JP4366260B2 - 電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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本発明は、電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真感光体に使用される電荷輸送物質の1種として、分子設計が容易であり、正孔移動度が高いトリアリールアミン化合物やその誘導体が知られている。この電荷輸送物質として使用されるトリアリールアミン化合物の合成方法の1つとして、銅触媒を用いる方法、いわゆるウルマン反応を用いる方法が知られている。
しかしながら、ウルマン反応は、多量の銅触媒を使用し、高い反応温度を要し、反応時間が長いなどの理由から、トリアリールアミン化合物の収率が低くなるという欠点があり、また、電子写真特性に悪影響を及ぼす着色性の不純物や分解物が副生するという欠点がある。
この欠点を改良する技術として、特開2001−356507号公報(特許文献1)には、特定の構造のリン化合物とパラジウム化合物からなる触媒を用いて合成したトリアリールアミン化合物を電子写真感光体の電荷輸送物質として用いる技術が開示されている。この技術によれば、高収率・高純度でトリアリールアミン化合物が合成できる上に、トリアリールアミン化合物を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体の電子写真特性の向上を図ることができる。
特開2001−356507号公報
特開2001−356507号公報に開示された技術は、トリアリールアミン化合物の収率および純度の点ならびに電子写真感光体の電子写真特性の点で優れた技術であるが、まだ改良の余地がある。
本発明の目的は、トリアリールアミン化合物やその誘導体を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体の電子写真特性をより向上させることができる電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、該製造方法により製造された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、塩基の存在下でのアミン化合物によるハロゲン化芳香族化合物またはハロゲン化複素環化合物のアミノ化反応によって、電子写真感光体用の電荷輸送物質を合成する方法において、
金属含有化合物および少なくとも1つのアミノ基が結合したリン原子を有するアミノ置換リン化合物を触媒として用い
該塩基が、ナトリウム−ターシャリーブトキシドであり、
該金属含有化合物が、Pd(Oac) 、Pd(acac) 、(CH CN) Pd(NO )Cl、(C 10 PdCl 、Pd (dba) およびPdCl からなる群より選択される少なくとも1種の金属含有化合物であ
ことを特徴とする電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法である。
また、本発明は、支持体および該支持体上に形成された電荷輸送物質を含有する層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、
上記合成方法によって該電荷輸送物質を合成する電荷輸送物質合成工程と、
該電荷輸送物質合成工程で合成された電荷輸送物質を用いて該電荷輸送物質を含有する層用の塗布液を調製する塗布液調製工程と、
該塗布液調製工程で調製された塗布液を用いて該電荷輸送物質を含有する層を形成する層形成工程と
を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
また、本発明は、上記製造方法により製造された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
本発明によれば、トリアリールアミン化合物やその誘導体を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体の電子写真特性をより向上させることができる電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法および電子写真感光体の製造方法を提供することができ、また、該製造方法により製造された電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下の説明において、「Me」はメチル基(−CH)を意味し、「Et」はエチル基(−CHCH)を意味し、「n−Pr」はノルマルプロピル基(−CHCHCH)を意味し、「i−Pr」はイソプロピル基(−CH(CH)を意味し、「n−Bu」はノルマルブチル基(−CHCHCHCH)を意味し、「i−Bu」はイソブチル基(−CHCH(CH)を意味し、「t−Bu」はターシャリーブチル基(−C(CH)を意味する。また、「Oac」はアセトナトを意味し、「acac」はアセトリアセトナトを意味し、「dba」は1,5−ジフェニル−1,4−ペンタジエン−3−ナトを意味する。
本発明によって上記効果が得られる理由の詳細は未解明であるが、本発明者らは以下のように推測する。
すなわち、塩基の存在下でのアミン化合物によるハロゲン化芳香族化合物またはハロゲン化複素環化合物のアミノ化反応によって電荷輸送物質(トリアリールアミン化合物またはその誘導体)を合成する際に、触媒として金属含有化合物およびアミノ置換リン化合物を用いることで、触媒活性が高まって反応効率が高まり、高純度・高収率の電荷輸送物質(トリアリールアミン化合物またはその誘導体)が得られ、それによって、優れた電子写真特性を有する電子写真感光体が提供できるものと推測する。
本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法において触媒として用いられるアミノ置換リン化合物は、アミノ基を構成する窒素原子上の孤立電子対がリン原子に対して電子を供与することにより、リン原子における電荷密度が高まり、反応性が向上していると考えられる。
特開2001−356507号公報(特許文献1)に記載されているリン化合物は、少なくとも1つのアリール基を有するリン化合物であり、このようにアリール基で置換されリン化合物の安定性は高くなるため、リン化合物の由来の分解物が生成しにくくなり、このリン化合物を使用した製造方法で製造した電荷輸送物質は高純度化され、電子写真感光体の特性が良化している。
しかしながら、アリール基のリン原子への電子供与性は、アミノ基のリン原子への電子供与性よりも劣るため、トリアリールアミン合成反応の速度に差が生じる(反応効率の差が生じる)傾向にある。それに伴い、副生成物、特にタール状物質の生成量に差が生じ、本発明で用いられるアミノ置換リン化合物ではタール状生成物が生成しにくく、次の精製段階でトリアリールアミン化合物が高純度化される。これが、本発明によって、電子写真感光体の電子写真特性がより向上される理由であると考えられる。
上記アミノ置換リン化合物としては、下記式(1)〜(4)のいずれかの式で示される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0004366260
(式(1)中、R11〜R13は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004366260
(式(2)中、R21〜R23は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R24は、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004366260
(式(3)中、R31〜R34は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0004366260
(式(4)中、R41〜R45は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
上記式(1)〜(4)中のR11〜R13、R21〜R24、R31〜R34、R41〜R45の炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基が挙げられる。
上記式(1)中のR11〜R13は、それぞれ独立に、イソプロピル基またはイソブチル基であることが好ましい。
上記式(2)中のR21〜R23は、それぞれ独立に、イソプロピル基またはイソブチル基であることが好ましい。
上記式(2)中のR24は、水素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基またはターシャリーブチル基であることが好ましく、特には、水素原子、メチル基またはターシャリーブチル基であることがより好ましい。
上記式(3)中のR31、R32は、それぞれ独立に、イソプロピル基、イソブチル基であることが好ましい。
上記式(3)中のR33およびR34の少なくとも一方は、ターシャリーブチル基であることが好ましい。
上記式(4)中のR41、R42、R44、R45は、それぞれ独立に、イソプロピル基またはイソブチル基であることが好ましい。
上記式(4)中のR43は、ターシャリーブチル基であることが好ましい。
以下、上記式(1)で示される構造を有する化合物の好適例を示す。
Figure 0004366260
これらの中でも、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)が好ましく、特には(1−5)、(1−6)がより好ましい。
以下、上記式(2)で示される構造を有する化合物の好適例を示す。
Figure 0004366260
これらの中でも、(2−3)、(2−4)、(2−5)、(2−6)が好ましく、特には(2−5)、(2−6)がより好ましい。
以下、上記式(3)で示される構造を有する化合物の好適例を示す。
Figure 0004366260
これらの中でも、(3−6)、(3−9)、(3−11)、(3−12)が好ましく、特には(3−11)、(3−12)がより好ましい。
以下、上記式(4)で示される構造を有する化合物の好適例を示す。
Figure 0004366260
これらの中でも、(4−5)、(4−6)、(4−7)、(4−8)が好ましく、特には(4−6)、(4−7)がより好ましい。
本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法において触媒として用いられる金属含有化合物の金属は、パラジウムであることが好ましい。パラジウムを含有する化合物としては、例えば、Pd(Oac)、Pd(acac)、(CHCN)Pd(NO)Cl、(C10PdCl、Pd(dba)、PdClなどが好適例として挙げられる。
本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法において触媒として用いられる上記アミノ置換リン化合物の使用量は、同工程において触媒として用いられる上記金属含有化合物の使用量に対して50〜1000質量%であることが好ましく、特には80〜500質量%であることがより好ましい。
また、本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法において触媒として用いられる上記金属含有化合物の使用量は、電荷輸送物質の原料(アミン化合物ならびにハロゲン化芳香族化合物もしくはハロゲン化複素環化合物)に対して0.0001〜20mol%であることが好ましく、特には0.002〜10mol%であることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法において触媒として用いられる上記アミノ置換リン化合物および上記金属含有化合物は、触媒として作用する際、上記アミノ置換リン化合物が上記金属含有化合物に配位した状態になる。上記アミノ置換リン化合物が上記金属含有化合物に配位した状態は、あらかじめ電荷輸送物質合成反応系外で形成するようにしてもよいし、反応系中に上記アミノ置換リン化合物と上記金属含有化合物とをそれぞれ投入し、反応系中で配位した状態が形成されるようにしてもよい。
また、本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法は塩基の存在下で行われるが、この塩基としては、強塩基であることが好ましく、具体的には、アルカリ金属アルコシキド、アルカリ土類金属アルコシキド、炭酸カリウム、リン酸三カリウムが好ましい。
アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−イソプロポキシド、ナトリウム−イソプロポキシド、カリウム−イソプロポキシド、リチウム−ターシャリーブトキシド、ナトリウム−ターシャリーブトキシド、カリウム−ターシャリーブトキシドなどが挙げられる。
アルカリ土類金属アルコキシドとしては、例えば、マグネシウムジ(メトキシド)、マグネシウムジ(エトキシド)、マグネシウムジ(イソプロポキシド)、マグネシウムジ(カリウム−ターシャリーブトキシド)などが挙げられる。
これら塩基の中でも、アルカリ金属アルコキシドが好ましく、特にはナトリウム−ターシャリーブトキシド、カリウム−ターシャリーブトキシドが電荷輸送物質収率向上の観点から好ましい。
本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素や、モノグライム、ジグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環式あるいは非環式エーテル化合物などが挙げられる。これらの中でも、キシレン、1,4−ジオキサンが好ましい。
本発明の電子写真感光体用の電荷輸送物質合成法は、常圧下・空気中で行うことができるが、加圧下で行ってもよい。また、反応温度は、50〜200℃であることが好ましく、反応の選択性の観点から、150℃以下であることがより好ましい。また、反応時間は、使用する原料、触媒、塩基、溶剤などの種類、使用量や反応温度にもよるが、反応の選択性の観点から、反応時間は短い方が好ましく、具体的には、2分〜120時間であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質の原料であるハロゲン化芳香族化合物またはハロゲン化複素環化合物は、電荷輸送物質の構造に応じた構造を有するものであればよく、電荷輸送物質の構造に応じて、適切な置換基を1つまたは2つ以上導入することができる。この置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基や、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基や、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などのフッ化アルキル基や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などのアルキルアミノ基や、ジアルキルアミノ基や、アリールアミノ基や、ジアリールアミノ基などが挙げられる。なお、芳香族化合物とは、芳香族性を有する環式炭化水素およびその誘導体であり、例えば、ベンゼン誘導体、ビフェニル誘導体、テルフェニル誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体などの芳香族炭化水素などが挙げられる。また、複素環化合物とは、フラン、ピロール、チオフェン、ピリジンなどの複素環炭化水素などが挙げられる。
また、ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化複素環化合物としては、クロロベンゼン、1−クロロ−4−メチルベンゼン、1−クロロ−2,4−ジメチルベンゼン、1−クロロナフタレンなどの塩化芳香族化合物や、ブロモベンゼン、1−ブロモ−4−メチルベンゼン、1−ブロモ−2,4−ジメチルベンゼン、1−ブロモ−3,4−ジメチルベンゼン、4−ブロモビフェニル、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン、1−ブロモナフタレン、4−ブロモテルフェニル、6−ブロモベンゾフラン、6−ブロモベンゾチオフェン、2,8−ジブロモジベンゾチオフェンなどの臭化芳香族化合物や、ヨードベンゼン、1−ヨード−4−メチルベンゼン、1−ヨード−2,4−ジメチルベンゼン、1−ヨード−3,4−ジメチルベンゼン、1−ヨードビフェニル、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン、1−ヨードナフタレンなどのヨウ化芳香族化合物などが挙げられるが、反応効率や製造された電荷輸送物質の電子写真特性の観点から、臭化芳香族化合物が好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質のもう1つの原料であるアミン化合物としては、電荷輸送物質の構造、または、電荷輸送物質の合成時における中間体の構造に応じた構造を有するアミン化合物(2級アミンや1級アミンなど)であればよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質は、上記電荷輸送物質合成工程において合成される化合物、すなわち、アミン化合物によるハロゲン化芳香族化合物あるいはハロゲン化複素環化合物のアミノ化反応によって合成される化合物であり、窒素原子に3つの芳香環が結合した骨格を有する化合物(トリアリールアミン化合物またはその誘導体)である。
以下に、電荷輸送物質の好適例を示す。
Figure 0004366260
Figure 0004366260
Figure 0004366260
Figure 0004366260
Figure 0004366260
Figure 0004366260
上記式(5−14)〜(5−17)中、E、E’は、それぞれ独立に、1価の末端基を示し、nは、括弧内の構造の数または平均重合度を示す。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
電子写真感光体は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体が一般的である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよいが、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。
本発明において、「電荷輸送物質を含有する層」とは、感光層が単層型感光層である場合は、該単層型感光層が「電荷輸送物質を含有する層」であり、感光層が積層型感光層である場合は、感光層の中でも特に電荷輸送層が「電荷輸送物質を含有する層」である。また、電子写真感光体が「電荷輸送物質を含有する層」を2層以上有する場合、そのうちの少なくとも1層が本発明で規定する「電荷輸送物質を含有する層」であればよい。
支持体としては、導電性を有していればよく(導電性支持体)、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状などが挙げられるが、円筒状が好ましい。
また、支持体の表面は、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止などを目的として、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
支持体と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)または後述の中間層との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。
導電層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることがより好ましい。
また、支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。
中間層は、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂などの樹脂や、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。
中間層の膜厚は0.05〜5μmであることが好ましく、特には0.3〜1μmであることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ナイロン、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質のうち、少なくとも1種については、上記電荷輸送物質合成工程により合成された電荷輸送物質である。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、他の方法で合成された電荷輸送物質を併用してもよい。併用することができる電荷輸送物質としては、他の方法で合成された、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、20000〜80000であることが好ましい。ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50000〜200000であることが好ましく、特には80000〜150000であることがより好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、1:10〜12:10(質量比)の範囲が好ましく、電荷輸送能や層の強度の観点から、2:10〜10:10(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜25μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
感光層が単層型感光層である場合、該単層型感光層は、上記電荷発生物質および上記電荷輸送物質を上記結着樹脂および上記溶剤と共に分散して得られる単層型感光層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
また、感光層上には、該感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
保護層に用いる結着樹脂としては、高分子量のポリカーボネート樹脂、高分子量のポリアリレート樹脂などの高分子量の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂が好ましい。
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、特には1〜5μmであることが好ましい。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
電子写真感光体の表面層には、電子写真感光体の表面に潤滑性を付与する材料を必要に応じて添加してもよい。このような材料としては、四フッ化エチレン樹脂粒子などのフッ素原子含有樹脂粒子や、シリカ粒子や、アルミナ粒子などが挙げられる。
なお、保護層を設ける場合は保護層が電子写真感光体の表面層であり、保護層を設けない場合は感光層が電子写真感光体の表面層である。また、感光層が電子写真感光体の表面層である場合において、該感光層が単層型感光層の場合は該単層型感光層が電子写真感光体の表面層であり、該感光層が順層型感光層の場合は電荷輸送層が電子写真感光体の表面層であり、逆層型感光層の場合は電荷発生層が電子写真感光体の表面層である。
図1に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(電荷輸送物質合成工程例1)
・上記式(5−3)で示される構造を有する電荷輸送物質の合成
ジムロー型冷却管、温度計、攪拌子を装着した200ml3口フラスコに、アミン化合物としてビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン11.3g(0.05mol)、ハロゲン化芳香族化合物として1−ブロモ−4−フェニルベンゼン11.7g(0.05mol)、塩基としてナトリウム−ターシャリーブトキシド5.60g(0.07mol)、アミノ置換リン化合物として上記式(1−1)で示される構造を有するアミノ置換リン化合物0.432g(0.002mol)、金属含有化合物としてPd(Oac)0.112g(0.0005mol)、溶剤としてキシレン90mlを加え、オイルバスにて130℃に加熱し、1時間攪拌して反応させた後、室温まで放冷した。
次に、反応溶液を塩酸で中性にし、トルエンを加え、有機層をアルミナで処理し、塩化カルシウムで乾燥した後、有機溶剤を留去した。
得られた粗生成物を、組成物量に対し10倍量のシリカゲルを用い、展開溶媒としてトルエン/ヘキサン=1/1の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムにより精製し、上記式(5−3)で示される構造を有する電荷輸送物質を17.1g得た(収率:91.2質量%)。結果を表1に示す。
(電荷輸送物質合成工程例2〜12)
電荷輸送物質合成工程例1において、アミノ置換リン化合物、金属含有化合物を表1に示すように変更した以外は、電荷輸送物質合成工程例1と同様にして電荷輸送物質を合成した。結果を表1に示す。
(電荷輸送物質合成工程例C1〜C3)
電荷輸送物質合成工程例1において、リン化合物を下記式(6−1)、(6−2)、(6−3)で示される構造を有するアミノ置換リン化合物に変更した以外は、電荷輸送物質合成工程例1と同様にして電荷輸送物質を合成した。結果を表1に示す。
Figure 0004366260
(電荷輸送物質合成工程例C4)
ウルマン反応を用いた合成方法により、上記式(5−3)で示される構造を有する電荷輸送物質を合成した。
200ml3口フラスコに、アミン化合物としてビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン11.3g(0.05mol)、ハロゲン化芳香族化合物として1−ヨード−4−フェニルベンゼン14.0g(0.05mol)、銅粉9.53g(0.15mol)、炭酸カリウム13.8g(0.1mol)、溶剤としてo−ジクロルベンゼン100mlを加え、オイルバスにて200℃に加熱し、6時間攪拌して反応させた後、室温まで放冷した。
次に、反応液中の固形物を濾別後、トルエンを加え、有機層をアルミナで処理し、塩化カルシウムで乾燥した後、有機溶剤を留去した。
得られた粗生成物を、組成物量に対し10倍量のシリカゲルを用い、展開溶媒としてトルエン:ヘキサン=1:1の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムにより精製し、上記式(5−3)で示される構造を有する電荷輸送物質を12.3g(収率65.3質量%)で得た。結果を表1に示す。
Figure 0004366260
(電荷輸送物質合成工程例13)
・上記式(5−13)で示される構造を有する電荷輸送物質の合成
冷却管およびメカニカルスターラーを付した500mlの3口反応容器に、ハロゲン化芳香族化合物としてビス(2,4−ジメチルフェニル)[4−(4−{(2、4−ジメチルフェニル)[4−(4−ブロモフェニル)フェニル]アミノ}フェニル)フェニル]アミン36.4g(0.05mol)、アミン化合物として(2,4−ジメチルフェニル){8−[(2,4ジメチルフェニル)アミノ]ジベンゾ[b]ベンゾ[b]チオフェン−2−イル}アミン10.6g(0.025mol)、金属含有化合物としてPd(Oac)0.57g(0.0025mol)、アミノ置換リン化合物として上記式(1−1)で示される構造を有するアミノ置換リン化合物3.0g(0.01mol)、塩基としてナトリウム−ターシャリーブトキシド6.7g(0.07mol)、キシレン200mlを入れ、窒素ガス雰囲気下、オイルバスで加熱、4時間還流させた。反応終了後、室温まで放冷した。
次に、トルエン/水により抽出、塩酸水で洗浄し、その後、有機層を減圧により溶媒留去した。
得られた粗生成物を、組成物量に対し10倍量のシリカゲルを用い、展開溶媒としてトルエン/ヘキサン=1/1の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムにより精製し、上記式(5−13)で示される構造を有する電荷輸送物質を38.8g得た(収率90.4質量%)。結果を表2に示す。
(電荷輸送物質合成工程例14〜24、C5〜C7)
電荷輸送物質合成工程例13において、アミノ置換リン化合物、金属含有化合物を表2に示すようにした以外は、電荷輸送物質合成工程例13と同様にして電荷輸送物質を合成した。結果を表2に示す。
Figure 0004366260
(電荷輸送物質合成工程例25)
・上記式(5−14)で示される構造を有する電荷輸送物質の合成
ジムロー型冷却管、温度計および攪拌子を装着した500ml3口フラスコに、アミン化合物として3,4−ジメチルフェニルアミン12.1g(0.10mol)、ハロゲン化芳香族化合物として1,4−ジブロモビフェニル31.2g(0.10mol)、塩基としてナトリウム−ターシャリーブトキシド27.3g(0.30mol)、アミノ置換リン化合物として上記式(1−1)で示される構造を有するアミノ置換リン化合物4.32g(0.02mol)、金属含有化合物としてPd(Oac)1.12g(0.005mol)、溶剤としてキシレン200mlを加え、オイルバスにて130℃に加熱し、1時間攪拌して反応させた後、3,4−ジメチルブロモベンゼン0.93g(0.0050mol)加え、30分間攪拌した。その後、室温まで放冷した。
次に、反応溶液を塩酸で中性にし、トルエンを加え、有機層をアルミナで処理し、塩化カルシウムで乾燥した後、有機溶剤を留去した。
得られた粗生成物を、組成物量に対し10倍量のシリカゲルを用い、展開溶媒としてトルエン/ヘキサン=1/1の混合溶媒を用いたシリカゲルカラムにより精製し、上記式(5−14)で示される構造を有する電荷輸送物質を23.8g得た(収率87.3質量%)。本例で得られた上記式(5−14)で示される構造を有する電荷輸送物質は、平均重合度nが6、Eが2,4−ジメチルフェニル基、E’が2,4−ジメチルフェニル基、重量平均分子量(Mw)が1700、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.52である重合体であった。なお、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミッション平均分子量測定による値である。結果を表3に示す。
(電荷輸送物質合成工程例26〜36、C8〜C10)
電荷輸送物質合成工程例25において、アミノ置換リン化合物、金属含有化合物を表3に示すようにした以外は、電荷輸送物質合成工程例25と同様にして電荷輸送物質を合成した。結果を表3に示す。なお、電荷輸送物質合成工程例26〜36、C8〜C10で合成されたもののEおよびE’は、電荷輸送物質合成工程例25で合成されたものと同じである。
Figure 0004366260
(実施例1)
直径30mm、長さ357mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、SnOコート処理硫酸バリウム(導電性粒子)10部、酸化チタン(抵抗調整用)2部、フェノール樹脂6部、シリコーンオイル(レベリング剤)0.001部、および、メタノール4部/メトキシプロパノール16部の混合溶媒を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬塗布し、140℃で30分間熱硬化して、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン3部、および、共重合ナイロン3部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を、導電層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶4部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)2部およびシクロヘキサノン60部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散し、次に、エチルアセテート100部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質合成工程例1で合成した上記式(5−3)で示される構造を有する電荷輸送物質10部、および、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)10部を、モノクロロベンゼン80部に溶解して電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で1時間乾燥して、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、表面層が電荷輸送層である電子写真感光体を作製した。
作製した電子写真感光体を、キヤノン(株)製複写機GP215(接触帯電方式)の改造機(露光手段からの露光量が電子写真感光体の表面で0.4μJ/cmとなるように改造し、初期の暗部電位が−720Vになるように調整)に搭載し、常温低湿環境下(23℃、10%RH)で、A4サイズの普通紙を連続で印刷するモードにて30000枚の画像出力を行った。
初期の暗部電位(VD)、明部電位(VL)および残留電位(VSL)を測定した。
また、30000枚出力後の暗部電位(VD30000)、明部電位(VL30000)および残留電位(VSL30000)を測定し、電子写真感光体を繰り返し使用したときの暗部電位変動(ΔVD=│VD30000−VD│)、明部電位変動(ΔVL=│VL30000−VL│)および残留電位変動(ΔVSL=│VSL30000−VSL│)を評価した。
電子写真感光体の表面電位の測定は、電子写真感光体の端部から180mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で行った。評価結果を表4に示す。
(実施例2〜12、比較例1〜4)
実施例1において、電荷輸送物質をそれぞれ表4に示す電荷輸送物質合成工程例で合成した電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 0004366260
(実施例13〜24、比較例5〜7)
実施例1において、電荷輸送物質をそれぞれ表5に示す電荷輸送物質合成工程例で合成した電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。ただし、電荷輸送物質を5部とし、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を10部とした。評価結果を表5に示す。
Figure 0004366260
(実施例25〜36、比較例8〜10)
実施例1において、電荷輸送物質をそれぞれ表6に示す電荷輸送物質合成工程例で合成した電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。ただし、電荷輸送物質を4部とし、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を10部とした。評価結果を表6に示す。
Figure 0004366260
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (12)

  1. 塩基の存在下でのアミン化合物によるハロゲン化芳香族化合物またはハロゲン化複素環化合物のアミノ化反応によって、電子写真感光体用の電荷輸送物質を合成する方法において、
    金属含有化合物および少なくとも1つのアミノ基が結合したリン原子を有するアミノ置換リン化合物を触媒として用い
    該塩基が、ナトリウム−ターシャリーブトキシドであり、
    該金属含有化合物が、Pd(Oac) 、Pd(acac) 、(CH CN) Pd(NO )Cl、(C 10 PdCl 、Pd (dba) およびPdCl からなる群より選択される少なくとも1種の金属含有化合物であ
    ことを特徴とする電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
  2. 前記少なくとも1つのアミノ基が結合したリン原子を有するアミノ置換リン化合物が、下記式(1)で示される構造を有する化合物である請求項1に記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
    Figure 0004366260

    (式(1)中、R11〜R13は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
  3. 前記少なくとも1つのアミノ基が結合したリン原子を有するアミノ置換リン化合物が、下記式(2)で示される構造を有する化合物である請求項1に記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
    Figure 0004366260

    (式(2)中、R21〜R23は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R24は、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
  4. 前記少なくとも1つのアミノ基が結合したリン原子を有するアミノ置換リン化合物が、下記式(3)で示される構造を有する化合物である請求項1に記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
    Figure 0004366260

    (式(3)中、R31〜R34は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
  5. 前記式(3)中のR33およびR34の少なくとも一方がターシャリーブチル基である請求項4に記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
  6. 前記少なくとも1つのアミノ基が結合したリン原子を有するアミノ置換リン化合物が、下記式(4)で示される構造を有する化合物である請求項1に記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
    Figure 0004366260

    (式(4)中、R41〜R45は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
  7. 前記式(4)中のR43がターシャリーブチル基である請求項6に記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
  8. 前記ハロゲン化芳香族化合物が臭化芳香族化合物である請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体用の電荷輸送物質の合成方法。
  9. 支持体および該支持体上に形成された電荷輸送物質を含有する層を有する電子写真感光体を製造する方法であって、
    請求項1〜のいずれかに記載の合成方法によって該電荷輸送物質を合成する電荷輸送物質合成工程と、
    該電荷輸送物質合成工程で合成された電荷輸送物質を用いて該電荷輸送物質を含有する層用の塗布液を調製する塗布液調製工程と、
    該塗布液調製工程で調製された塗布液を用いて該電荷輸送物質を含有する層を形成する層形成工程と
    を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  10. 請求項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  11. 請求項10に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 請求項10に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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