従来の1モジュールサイズのタイマ装置は、機械式であるために、設定時間にばらつきを生じやすいとともに、長期間にわたる高い信頼性を得にくいという問題がある。
これに対して、電子式のタイマ装置は、その原理上上記の問題を克服しやすい利点がある。しかし、電子式のタイマ装置は、換気扇や照明器具の負荷電流をオン、オフできる所要の電流容量を確保しながら、装置をコンパクトなサイズにすることが回路の実装上困難で、1モジュールサイズにすることができなかった。
本発明は、電子式でありながら、全体をコンパクトなサイズ、要すれば1モジュールサイズに構成することができるタイマ装置を提供することを目的とする。
開放端を有するボディおよびボディの開放端に覆合されるとともに、フラッシュプレートの窓孔から露出するための突出した部分であり、中央部に前記ボディの開放端の長手方向においてこの開放端の幅寸法よりも狭い内部が中空のボス部が形成されたカバーからなり、短方向の外形寸法が規格化された取付枠の細い取付孔の長手方向のほぼ1/3に形成されているケースと;ケースのボス部上面に配設された、第1操作部および第2操作部を有する操作部と;負荷回路中に直列に接続されるトライアックおよびトライアックのゲート極と一方の主電極との間に接続されたゲート抵抗器を有する半導体スイッチ素子と、前記トライアックの他方の主極とゲート極との間に交流入力端子が接続されるとともに後述のタイマ制御回路に制御電源およびマイコン制御電源を供給する全波整流回路を有するパワー系回路素子を含む負荷回路用電子スイッチ回路とを有し、前記ボディの開放端を塞ぐようにボディに装着された第1の配線基板と;相対的に低い電圧で作動するタイマ動作回路要素と、第1操作部の操作に連動してタイマ装置の動作モードを切り替える第一スイッチおよび第2操作部の操作に連動して負荷回路に通電を開始する第二スイッチであって各操作部の操作に連動する可変部品を含んで構成されて負荷回路用電子スイッチ回路のスイッチングを制御する前述のタイマ制御回路とを有し、上面側に実装されるとともに下面側に前記タイマ動作回路要素が実装し、かつ、カバーのボス部の開口とほぼ同寸法に形成されてボス部内に第1の配線基板と離間し配設される第2の配線基板と;第1の配線基板に配設された全波整流回路の出力端から、第2の配線基板に実装されたタイマ制御回路に制御電源およびマイコン制御電源を供給するリード線と;第2の配線基板に実装されているタイマ動作回路要素と第1の配線基板との間に介在され、前記第1の配線基板の短手方向とほぼ同じ外形寸法に形成された絶縁部材と;を具備していることを特徴とする。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
<ケースについて> ケースは、短方向の外形寸法が、規格化された取付枠の細長い長手方向のほぼ1/3であるというのは、ケースのサイズが小さいものを相対的に規定するためであって、取付枠に取り付ける構造を備えていることを要求するものではない。しかし、ケースが取付枠に取り付けることができるように構成されていることは、壁面埋込形配線器具として用いることができることになるので、好ましいことである。
また、ケースは、合成樹脂のような絶縁性材料にて形成されていることが望ましいが、これは必須ではない。導電性材料からなる場合であっても、収納部品をケースに対して絶縁しておけばよいからである。
さらに、ケースは、ボディおよびカバーからなるが、これらを覆合して内部に所要の部品を収納する。ボディへのカバーの覆合は、適宜の手段により行うことができる。例えば、両者の接合面を接着剤または超音波溶接などによって固着することができるし、結合具を用いてもよい。結合具には、加締めにより結合するもの、ねじ式のものなどのいずれであってもよい。加締めによる結合具を用いる場合には、取付枠に対する取り付けのための構造を付設することができる。
<操作部について> 操作部は、ケースの上面に配設されていて、使用者がタイマ動作を行わせる場合に操作する部分である。既知のタイマ装置におけるのと同様に、揺動ハンドル式、回動式、押し釦式などどのような構造であってもよい。
また、操作部は、使用者によって操作されることにより、タイマ動作を開始するために必要な後述する可変部材を連動させる。操作開始と同時に負荷回路をオンにするか、オフにするか、したがってタイマ時限後にオフするか、オンにするかは設計上の問題であるとともに、使用者がいずれをも切り換えできるように構成することもできる。
<負荷回路用電子スイッチ回路について> 負荷回路用電子スイッチ回路とは、負荷回路のオン、オフ動作が電子スイッチ回路によって構成されているものをいう。本発明において、負荷回路用電子スイッチ回路は、半導体スイッチ素子、雑音防止回路素子およびサージ吸収素子などを含むパワー系回路素子、ならびに端子金具により構成されているが、その具体的回路構成は自由である。負荷回路用電子スイッチ回路は、その実装において、第1の配線基板の例えば主としてその下面に実装される。
<タイマ制御回路について> タイマ制御回路とは、負荷回路用電子スイッチ回路のオン、オフ動作をタイマ制御する電子回路をいう。また、タイマ制御回路は、タイマ動作回路要素を含んで構成されているが、操作部に連動する可変部材を設けることもでき、その具体的回路構成は自由である。タイマ動作回路要素は、相対的に低い電圧で作動する。
さらに、タイマ制御回路は、その実装において第2の配線基板に実装される。可変部材などが第2の配線基板の上面に、タイマ動作回路要素などが第2の配線基板の下面に実装される。なお、タイマ動作回路要素の一部を実装のバランス上第2の配線基板の上面に配置することができる。さらにまた、第2の配線基板は、第1の配線基板の上方に離間して配置される。第2の配線基板を離間するために、配線と無関係のスペーサを介在させてもよいし、第1の配線基板と第2の配線基板との間を接続するリード線を利用してもよい。
タイマ時間は、一定時間のみを設定可能な態様、段階的に複数種のタイマ時間を選択的に設定可能な態様または所定の範囲内で連続的にタイマ時間を設定可能な態様など任意に構成することができる。また、最初オンでタイマ時間経過後にオフする態様、最初にオフでタイマ時間経過後にオンする態様または両者の任意に選択可能な態様など任意に構成することができる。さらに、連続通電(オン)と、タイマ時間動作とを選択操作可能に構成することもできる。さらにまた、加えて連続遮断(オフ)をも選択操作可能に構成することもできる。
なお、上記負荷回路用電子スイッチ回路の下面には端子金具を配設することもでき、この端子金具は、必要に応じて自己鎖錠片を併用することにより、絶縁被覆を除去した電線を電線挿入孔からケース内へ挿入するだけで、自己鎖錠片が電線を端子金具に圧接して所要の接続を得られるように構成することができる。この場合に、さらにリリース釦を付設することにより、接続されている電線に当接している鎖錠片を強制的に電線から離間させて接続を解除することができるように構成することができる。
上記のように、自己鎖錠片およびリリース釦を端子金具に付設する場合、ボディ内部の電線挿入孔の周囲に予め自己鎖錠片およびリリース釦を組み込み、その後電子化タイマ回路をボディに落とし込むことにより、容易に組み立てることができる。また、場合によっては、端子金具内に予め自己鎖錠片およびリリース釦を組み付けてから、ボディに落とし込むようにしてもよい。端子金具の構造によっていずれか好都合の態様を選択すればよい。
<絶縁部材について> 電子化されたタイマ装置において、装置をなるべくコンパクトにするには、電子化タイマ回路の実装密度を向上することが効果的な施策の一つである。本発明においては、配線基板を第1および第2の配線基板に分割し、かつそれらに階層構造を採用し、さらに作動電圧が相対的に高いパワー系回路部品を実装した第1の配線基板の上に第2の配線基板を離間して配設する配置とし、さらに第2の配線基板に相対的に低い電圧で作動するタイマ動作回路要素を実装するので、タイマ動作回路要素と第1の配線基板とが対面する。
より一層コンパクトにするには、第1の配線基板とタイマ動作回路要素との間をなるべく接近させることである。
<本発明の作用について> 本発明においては、要約すれば、負荷回路用電子スイッチ回路およびタイマ制御回路が上述した構成であるため、これらを1モジュールサイズのケースの内部に組み込むことが可能になる。これにより、タイマ装置の全体をすこぶるコンパクトにすることができる。
また、負荷回路用電子スイッチ回路およびタイマ制御回路は、上述のように第1および第2の配線基板に分けて実装されるが、第1および第2の配線基板が互いに所定の関係に固定され、かつ、一体化されるので、ケースへの収納に当たっては第1の配線基板、したがって第1の配線基板に実装されたパワー系回路部品をボディ内に向けて落とし込むことができる。落とし込みより、第1の配線基板およびパワー系回路部品は、ボディの所定の位置に定置される。
カバーには、操作部を配設しておき、ボディの開放端に覆合すれば組立が終了する。このように、本発明によれば、電子化されたタイマ装置にあっても落とし込みにより簡単に組み立てられるように構成することができる。
さらに、配線基板を第1および第2の配線基板で構成し、しかも負荷回路用電子スイッチ回路のパワー系回路素子などを第1の配線基板に実装し、タイマ制御回路を有する第2の配線基板を第1の配線基板の上方に離間して配置したことにより、1モジュールサイズのケース内の空間を有効に利用して所要部品を配設できる。
さらにまた、パワー系回路部品から構成される負荷回路用電子スイッチ回路と、第一スイッチおよび第二スイッチならびにタイマ動作回路要素から構成されるタイマ制御回路とは、第1および第2および配線基板によって階層的に分離されているから、それぞれ作動電圧が相違していても、絶縁処理が容易になる。
さらにまた、両者の間に絶縁部材を介在したので、絶縁を考慮することなく任意に接近させることができる。すなわち、本発明においては、一層のコンパクトなタイマ装置を構成することができる。
請求項1記載のタイマ装置において、ケースのボディは、中央に区画された回路部品収納室、およびこの回路部品収納室と一対の隔壁を介して隔離された一対の端子収納室が形成されており、回路部品収納室には第1の配線基板の下面に実装されたパワー系回路素子が設けられ、端子収納室には第1の配線基板の下面に実装されている端子金具が設けられている;ように構成することができる。
本構成例は、ボディは、中央に回路部品収納室が、その両側に端子収納室が、それぞれ形成されており、さらにそれらの間が隔壁によって隔離されているので、落とし込みにより組み立てる際に端子金具と負荷回路用電子スイッチ回路との間の絶縁が自動的に図れるとともに、各構成部分の動作の確実性を確保できる。
また、端子金具に自己鎖錠片またはおよびリリース釦を組み込む場合に、端子金具の落とし込みに先だって自己鎖錠片またはおよびリリース釦をボディの端子収容室内に組み込むことにより、負荷回路用電子スイッチ回路を落とし込んだ際に端子金具内の所定の位置に自己鎖錠片などを定置することが容易になる。
請求項1記載ののタイマ装置において、ケースは、そのカバーの中央にボス部を有し;カバーは、フラッシュプレートから露出し、内部が中空のボス部を中央に備えており;第1の配線基板は、ボディの開放端を塞ぐように配設され;第2の配線基板は、カバーのボス部内に配設されている;ように構成することができる。
本構成例は、カバーにボス部を形成し、ボス部内に第2の配線基板を配設することにより、埋込形として好適であるとともに、一層コンパクトにできるものである。この場合にも、ケース内に収納する電子化タイマ回路を落とし込みにより、組み立てできることは不変である。また、第1の配線基板は、ボディの開放端を塞ぐように配設されるので、落とし込むだけで、電子化タイマ回路をがたつくことなく組み込むことができる。さらに、カバーのボス部内の空間を第2の配線基板の配設に利用するので、空間利用率を向上させることができる。
請求項1記載のタイマ装置において操作部は、ボス部に配設され;電子化タイマ回路の可変部品は、操作部の操作に連動する押し釦スイッチおよび切換スイッチを含んでおり;タイマ動作回路要素は、マイコンを含んでいる;ように構成することができる。
本構成例においては、ケースのカバーのボス部に配設された操作部によって電子化タイマ回路の押し釦スイッチおよび切換スイッチを操作するので、1モジュールサイズの小さなケースであっても、それぞれ所要の操作を確実に行える。このことは、装置のコンパクト化に大いに有意義である。なお、押し釦スイッチにより、負荷回路のオン、オフ切り換えなどを指令することができる。また、切換スイッチにより、タイマ装置の動作モードたとえば連続動作またはタイマ動作の選択あるいはタイマ時間設定などを指令することができる。
タイマ動作回路要素として、マイコンを用いることにより、部品がコンパクトでありながら、タイマ時間計時が正確で信頼性の高いタイマ動作を行わせることが可能になる。マイコンは、偏平であるので、実装においても高さを最小限に抑えることができるので、第2の配線基板に実装するのに適している。
請求項1記載のタイマ装置において、端子金具は、導電板を枠状に曲成してなり、端子金具内に収納される自己鎖錠片との間で挿入された電線を鎖錠するとともに、自己鎖錠片をその弾力に抗して変位させるリリース釦により電線との接続状態を強制的に解除できるように構成することができる。
本構成例においては、端子金具を自己鎖錠片およびリリース釦と併用することにより、ケースの電線挿入孔から絶縁被覆を除去した電線をケース内に挿入するだけで所要の接続が得られる。また、必要に応じて接続されている電線をリリース釦を操作して強制的に解除することができる。
請求項1記載の電子化タイマ装置において、ケースは、取付枠への取付部を備えボディとカバーとを一体化する結合具を備えているように構成することができる。
本構成例において、結合具は一般の配線器具で用いられる結合具を用いることを許容するものである。典型的な構造としては、コ字状をなしてカバーに跨座し、両足部をボディの両側面に形成した突起に加締めて固定することにより、ボディにカバーを固定してケースとして一体化する構成である。取付枠への取付部は、ケースの長手方向の両端面に位置する凹溝によって構成することができる。
請求項1記載のタイマ装置において、ケースは、そのカバーのボス部に表示窓を備え;電子化タイマ回路は、第2の配線基板の上面に実装されて表示窓に光導関係に配設された表示素子を備えている;ように構成することができる。
本構成例において、表示素子は、一個または複数個用いることができる。いずれの個数においても、表示内容は一または複数の状態を表示するように構成することができる。たとえば、一の状態としては、通電状態すなわち負荷のオン状態または電源電圧の有無などを表示することができる。また、複数の状態としては、上記に加えて連続通電およびタイマ通電の区別、タイマ通電時間の長短の程度、残り時間などを表示することができる。
表示を行うための制御は、タイマ時間設定のためにマイコンを用いている場合には、そ
のマイコンを利用して容易にプログラムすることができる。
請求項1記載のタイマ装置において、第2の配線基板部品と第1の配線基板の上面との間に絶縁シートが介在しているように構成することができる。
電子化されたタイマ装置において、装置をなるべくコンパクトにするには、電子化タイマ回路の実装密度を向上することが効果的な施策の一つである。
本構成例においては、配線基板を第1および第2の配線基板に分割し、かつ、それらに階層構造を採用し、さらに作動電圧が相対的に高いパワー系回路部品を下面に実装した第1の配線基板の上に第2の配線基板を離間して配設する配置とし、さらに第2の配線基板の下面に相対的に低い電圧で作動するタイマ動作回路要素を実装するので、タイマ動作回路要素と第1の配線基板とが対面する。
より一層コンパクトにするには、第1の配線基板とタイマ動作回路要素との間をなるべく接近させることである。
本構成例においては、両者の間にポリエステル樹脂シートなどの絶縁シートを介在したので、絶縁を考慮することなく任意に接近させることができる。すなわち、本発明においては、一層のコンパクトなタイマ装置を構成することができる。
請求項1の発明によれば、開放端を有するボディおよびボディの開放端に覆合されるとともに、フラッシュプレートの窓孔から露出するための突出した部分であり、中央部に前記ボディの開放端の長手方向においてこの開放端の幅寸法よりも狭い内部が中空のボス部が形成されたカバーからなり、短方向の外形寸法が規格化された取付枠の細い取付孔の長手方向のほぼ1/3に形成されているケースと;ケースのボス部上面に配設された、第1操作部および第2操作部を有する操作部と;負荷回路中に直列に接続されるトライアックおよびトライアックのゲート極と一方の主電極との間に接続されたゲート抵抗器を有する半導体スイッチ素子と、前記トライアックの他方の主極とゲート極との間に交流入力端子が接続されるとともに後述のタイマ制御回路に制御電源およびマイコン制御電源を供給する全波整流回路を有するパワー系回路素子を含む負荷回路用電子スイッチ回路とを有し、前記ボディの開放端を塞ぐようにボディに装着された第1の配線基板と;相対的に低い電圧で作動するタイマ動作回路要素と、第1操作部の操作に連動してタイマ装置の動作モードを切り替える第一スイッチおよび第2操作部の操作に連動して負荷回路に通電を開始する第二スイッチであって各操作部の操作に連動する可変部品を含んで構成されて負荷回路用電子スイッチ回路のスイッチングを制御する前述のタイマ制御回路とを有し、上面側に実装されるとともに下面側に前記タイマ動作回路要素が実装し、かつ、カバーのボス部の開口とほぼ同寸法に形成されてボス部内に第1の配線基板と離間し配設される第2の配線基板と;第1の配線基板に配設された全波整流回路の出力端から、第2の配線基板に実装されたタイマ制御回路に制御電源およびマイコン制御電源を供給するリード線と;第2の配線基板に実装されているタイマ動作回路要素と第1の配線基板との間に介在され、前記第1の配線基板の短手方向とほぼ同じ外形寸法に形成された絶縁部材と;を具備するので、全体がコンパクトで、絶縁処理が容易になり、しかも組立容易なタイマ装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のタイマ装置における一実施形態の回路構成を示す回路図である。図において、Sは負荷回路用電子スイッチ回路、Tはタイマ制御回路である。
<負荷回路用スイッチ回路について> 負荷回路用電子スイッチ回路Sは、パワー系回路素子pおよび端子金具tからなる。パワー系回路素子pは、半導体スイッチ素子1、雑音防止回路素子2、サージ吸収素子3、全波整流回路4および電解コンデンサ5からなる。
半導体スイッチ素子1は、トライアック1aおよびトライアック1aのゲート極と一方の主電極との間に接続されたゲート抵抗器1bからなる。
雑音防止回路素子2は、インダクタ2aおよびコンデンサ2bからなる。インダクタ2aは、トライアック1aと直列に接続されている。コンデンサ2bは、トライアック2aおよびインダクタ2aの直列回路に対して並列に接続されている。
サージ吸収素子3は、コンデンサ2bと並列接続すなわち後述する端子金具間に接続されている。
全波整流回路4は、トライアック1aの他方の主極とゲート極との間に交流入力端子が接続され、直流出力端子4a、4bはタイマ制御回路Tに制御電源および後述する電解コンデンサを介してマイコン制御電源を供給する。
電解コンデンサ5は、その一端が全波整流回路4の直流出力端子の負極4bに接続され、他端がタイマ制御回路Tの後述するマイコンに対するマイコン制御電源の正極4cを構成している。
一方の端子金具tは、トライアック1aおよびインダクタ2aの直列回路、コンデンサ2bならびにサージ吸収素子3の各一端に接続している。他方の端子金具tは、トライアック1aおよびインダクタ2aの直列回路、コンデンサ2bならびにサージ吸収素子3の各他端に接続している。そして、両端子金具t、tは負荷回路中に直列接続される。
以上説明した負荷回路用電子スイッチ回路Sは、そのパワー系回路素子pおよび端子金具tが後述する第1の配線基板の下面に実装されることによって構成される。
<タイマ制御回路について> タイマ制御回路Tは、制御電源入力端子6a、6b、マイコン制御電源入力端子7、可変部品8、タイマ動作回路要素9、動作モード切換回路10および表示回路11からなる。
可変部品8は、第二スイッチである押し釦スイッチ8aおよび第一スイッチである切換スイッチ8bからなる。
タイマ動作回路要素9は、マイコン9a、タイマ始動回路9b、自己保持回路9c、マイコン制御電源リセット回路9dおよびタイマプログラム選択回路9eからなる。
タイマ始動回路9bは、制御電源入力端子6a、6b間に接続された抵抗器9b1、押し釦スイッチ8a、ダイオード9b2および定電圧ダイオード9b3の直列回路、ダイオード9b2および定電圧ダイオード9b3の直列回路の両端間にベース抵抗器9b4を介してベース・エミッタが接続されたトランジスタ9b5、トランジスタ9b5のベース・エミッタ間に接続された抵抗器9b6、トランジスタ9b5のコレクタおよびマイコン制御電源入力端子7の間に接続された抵抗器9b7を備え、抵抗器とコレクタとの接続点をマイコン9aのR80端子に接続してなる。
自己保持回路9cは、制御電源入力端子6aおよびマイコン9aのR40端子の間に限流抵抗器9c1を介して接続したフォトカプラPCの発光ダイオードPCDと、制御電源入力端子6aおよびマイコン制御電源入力端子の間に接続された発光ダイオードPCDに応動するフォトトランジスタPCTおよび抵抗器9c2とからなる。
マイコン制御電源リセット回路9dは、トランジスタ9d1のベースをベース抵抗器9d2を介してマイコン9aのR41端子に接続し、トランジスタ9d1のベース・エミッタ間を抵抗器9d3を接続し、トランジスタ9d1のコレクタ・エミッタをマイコン制御電源入力端子7および制御電源入力端子6bを介して電解コンデンサ5の両端間に接続してなる。
タイマプログラム選択回路9eは、ジャンパ端子a、b、cおよびdを備えてなる。ジャンパ端子aは、抵抗器9e1を介してマイコン制御電源入力端子7に接続している。ジャンパ端子bは、抵抗器9e2を介してマイコン制御電源入力端子7に接続するとともに、マイコン9aのR81端子に接続している。ジャンパ端子cおよびdは、制御電源入力端子6bに接続するとともに、コンデンサ9e3を介してマイコン9aのXIN端子に、また、さらに抵抗器9e4を直列に介してマイコン9aのXOUT端子に接続に、それぞれ接続している。
動作モード切換回路10は、切換スイッチ8bをマイコン9aの該当端子に接続することにより構成されている。すなわち、切換スイッチ8bは、3個の切換接点e、f、gを備えていて、切換接点eをマイコン9aのR50端子に、切換接点fを、同じくR51接点に、切換接点gを同じくR52端子に、それぞれ接続してなる。
表示回路11は、表示素子が発光ダイオード11aからなり、そのアノードをマイコン制御電源入力端子7に接続し、カソードをそれぞれ限流抵抗器11b、11cを介してマイコン9aのR43端子およびR42端子に接続してなる。
さらに、マイコン9aのRESET端子がダイオード12を介してマイコン制御電源入力端子7に、またコンデンサ13を介して制御電源入力端子6bに、それぞれ接続している。
<回路動作について> まず、動作モード切換回路10について説明する。
本実施形態のタイマ装置は、可変部品8のうち第一スイッチである切換スイッチ8bを切換接点eに切り換えると、連続通電動作のモードになる。また、切換接点fに切り換えると、相対的に短時間タイマ動作のモードになる。さらに、切換接点gに切り換えると、相対的に長時間タイマ動作のモードになる。短時間動作のモードおよび長時間動作のモードの絶対的な時間は、タイマプログラム切換回路9eにより選択することができる。
次に、タイマプログラム切換回路9eについて説明する。
タイマプログラム切換回路9eは、ジャンパ端子a、b、cおよびdを全て開放状態、ジャンパ端子bおよびcの間を短絡状態、ジャンパ端子aおよびdの間を短絡状態、ジャンパ端子a−d、b−cを短絡状態のいずれかを選択することにより、動作モード切換回路10の切換接点e、f、gのいずれかの選択に応じて表1に示すようにそれぞれ時限を設定することができる。なお、タイマプログラム切り換えは、工場内における製造段階または使用段階のいずれにおいて選択可能にするかは設計の自由である。
そうして、負荷回路への通電開始前には全波整流回路4が開放されているから、トライアック1aのゲート極はゲート側の主電極と同電位のため、ゲート電流が流れないので、トライアックはオフ状態である。また、トライアック1aのゲート極と反対側の主電極との間に交流入力電圧が印加されている全波整流回路の直流出力端子4a、4b間に全波整流された脈流の直流電圧が現れている。直流出力端子4a、4bはタイマ制御回路Tの制御電源端子6a、6bに直結している。
そこで、負荷回路に通電を開始するには、第二スイッチである押し釦スイッチ8aをオンさせる。これにより、抵抗器9b1、押し釦スイッチ8aおよびダイオード9b2を介して定電圧ダイオード9b3に制御電源から電流が流れ、これに伴い定電圧ダイオード9b3の両端間に一定の電圧が現れる。そして、電解コンデンサ5は、定電圧によって充電される。電解コンデンサ5の端子電圧はマイコン9aの所定の端子にマイコン駆動電源として印加されるので、マイコン9aは動作を開始する。すなわち、全波整流回路4に通電するため、トライアック1aのゲート極の電位が反対側の主電極の電圧に接近するので、ゲート電流が流れ、トライアック1aはオンする。これにより、負荷に通電される。
上記と同時に、制御電源から抵抗器9b1、押し釦スイッチ8aおよびベース抵抗器9b4を介してトランジスタ9b5のベースにベース電流が流れてトランジスタ9b5がオンする。これにより、マイコン9aのR80端子の電位が低下してマイコン9aが動作を開始する。
マイコン9aが動作すると、R40端子の電位が低下する。このため、フォトカプラPCの発光ダイオードPCDが通電されて発光する。このため、フォトトランジスタPCTがオンする。
フォトトランジスタPCTがオンすると、今度は電解コンデンサ5がフォトトランジスタPCTおよび抵抗器9c2を介して制御電源から充電される。すなわち、マイコン制御電源は、フォトカプラPCによる自己保持により、引き続きマイコン9aに供給され、マイコン9aは動作を継続して、予めプログラムにより設定された時限動作を行う。
所定時限が経過すると、マイコン9aのR41端子の電位が低下するため、トランジスタ9d1がオンする。これにより、電解コンデンサ5は短絡されて、マイコン制御電源はリセットされて、その端子間電圧が0になるため、マイコン9aは動作を停止するとともに、全波整流回路4は開放状態になり、したがってトライアック1aは再びオフする。すなわち、所定時限が経過すると、負荷回路はオフされる。
図2ないし図5は、本発明のタイマ装置における一実施形態の外観を示し、図2は正面図、図3は拡大左側面図、図4は平面図、図5は底面図である。各図において、21はケース、22は操作部である。
<ケース21について> ケース21は、ボディ21a、カバー21bおよび結合具21cからなる。
ボディ21aは、上端が開放された箱状をなし、内部が中央の回路部品収納室21a1と、その両側に位置する端子収納室21a2、21a2に一対の隔壁21a3、21a3を介して区画され、また端子収納室21a2の底面には電線挿入孔2a4およびリリース釦操作孔21a5が形成されている。ボディ21aの外面には、係止段部21a6が一体成形されている。
カバー21bは、ボディ21aの開放端に覆合され、中央にボス部21b1を、その両側に平坦部21b2、21b2を、またボス部21b1には表示窓21b3を、それぞれ備えている。なお、ボス部21b1は、内部が中空に形成されている。
結合部21cは、金属板を打ち抜いてコ字状に形成され、さらに両足部21c1の先端に加締め部21c2を形成し、中間部に取付用耳部21c3および係合片21c4を形成している。そして、ボディ21aの開放端に覆合したカバー21bの平坦部21b2に結合具21cの中間部を跨座させて、両足部21c1をボディ21aに沿って垂下させ、係止段部21a2に加締め部21c2を加締めてケース21を一体化させている。係止用耳部21c3はボス部21b1の側面に当接し、係合片21c4がケース21の両端面から突出させている。
係止用耳部21c3および係合片21c4は、本実施形態のタイマ装置を取付枠(図示しない。)に装着する場合に、使用される。
<操作部22について> 操作部22は、後述するように第1操作部および第2操作部を兼ねていて、ケース21のボス部21b1の上面に配設され、押圧動作および回動動作をさせることができる。操作部22を押圧することにより、通電開始させ、回動により動作モードを選択するように構成されている。本実施形態においては、連続通電、1時間通電および4時間通電のいずれかを選択するようになっている。
図6ないし図8は、本発明のタイマ装置における一実施形態のボディの内部を示し、図6は図5のVI−VI'線に沿う断面図、図7は拡大平面図、図8は自己鎖錠片およびリリース釦を端子収納室に組み込んだ状態におけるボディの拡大平面図である。各図において、図2ないし図5と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
ケース21のボディ21aの内部には、中央に回路部品収納室21a1とその両側に端子収納室21a2、21a2が一対の隔壁21a3、21a3区画されている。そして、端子収納室21a2の底面には電線挿入孔21a4およびリリース釦操作孔2a5が形成されている。
23は自己鎖錠片で、端子収納室21a2の内部において、電線挿入孔21a4に対向して収納される。自己鎖錠片23は、ばね板を屈曲して図6に示すように一端に鎖錠部23a、他端に押圧部23bを、それぞれ形成してなる。
24はリリース釦で、同じくリリース釦操作孔21a5に下端部が嵌合して収納される。リリース釦24は、合成樹脂を成形して自己鎖錠片23の鎖錠部23aを強制的に変位させて鎖錠状態を解除するカム部24aを両側に一体的に形成してなる。
そうして、図6に示すように負荷回路用電子スイッチ回路Sをボディ21a内に落とし込んで収容すると、端子金具tが枠形をなしているため、端子金具t内に自己鎖錠片23およびリリース釦24が所定の位置関係に組み込まれる。
図9および図10は、本発明のタイマ装置における一実施形態のカバーを示し、図9は拡大平面図、図10は操作部を組み込んだ状態におけるカバーの拡大底面図である。
図6にも示すように、カバー21bのボス部21b1の外面には操作部22に対応して凹溝21b4と、凹溝21b4の中心に位置する挿通孔21b5と、さらに凹溝21b3内に挿通孔21b5と同心の円弧状の回動規制溝21b6とが形成されている。
さらに、ボス部21b1の内面には、後述する回転カムを節動させる節動ガイド部21b7が一体成形されている。
図6に示すように、第1操作部および第2操作部を兼ねる操作部22と凹溝21b2との間にコイルばね25が介挿されて操作部22を常時ボス部21b1から離反する方向へ偏位している。
また、操作部22の回動軸22aの先端には、ボス部21b1の内面側において回転カム22cがセルフタッピングねじ22dによって操作部22と一緒に回動するように固定されている。
回転カム22cは、円盤の一部を切除して弾接部22c1を一体に形成し、弾接部22c1と軸対称の位置に長孔22c2を形成し、さらにカバー21bの回動規制溝21b6に係合するピン22c3を一体に形成している。
弾接部22c1がカバー21bに形成した節動ガイド部21b7に当接しながら操作部22が回動することにより、操作部22は所定の回動角ごとに節動する。
長孔22c2に後述する可変部品の摘みが係合することにより、操作部22を回動することにより第1操作部を操作したことになり、可変部品8の第一スイッチである切換スイッチ8bを操作して直線的に変位させることができる。また、操作部22をコイルばね25の弾力に抗して押圧することにより第2操作部を操作したことになり、操作部22がカバー21bの凹溝21b4内に沈み込むため、回転カム22cも連動して沈み込み可変部品8の第二スイッチである押し釦スイッチ8aを操作できる。
図11ないし図13は、本発明のタイマ装置における一実施形態の負荷回路用電子スイッチ回路およびタイマ制御回路の実装状態を示し、図11は拡大平面図、図12は拡大底面図、図13は拡大側面図である。各図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。以下、図6をも参照して電子化タイマ回路について説明する。
負荷回路用電子スイッチ回路Sは、パワー系回路素子pおよび端子金具tに加えて第1の配線基板26を備えている。
第1の配線基板26は、ボディ21aの開放端を塞ぐように位置し、その下面中央にパワー系回路素子pおよび両端に端子金具t、tを実装している。
パワー系回路素子pは、図12に示すように、トライアック1、雑音防止回路素子としてのインダクタ2aおよびコンデンサ2b、サージ吸収素子3、全波整流回路4ならびに電解コンデンサ5からなり、回路部品収納室21a1内に収納されている。
端子金具tは、図12に示すように、枠状に形成され、第1の配線基板26への接続片taを第1の配線基板26の両端部に形成した切欠部26aから上面に突出させてはんだ26bにより第1の配線基板26のランドに接続することにより、第の配線基板26の下面に実装されている。そして、端子金具tは、端子収納室21a2内に収納されている。
タイマ制御回路Tは、可変部品8、タイマ動作回路要素9および発光ダイオード11aに加えて第2の配線基板27を備えている。
第2の配線基板27は、第1の配線基板26に、その上方に離間した状態で固定されている。また、第2の配線基板27は、図6に示すように、カバー21bのボス部21b1内に配設されている。
<第1スイッチおよび第2スイッチについて> 可変部品8は、第二スイッチである押し釦スイッチ8aおよび第一スイッチである切換スイッチ8bからなり、第2の配線基板27の上面に実装されている。
第二スイッチの押し釦スイッチ8aは、図6に示すように、回転カム22cを介して操作部22を押圧した際にオンし、操作部22の押圧を止めると、復帰してオフ状態になる。
第一スイッチの切換スイッチ8bは、上面から突出している摘み8b1を図11から理解できるように、図において左右方向へ直線的に変位させることにより、その可動接点が図1における固定接点e、f、gのいずれかに選択的に接触して回路を切り換えることにより、タイマ装置の動作モードを切り換えることができるように構成されている。また、切換スイッチ8bは、図11に示すように、第2の配線基板27の長手方向の一側部と押し釦スイッチ8aとの間に位置している。
タイマ動作回路要素9は、図1において説明したように、マイコン、タイマ始動回路、自己保持回路、マイコン制御電源リセット回路およびタイマプログラム選択回路を含んでいるが、第2の配線基板27の下面および上面に分散して実装されている。しかし、マイコンは第2の配線基板27の下面に実装されている。なお、図13に示すように、第1の配線基板26と第2の配線基板27に実装されているタイマ動作回路要素9との間にはポリエステルシートなどの絶縁シート33が介在している。
図14は、本発明のタイマ装置の一実施形態を取付枠に通常のスイッチとともに装着した状態を示す正面図である。図において、28は取付枠、29はタイマ装置、30、31は通常のスイッチである。
タイマ装置29は、そのケースの短方向の外形寸法が、規格化された取付枠28の後述する細長い取付孔の長手方向のほぼ1/3に構成されている。また、通常のスイッチも同様に構成されている。
図15は、取付枠の正面図である。取付枠28は、中央に細長い取付孔28a、取付孔28aの一側に配線器具の取付用耳部を係止する係止孔28b、同じく他側に取付用耳部を着脱可能に係止する変位係止部28c、さらに両端部に配線ボックスへの取付孔28dとプレートねじ孔28eを備えている。
タイマ装置29を取付枠28に装着するには、ケース21の結合具21cの片側の係止用耳部21c4を取付枠28の係止孔28bに取付枠28の裏側から挿入してから、反対側の係止用耳部21c4を変位係止部28cに押し付ける。そうすると、変位係止部28cが外側へ変位して変位係止部28cに係止されることにより、タイマ装置29は取付枠28に装着される。以上の作業は通常のスイッチ29、30を装着する場合と同じである。
タイマ装置などを装着した取付枠28を配線ボックスに取り付けるには、取付孔28dにボックスねじを挿通して配線ボックスにねじ込む。挿通孔28dは長孔に形成されているので、壁面に対して配線ボックスが多少傾いて埋設されていていも、取付枠28を垂直に取り付けることができる。
図16および図17は、フラッシュプレートを示し、図16は化粧板の正面図、図17はアダプターの正面図である。各図において、フラッシュプレートは、化粧板31およびアダプター32からなる。
化粧板31は、中央に細長い窓孔31aを備えている。タイマ装置28のボス部21b1は、窓孔31aからほぼ面一に露出する。化粧板31の背面には、取付足(図示しない。)が複数突設されていて、アダプター32に着脱自在に構成されている。
アダプター32は、壁面と化粧板31との間に介在する。また、アダプター32は、枠状をなしていて、上下方向の両端部にプレートねじ挿通孔32aを形成するとともに、化粧板31の取付足を係止する取付足係止孔32bを複数備えている。
そして、プレートねじ挿通孔孔32aにプレートねじ(図示しない。)を装着して、さらにプレートねじを取付枠28のプレートねじ孔28eにねじ込むことにより、アダプター32を取付枠28に取り付けることができる。
最後に、化粧板31をその窓孔31aがタイマ装置29およびスイッチ29、30の各ボス部に嵌合するように合わせてアダプター32に押し付けると、化粧板31の背面から突出した取付足がアダプター32の取付足係止孔32bに係止することにより、化粧板31が取り付けられる。