JP4364571B2 - レゾルバ信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レゾルバ信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるレゾルバは、励磁コイルおよび検出コイルを有しており、励磁コイルに励磁信号を印加し、検出コイルに発生する電圧を検出し、この検出した信号に基づいて励磁コイルと検出コイルとの角度位置を検出する。このレゾルバでは、一つの座標系の座標値で位置を検出して位置信号に変換する、いわゆるアブソリュート式のものが知られている。
アブソリュート式のレゾルバでは、主電源をレゾルバの信号処理回路に供給していない停電時においても、回転量を検出しこれを記憶するバックアップ機能を有する。すなわち、レゾルバが停電時に何らかの理由で回転した場合に、この停電時の回転量を検出し記憶しておかないと、主電源を投入時に絶対的な座標値を認識することができなくなるからである。
停電時におけるバックアップ機能をもつレゾルバとしては、たとえば、特許文献1〜特許文献3等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−214617号公報
【特許文献2】
特許第3248201号
【特許文献3】
特許第3224919号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の特許文献1〜3に開示された技術では、バックアップ時にパルス状の励磁信号によって停電時に回転量を検出する。
しかしながら、レゾルバのコイル巻線はインダクタンス成分が多く、励磁信号のパルス幅によって励磁電流が大きく変化する。励磁電流の増加は、バックアップ用の電池の消耗を早める。
一方、励磁信号のパルス幅を短くすると、レゾルバとドライバ間のケーブルが長くなると正確に回転量データを取得できなくなる可能性がある。また、S/N比についても劣化する可能性がある。
このため、従来においては、励磁信号の発生周波数を低くしたり、ケーブル長を制限するなどの方法により、バックアップ時の電力消費量の低減を図っていた。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、その目的は、バックアップ時に消費する電力を抑制できるレゾルバ信号処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のレゾルバ信号処理装置は、相対回転可能な第1および第2のコイルを有するレゾルバの信号処理を行うレゾルバ信号処理装置であって、前記レゾルバと接続され、主電源からの電力の供給が遮断されているときにバックアップ電源から電力の供給を受けて動作するバックアップ回路を有し、前記バックアップ回路は、前記第1のコイルおよび第2のコイルの一方へ、励磁するための所定周期のパルス状の励磁信号を供給するパルス発生手段を有し、前記パルス発生手段は、前記パルス状の励磁信号を供給した後に、前記励磁信号と極性が反対で、かつ前記励磁信号のパルス幅よりも短いパルス幅の補助信号を前記励磁信号が供給されたコイルへ供給する。
【0007】
好適には、前記パルス発生手段は、前記励磁信号が供給されるべきコイルの両端を基準電圧線と電源電圧線とに選択的に接続するパルス発生回路を有する。
【0008】
前記パルス発生回路は、前記励磁信号が供給されるべきコイルの一端を前記電源電圧線に接続し、所定時間経過したのちに前記基準電圧線に接続することにより前記励磁信号を供給し、前記コイルの一端の接続を前記電源電圧線から前記基準電圧線へ変更するタイミングで前記コイルの他端を前記基準電圧線から前記電源電圧線へ接続し、所定時間経過したのちに前記基準電圧線へ接続することにより前記補助信号を供給する。
【0009】
本発明では、パルス発生手段が励磁信号を第1および第2のコイルの一方に供給すると、供給されたコイルにはバックアップ電源から励磁電流が供給される。このとき、コイルにはエネルギーが蓄えられる。励磁信号の供給が完了すると、コイルに蓄えられたエネルギーは、放出を開始する。このとき、コイルの他端は基準電圧線から電源電圧線へ接続されるため、コイルから放出される電流は電源電圧線に流れ、電源へ回収される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
レゾルバ信号処理装置1は、バックアップ回路2と、角度変換回路12とを有する。
バックアップ回路2は、ケーブル30によってレゾルバ120に電気的に接続されている。また、角度変換回路12は、レゾルバ120のコイル122と電気的に接続されている。
【0011】
バックアップ回路2は、パルス発生回路3と、非停電時励磁データ保持部4と、停電時励磁データ保持部5と、停電検知回路6と、差動入力アンプ7と、コンパレータ8と、回転量検出部9と、断線検知回路11とを有する。
【0012】
レゾルバ120は本発明のレゾルバ、パルス発生回路3は本発明のパルス発生回路、回転量検出部9は本発明の回転量検出手段、断線検知回路11は本発明の断線検知手段、主電源25は本発明の主電源、および、バックアップ電源21は本発明のバックアップ電源のそれぞれ一実施態様である。
【0013】
レゾルバ120は、2相の励磁コイル121A,121Bと、1相の検出コイル122とを有する。励磁コイル121A,121Bと検出コイル122とは、本発明の第1および第2のコイルの一実施態様である。
励磁コイル121A,121Bは、レゾルバ120の図示しないステータ側に設けられたコイルであり、励磁コイル121A,121Bは電気的に位相が90°異なる位置に配置されている。
励磁コイル121Aは、パルス発生回路3の出力端A1およびA3に接続されている。励磁コイル121Bは、パルス発生回路3の出力端A2およびA4に接続されている。
【0014】
検出コイル122は、レゾルバ120の図示しないロータ側に設けられたコイルである。なお、ロータの基準位置からの機械的な回転角度をθとする。
励磁コイル121A,121Bに励磁信号を印加すると、検出コイル122の両端部R1,R2の間に、回転角度θに応じた電圧が発生する。
【0015】
角度変換回路12は、検出コイル122の両端がそれぞれ電気的に接続され、検出コイル122のR1端子側とR2端子側の間に発生する電圧が入力される。角度変換回路12は、回転角度θに応じた電圧が入力されると、回転角度θに応じた回転角度信号RDを生成し、コントローラ100に出力する。コントローラ100は、これにより、回転角度θを認識することができる。
角度変換回路12は、主電源25から電力が供給されることにより動作する。したがって、主電源25からの電力供給が遮断されると、角度変換回路12は動作しない。
なお、コントローラ100と角度変換回路12との間は、たとえば、データバスで接続されており、角度変換回路12のデータはこのデータバスを通じてコントローラ100へ送信されるが、コントローラ100と角度変換回路12とが離れている場合には、シリアル通信により角度変換回路12からコントローラ100へデータを送信することもできる。
【0016】
主電源25は、バックアップ回路2、角度変換回路12およびコントローラ100へ電力を供給する。
制御電源140は、主電源25へ電力を供給する。したがって、制御電源140がオフすると、主電源25からバックアップ回路2、角度変換回路12およびコントローラ100への電力供給は遮断される。
制御電源停電検知回路110は、制御電源140がオフされたことを検知し、この検知信号110sをコントローラ100へ出力する。
【0017】
電源切換回路130は、バックアップ回路2への電力供給を、主電源25とバックアップ電源21との間で切り換える回路である。具体的には、主電源25からバックアップ回路2への電力供給が遮断されると、電源切換回路130は、バックアップ電源21からの電力をバックアップ回路2へ供給する。また、電源切換回路130は、主電源25からの電力供給が再開されると、バックアップ電源21からバックアップ回路2への電力供給を遮断し、バックアップ回路2へ主電源25からの電力を供給する。
バックアップ回路2は、電源部21の主電源25からの電力の供給が遮断されると、バックアップ電源21により動作する回路である。
【0018】
パルス発生回路3は、主電源25から電力の供給を受けているときには、非停電時励磁データ保持部4に記憶された励磁データに基づいて、パルス状の励磁信号を励磁コイル121A,121Bに供給する。
また、パルス発生回路3は、コントローラ100から励磁切換信号100asが入力されると、停電時励磁データ保持部5に記憶された励磁データに基づいて、所定周期のパルス状の励磁信号を励磁コイル121A,121Bに供給する。さらに、パルス発生回路3は、停電時励磁データ保持部5に記憶された励磁データに基づいて所定周期のパルス状の励磁信号を出力している間に、停電検知回路6から検出信号6sが入力されると、励磁周期を所定倍、たとえば、16倍に延ばして励磁信号を出力する。
【0019】
非停電時励磁データ保持部4は、パルス発生回路3が主電源25から電力の供給を受けているときに、パルス発生回路3から出力すべき励磁信号の励磁データを保持している。
停電時励磁データ保持部5は、主電源25からのパルス発生回路3への電力供給が遮断され、バックアップ電源21から電力を受けているときに、パルス発生回路3から出力すべきパルス状の励磁信号のデータおよびパルス状の補助信号のデータを保持している。
【0020】
ここで、図2にパルス発生回路3の出力段の回路構成の一例を示す。
パルス発生回路3の出力段は、電源電圧線Vccと基準電圧線GNDとの間に直列に接続された、トランジスタTr1,Tr2およびトランジスタTr3,Tr4を有する。
励磁コイル121Aの一端は、トランジスタTr1,Tr2の間に接続され、励磁コイル121Aの他端は、トランジスタTr3,Tr4の間に接続されている。なお、Rは配線のもつ抵抗成分である。
電源電圧線Vccは、バックアップ電源21から供給され、バックアップ電源21と同じ電源電圧あるいは所定の電源電圧に調整されている。
基準電圧線GNDは、接地レベルあるいは所定の基準電圧を供給する。
パルス発生回路3では、トランジスタTr1〜Tr4を非停電時励磁データ保持部4または停電時励磁データ保持部5のデータに基づいて制御することにより、パルス発生回路3の出力端A1〜A4の電圧が電源電圧と基準電圧との間で変更され、パルス状の励磁信号あるいは補助信号を発生する。
【0021】
停電検知回路6は、主電源25からバックアップ回路2への電力の供給が遮断されたことを検出する。停電検知回路6は、主電源25からバックアップ回路2への電力の供給が遮断されたことを検出すると、検出信号6sをパルス発生回路3へ出力する。
【0022】
ここで、図3に、パルス発生回路3において、非停電時励磁データ保持部4に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す。
パルス発生回路3は、VA =V0 sinω0 tで表されるサイン波信号をパルス幅変調したパルス状の励磁信号VpaをA1およびA3から出力し、励磁信号Vpaを励磁コイル121Aに印加する。
また、パルス発生回路3は、励磁信号Vpaの場合と同様に、VB =V0 cosω0 tで表されるコサイン波信号をパルス幅変調したパルス状の励磁信号Vpbを出力端A2およびA4から出力し、この励磁信号Vpbを励磁コイル121Bに印加する。
なお、パルス幅変調された励磁信号Vpa、Vpbのキャリア周波数は、たとえば、数十kHzの高周波である。
【0023】
励磁信号Vpa,Vpbを励磁コイル121A,121Bに印加すると、検出コイル122には、e=kV0 sin(ω0 t+θ)で表される電圧が誘起される。角度変換回路12には誘起電圧eが入力され、角度変換回路12はこの誘起電圧eに基づいて回転角度θを検出する。回転角度θは、A相およびB相のパルス信号として角度変換回路12からコントローラ100へ出力される。コントローラ100では、A相およびB相のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下がりをカウントすることにより、回転角度θをディジタルデータとして得ることができる。
【0024】
次に、図4にパルス発生回路3において、停電時励磁データ保持部5に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号および補助信号の一例を示す。
パルス発生回路3は、コントローラ100から励磁切換信号100asを受け取ると、図4に示すように、パルス幅T2 の励磁信号PaおよびPbを所定周期T1 で発生し、出力端A1およびA2からそれぞれ励磁コイル121Aと121Bとに出力する。また、励磁信号Paと励磁信号Pbとの間には、位相T3 が存在する。
さらに、パルス発生回路3は、励磁信号Pa,Pbの発生毎に、補助信号Psa,Psbを発生し、出力端A3およびA4からそれぞれ励磁コイル121Aと121Bとに出力する。
補助信号Psa,Psbは、励磁信号Pa,Pbの立ち下がりのタイミングで出力される。この補助信号Psa,Psbは、励磁信号Pa,Pbに対して極性が反対の信号である。すなわち、励磁信号Pa,Pbは、励磁コイル121A,121Bの端部S1,S2側から印加されるが、補助信号Psa,Psbは励磁コイル121A,121Bの端部S3,S4側から印加される。
また、補助信号Psa,Psbのパルス幅T4 は、励磁信号Pa,Pbのパルス幅T2 よりも短い。
補助信号Psa,Psbは、後述するように、パルス発生回路3の消費電力を低減するための信号である。
【0025】
パルス発生回路3は、励磁切換信号100asを受けとった後、停電検知回路6から検出信号6sが入力されると、検出信号6sが入力されてから所定時間経過後、たとえば、9秒経過後、上記の周期T1 を16倍にした励磁信号PaおよびPbを発生する。
停電検知回路6から検出信号6sが入力され、所定時間が経過したときには、バックアップ回路2は、バックアップ電源21から電力の供給を受けている。
具体的には、延長後の周期T1 は、たとえば、125μsである。励磁信号PaおよびPbの周波数は、4kHz程度であり、上記したパルス発生回路3が主電源25から電力供給を受けているときのキャリア周波数よりも低い。励磁信号PaおよびPbの周波数を低く抑えることにより、消費電力を抑制することが可能となる。
パルス幅T2 は、たとえば、7μs程度である。位相T3 は、たとえば、60μs程度である。
【0026】
コントローラ100は、たとえば、レゾルバ120をモータ等の制御対象の回転軸に取り付けたときに、レゾルバ120(角度変換回路12)から回転軸の回転角度θの情報を得て、この回転角度θの情報に基づいて制御対象を制御する。
コントローラ100は、主電源25から電力を受けて動作する。
また、コントローラ100は、制御電源停電検知回路110から検知信号110sを受けると、角度変換回路12からレゾルバ120の角度を読み取り、絶対値座標のバックアップを行った後、パルス発生回路3へ励磁切換信号100asを出力する。励磁切換信号100asは、非停電時励磁データ保持部4と停電時励磁データ保持部5に記憶されたデータのうち、パルス発生回路3が読み取るべきデータを決定するための信号である。
【0027】
差動入力アンプ7は、励磁信号PaおよびPbに応じて、検出コイル122に発生した誘起電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する。差動入力アンプ7を用いて増幅すると、特に、ケーブル30が長い時に、ハムなどのコモンモードノイズを除去する効果がある。
【0028】
コンパレータ8は、差動入力アンプ7の出力電圧を上記した基準電圧と異なるコンパレート電圧でコンパレートし、コンパレート信号を回転量検出部9へ出力する。
回転量検出部9は、コンパレータ8からのコンパレート信号を、たとえば、励磁信号Paおよび励磁信号Pbの励磁タイミングに基づくラッチタイミングでラッチする。そして、得られたA相信号およびB相信号から、レゾレバ120のステータに対するロータの回転量を検出し、これを記憶する。
【0029】
図5に、差動入力アンプ7およびコンパレータ8の回路の一例を示す。
図5に示すように、差動入力アンプ7は、抵抗R1,R2,R3と、オペアンプ200とで構成されている。また、コンパレータ8は、抵抗R4,R5,R6と、オペアンプ201とで構成されている。
オペアンプ200の正入力および負入力には、抵抗R2を介して検出コイル122の端部がそれぞれ接続されている。オペアンプ200は、正入力および負入力の間の電圧差を増幅する。
オペアンプ200の正入力は、抵抗R3を介して基準電圧Vbの供給線に接続されている。
オペアンプ200の出力は、抵抗R3を介してオペアンプ200の負入力に帰還されている。
抵抗R1は検出コイル122に並列に接続されている。
【0030】
オペアンプ201の負入力には、オペアンプ200の出力が接続されている。オペアンプ201の出力は、抵抗R5を介してオペアンプ201の正入力に帰還されている。
オペアンプ201の正入力には、抵抗R6を介してコンパレート電圧Vsの供給線に接続されている。
オペアンプ201の出力は、抵抗R4を介して、電圧Vccを供給する電源に接続されている。この電源は、回転量検出部9を構成するロジック回路に電力を供給する。
オペアンプ201は、正入力および負入力の間の電圧差を増幅する。
【0031】
基準電圧Vbは、たとえば、1.5Vであり、これに対して、コンパレート電圧Vsはこの基準電圧Vbに対して微小電圧、たとえば数百mVだけ高いか、あるいは低い電圧に設定される。具体的には、コンパレート電圧Vsは、たとえば、1.4Vに設定される。
差動入力アンプ7では、基準電圧Vbを基準として、検出コイル122に発生した誘起電圧が増幅される。
コンパレータ8では、差動入力アンプ7の出力電圧がコンパレート電圧Vsによってコンパレートされる。
【0032】
断線検知回路11は、コンパレータ8の出力するコンパレート信号COMPに基づいて、バックアップ回路2とレゾルバ120とを結ぶケーブル30の断線、あるいは、バックアップ回路2とレゾルバ120との間に用いられているコネクタの脱落による、バックアップ回路2とレゾルバ120との接続経路の遮断を検知する。
断線検知回路11は、ケーブル30の断線等を検知し、検知信号11sをコントローラ100へ出力する。
【0033】
次に、上記構成のレゾルバ信号処理装置1の動作の一例について説明する。
制御電源140のオン時
制御電源140をオンすると、主電源25が投入される。主電源25が投入されると、角度変換回路12やコントローラ100が動作可能となる。また、バックアップ回路2も電源切換回路130により、主電源25から電力供給を受けることになる。また、パルス発生回路3は、停電検知回路6からの検知信号6sが解除される。
コントローラ100のリセットが解除されると、コントローラ100は、回転量検出部9より停電中の回転量rdを読みだす。これにより、コントローラ100は、たとえば、主電源25からの電力供給が遮断されている間に制御対象が回転したような場合に、この制御対象の回転量を取得することができる。
コントローラ100は、回転量検出部9より停電中の回転量rdを読みだしたのち、励磁切換信号100asをパルス発生回路3へ出力する。
【0034】
パルス発生回路3は、停電時励磁データ保持部5から非停電時励磁データ保持部4へ切り換え、図3に示した、パルス幅変調された励磁信号Vpa、Vpbを励磁コイル121A,121Bに供給する。
次いで、コントローラ100は、角度変換回路12から現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。この回転角度θは、ロータの360°内での回転位置を示すデータである。
コントローラ100は、回転量検出部9に記憶された回転量rdと、角度変換回路12からの回転角度信号RDとにより、制御対象の絶対的な座標値を認識することが可能となる。
【0035】
制御電源140のオフ時
制御電源140がオフされると、制御電源停電検知回路110がこれを検知し、検知信号110sをコントローラ100へ出力する。
コントローラ100は、検知信号110sを受けて、角度変換回路12からレゾルバ120の現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。コントローラ100は、回転角度θに基づいて、絶対値座標のバックアップを行う。これにより、コントローラ100には、制御電源140をオフしたときの絶対値座標が記憶される。
【0036】
さらに、コントローラ100は、励磁切換信号100asをパルス発生回路3へ出力する。
パルス発生回路3は、励磁切換信号100asを受けると、読み取るデータを非停電時励磁データ保持部4から停電時励磁データ保持部5に切り換える。これにより、レゾルバ120へは、図4に示した励磁信号Pa,Pbおよび補助信号Psa,Psbが供給される。
この後、主電源25の供給電圧が低下し、バックアップ回路2は、電源切換回路130により、主電源25に代えてバックアップ電源21から電力の供給を受けることになる。
【0037】
主電源25の供給電圧が低下すると、停電検知回路6がこれを検知し、検知信号6sをパルス発生回路3に出力する。
パルス発生回路3は、検知信号6sを受けた後、所定時間(たとえば、9秒)が経過すると、図4に示した励磁信号Pa,Pbの周期T1 を所定倍(たとえば、16倍)に延ばす。
【0038】
図6は、励磁信号Pa,Pbを励磁コイル121A,121Bへ供給したときに、検出コイル122に発生する誘起電圧の回転角度θに応じた変化例を示す図である。なお図6に示す出力電圧は、差動入力アンプ7の出力である。
図6に示すように、検出コイル122に発生する誘起電圧は、ロータの回転角度θに応じて変化する。すなわち、励磁信号PaおよびPbは、ロータの回転角度θに応じて変調される。
また、図6から分かるように、パルス状の励磁信号Pa,Pbに対する検出コイル122に発生する電圧波形の過渡応答には、検出コイル122の出力インピーダンスとバックアップ回路2により、円で示すようにオーバシュート(アンダーシュート)が発生する。
一方、ケーブル30の断線やコネクタの脱落により接続経路が遮断されていると、励磁信号Pa,Pbに対する応答は発生しない。
【0039】
差動入力アンプ7の出力電圧は、コンパレータ8によって、コンパレート電圧Vsでコンパレートされる。
図6に示したように、パルス状の励磁信号Pa,Pbに対して検出コイル122に発生する電圧波形には、基準電圧Vbに対してオーバシュート(アンダーシュート)が発生する。
仮に、差動入力アンプ7の出力電圧に、基準電圧Vbに対するオーバシュート(アンダーシュート)が発生せず、かつ、差動入力アンプ7の出力電圧を基準電圧Vbでコンパレートしたとする。図6に示した回転角度θが0°、270°、315°、360°のような波形にオーバシュート(アンダーシュート)が発生しないと、基準電圧Vbによるコンパレート信号は変化せず、一定のままである。すなわち、差動入力アンプ7の出力電圧が基準電圧Vbに対して一方側にのみ変化した場合には、そのコンパレート信号は、断線時と同じとなる。
【0040】
本実施形態では、コンパレータ8のコンパレート信号COMPに基づいて、ケーブル30の断線あるいはコネクタの脱落の有無を判断する。このため、非断線時のコンパレート信号と断線時のコンパレート信号とが同じであると、ケーブル30の断線あるいはコネクタの脱落の有無を判断することができない。
そこで、本実施形態では、パルス状の励磁信号Pa,Pbに対して検出コイル122に発生する電圧波形にオーバシュート(アンダーシュート)が常に発生することを積極的に利用する。すなわち、コンパレート電圧Vsを基準電圧Vbに対してプラスまたはマイナス方向にわずかに異ならせてコンパレートすると、回転角度θがいずれであっても、コンパレート信号はパルス状の励磁信号Pa,Pbに対応して変化する。コンパレート電圧Vsは、差動入力アンプ7の出力電圧におけるオーバシュート(アンダーシュート)を検出できる範囲に設定する。
【0041】
図7は、コンパレータ8によりコンパレート電圧Vsでコンパレートしたコンパレート信号の例を示す図である。
図7に示すように、コンパレート信号は、ロータの回転角度θに応じて変化する。
回転量検出部9は、このコンパレート信号を、たとえば、励磁信号Paおよび励磁信号Pbの立ち下がりに同期したラッチタイミングLpaおよびLpbでラッチする。
【0042】
コンパレート信号をラッチタイミングLpaに基づいてラッチすることにより、A相データが得られる。
コンパレート信号をラッチタイミングLpbでラッチすることにより、B相データが得られる。
また、図7から分かるように、ケーブル30の断線等が発生していないときは、コンパレート信号は、励磁信号Pa,Pbの発生周期に対応して必ず変化するのがわかる。
一方、ケーブル30の断線等が発生しているときには、コンパレート信号は、常に一定の値をとる。
【0043】
図8は、A相データおよびB相データの一例を示す図である。
図8から分かるように、A相データおよびB相データは、位相が90°異なっている。また、A相データおよびB相データは、ロータの回転角度θが180°変化する毎に変化する。
回転量検出部9は、A相データおよびB相データの立ち上がりおよび立ち下がりを検出することにより、ロータの回転方向および回転角度θを90°毎に検出することができる。
これにより、回転量検出部9は、A相データおよびB相データから主電源25が遮断されている間のロータの回転量rdを検出し、これを記憶保持する。
【0044】
一方、断線検知回路11には、コンパレータ8からコンパレート信号COMPが入力され、このコンパレート信号COMPに基づいて、断線の有無が検知される。具体的には、コンパレート信号COMPが、励磁信号Pa,Pbに対応して変化する場合には、断線が発生していないと判断され、コンパレート信号COMPが変化しない場合には、断線が発生したと判断される。
コントローラ100は、再び制御電源140を投入したときに、断線検知回路11の出力する検知信号11sによって、ケーブル30の断線やコネクタの脱落による接続経路の遮断を判断する。
【0045】
次に、補助信号Psa,Psbの作用について説明する。
図4に示したように、補助信号Psa,Psbは、励磁信号Pa,Pbを供給する毎に、供給される。
ここで、図9に、図4に示した時間領域Ra,Rb,Rcにおけるパルス発生回路3の動作状態をそれぞれ示す。
領域Raでは、図9(a)に示すように、トランジスタTr1がオフ、トランジスタTr2がオン、トランジスタTr3がオフ、トランジスタTr4がオンした状態にある。
この状態では、パルス発生回路3の出力端A1およびA3は、基準電圧線GNDに接続されており、コイル121Aには励磁電流は流れていない。
【0046】
領域Rbでは、図9(b)に示すように、トランジスタTr1がオンし、トランジスタTr2がオフすることにより、パルス発生回路3の出力端A1が電源電圧線Vccに接続される。これにより、コイル121Aに励磁信号Paが供給される。コイル121Aに励磁信号Paが供給されると、励磁電流がコイル121Aに流れ、エネルギーがコイル121Aのインダクタンス成分に蓄えられる。
【0047】
領域Rcでは、図9(c)に示すように、トランジスタTr1がオフし、トランジスタTr2がオンする。これにより、パルス発生回路3の出力端A1は基準電圧線GNDに接続され、励磁信号Paの供給が完了する。
また、領域Rcでは、励磁信号Paの供給完了に合わせて、トランジスタTr3がオンし、トランジスタTr4がオフする。これにより、パルス発生回路3の出力端A3が電源電圧線Vccに接続され、補助信号Psaが供給される。
【0048】
パルス発生回路3の出力端A3が電源電圧線Vccに接続されると、コイル121Aに蓄えられた電流は、パルス発生回路3の出力端A3を通じて電源電圧線Vccに流れ込む。すなわち、コイル121Aに蓄えられたエネルギーはバックアップ電源21に回収されることになる。
なお、補助信号Psaのパルス幅T4 は、励磁信号Paのパルス幅T2 より短くする必要がある。これは、パルス発生回路3の配線のもつ抵抗成分Rによる損失があるため、補助信号Psaのパルス幅T4 と励磁信号Paのパルス幅T2 とを等しくすると、電源電圧線Vcc側へ電流が流れ込んだ後に、再び電源電圧線Vcc側からコイル121Aへ電流が流れ出し、エネルギーをバックアップ電源21に回収することができないからである。
【0049】
なお、補助信号Psaの場合についてのみ説明したが、補助信号Psbの場合も同様の作用でコイル121Aに蓄えられたエネルギーはバックアップ電源21に回収される。
【0050】
以上のように、本実施形態では、バックアップ回路2において、停電中のレゾルバ120の回転量およびバックアップ回路2とレゾルバ120との接続経路の遮断を検出するために、励磁信号Pa,Pbをコイル121A,121Bに供給する。この励磁信号Pa,Pbの供給により消費される電力の一部を、補助信号Psa,Psbの供給によりバックアップ電源21に回収することが可能になる。この結果、バックアップ回路2の消費電力を低減することが可能となる。
【0051】
第2実施形態
図10は、本発明のレゾルバ信号処理装置の他の実施形態におけるパルス発生回路の出力する励磁信号および補助信号を示すタイミングチャートである。
なお、本実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の基本構成は第1の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置1と同様であり、停電時励磁データ保持部5の保持しているデータ内容のみ異なる。
図10に示すように、本実施形態では、パルス発生回路3は、第1の実施形態における励磁信号Pa,Pbに加えて、励磁信号Pa,Pbとは極性が反対の励磁信号Pc,Pdをコイル121A,121Bにそれぞれ供給する。励磁信号Pc,Pdは、パルス発生回路3の出力端A3,A4からそれぞれ出力される。
さらに、本実施形態では、パルス発生回路3は、4つの励磁信号Pa〜Pdを供給した直後に、これらの励磁信号Pa〜Pdに対して極性が反対でパルス幅の狭い補助信号Psa〜Psdを供給する。これらの補助信号Psa〜Psdは、第1の実施形態の補助信号Psa,Psbと同様に、パルス発生回路3の消費電力を低減するためのものである。
【0052】
ここで、励磁信号Pa,Pbに加えて、励磁信号Pc,Pdをコイル121A,121Bに供給する理由について説明する。
上述した実施形態では、励磁信号Pa,Pbに対する検出コイル122の応答波形に発生するオーバシュート(アンダーシュート)を利用することにより、レゾルバ120の回転角度θに関わらず、コンパレート信号COMPに基づいて断線の有無を検知した。
励磁信号Pa,Pbに対する検出コイル122の応答波形に発生するオーバシュートは、振幅が小さい場合もあり、これの検出が保証されない場合も考えられる。
【0053】
そこで、本実施形態では、所定周期のパルス状の励磁信号Pa,Pbに加えて、励磁信号Pa,Pbの発生周期に合わせて極性が反対の励磁信号Pc,Pdを供給する。
励磁信号Pc,Pdを励磁コイル121A,121Bへ供給することにより、図11に示すように、励磁信号Pa,Pb,Pc,Pdに対応する差動入力アンプの出力は、ケーブル30の断線やコネクタの脱落が発生していないときには、レゾルバ120の回転角度θに関わらず、基準電圧Vbに対して両側に変化する。
これにより、断線の有無を確実に検出することができる。
【0054】
このように、本実施形態では、ケーブル30の断線検知のために、新たに励磁信号Pc,Pdを供給するため、パルス発生回路3の消費電力が増加するが、励磁信号Pc,Pdに対応して補助信号Psc,Psdを供給することで、第1の実施形態と同様の作用により、パルス発生回路3の消費電力の増加を抑制することができる。
【0055】
第3実施形態
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の機能ブロック図である。なお、図12において、第1の実施形態と同一の構成部分については同一の符号を使用している。
図12において、レゾルバ信号処理装置101は、バックアップ回路102と、角度変換回路12と、切換スイッチ群150、151とを有する。
バックアップ回路102は、パルス発生回路3と、非停電時励磁データ保持部4と、停電時励磁データ保持部5と、停電検出回路6と、差動入力アンプ7A,7Bと、コンパレータ8A,8Bと、回転量検出部109とを有する。
【0056】
本実施形態に係るレゾルバ信号処理装置101は、バックアップ回路102が主電源25から電力の供給を受けているときには、パルス発生回路3は切換スイッチ群150を介してコイル121A,121Bと接続される。このため、バックアップ回路102が主電源25から電力の供給を受けているときには、第1の実施形態におけるレゾルバ信号処理装置1と本実施形態に係るレゾルバ信号処理装置101とは動作が全く同じである。パルス発生回路3から出力される励磁信号も第1の実施形態と同じである。
一方、バックアップ回路102がバックアップ電源21から電力の供給を受けるときは、パルス発生回路3の出力端A1とA3とがコイル122に接続される。すなわち、停電時には、コイル122が励磁コイルとなり、コイル121A,121Bが検出コイルとなる。
【0057】
パルス発生回路3は、停電時にコントローラ100から励磁切換信号100asを受け取ると、図13に示すように、パルス幅T2 のパルス状の励磁信号Paを所定周期T1 で発生し、出力端A1から出力する。
さらに、パルス発生回路3は、励磁信号Paの出力が完了したタイミングで、パルス幅T4 のパルス状の補助信号Psaを出力端A3から出力する。
なお、励磁信号Paの一端R1側から印加され、補助信号Psaは、コイル122の他端R2側から印加される。このため、補助信号Psaは励磁信号Paに対して極性が反対であり、また、第1の実施形態と同様に、パルス幅T4 はパルス幅T2 より短い。
補助信号Psaは、第1の実施形態と同様の作用により、パルス発生回路3が励磁信号Paを発生するときの消費電力を低減する。
なお、パルス発生回路3は、停電時には、出力端A2,A4からは信号を出力しない。
【0058】
切換スイッチ群150は、4つのスイッチSW1〜SW4を有する。
スイッチSW1〜SW4は、端子Ta,Tb,Tcを有しており、端子TaおよびTbと端子Tcとの間を選択的に電気的に接続する。
スイッチSW1〜SW4の切り換えは、コントローラ100からの切換信号150sに応じて行われる。
スイッチSW1,SW3の端子Tcは、コイル121Aの両端にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW2,SW4の端子Tcは、コイル121Bの両端にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW1〜SW4の端子Taは、パルス発生回路3の出力端A1〜A4にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW1〜SW4の端子Tbは、差動入力アンプ7A,7Bの入力端にそれぞれ電気的に接続されている。
【0059】
切換スイッチ群151は、2つのスイッチSW5およびSW6を有する。
スイッチSW5およびSW6は、端子Ta,Tb,Tcを有しており、端子TaおよびTbと端子Tcとの間を選択的に電気的に接続する。
スイッチSW5およびSW6の切り換えは、コントローラ100からの切換信号151sに応じて行われる。
スイッチSW5およびSW6の端子Taは、角度変換回路10の入力端にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW5およびSW6の端子Tbは、パルス発生回路3の出力端A1およびA3にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW5およびSW6の端子Tcは、コイル122の両端にそれぞれ電気的に接続されている。
【0060】
コントローラ100は、制御電源停電検知回路110から検知信号110sを受けると、スイッチSW1〜S6の端子Tbと端子Tcとの接続を指示する切換信号150s,151sを切換スイッチ群150,151へ出力する。
【0061】
差動入力アンプ7A,7Bおよびコンパレータ8A,8Bは、第1の実施形態に係る差動入力アンプ7およびコンパレータ8と同一の構成である。
差動入力アンプ7Aは、コイル121Aに発生した誘起電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する。
差動入力アンプ7Bは、コイル121Bに発生した誘起電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する。
【0062】
図14は、差動入力アンプ7A,7Bの出力波形を示すグラフである。
図14から分かるように、パルス状の励磁信号Paによって差動入力アンプ7A,7Bの出力電圧は、基準電圧Vbに対してオーバシュート(アンダーシュート)が発生する。
コンパレータ8Aは、差動入力アンプ7Aの出力電圧を基準電圧Vbと異なるコンパレート電圧Vsでコンパレートし、コンパレート信号COMPAを回転量検出部109へ出力する。
コンパレータ8Bは、差動入力アンプ7Bの出力電圧を上記した基準電圧と異なるコンパレート電圧でコンパレートし、コンパレート信号COMPBを回転量検出部109へ出力する。
【0063】
図15は、コンパレート信号COMPA,COMPBおよびこれらの合成信号COMPA+COMPBである。
コンパレート電圧Vsを基準電圧Vbに対してプラスまたはマイナス方向にわずかに異ならせてコンパレートすると、回転角度θがいずれであっても、コンパレート信号COMPAおよびCOMPBの少なくとも一方はパルス状の励磁信号Paに対応して変化する。すなわち、差動入力アンプ7A,7Bの出力波形には、基準電圧Vbに対するオーバシュート(アンダーシュート)が発生することを積極的に利用することにより、非断線時に、回転角度θがいずれであっても、コンパレート信号COMPAおよびCOMPBの少なくとも一方を励磁信号Paに対応させて変化させることができる。
一方、バックアップ回路102とレゾルバ120との間の接続経路が遮断されていると、差動入力アンプ7A,7Bの出力電圧は、基準電圧Vbとなり変化しない。
【0064】
回転量検出部109は、コンパレート信号COMPAとコンパレート信号COMPBとが入力され、これらコンパレート信号COMPA,COMPBを、たとえば、励磁信号Paの立ち下がりに同期したラッチタイミングLpaあるいはこのタイミングよりも所定時間ずらしたタイミングでラッチする。
コンパレート信号COMPA,COMPBをラッチすることにより、図8に示したのと同様のA相データおよびB相データが得られる。
【0065】
断線検知回路111では、図15に示した合成信号COMPA+COMPBに基づいて、バックアップ回路102とレゾルバ120との間の接続経路の遮断の有無が検知される。
すなわち、ケーブルの断線やコネクタの脱落が発生していないと、合成信号COMPA+COMPBがかならず変化し、ケーブルの断線やコネクタの脱落が発生すると、合成信号COMPA+COMPBが変化しないことを利用して検知する。断線検知回路111の検知信号111sは、コントローラ100へ出力される。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、停電時に2相のコイル121A,121Bを検出コイルとして使用し、1相のコイル122を励磁コイルとして使用する場合においても、励磁信号Paに対して補助信号Psaを印加してやることにより、バックアップ回路102の消費電力の増加を抑制することができる。
また、パルス発生回路3は、停電時には出力端A2,A4からは信号を出力せず、出力端A1,A3からのみ信号を出力するため、第1の実施形態と比べてバックアップ時の消費電力をさらに抑制することができる。
【0067】
第4実施形態
図16は、本発明のレゾルバ信号処理装置の他の実施形態におけるパルス発生回路の出力する励磁信号および補助信号を示すタイミングチャートである。
なお、本実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の基本構成は第3の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置101と同様であり、停電時励磁データ保持部5の保持しているデータ内容のみ異なる。
図16に示すように、本実施形態では、パルス発生回路3は、停電時において、第3の実施形態における励磁信号Paに加えて、励磁信号Paとは極性が反対の励磁信号Pbをコイル122供給する。
励磁信号Pa,Pbは、パルス発生回路3の出力端A1,A3からそれぞれ出力される。
さらに、本実施形態では、パルス発生回路3は、励磁信号Pa,Pbを供給した直後に、これらの励磁信号Pa,Pbに対して極性が反対でパルス幅の狭い補助信号Psa,Psbを供給する。補助信号Psa,Psbは、パルス発生回路3の出力端A3,A1からそれぞれ出力される。
これらの補助信号Psa,Psbは、第3の実施形態の補助信号Psaと同様に、パルス発生回路3の消費電力を低減するためのものである。
【0068】
励磁信号Paに加えて、励磁信号Pbをコイル122に供給するのは、第2の実施形態において説明したの同様の理由である。すなわち、励磁信号Paに対するコイル121A,121Bの応答波形に発生するオーバシュート(アンダーシュート)は、振幅が小さい場合もあり、これの検出が保証されない場合も考えられるため、励磁信号Pbにより断線検知を確実に行うためである。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、バックアップ時に消費する電力を抑制することができる。
また、本発明によれば、断線検出のために励磁信号を発生させた場合にも消費電力の増大を最小限に押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】パルス発生回路の出力段の回路構成の一例を示す図である。
【図3】パルス発生回路において、非停電時励磁データ保持部に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す図である。
【図4】パルス発生回路において、停電時励磁データ保持部に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号および補助信号の一例を示す図である。
【図5】差動入力アンプおよびコンパレータの回路の一例を示す図である。
【図6】励磁信号を励磁コイルへ供給したときに、検出コイルに発生する誘起電圧の回転角度に応じた変化例を示す図である。
【図7】コンパレータによりコンパレート電圧でコンパレートしたコンパレート信号の例を示す図である。
【図8】A相データおよびB相データの一例を示す図である。
【図9】図4に示した時間領域Ra,Rb,Rcにおけるパルス発生回路の動作状態をそれぞれ示す図である。
【図10】本発明のレゾルバ信号処理装置の他の実施形態におけるパルス発生回路の出力する励磁信号および補助信号を示すタイミングチャートである。
【図11】励磁信号を励磁コイルへ供給したときに、検出コイルに発生する誘起電圧の回転角度に応じた変化例を示す図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の機能ブロック図である。
【図13】パルス発生回路の出力する励磁信号および補助信号を示すタイミングチャートである。
【図14】差動入力アンプの出力波形を示すグラフである。
【図15】コンパレート信号およびこれらの合成信号の例を示す図である。
【図16】本発明のレゾルバ信号処理装置のさらに他の実施形態におけるパルス発生回路の出力する励磁信号および補助信号を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1,101…レゾルバ信号処理装置
2,102…バックアップ回路
3…パルス発生回路
4…非停電時励磁データ保持部
5…停電時励磁データ保持部
6…停電検知回路
7,7A,7B…差動入力アンプ
8,8A,8B…コンパレータ
9,109…回転量検出部
11,111…断線検知回路
12…角度変換回路
21…バックアップ電源
25…主電源
100…コントローラ
110…制御電源停電検知回路
120…レゾルバ
130…電源切換回路
140…制御電源
Claims (3)
- 相対回転可能な第1および第2のコイルを有するレゾルバの信号処理を行うレゾルバ信号処理装置であって、
前記レゾルバと接続され、主電源からの電力の供給が遮断されているときにバックアップ電源から電力の供給を受けて動作するバックアップ回路を有し、
前記バックアップ回路は、前記第1のコイルおよび第2のコイルの一方へ、励磁するための所定周期のパルス状の励磁信号を供給するパルス発生手段を有し、
前記パルス発生手段は、
前記一方のコイルの両端が基準電圧線に接続された状態から、前記一方のコイルの一端が電源電圧線に接続されるとともに、前記一方のコイルの他端が前記基準電圧線に接続された状態とすることにより、前記励磁信号の前記一方のコイルへの供給を開始し、
前記励磁信号の供給の開始から所定の第1時間経過後、前記一方のコイルの前記一端が前記基準電圧線に接続されるとともに、前記一方のコイルの前記他端が前記電源電圧線に接続された状態とすることにより、前記励磁信号の前記一方のコイルへの供給を停止するとともに、前記励磁信号と極性が反対のパルス状の補助信号の前記一方のコイルへの供給を開始し、
前記補助信号の供給の開始から前記第1時間よりも短い所定の第2時間経過後、前記一方のコイルの両端が前記基準電圧線に接続された状態とすることにより、前記補助信号の前記一方のコイルへの供給を停止する
レゾルバ信号処理装置。 - 前記第1のコイルおよび第2のコイルの他方により検出された信号に基づいて、前記バックアップ電源から電力の供給を受けている間に発生した前記第1および第2のコイルの相対回転量を検出し記憶する回転量検出手段を有する
請求項1に記載のレゾルバ信号処理装置。 - 前記パルス発生手段は、前記相対回転量の検出、および、前記レゾルバと前記バックアップ回路との接続経路の遮断の有無の検知のための励磁信号を所定周期で前記一方のコイルに供給し、
前記他方のコイルによって検出された信号に基づいて、前記レゾルバと前記バックアップ回路との接続経路の遮断の有無を検知する断線検知手段をさらに有する
請求項2に記載のレゾルバ信号処理装置。
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