JP4364587B2 - 車両用内装部材 - Google Patents

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Description

この発明は、車両用内装部材に関し、更に詳細には、車両用内装部材を構成する基材の裏側に配設され、エアアウトレットとエアコンユニットとの間に空気流通路を画成するダクト部材と、基材の適宜位置に凹設され、空気流通路を流通する調温空気で収納物品を保冷または保温する収納室とを備えた車両用内装部材に関するものである。
乗用車における乗員室内には、インストルメントパネルやフロアコンソール等を代表とする種々の車両用内装部材が設置されている。例えば図6は、乗員室前方に設置されるインストルメントパネル10の概略断面図であるが、図示したインストルメントパネル10は、所要形状に成形した合成樹脂製のパネル基材(基材)12から構成される単層タイプとされている。但しインストルメントパネル10は、このような単層タイプの他に、パネル基材12の外面に質感向上用の表皮材を被着して構成される2層タイプや、パネル基材12の外面に質感向上用の表皮材および触感向上用の弾性材を被着して構成される3層タイプ等も実施に供されている。
インストルメントパネル10の内側には、乗員室内の空調に供されるエアコンユニット30が搭載され、インストルメントパネル10のセンターコンソール部等に設置した空調制御パネル(図示せず)でのスイッチ操作により、エアコンユニット30が運転制御されるようになっている。そして、エアコンユニット30における空気送出部32と、インストルメントパネル10の所要位置に配設したエアアウトレット(図示せず)とが、パネル基材12の裏側(内側)に設けた空気流通路40で接続されており、エアコンユニット30で所要温度に調節された調温空気は、空気流通路40を介してエアアウトレットへ案内された後に乗員室内へ吹出される。また、フロントウィンド19に近接して設けられるデフロスタ部21においては、別のエアアウトレット28に空気流通路41を介して調温空気が案内されるようになっている。
ここで、インストルメントパネル10に配設された従来のダクト構造は、図6に示したように、略樋状(断面ハット形状)に予備成形したPP製のダクト部材34を、その端縁部38,38をパネル基材12の裏側に接合(振動溶着、超音波溶着、熱カシメ、ビス締め等)することで、パネル基材12との間にエアコンユニット30およびエアアウトレットに夫々連通する空気流通路40,41を画成するようにしたダクト構造が実施されている(例えば、特許文献1参照)。特に単層タイプのインストルメントパネル10では、パネル基材12およびダクト部材34で空気流通路40を形成するダクト構造を採用しているため、パネル基材12は、空気流通路40の一部となる壁部分22の厚さが比較的薄く、かつこの壁部分22が所謂中実状で熱が移動し易くなっており、乗員室内と空気流通路40内との温度差が大きい場合には、壁部分22の外面が結露することがあった。そこで図6に例示したように、パネル基材12における壁部分22の裏側22aに、断熱性に優れたPE製やPP製またはポリウレタン製の発泡シート材24を貼込むことで、壁部分22での結露防止を図る対策が講じられている。
また、特に図示しないが、特許文献2または特許文献3に開示されているように、空気流通路を流通している調温空気を利用して、缶ジュース等の物品を保冷または保温するよう構成した保冷・保温装置が設けられたインストルメントパネルが提案されている。このうち、特許文献2に開示された保冷・保温装置は、空気流通路に突出させて物品の収納室を形成し、この収納室に接触する調温空気により間接的に物品を保冷または保温するよう構成される。これに対し、特許文献3に開示された保冷・保温装置は、空気流通路の途中に設けた収納室に物品を収納し、調温空気と物品を直接接触させて保冷または保温するよう構成される。
特開平9−109733号公報 特開2000−16055号公報 実開平5−40030号公報
ところで、特許文献2または特許文献3に開示された従来の保冷・保温装置では、空気流通路に物品を収納する収納室を設ける構成のため、物品または収納室自体により調温空気のスムーズな流通が阻害され、空気流通路40の圧力損失が増大すると共に、ダクト騒音の低減が難しくなる問題が指摘される。また、図6に示したダクト構造では、略樋状のダクト部材34とパネル基材12とで空気流通路40を画成する構成のため、空気流通路40の一部となる壁部分22の裏側全体が空間部分となり剛性を確保することが難しい。そこで、パネル基材12の剛性を維持するため、このパネル基材12の板厚を増す対策が講じられているが、保冷・保冷装置を配設することによる重量の増加に加えて、板厚の増加によりインストルメントパネル10全体の重量が増加する不都合を招来する欠点が指摘される。更に、パネル基材12に収納室を突出形成してあるので、このパネル基材12が複雑な三次元形状を呈するようになり、ダクト部材34とパネル基材12との間に発泡シート材24を介在させて貼着することは煩雑で手間がかかる難点があった。
すなわちこの発明は、従来の技術に係る車両用内装部材に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、結露防止手段を設けることによる基材の剛性低下を回避すると共に、保冷・保温装置を設けるに際し、空気流通路の圧力損失を低減し得る車両用内装部材を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る車両用内装部材は、
車両用内装部材を構成する基材と、
前記基材の裏側に所要数のリブを介して接合され、この基材との間に所要の空間を画成する第1ダクト部材と、
前記第1ダクト部材の裏側に配設され、前記基材に開口するエアアウトレットとエアコンユニットとを連通する空気流通路を、該第1ダクト部材との間に画成する第2ダクト部材と、
前記基材凹設されて、該基材における凹設部位の裏側を、前記空気流通路の空気流通方向およびこれを横切る方向に延設された前記リブにより独立して画成される複数の前記空間で覆うように形成した物品収納用の収納室と、
前記凹設部位に全面的に隣接する前記空間のみに臨むように該凹設部位に穿設され、前記収納室と該空間とを連通する所要数の第1通孔と、
前記第1ダクト部材における前記空気流通路に臨む部位に該空気流通路と連通するよう穿設され、前記第1通孔が臨む前記空間と同じ空間に臨むよう設けられた所要数の第2通孔とからなり
前記エアコンユニットからの調温空気を両通孔および空間を介して前記収納室に導入することで、収納物品の保冷または保温を行なうよう構成したことを特徴とする。
本発明に係る車両用内装部材によれば、基材と第1ダクト部材との間に所要数のリブで画成される所要の空間に隣接させて収納室を設け、この空間を介して収納室に空気流通路内の調温空気を導入することで、空気流通路の調温空気の流通を阻害することなく収納室内を好適に保冷または保温し得ると共に、第1ダクト部材が延在するその他の部位では、熱の移動を抑制して結露を防止することができる。また、第1ダクト部材と基材との間に形成した空間に所要数のリブを延在させることで、この第1ダクト部材の配設部位に対応する基材の剛性を向上させることができる。従って、基材の板厚を薄く設定できるため、車両用内装部材全体として軽量化を図り得る利点がある。
本発明に係る車両用内装部材は、この車両用内装部材を構成する基材の裏側に配設したダクトおよび物品収納用の収納室を備えている。ダクトは、基材の裏側に所要数のリブを介して接合され、この基材との間に所要の空間を画成する第1ダクト部材と、この第1ダクト部材の裏側に配設され、基材に設けたエアアウトレットとエアコンユニットとの間に空気流通路を画成する第2ダクト部材とから構成されている。また収納室は、基材の適宜位置に凹設され、空間に隣接するようになっている。更に、収納室の空間と隣接する部位に、収納室と空間とを連通する所要数の第1通孔を穿設すると共に、第1ダクト部材が空気流通路に臨む部位に、空間と空気流通路とを連通する所要数の第2通孔を穿設する。そして、エアコンユニットから空気流通路内へ送出された調温空気の一部を両通孔および空間を介して収納室に導入することで、収納物品の保冷または保温を行なう。
次に、本発明に係る車両用内装部材につき、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、本願が対象とするダクト構造は、所要形状に成形されて車両用内装部材を構成するパネル基材(基材)の裏側に設けるものが前提とされ、車両用内装部材としてはインストルメントパネル、フロアコンソール等が挙げられる。そこで実施例では、車両用内装部材としてインストルメントパネルを例示して説明することとし、図6に示した従来のインストルメントパネル10と同一部材、部品については同一符号で指示する。
図3は、本発明の好適実施例に係るダクト構造を採用したインストルメントパネル11の概略斜視図であって、図1は図3のI−I線断面図を示し、図2は図3のII−II線断面図である。実施例のインストルメントパネル11は、所要形状に成形されたパネル基材12からなる単層タイプであり、基本的構成は図6に示した従来のインストルメントパネル10と同一である。但し、図示したインストルメントパネル11のパネル基材12は、別々に成形されて上下に組付けられる上部半体12Aおよび下部半体12Bから構成されている。また、パネル基材12の前面左端および前面右端には、空気流通路40に連通するエアアウトレット26,26が配設され、フロントウィンド19に近接する上面後端にもデフロスタ部21を構成する別のエアアウトレット28が配設または形成されている。なお、説明の便宜上、インストルメントパネル11の内部において、パネル基材12側を上側としている。
図3に示すように、インストルメントパネル11における助手席側の上面には、缶ジュース等の飲料や食品等の物品を保冷または保温するために利用される収納室42が形成されている。この収納室42は、パネル基材12の適宜位置を凹設して形成され、このパネル基材12の凹設部位42a(22)により画成される収納空間44と、この収納空間44の開口を開閉自在に閉成する蓋部材46とから構成されている。また、蓋部材46は、収納空間44における側壁面の後側上部に夫々設けられたヒンジ部47,47を回動支点として収納空間44を開放するようになっている。なお、実施例の収納室42は、パネル基材12において、このパネル基材12の裏側22aに配設したダクト50が延在する壁部分22を凹設して形成され、パネル基材12が収納室42となる凹設部位42aは、後述する空間58に隣接して形成されている。更に、パネル基材12が収納室42となる凹設部位(収納室42における空間58に隣接する部位)42aには、この収納室42と空間58とを連通する所要数の第1通孔45が穿設されている。
図1または図2に示すように、ダクト50は、パネル基材12の裏側22aに配設され、エアコンユニット30とエアアウトレット26とを連通する空気流通路40を画成している。すなわち、ダクト50は、パネル基材12側に配設された第1ダクト部材52と、この第1ダクト部材52の下面(裏側)に配設されて空気流通路40を画成する第2ダクト部材60と、第1ダクト部材52の上面52aおよびパネル基材12の間に介在した所要数のリブ56とから構成されている。なお、実施例の第1ダクト部材52は、エアコンユニット30とエアアウトレット28とを連通する別の空気流通路41を画成する別のダクト51として兼用されると共に、ワイヤーハーネス64を保持する嵌挿部52b,52cを備えている。
第1ダクト部材52は、所要形状に形成され、この上面(パネル基材12の裏側22aと対向する面)52aに所要数のリブ56が突設されている。この第1ダクト部材52は、例えばオレフィン系であるポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)等の合成樹脂材料からインジェクション成形されてリブ56が一体的に形成されている。第1ダクト部材52は、パネル基材12が収納室42となる凹設部位42aにおいては、この凹設部位42aに沿って延在する形状に形成されている。
第1ダクト部材52の上面52aに形成された所要数のリブ56は、空気流通路40における空気流通方向およびこれを横切る方向に延設され、かつパネル基材12の裏側22aに向けて立設され、全体的には格子状になっている。そして、各リブ56の先端部を、パネル基材12の裏側22aに当接させた状態で、例えば振動溶着、超音波溶着、熱カシメ、ビス締め等の適宜手段により、各リブ56の先端部をパネル基材12の裏側22aに接合させて固定することで、第1ダクト部材52の上面52aとパネル基材12の裏側22aとの間に、所要数のリブ56によって格子状に区画された複数の空間58が画成されている(図5参照)。すなわち、収納室42を画成するパネル基材12の凹設部位42aは、空間58により覆われている。なお、実施例では、所要数のリブ56に画成される空間58は格子状に形成されるが、これに限定されず、ハニカム状や千鳥状等のその他の形状であってもよい。
ここで、リブ56の延出寸法は、パネル基材12の裏側22aの起伏形状(意匠形状)と、第1ダクト部材52の形状との関係によって設定されている。すなわち、第1ダクト部材52の上面52aとパネル基材12の裏側22aとの間に、断熱に必要とされる所要の空間58を確保し得るように、パネル基材12を凹設した収納室42の外形形状やパネル基材12の起伏形状および第1ダクト部材52の形状に合わせてリブ56の延出寸法を変化させて形成している。
第2ダクト部材60は、略樋形状(断面ハット形状)に形成され、その断面形状端部における長手方向の端縁に沿って形成されたフランジ部60a,60aを備えている。第2ダクト部材60は、例えば、断熱性に優れたPE製やPP製またはポリウレタン製の発泡体が用いられ、真空成形により所要の形状に成形されている。そして、第1ダクト部材52の下面に第2ダクト部材60の開口を臨ませた状態で、この第2ダクト部材60のフランジ部60a,60aを当接させて接合することで、第1ダクト部材52と第2ダクト部材60との間に所要の空気流通路40が画成される。なお、接合方法として、例えば、振動溶着、ホットメルト接着剤を利用した方法、ビスやリベット等の機械的な接合方法等が採用される。
第1ダクト部材52には、この第1ダクト部材52が空気流通路40に臨む部位に所要数の第2通孔55が穿設され、空間58と空気流通路40とを連通している。そして、エアコンユニット30から供給されて空気流通路40を流通する調温空気の一部が、第2通孔55から空間58を介して第1通孔45から収納室42の収納空間44に導入され得るよう構成されている。すなわち、実施例では、各空間58が所要数のリブ56により独立して画成されているので、第1通孔45と第2通孔55は同一の空間58に臨むように設けられている。また、両通孔45,55は、収納室42の収納空間44を構成するパネル基材12の凹設部位42aに全面的に隣接する空間58のみに設けられ、外表面が外部に臨むパネル基材12により画成される空間58には、調温空気が流入しないよう構成されている。
図1に示すように、収納室42に連通する第1通孔45は、この収納室42の底部に適宜に取付けられるシャッタ部材48により開閉自在に閉成し得るようになっている。例えば、シャッタ部材48は、収納室42の底部をなすパネル基材12に穿設された第1通孔45の離間間隔に合わせて突設され、第1通孔45の孔径と略同一寸法に設定された突片48aを備えたあて板である。すなわち、収納室42を保冷・保温装置として用いない場合、シャッタ部材48で第1通孔45を塞ぐことで、調温空気の流入を遮断して小物入れとして利用される(図1における2点鎖線の状態)。なお、シャッタ部材48は別部材として設けるものに限定されず、第1通孔45を開閉自在に閉成し得るものであれば、収納室42に一体的に配設するものであってもよい。
実施例の第1ダクト部材52は、その長手方向(空気流通方向)に沿って延在する一端部にワイヤーハーネス64を保持する第1嵌挿部52bが設けられている。この第1嵌挿部52bは、ワイヤーハーネス64の挿通を許容し得る寸法で上方に開放した略樋状に湾曲形成され、第1嵌挿部52bとパネル基材12の裏側22aとでワイヤーハーネス64を挟持するようになっている。また、第1ダクト部材52における長手方向に沿って延在する他端部は、デフロスタ部21を構成するエアアウトレット28を覆うようにパネル基材12の裏側22aに沿って延在している。そして、パネル基材12の裏側22aに延在する第1ダクト部材52の適宜部位を切り欠いてワイヤーハーネス64を保持する第2嵌挿部52cが設けられている。この第2嵌挿部52cは、ワイヤーハーネス64の外径より狭小に設定した切欠部分にワイヤーハーネス64を嵌め合わせることで、このワイヤーハーネス64を保持している。なお、第1嵌挿部52bおよび第2嵌挿部52cは、空間58による断熱作用を損わない部位に設けられる。
また、実施例の第1ダクト部材52は、デフロスタ部21のエアアウトレット28が開設された位置までパネル基材12の裏側22aに沿って延在し、エアアウトレット28の周囲に当接するよう立設されたリブ56で空間58が画成されている。そして、この空間58に空気送出部32が接続されるようになっており、エアコンユニット30から供給される調温空気は空気送出部32を介して空間58に導入された後に、エアアウトレット28から吹出すよう構成され、空間58はエアアウトレット28に調温空気を送る空気流通路41として機能するようになる。すなわち、デフロスタ部21のエアアウトレット28に連通する空気流通路41を画成するダクト51は、パネル基材12の前面左端および前面右端に設けられたエアアウトレット26に連通する空気流通路40を画成するダクト50と一体的に形成されている。なお、エアアウトレット28に連通する空気流通路41として利用される空間58は、前述したエアアウトレット26に連通する空気流通路40とパネル基材12との間に介在する断熱用の空間58と独立して形成されている。
次に、実施例に係る車両用内装部材の作用について説明する。空調制御パネルにおける所要のスイッチ操作によりエアコンユニット30が作動すると、エアコンユニット30で温度調整された調温空気が、空気送出部32から空気流通路40を介してエアアウトレット26へ案内され、エアアウトレット26から乗員室内へ吹出される。この際に、乗員室内の空気温度(室温)と空気流通路40内の調温空気温度との温度差が大きかったとしても、パネル基材12には、空気流通路40の配設経路に対応する壁部分22の裏側22aに空間58が形成されるため、パネル基材12を構成する合成樹脂と比較して熱伝導率が低い空間58内の空気により、パネル基材12と空気流通路40を流通する調温空気との熱交換が妨げられる。従って、空気流通路40に冷気を流通させた際に、乗員室に露出するパネル基材12の外面において、結露の発生が抑止される。また、空気流通路40に暖気を流通させた際でも、ダクト50の内部に結露が生じることがないので、水滴が空気流通路40内に滞留することによるカビ発生や異臭発生等が好適に回避される。
図4に示すように、収納室42の蓋部材46を閉成した状態で、パネル基材12と第1ダクト部材52との間に所要数のリブ56より画成した空間58に連通する両通孔45,55を介して、収納室42に調温空気を導入させるようにすれば、この調温空気を利用して収納室42に収納した物品を保冷または保温することができる。すなわち、パネル基材12を凹設して形成した収納室42または物品は、空気流通路40の調温空気の流通を阻害することがないため、空気流通路40の圧力損失を低減させ、好適な調温空気の流通を実現することが可能である。また、両通孔45,55は、外表面が外部に臨むパネル基材12により画成される空間58には穿設されていないので、空間58における結露防止機能を阻害することはない。
そして、空間58に延在する所要数のリブ56を設けたことにより、ダクト50の配設位置に対応する壁部分22は所要数のリブ56によって裏側22aから補強されて剛性を向上させることができる。すなわち、壁部分22の厚さを薄く設定することができ、インストルメントパネル11全体として軽量化を図ることができるメリットがある。
また、前述したように所要数のリブ56を設けることで、ダクト50とパネル基材12との離間距離を広くできるため、第1ダクト部材52の形状をパネル基材12の起伏形状と独立して任意形状に形成しても、リブ56の延出寸法を第1ダクト部材52の形状およびパネル基材12の起伏形状に対して変化させることで、パネル基材12の剛性を低下させることなく対応することが可能である。すなわち、パネル基材12が、インストルメントパネル11の意匠形状に合わせて、その裏側22aが曲面や凹凸面等から構成される複雑な3次元形状となっていたとしても、空気流通路40の形状を、圧力損失が小さくなるような所要形状に設定することができるため、空気流通路40の圧力損失を低減させて、好適な調温空気の流通を実現することが可能である。
更に、第2ダクト部材60を発泡体で形成することで、空間58を形成していない第2ダクト部材60においても断熱性能を向上させることが可能である。従って、第2ダクト部材60の表面においても、結露の発生が抑制され、ダクト50の下部に配設された機器等への水濡れの虞れはない。また、発泡体は、防音・吸音性能に優れているので、ダクト50の騒音を低減することができるメリットもある。なお、ここで云う発泡体は、発泡材を樹脂材料に混入することによる化学的方法や、機械的な撹拌作用により発泡させる方法等の発泡により気泡を形成したものだけではなく、抽出法により気泡を形成した多孔質体も含む。
一方、ワイヤーハーネス64を保持する第1嵌合部52bおよび第2嵌合部52cを第1ダクト部材52に一体的に形成してあるので、ワイヤーハーネス64の配設に係る部品点数の削減が可能となり、組付け作業工数を減らすことによるコストダウンを図り得る。そして、デフロスタ部のエアアウトレット28に連通する空気流通路41に、デフロスタ部21に延在する第1ダクト部材52とパネル基材12との間に所要数のリブ56により画成される空間58を利用することで、更に部品点数を減少させ、組付け手間を減らすことによるコストダウンを図り得るメリットがある。
なお、デフロスタ部21のエアアウトレット28に連通するダクト構造は、パネル基材12の前面左端および前面右端に設けられたエアアウトレット26に連通する空気流通路40を画成するダクト50と兼用する構成ではなく、このダクト50と同様に、第1ダクト部材52と第2ダクト部材60とから空気流通路41を画成したダクト51を独立して設け、所要数のリブ56で第1ダクト部材52とパネル基材12との間に空間58を形成する構成も採用することができる。
そして本願のダクト構造は、前記実施例に示したパネル基材12からなる単層タイプの車両用内装部材のみならず、前述した2層タイプ(パネル基材の外面に表皮材を被着したタイプ)やパネル基材12の外面に質感向上用の表皮材および触感向上用の弾性材を被着して構成される3層タイプ等の車両用内装部材も実施対象とする。
図3のI−I線断面図であって、パネル基材の裏側に接合したダクトによりエアコンユニットに連通する空気流通路を画成するダクト構造およびパネル基材に凹設した収納室を示している。 図3のII−II線断面図であって、パネル基材の裏側に接合したダクトによりエアコンユニットに連通する空気流通路を画成するダクト構造を示している。 本発明の好適な実施例に係る車両用内装部材を示した概略斜視図であって、(a)は収納室の蓋部材が閉成した状態を示し、(b)は収納室の蓋部材が開放した状態を示している。 実施例に係る車両用内装部材の収納室を切り欠いて示す概略斜視図である。 実施例に係る車両用内装部材において、収納室の底部を一部切り欠いて示す概略斜視図である。 従来のダクト構造が採用された車両用内装部材の一例とされるインストルメントパネルの断面図であって、空気流通路の一部をなすパネル基材の壁部分の結露防止を図るために、発泡シート材を壁部分に配設した形態例を示している。
符号の説明
11 車両用内装部材
12 パネル基材(基材)
21 デフロスタ部
22a 裏側
26 エアアウトレット
28 エアアウトレット
30 エアコンユニット
40 空気流通路
41 空気流通路
42 収納室
42a 凹設部位
45 第1通孔
52 第1ダクト部材
55 第2通孔
56 リブ
58 空間
60 第2ダクト部材

Claims (2)

  1. 車両用内装部材(11)を構成する基材(12)と、
    前記基材(12)の裏側(22a)に所要数のリブ(56)を介して接合され、この基材(12)との間に所要の空間(58)を画成する第1ダクト部材(52)と、
    前記第1ダクト部材(52)の裏側に配設され、前記基材(12)に開口するエアアウトレット(26)とエアコンユニット(30)とを連通する空気流通路(40)を、該第1ダクト部材(52)との間に画成する第2ダクト部材(60)と、
    前記基材(12)に凹設されて、該基材(12)における凹設部位(42a)の裏側(22a)を、前記空気流通路(40)の空気流通方向およびこれを横切る方向に延設された前記リブ(56)により独立して画成される複数の前記空間(58)で覆うように形成した物品収納用の収納室(42)と、
    前記凹設部位(42a)に全面的に隣接する前記空間(58)のみに臨むように該凹設部位(42a)に穿設され、前記収納室(42)と該空間(58)とを連通する所要数の第1通孔(45)と、
    前記第1ダクト部材(52)における前記空気流通路(40)に臨む部位に該空気流通路(40)と連通するよう穿設され、前記第1通孔(45)が臨む前記空間(58)と同じ空間(58)に臨むよう設けられた所要数の第2通孔(55)とからなり
    前記エアコンユニット(30)からの調温空気を両通孔(45,55)および空間(58)を介して前記収納室(42)に導入することで、収納物品の保冷または保温を行なうよう構成した
    ことを特徴とする車両用内装部材。
  2. 前記凹設部位(42a)に穿設された前記第1通孔(45)を開閉可能なシャッタ部材(48)が、前記収納室(42)の底部に取付けられ、該シャッタ部材(48)の該第1通孔(45)の閉成により該収納室(42)への調温空気の流入を遮断し得るよう構成した請求項1記載の車両用内装部材。
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