実施の形態1.
(1)実施の形態1の構成の詳細な説明
以下この発明による車載電気負荷の給電制御装置の実施の形態1の構成について説明する。図1は、実施の形態1の車載電気負荷の給電制御装置の全体回路図である。
図1に示す実施の形態1の車載電気負荷の給電制御装置は、給電制御ユニット100Aと、直流駆動電源101と、負荷回路103を含んでいる。直流駆動電源101は、車載バッテリであり、例えば10〜16ボルトの駆動電源電圧Vbを発生する。直流駆動電源101は、その負極端子が電源グランドGND0により車体接続される。この車体接続は、車両における車体への接続であり、車両における共通グランド接続を意味する。給電制御ユニット100Aは、直流駆動電源101から給電を受け、車載電気負荷群を制御する。この車載電気負荷群には、負荷回路103が含まれる。負荷回路103は、複数の電気負荷を含み、図1では、例えば3つの電気負荷103a、103b、103cを含む。これらの電気負荷103a、103b、103cは、誘導性の車載電気負荷である。各電気負荷103a、103b、103cの負極端子は、負極側配線103Nを通じて、負荷グランドGND3により車体接続される。給電制御ユニット100Aは、直流駆動電源101から各電気負荷103a、103b、103cへの給電を制御する。
給電制御ユニット100Aは、例えば自動車用の変速機制御装置を構成するものであり、各電気負荷103a、103b、103cは、例えば自動車用の変速機に用いられるリニアソレノイドである。給電制御ユニット100Aは、マイクロプロセッサ120Aを中心として構成され、通電指令出力DR1〜DR3により、直流駆動電源101から各電気負荷103a、103b、103cへの負荷電流を制御し、また異常報知出力ERにより、異常報知用の警報表示器105を駆動する。
給電制御ユニット100Aのマイクロプロセッサ120Aのデジタル入力ポートには、図示しないセンサスイッチ、操作スイッチなどのスイッチ入力群が、図示しないコネクタとインタフェース回路を介して接続される。マイクロプロセッサ120Aのアナログ入力ポートには、図示しない各種アナログセンサであるアナログ入力群が、図示しないコネクタとインタフェース回路を介して接続される。また、マイクロプロセッサ120Aの出力ポートには、図示しないアクチュエータおよび表示機器などの電気負荷群が、図示しないコネクタとインタフェース回路を介して接続される。この電気負荷群は、電気負荷103a〜103cと、異常報知用の警報表示器105を含む。
給電制御ユニット100Aは、密閉された筐体100aに収納されている。給電制御ユニット100Aは、電源入力端子ES1、ES2、ES3と、ユニットグランド端子GNDと、3つの負荷出力端子LD1、LD2、LD3と、共通端子COMを有し、また内部グランド回路GND2を有する。電源入力端子ES1〜ES3、ユニットグランド端子GND、負荷出力端子LD1〜LD3、および共通端子COMは、筐体100aと電気的に絶縁して、筐体100aに配置される。
電源入力端子ES1は、直流駆動電源101の正極端子に負荷給電リレー接点102bを介して接続され、この負荷給電リレー接点102bを通じて直流駆動電源101から給電を受ける。電源入力端子ES2は、直流駆動電源101の正極端子に直接接続される。電源入力端子ES3は、直流駆動電源101の正極端子に電源開閉リレー接点102aを介して接続される。ユニットグランド端子GNDは、筐体100aに接続され、筐体100aとともに、ユニットグランドGND1で車体接続される。負荷出力端子LD1、LD2、LD3は、それぞれ負荷の正極側配線103Pを通じて電気負荷103a、103b、103cの正極端子に直接接続される。電気負荷103a、103b、103cの負極端子は、負荷の負極側配線103Nを通じて負荷グランドGND3で車体接続される。共通端子COMは、外部負線、この実施の形態1では、外部共通負線104により各電気負荷103a〜103cの負極側配線103Nに共通に接続され、負荷グランドGND3により車体接続される。内部グランド回路GND2は、給電制御ユニット100Aの内部に延在する共通グランド回路であり、例えば、給電制御ユニット100Aを構成する回路基板上に配置される。
なお、外部共通負線104を共通端子COMから各負極側配線103Nまで延長してそれに接続せずに、短い外部共通負線104により、共通端子COMの近傍に設けられた分割グランドGND4で車体接続することもできる。この場合、分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間は、車体により接続される。分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間の距離は、分割グランドGND4とユニットグランドGND2との間の距離よりも短くされる。これは、分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間の抵抗を、分割グランドGND4とユニットグランドGND2との間の抵抗よりも小さくし、各電気負荷103a〜103cの転流による車体の電位変動を小さくする。
電気負荷103aに対して、負荷給電回路SPLaと負荷転流回路SWLaが形成される。同様に、電気負荷103b、103cに対して、それぞれ負荷給電回路SPLb、SPLcと、負荷転流回路SWLb、SWLcが形成される。負荷給電回路SPLa、SPLb、SPLcは、直流駆動電源101から各電気負荷103a、103b、103cへの給電回路である。給電制御ユニット100Aの内部において、負荷給電回路SPLaは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD1との間に形成され、負荷給電回路SPLbは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD2との間に形成され、また負荷給電回路SPLcは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD3との間に形成される。負荷転流回路SWLa、SWLb、SWLcは、電気負荷103a、103b、103cに流れる負荷電流が遮断されたときに、その負荷電流を転流する転流回路である。給電制御ユニット100Aの内部において、負荷転流回路SWLaは、負荷給電回路SPLaと共通端子COMとの間に形成され、負荷転流回路SWLbは、負荷給電回路SPLbと共通端子COMとの間に形成され、また、負荷転流回路SWLcは、負荷給電回路SPLcと共通端子COMとの間に形成される。
給電制御ユニット100Aは、その内部に、負荷給電回路SPLa〜SPLc、および負荷転流回路SWLa〜SWLcとともに、給電制御回路PCNTAを含む。この給電制御回路PCNTAは、マイクロプロセッサ120Aを中心として構成される。給電制御回路PCNTAは、制御電源回路110、開閉回路130a〜130cと、転流回路1400a〜1400cと、個別異常検出回路IADETAと、負線断線異常検出回路160Aを含む。個別異常検出回路IADETAは、各電気負荷103a〜103cの個別異常を検出し、負線断線異常検出回路160Aは、外部共通負線104の異常を検出する。
開閉回路130a〜130cは、それぞれ負荷給電回路SPLa〜SPLcに配置される。開閉回路130aは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD1との間の負荷給電回路SPLaに電気負荷103aと直列に接続され、電気負荷103aへの負荷電流を制御する。開閉回路130bは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD2との間の負荷給電回路SPLbに電気負荷103bと直列に接続され、電気負荷103bへの負荷電流を制御する。また、開閉回路130cは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD3との間の負荷給電回路SPLcに電気負荷103cと直列に接続され、電気負荷103cへの負荷電流を制御する。
個別異常検出回路IADETAは、各電気負荷103a〜103cのそれぞれに対応して配置された給電状態検出回路PDETAa〜PDETAcと、マイクロプロセッサ120Aとによって構成される。電気負荷103aに対応する給電状態検出回路PDETAaは、電流検出回路140aと、電流検出用差動増幅回路150aと、負荷電圧監視回路170aを含む。同様に、電気負荷103b、103cに対応する給電状態検出回路PDETAb、PDETAcは、それぞれ電流検出回路140b、140cと、電流検出用差動増幅回路150b、150cと、負荷電圧監視回路170b、170cを含む。
電流検出回路140a〜140cは、それぞれ電流検出抵抗141a〜141cを含む。電流検出抵抗141aは、開閉回路130aと負荷出力端子LD1との間の負荷給電回路SPLaに電気負荷103aと直列に接続され、電気負荷103aの負荷電流を検出する。電流検出抵抗141bは、開閉回路130bと負荷出力端子LD2との間の負荷給電回路SPLbに電気負荷103bと直列に接続され、電気負荷103bの負荷電流を検出する。同様に、電流検出抵抗141cは、開閉回路130cと負荷出力端子LD3との間の負荷給電回路SPLcに電気負荷103cと直列に接続され、電気負荷103cの負荷電流を検出する。この電流検出回路140aの詳細は、後で図2を参照して説明する。
負荷転流回路SWLaは、開閉回路130aと電流検出抵抗141aとの接続点と、共通端子COMとの間に形成される。負荷転流回路SWLbは、開閉回路130bと電流検出抵抗141bとの接続点と、共通端子COMとの間に形成される。同様に、負荷転流回路SWLcは、開閉回路130cと電流検出抵抗141cとの接続点と、共通端子COMとの間に形成される。
転流回路1400a〜1400cは、それぞれ負荷転流回路SWLa〜SWLcに配置される。転流回路1400aは、転流ダイオード146aを有する。この転流ダイオード146aは、電流検出抵抗141aと電気負荷103aとの直列回路に対して並列に接続され、電気負荷103aを流れる負荷電流を転流する。転流回路1400bは、転流ダイオード146bを有する。この転流ダイオード146bは、電流検出抵抗141bと電気負荷103bとの直列回路に対して並列に接続され、電気負荷103bを流れる負荷電流を転流する。転流回路1400cは、転流ダイオード146cを有する。この転流ダイオード146cは、電流検出抵抗141cと電気負荷103cとの直列回路に対して並列に接続され、電気負荷103cを流れる負荷電流を転流する。転流ダイオード146a〜146cは、それぞれのアノード端子Aが共通端子COMに接続され、それぞれのカソード端子Kが負荷給電回路SPLa、SPLb、SPLcに接続される。転流回路1400aの詳細は、後で図2を参照して説明する。
給電制御回路PCNTAのマイクロプロセッサ120Aは、制御電源回路110から給電を受ける。制御電源回路110は、電源入力端子ES2、ES3に接続される。電源入力端子ES2は、直流駆動電源101の正極端子に直接接続され、また電源入力端子ES3は、電源開閉リレー接点102aを介して直流駆動電源101の正極端子に接続される。制御電源回路110は、電源開閉リレー接点102aがオンしていると、例えば5.0ボルトの直流電圧Vccを発生してマイクロプロセッサ120Aに給電するが、電源開閉リレー接点102aがオフすると、例えば2.8ボルトの直流電圧を発生してRAMメモリ122の一部領域に給電し、マイクロプロセッサ120Aには給電しない。
制御電源回路110は、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に接続される。制御電源回路110を内部グランド回路GND2に接続する回路は、ユニットグランド端子GNDに接続される。このユニットグランド端子GNDは、筐体100aにも接続され、グランドGND1で車体接続される。電源入力端子ES2には、分圧抵抗111、112が直列に接続される。この分圧抵抗111、112は、直流駆動電源101に対する電源電圧測定回路115を形成し、測定した駆動電源電圧Vdをマイクロプロセッサ120Aに供給する。
マイクロプロセッサ120Aは、例えば電気的に一括消去して書込み、読出しを行なうことができる不揮発フラッシュメモリなどで構成された不揮発プログラムメモリ121Aと、演算処理用のRAMメモリ122と、1バイト単位で電気的に書込み、読出しを行なうことができる不揮発EEPROMメモリなどで構成されたデータメモリ123と、多チャンネルAD変換器124とに対してバス接続され、これらと相互に協働するように構成されている。なお、データメモリ123は、不揮発性プログラムメモリ121Aの一部の領域を使用して構成することも可能である。
このマイクロプロセッサ120Aは、デジタルの通電指令出力DR1〜DR3および異常報知出力ERを発生する。マイクロプロセッサ120Aには、監視電圧Ef1〜Ef3と駆動電源電圧Vdがアナログ入力として入力され、また警報信号OV1〜OV3と警報信号SV1〜SV3がデジタル入力として入力される。通電指令出力DR1〜DR3は、それぞれ開閉回路130a〜130cに供給される。異常報知出力ERにより、異常報知用の警報表示器105が駆動される。
開閉回路130aはマイクロプロセッサ120Aが発生する通電指令出力DR1によってオン、オフ制御され、そのオン期間と、オン、オフ周期との比率である通電デューティに比例した負荷電圧を電気負荷103aに供給する。同様に、開閉回路130b、130cは、それぞれマイクロプロセッサ120Aが発生する通電指令出力DR2、DR3によってオン、オフ制御され、そのオン期間と、オン、オフ周期との比率である通電デューティに比例した負荷電圧を電気負荷103b、103cに供給する。各電気負荷103a〜103cの負荷電流は、各開閉回路130a〜130cの通電デューティに比例する。開閉回路130aの詳細は、後で図2を参照して説明する。
給電状態検出回路PDETAaの電流検出用差動増幅回路150aは、電流検出抵抗141aの両端電圧を差動増幅し、電気負荷103aに流れる負荷電流If1に比例した監視電圧Ef1をマイクロプロセッサ120Aのアナログ入力ポートに供給する。同様に、給電状態検出回路PDETAb、PDETAcの電流検出用差動増幅回路150b、150cは、それぞれ電流検出抵抗141b、141cの両端電圧を差動増幅し、電気負荷103b、103cに流れる負荷電流If2、If3に比例した監視電圧Ef2、Ef3をマイクロプロセッサ120Aのアナログ入力ポートに供給する。電流検出用差動増幅回路150aの詳細は、後で図2を参照して説明する。
マイクロプロセッサ120Aは、不揮発プログラムメモリ121Aに格納されている負帰還制御手段となるプログラムに基づいて、検出した給電電気量、具体的には負荷電流If1が、目標給電電気量、具体的には目標負荷電流Is1と一致するように、通電指令出力DR1の通電デューティを可変制御する。同様に、検出した負荷電流If2、If3が、それぞれの目標負荷電流Is2、Is3と一致するように、通電指令出力DR2、DR3の通電デューティを可変制御する。
負荷電圧監視回路170aは、電気負荷103aの正極側配線103Pが接続される負荷出力端子LD1の電圧を監視し、この負荷出力端子LD1の電圧を所定の閾値電圧と比較した上で、警報信号OV1、SV1をマイクロプロセッサ120Aに供給する。同様に、負荷電圧監視回路170b、170cは、それぞれ電気負荷103b、103cの正極側配線103Pが接続される負荷出力端子LD2、LD3の電圧を監視し、この負荷出力端子LD2、LD3の電圧を所定の閾値電圧と比較した上で、警報信号OV1・OV3、SV2・SV3をマイクロプロセッサ120Aに供給する。この負荷電圧監視回路170aの詳細は、後で図2を参照して説明する。
負線断線異常検出回路160Aは、外部共通負線104の断線、および共通端子COMの接触不良等による負線断線を検出し、警報信号MNTをマイクロプロセッサ120Aに供給する。この負線断線異常検出回路160Aの詳細は、後で図3を参照して説明する。
図2は、図1の給電制御ユニット100Aの主要部分の詳細を示す。図2は、具体的には、電気負荷103aに対する負荷給電回路SPLaと、負荷転流回路SWLaと、開閉回路130aと、転流回路1400aと、電流検出回路140aと、電流検出用差動増幅回路150aと、負荷電圧監視回路170aを示す。電気負荷103b、103cに対する開閉回路130b、130cと、転流回路1400b、1400cと、電流検出回路140b、140cと、電流検出用差動増幅回路150b、150cと、負荷電圧監視回路170b、170cは、それぞれ開閉回路130aと、転流回路1400aと、電流検出回路140aと、電流検出用差動増幅回路150aと、負荷電圧監視回路170aと同様に構成される。
図2において、開閉回路130aは、開閉素子131aを主体として構成される。開閉回路130aは、開閉素子131aとともに、PNPトランジスタ132a、各種抵抗133a、134a、135a、136a、139a、NPNトランジスタ137a、ブロックダイオード138aを含む。開閉素子131aは、パワートランジスタであり、具体的にはPチャンネルの電界効果型CMOSトランジスタで構成される。開閉素子131aのソース端子Sには、駆動電源電圧Vbが印加され、そのドレーン端子Dは、電流検出抵抗141aを介して負荷出力端子LD1に接続されている。開閉素子131aのソース端子Sとドレーン端子Dとの間には、電圧制限ダイオード1311が接続される。この電圧制限ダイオード1311は、定電圧ダイオードであり、そのアノード端子Aは開閉素子131aのドレーン端子Dに、またそのカソード端子Kは開閉素子131aのソース端子Sに接続され、開閉素子131aのオフ時の電圧を抑制する。開閉素子131aのソース端子Sと、ドレーン端子Dとの間には、さらに高抵抗の漏洩抵抗149aが接続される。この漏洩抵抗149aは、開閉素子131aのオフ状態において、電気負荷103aが活性化されない微小な負荷電流を電気負荷103aに供給する。
PNPトランジスタ132aのエミッタ端子Eは、駆動電源電圧Vbの供給を受けるチャージポンプ回路等から構成される昇圧回路113aの出力端子に接続され、そのコレクタ端子Cはコレクタ抵抗133aを介して開閉素子131aのゲート端子Gに接続される。開閉素子131aのゲート端子Gとドレーン端子Dとの間には、ゲート抵抗134aが接続されている。PNPトランジスタ132aのエミッタ端子Eとベース端子Bとの間には、そのオフ用安定抵抗135aが接続され、そのベース端子Bはベース抵抗136aを介してNPNトランジスタ137aのコレクタ端子Cに接続される。
NPNトランジスタ137aのエミッタ端子Eはブロックダイオード138aを介して、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に接続されている。NPNトランジスタ137aのベース端子Bには、駆動抵抗139aを介してマイクロプロセッサ120Aから通電指令出力DR1が供給される。この通電指令出力DR1が論理レベル「H」になると、NPNトランジスタ137aとPNPトランジスタ132aと開閉素子131aがオンとなり、通電指令出力DR1が論理レベル「L」になると、それらがオフとなる。開閉素子131aのソース端子Sとドレーン端子Dの間には、高抵抗の漏洩抵抗149aが並列接続され、開閉素子131aがオフしている状態であっても、電気負荷103aに対して微小な負荷電流を供給する。
転流回路1400aの転流ダイオード146aには、バイパス抵抗147aが並列に接続される。このバイパス抵抗147aは、開閉素子131aのソース端子Sとドレーン端子Dとの間に接続された漏洩抵抗149aとともに、負荷分圧回路1410aを構成する。
電流検出回路140aは電流検出抵抗141aを主体として構成される。電流検出回路140aは、電流検出抵抗141aとともに、第一の直列抵抗142a、第三の直列抵抗143a、および第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aを含む。電流検出抵抗141aの正電位側は、第一の直列抵抗142aと第一の負電圧抑制ダイオード144aとの直列回路を介して内部グランド回路GND2に接続され、電流検出抵抗141aの負電位側は、第三の直列抵抗143aと第二の負電圧抑制ダイオード145aとの直列回路を介して内部グランド回路GND2に接続されている。なお、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aは、それぞれのアノード端子Aが内部グランド回路GND2に接続され、それぞれのカソード端子Kが第一の直列抵抗142aと第三の直列抵抗143aに接続されている。電流検出抵抗141aの正電位側には、転流ダイオード146aのカソード端子Kが接続され、転流ダイオード146aのアノード端子Aは共通端子COMに接続されている。
電流検出用差動増幅回路150aは、制御電源回路110から出力される制御電源電圧Vccを電源電圧として動作する差動増幅器151aを主体として構成される。電流検出用差動増幅回路150aは、差動増幅器151aととともに、各種抵抗152a、153a、154a、155a、156a、157a、158aと、平滑コンデンサ159aを含む。差動増幅器151aの非反転入力は、第二の直列抵抗152aと、電流検出回路140aの第一の直列抵抗142aとを介して電流検出抵抗141aの正電位側に接続される。差動増幅器151aの反転入力は、第四の直列抵抗153aと、電流検出回路140aの第三の直列抵抗143aとを介して電流検出抵抗141aの負電位側に接続されている。
互いに直列接続された第一の直列抵抗142aと第二の直列抵抗152aとによる合成入力抵抗R2の値と、互いに直列接続された第三の直列抵抗143aと第四の直列抵抗153aとによる合成入力抵抗R3の値は、設計理論値として、R2=R3となるように設計されている。差動増幅器151aの非反転入力は、抵抗値がR4である分圧抵抗154aを介して内部グランド回路GND2に接続され、差動増幅器151aの反転入力は、抵抗値がR5である負帰還抵抗155aを介して差動増幅器151aの出力端子に接続される。抵抗値R4、R5は、設計理論値として、R4=R5となっている。
差動増幅器151aの非反転入力には、抵抗値がR6であるバイアス抵抗156aを介してバイアス電圧V0が印加され、差動増幅器151aの反転入力には、抵抗値がR7であるバイアス抵抗157aを介してバイアス電圧V0が印加される。抵抗値R6、R7は、設計理論値として、R6=R7となっている。なお、バイアス電圧V0は、差動増幅器151aの各入力端子に所定の正電圧を印加し、転流ダイオード146aによって差動増幅器151aの各入力端子に印加される約1Vの負電圧を相殺する。差動増幅器151aの出力端子は、出力抵抗158aを介してマイクロプロセッサ120Aのアナログ入力ポートに接続される。平滑コンデンサ159aは、出力抵抗158aから充電され、平滑回路を構成する。
このように構成された電流検出用差動増幅回路150aの出力電圧である監視電圧Ef1の値と、負荷電流If1との値には、次の(1)式の関係が成立する。電流検出用差動増幅回路150b、150cも、それぞれ図2に示す電流検出用差動増幅回路150aと同様に、次の(2)(3)式に示す監視電圧Ef2、Ef3を発生して、マイクロプロセッサ120Aに入力する。
Ef1=R1×(R5/R3)×If1 ・・・・・・・(1)
Ef2=R1×(R5/R3)×If2 ・・・・・・・(2)
Ef3=R1×(R5/R3)×If3 ・・・・・・・(3)
但し、R1は、電流検出抵抗141a、141b、141cの抵抗値である。R5は、負帰還抵抗155aの抵抗値である。R3は、第三、第四の直列抵抗143a、153aの直列合成抵抗値である。
負荷電圧監視回路170aは、第一、第二の比較判定回路171a、271aを主体として構成される。この負荷電圧監視回路170aは、第一、第二の比較判定回路171a、271aとともに、各種抵抗172a、173a、174a、176a、177a、178a、272a、276a、277a、278a、反転論理素子179a、279a、クリップダイオード274a、および平滑コンデンサ175a、275aを含む。第一の比較判定回路171aの非反転入力は、入力抵抗172aを介して分圧抵抗173a、174aの接続点に接続され、互いに直列接続された分圧抵抗173a、174aの1つの抵抗174aには、クリップダイオード274aが並列接続される。クリップダイオード274aのアノード端子Aは、内部グランド回路GND2に接続され、そのカソード端子Kは、分圧抵抗173a、174aの接続点に接続されている。分圧抵抗173a、174aの他の抵抗173aは、負荷出力端子LD1に接続され、分圧抵抗174aには、電気負荷103aに印加される負荷電圧Vf1に比例した電圧が印加される。なお、第一の比較判定回路171aの非反転入力には、平滑コンデンサ175aが接続されている。第一の比較判定回路171aの反転入力は、駆動電源電圧Vbに比例した第一の閾値電圧を設定する分圧抵抗176a、177aの接続点に接続されている。
分圧抵抗173a、174aの抵抗値をR173、R174とし、分圧抵抗176a、177aの抵抗値をR176、R177とし、漏洩抵抗149aの抵抗値をR149とし、バイパス抵抗147aの抵抗値をR147としたときに、次の(4)式の関係が成立するように設計されている。
[R147/(R147+R149)]×[R174/(R174+R173)]
>R177/(R177+R176) ・・・・・・・・・(4)
従って、電気負荷103aが断線し、開閉素子131aがオフしているときには、第一の比較判定回路171aの出力論理レベルは「H」となって、断線異常の警報信号OV1を発生することになる。第一の比較判定回路171aの出力端子は、出力抵抗178aを介してマイクロプロセッサ120Aの警報入力端子OV1に接続されている。また、反転論理素子179aは、マイクロプロセッサ120Aの通電指令出力DR1によって駆動され、その論理反転出力が警報入力端子OV1に接続されている。
負荷出力端子LD1に接続された電気負荷103aが断線していなければ、開閉素子131aがオフしているときの負荷電圧は微小であり、第一の比較判定回路171aの出力は論理レベル「L」となっているが、万一、電気負荷103aが断線している場合、または電気負荷103aの正極側配線103Pまたはその負極側配線103Nが断線している場合には、負荷出力端子LD1には駆動電源電圧Vbを負荷分圧回路1410a、すなわち漏洩抵抗149aとバイパス抵抗147aによって分圧した電圧が印加され、その結果として、第一の比較判定回路171aの出力論理レベルが「H」となって、警報信号OV1は、断線異常の発生をマイクロプロセッサ120Aに入力することになる。但し、通電指令出力DR1の論理レベルが「H」となって、開閉素子131aがオンしているときには、反転論理素子179aによって、警報信号OV1の論理レベルが「H」にならないようになっている。
第二の比較判定回路271aの非反転入力は、入力抵抗272aを介して分圧抵抗173a、174aの接続点に接続されるとともに、この第二の比較判定回路271aの非反転入力には、平滑コンデンサ275aが接続されている。第二の比較判定回路271aの反転入力は、駆動電源電圧Vbに比例した第二の閾値電圧を設定する分圧抵抗276a、277aの接続点に接続されている。
分圧抵抗276a、277aの抵抗値をR276、R277としたときに、次の(5)式の関係が成立するように設計されている。
[R174/(R174+R173)]
>R277/(R277+R276) ・・・・・・・・・(5)
従って、開閉素子131aの短絡異常が発生したとき、または正極側配線103Pが直流駆動電源101の正極端子に接続された電源線に対して接触しているときには、第二の比較判定回路271aの出力論理レベルは「H」となって、短絡異常の警報信号SV1を発生することになる。
第二の比較判定回路271aの出力端子は、出力抵抗278aを介してマイクロプロセッサ120Aの警報入力端子SV1に接続されている。また、反転論理素子279aは、マイクロプロセッサ120Aの通電指令出力DR1によって駆動され、その論理反転出力が警報入力端子SV1に接続されている。
負荷出力端子LD1に接続された電気負荷103aが断線していなければ、開閉素子131aがオフしているときの負荷電圧は微小であり、第二の比較判定回路271aの出力は論理レベル「L」となっているが、万一、電気負荷103aの正極側配線103Pが、駆動電源101の正極端子に接続された電源線に接触する天絡異常が発生した場合、および開閉素子131aが短絡異常状態になった場合には、負荷出力端子LD1には駆動電源電圧Vbにほぼ等しい電圧が印加され、その結果として、第二の比較判定回路271aの出力論理レベルが「H」となって、警報信号SV1は、天絡異常または開閉素子131aの短絡異常の発生をマイクロプロセッサ120Aに入力することになる。但し、通電指令出力DR1の論理レベルが「H」となって、開閉素子131aがオンしているときには、反転論理素子279aによって警報信号SV1の論理レベルが「H」にならないようになっている。
次に、図1の負線断線異常検出回路160Aについて、図3を参照して説明する。図3において、負線断線異常検出回路160Aは、制御電源電圧Vccから給電されるPNPトランジスタによって構成された判定素子161を有する。この判定素子161のコレクタ端子Cは、コレクタ抵抗162を介して内部グランド回路GND2に接続されるとともに、出力抵抗163aを介してマイクロプロセッサ120Aの警報信号端子MNTに接続される。積分コンデンサ163bは、出力抵抗163aから充電されて平滑回路を構成する。判定素子161のエミッタ端子Eとベース端子Bとの間には、そのオフ用安定抵抗164が接続され、判定素子161のベース端子Bは、ベース抵抗165と限流抵抗166と定電圧ダイオード167とを介して共通端子COMに接続され、共通端子COMには、転流ダイオード146a、146b、146cのアノード端子Aが接続されている。
定電圧ダイオード167の通電動作電圧は、電圧制限ダイオード1311による開閉素子131a、131b、131cのオフ時の抑制電圧よりも低い値であって、しかも制御電源電圧Vccよりも高い電圧となっている。クリップダイオード168のアノード端子Aは、内部グランド回路GND2に接続され、そのカソード端子Kは、ベース抵抗165と限流抵抗166との接続点に接続されている。
判定素子161は、共通端子COMに接続された外部共通負線104が断線している場合に、例えば開閉素子131aがオンからオフに変化したときに、制御電源電圧Vccの電源ラインから、判定素子161のエミッタ/ベース回路と、ベース抵抗165と、限流抵抗166と、定電圧ダイオード167と、転流ダイオード146aと、電流検出抵抗141aとを経由して、負荷出力端子LD1に至るサージ電流によって導通し、警報信号MNTの論理レベルを「H」にして、負線断線異常の発生を入力するようになっている。
一方、判定素子161のベース回路には、駆動抵抗261と駆動トランジスタ262の直列回路が接続される。駆動トランジスタ262は、NPNトランジスタである。駆動トランジスタ262のベース回路には、ブロックダイオード263と検出抵抗264の直列回路が接続され、駆動トランジスタ262のベース端子Bとエミッタ端子Eとの間には、オフ用安定抵抗265とクリップダイオード266が接続されている。ブロックダイオード263のアノード端子Aは、共通端子COMに接続され、そのカソード端子Kは検出抵抗264に接続される。また、クリップダイオード266のアノード端子Aは、内部グランド回路GND2に接続され、そのカソード端子Kは、駆動トランジスタ262のベース端子Bに接続される。
開閉素子131a、131b、131cのどれかがオンしている状態で、共通端子COMに接続された外部共通負線104が断線すると、バイパス抵抗147a、147b、147cのどれかと検出抵抗264を通じてトランジスタ262がオンとされ、これに伴なって、判定素子161がオンし、警報信号MNTの論理レベルが「H」になる。従って、判定素子161は、電気負荷103a、103b、103cの負荷電流が遮断されたときに、転流ダイオード146a、146b、146cのアノード端子Aに発生する負電位か、または開閉素子131a、131b、131cがオンしている期間中に、バイパス抵抗147a、147b、147cによって転流ダイオード146a、146b、146cのアノード端子Aに発生する正電位を検出し、警報信号MNTを発生する。共通端子COMが外部共通負線104によって正常に車体接続されていると、転流ダイオード146a、146b、146cのアノード端子Aには電位が発生せず、判定素子161が発生する警報信号MNTの論理レベルは「L」となって、正常状態を示す。
(2)実施の形態1の作用、動作の詳細な説明
次に、図1〜図3に示したこの発明の実施の形態1の作用、動作について説明する。
図1において、図示しない電源スイッチが閉路されると、電源開閉リレー接点102aがオンとなり、制御電源回路110に駆動電源電圧Vbが印加され、制御電源回路110は、制御電源電圧Vccを発生してマイクロプロセッサ120Aに給電する。マイクロプロセッサ120Aが動作を開始すると、図示しない付勢回路によって負荷給電リレー接点102bがオンとなる。
マイクロプロセッサ120Aは、不揮発プログラムメモリ121Aに格納された運転制御プログラムに基づいて、電気負荷回路103の中のどの電気負荷に対して、いくらの負荷電流を供給するかを決定し、その後、不揮発プログラムメモリ121Aに格納された負帰還制御手段となる制御プログラムに基づいて、負荷電流の制御を行なう。
負帰還制御手段が、例えば電気負荷103aの負荷電流If1を制御する動作を説明する。電気負荷103b、103cの負荷電流If2、If3を制御する動作も、この電気負荷103aの負荷電流を制御する動作と同様である。負荷帰還制御手段は、電気負荷103aに対する通電目標電流Is1と、電流検出用差動増幅回路150aによって検出された負荷電流If1との偏差積分値に応動した可変デューティγ1の通電指令出力DR1を発生し、開閉素子131aをオン、オフ制御する。
開閉素子131aがオンしたときの負荷電流If1は、負荷給電回路SPLaを通じて流れる。具体的には、直流駆動電源101の正極端子から、負荷電源リレー接点102b、電源入力端子ES1、開閉素子131a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103P、電気負荷103a、負極側配線103N、負荷グランドGND3を通じて車体に至り、車体から、電源グランドGND0を通り、直流駆動電源101の負極端子に至る経路に流れる。この場合、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2には、一切負荷電流If1は流れない。
開閉素子131aがオフしたときの負荷電流If1は、負荷転流回路SWLaを通じて流れる。具体的には、電気負荷103aの負極端子から、負極側配線103N、外部共通負線104、共通端子COM、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103Pを通じて電気負荷103aの正極端子に至る経路で還流しており、この場合も、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2には、一切負荷電流If1は流れない。なお、外部共通負線104を負荷グランドGND3の位置まで延長しないで、給電制御ユニット100Aの共通端子COMの近傍に設けられた分割グランドGND4の位置で車体接続した場合には、外部共通負線104に代わって負荷グランドGND3から分割グランドGND4に至る通電経路として車体が利用されることになるが、この場合にも、給電制御ユニット100Aの内部の内部グランド回路GND2には、一切負荷電流If1は流れない。
共通端子COMおよび外部共通負線104が設けられず、転流ダイオード146aのアノード端子Aが給電制御ユニット100Aの内部グランドGND2に接続されている場合を想定する。この場合には、開閉素子131aがオフしたときの負荷電流If1の転流電流の還流経路は、電気負荷103aの負極端子から、負極側配線103N、負荷グランドGND3、ユニットグランド端子GND1、内部グランド回路GND2、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103Pを通り、電気負荷103aの正極端子に至る経路で還流することになる。この場合には、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に転流サージ電流が流入し、その内部グランド回路GND2に電位変動を与える問題が発生する。
実施の形態1では、転流回路1400a〜1400cの各転流ダイオード146a〜146cのアノード端子Aを共通端子COMに接続し、この共通端子COMを給電制御ユニット100Aの外部で車体接続することにより、負荷電流If1、If2、If3が、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に流入するのを防止することができるが、反面で、共通端子COMの接触不良または外部共通負線104の断線異常が発生すると、転流ダイオード146a、146b、146cによる転流機能が損なわれ、開閉素子131a、131b、131cがオフしたときに、電気負荷103a、103b、103cのインダクタンス成分によって誘導サージ電圧が発生すると言う新たな問題が生じることになる。
この誘導サージ電圧は、開閉素子131a、131b、131cに設けられたオフ電圧抑制用の電圧制限ダイオード1311により、例えば50V程度に抑制されるが、この抑制サージ電圧は、給電制御ユニット100Aの内部回路の中で、内部グランド回路GND2と、負荷出力端子LD1、LD2、LD3との間に接続されている全ての回路に印加されることになる。
図2に示す開閉回路130aにおいて、開閉素子131aに関連するブロックダイオード138aは、前記抑制サージ電圧による逆流電流を阻止する。また、電流検出回路140aにおいて、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aは、差動増幅器151aの入力電位を、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aの順方向電圧である例えば1V程度の負電位に抑制する。第一、第三の直列抵抗142a、143aは、ユニットグランドGND1から、内部グランド回路GND2、第一または第二の負電圧抑制ダイオード144aまたは145aを経由して、負荷出力端子LD1に還流するサージ電流を抑制し、内部グランド回路GND2の電位変動を抑制する。
同様に、図2に示す負荷電圧監視回路170aにおいて、クリップダイオード274aは、第一、第二の比較判定回路171a、271aの入力電位を、クリップダイオード274aの順方向電圧である例えば1V程度の負電位に抑制する。分圧抵抗173aは、ユニットグランドGDN1から、内部グランド回路GND2、クリップダイオード274aを経由して負荷出力端子LD1に還流するサージ電流を抑制し、内部グランド回路GND2の電位変動を抑制する。なお、電気負荷103b、103cに関する各部の作用動作も、電気負荷103aの場合と同様である。
図3の負線断線異常検出回路160Aにおいて、クリップダイオード168は、ベース抵抗165の負側電位を、クリップダイオード168の順方向電圧である例えば1V程度の負電位に抑制する。限流抵抗166と定電圧ダイオード167は、ユニットグランドGND1から、内部グランド回路GDN2、クリップダイオード168を経由して、負荷出力端子LD1に還流するサージ電流を抑制し、内部グランド回路GND2の電位変動を抑制する。また、ブロックダイオード263は、検出抵抗264を経由するサージ電流の還流を阻止するが、クリップダイオード266は、駆動トランジスタ262を保護する。
定電圧ダイオード167の動作電圧は、開閉素子131a、131b、131cに設けられたオフ電圧抑制用の電圧制限ダイオード1311によるサージ抑制電圧よりも低く、制御電源電圧Vccよりも大きな値となっている。従って、正常状態において、判定素子161には、クリップダイオード168、または定電圧ダイオード167によってベース電流が流れないようになっており、警報信号MNTの論理レベルは「L」となる。しかし、共通端子COMに接続された外部共通負線104が断線したときに、ベース抵抗165から、限流抵抗166、定電圧ダイオード167、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141aを通じて負荷出力端子LD1に至るサージ電流によって判定素子161が導通し、警報信号MNTの論理レベルを「H」にして負線断線異常の発生を入力するようになっている。また、開閉素子131a、131b、131cがオンしている状態においては、バイパス抵抗147a、147b、147cから、ブロックダイオード263と検出抵抗264を介して通電駆動されるトランジスタ262によって、判定素子161が導通するようになっている。
図4は、実施の形態1の動作説明用フローチャートである。この図4について動作を説明する。図4において、工程400は、マイクロプロセッサ120Aの各種の制御フローの一部である負荷電流制御の動作開始工程である。続く工程401は、負線断線異常を判定する負線断線異常判定手段を構成する工程であり、この工程401は、警報信号MNTの入力状態を監視して負線断線異常検出回路160Aによる負線断線異常が検出されているかどうかを判定する。負線断線異常が発生していて、工程401の判定結果がYESになれば、工程411へ移行し、工程401の判定結果がNOになれば、工程402へ移行する。
工程411は、異常処理手段、具体的には全出力停止手段と異常報知指令手段とを構成する工程であり、この工程411では、全ての通電指令出力DR1、DR2、DR3を停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程413は、異常履歴記憶手段を構成する工程であり、この工程413では、負線断線異常が発生したことをデータメモリ123に書込み保存する。続く工程460は、電流制御動作終了工程であり、この工程460では、マイクロプロセッサ120Aは、電流制御以外の他の制御動作を実行し、所定時間後には再度動作開始工程400が活性化され、一巡の制御動作を繰返して実行するようになっている。
工程402は、負荷番号設定更新手段を構成する工程であり、この工程402では、複数の電気負荷103a、103b、103c、・・・の負荷番号n(n=a、b、c、・・・)を指定し、順次更新指定する。続く工程403は、目標電流読出手段を構成する工程であり、この工程403では、工程402で指定された負荷番号nの電気負荷103nに関する目標電流値Isnを読み出す。この目標電流値Isnは、図示しない他の制御プログラムに基づいて決定される。続く工程404は、負荷電流読取手段を構成する工程であり、この工程404では、工程402で指定された負荷番号nに対応する電流検出用差動増幅回路150nによって検出された電気負荷103nの負荷電流値Ifnを読み込む。続く工程405は、初回動作判定手段を構成する工程であり、この工程405では、後の工程407によって初期化完了フラグがセットされたかどうかを判定することによって初回動作であるかどうかを判定する。初回動作であって工程405の判定結果がYESになれば、工程406へ移行し、工程405の判定結果がNOになれば、工程408へ移行する。
工程406は、点検開始手段を構成する工程であり、この工程406では、初期点検のために電気負荷103nに対する通電指令出力DRnの通電デューティγnをゼロにする。続く工程420aは、天絡警報判定手段を構成する工程であり、この工程420aでは、工程402で指定された電気負荷103nに対応する負荷電圧監視回路170nによって、警報信号SVnが発生しているかどうかを判定する。警報信号SVnが発生していて工程420aの判定結果がYESになれば、工程421へ移行し、工程420aの判定結果がNOになれば、工程420bへ移行する。工程420bは、断線警報判定手段を構成する工程であり、この工程420bでは、負荷電圧監視回路170nによって警報信号OVnが発生しているかどうかを判定する。警報信号OVnが発生していて工程420bの判定結果がYESになれば、工程421へ移行し、工程420bの判定結果がNOになれば、工程407へ移行する。工程421は、異常処理手段、具体的には該当出力停止手段と異常報知指令手段とを構成する工程であり、この工程421では、電気負荷103nに対応する該当通電指令出力DRnを停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程423は、異常履歴記憶手段、具体的には異常形態別履歴記憶手段を構成する工程であり、この工程423では、警報信号SVnまたは警報信号OVnが発生したことをデータメモリ123に書込み保存する。この工程423では、とくに、通電指令出力DRnが停止している状態で、警報信号SVnの論理レベルが「H」であれば、開閉素子131nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pが、直流駆動電源101の正極端子に接続された電源線の接触する天絡異常が記憶され、また警報信号OVnが発生していれば、電気負荷103n、正極側配線103P、負極側配線103Nの何れかの断線異常が記憶される。工程423に続いて、電流制御動作終了工程460へ移行するようになっている。
工程407は、初期設定手段を構成する工程であり、この工程では、通電デューティγnを初期値γn0に設定するとともに、初期化完了フラグをセットしてから工程408へ移行する。工程407で設定される通電デューティγn0は、電気負荷103nの平均的な温度における抵抗値をRcとし、電源電圧測定入力Vdから算出された駆動電源電圧の値をVbとしたときに、次の(6)式で示される値となっている。
γn0=Rc×Isn/Vb ・・・・・・(6)
また工程407でセットされた初期化完了フラグは、工程403で読み出された目標電流値Isnがゼロであるときに再びリセットされ、初期化完了フラグがリセットされておれば、工程405による判定結果がYESとなるようになっている。
工程408は、負荷抵抗推定手段を構成する工程であり、この工程408では、指定された電気負荷103nにおける現在の通電デューティγnと、駆動電源電圧Vbと、負荷電流値Ifnに基づいて、次の(7)式により、電気負荷103nの負荷抵抗Rnを算出してから、次の工程430へ移行する。
Rn=γn×Vb/Ifn ・・・・・・・(7)
工程430は、過小抵抗判定手段を構成する工程であり、この工程430では、工程408で算出された負荷抵抗Rnが、電気負荷103nの低温状態における最小抵抗値Rminよりも更に小さな異常値となっているかどうかを判定する。RnがRminよりも小さくて、工程430の判定結果がYESであれば、工程431へ移行し、工程430の判定結果がNOであれば、工程440へ移行する。工程431は、異常処理手段、具体的には該当出力停止手段と異常報知指令手段とを構成する工程であり、この工程431では、該当通電指令出力DRnを停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程432は、確認判定手段を構成する工程であり、この工程432では、工程431により通電指令出力DRnが停止されたことに伴って、負荷電流Ifnがゼロになったかどうかを判定する。負荷電流Ifnがゼロに正常回復していて工程432の判定結果がYESになれば、工程433bへ移行し、また工程432の判定結果がNOになれば、工程433aへ移行する。
工程433a、433bは、異常履歴記憶手段、具体的には異常形態別履歴記憶手段を構成する工程であり、これらの工程433a、433bは、工程430が過小抵抗判定を行ったときに、工程432による確認判定の結果に基づく異常情報を、データメモリ123に書込み保存する。工程433aでは、開閉素子131nに対する通電指令中に、開閉素子131nの短絡異常が発生したことを異常履歴情報として記録し、また工程433bでは、開閉素子131nに対する通電指令中に、電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pが車体と接触する地絡異常の何れかが発生したこと、および開閉素子131nの短絡異常が発生しなかったことを異常履歴情報として記録する。工程433a、433bに続いて、電流制御動作終了工程460へ移行するようになっている。
工程440は、過大抵抗判定手段を構成する工程であり、この工程440では、工程408で算出された負荷抵抗Rnが、電気負荷103nの高温状態における最大抵抗値Rmaxよりも更に大きな異常値となっているかどうかを判定する。RnがRmaxよりも大きな異常値となっていて工程440の判定結果がYESであれば、工程441へ移行し、また工程440の判定結果がNOであれば、工程450aへ移行する。工程441は、異常処理手段、具体的には該当出力停止手段と異常報知指令手段とを構成する工程であり、この工程441では、該当通電指令出力DRnを停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程443は、異常記憶手段、具体的には異常形態別履歴記憶手段を構成する工程であり、この工程443では、工程440による判定で過大抵抗異常が発生したことを異常履歴情報としてデータメモリ123に書込み保存する。この過大抵抗異常の発生は、開閉素子131nに対する通電指令中に、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103Pの断線異常、負極側配線103Nの断線異常、正極側配線103Pの天絡異常、開閉素子131nの断線異常が発生したことを意味し、これらの何れかが発生したことが異常履歴情報としてデータメモリ123に記憶される。工程443に続いて電流制御動作終了工程460へ移行するようになっている。
工程450aは、現在の通電デューティγnに対して補正値Δγnを算出する補正値算出手段を構成する工程であり、この工程450aは、工程430、440による抵抗値の判定が正常であり、工程430、440の判定結果がともにYESとなったときに実行される。この工程450aでは、工程403で読み出された目標電流値Isnと、工程404で読み出された負荷電流値Ifnとの偏差値の正負、および大小に応じて、現在の通電デューティγnに対して増減補正する補正値Δγnを算出する。続く工程450bは、現在の通電デューティγnに対する補正設定手段を構成する工程であり、この工程450bでは、現在の通電デューティγnに対する補正値Δγnを代数加算する。工程450a、450bによって構成された工程ブロック450は、負帰還制御手段を構成する。
工程450bに続いて電流制御動作終了工程460へ移行し、この電流制御動作終了工程460において、マイクロプロセッサ120Aは、電流制御以外の他の制御動作を実行し、所定時間後には再度動作開始工程400が活性化されて一巡の制御動作を繰返して実行するようになっている。
図4の制御動作フローチャートについて概括説明すると、工程401は、警報信号MNTの入力状態を監視して負線断線異常検出回路160Aによる負線断線異常が検出されているかどうかを判定する工程であって、負線断線異常検出回路160Aは、複数の電気負荷103a〜103cのいずれか一つ以上の電気負荷が通電状態であるときに異常判定が可能となり、工程413では負線断線異常のコード番号が記憶されるが、電気負荷の区分はなされない。
工程420a、420bは、警報信号SVn、OVnの入力状態を監視して負荷電圧監視回路170nによる異常検出がなされているかどうかを判定するものであって、負荷電圧監視回路170nは、開閉素子131nに対する通電指令出力DRnが停止しているときに異常判定が可能となり、工程423では警報信号SVnが論理レベル「H」であれば開閉素子131nの短絡異常のコード番号と、電気負荷103nの正極側配線103Pの天絡異常のコード番号が記憶されるが、どちらの異常であったかは特定できないようになっている。また、工程423では、警報信号SVnが発生していないが、警報信号OVnが発生している状態において、電気負荷103nと、電気負荷103nの正極側配線103Pまたは負極側配線103Nのいずれかの断線異常のコード番号が記憶されるが、どの位置の断線であるかは特定できない。
工程430、440は、電気負荷103nの抵抗値Rnを監視して、ソフトウエアによる異常判定を行なうものであって、この判定は通電指令出力DRnが発生しているときに、抵抗値Rnを最小抵抗値Rminまたは最大抵抗値Rmaxと比較し、過小抵抗または過大抵抗の判定を行なうものとなっている。工程433aでは、開閉素子131nの短絡異常のコード番号が記憶され、工程433bでは、電気負荷103nの短絡異常のコード番号と、電気負荷103nの正極側配線103Pの地絡異常のコード番号とが記憶されるようになっており、電気負荷103nの短絡異常と正極側配線103Pの地絡異常との特定は行なえない。
なお、開閉素子131nをオフすることができない開閉素子131nの短絡異常が発生すると、電気負荷103nには目標電流値Isn以上の電流が流れるので、これを目標電流値Isnに近づけるために、マイクロプロセッサ120Aは通電デューティγnを低下させるが、いくら通電デューティγnを低下させても、開閉素子131nが短絡している結果として、負荷電流Ifnが減少せずに最大値状態となっているので、(7)式で算出される推定負荷抵抗Rnの値がゼロとなり、工程430によって過小抵抗の判定がなされる。また、電気負荷103nの短絡異常または正極側配線103Pが車体と接触する地絡異常が発生した場合には、目標電流値Isnを得るための負荷電圧が急減するので、マイクロプロセッサ120Aは、通電デューティγnを低下させ、その結果として、(7)式で算出される推定負荷抵抗Rnの値が異常低下し、工程430によって過小抵抗の判定がなされる。
確認判定手段を構成する工程432では、開閉素子131nがオフ可能であるかどうかを判定して、開閉素子131nの短絡異常が発生したかどうかを特定する。工程443では、電気負荷103nまたは電気負荷103nの正極側配線103Pと負極側配線103Nのいずれかの断線異常のコード番号と、正極側配線103Pの天絡異常のコード番号と、開閉素子131nの断線異常のコード番号が記憶されるが、これらの異常のうちで、どの異常が発生したかを特定することはできない。
なお、前記のような断線異常が発生すると、マイクロプロセッサ120Aは、所定の目標電流値Isnを流すために通電デューティγnを増加させるが、いくら増加させても負荷電流Ifnは増加せず、ゼロ状態を維持しているので、(7)式による推定負荷抵抗Rnが過大となり、工程440によって過大抵抗判定がなされる。また、正極側配線103Pの天絡異常が発生すると、負荷電流Ifnが検出できなくなるので、マイクロプロセッサ120Aは、所定の目標電流値Isnを流すために通電デューティγnを増加させるが、いくら増加させても負荷電流Ifnは検出されず、ゼロ状態を維持しているので、(7)式による推定負荷抵抗Rnが過大となり、工程440によって過大抵抗判定がなされる。
工程413、423、433a、433b、443による異常履歴の記憶は、給電制御ユニット100Aの運転中にはRAMメモリ122に一時的に書き込まれていて、図示しない電源スイッチがオフされると、負荷給電リレー接点102bは直ちにオフするが、電源開閉リレー接点102aは遅延遮断され、この遅延通電期間において不揮発性のデータメモリ123へ一括転送されるようになっている。
(3)実施の形態1の要点と特徴
以上の説明で明らかな通り、この発明の実施の形態1による車載電気負荷の給電制御装置は、直流駆動電源101から複数の電気負荷103a〜103c(以下103nで代表する)のそれぞれに、開閉素子131a〜131c(以下131nで代表する)を介して給電する複数の負荷給電回路SPLa〜SPLc(以下SPLnで代表する)と、各電気負荷103nの負荷電流を転流する複数の負荷転流回路SWLa〜SWLc(以下SWLnで代表する)と、各開閉素子(131n)に対して通電指令出力DRnを供給する給電制御回路PCNTAを有する給電制御ユニット100Aを備え、各負荷給電回路SPLnと、各負荷転流回路SWLnと、給電制御回路PCNTAを給電制御ユニット100Aの筐体100aに収納した車載電気負荷の給電制御装置である。各負荷転流回路SWLnには、それぞれ転流ダイオード146a〜146c(以下146nで代表する)が接続され、これらの転流ダイオード146nは、各負荷給電回路SPLnの開閉素子131nがオンからオフに変化したときに電気負荷103nに流れていた電流を還流するように、各電気負荷103nに対して並列接続され、各転流ダイオード146nは、外部負線を構成する外部共通負線104により給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2とは分離して筐体100aの外部で車体接続され、給電制御回路PCNTAは、個別異常検出回路IADETAと、負線断線異常検出回路160Aと、異常処理手段411、421、431、441と、異常履歴記憶手段413、423、443、433a、433bとを含み、給電制御回路PCNTAは、マイクロプロセッサ120Aを用いて構成され、マイクロプロセッサ120Aは、少なくとも各開閉素子131nに対する通電指令手段となる制御プログラムが格納された不揮発プログラムメモリ121Aと、データメモリ123と、演算処理用RAMメモリ122と、多チャンネルAD変換器124と協働して動作するように構成され、個別異常検出回路IADETAは、各電気負荷103nに対する給電電気量、具体的には負荷電流Ifnを検出する複数の給電状態検出回路PDETAa〜PDETAc(以下PDETAnで代表する)と、電気負荷103nの中のある電気負荷に対する給電電気量が目標給電電気量から乖離しているときに、その電気負荷と、その電気負荷の正極側配線103Pと、その電気負荷の負極側配線103Nと、その電気負荷に対応する開閉素子の中の少なくとも1つが、断線と短絡の何れかである個別異常状態を判定する手段とを有し、負線断線異常検出回路160Aは、各転流ダイオード146nのアノード側電位が、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2とは異なる電位となっていることを検出して、外部共通負線104の断線異常状態を判定する回路であり、異常処理手段411、421、431、441は、個別異常状態と外部共通負線104の断線異常状態の少なくとも一方が検出されたときに、開閉素子に対する通電指令出力を停止するとともに、その異常報知を行なう手段であり、異常履歴記憶手段413、423、443、433a、433bは、個別異常状態と、外部共通負線104の断線異常状態の発生履歴を識別してデータメモリ123に格納保存する手段であることを特徴とする。
この実施の形態1の車載電気負荷の給電制御装置では、直流駆動電源101からそれぞれ開閉素子131nを介して給電される複数の電気負荷103nにそれぞれ並列接続された転流ダイオード146nが、外部共通負線104により、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2とは分離して、給電制御ユニット100Aの筐体100aの外部で車体接続されているので、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に負荷電流や転流電流が流れず、内部グランド回路GND2の電位を安定化させ、給電制御ユニット100Aの給電制御回路PCNTAを安定して動作させることができる効果がある。また、各電気負荷103n、その正極側配線103P、その負極側配線103N、および各開閉素子131nの断線異常、短絡異常は、個別異常検出回路IADETAによって検出され、各転流ダイオード146nに対する外部共通負線104の断線は負線断線異常検出回路160Aによって検出され、それらの異常対策を行なうとともに、これらの異常は異常履歴記憶手段413、423、443、433a、433bによって識別記憶されているので、保守点検作業において履歴情報を読み出して、保守点検の能率を向上することができる効果がある。
また、実施の形態1では、開閉素子131nには、そのオフ電圧を抑制するための電圧制限ダイオード1311が接続され、負線断線異常検出回路160Aは、電圧制限ダイオード1311の制限電圧よりも低い電圧で通電開始する定電圧ダイオード167と、この定電圧ダイオード167に直列接続された限流抵抗166と、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2にアノードが接続されたクリップダイオード168とによって構成された直列回路、およびこの直列回路に対する通電状態に応動する判定素子161を有し、前記直列回路は、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2と、各転流ダイオード146nのアノード端子Aとの間に接続され、判定素子161はクリップダイオード168のカソード電位を検出することにより、外部共通負線104が断線した状態で発生する電気負荷の誘導サージ電圧に応動して、外部共通負線104の断線を検出し、マイクロプロセッサ120Aに警報信号MNTを供給する。この構成により、外部共通負線104の断線時に、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流は、限流抵抗166によって微小な値に抑制され、負線断線異常検出回路160Aには過大なサージ電圧が印加されない特徴がある。
また、実施の形態1では、各転流ダイオード146nには、バイパス抵抗147a〜147c(以下147nで代表する)が並列接続され、負線断線異常検出回路160Aは、開閉素子131nがオンされた状態で、外部共通負線104が断線しているときに、バイパス抵抗147nからブロックダイオード263を介して給電される検出抵抗264と判定素子161とを有し、判定素子161は、検出抵抗264に通電されたことに基づいて、外部共通負線104が断線したと判定し、マイクロプロセッサ120Aに警報信号MNTを供給する。この構成により、外部共通負線104の断線時に、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流は、ブロックダイオード263によって阻止されるので、負線断線異常検出回路160Aには、過大なサージ電圧が印加されない特徴がある。
また、実施の形態1では、転流ダイオード146nのアノード端子Aが、外部共通負線104を介して筐体100aの外部で車体接続され、この外部共通負線104を車体接続する分割グランドGND4は、少なくとも給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2を車体接続するユニットグランドGND1とは分割されていて、電気負荷103nの負側端子を車体接続する負荷グランドGND3と分割グランドGND4との間の距離は、ユニットグランドGND1と分割グランドGND4との間の距離よりも短くなっている。この構成により、転流ダイオード146nによる転流サージ電流が車体に流れる区間が短縮され、車体の電位変動が抑制される特徴がある。
また、実施の形態1では、各給電状態検出回路PDETAnは、それぞれ電流検出用差動増幅回路150a〜150c(以下150nで代表する)を有し、この電流検出差動増幅回路150nは、開閉素子131nと電気負荷103nとの間に接続された電流検出抵抗141nの両端電圧の差分電圧を差動増幅器151nによって増幅し、電気負荷103nに対する負荷電流Ifnに比例した監視電圧Efnを発生する回路であり、差動増幅器151nの非反転入力端子は、第一、第二の直列抵抗142n、152nを介して開閉素子131nと電流検出抵抗141nとの接続点に接続され、第一、第二の直列抵抗142n、152nの接続点と給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2との間には、第一の負電圧抑制ダイオード144nが接続され、差動増幅器151nの反転入力端子は、第三、第四の直列抵抗143n、153nを介して電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点に接続され、第三、第四の直列抵抗143n、153nの接続点と給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2との間には、第二の負電圧抑制ダイオード145nが接続され、各転流ダイオード146nに対する外部共通負線104が断線した状態で、差動増幅器151nに印加される過大負電圧が、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144n、145nにより抑制される。この構成により、外部共通負線104が断線した状態で、電気負荷103nが発生するサージ電圧によって差動増幅器151nが損傷するのを防止することができる特徴がある。また、外部共通負線104の断線異常発生時に、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流を、第一、第三の直列抵抗142n、143nによって微小値に抑制できる特徴がある。
また、実施の形態1では、各給電状態検出回路PDETAnは、負荷電圧監視回路170a〜170c(以下170nで代表する)を有し、この負荷電圧監視回路170nは、電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点と、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2との間に接続された分圧抵抗173n、174nの中の1つの抵抗174nに印加される負荷電圧Vfnに比例した電圧と、所定閾値との比較判定結果をマイクロプロセッサ120Aに対して入力する比較判定論理回路を含み、分圧抵抗173n、174nの中の1つの抵抗174nには、内部グランド回路GND2にアノード端子が接続されたクリップダイオード274nが並列接続され、前記各転流ダイオード146nに対する外部共通負線104が断線した状態で、負荷電圧監視回路170nに印加される過大負電圧が、クリップダイオード274nにより抑制される。この構成により、外部共通負線104が断線した状態で、電気負荷103nが発生するサージ電圧によって負荷電圧監視回路170nが損傷するのを防止することができる特徴がある。また、外部共通負線104の断線異常発生時に、給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流を、分圧抵抗173n、174nの中の他の抵抗173nによって微小値に抑制できる特徴がある。
また、実施の形態1では、マイクロプロセッサ120Aには、電流検出用差動増幅回路150nから供給される監視電圧Efnであるアナログ信号と、電源電圧測定回路115から供給される電源電圧測定信号Vdであるアナログ信号が入力され、各給電状態検出回路PDETAnは、負荷電圧監視回路170nとなる比較判定回路171n、271nを有し、また不揮発プログラムメモリ121Aは、前記通電指令手段となる負帰還制御手段450を含む制御プログラムを包含し、負帰還制御手段450は電気負荷103nに対する通電目標電流Isnと電流検出用差動増幅回路150nによって検出された負荷電流Ifnとの偏差積分値に応動した可変デューティγnの通電指令出力DRnを発生して、開閉素子131nをオン、オフ制御し、電源電圧測定回路115は、直流駆動電源101による駆動電源電圧Vbを分圧してマイクロプロセッサ120Aに入力する分圧抵抗111、112を有し、負荷電圧監視回路170nは、電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点と給電制御ユニット100Aの内部グランド回路GND2との間に接続された分圧抵抗173n、174nの中の1つの抵抗174nに印加される負荷電圧Vfnに比例した電圧と、所定閾値との比較判定結果をマイクロプロセッサ120Aに対して入力する比較判定回路171n、271nを有する。この構成により、負帰還制御のためのハードウエアが簡略化されるとともに、負荷電圧監視のためのアナログ入力が不要となって、小型安価な給電制御装置が得られる特徴がある。
また、実施の形態1では、給電制御回路PCNTAは、開閉素子131nに並列接続された高抵抗の漏洩抵抗149nと、開閉素子131nの出力側に設けられた負荷分圧回路1410nを含み、前記比較判定回路は、負荷電圧監視回路170nの分圧抵抗173n、174nの中の1つの抵抗174nに印加される電圧と、駆動電源電圧Vbに比例した第一、第二の閾値電圧とをそれぞれ比較する第一、第二の比較判定回路171n、271nを有し、漏洩抵抗149nは、開閉素子131nのオフ状態において電気負荷103nが活性化されない微小な負荷電流を供給し、負荷分圧回路1410nは、開閉素子131nと電流検出抵抗141nとの接続点と、転流ダイオード146nのアノード端子Aとの間に接続されたバイパス抵抗147nを含み、前記第一の閾値電圧は、電気負荷103nと、電気負荷103nに対する正極側配線103Pと、負極側配線103Nの何れかが断線した断線異常発生時に、漏洩抵抗149nを介してバイパス抵抗147nに印加される電圧に比例し、前記第二の閾値電圧は、開閉素子131nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Nが電源線と接触した天絡異常の発生時に、バイパス抵抗147nに印加される電圧に比例し、第一の比較判定回路171nは、前記断線異常発生時に出力論理が反転してマイクロプロセッサ120Aに断線異常の警報信号OVnを供給し、第二の比較判定回路271nは、開閉素子131nの短絡異常時と、電気負荷103nの正極側配線103Pの天絡異常発生時に、出力論理が反転してマイクロプロセッサ120Aに、前記開閉素子の短絡異常と前記正極側配線の天絡異常の警報信号SVnを供給する。この構成により、簡易な検出回路によって、通電開始前に、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103P、負極側配線103Nの断線異常ではないか、もしくは正極側配線103Pの天絡異常、開閉素子131nの短絡異常ではないかを識別判定することができる特徴がある。
また、実施の形態1では、不揮発プログラムメモリ121Aは、負荷抵抗推定手段408、および過小抵抗判定手段430と過大抵抗判定手段440の少なくとも一方を含む制御プログラムを包含し、負荷抵抗推定手段408は、負帰還制御手段450によって出力されている通電指令出力DRnの通電デューティγnと、電源電圧測定回路115によって測定された駆動電源電圧Vbと、電流検出用差動増幅回路150nによって検出された電気負荷に対する負荷電流Ifnとに基づいて、γnVn/Ifnに相当する電気負荷103nの現在の抵抗値Rnを推定演算し、過小抵抗判定手段430は、負荷抵抗推定手段408によって推定された負荷抵抗Rnが低温環境における最小負荷抵抗Rminよりも小さいときに異常判定出力を発生し、開閉素子131nに対する通電指令中に、電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pが車体と接触する地絡異常、および開閉素子131nの短絡異常の何れかが発生したことを報知し、過大抵抗判定手段440は、負荷抵抗推定手段408によって推定された負荷抵抗Rnが、高温環境における最大負荷抵抗Rmaxよりも大きいときに異常判定出力を発生し、開閉素子131nに対する通電指令中に、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103Pの断線異常、負極側配線103Nの断線異常、正極側配線103Pの天絡異常、および開閉素子131nの断線異常の何れかが発生したことを報知する。この構成により、ハードウエアに依存せず、安価な手段で、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103Pの天絡異常、電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pの地絡異常、開閉素子131nの断線異常、および開閉素子131nの短絡異常等の異常状態を検出することができる特徴がある。
また、実施の形態1では、過小抵抗判定手段440は、さらに確認判定手段432を有し、この確認判定手段432は、過小抵抗判定手段430が過小抵抗状態を判定したときに、開閉素子131nに対する通電指令出力DRnを停止した後に、負荷電流Ifnがゼロになっておれば、開閉素子131nの短絡異常が発生しなかったことを異常履歴情報として記憶する。この構成により、過小抵抗状態となった要因が、正極側配線103Pの地絡異常、または電気負荷103nの短絡異常であったのか、開閉素子131nの短絡異常であったのかを識別記憶しておくことによって、保守、点検作業の能率を向上することができる特徴がある。
また、実施の形態1では、異常処理手段411、421、431、441は、負線断線異常状態の検出時に加えて、電気負荷103nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pの地絡異常の検出時にも、電気負荷に対する通電指令を停止して異常報知を行い、異常履歴記憶手段413、423、443、433a、433bは、断線異常の発生履歴に加えて、電気負荷103nの短絡異常、および正極側配線103Pの地絡異常情報をデータメモリ123に格納保存する。この構成により、断線異常のみならず、電気負荷103nの短絡異常、および正極側配線103Pの地絡異常に対しても、電気負荷103nに対する通電指令の停止と異常報知を行い、異常内容に応じた履歴情報を総合的に記憶して、保守点検が容易に行なえる特徴がある。
実施の形態2.
(1)実施の形態2の構成の詳細な説明
図5は、この発明による車載電気負荷の給電制御装置の実施の形態2を示す全体回路図である。以下この発明の実施の形態2の構成について、図5を参照し、図1のものとの相違点を中心にして説明するが、図1と同一符号は、同一または相当部分を示している。
この実施の形態2では、図5に示すように、実施の形態1で使用された給電制御ユニット100Aに代えて、給電制御ユニット100Bが使用される。給電制御ユニット100Bは、具体的には、実施の形態1の給電制御ユニット100Aと同様に、例えば自動車用の変速機制御装置を構成するものである。この給電制御ユニット100Bは、実施の形態1の給電制御ユニット100Aと同様に、直流駆動電源101から電源開閉リレー接点102aを通じて給電されとともに、負荷給電リレー接点102bを通じて給電される。給電制御ユニット100Bは、実施の形態1の給電制御ユニット100Aと同様に、負荷回路103に含まれる、例えばリニアソレノイドである電気負荷103a〜103cへの負荷電流を制御する。
給電制御ユニット100Bは、密閉された筐体100aに収納されている。この給電制御ユニット100Bは、電源入力端子ES1、ES2、ES3と、ユニットグランド端子GNDと、負荷出力端子LD1、LD2、LD3と、3つのコネクタ端子LN1、LN2、LN3を有し、これらの各端子は、それぞれ筐体100aと絶縁して、筐体100aに配置される。電源入力端子ES1、ES2、ES3と、ユニットグランド端子GNDと、負荷出力端子LD1、LD2、LD3は、実施の形態1と同じに構成される。ユニットグランド端子GNDは、実施の形態1と同じに、内部グランド回路GND2とともに、ユニットグランドGND1で車体接続される。
給電制御ユニット100Bでは、コネクタ端子LN1、LN2、LN3は、それぞれ外部個別負線104a、104b、104cを通じて、コネクタ端子LN1、LN2、LN3の近傍の分割グランドGND4で車体接続され、車体を通じて負荷グランドGND3に接続され、各電気負荷103a〜103cの負極側配線103Nに接続される。分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間の距離は、分割グランドGND4とユニットグランドGND1との間の距離よりも短くされる。これは、分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間の抵抗を、分割グランドGND4とユニットグランドGND1との間の抵抗よりも小さくし、各電気負荷103a〜103cの転流による車体の電位変動を小さくする。なお、図5に点線で示すように、各外部個別負線104a、104b、104cを、外部共通負線104により、各電気負荷103a〜103cの負極側配線103Nに接続することもできる。
給電制御ユニット100Bは、その内部に、負荷給電回路SPLa〜SPLc、および負荷転流回路SWLa〜SWLcとともに、給電制御回路PCNTBを含む。給電制御回路PCNTBは、マイクロプロセッサ120Bを中心として構成される。給電制御回路PCNTBは、制御電源回路110と、開閉回路180a〜180cと、転流回路1400a〜1400cと、個別異常検出回路IADETBと、負線断線異常検出回路160Bを含む。個別異常検出回路IADETBは、各電気負荷103a〜103cの個別異常を検出し、負線断線異常検出回路160Bは、外部個別負線104a〜104cの異常を検出する。
開閉回路180a〜180cは、それぞれ負荷給電回路SPLa〜SPLcに配置される。開閉回路180aは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD1との間の負荷給電回路SPLaに電気負荷103aと直列に接続され、電気負荷103aへの負荷電流を制御する。開閉回路180bは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD2との間の負荷給電回路SPLbに電気負荷103bと直列に接続され、電気負荷103bへの負荷電流を制御する。また、開閉回路180cは、電源入力端子ES1と負荷出力端子LD3との間の負荷給電回路SPLcに電気負荷103cと直列に接続され、電気負荷103cへの負荷電流を制御する。
個別異常検出回路IADETBは、各電気負荷103a〜103cのそれぞれに対応して配置された給電状態検出回路PDETBa〜PDETBcと、マイクロプロセッサ120Bとによって構成される。電気負荷103aに対応する給電状態検出回路PDETBaは、電流検出回路140aと、電流検出用差増幅回路150aと、負帰還制御回路190aと、負荷電圧監視回路300aを含む。同様に、電気負荷103b、103cに対応する給電状態検出回路PDETBb、PDETBcは、それぞれ電流検出回路140b、140cと、電流検出用差動増幅回路150b、150cと、負帰還制御回路190b、190cと、負荷電圧監視回路300b、300cを含む。
転流回路1400a〜1400cと、電流検出回路140a〜140cと、電流検出用差動増幅回路150a〜150cは、実施の形態1と同じに構成される。マイクロプロセッサ120Bは、実施の形態1のマイクロプロセッサ120Aに代わって使用される。開閉回路180a〜180cは、実施の形態1の開閉回路130a〜130cに代わって使用される。負帰還制御回路190a〜190cは、開閉回路180a〜180cを制御するために、実施の形態2の給電制御ユニット100Bで新設される。負線断線異常検出回路160Bは、実施の形態1の負線断線異常検出回路160Aに代わって使用される。また、負荷電圧監視回路300a〜300cは、実施の形態1の負荷電圧監視回路170a〜170cに代わって使用される。
負荷給電回路SPLa〜SPLcは、実施の形態1と同じに、電源入力端子ES1と、各負荷出力端子LD1、LD2、LD3との間に形成される。給電制御ユニット100Bでは、負荷転流回路SWLaは、コネクタ端子LN1と負荷給電回路SPLaとの間に形成される。同様に、負荷転流回路SWLb、SWLcは、それぞれコネクタ端子LN2、LN3と、負荷給電回路SPLb、SPLcとの間に形成される。具体的には、負荷転流回路SWLaの一端はコネクタ端子LN1に接続され、その他端は、開閉回路180aと電流検出回路140aとの間の負荷給電回路SPLaに接続される。同様に、負荷転流回路SWLb、SWLcの各一端は、それぞれコネクタ端子LN2、LN3に接続され、負荷転流回路SWLb、SWLcの各他端は、それぞれ開閉回路180bと電流検出回路140bの間に負荷給電回路SPLb、および開閉回路180cと電流検出回路140cの間の負荷給電回路SPLcに接続される。負荷転流回路SWLa〜SWLcには、それぞれ転流回路1400a〜1400cが配置される。
給電制御回路PCNTBの主要構成部品であるマイクロプロセッサ120Bは、例えば電気的に一括消去して書込み、読出しを行なうことができる不揮発フラッシュメモリ等による不揮発プログラムメモリ121Bと、演算処理用のRAMメモリ122と、1バイト単位で電気的に書込み、読出しを行なうことができる不揮発EEPROMメモリ等によるデータメモリ123と、多チャンネルAD変換器124とに対してバス接続され、これらと相互に協働するように構成されている。マイクロプロセッサ120Bは、実施の形態1のマイクロプロセッサ120Aと同様に制御電源回路110から制御電源電圧Vccの供給を受ける。直流駆動電源101に電源開閉リレー接点102aを介して接続された電源入力端子ES2には、電源電圧測定回路115が接続され、測定された駆動電源電圧Vdがマイクロプロセッサ120Bに入力される。
開閉回路180aは、負荷給電回路SPLaに配置され、電流検出回路140aと直列に接続される。同様に、開閉回路180b、180cは、それぞれ負荷給電回路SPLb、SPLcに配置され、電流検出回路140b、140cと直列に接続される。これらの開閉回路180a〜180cは、直流駆動電源101から負荷給電リレー接点102bと電源入力端子ES1を介して給電され、それぞれ電流検出回路140a〜140cの電流検出抵抗141a〜141cと負荷出力端子LD1〜LD3を介して、対応する電気負荷103a〜103cに給電する。開閉回路180a〜180cは、それぞれ負帰還制御回路190a〜190cが発生する通電指令出力DR1〜DR3によってオン、オフ制御され、オン期間と、オン、オフ周期との比率である通電デューティに比例した負荷電圧を電気負荷103a〜103cに供給する。開閉回路180aの詳細については、後で図6を参照して説明する。
転流回路1400a〜1400cの転流ダイオード146a〜146cは、それぞれ負荷転流回路SWLa〜SWLcに設けられる。転流ダイオード146aは、電流検出抵抗141aと電気負荷103aとの直列回路に対して並列接続される。同様に、転流ダイオード146b、146cは、それぞれ電流検出抵抗141bと電気負荷103bとの直列回路、および電流検出抵抗141cと電気負荷103cとの直列回路に対して並列接続される。転流ダイオード146a〜146cの各アノード端子Aは、それぞれコネクタ端子LN1〜LN3に接続され、外部個別負線104a〜104cを介して車体接続されている。電流検出用差動増幅回路150a〜150cは、それぞれ電流検出抵抗141a〜141cの両端電圧を差動増幅し、電気負荷103a〜103cに流れる負荷電流If1〜If3に比例した監視電圧Ef1〜Ef3を負帰還制御回路190a〜190cの一方の入力に供給する。
マイクロプロセッサ120Bは、不揮発プログラムメモリ121Bに格納されている目標電流指令手段となるプログラムに基づいて、目標電流値Is1〜Is3のそれぞれに比例した通電デューティα1〜α3の設定指令出力IT1〜IT3を発生し、この設定指令出力IT1〜IT3を負帰還制御回路190a〜190cの他方の入力に供給する。負帰還制御回路190aは、設定指令出力IT1を平滑して得られる目標電流値Is1に比例した設定電圧Es1と、電流検出用差動増幅回路150aによって検出された負荷電流If1に比例した監視電圧Ef1との偏差積分値に応動した可変デューティの通電指令出力DR1を発生し、この通電指令出力DR1により開閉回路180aをオン、オフ制御する。同様に、負帰還制御回路190b、190cは、それぞれ設定指令出力IT2、IT3を平滑して得られる目標電流値Is2、Is3に比例した設定電圧Es2、Es3と、電流検出用差動増幅回路150b、150cによって検出された負荷電流If2、If3に比例した監視電圧Ef2、Ef3との偏差積分値に応動した可変デューティの通電指令出力DR2、DR3を発生し、この通電指令出力DR2、DR3により開閉回路180b、180cをオン、オフ制御する。負帰還制御回路190aの詳細については、後で図6を参照して説明する。
負線断線異常検出回路160Bは、外部個別負線104a〜104cの断線、およびコネクタ端子LN1、LN2、LN3の接触不良等による負線断線を検出し、警報信号MNTをマイクロプロセッサ120Bに供給する。この負線断線異常検出回路160Bの詳細については、後で図7を参照して説明する。負荷電圧監視回路300aは、電気負荷103aの正極側配線103Pが接続される負荷出力端子LD1の電圧を監視し、アナログ信号である負荷電圧測定入力Vf1をマイクロプロセッサ120Bに供給する。同様に、負荷電圧監視回路300b、300cは、それぞれ電気負荷103b、103cの正極側配線103Pが接続される負荷出力端子LD2、LD3の電圧を監視し、アナログ信号である負荷電圧測定入力Vf2、VF3をマイクロプロセッサ120Bに供給する。負荷電圧監視回路300aの詳細については、後で図6を参照して説明する。
電気負荷103b、103cに対応した開閉回路180b、180c、電流検出回路140b、140c、電流検出用差動増幅回路部150b、150c、負荷電圧監視回路300b、300c、負帰還制御回路部190b、190cは、それぞれ、電気負荷103aに対応した開閉素子180a、電流検出回路140a、電流検出用差動増幅回路部150a、負荷電圧監視回路300a、負帰還制御回路部190aと同様に構成される。マイクロプロセッサ120Bは、設定指令出力IT1〜IT3を発生し、負荷電圧測定入力Vf1〜Vf3と、電源電圧測定入力Vdをアナログ入力として動作する。
図6は、図5に示す実施の形態2の主要部分の詳細回路図である。この図6には、給電制御回路PCNTBを構成するマイクロプロセッサ120Bとともに、電気負荷103aに対応する開閉回路180a、電流検出回路140a、転流回路1400a、負帰還制御回路190a、電流検出用差動増幅回路150a、および負荷電圧監視回路300aが示される。この図6を参照して、図2との相違点を中心にして説明する。なお、電気負荷103b、103cに対応する開閉回路180b、180c、電流検出回路140b、140c、転流回路1400b、1400c、負帰還制御回路190b、190c、電流検出用差動増幅回路150b、150c、および負荷電圧監視回路300b、300cは、それぞれ電気負荷103aに対応する開閉回路180a、電流検出回路140a、転流回路1400a、負帰還制御回路190a、電流検出用差動増幅回路150a、および負荷電圧監視回路300aと同様に構成される。
図6において、開閉回路180aは、開閉素子181aを中心として構成され、この開閉素子181aと、各種抵抗185a、186a、189aと、電圧制限ダイオード184aと、NPNトランジスタ187aと、ブロックダイオード188aを含む。開閉素子181aは、PNP型のバイポーラトランジスタであるパワートランジスタで構成される。この開閉素子181aのエミッタ端子Eには駆動電源電圧Vbが印加され、そのコレクタ端子Cは、電流検出抵抗141aを介して負荷出力端子LD1に接続されている。開閉素子181aのベース端子Bは、電圧制限ダイオード184aを介してコレクタ端子Cに接続され、エミッタ端子Eとベース端子Bとの間には、開閉素子181aのオフ用安定抵抗185aが接続されている。
開閉素子181aのベース端子Bは、ベース抵抗186aを介してNPNトランジスタ187aのコレクタ端子Cに接続され、NPNトランジスタ187aのエミッタ端子Eはブロックダイオード188aを介して、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に接続されている。ブロックダイオード188aは、そのカソード端子Kが内部グランドGND2に接続され、そのアノード端子AがNPNトランジスタ187aのエミッタ端子Eに接続される。NPNトランジスタ187aのベース端子Bには、駆動抵抗189aを介して負帰還制御回路190aから通電指令出力DR1が供給され、この通電指令出力DR1が論理レベル「H」になると、NPNトランジスタ187aと開閉素子181aがオンするようになっている。転流回路1400aは、実施の形態1と同じであり、転流ダイオード146aとバイパス抵抗147aを有する。バイパス抵抗147aは、開閉素子181aのエミッタ端子Eとコレクタ端子Cとの間に接続された漏洩抵抗149aとともに、負荷分圧回路1410aを構成する。この負荷分圧回路1410aは、図2に示す負荷分圧回路1410aと同じ働きをする。
電流検出回路140aと電流検出用差動増幅回路150aは、図2のものと同じに構成されるが、電流検出用差動増幅回路150aによって検出された負荷電流If1に比例した監視電圧Ef1は、負帰還制御回路190aに入力される。負帰還制御回路190aは、平滑回路191aと、偏差積分回路192aを含む。平滑回路191aは、マイクロプロセッサ120Bの設定指令出力IT1を平滑し、目標電流値Is1に比例した設定電圧Es1を発生する。偏差積分回路192aには、平滑回路191aからの設定電圧Es1と、電流検出用差動増幅回路150aによって検出された負荷電流If1に比例した監視電圧Ef1とが入力される。この偏差積分回路192aは、設定電圧Es1と監視電圧Ef1との偏差積分値に応動した可変デューティγ1の通電指令出力DR1を発生し、開閉素子181aをオン、オフ制御する。
負荷電圧監視回路300aは、負荷出力端子LD1と内部グランド回路GND2との間に接続された分圧抵抗301a、302aと、その中の1つの抵抗302aに並列接続されたクリップダイオード305aとを有する。クリップダイオード305aのアノード端子Aは、内部グランド回路GND2に接続され、そのカソード端子Kは、分圧抵抗301a、302aの接続点に接続されている。負荷電圧監視回路300aは、さらに、平滑回路を構成する積分抵抗303aと平滑コンデンサ304aを含み、分圧抵抗302aの両端電圧を積分抵抗303aと平滑コンデンサ304aによって平滑化して、マイクロプロセッサ120Bに入力し、負荷電圧に比例した負荷電圧測定入力Vf1をアナログ信号として供給する。
図7は、実施の形態2の負線断線異常検出回路160Bを示す。この負線断線異常検出回路160Bについて、図7を参照し、図3のものとの相違点を中心にして説明する。図7において、負線断線異常検出回160Bは、制御電源電圧Vccが給電されるPNPトランジスタによって構成された判定素子161と、コレクタ抵抗162と、出力抵抗163aと、積分コンデンサ163bと、判定素子161のオフ用安定抵抗164を有し、マイクロプロセッサ120Bに対して警報信号端子MNTを供給する。
判定素子161のベース回路には、駆動抵抗261と駆動トランジスタ262との直列回路が接続され、駆動トランジスタ262のベース回路には、併合ブロックダイオード269と検出抵抗264との直列回路が接続され、駆動トランジスタ262のベース端子Bとエミッタ端子Eとの間には、駆動トランジスタ262のオフ用安定抵抗265が接続されている。
開閉素子181a〜181cのどれかがオンしている状態で、コネクタ端子LN1、LN2、LN3に接続された外部個別負線104a〜104cが断線すると、バイパス抵抗147a〜147cのどれかと検出抵抗264を通じてトランジスタ262が通電駆動され、判定素子161がオンして警報信号MNTの論理レベルが「H」になる。
従って、判定素子161は、開閉素子181a〜181cがオンしている期間中にバイパス抵抗147a〜147cによって転流ダイオード146a〜146cのアノード端子Aに発生する正電位を検出して警報信号MNTを発生するものであり、コネクタ端子LN1、LN2、LN3が外部個別負線104a〜104cによって正常に車体接続されていると、転流ダイオード146a〜146cのアノード端子Aには電位が発生せず、判定素子161が発生する警報信号の論理レベルは「L」となって正常状態を示す。なお、外部個別負線104a〜104cは、給電制御ユニット100Bの外部で結束され、一本の共通負線として負荷グランドGND3の位置で車体接続するようにしてもよい。
(2)実施の形態2の作用、動作の詳細な説明
次に、図5〜図7に示すこの発明の実施の形態2の作用、動作について説明する。図5において、図示しない電源スイッチがオンされると、電源開閉リレー接点102aがオンして、制御電源回路110に駆動電源電圧Vbが印加される。制御電源ユニット110は、制御電源電圧Vccを発生し、この制御電源電圧Vccをマイクロプロセッサ120Bに給電する。マイクロプロセッサ120Bが動作開始すると、図示しない付勢回路によって負荷給電リレー接点102bがオンする。マイクロプロセッサ120Bは、不揮発プログラムメモリ121Bに格納された運転制御プログラムに基づいて、複数の電気負荷103a〜103cの中のどの電気負荷に対していくらの負荷電流を供給するかを決定し、その後不揮発プログラムメモリ121Bに格納された目標電流指令手段となる制御プログラムに基づいて、負荷目標電流値Is1〜Is3に比例した通電デューティα1〜α3のパルス出力である設定指令出力IT1〜IT3を発生する。
負帰還制御回路190aは、設定指令出力IT1を平滑して得られる電気負荷103aに対する負荷目標電流値Is1に比例した設定電圧Es1と、電流検出用差動増幅回路150aによって検出された負荷電流If1に比例した監視電圧Ef1との偏差積分値に応動した可変デューティγ1の通電指令出力DR1を発生し、開閉素子181aをオン、オフ制御する。開閉素子181aがオンしたときの負荷電流If1は、直流駆動電源101の正極端子から、負荷給電リレー接点102b、電源入力端子ES1、開閉素子181a、電流検出抵抗141a、正極側配線103P、電気負荷103a、負極側配線103N、負荷グランドGND3、車体、電源グランドGND0を経由して直流駆動電源101の負極端子に至る経路に流れており、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2には一切負荷電流は流れない。開閉素子181b、181cがオンしたときに、電気負荷103b、103cに流れる負荷電流If2、If3も同様であり、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2には一切負荷電流は流れない。
開閉素子181aがオフしたときの負荷電流If1は、電気負荷103aの負極端子から負極側配線103N、負荷グランドGND3、車体、分割グランドGND4、外部個別負線104a、コネクタ端子LN1、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103Pを経由して、電気負荷103aの正極端子に至る経路で還流しており、この場合も、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2には、一切負荷電流は流れない。開閉素子181b、181cがオフしたときに、電気負荷103b、103cから転流する負荷電流If2、If3も同様であり、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2には一切負荷電流は流れない。
外部個別負線104a〜104cが設けられず、転流ダイオード146aのアノード端子Aが、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に接続されている場合を想定する。この場合には、開閉素子181aがオフしたときに、負荷電流If1は、電気負荷103aの負極端子から、負極側配線103N、負荷グランドGND3、給電制御ユニット100BのユニットグランドGND1、ユニットグランド端子GND、内部グランド回路GND2、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103Pを経由して電気負荷103aの正極端子に至る経路で還流することになり、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に転流サージ電流が流入し、内部グランド回路GND2に電位変動を与える問題がある。
実施の形態2では、転流ダイオード146a〜146cの各アノード端子Aを給電制御ユニット100Bの外部で、外部個別負線104a〜104cを通じて、分割グランドGND4で車体接続することにより、負荷電流If1、If2、If3が給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に流入することを防止することができる。しかし、反面、コネクタ端子LN1、LN2、LN3の接触不良または外部個別負線104a〜104cの断線異常が発生すると、転流ダイオード146a〜146cによる転流機能が損なわれ、開閉素子181a〜181cがオフしたときに、電気負荷103a〜103cのインダクタンス成分によって誘導サージ電圧が発生する問題が新たに発生することになる。
このサージ電圧は開閉素子181a〜181cに設けられたオフ電圧抑制用の電圧制限ダイオード184aによって例えば50V程度に抑制されるが、この抑制サージ電圧は給電制御ユニット100Bの給電制御回路PCNTBのうち、内部グランド回路GND2と、負荷出力端子LD1、LD2、LD3との間に接続されている全ての回路に印加されることになる。
図6において、開閉素子181aに関連するブロックダイオード188aは、前記抑制サージ電圧による逆流電流を阻止する。また、電流検出回路140aの第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aは、差動増幅器151aの入力電位を、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aの順方向電圧である例えば1V程度の負電位に抑制する。また第一、第三の直列抵抗142a、143aは、ユニットグランドGND1、内部グランド回路GND2、第一または第二の負電圧抑制ダイオード144aまたは145aを経由して、負荷出力端子LD1に還流するサージ電流を抑制し、内部グランド回路GND2の電位変動を抑制する。同様に、負荷電圧監視回路300aのクリップダイオード305aは、分圧抵抗302aの入力電位をクリップダイオード305aの順方向電圧である例えば1V程度の負電位に抑制する。また、分圧抵抗301aは、ユニットグランドGND1、内部グランド回路GND2、クリップダイオード305aを経由して、負荷出力端子LD1に還流するサージ電流を抑制し、内部グランド回路GND2の電位変動を抑制するものとなっている。なお、電気負荷103b、103cに対応する開閉素子181b、181c、電流検出回路140b、140c、負荷電圧抑制回路300b、300cの各部の作用動作も、電気負荷103aに対応する開閉素子181a、電流検出回路140a、負荷電圧抑制回路300aの各部の作用動作と同様である。
図7において、負線断線異常検出回路160Bの併合ブロックダイオード269は、検出抵抗264から負荷出力端子LD1〜LD3に至る還流サージ電流の流入を阻止する。しかし、開閉素子181a〜181cがオンしている状態においては、バイパス抵抗147a〜147cと、併合ブロックダイオード269と、検出抵抗264によってトランジスタ262がオンし、その結果として判定素子161がオンする。
なお、実施の形態1では、図3に示すように、外部共通負線104が使用されているのに対し、実施の形態2では、図7に示すように、外部個別負線104a〜104cが使用され、また図3の共通端子COMに代わって、各外部個別配線104a〜104cに対応したコネクタ端子LN1〜LN3が使用されている。従って、コネクタ端子LN1〜LN3に、各電気負荷103a〜103cからの転流電流が集中せず、コネクタ端子LN1〜LN3に過大電流が流れるのを抑制することができる。また、外部個別負線104a〜104cも、負荷グランドGND3の位置まで延長することが望ましいが、配線数を削減するために、コネクタ端子LN1〜LN3の近傍位置に設けられた分割グランドGND4の位置で車体接続されている。
図8は、実施の形態2の動作説明用フローチャートである。この図8を参照して、実施の形態2の動作について説明する。図8において、工程800は、マイクロプロセッサ120Bの各種の制御フローの一部である負荷電流制御の動作開始ステップである。続く工程801は、負線断線異常検出手段を構成する工程であり、この工程801では、警報信号MNTの入力状態を監視し、負線断線異常検出回路160Bによる負線断線異常が検出されているかどうかを判定する。負線断線異常が発生していて、工程801の判定結果がYESになれば、工程811へ移行し、工程801の判定結果がNOになれば、工程802へ移行する。
工程811は、異常処理手段、具体的には全出力停止手段と異常報知手段とを構成する工程であり、この工程811では、全ての設定指令出力IT1、IT2、IT3を停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程813は、異常履歴記憶手段を構成する工程であり、負線断線異常が発生したことをデータメモリ123に書込み保存する。続く工程860は、電流制御動作終了工程であるが、この工程860においてマイクロプロセッサ120Bは、電流制御以外の他の制御動作を実行し、所定時間後には再度動作開始工程800が活性化され、一巡の制御動作を繰返して実行するようになっている。
工程802は、負荷番号設定更新手段を構成する工程であり、この工程802では、複数の電気負荷103a、103b、103c、・・・の負荷番号n(n=a、b、c、・・・)を指定し、順次更新指定する。続く工程803は、目標電流値読出手段を構成する工程であり、この工程803では、工程802で指定された負荷番号nの電気負荷103nに関する目標電流値Isnを読み出す。この目標電流値Isnの値は図示しない他の制御プログラムに基づいて決定された値となっている。続く工程804は、負荷電圧読取手段を構成する工程であり、この工程804では、負荷電圧監視回路300nによって検出された電気負荷103nの負荷電圧値Vfnを読み込む。続く工程805は、初回動作判定手段を構成する工程であり、この工程805では、後の工程807によって初期化完了フラグがセットされたかどうかを判定することによって初回動作であるかどうかを判定する。初回動作であって工程805の判定結果がYESになれば、工程806へ移行し、工程805の判定結果がNOになれば、工程850へ移行する。
工程806は、初期点検開始工程であり、この工程806では、初期点検のために、工程802で指定された電気負荷103nに対する設定指令出力ITnの通電デューティαnをゼロにする。続く工程820aは、第二の比較判定手段を構成する工程であり、この工程820aでは、工程804で読み出された負荷電圧値Vfnが、第二の閾値電圧値V2以上である異常状態であるかどうかを判定する。異常状態であって工程820aの判定結果がYESになれば、工程821へ移行し、工程820aの判定結果がNOになれば、工程820bへ移行する。第二の閾値電圧値V2は、駆動電源電圧をVb、電気負荷103nに対応する負荷電圧監視回路300nの分圧抵抗301n、302nの抵抗値をR301n、R302nとしたときに、次の(8)式で示される。
V2=Vb×R302n/(R301n+R302n)・・・・・・(8)
工程820bは、第一の比較判定手段を構成する工程であり、この工程820bでは、工程804で読み出された負荷電圧値Vfnが、第一の閾値電圧値V1以上の異常状態であるかどうかを判定する。異常状態であって工程820bの判定結果がYESになれば、工程821へ移行し、工程820bの判定結果がNOになれば、工程807へ移行する。第一の閾値電圧値V1は、開閉素子181nのエミッタ端子Eとコレクタ端子Cとの間に接続された漏洩抵抗149nの抵抗値をR149n、バイパス抵抗147nの抵抗値をR147nとしたときに、次の(9)式で示される。
V1=V2×R147n/(R149n+R147n) ・・・・・(9)
工程821は、異常処理手段、具体的には該当出力停止手段と異常報知手段とを構成する工程であり、この工程821では、該当設定指令出力ITnを停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程823は、異常履歴記憶手段、具体的には異常形態別履歴記憶手段を構成する工程であり、この工程823では、第二の閾値電圧値V2または第一の閾値電圧V1に対する異常が発生したことをデータメモリ123に書込み保存する。この工程823では、工程820aによる異常判定がなされたときには、開閉素子181nの短絡異常、または電気負荷103nに対する正極側配線103Pの天絡異常が記憶され、また工程820aによる異常判定がなされていないが、工程820bによる異常判定がなされているときには、電気負荷103n、正極側配線103P、および負極側配線103Nの何れかの断線異常が記憶される。工程823に続いて、電流制御動作終了工程860へ移行する。
工程807は、初期化完了フラグをセットしてから工程850へ移行する工程である。工程807でセットされた初期化完了フラグは、工程803で読み出された目標電流値Isnがゼロであるときに再びリセットされ、初期化完了フラグがリセットされておれば、工程805による判定結果がYESとなるようになっている。工程850は、目標電流指令手段を構成する工程であり、この工程850では、工程803で読み出された目標電流値Isnに比例した通電デューティαnの設定指令出力ITnを発生する。続く工程808は、負荷抵抗推定手段を構成する工程であり、この工程808では、工程804で読み出された現在の負荷電圧値Vfnと、工程803で読み出された目標電流値Isnとの基づき、次の(10)式によって負荷抵抗Rnを算出してから、工程830へ移行する。
Rn=Vfn/Isn ・・・・・・・(10)
工程830は、過大抵抗判定手段を構成する工程であり、この工程830では、工程808で算出された負荷抵抗Rnが、電気負荷103nの高温状態における最大抵抗値Rmaxよりも更に大きな異常値となっているかどうかを判定する。工程830の判定結果がYESであれば、工程831へ移行し、工程830の判定結果がNOであれば、工程840へ移行する。工程831は、異常処理手段、具体的には該当出力停止手段と異常報知手段とを構成する工程であり、この工程831では、該当設定指令出力ITnを停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程832は、確認判定手段を構成する工程であり、この工程832では、工程831によって設定指令出力ITnが停止されたことに伴って、負荷電圧Vfnがゼロになったかどうかを判定する。負荷電圧Vfnがゼロに正常回復していて工程832の判定結果がYESになれば工程833bへ移行し、また工程832の判定結果がNOになれば、工程833aへ移行する。工程833a、833bは、異常履歴記憶手段、具体的には異常形態別履歴記憶手段を構成する工程であり、工程830が過大抵抗判定を行ったときに、工程832による確認判定の結果に基づく異常情報をデータメモリ123に書込み保存する。工程833aでは、開閉素子181nに対する通電指令中に、開閉素子181nの短絡異常が発生したことを異常履歴情報として記録し、また工程833bでは、開閉素子181nに対する通電指令中に、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103Pの断線異常、負極側配線103Nの断線異常、正極側配線103Pが直流駆動電源101の正極端子に接続された電源線に接触する天絡異常の何れかが発生したこと、および開閉素子181nの短絡異常が発生しなかったことを異常履歴情報として記録する。工程833a、833bに続いて電流制御動作終了工程860へ移行する。
工程840は、過小抵抗判定手段を構成する工程であり、この工程840では、工程808で算出された負荷抵抗Rnが、電気負荷103nの低温状態における最小抵抗値Rminよりも更に小さな異常値となっているかどうかを判定する。工程840の判定結果がYESであれば、工程841へ移行し、工程840の判定結果がNOであれば、電流制御動作終了工程860へ移行する。工程841は、異常処理手段、具体的には該当出力停止手段と異常報知手段とを構成する工程であり、この工程841では、該当設定指令出力ITnを停止し、また警報出力ERを発生して警報表示器105を作動させる。続く工程843は、異常履歴記憶手段、具体的には異常形態別履歴記憶手段を構成する工程であり、この工程843では、工程840による過小抵抗異常が発生したことをデータメモリ123に書込み保存する。この過小抵抗異常の発生は、開閉素子181nに対する通電指令中に、電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pが車体に混触する地絡異常、および開閉素子181nの断線異常の何れかが発生したことを意味し、これらの異常をデータメモリ123に記憶する。工程843に続いて、電流制御動作終了工程860へ移行する。この電流制御動作終了工程860において、マイクロプロセッサ120Bは、電流制御以外の他の制御動作を実行し、所定時間後には再度動作開始工程800が活性化されて、一巡の制御動作を繰返して実行するようになっている。
以上の制御フローについて概括説明すると、工程801は、警報信号MNTの入力状態を監視して負線断線異常検出回路160Bによる負線断線異常が検出されているかどうかを判定するものであって、負線断線異常検出回路160Bは、電気負荷103a〜103cのいずれか一つ以上の電気負荷が通電状態であるときに異常判定が可能となり、工程813では、負線断線異常のコード番号が記憶されるが、電気負荷の区分はなされない。工程820a、820bは、負荷電圧監視回路300nによって測定された負荷電圧値Vfnと、第一、第二の閾値電圧値V1、V2とを比較する。工程823では、工程820aによる異常判定がなされたときには、開閉素子181nの短絡異常のコード番号と、電気負荷103nに対する正極側配線103Pの天絡異常のコード番号が記憶されるが、どちらの異常であったかは特定できない。また、工程823では、工程820aによる異常判定はなされていないが、工程820bによる異常判定がなされているときにおいて、電気負荷103nの断線異常のコード番号、または電気負荷103nの正極側配線103Pまたは負極側配線103Nのいずれかの断線異常のコード番号が記憶されるが、どの位置の断線であるかは特定できない。
工程830、840は、電気負荷103nの抵抗値の値を監視して、ソフトウエアによる異常判定を行なうものであって、この工程830、840は、設定指令出力ITnが発生しているときに過大抵抗または過小抵抗の判定を行なう。工程833aでは、開閉素子181nの短絡異常のコード番号が記憶され、工程833bでは、電気負荷103nの断線異常のコード番号と、電気負荷103nの正極側配線103Pの天絡異常のコード番号とが記憶されるようになっており、負荷断線または天絡異常の特定は行なえない。
なお、開閉素子181nがオフできない短絡異常が発生すると、電気負荷103nには目標電流値Isnに対応した負荷電圧以上の電圧が印加されて過大電流が流れるので、これを目標電流値Isnに近づけるために、負帰還制御回路190nは通電デューティγnを低下させるが、いくら通電デューティγnを低下させても、開閉素子181nが短絡している結果として、負荷電圧Vfnが減少せずに最大値状態となっているので、(10)式で算出される推定負荷抵抗値Rnが過大となり、工程830によって過大抵抗の判定がなされる。また、電気負荷103nの断線異常または正極側配線103Pの天絡異常が発生した場合には、電流検出用差動増幅回路150nで検出される負荷電流Ifnが急減するので、負帰還制御回路190nは通電デューティγnを増大させ続け、目標電流値Isnを得るための負荷電圧が最大値状態になって、(10)式で算出される推定負荷抵抗値Rnが異常増加し、工程830によって過大抵抗の判定がなされる。
確認判定手段を構成する工程832では、開閉素子181nがオフ可能であるかどうかを判定して、開閉素子181nが短絡異常であったかどうかを特定するようになっている。工程843では、電気負荷103nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pの地絡異常と、開閉素子181nの断線異常のコード番号が記憶されるが、これ等の異常のうちでどの異常が発生したかを特定することはできない。なお、上記のような電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pの地絡異常、開閉素子181nの断線異常が発生すると、負荷電圧監視回路300nで測定される負荷電圧がゼロとなり、(10)式による推定負荷抵抗Rnが過小となって、工程840によって過小抵抗判定がなされる。工程813、823、833a、833b、843による異常履歴の記憶は、給電制御ユニット100Bの運転中にはRAMメモリ122に一時的に書き込まれていて、図示しない電源スイッチがオフされると、負荷給電リレー接点102bは直ちにオフするが、電源開閉リレー接点102aは遅延遮断され、この遅延通電期間において不揮発性のデータメモリ123へ一括転送されるようになっている。
(3)実施の形態2の要点と特徴
以上の説明で明らかな通り、この発明の実施の形態2による車載電気負荷の給電制御装置は、直流駆動電源101から複数の電気負荷103a〜103c(以下103nで代表する)のそれぞれに、開閉素子181a〜181c(以下181nで代表する)を介して給電する複数の負荷給電回路SPLa〜SPLc(以下SPLnで代表する)と、各電気負荷103nの負荷電流を転流する複数の負荷転流回路SWLa〜SWLc(以下SWLnで代表する)と、各開閉素子(181n)に対して通電指令出力DRnを供給する給電制御回路PCNTBを有する給電制御ユニット100Bを備え、各負荷給電回路SPLnと、各負荷転流回路SWLnと、給電制御回路PCNTBを給電制御ユニット100Bの筐体100aに収納した車載電気負荷の給電制御装置である。各負荷転流回路SWLnには、それぞれ転流ダイオード146a〜146c(以下146nで代表する)が接続され、これらの転流ダイオード146nは、各負荷給電回路SPLnの開閉素子181nがオンからオフに変化したときに電気負荷103nに流れていた電流を還流するように、各電気負荷103nに対して並列接続され、各転流ダイオード146nは、外部負線を構成する外部個別負線104a〜104c(以下104nで代表する)により給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2とは分離して筐体100aの外部で車体接続され、給電制御回路PCNTBは、個別異常検出回路IADETBと、負線断線異常検出回路160Bと、異常処理手段811、821、831、841と、異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bとを含み、給電制御回路PCNTBは、マイクロプロセッサ120Bを用いて構成され、マイクロプロセッサ120Bは、少なくとも各開閉素子181nに対する通電指令手段となる制御プログラムが格納された不揮発プログラムメモリ121Bと、データメモリ123と、演算処理用RAMメモリ122と、多チャンネルAD変換器124と協働して動作するように構成され、個別異常検出回路IADETBは、各電気負荷103nに対する給電電気量、具体的には負荷電流Ifnを検出する複数の給電状態検出回路PDETBa〜PDETBc(以下PDETBnで代表する)と、電気負荷103nの中のある電気負荷に対する給電電気量が目標給電電気量から乖離しているときに、その電気負荷と、その電気負荷の正極側配線103Pと、その電気負荷の負極側配線103Nと、その電気負荷に対応する開閉素子の中の少なくとも1つが、断線と短絡の何れかである個別異常状態を判定する手段とを有し、負線断線異常検出回路160Bは、各転流ダイオード146nのアノード側電位が、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2とは異なる電位となっていることを検出して、外部個別負線104nの断線異常状態を判定する回路であり、異常処理手段811、821、831、841は、個別異常状態と外部個別負線104nの断線異常状態の少なくとも一方が検出されたときに、開閉素子に対する通電指令出力を停止するとともに、その異常報知を行なう手段であり、異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bは、個別異常状態と、外部個別負線104nの断線異常状態の発生履歴を識別してデータメモリ123に格納保存する手段であることを特徴とする。
この実施の形態2の車載電気負荷の給電制御装置では、直流駆動電源101からそれぞれ開閉素子181nを介して給電される複数の電気負荷103nにそれぞれ並列接続された転流ダイオード146nが、外部個別負線104nにより、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2とは分離して、給電制御ユニット100Bの筐体100aの外部で車体接続されているので、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に負荷電流や転流電流が流れず、内部グランド回路GND2の電位を安定化させ、給電制御ユニット100Bの給電制御回路PCNTBを安定して動作させることができる効果がある。また、各電気負荷103n、その正極側配線103P、その負極側配線103N、および各開閉素子181nの断線異常、または短絡異常は、個別異常検出回路IADETBによって検出され、各転流ダイオード146nに対する外部個別負線104nの断線は負線断線異常検出回路160Bによって検出され、それらの異常対策を行なうとともに、これらの異常は異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bによって識別記憶されているので、保守点検作業において履歴情報を読み出して、保守点検の能率を向上することができる効果がある。
また、実施の形態2では、各転流ダイオード146nには、バイパス抵抗147a〜147c(以下147nで代表する)が並列接続され、負線断線異常検出回路160Bは、開閉素子181nがオンされた状態で、外部個別負線104nが断線しているときに、バイパス抵抗147nから併合ブロックダイオード269を介して給電される検出抵抗264と判定素子161とを有し、判定素子161は、検出抵抗264に通電されたことに基づいて、外部個別負線104nが断線したと判定し、マイクロプロセッサ120Bに警報信号MNTを供給する。この構成により、外部個別負線104nの断線時に、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流は、併合ブロックダイオード269によって阻止されるので、負線断線異常検出回路160Bには、過大なサージ電圧が印加されない特徴がある。
また、実施の形態2では、転流ダイオード146nのアノード端子Aが、外部個別負線104nを介して筐体100aの外部で車体接続され、この外部個別負線104nを車体接続する分割グランドGND4は、少なくとも給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2を車体接続するユニットグランドGND1とは分割されていて、電気負荷103nの負側端子を車体接続する負荷グランドGND3と分割グランドGND4との間の距離は、ユニットグランドGND1と分割グランドGND4との間の距離よりも短くなっている。この構成により、転流ダイオード146nによる転流サージ電流が車体に流れる区間が短縮され、車体の電位変動が抑制される特徴がある。
また、実施の形態2では、各給電状態検出回路PDETBnは、それぞれ電流検出用差動増幅回路150a〜150c(以下150nで代表する)を有し、この電流検出差動増幅回路150nは、開閉素子181nと電気負荷103nとの間に接続された電流検出抵抗141nの両端電圧の差分電圧を差動増幅器151nによって増幅し、電気負荷103nに対する負荷電流Ifnに比例した監視電圧Efnを発生する回路であり、差動増幅器151nの非反転入力端子は、第一、第二の直列抵抗142n、152nを介して開閉素子181nと電流検出抵抗141nとの接続点に接続され、第一、第二の直列抵抗142n、152nの接続点と給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2との間には、第一の負電圧抑制ダイオード144nが接続され、差動増幅器151nの反転入力端子は、第三、第四の直列抵抗143n、153nを介して電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点に接続され、第三、第四の直列抵抗143n、153nの接続点と給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2との間には、第二の負電圧抑制ダイオード145nが接続され、各転流ダイオード146nに対する外部個別負線104nが断線した状態で、差動増幅器151nに印加される過大負電圧が、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144n、145nにより抑制される。この構成により、外部個別負線104nが断線した状態で、電気負荷103nが発生するサージ電圧によって差動増幅器151nが損傷するのを防止することができる特徴がある。また、外部個別負線104nの断線異常発生時に、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流を、第一、第三の直列抵抗142n、143nによって微小値に抑制できる特徴がある。
また、実施の形態2では、各給電状態検出回路PDETBnは、負荷電圧監視回路300a〜300c(以下300nで代表する)を有し、この負荷電圧監視回路300nは、電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点と、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2との間に接続された分圧抵抗301n、302nの中の1つの抵抗302nに印加される負荷電圧Vfnに比例した電圧を、マイクロプロセッサ120Bに入力するアナログ入力回路を有し、分圧抵抗301n、302nの中の1つの抵抗302nには、内部グランド回路GND2にアノード端子Aが接続されたクリップダイオード305nが並列接続され、各転流ダイオード146nに対する外部個別負線104nが断線した状態で、負荷電圧監視回路300nに印加される過大負電圧が、クリップダイオード305nにより、抑制される。この構成により、外部個別負線104nが断線した状態で、電気負荷103nが発生するサージ電圧によって負荷電圧監視回路300nが損傷するのを防止することができる特徴がある。また、外部個別負線104nの断線異常発生時に、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流は分圧抵抗301n、302nの中の他の抵抗301nによって微小値に抑制される特徴がある。
また、実施の形態2では、給電制御回路PCNTBは、さらに、負帰還制御回路190a〜190c(以下190nで代表する)を含み、不揮発プログラムメモリ121Bは、通電指令手段を構成する目標電流指令手段850を含む制御プログラムを包含し、マイクロプロセッサ120Bには、電源電圧測定回路115から供給されるアナログ信号である電源電圧測定信号Vdと、給電状態検出回路PDETBnを構成する負荷電圧監視回路300nから供給されるアナログ信号である負荷電圧測定信号Vfnが入力され、目標電流指令手段850は、電気負荷103nに対する通電目標電流Isnに比例した可変デューティαnの設定指令出力ITnを発生する手段とされ、負帰還制御回路190nは、設定指令出力ITnを平滑して得られる目標電流Isnに比例した設定電圧Esnと、電流検出用差動増幅回路150nによって検出された負荷電流Ifnに比例した監視電圧Efnとの偏差積分値に応動した可変デューティγnの通電指令出力DRnを発生して、開閉素子181nをオン、オフ制御し、電源電圧測定回路115は、直流駆動電源101による駆動電源電圧Vbを分圧してマイクロプロセッサ120Bに入力する分圧抵抗111、112を有し、負荷電圧監視回路300nは、電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点と、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2との間に接続された分圧抵抗301n、302nの中の1つの抵抗302nに印加される負荷電圧Vfnに比例した負荷電圧測定入力Vfnを前記マイクロプロセッサ120Bに対して供給するアナログ入力回路である。この構成により、複数の電気負荷103nに対してマイクロプロセッサ120Bの制御負担を軽減して高精度な電流制御を行なうことができる特徴がある。また、負荷電圧Vfnの監視信号をアナログ値でマイクロプロセッサ120Bに帰還することにより、多様な異常判定を行なうことができる特徴がある。
また、実施の形態2では、給電制御回路PCNTBは、さらに、開閉素子181nに並列接続された高抵抗の漏洩抵抗149nと、開閉素子181nの出力側に設けられた負荷分圧回路1410nを含み、不揮発プログラムメモリ121Bは、設定指令出力ITnがゼロであるときに、負荷電圧監視回路300nから得られる負荷電圧Vfnを、それぞれ第一、第二の閾値電圧V1、V2とを比較する第一、第二の比較判定手段820b、820aを含むプログラムを包含し、漏洩抵抗149nは、開閉素子181nのオフ状態において電気負荷103nが活性化されない微小な負荷電流を供給し、負荷分圧回路1410nは、開閉素子181nと電流検出抵抗141nとの接続点と、電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点のいずれか一方の接続点と、各転流ダイオード146nのアノード端子Aと、給電制御ユニット100Bの内部グランド回路GND2との間に接続されたバイパス抵抗147nを含み、第一の閾値電圧V1は、電気負荷103n、電気負荷103nの正極側配線103P、電気負荷103nの負極側配線103Nの何れかが断線した断線異常発生時に、漏洩抵抗149nを介してバイパス抵抗147nに印加される電圧に比例した電圧に比例し、第二の閾値電圧V2は、開閉素子181nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pが電源線と接触した天絡異常の何れかの異常発生時に、バイパス抵抗147nに印加される電圧に比例し、第一の比較判定手段820bは、前記断線異常発生時に、判定論理が反転して、断線異常報知を行い、第二の比較判定手段820aは、開閉素子181nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pの天絡異常の何れかの異常発生時に、判定論理が反転して、その異常報知を行なう。この構成により、簡易な検出手段によって、通電開始前に、「電気負荷103nの断線異常、その正極側配線103P、またはその負極側配線103Nの断線異常」ではないか、もしくは「正極側配線103Pの天絡異常、または開閉素子181nの短絡異常」ではないかを識別判定することができる特徴がある。
また、実施の形態2では、不揮発プログラムメモリ121Bは、負荷抵抗推定手段808、および過小抵抗判定手段840と過大抵抗判定手段830の少なくとも一方を含む制御プログラムを包含し、負荷抵抗推定手段808は、負荷電圧監視回路300nによって測定された負荷電圧Vfnと、目標電流指令手段850によって指令される目標指令電流Isnとに基づいて、Vfn/Isnに相当する電気負荷103nの現在の抵抗値Rnを推定演算し、過小抵抗判定手段840は、負荷抵抗推定手段808によって推定された負荷抵抗Rnが低温環境における最小負荷抵抗Rminよりも小さいときに異常判定出力を発生し、開閉素子181nに対する通電指令中に、電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pが車体と接触する地絡異常、および開閉素子181nの断線異常の何れかが発生したことを報知し、過大抵抗判定手段830は、負荷抵抗推定手段808によって推定された負荷抵抗Rnが高温環境における最大負荷抵抗Rmaxよりも大きいときに異常判定出力を発生し、開閉素子181nに対する通電指令中に、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103Pの断線異常、負極側配線103Nの断線異常、正極側配線103Pの天絡異常、および開閉素子181nの短絡異常の何れかが発生したことを報知する。この構成により、ハードウエアに依存せず、安価な手段で、電気負荷103nの断線異常、正極側配線103Pの天絡異常、電気負荷103nの短絡異常、正極側配線103Pの地絡異常、開閉素子181nの断線異常、または開閉素子181nの短絡異常の異常状態を検出することができる特徴がある。
また、実施の形態2では、過大抵抗判定手段830はさらに確認判定手段832を有し、この確認判定手段832は、過大抵抗判定手段830が過大抵抗状態を判定したときに、負帰還制御回路190nに対する設定指令出力ITnを停止した後に、負荷電圧Vfnが低下しておれば、開閉素子181nの短絡異常および正極側配線103Pの天絡異常が発生しなかったことを異常履歴情報として記憶する。この構成により、過大抵抗状態となった要因が正極側配線103Pの天絡異常、電気負荷103nの断線異常であったのか、開閉素子181nの短絡異常であったのかを識別記憶しておくことによって、保守、点検作業の能率を向上することができる特徴がある。
また、実施の形態2では、異常処理手段811、821、831、841は、負線断線異常状態の検出時に加えて、電気負荷103nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pの地絡異常の検出時にも、電気負荷に対する通電指令を停止して異常報知を行い、異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bは、断線異常の発生履歴に加えて、電気負荷103nの短絡異常、および正極側配線103Pの地絡異常情報をデータメモリ123に格納保存する。この構成により、断線異常のみならず、電気負荷103nの短絡異常、および正極側配線103Pの地絡異常に対しても、電気負荷103nに対する通電指令の停止と異常報知を行い、異常内容に応じた履歴情報を総合的に記憶して、保守点検が容易に行なえる特徴がある。
実施の形態3.
(1)実施の形態3の構成の詳細な説明
図9は、この発明による車載電気負荷の給電制御装置の実施の形態3を示す全体回路図である。以下この発明の実施の形態3の構成について、図9を参照し、図1の実施の形態1、および図5の実施の形態2との相違点を中心にして説明するが、図1と同一符号は、同一または相当部分を示している。
この実施の形態3では、図9に示すように、実施の形態1で使用された給電制御ユニット100Aに代えて、給電制御ユニット100Cが使用される。給電制御ユニット100Cは、直流駆動電源101から車載電気負荷群への給電を制御する。この車載電気負荷群には、負荷回路103が含まれる。負荷回路103は、複数の電気負荷を含み、図9では、例えば6つの電気負荷103a〜103fを含む。これらの電気負荷103a〜103fは、誘導性の車載電気負荷である。各電気負荷103a〜103fの負極端子は、負荷グランドGND3により車体接続される。制御ユニット100Cは、直流駆動電源101から各電気負荷103a〜103fへの給電を制御する。
給電制御ユニット100Cは、密閉された筐体100aに収納されている。この給電制御ユニット100Cは、電源入力端子ES1、ES2、ES3と、ユニットグランド端子GNDと、6つの負荷出力端子LD1〜LD6と、2つの共通端子COM1、COM2を有し、これらの各端子は、それぞれ筐体100aと絶縁して、筐体100aに配置される。電源入力端子ES1、ES2、ES3と、ユニットグランド端子GNDは、実施の形態1と同じに構成される。負荷出力端子LD1〜LD6は、電気負荷103a〜103fのそれぞれに対応して設けられる。ユニットグランド端子GNDは、実施の形態1と同じに、内部グランド回路GND2とともに、ユニットグランドGND1で車体接続される。
給電制御ユニット100Cでは、共通端子COM1、COM2は、それぞれ外部共通負線104x、104yを通じて、共通端子COM1、COM2の近傍の分割グランドGND4で車体接続され、車体を通じて負荷グランドGND3に接続され、各電気負荷103a〜103fの負極側配線103Nに接続される。分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間の距離は、分割グランドGND4とユニットグランドGND1との間の距離よりも短くされる。これは、分割グランドGND4と負荷グランドGND3との間の抵抗を、分割グランドGND4とユニットグランドGND1との間の抵抗よりも小さくし、各電気負荷103a〜103fの転流による車体の電位変動を小さくする。
この給電制御ユニット100Cは、各電気負荷103a〜103fに対する負荷給電回路SPLa〜SPLfと、負荷転流回路SWLa〜SWLfと、給電制御回路PCNTCを含む。給電制御回路PCNTCは、マイクロプロセッサ120Cを中心として構成される。給電制御回路PCNTCは、制御電源回路110と、開閉回路180a〜180fと、転流回路2400a〜2400fと、個別異常検出回路IADETCと、負線断線異常検出回路160Cとを含む。個別電流検出回路IADETCは、各電気負荷103a〜103fの個別異常を検出し、負線断線異常検出回路160Cは、外部共通負線104x、104yの異常を検出する。
個別異常検出回路IADETCは、各電気負荷103a〜103fのそれぞれに対応して配置された給電状態検出回路PDETCa〜PDETCfと、マイクロプロセッサ120Cとによって構成される。電気負荷103aに対応する給電状態検出回路PDETCaは、電流検出回路240aと、電流検出用差増幅回路150aと、負帰還制御回路190aと、負荷電圧監視回路300aと、過電流検出回路350aを含む。同様に、電気負荷103fに対応する給電状態検出回路PDETCfは、それぞれ電流検出回路240fと、電流検出用差動増幅回路150fと、負帰還制御回路190fと、負荷電圧監視回路300fと、過電流検出回路350fを含む。
電流検出用差動増幅回路150a〜150fは、実施の形態1と同じに構成される。マイクロプロセッサ120Cは、実施の形態1のマイクロプロセッサ120Aに代わって使用される。開閉回路180a〜180fと、負帰還制御回路190a〜190fと、負荷電圧監視回路300a〜300fは、実施の形態2と同じに構成される。転流回路2400a〜2400fは、実施の形態1の転流回路1400a〜1400cを変更し、また電流検出回路240a〜240fは、実施の形態1の電流検出回路140a〜140cを変更して構成される。過電流検出回路350a〜350fは、実施の形態3の給電制御ユニット100Cで新設される。負線断線異常検出回路160Cは、実施の形態1の負線断線異常検出回路160Aに代わって使用される。
負荷給電回路SPLa〜SPLfは、実施の形態1と同様に、電源入力端子ES1と、各負荷出力端子LD1〜LD6との間に形成される。給電制御ユニット100Cでは、負荷転流回路SWLa〜SWLcは、それぞれ共通端子COM1と、負荷給電回路SPLa〜SPLcとの間に形成される。同様に、負荷転流回路SWLd〜SWLfは、それぞれ共通端子COM2と、負荷給電回路SPLd〜SPLfとの間に形成される。具体的には、負荷転流回路SWLa〜SWLcの各一端は、共通端子COM1に接続され、その各他端は、それぞれ開閉回路180a〜180cと電流検出回路240a〜240cとの間の負荷給電回路SPLa〜SPLcに接続される。同様に、負荷転流回路SWLd〜SWLfの各一端は、それぞれ共通端子COM2に接続され、その各他端は、それぞれ開閉回路180d〜180fと電流検出回路240d〜240fの間の負荷給電回路SPLd〜SPLfに接続される。負荷転流回路SWLa〜SWLfには、それぞれ転流回路2400a〜2400fが配置される。
給電制御回路PCNTCの主要構成部品であるマイクロプロセッサ120Cは、例えば電気的に一括消去して書込み、読出しを行なうことができる不揮発フラッシュメモリ等による不揮発プログラムメモリ121Cと、演算処理用のRAMメモリ122と、1バイト単位で電気的に書込み、読出しを行なうことができる不揮発EEPROMメモリ等によるデータメモリ123と、多チャンネルAD変換器124とに対してバス接続され、これらと相互に協働するように構成されている。
開閉回路180a〜180fは、直流駆動電源101から、負荷給電リレー接点102bと電源入力端子ES1を介して給電され、それぞれ電流検出回路240a〜240fの電流検出抵抗141a〜141fと、負荷出力端子LD1〜LD6を介して電気負荷103a〜103fに給電する。これらの開閉回路180a〜180fは、それぞれ負帰還制御回路190a〜190fが発生する通電指令出力DR1〜DR6によってオン、オフ制御され、そのオン期間と、オン、オフ周期との比率である通電デューティに比例した負荷電圧を電気負荷103a〜103fに供給する。電流検出回路240aの詳細は、後で図10を参照して説明する。
転流回路2400a〜2400fは、それぞれ負荷転流回路SWLa〜SWLfに配置される。各転流回路2400a〜2400fの転流ダイオード146a〜146fは、それぞれ対応する電流検出抵抗141a〜141fと電気負荷103a〜103fとの直列回路に対して並列接続される。共通端子COM1には、電気負荷103a〜103cに対応した転流ダイオード146a〜146cのアノード端子Aが共通に接続されている。同様に、共通端子COM2には電気負荷103d〜103fに対応した転流ダイオード146d〜146fのアノード端子Aが共通に接続されている。転流回路2400aの詳細は、後で図10を参照して説明する。
電流検出用差動増幅回路150a〜150fは、実施の形態1における電流検出用差動増幅回路150aと同様に構成される。電流検出用差動増幅回路150a〜150fは、それぞれ電流検出抵抗141a〜141fの両端電圧を差動増幅し、電気負荷103a〜103fに流れる負荷電流If1〜If6に比例した監視電圧Ef1〜Ef6を負帰還制御回路190a〜190fの一方の入力に供給する。過電流検出回路350a〜350fは、それぞれ対応する電流検出用差動増幅回路150a〜150fの出力電圧が所定値を超過したときに、警報信号OC1〜OC6を発生してマイクロプロセッサ120Cに入力する。
マイクロプロセッサ120Cは、不揮発プログラムメモリ121Cに格納されている目標電流指令手段となるプログラムに基づいて、目標負荷電流値Is1〜Is6のそれぞれに比例した通電デューティα1〜α6の設定指令出力IT1〜IT6を発生し、負帰還制御回路190a〜190fに供給する。負帰還制御回路190a〜190fは、それぞれ設定指令出力IT1〜IT6を平滑して得られる目標電流値Is1〜Is6に比例した設定電圧Es1〜Es6と、電流検出用差動増幅回路部150a〜150fによって検出された負荷電流If1〜If6に比例した監視電圧Ef1〜Ef6との偏差積分値に応動した可変デューティの通電指令出力DR1〜DR6を発生して、開閉回路180a〜180fの開閉素子181a〜181fをオン、オフ制御する。負線断線異常検出回路160Cは、外部共通負線104x、104yの断線、および共通端子COM1、COM2の接触不良等による負線断線を検出して、警報信号MNTをマイクロプロセッサ120Cに供給する。負線断線異常検出回路160Cの詳細は、後で図10を参照して説明する。
負荷電圧監視回路300a〜300fは、それぞれ電気負荷103a〜103fの正極側配線103Pが接続される負荷出力端子LD1〜LD6の電圧を監視して、負荷電圧Vf1〜Vf6に比例したアナログ信号である負荷電圧測定入力Vf1をマイクロプロセッサ120Cに供給する。
電気負荷103b〜103fに対応した開閉回路180b〜180f、電流検出回240b〜240f、電流増幅用差動増幅回路150b〜150f、過電流検出回路350b〜350f、負荷電圧監視回路300b〜300f、負帰還制御回路190b〜190fは、電気負荷103aに対応した開閉回路180a、電流検出回路240a、電流検出用差動増幅回路150a、過電流検出回路350a、負荷電圧監視回路300a、負帰還制御回路190aと同様に構成される。マイクロプロセッサ120Cは、設定指令出力IT1〜IT6を発生し、負荷電圧測定入力Vf1〜Vf6と、電源電圧測定入力Vdをアナログ入力とし、警報信号OC1〜OC6を論理信号入力として動作する。
図10は、図9の主要部分の詳細回路図である。図10は、電気負荷103aに対応する電流検出回路240a、転流回路2400a、負帰還制御回路190a、電流検出用差動増幅回路150a、過電流検出回路350a、および負線断線異常検出回路160Cの詳細を示す。この図10について、図2、図6との相違点を中心に説明する。他の電気負荷103b〜103fに対応する電流検出回路240b〜240f、転流回路2400b〜2400f、負帰還制御回路190b〜190f、電流検出用差動増幅回路150b〜150f、および過電流検出回路350b〜350fは、それぞれ図10に示す電流検出回路240a、転流回路2400a、負帰還制御回路190a、電流検出用差動増幅回路150a、過電流検出回路350aと同様に構成される。
図10において、開閉回路180a、電流検出用差動増幅回路150a、負帰還制御回路190a、負荷電圧監視回路300aは、図6と同様に構成されている。電流検出回路240aでは、転流ダイオード146aと並列に接続されたいたバイパス抵抗147aが、電流検出回路240aに組み込まれ、このバイパス抵抗147aが、漏洩抵抗149aおよびブロックダイオード148aとともに、負荷分圧回路1420aを構成する。このバイパス抵抗147aの一方の端子は、負荷出力端子LD1に接続され、その他方の端子は、ブロックダイオード148aを介して、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2に接続されている。ブロックダイオード148aは、そのカソード端子Kが内部グランド回路GND2に接続され、そのアノード端子Aがバイパス抵抗147aに接続される。バイパス抵抗147aの一方の端子の接続位置は、電流検出抵抗141aのどちら側であってもよく、またその他方の端子の接続位置は、転流ダイオード146aのアノード端子Aであってもよい。負荷分圧回路1420aは、実施の形態1、2における負荷分圧回路1410aと同様な働きをする。
過電流検出回路350aは、比較判定回路351aと、出力抵抗358aと、平滑コンデンサ359aと、分圧抵抗354a、355aとを含み、出力抵抗358aは、マイクロプロセッサ120Cに対して、警報信号OC1を供給するようになっている。分圧抵抗354a、355aは、電流検出用差動増幅回路150aの差動増幅器151aの出力電圧E0を分圧して、比較判定回路351aの反転入力端子に供給する。比較判定回路351aの非反転入力端子には、制御電源電圧Vccが印加される。
実施の形態3では、電流検出用差動増幅回路150aの差動増幅器151aの出力電圧E0は、負帰還制御回路190aに入力される監視電圧Ef1の前段部の電圧になっており、監視電圧値Ef1は、電圧制限ダイオード356aによって制限され、制御電源電圧Vccのレベル以上にはならないようになっている。電圧制限ダイオード356aのアノード端子Aは、電流検出用差動増幅回路150aの出力抵抗158aに接続され、そのカソード端子Kは制御電源電圧Vccに接続される。実施の形態3における差動増幅器151aは、駆動電源電圧Vbを電源として動作するようになっているので、出力電圧E0は、通常は電気負荷103aに流れる負荷電流の大きさによって、E0=0〜Vcc(=5V)の間で変化するが、開閉回路180aの開閉素子181aの短絡事故等の異常発生時には、E0=Vb(=10〜16V)まで上昇する。
負線断線異常検出回160Cは、制御電源電圧Vccが給電されるPNPトランジスタによって構成された判定素子161を備え、この判定素子161のコレクタ端子Cは、コレクタ抵抗162を介して内部グランド回路GND2に接続されるとともに、出力抵抗163aを介してマイクロプロセッサ120Cの警報信号端子に接続される。積分コンデンサ163bは、出力抵抗163aから充電されて平滑回路を構成するようになっている。
判定素子161のエミッタ端子Eとベース端子Bとの間には、判定素子161のオフ用安定抵抗164が接続され、判定素子161のベース端子Bは、ベース抵抗165と、限流抵抗166と、定電圧ダイオード167と、併合ダイオード169x、169yを介して、共通端子COM1、COM2に接続されている。クリップダイオード168のアノード端子Aは、内部グランド回路GND2に接続され、そのカソード端子Kは、ベース抵抗165と限流抵抗166との接続点に接続されている。
判定素子161は、共通端子COM1に接続された外部共通負線104xが断線している状態で、開閉回路180a〜180cのどれかが負荷電流を遮断したときに、ベース抵抗165から限流抵抗166、定電圧ダイオード167、併合ダイオード169x、転流ダイオード146a〜146c、および電流検出抵抗141a〜141cを経由して負荷出力端子LD1〜LD3に至るサージ電流によって導通し、警報信号MNTの論理レベルを「H」にして、マイクロプロセッサ120Cへ負線断線異常の発生を入力するようになっている。
同様に、判定素子161は、共通端子COM2に接続された外部共通負線104yが断線している状態において、開閉回路180d〜180fのどれかが負荷電流を遮断したときに、ベース抵抗165から限流抵抗166、定電圧ダイオード167、併合ダイオード169y、転流ダイオード146d〜146f、および電流検出抵抗141d〜141fを経由して、負荷出力端子LD4〜LD6に至るサージ電流によって導通し、警報信号MNTの論理レベルを「H」にして、マイクロプロセッサ120Cへ負線断線異常の発生を入力するようになっている。
判定素子161は、電気負荷103a〜103fの負荷電流が遮断されたときに、転流ダイオード146a〜146fのアノード端子Aに発生する負電位を検出して警報信号MNTを発生するものであり、共通端子COM1、COM2が外部共通負線104x、104yによって正常に車体接続されていると、転流ダイオード146a〜146fのアノード端子Aには電位が発生せず、判定素子161が発生する警報信号MNTの論理レベルは「L」となって正常状態を示す。
(2)実施の形態3の作用、動作の詳細な説明
次に、図9、図10に示すこの発明の実施の形態3の作用、動作について説明する。図9において、図示しない電源スイッチがオンされると、電源開閉リレー接点102aがオンして、制御電源回路110に駆動電源電圧Vbが印加され、制御電源回路110は、制御電源電圧Vccを発生してマイクロプロセッサ120Cに給電する。マイクロプロセッサ120Cが動作開始すると、図示しない付勢回路によって負荷給電リレー接点102bがオンする。マイクロプロセッサ120Cは、不揮発プログラムメモリ121Cに格納された運転制御プログラムに基づいて、複数の電気負荷103a〜103fの中のどの電気負荷に対していくらの負荷電流を供給するかを決定し、その後不揮発プログラムメモリ121Cに格納された目標電流指令手段となる制御プログラムに基づいて、通電目標電流値Is1〜Is6に比例した通電デューティα1〜α6のパルス出力である設定指令出力IT1〜IT6を発生する。
負帰還制御回路190aは、設定指令出力IT1を平滑して得られる電気負荷103aに対する通電目標電流値Is1に比例した設定電圧Es1と、電流検出用差動増幅回路150aによって検出された負荷電流If1に比例した監視電圧Ef1との偏差積分値に応動した可変デューティγ1の通電指令出力DR1を発生し、この通電指令出力DR1により開閉回路180aの開閉素子181aをオン、オフ制御する。他の負帰還制御回路190b〜190fも同様に動作する。
開閉素子181aがオンしたときの負荷電流If1は、駆動電源101の正極端子から、負荷電源リレー接点102b、電源入力端子ES1、開閉素子181a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103P、電気負荷103a、負極側配線103N、負荷グランドGND3、車体、電源グランドGND0を経由して駆動電源101の負極端子に至る経路に流れ、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2には一切負荷電流は流れない。開閉素子181aがオフしたときの負荷電流If1は、電気負荷103aの負極端子から、負極側配線103N、負荷グランドGND3、車体、分割グランドGND4、外部共通負線104x、共通端子COM1、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103Pを経由して、電気負荷103aの正極端子に至る経路で還流し、この場合も、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2には一切負荷電流は流れない。他の電気負荷103b〜103fを流れる負荷電流If2〜If6も同様である。なお、外部共通負線104x、104yを分割グランドGND4で車体接続しないで、負荷グランドGND3の位置まで延長するようにしても、同様である。
外部共通負線104x、104yが設けられず、転流ダイオード146aのアノード端子Aが給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2に接続されている場合を想定する。この場合には、開閉素子181aがオフしたときに、負荷電流If1は、電気負荷103aの負極端子から、負極側配線103N、負荷グランドGND3、ユニットグランドGND1、ユニットグランド端子GND、内部グランド回路GND2、転流ダイオード146a、電流検出抵抗141a、負荷出力端子LD1、正極側配線103Pを経由して、電気負荷103aの正極端子に至る経路で還流することになり、内部グランド回路GND2に転流サージ電流が流入し、内部グランド回路GND2に電位変動を与える問題がある。
実施の形態3では、各転流ダイオード146a〜146fのアノード端子Aを給電制御ユニット100Cの外部で車体接続することによって、負荷電流If1〜If6が給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2に流入することを防止することができる。しかし、反面で、共通端子COM1、COM2の接触不良、または外部共通負線104x、104yの断線異常が発生すると、転流ダイオード146a〜146fによる転流機能が損なわれ、開閉素子181a〜181fがオフしたときに、電気負荷103a〜103fのインダクタンス成分によって誘導サージ電圧が発生するという新たな問題が発生する。このサージ電圧は開閉素子181a〜181fに設けられたオフ電圧抑制用の電圧制限ダイオード184a(図6参照)によって例えば50V程度に抑制されるが、この抑制サージ電圧は給電制御ユニット100Cの内部回路のうち、内部グランド回路GND2と負荷出力端子LD1〜LD6との間に接続されている全ての回路に印加されることになる。
電流検出回路240aのブロックダイオード148aは、前記抑制サージ電圧による逆流電流を阻止する。また、電流検出回路240aの第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aは、電流検出用差動増幅回路150aの差動増幅器151aの入力電位を、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144a、145aの順方向電圧である例えば1V程度の負電位に抑制する。電流検出回路240aの第一、第三の直列抵抗142a、143aは、ユニットグランドGND1から、内部グランド回路GND2、第一または第二の負電圧抑制ダイオード144aまたは145aを経由して、負荷出力端子LD1に還流するサージ電流を抑制し、内部グランド回路GND2の電位変動を抑制する。なお、電気負荷103b(図示せず)〜103fに対応する各回路の各部の作用動作も、電気負荷103aの場合と同様である。
負線断線異常検出回路160Cのベース抵抗165、限流抵抗166、定電圧ダイオード167、およびクリップダイオード168は、図3のものと同様に作用し、共通端子COM1、COM2に接続された外部共通負線104x、104yが断線したときに、転流サージ電流によって判定素子161をオンにし、警報信号MNTの論理レベルを「H」にして、マイクロプロセッサ120Cへ負線断線異常の発生を入力する。
図3では外部共通負線104が使用されているのに対して、実施の形態3では、図9に示すように、外部共通負線104x、104yが使用され、また共通端子COMも、2つの共通端子COM1、COM2に分割されている。従って、共通端子COM1、COM2に各電気負荷103a〜103fの転流電流が集中せず、共通端子COM1、COM2に過大電流が流れるのを抑制することができる。また、外部共通負線104x、104yも、負荷グランドGND3の位置まで延長することが望ましいが、配線数を削減するために、共通端子COM1、COM2の近傍位置に設けられた分割グランドGND4の位置で車体接続されている。
過電流検出回路350a〜350fが警報信号OC1〜OC6を発生すると、マイクロプロセッサ120Cは、図示しない制御プログラムによって設定指令出力IT1〜IT6を停止し、過電流異常発生を異常履歴情報としてデータメモリ123に格納するようになっている。実施の形態3のその他の動作は、図8に示すフローチャートと同じである。
(3)実施の形態3の要点と特徴
以上の説明で明らかな通り、この発明の実施の形態3による車載電気負荷の給電制御装置は、直流駆動電源101から複数の電気負荷103a〜103f(以下103nで代表する)のそれぞれに、開閉素子181a〜181f(以下181nで代表する)を介して給電する複数の負荷給電回路SPLa〜SPLf(以下SPLnで代表する)と、各電気負荷103nの負荷電流を転流する複数の負荷転流回路SWLa〜SWLf(以下SWLnで代表する)と、各開閉素子(181n)に対して通電指令出力DRnを供給する給電制御回路PCNTCを有する給電制御ユニット100Cを備え、各負荷給電回路SPLnと、各負荷転流回路SWLnと、給電制御回路PCNTCを給電制御ユニット100Cの筐体100aに収納した車載電気負荷の給電制御装置である。各負荷転流回路SWLnには、それぞれ転流ダイオード146a〜146f(以下146nで代表する)が接続され、これらの転流ダイオード146nは、各負荷給電回路SPLnの開閉素子181nがオンからオフに変化したときに電気負荷103nに流れていた電流を還流するように、各電気負荷103nに対して並列接続され、各転流ダイオード146nは、外部負線を構成する外部共通負線104x、104yにより給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2とは分離して筐体100aの外部で車体接続され、給電制御回路PCNTCは、個別異常検出回路IADETCと、負線断線異常検出回路160Cと、異常処理手段811、821、831、841と、異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bとを含み、給電制御回路PCNTCは、マイクロプロセッサ120Cを用いて構成され、マイクロプロセッサ120Cは、少なくとも各開閉素子181nに対する通電指令手段となる制御プログラムが格納された不揮発プログラムメモリ121Cと、データメモリ123と、演算処理用RAMメモリ122と、多チャンネルAD変換器124と協働して動作するように構成され、個別異常検出回路IADETCは、各電気負荷103nに対する給電電気量、具体的には負荷電流Ifnを検出する複数の給電状態検出回路PDETCa〜PDETBf(以下PDETCnで代表する)と、電気負荷103nの中のある電気負荷に対する給電電気量が目標給電電気量から乖離しているときに、その電気負荷と、その電気負荷の正極側配線103Pと、その電気負荷の負極側配線103Nと、その電気負荷に対応する開閉素子の中の少なくとも1つが、断線と短絡の何れかである個別異常状態を判定する手段とを有し、負線断線異常検出回路160Cは、各転流ダイオード146nのアノード側電位が、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2とは異なる電位となっていることを検出して、外部共通負線104x、104yの断線異常状態を判定する回路であり、異常処理手段811、821、831、841は、個別異常状態と外部個別負線104nの断線異常状態の少なくとも一方が検出されたときに、開閉素子に対する通電指令出力を停止するとともに、その異常報知を行なう手段であり、異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bは、個別異常状態と、外部共通負線104x、104yの断線異常状態の発生履歴を識別してデータメモリ123に格納保存する手段であることを特徴とする。
この実施の形態3の車載電気負荷の給電制御装置では、直流駆動電源101からそれぞれ開閉素子181nを介して給電される複数の電気負荷103nにそれぞれ並列接続された転流ダイオード146nが、外部外部共通負線104x、104yにより、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2とは分離して、給電制御ユニット100Cの筐体100aの外部で車体接続されているので、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2に負荷電流および転流電流が流れず、内部グランド回路GND2の電位を安定化させ、給電制御ユニット100Cの給電制御回路PCNTCを安定して動作させることができる効果がある。また、各電気負荷103n、その正極側配線103P、その負極側配線103N、および各開閉素子181nの断線異常、短絡異常は、個別異常検出回路IADETCによって検出され、各転流ダイオード146nに対する外部共通負線104x、104yの断線は負線断線異常検出回路160Cによって検出され、それらの異常対策を行なうとともに、これらの異常は異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bによって識別記憶されているので、保守点検作業において履歴情報を読み出して、保守点検の能率を向上することができる効果がある。
また、実施の形態3では、各給電状態検出回路PDETCnは、それぞれ電流検出用差動増幅回路150a〜150f(以下150nで代表する)を有し、この電流検出差動増幅回路150nは、開閉素子181nと電気負荷103nとの間に接続された電流検出抵抗141nの両端電圧の差分電圧を差動増幅器151nによって増幅し、電気負荷103nに対する負荷電流Ifnに比例した監視電圧Efnを発生する回路であり、差動増幅器151nの非反転入力端子は、第一、第二の直列抵抗142n、152nを介して開閉素子181nと電流検出抵抗141nとの接続点に接続され、第一、第二の直列抵抗142n、152nの接続点と給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2との間には、第一の負電圧抑制ダイオード144nが接続され、差動増幅器151nの反転入力端子は、第三、第四の直列抵抗143n、153nを介して電流検出抵抗141nと電気負荷103nとの接続点に接続され、第三、第四の直列抵抗143n、153nの接続点と給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2との間には、第二の負電圧抑制ダイオード145nが接続され、各転流ダイオード146nに対する外部共通負線104x、104yが断線した状態で、差動増幅器151nに印加される過大負電圧が、第一、第二の負電圧抑制ダイオード144n、145nにより抑制される。この構成により、外部共通負線104x、104yが断線した状態で、電気負荷103nが発生するサージ電圧によって差動増幅器151nが損傷するのを防止することができる特徴がある。また、外部共通負線104x、104yの断線異常発生時に、給電制御ユニット100Cの内部グランド回路GND2に重畳するサージ電流を、第一、第三の直列抵抗142n、143nによって微小値に抑制できる特徴がある。
加えて、実施の形態3では、給電制御回路PCNTCは、制御電源回路110と過電流検出回路350a〜350f(以下350nで代表する)とを含み、制御電源回路110は、直流駆動電源101から給電されて駆動電源電圧Vbよりも低い値の安定化された制御電源電圧Vccを発生してマイクロプロセッサ120Cに給電するように構成され、差動増幅器151nに印加される電源電圧は、駆動電源電圧Vbとされ、差動増幅器151nから出力される監視電圧Efnは、電圧制限ダイオード356nによって制御電源電圧Vccのレベルに制限され、過電流検出回路350nは、複数の電気負荷103nのそれぞれに対応して設けられ、対応する電気負荷の負荷電流が所定値を超えて過大であることを検出し、その電気負荷103nの短絡異常と、その正極側配線103Pの地絡異常の有無を判定し、過電流検出回路350nは、電流検出用差動増幅回路150nによって得られた監視電圧Efnの前段部電圧E0が、制御電源電圧Vcc以上の所定値を超過したときに、過電流判定出力を発生して、マイクロプロセッサ120Cに短絡異常発生の警報信号OCnを供給する比較回路351nを有する。この構成により、負荷電流の正常最大値において、監視電圧Efが制御電源電圧Vccとなるようにしておくことにより、精度よく電流検出が行なえるとともに、過大電流発生時には前段部電圧E0を用いて過電流検出回路350nを作動させることができる特徴がある。
また、実施の形態3では、異常処理手段811、821、831、841は、負線断線異常状態の検出時に加えて、電気負荷103nの短絡異常と、電気負荷103nの正極側配線103Pの地絡異常の検出時にも、電気負荷に対する通電指令を停止して異常報知を行い、異常履歴記憶手段813、823、843、833a、833bは、断線異常の発生履歴に加えて、電気負荷103nの短絡異常、および正極側配線103Pの地絡異常情報をデータメモリ123に格納保存する。この構成により、断線異常のみならず、電気負荷103nの短絡異常、および正極側配線103Pの地絡異常に対しても、電気負荷103nに対する通電指令の停止と異常報知を行い、異常内容に応じた履歴情報を総合的に記憶して、保守点検が容易に行なえる特徴がある。
その他の実施の形態.
以上で説明した各実施の形態において、マイクロプロセッサ120A〜120Cに入力される給電状態検出回路としては、負荷電流状態検出回路と負荷電圧状態検出回路の2種類がある。負荷電流状態検出回路としては、電流検出用差動増幅回路150nによって測定された負荷電流Ifnに比例したアナログ値の監視電圧Efnと、過電流検出回路350nによって比較判定された論理信号である警報信号OCnの2種類がある。負荷電圧状態検出回路としては、負荷電圧監視回路300nによって測定された負荷電圧に比例したアナログ値の負荷電圧測定入力Vfnと、負荷電圧監視回路170nによって比較判定された論理信号である警報信号OVn、SVnの2種類がある。その使い分けとしては、マイクロプロセッサの制御負担の軽減、およびアナログ入力点数の削減などの現実面を配慮して、実施の形態1〜3が示されているが、例えば図6に示した実施の形態2において、アナログ信号方式の負荷電圧監視回路300nに代わって、図2に示した実施の形態1における比較判定方式の負荷電圧監視回路170nを使用して、マイクロプロセッサのソフトウエアに基づく異常判定である過大抵抗判定および過小抵抗判定を省略することも可能である。
一方、負線断線異常検出回路160A〜160Cを用いなくても、図4の工程440または図8の工程830により構成される過大抵抗判定手段によって断線異常を検出することが可能である。この過大抵抗判定手段では、負線断線が発生すると、転流ダイオード146a〜146fによる転流機能が喪失するので、目標電流Isnを通電するためには過大な負荷電圧が必要となり、その結果として、過大抵抗状態となり、負線断線異常が検出される。
しかし、検出された断線異常が、電気負荷103a〜103fの断線、正極側配線103Pおよび負極側配線103Nの断線であるのか、外部共通負線104、104x、104yの断線であるのかの識別が行なえない問題点があり、例えば、特定電気負荷の断線異常が発生した場合であれば、念のため該当電気負荷に対する通電指令出力は停止しておけばよいが、他の電気負荷全体の通電指令出力を停止する必要はない。外部共通負線104、104x、104yが断線した場合には、その外部共通負線に対応するすべての電気負荷に対する通電指令出力を停止して、開閉回路130n、180nに印加される誘導サージ電圧を速やかに停止する必要があるので、異常の種別は分離して検出する必要がある。
この発明の種々の変形または変更は、この発明の範囲と精神から離れることなく、関係技術者により容易に実行でき、また、この発明は、図示した各実施の形態に制限されないことを理解されるべきである。