクロロホルムあるいはトルエンを加えて高濃度の有機溶媒系金コロイドを得た。本実施例においては、有機溶媒用保護剤を加えているので、水を加えてもコロイドとはならない。
【0181】
上記のようにして得た金コロイド(金ナノ粒子)のTEM写真とXRD(X線回折)スペクトルでは、実施例6と同様の結果が得られ、金のナノ粒子が得られたことが確認された。
【実施例8】
【0182】
銀を含有する化合物として、硝酸銀AgNO0.5mmolをエタノール30mlに溶解した。
【0183】
次に、還元剤として、トリグリシン0.5mmolを上記硝酸銀溶液に添加した。
【0184】
次に、硝酸銀とトリグリシンのエタノール溶液(懸濁液)を攪拌しながら湯浴で50℃に加温し、0.2gの固体粒状のKOHを加えた。
【0185】
上記のようにすると、エタノール溶液(懸濁液)から沈殿が生じ、上澄みは無色となった。静置して沈殿が沈降したら、デカンテーションにより上澄みを捨てた。
【0186】
得られた沈降物に少量の水を加えてコロイド化し、限外濾過により濃縮して、銀ナノ粒子が水中に分散してなる高濃度の水系銀コロイドを得た。収率は100%に近かった。
【0187】
図7は、得られた銀コロイド(銀ナノ粒子)のTEM写真である。
【0188】
上記TEM写真から、粒径を測定したところ、3〜6nmであった。
【0189】
また、図8は得られた銀コロイド(銀ナノ粒子)のXRD(X線回折)スペクトルである。横軸は2θ、縦軸はXRD強度である。
【0190】
上位のXRDスペクトルから、金属固体であることを示すピークが得られ、銀のナノ粒子が得られたことが確認された。
【実施例9】
【0191】
白金を含有する化合物として、KPtCl0.5mmol(またはPtCl0.5mmolと塩化カリウム)をエタノール30mlに溶解した。
【0192】
次に、還元剤として、トリグリシン0.5mmolを上記の白金化合物の溶液に添加した。
【0193】
次に、KPtClとトリグリシンのエタノール溶液(懸濁液)を攪拌しながら湯浴で50℃に加温し、0.2gの固体粒状のKOHを加えた。
【0194】
上記のようにすると、エタノール溶液(懸濁液)から沈殿が生じ、上澄みは無色となった。静置して沈殿が沈降したら、デカンテーションにより上澄みを捨てた。
【0195】
得られた沈降物に少量の水を加えてコロイド化し、限外濾過により濃縮して、白金ナノ粒子が水中に分散してなる高濃度の水系白金コロイドを得た。収率は100%に近かった。
【0196】
図9は、得られた白金コロイド(白金ナノ粒子)のTEM写真である。
【0197】
上記TEM写真から、粒径を測定したところ、3〜6nmであった。
【0198】
また、図10は得られた白金コロイド(白金ナノ粒子)のXRD(X線回折)スペクトルである。横軸は2θ、縦軸はXRD強度である。
【0199】
上位のXRDスペクトルから、金属固体であることを示すピークが得られ、白金のナノ粒子が得られたことが確認された。
【実施例10】
【0200】
パラジウムを含有する化合物として、NaPdCl0.5mmolをエタノール30mlに溶解した。
【0201】
次に、還元剤として、トリグリシン0.5mmolを上記パラジウム化合物の溶液に添加した。
【0202】
次に、NaPdClとトリグリシンのエタノール溶液(懸濁液)を攪拌しながら湯浴で50℃に加温し、0.2gの固体粒状のKOHを加えた。
【0203】
上記のようにすると、エタノール溶液(懸濁液)から沈殿が生じ、上澄みは無色となった。静置して沈殿が沈降したら、デカンテーションにより上澄みを捨てた。
【0204】
得られた沈降物に少量の水を加えてコロイド化し、限外濾過により濃縮して、パラジウムナノ粒子が水中に分散してなる高濃度の水系パラジウムコロイドを得た。収率は100%に近かった。
【0205】
図11は、得られたパラジウムコロイド(パラジウムナノ粒子)のTEM写真である。
【0206】
上記TEM写真から、粒径を測定したところ、3〜6nmであった。
【0207】
また、図12は得られたパラジウムコロイド(パラジウムナノ粒子)のXRD(X線回折)スペクトルである。横軸は2θ、縦軸はXRD強度である。
【0208】
上位のXRDスペクトルから、金属固体であることを示すピークが得られ、パラジウムのナノ粒子が得られたことが確認された。
【実施例11】
【0209】
塩化金酸1mmolをエタノール50mlに溶解し、トリグリシン1mmolを加えて60℃に加温した。次に、KOH4粒(400mg)を加えて30分放置すると、黒色の沈殿が生じた。上澄みをデカンテーションにより捨て、沈殿に水10mlを加えた。得られた金コロイド溶液から適宜未反応物や塩を低減し、さらに1NのHClでpH7.5に調整した。
【0210】
得られたコロイド溶液を用いて、粒度分布、XRD、SEM、TEM、UV、電気泳動などの測定や、乾燥した試料の元素分析を行った。
【実施例12】
【0211】
硝酸銀1mmolをエタノール50mlに溶解し、トリグリシン1mmolを加えた。次に、KOH4粒(400mg)を加えて30分放置すると、褐色の沈殿が生じた。上澄みをデカンテーションにより捨て、沈殿に水10mlを加えた。得られた銀コロイド溶液から適宜未反応物や塩を低減し、さらに1NのHClでpH7.5に調整した。
【0212】
得られたコロイド溶液を用いて、粒度分布、XRD、SEM、TEM、UV、電気泳動などの測定や、乾燥した試料の元素分析を行った。
【実施例13】
【0213】
塩化パラジウムナトリウム1mmolをエタノール50mlに溶解し、トリグリシン1mmolを加えた。次に、KOH4粒(400mg)を加えて30分放置すると、黒色の沈殿が生じた。上澄みをデカンテーションにより捨て、沈殿に水10mlを加えた。得られたパラジウムコロイド溶液から適宜未反応物や塩を低減し、さらに1NのHClでpH7.5に調整した。
【0214】
得られたコロイド溶液を用いて、粒度分布、XRD、SEM、TEM、UV、電気泳動などの測定や、乾燥した試料の元素分析を行った。
【実施例14】
【0215】
塩化白金酸カリウム1mmolをエタノール50mlに溶解し、D−グルコサミンまたはNアセチル−D−グルコサミン1mmolを加えた。次に、KOH4粒(400mg)を加えて30分放置すると、黒色の沈殿が生じた。上澄みをデカンテーションにより捨て、沈殿に水10mlを加えた。得られた白金コロイド溶液から適宜未反応物や塩を低減し、さらに1NのHClでpH7.5に調整した。
【0216】
得られたコロイド溶液を用いて、粒度分布、XRD、SEM、TEM、UV、電気泳動などの測定や、乾燥した試料の元素分析を行った。
【実施例15】
【0217】
上記の実施例11において塩化金酸に対してトリグリシンとアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号1)の電気泳動(トリス緩衝液、pH7.2)を測定した。
【0218】
比較例として、塩化金酸に対してクエン酸とトリグリシンを添加して形成した金コロイド(試料番号2)、塩化金酸に対してクエン酸とタンニン酸を添加して形成した金コロイド(試料番号3)、塩化金酸に対してクエン酸とグルコサミンを添加して形成した金コロイド(試料番号4)についても同時に行った。
【0219】
結果を図13Aに示す。
【0220】
本発明に係るトリグリシンとアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号1)は細いバンドのままで+側に大きく移動したが、比較例については試料番号2の金コロイドの一部がわずかに+側に移動しただけで、他の比較例(試料番号3,4)はほとんど移動しなかった。
【0221】
このことから、本発明に係る製造方法で形成した金コロイドは、比較例と大きく異なり、強い負コロイドであることがわかった。
【0222】
また、実施例11において塩化金酸に対してトリグリシンとアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号1,2)、実施例13において塩化パラジウムナトリウムに対してトリグリシンとアルカリを添加して形成したパラジウムコロイド(試料番号3)、実施例12において硝酸銀に対してトリグリシンに代えてグルコサミンとアルカリを添加して形成した銀コロイド(試料番号4)、実施例14において塩化白金酸カリウムに対してD−グルコサミンに代えてトリグリシンとアルカリを添加して形成した白金コロイド(試料番号5,7)、比較例として塩化金酸に対してクエン酸を添加して形成した金コロイド(試料番号6)の各試料について、電気泳動(トリス緩衝液、pH7.2)を測定した。
【0223】
結果を図13Bに示す。
【0224】
試料番号4のグルコサミンを用いて形成した銀コロイドは移動しなかったが、他の白金やパラジウムコロイドは金コロイドと同等に+側に移動しており、強い負コロイドであることがわかった。
【実施例16】
【0225】
実施例11において塩化金酸に対してトリグリシン(ペプチド)とアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号1)、トリグリシンに代えてグルコサミンとアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号2)、比較例として、ペプチドのみを添加した試料(試料番号3)、グルコサミンのみを添加した試料(試料番号4)、クエン酸を添加して形成した金コロイド(試料番号5)、クエン酸とタンニン酸を添加して形成した金コロイド(試料番号6)、クエン酸とタンニン酸にさらにアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号7)、クエン酸とアルカリを添加して形成した金コロイド(試料番号8)、クエン酸とペプチドを添加して形成した金コロイド(試料番号9)、クエン酸とグルコサミンを添加して形成した金コロイド(試料番号10)について、コロイドの形成、コロイドの濃度、長期保存性、ガラス板に塗布、乾燥して得た薄膜の金属光沢、電気泳動について調べた結果を表2にまとめた。
【0226】
【表2】
Figure 0004368855
【0227】
試料番号3,4では、金コロイドが形成されなかった(×)。他の試料では形成できた(○)が、本発明に係る試料番号1,2では特に容易に形成できた(◎)。
また、試料番号1,2ではコロイドの濃度を容易に高めて形成することができた(○)が、他の試料(試料番号5〜10)では高濃度に形成することは困難であった(△)。
【0228】
また、試料番号1,2では3ヶ月以上の長期保存を行っても沈殿しなかったが、他の試料(試料番号5〜10)では3ヵ月の間に徐々に沈殿が発生した(△)。
【0229】
また、薄膜を形成したときに試料番号1,2ではきれいな光沢が得られた(○)が、他の試料(試料番号5〜10)では試料番号1,2程きれいな光沢は得られなかった(△)。
【0230】
また、電気泳動では、試料番号1,2は細いバンド形状のままで+側に移動したが、他の試料(試料番号5〜10)では少し広がるだけであるか、一部移動したが中心は移動せずそのままであった。
【0231】
本発明は上記の説明に限定されない。
【0234】
例えば、還元剤としては、上記のように式(1)または(2)で示される化合物であればよく、α−アミノ酸化合物、β−アミノ酸化合物、これらのペプチドやグルコサミン化合物などの他の化合物を用いることができる。
【0232】
また、例えば金ナノ粒子を製造するときには、金含有化合物として塩化金酸に限らず金イオンを含んで水などに溶解する化合物であればよい。銀、白金あるいはパラジウムのナノ粒子を製造するときには、これらの貴金属を含有して溶液に溶解する化合物であればよい。
【0233】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0234】
本発明の貴金属コロイドは、13C−NMRスペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、最大のピークが160〜190ppmに存在するペプチド酸化物や、ピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物で保護された貴金属コロイドや、貴金属微粒子の粒径の標準偏差が15%以下である貴金属コロイド、また、塗布して乾燥させた後に、再び水または有機溶媒を与えるとコロイド状態に戻る貴金属コロイドであり、これらは金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤として入手しやすく安価な原材料であるペプチドやグルコサミン化合物などの化合物Aとアルカリを添加することで形成でき、毒性の強い薬品は不要であり、簡便に低コストで製造可能で、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属コロイドである。
【0235】
本発明の貴金属微粒子の製造方法は、毒性の強い薬品は不要であり、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、入手しやすく安価な原材料であるペプチドやグルコサミン化合物などの化合物Aとアルカリを添加するのみで、貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により、長期保存でき、高い導電性を有する薄膜を形成できる貴金属微粒子を簡便に低コストで製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明の貴金属コロイドは、金メッキなどの貴金属メッキを形成することができる塗料の他、例えば、抗体を結合させてなる妊娠検査薬としての利用や、特定の塩基配列を有するDNAを検出する遺伝子診断などのバイオセンシング、さらには、特定の電気特性、磁気特性、触媒特性を有する特定の機能を備えた貴金属コロイドとして適用できる。
【0237】
本発明の貴金属微粒子は上記のような貴金属コロイドを構成する貴金属微粒子に適用可能である。
【0238】
本発明の組成物は上記のような貴金属コロイドに適用可能である。
【0239】
また、本発明の貴金属微粒子の製造方法は、金メッキなどの貴金属メッキを形成することができる塗料として用いる他、例えば、抗体を結合させてなる妊娠検査薬としての利用や、特定の塩基配列を有するDNAを検出する遺伝子診断などのバイオセンシング、さらには、特定の電気特性、磁気特性、触媒特性を有する特定の機能を備えた貴金属微粒子の製造に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】図1Aおよび図1Bは第1実施形態に係る貴金属微粒子の製造方法を示す模式図である。
【図2】図2は実施例2において製造した金ナノ粒子(金コロイド)のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。
【図3】図3Aおよび図3Bは実施例5において測定した13C−NMRスペクトルである。
【図4】図4Aおよび図4Bは第2実施形態に係る貴金属微粒子の製造方法を示す模式図である。
【図5】図5は実施例6において製造した金ナノ粒子(金コロイド)のTEM写真である。
【図6】図6は実施例6において製造した金ナノ粒子(金コロイド)のXRDスペクトルである。
【図7】図7は実施例8において製造した銀ナノ粒子(銀コロイド)のTEM写真である。
【図8】図8は実施例8において製造した銀ナノ粒子(銀コロイド)のXRDスペクトルである。
【図9】図9は実施例9において製造した白金ナノ粒子(白金コロイド)のTEM写真である。
【図10】図10は実施例9において製造した白金ナノ粒子(白金コロイド)のXRDスペクトルである。
【図11】図11は実施例10において製造したパラジウムナノ粒子(パラジウムコロイド)のTEM写真である。
【図12】図12は実施例10において製造したパラジウムナノ粒子(パラジウムコロイド)のXRDスペクトルである。
【図13】 図13Aおよび図13Bは実施例15で測定した電気泳動の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0241】
10…反応容器
11…貴金属含有化合物を溶解した水溶液
12…スターラー
13…化合物Aを溶かした水溶液
14…アルカリ水溶液
20…貴金属含有化合物を溶解したアルコール溶液
21…化合物A
22…アルカリ

Claims (24)

  1. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドであって、
    遠心分離処理により前記貴金属コロイドから分離される前記保護成分の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在し、
    前記保護成分が、ペプチドの酸化物である
    貴金属コロイド。
  2. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子を保護成分が保護してなる貴金属コロイドであって、
    遠心分離処理により前記貴金属コロイドから分離される前記保護成分の13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在し、
    前記保護成分が、グルコサミン化合物の酸化物である
    貴金属コロイド。
  3. 前記貴金属微粒子が、金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)または式(2)で表される化合物Aと、前記化合物Aの還元性を補助するアルカリとが混合されてなり、前記貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により形成されてなる
    請求項1または請求項2に記載の貴金属コロイド。
    Figure 0004368855
    ここで、Rは、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R、Rはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
  4. 前記溶液が水溶液である
    請求項に記載の貴金属コロイド。
  5. 前記水溶液のpHが10以上となるように前記アルカリが混合されてなる
    請求項に記載の貴金属コロイド。
  6. 前記貴金属微粒子が形成された後に、前記水溶液のpHが7以上となるように調製されている
    請求項に記載の貴金属コロイド。
  7. 前記溶液がアルコール溶液である
    請求項に記載の貴金属コロイド。
  8. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在するペプチドの酸化物が存在する貴金属微粒子。
  9. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおいて、1級炭素および芳香族炭素のピークを除いて、ピークが160〜190ppmに存在するペプチドの酸化物が存在する貴金属微粒子と、分散媒とを含む組成物。
  10. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物が存在する貴金属微粒子。
  11. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属微粒子の表面に、13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルにおけるピークが20〜90ppmおよび160〜190ppmに存在するグルコサミン化合物の酸化物が存在する貴金属微粒子と、分散媒とを含む組成物。
  12. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)または(2)で表される化合物Aとしてペプチドを添加する工程と、
    前記溶液中に前記化合物Aの還元性を補助するアルカリを添加する工程と、
    前記貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により貴金属微粒子を形成する工程と
    を有する貴金属微粒子の製造方法。
    Figure 0004368855
    ここで、Rは、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、RとRはそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R、Rはそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
  13. 金、銀、白金およびパラジウムから選択された貴金属を含有する貴金属含有化合物を溶解した溶液中に、還元剤としての式(1)または(2)で表される化合物Aとしてグルコサミン化合物を添加する工程と、
    前記溶液中に前記化合物Aの還元性を補助するアルカリを添加する工程と、
    前記貴金属含有化合物中の貴金属イオンの還元反応により貴金属微粒子を形成する工程と
    を有する貴金属微粒子の製造方法。
    Figure 0004368855
    ここで、R は、水素、水酸基、アルコキシ基、アミノ基あるいはペプチド結合で結合する原子団を示し、R とR はそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示し、R とR はそれぞれ水素、アルキル基、置換されたアルキル基あるいはアセチル基を示し、R 、R はそれぞれ水素、アルキル基あるいは置換されたアルキル基を示す。
  14. 前記溶液が水溶液である
    請求項12または請求項13に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  15. 前記アルカリを添加する工程において、前記水溶液のpHが10以上となるように添加する
    請求項14に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  16. 前記貴金属微粒子を形成する工程において、当該貴金属微粒子が前記水溶液中に分散された貴金属コロイドとする
    請求項14に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  17. 前記貴金属微粒子を形成し、貴金属コロイドとする工程の後、前記水溶液を遠心分離して沈降物と上澄みに分離する工程と、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程とをさらに有する
    請求項16に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  18. 前記溶液が有機溶媒の溶液である
    請求項11または請求項12に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  19. 前記貴金属微粒子を形成する工程の後、前記溶液を静置して沈降物と上澄みに分離する工程と、前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程とをさらに有する
    請求項18に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  20. 前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程の後、前記沈降物に対して水を加えて水系貴金属コロイドとする工程をさらに有する
    請求項19に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  21. 前記貴金属コロイドとする工程の後、前記貴金属コロイドを濃縮する工程をさらに有する
    請求項20に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  22. 前記貴金属コロイドを濃縮する工程において、限外濾過により濃縮する
    請求項21に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  23. 前記貴金属コロイドを濃縮する工程において、超遠心分離により濃縮する
    請求項21に記載の貴金属微粒子の製造方法。
  24. 前記溶液中に有機溶媒用保護剤を添加する工程をさらに有し、
    前記上澄みを除去して前記沈降物を取り出す工程の後、前記沈降物に対して有機溶媒を加えて有機溶媒系貴金属コロイドとする工程とをさらに有する
    請求項19に記載の貴金属微粒子の製造方法。
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