JP4218332B2 - 車両空調ダクト構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の梁部材に内包される空調ダクト構造に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
車室内前方(エンジンルームと車室内を区画する区画壁近傍)の計器盤内側には、車両幅方向に延びる梁部材(レインフォースバー)が設けられており、この梁部材は、ステアリングシャフトを支持する構造部材としての役割を果たしている。
【0003】
また、車両用空調装置の室内空調ユニットが、通常車室内前方の計器盤内側において車両幅方向の中央部に配置され、この室内空調ユニットで温度調整された空調風を、計器盤の車両幅方向の中央部に配置された2つのセンタフェイス吹出口から運転席側および助手席側へ吹き出すとともに、計器盤の車両幅方向の左右両端部に配置された2つのサイドフェイス吹出口から空調風を車室内左右両端部の乗員顔部側へ吹き出すようになっている。
【0004】
従って、計器盤内の車両幅方向の中央部に位置する室内空調ユニットから車室内左右両端部に位置するサイドフェイス吹出口へ空調風を導く空調ダクトが必要となる。この空調ダクトは、一般的には、計器盤内側において梁部材と略平行に延びるように配置されている。このため、計器盤内側において空調ダクトが梁部材とは別に専用の搭載スペースを必要とし、空調ダクトの車両搭載性を悪化させる。
【0005】
そこで、発明者等は、空調ダクトを梁部材に内包させる構成として、空調ダクトと梁部材の搭載スペースを共用化することにより、空調ダクトの車両搭載性を改善するものを検討した(特願2002−38466参照)。すなわち、図19に示すように、2つの半筒状の梁部材分割体1a、1bを用意し、これらの梁部材分割体の内側の表面上にダクト分割体2a(図19中では1つのダクト分割体だけ示す)をそれぞれ一体化して、2つの梁部材分割体1a、1bを組み合わせてそれぞれの端面間を接合する。これにより、2つのダクト分割体が筒状に組み合って内側に断面略矩形状の中空部が形成されることになる。
【0006】
しかし、空調ダクトは2つのセンタフェイス吹出口および2つのサイドフェイス吹出口のそれぞれに対して室内空調ユニットからの空調風を導くものであるから、それぞれの吹出口から吹き出される空調空気の温度、風量を独立に制御する場合には、断面略矩形状の中空部を吹出口毎に仕切って4つの空気通路を形成するための仕切箱5を用いる必要がある。
【0007】
この仕切箱を梁部材分割体とは別体として構成する場合には、部品点数が増加してしまう問題がある。また、円柱状の中空部の端部を閉じるための壁部6を設ける場合には、壁部と梁部材分割体とを別体として構成する場合にも、部品点数が増加してしまう。
【0008】
また、2つのダクト分割体は、空気通路内を流れる空気に対する断熱材として機能する。したがって、2つのダクト分割体の端面間を良好に密着させないと、端面間から空気が漏れて梁部材分割体が結露する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、部品点数の増加を抑制するようにした車両空調ダクト構造を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、空気通路に対する断熱性を良好にするようにした車両空調ダクト構造を提供することを第2の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、梁部材(14)に内包される車両空調ダクト構造であって、梁部材の長手方向に分割された少なくとも2つの梁部材分割体(14a、14b)と、2つの梁部材分割体のそれぞれ内側の表面上にて断熱材により半筒状に形成されて、それぞれを筒状に組み合わせて空気通路(25c)を形成する少なくとも2つのダクト分割体(14c、14d)とを備え、2つの梁部材分割体が互いの端面を合わせるように組み合わせて当該端面間が接合されているものであり、ダクト分割体が互いの端面を合わせるように組み合わせて当該端面間が密着されているものであり、ダクト分割体の端面間の密着部分(161)が、梁部材分割体の端面間の接合部分(160)に隣接する部位に形成された空間内に配置されることによって、接合部分(160)と前記空気通路との間に位置することを特徴とする。
【0023】
このように、ダクト分割体の端面間の密着部分を、梁部材分割体の端面間の接合部分(160)と空気通路との間に配置するので、空気通路に対して良好に断熱することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明のように、2つの梁部材分割体のうち一方の梁部材分割体は、断面L字状のL字状部分(141)を有するものであり、2つの梁部材分割体のうち一方の梁部材分割体以外の他方の梁部材分割体とL字状部分を組み合わせて断面コ字状の部分を形成し、断面コ字状の部分によって、接合部分(160)に隣接する部位に形成された空間が形成されていてもよい。
【0025】
具体的には、請求項3に記載の発明のように、2つのダクト分割体は、互いの端部(140c、140d)を突き合わせて圧縮させて端面間が密着されるようにしてもよい。
【0026】
そして、請求項4に記載の発明のように、2つのダクト分割体は、発泡材料により成形されたもので、互いの端部が発泡材料の凝固により端面間を密着させるようにしてもよい。さらに、請求項5に記載の発明のように、2つのダクト分割体は、互いの端部を突き合わせて凝固により端面間を密着させるようにしてもよい。
【0027】
そして、請求項6に記載の発明では、2つのダクト分割体のうち一方には、空気通路を閉じるための壁部(26a、26b)を有するものであり、2つのダクト分割体のうち他方のダクト分割体と壁部とは、互いを突き合わせて凝固により密着させるようにしてもよい。
【0028】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る空調ダクト構造の分解構造を示し、図1の空調ダクト構造は、図2の計器盤部の内側に搭載される。なお、以下説明する各図の矢印は車両搭載状態における車両左右、上下、前後の方向を示す。
【0030】
図2の計器盤10は、車室内前部に位置して計器類やオーディオ機器等を装着している。計器盤10のうち、車両幅(左右)方向の略中央部には、乗員の顔部に向かって空調空気が吹き出されるセンタフェイス吹出口11a、11bが配置され、また、計器盤10のうち、車両幅方向の両端部には乗員の顔部または車両側面窓ガラスに向かって空調空気が吹き出されるサイドフェイス吹出口12a、12bが配置されている。また、計器盤10のうち、車両前方向には、車両前側窓ガラスに向かって空調空気が吹き出されるデフロスタ吹出口9が配置されている。
【0031】
そして、計器盤10の内側には、車両用空調装置の空調ユニット13が配置されている。空調ユニット13は車両幅方向の略中央部に位置して車室内に吹き出す空気の温度や湿度を調節するものである。そのため、空調ユニット13の内部には、冷房用熱交換器(蒸発器)、暖房用熱交換器(温水式ヒータコア)等の機器が内蔵されている。また、空調ユニット13は、内気又は外気を切替導入して送風する送風ユニットを一体に構成する完全センター置きタイプとして構成できるが、送風ユニットを空調ユニット13に対して助手席側にオフセット配置するセミセンター置きタイプとして構成してもよい。
【0032】
一方、計器盤10の内側において空調ユニット13の上方には、車両幅方向に延びる梁部材(レインフォースバー)14が備えられている。この梁部材14は図示しないステアリング装置を支持することを主目的とする構造部材であって、その車両幅方向の両端部にはアルミニュウム合金等の金属製のサイドブラケット15、16(図1)が一体に組み付けられ、このサイドブラケット15、16により梁部材14の両端部が車両ボディに固定されるようになっている。
【0033】
梁部材14は、中空状のものであって、図1に示すように、その長手方向に分割された上下2つの梁部材分割体14a、14bを接合することにより筒形状の断面略矩形状に形成する。ここで、上下2つの梁部材分割体14a、14bとしては、アルミニュウム合金等のシート状部材を、それぞれ、半筒形状に曲げ加工されたものである。なお、梁部材分割体14a、14b間の接合構造については、後述する。
【0034】
また、上下2つの梁部材分割体14a、14bの内側の内壁には、図1に示すように、半筒状のダクト分割体14c、14dがそれぞれ一体化されている。このように、ダクト分割体14c、14dを中空の内側壁に備えることにより梁部材14に空調ダクト構造を内包することができる。ここで、ダクト分割体14c、14dの素材は、空気層を持ち、且つ、曲げ加工可能な柔軟性に富んだ断熱吸音材からなる。
【0035】
具体的には、ダクト分割体14c、14dの素材としては発泡ウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンのような樹脂発泡材が好適である。これらの樹脂発泡材では材料自身が発泡することにより空気層を持ち、断熱機能を発揮する。更に、発泡度合いの調整や材質により吸音効果も具備する。ここで、硬質ウレタン樹脂のように主に断熱機能のみを発揮する材料をダクト分割体14c、14dの素材として使用してもよい。なお、梁部材14に内包される空調ダクト構造の具体的な形成方法は後述する。
【0036】
一方、空調ユニット13の上面部には、図2に示すように、車両幅(左右)方向の中央部に2個のセンタフェイス開口部17a、17bが開口し、この2個のセンタフェイス開口部17a、17bの左右両側にサイドフェイス開口部18a、18bが開口している。更に、これらフェイス開口部17a、17b、18a、18bの車両前方側にはデフロスタ開口部19が開口している。
【0037】
そして、図3に示すように、下側の梁部材分割体14bの底面部において車両幅(左右)方向の中央部には、4つの開口部20a、20b、21a、21bが開口している。そのうち、中央部の2つの開口部20a、20bは、上記センタフェイス開口部17a、17bと連通するセンタフェイス用開口部であり、また、左右両側の2つの開口部21a、21bは、上記サイドフェイス開口部18a、18bと連通するサイドフェイス用開口部である。なお、デフロスタ開口部19には図示しないデフロスタダクトが接続される。
【0038】
上側の梁部材分割体14aには、図1に示すように、車両幅(左右)方向の中央部に2つのセンタフェイス出口開口部22a、22bが開口し、車両幅(左右)方向の両端部近傍には、サイドフェイス出口開口部23a、23bが開口している。
【0039】
梁部材14の内部において、車両幅(左右)方向の中央部には、通風路仕切壁24a、24b、24cが配置される。通風路仕切壁24a、24b、24cは、ダクト分割体14dと同一発泡樹脂材料にてそれぞれ一体成形される。また、通風路仕切壁24a、24b、24cは、センタフェイス通路25a、25b、サイドフェイス通路25c、25dをそれぞれ分離する。
【0040】
ここで、センタフェイス通路25aは、開口部20aおよびセンタフェイス出口開口部22aを接続し、センタフェイス通路25bは、開口部20bおよびセンタフェイス出口開口部22b間を接続する。そして、サイドフェイス通路25cは、開口部21aおよびサイドフェイス出口開口部23a間を接続し、サイドフェイス通路25dは、開口部21bおよびサイドフェイス出口開口部23b間を接続する。
【0041】
さらに、梁部材14の内部において、車両幅(左右)方向の両端部には、閉壁26a、26bが配置される。閉壁26a、26bは、ダクト分割体14dと同一発泡樹脂材料にてそれぞれ一体成形される。閉壁26aは、サイドフェイス通路25cを左側から閉じる(すなわち蓋をする)。閉壁26bは、サイドフェイス通路25dを右側から閉じる。
【0042】
上側の梁部材分割体14aに開口する2つのセンタフェイス出口開口部22a、22bは、図2のセンタフェイス吹出口11a、11bに接続され、また、上側の梁部材分割体14aのうち、車両幅方向の両端部近傍に開口する2つのサイドフェイス出口開口部23a、23bは図2のサイドフェイス吹出口12a、12bに接続される。
【0043】
なお、梁部材14のうち、運転席側の部位(図1の右寄り部位)にステアリング装置支持用のステーSTがねじ止め等により組み付けられて、ステアリング装置を支持できるようにしている。また、梁部材14のうち、略中央部には、センターブレースSBの上端部がねじ止め等により組み付けられる。このセンターブレースSBの下端部は車両ボディの床部にボルト等の締結手段により固定されるようにしている。
【0044】
次に、梁部材分割体14a、14b間の接合構造について図4、図5を参照して説明する。
【0045】
図4は、梁部材分割体14a、14bを車幅方向から視た断面図であり、部分AA、部分ABは実質的に同一構造を有している。図5に部分AAの部分拡大図を示して、部分AAの構造について説明する。なお、部分ABの構造の説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、上下の梁部材分割体14a、14bが互いの端面140a、140bを直接合わせるように組み合わせて端面140a、140bの間が接合されている。ここで、上側の梁部材分割体14aは、その断面L字状に形成されるL字部141を有し、このL字部141と下側の梁部材分割体14bとを組み合わせて断面コ字状を形成している。
【0047】
そして、上下のダクト分割体14c、14dは、互いの端面140c、140dを断面コ字状部分の内側で合わさせるように組み合わせて端面140c、140dの間が密着されている。このことにより、ダクト分割体14c、14dの端面140c、140d間の密着部分161が、梁部材分割体14a、14bの端面140a、140b間の接合部分160とセンタフェイス通路25cとの間に位置する。また、ダクト分割体14dの車両前側の内側角部(図4中符号AC参照)は、断面湾曲状に形成されて、空調空気の空気流れが淀む領域、すなわち死水領域が生じることを抑制している。
【0048】
次に、第1実施形態による車両空調用ダクト構造の形成方法を具体的に説明する。
【0049】
先ず、上下の梁部材分割体14a、14bとしては、金属製のシート状素材から所定の大きさの矩形状(半筒形状の展開形状)に外形をそれぞれ切断し、この切断された矩形状のシート部材を、図1に示すように、半筒形状にそれぞれ曲げ加工して形成する。
【0050】
次に、上側の梁部材分割体14aに対して開口部22a、22b、23a、23bの穴開け加工し、下側の梁部材分割体14bに対して開口部20a、20b、21a、21bの穴開け加工する。
【0051】
次に、下側の梁部材分割体14bに対して開口部20a、20b、21a、21bをマスキングするために、開口部20a、20b、21a、21bを外から覆うように梁部材分割体14bに対してテープ等の治具を貼り付ける。
【0052】
次に、下側の梁部材分割体14bの底壁および内側壁に流動状態の発泡樹脂材料をスプレーガン400によって吹き付けて凝固させる。このことにより、下側の梁部材分割体14bの内側にダクト分割体14dが成形されることになる。
【0053】
次に、図6(a)に示すように、下側の梁部材分割体14bの外側に壁成形用治具300を配置し、この壁成形用治具300の壁面に流動状態の発泡樹脂材料をスプレーガン400によって吹き付けて凝固させて閉壁26aを成形する。さらに、壁成形用治具301を配置してこの治具301の壁面に流動状態の発泡樹脂材料をスプレーガン400によって吹き付けて凝固させて通風路仕切壁24aを成形する。
【0054】
次に、図6(b)に示すように、梁部材分割体14bの内側に壁成形用治具304を配置して、この治具304の壁面に流動状態の発泡樹脂材料をスプレーガン400によって吹き付けて凝固させて通風路仕切壁24bを成形する。
【0055】
次に、図6(c)に示すように、梁部材分割体14bの内側に壁成形用治具302を配置して、この治具302の壁面に流動状態の発泡樹脂材料をスプレーガン400によって吹き付けて凝固させて通風路仕切壁24cを成形する。そして、梁部材分割体14bの外側に壁成形用治具303を配置してこの治具303の壁面に流動状態の発泡樹脂材料をスプレーガン400によって吹き付けて凝固させて閉壁26bを成形する。
【0056】
以上により、通風路仕切壁24a、24b、24cおよび閉壁26a、26bが、図6(d)に示すように、ダクト分割体14dに対して一体成形されることになる。その後、開口部20a、20b、21a、21bからテープ等の治具を外して、開口部20a、20b、21a、21bを開口させる。なお、壁成形用治具300、301、302、303、304の壁面には、離ケイ材が塗布されている。
【0057】
次に、上側の梁部材分割体14aに対して、開口部22a、22b、23a、23bをマスキングするために、開口部22a、22b、23a、23bを外から覆うように梁部材分割体14aに対してテープ等の治具を貼り付ける。
【0058】
次に、図7(a)、(b)に示すように、スプレーガン400により上側の梁部材分割体14aの底壁および内側壁に流動状態の発泡樹脂材料を吹き付けて凝固させる。このことにより、上側の梁部材分割体14aの内側にダクト分割体14cが成形されることになる。その後、開口部22a、22b、23a、23bからテープ等の治具を外して、開口部22a、22b、23a、23bを開口させる。
【0059】
次に、ダクト分割体14c、14dが互いに対向するように下側梁部材分割体14bに対して上側の梁部材分割体14aを向かい合わせる。そして、互いの端面140a、140bを合わせるように組み合わせる。これに伴い、通風路仕切壁24a、24b、24cおよび閉壁26a、26bの各先端部を、上側のダクト分割体14cの天井壁に対して突き合わせて圧縮させて密着させる。その後、端面140a、140b間をボルト等の接合手段により接合する。
【0060】
以上により、ダクト分割体14c、14dの互いの端面が密着して筒状のダクトが成形されて、さらに、このダクト内で、センタフェイス通路25a、25b、サイドフェイス通路25c、25dがそれぞれ分離されることになる。
【0061】
以下、本実施形態の特徴につき述べる。すなわち、梁部材14に内包される車両空調ダクト構造であって、梁部材14の内側に配設されるダクト分割体14c、14dと、ダクト分割体14c、14dにより形成される中空部を、センタフェイス通路25a、25b、サイドフェイス通路25c、25dに仕切るための仕切壁部24a、24b、24cとを備える。そして、仕切壁部24a、24b、24cを、ダクト分割体14dと一体成型する。したがって、仕切壁部24a、24b、24cをダクト分割体14に対して別部品とする場合に比べて、部品点数の増加を抑制できる。
【0062】
また、ダクト部材の中空部、すなわちサイドフェイス通路25c、25dを閉じるための閉壁部26a、26bを、ダクト分割体14dと一体成型するので、部品点数の増加をより一層抑制できる。
【0063】
本実施形態では、ダクト分割体14c、14dの端面間の密着部分161が、梁部材分割体14a、14bの端面間の接合部分160とサイドフェイス通路25cとの間に配置されるように構成されている。このため、サイドフェイス通路25cからの空気がダクト分割体14c、14dの端面間から漏れることを抑制できるため、サイドフェイス通路25c、25dに対する断熱性を良好にすることができる。
【0064】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、梁部材分割体14a、14bに対して流動状態の発泡樹脂材料を吹き付けて、ダクト分割体14c、14d、通風路仕切壁24a、24b、24cおよび閉壁26a、26bを成形するものを示したが、本実施形態では、これに代えて、発泡樹脂材料の注入成形(すなわちインサート成形)によりダクト分割体14c、14d、通風路仕切壁24a、24b、24cおよび閉壁26a、26bを成形する。
【0065】
すなわち、図8(a)に示すように、開口部20a、20b、21a、21bをマスキングするための下型310を下側の梁部材分割体14bに対して組み合わせて、さらに、下側の梁部材分割体14bに対して所定空所(図8(a)中にて空白で示す)を形成するように上型320を組み合わせる。所定空所は、通風路仕切壁24a、24b、24cおよび閉壁26a、26b、ダクト分割体14dに相当するもので、その後、注入口330(ゲート)から所定空所内に流動状態の発泡樹脂材料を注入して凝固させる。
【0066】
これにより、上型320および下型310の間で、下側の梁部材分割体14bに対して、通風路仕切壁24a、24b、24c、閉壁26a、26bおよびダクト分割体14dが一体成形されることになる。その後、上型320および下型310を下側の梁部材分割体14bから外すと、図8(b)に示すように、通風路仕切壁24a、24b、24c、閉壁26a、26bおよびダクト分割体14dが完成することになる。
【0067】
また、上側の梁部材分割体14aに対しても図示しない上型および下型を組み合わせて、所定空所を形成しその所定空所内に流動状態の発泡樹脂材料を注入して凝固させる。その後、上型および下型を上側の梁部材分割体14aから外すと、上側の梁部材分割体14aに対してダクト分割体14cが成形されることになる。
【0068】
(第3実施形態)
上記第1、第2実施形態では、通風路仕切壁24a、24b、24cおよび閉壁26a、26bをダクト分割体14cに対して一体成形されるようにしたものを示したが、これに代えて、図9に示すように、閉壁26a、26bだけをダクト分割体14dに対して一体成形して、通風路仕切壁24a、24b、24cの役割を果たす仕切箱5をダクト分割体14dに対して別体として用いるようにしてもよい。
【0069】
(第4実施形態)
本第4実施形態では、第1実施形態での構成に対して、図10に示すように、通風路仕切壁27を追加するものを示す。通風路仕切壁27は、ダクト分割体14dに対して一体成形されたものであって、サイドフェイス通路25cを梁部材14の幅方向に2つの通風路250bに分離する。図10中の矢印Yは、梁部材14の幅方向を示している。
【0070】
ここで、一方の通風路250bは、上記第1実施形態で示すサイドフェイス通路25cと同様に、開口部21aおよびサイドフェイス出口開口部23aを接続する。そして、他方の通風路250bは、空調ユニット13のデフロスタ開口部19と計器盤10のデフロスタ吹出口9とを接続する。
【0071】
また、通風路仕切壁27およびダクト分割体14dの間に形成される内側角部ADは、断面湾曲状に形成されて、空調空気の流れが淀む領域、すなわち死水領域が生じることを抑制している。
【0072】
(第5実施形態)
上記各実施形態では、ダクト分割体14c、14d間を突き合わせて圧縮させて互いを密着させるものを示したが、本第5実施形態では、これに代えて、ダクト分割体14c、14d間を凝固力により互いを密着させるものを示す。この場合の空調ダクト構造を図11に示す。
【0073】
本実施形態の空調ダクト構造では、図1に示す梁部材14(梁部材分割体14a、14b)に代えて、図11に示す梁部材14が用いられる。本実施形態の梁部材14は、図4、図12に示すように、図1に示す梁部材14と断面形状が異なるだけで実質的に同様である。
【0074】
また、本実施形態では、図1に示すダクト分割体14c、14dに代えて、図11に示すダクト分割体14c、14dが用いられる。本実施形態のダクト分割体14c、14dは、図4、図12に示すように、図1に示すダクト分割体14c、14dと断面形状が異なるだけで実質的に同様である。なお、図11、図12において、図1、図4中の符号と同一符号のものは、実質的同一或いは同一物を示す。
【0075】
以上のように構成された本実施形態では、次のように空調ダクト構造を形成する。
【0076】
すなわち、図13(a)に示すように、上側の梁部材分割体14aの内側に対して流動状態の発泡材料をスプレーガン400により吹きつけ、下側の梁部材分割体14bの内側に対して流動状態の発泡材料をスプレーガン400により吹きつける。これにより、上側の梁部材分割体14aに対して流動状態のダクト分割体14cが配設され、下側の梁部材分割体14bに対して流動状態のダクト分割体14dが配設されることになる。
【0077】
次に、図13(b)に示すように、ダクト分割体14c、14dが互いに流動状態のまま対向するように下側の梁部材分割体14bに対して上側の梁部材分割体14aを向かい合わせる。そして、下側の梁部材分割体14bの端面140bに対して、図13(c)に示すように、上側の梁部材分割体14aの端面140aを当接させる。
【0078】
ここで、ダクト分割体14c、14dの端面140e、140f(図13(a)参照)を、互いに流動状態のまま突き合わせる(図13(b)中の符号B参照)。このことにより、ダクト分割体14c、14dの互いの端面が発泡材料の凝固力により密着する。その後、梁部材分割体14a、14bの端面140a、140b間を、直接に当接した状態において、ボルト等の接合手段により接合する。
【0079】
(第6実施形態)
本第6実施形態では、図14、図15に示すように、上記第5実施形態に示すダクト分割体14c、14dにその中空部の長手方向の端部を閉じる閉壁260a、260bを追加するものを示す。
【0080】
この場合、図16(a)〜(d)に示すように、梁部材分割体14a、14bの内側に対して流動状態の発泡材料をスプレーガン400により吹きつけ、梁部材分割体14a、14bに対して流動状態のダクト分割体14c、14dを成形する。
【0081】
次に、図16(a)、(b)に示すように、上側の梁部材分割体14aの両側に成形用治具500、501を配置し、これら成形用治具500、501の表面に流動状態の発泡材料をスプレーガン400により吹きつけ流動状態の壁260aを成形する。
【0082】
次に、図16(c)、(d)に示すように、下側の梁部材分割体14bの両側に成形用治具500、501を配置し、これら成形用治具500、501の表面に流動状態の発泡材料をスプレーガン400により吹きつけ流動状態の壁260bを成形する。
【0083】
次に、図17に示すように、ダクト分割体14c、14dが互いに流動状態のまま対向するように下側の梁部材分割体14bに対して上側の梁部材分割体14aを向かい合わせる。そして、下側の梁部材分割体14bの端面140bに対して、図17に示すように、上側の梁部材分割体14aの端面140aに当接させる。
【0084】
ここで、ダクト分割体14c、14dの端面140e、140f(図16参照)を、互いに流動状態のまま突き合わせる(図17中の符号B参照)。このことにより、ダクト分割体14c、14dの互いの端面140e、140fが発泡材料の凝固力により密着する。これに伴い、閉壁260a、260bの端部261、262を互いに流動状態のまま突き合わせる。このことにより、閉壁260a、260bは、端部261、262が発泡材料の凝固力により密着する。これにより、端部261、262間を発泡材料の凝固力により密着させるので、接着材等を用いることなく、端部261、262間を繋げることができる。その後、梁部材分割体14a、14bの端面140a、140b間を、直接当接した状態において、ボルト等の接合手段により接合する。
【0085】
(他の実施形態)
なお、上記第1実施形態において、閉壁26a、26b、通風路仕切壁24a、24b、24cをダクト分割体14dに一体成形したものを示したが、これに限らず、閉壁26a、26b、通風路仕切壁24a、24b、24cのいずれかをダクト分割体14dに一体成形して、残りをダクト分割体14cに一体成形するようにしてもよい。
【0086】
また、上記第6実施形態において、閉壁260a、260b、通風路仕切壁24a、24b、24cをダクト分割体14dに一体成形したものを示したが、これに限らず、閉壁260a、260b、通風路仕切壁24a、24b、24cのいずれかをダクト分割体14dに一体成形して、残りをダクト分割体14cに一体成形するようにしてもよい。
【0087】
さらに、上述した実施形態では、図4に示すように、ダクト分割体14dの内側角部(AC)が断面湾曲状に成形され、図10に示すように、仕切壁部27とダクト分割体14dとにより形成される内側角部が断面湾曲状に成形されるようにして、空気の流れが滞る死水領域が生じることを抑制しているが、これに加えて、閉壁部260a(或いは閉壁部260b)とダクト分割体14dとにより形成される内側角部が断面湾曲状に成形されるようにして、空気の流れが滞る死水領域が生じることを抑制するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空調ダクト構造の第1実施形態を示す分解図である。
【図2】図1に示す車両用空調ダクト構造が適用される計器盤を示す図である。
【図3】図1の下側の梁部材分割を示す断面図である。
【図4】図1の梁部材を示す断面図である。
【図5】図4中の領域ABの部分拡大図である。
【図6】図1の空調ダクト構造の形成の説明図である。
【図7】図1の空調ダクト構造の形成の説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態の空調ダクト構造の形成の説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態の空調ダクト構造を示す図である。
【図10】本発明の第4実施形態の空調ダクト構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態の空調ダクト構造を示す図である。
【図12】図11中矢印Aのように視た断面図である。
【図13】図11の空調ダクト構造を形成の説明図である。
【図14】本発明の第6実施形態の空調ダクト構造を示す図である。
【図15】図14中矢印Aのように視た断面図である。
【図16】図14の空調ダクト構造を形成の説明図である。
【図17】図14の空調ダクト構造を形成の説明図である。
【図18】図14の空調ダクト構造を形成の説明図である。
【図19】空調ダクト構造を示す分解図である。
【符号の説明】
14…梁部材、141…ダクト部材、
14a、14b…梁部材分割体、150a、150b…半筒部、
14c、14d…ダクト分割体。
Claims (6)
- 梁部材(14)に内包される車両空調ダクト構造であって、
前記梁部材の長手方向に分割された少なくとも2つの梁部材分割体(14a、14b)と、
前記2つの梁部材分割体のそれぞれ内側の表面上にて断熱材により半筒状に形成されて、それぞれを筒状に組み合わせて空気通路(25c)を形成する少なくとも2つのダクト分割体(14c、14d)とを備え、
前記2つの梁部材分割体が互いの端面を合わせるように組み合わせて当該端面間が接合されているものであり、
前記ダクト分割体が互いの端面を合わせるように組み合わせて当該端面間が密着されているものであり、
前記ダクト分割体の端面間の密着部分(161)が、前記梁部材分割体の端面間の接合部分(160)に隣接する部位に形成された空間内に配置されることによって、前記接合部分(160)と前記空気通路との間に位置することを特徴とする車両空調ダクト構造。 - 前記2つの梁部材分割体のうち一方の梁部材分割体は、断面L字状のL字状部分(141)を有するものであり、
前記2つの梁部材分割体のうち前記一方の梁部材分割体以外の他方の梁部材分割体と前記L字状部分を組み合わせて断面コ字状の部分を形成し、
前記断面コ字状の部分によって、前記接合部分(160)に隣接する部位に形成された空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両空調ダクト構造。 - 前記2つのダクト分割体は、互いの端部(140c、140d)を突き合わせて圧縮させて前記端面間が密着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両空調ダクト構造。
- 前記2つのダクト分割体は、発泡材料により成形されたもので、互いの端部が前記発泡材料の凝固により前記端面間を密着させていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両空調ダクト構造。
- 前記2つのダクト分割体は、互いの端部を突き合わせて前記凝固により前記端面間を密着させていることを特徴とする請求項4に記載の車両空調ダクト構造。
- 前記2つのダクト分割体のうち一方には、前記空気通路を閉じるための壁部(26a、26b)を有するものであり、
前記2つのダクト分割体のうち他方のダクト分割体と前記壁部とは、互いを突き合わせて前記凝固により密着させていることを特徴とする請求項4に記載の車両空調ダクト構造。
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