JP4364570B2 - レゾルバ信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レゾルバ信号処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆるレゾルバは、励磁コイルおよび検出コイルを有しており、励磁コイルに励磁信号を印加し、検出コイルに発生する電圧を検出し、この検出した信号に基づいて励磁コイルと検出コイルとの角度位置を検出する。このレゾルバでは、一つの座標系の座標値で位置を検出して位置信号に変換する、いわゆるアブソリュート式のものが知られている。
アブソリュート式のレゾルバでは、主電源をレゾルバの信号処理回路に供給していない停電時においても、回転量を検出しこれを記憶するバックアップ機能を有する。すなわち、レゾルバが停電時に何らかの理由で回転した場合に、この停電時の回転量を検出し記憶しておかないと、主電源を投入時に絶対的な座標値を認識することができなくなるからである。
停電時におけるバックアップ機能をもつレゾルバとしては、たとえば、特許文献1〜特許文献4等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平05−5629号公報
【特許文献2】
特許第3248201号
【特許文献3】
特開平06−331386号公報
【特許文献4】
特許第3328999号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レゾルバ位置検出器では、レゾルバと、このレゾルバを駆動する駆動回路とは導電線およびコネクタによって接続されている。たとえば、停電時におけるバックアップ機能が作動しているときに、レゾルバと駆動回路とを結ぶ経路が遮断されると、停電中の回転量を正確に検出できない可能性がある。
このため、レゾルバと駆動回路とを結ぶ経路が停電中に遮断されたか否かを検出することは重要である。
レゾルバと駆動回路とを結ぶ経路が遮断されたか否かを検出する方法としては、たとえば、駆動回路にフォトカプラを適用することが考えられる。しかしながら、レゾルバと駆動回路とを結ぶ導電線の長さが長い場合には、導電線のインピーダンスが大きくなり、導電線の断線やコネクタの脱落が起きたとしてもフォトカプラに電流が流れ、レゾルバと駆動回路とを結ぶ経路の遮断を確実に検知できない可能性がある。
また、駆動回路側に導電線の断線やコネクタの脱落を検出するための回路を設けることも可能であるが、バックアップ時の消費電力が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、その目的は、レゾルバとこれを駆動する駆動回路とを結ぶ経路の遮断をバックアップ中に確実に検出でき、かつ、バックアップ中の消費電力が低減されたレゾルバ信号処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のレゾルバ信号処理装置は、相対回転可能な第1および第2のコイルを有するレゾルバの信号処理を行うレゾルバ信号処理装置であって、前記レゾルバと接続され、主電源からの電力の供給が遮断されているときにバックアップ電源から電力の供給を受けて動作するバックアップ回路を有し、前記バックアップ回路は、前記第1のコイルおよび第2のコイルの一方へパルス状の励磁信号を供給するパルス発生手段と、前記第1のコイルおよび第2のコイルの他方によって検出された信号に基づいて、前記バックアップ電源から電力の供給を受けている間に発生した前記第1および第2のコイルの相対回転量を検出する回転量検出手段と、前記第1のコイルおよび第2のコイルの他方によって検出された信号に基づいて、前記レゾルバと前記バックアップ回路との接続経路の遮断の有無を検知する断線検知手段とを有する。
【0007】
好適には、前記パルス発生手段は、主電源から電力の供給を受けているときには、第1の励磁データに基づいてパルス状の励磁信号を前記第1および第2のコイルの一方に供給し、前記バックアップ電源から電力を受けているときには、第2の励磁データに基づいて、前記相対回転量を検出するための所定周期のパルス状の回転量検出用励磁信号と前記接続経路の遮断の有無を検出するための所定周期のパルス状の断線検知用励磁信号とを前記第1および第2のコイルの一方に供給する。
【0008】
さらに好適には、前記回転量検出用励磁信号と断線検知用励磁信号とは、極性が反対である。
【0009】
好適には、前記断線検知用励磁信号の発生周期は、前記回転量検出用励磁信号の発生周期よりも長い。
【0010】
本発明では、バックアップ回路は、主電源が遮断されるとバックアップ電源によって作動し、パルス発生手段は励磁信号を第1および第2のコイルの一方に供給する。回転量検出手段は、第1および第2のコイルの他方によって検出された信号に基づいて、停電時の第1および第2のコイルの相対回転量を検出する。断線検知手段は、回転量検出手段と同じ第1および第2のコイルの他方によって検出された信号に基づいて接続経路の遮断の有無を検知する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
レゾルバ信号処理装置1は、バックアップ回路2と、角度変換回路12とを有する。
バックアップ回路2は、ケーブル30によってレゾルバ120に電気的に接続されている。また、角度変換回路12は、レゾルバ120のコイル122と電気的に接続されている。
【0012】
バックアップ回路2は、パルス発生回路3と、非停電時励磁データ保持部4と、停電時/断線検知用励磁データ保持部5と、停電検知回路6と、差動入力アンプ7と、コンパレータ8と、回転量検出部9と、クロック発生回路10と、断線検知回路11とを有する。
【0013】
レゾルバ120は本発明のレゾルバ、パルス発生回路3は本発明のパルス発生手段、差動入力アンプ7は本発明の差動入力アンプ、コンパレータ8は本発明のコンパレータ、回転量検出部9は本発明の回転量検出手段、断線検知回路11は本発明の断線検知回路、主電源25は本発明の主電源、および、バックアップ電源21は本発明のバックアップ電源のそれぞれ一実施態様である。
【0014】
レゾルバ120は、2相の励磁コイル121A,121Bと、1相の検出コイル122とを有する。励磁コイル121A,121Bと検出コイル122とは、本発明の第1および第2のコイルの一実施態様である。
励磁コイル121A,121Bは、レゾルバ120の図示しないステータ側に設けられたコイルであり、励磁コイル121A,121Bは電気的に位相が90°異なる位置に配置されている。
励磁コイル121Aは、パルス発生回路3の出力端S1およびS3に接続されている。励磁コイル121Bは、パルス発生回路3の出力端S2およびS4に接続されている。
【0015】
検出コイル122は、レゾルバ120の図示しないロータ側に設けられたコイルである。なお、ロータの基準位置からの機械的な回転角度をθとする。
励磁コイル121A,121Bに励磁信号を印加すると、検出コイル122のR1とR2の間に、回転角度θに応じた電圧が発生する。
【0016】
角度変換回路12は、検出コイル122の両端がそれぞれ電気的に接続され、検出コイル122のR1端子側とR2端子側の間に発生する電圧が入力される。角度変換回路12は、回転角度θに応じた電圧が入力されると、回転角度θに応じた回転角度信号RDを生成し、コントローラ100に出力する。コントローラ100は、これにより、回転角度θを認識することができる。
角度変換回路12は、主電源25から電力が供給されることにより動作する。したがって、主電源25からの電力供給が遮断されると、角度変換回路12は動作しない。
【0017】
主電源25は、バックアップ回路2、角度変換回路12およびコントローラ100へ電力を供給する。
制御電源140は、主電源25へ電力を供給する。したがって、制御電源140がオフすると、主電源25からバックアップ回路2、角度変換回路12およびコントローラ100への電力供給は遮断される。
制御電源停電検知回路110は、制御電源140がオフされたことを検知し、この検知信号110sをコントローラ100へ出力する。
【0018】
電源切換回路130は、バックアップ回路2への電力供給を、主電源25とバックアップ電源21との間で切り換える回路である。具体的には、主電源25からバックアップ回路2への電力供給が遮断されると、電源切換回路130は、バックアップ電源21からの電力をバックアップ回路2へ供給する。また、電源切換回路130は、主電源25からの電力供給が再開されると、バックアップ電源21からバックアップ回路2への電力供給を遮断し、バックアップ回路2へ主電源25からの電力を供給する。
バックアップ回路2は、電源部21の主電源25からの電力の供給が遮断されると、バックアップ電源21により動作する回路である。
【0019】
パルス発生回路3は、主電源25から電力の供給を受けているときには、非停電時励磁データ保持部4に記憶された励磁データに基づいて、パルス状の励磁信号を励磁コイル121A,121Bに供給する。
また、パルス発生回路3は、コントローラ100から励磁切換信号100asが入力されると、停電時/断線検知用励磁データ保持部5に記憶された励磁データに基づいて、所定周期のパルス状の励磁信号を励磁コイル121A,121Bに供給する。
さらに、パルス発生回路3は、停電時/断線検知用励磁データ保持部5に記憶された励磁データに基づいて所定周期のパルス状の励磁信号を出力している間に、停電検知回路6から検出信号6sが入力されると、励磁周期を所定倍、たとえば、16倍に延ばして励磁信号を出力する。
【0020】
非停電時励磁データ保持部4は、パルス発生回路3が主電源25から電力の供給を受けているときに、パルス発生回路3から出力すべき励磁信号の励磁データを保持している。この励磁データが本発明の第1の励磁データの一実施態様である。
停電時/断線検知用励磁データ保持部5は、主電源25からのパルス発生回路3への電力供給が遮断され、バックアップ電源21から電力を受けているときに、パルス発生回路3から出力すべき励磁信号の励磁データを保持している。この励磁データが本発明の第2の励磁データの一実施態様である。
【0021】
停電検知回路6は、主電源25からバックアップ回路2への電力の供給が遮断されたことを検出する。停電検知回路6は、主電源25からバックアップ回路2への電力の供給が遮断されたことを検出すると、検出信号6sをパルス発生回路3へ出力する。
【0022】
ここで、図2に、パルス発生回路3において、非停電時励磁データ保持部4に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す。
パルス発生回路3は、VA =V0 sinω0 tで表されるサイン波信号をパルス幅変調したパルス状の励磁信号Vpaを出力端S1およびS3から出力し、励磁信号Vpaを励磁コイル121Aに印加する。
また、パルス発生回路3は、励磁信号Vpaの場合と同様に、VB =V0 cosω0 tで表されるコサイン波信号をパルス幅変調したパルス状の励磁信号Vpbを出力端S2およびS4から出力し、この励磁信号Vpbを励磁コイル121Bに印加する。
なお、パルス幅変調された励磁信号Vpa、Vpbのキャリア周波数は、たとえば、数十kHzの高周波である。
【0023】
励磁信号Vpa,Vpbを励磁コイル121A,121Bに印加すると、検出コイル122には、e=kV0 sin(ω0 t+θ)で表される電圧が誘起される。角度変換回路12には誘起電圧eが入力され、角度変換回路12はこの誘起電圧eに基づいて回転角度θを検出する。回転角度θは、A相およびB相のパルス信号として角度変換回路12からコントローラ100へ出力される。コントローラ100では、A相およびB相のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下がりをカウントすることにより、回転角度θをディジタルデータとして得ることができる。
なお、角度変換回路12のデータは、データバスを通じてコントローラ100へ送信される。また、角度変換回路12とコントローラ100との距離が離れている場合には、角度変換回路12のデータはシリアル通信によってコントローラ100へ送信される。
【0024】
図3に、パルス発生回路3において、停電時/断線検知用励磁データ保持部5に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す。
パルス発生回路3は、コントローラ100から励磁切換信号100asを受け取ると、図3に示すように、パルス幅T2 の励磁信号PaおよびPbを所定周期T1 で発生し、それぞれ励磁コイル121Aと121Bとに出力する。また、励磁信号Paと励磁信号Pbとの間には、位相T3 が存在する。
【0025】
パルス発生回路3は、励磁切換信号100asを受けとった後、停電検知回路6から検出信号6sが入力されると、検出信号6sが入力されてから所定時間経過後、たとえば、9秒経過後、上記の周期T1 を16倍にした励磁信号PaおよびPbを発生する。
停電検知回路6から検出信号6sが入力され、所定時間が経過したときには、バックアップ回路2は、バックアップ電源21から電力の供給を受けている。
具体的には、延長後の周期T1 は、たとえば、125μsである。励磁信号PaおよびPbの周波数は、たとえば、4kHz程度であり、上記したパルス発生回路3が主電源25から電力供給を受けているときのキャリア周波数よりも低い。励磁信号PaおよびPbの周波数を低く抑えることにより、消費電力を抑制することが可能となる。
パルス幅T2 は、たとえば、7μs程度である。位相T3 は、たとえば、60μs程度である。
なお、励磁信号Paと励磁信号Pbとは、本発明の回転量検出用励磁信号の一実施態様である。
【0026】
断線検知用励磁信号
パルス発生回路3は、励磁信号PaおよびPbに加えて、断線検知用励磁信号Pc,Pdを発生する。
断線検知用励磁信号Pcは、励磁コイル121Aに印加され、励磁信号Paに対して極性が反転した信号である。
断線検知用励磁信号Pdは、励磁コイル121Bに印加され、励磁信号Pbに対して極性が反転した信号である。
断線検知用励磁信号Pc,Pdは、励磁信号PaおよびPbに対して所定時間、たとえば、位相T3 遅れて発生する。
断線検知用励磁信号Pc,Pdの発生周期T4 は、励磁信号Pa,Pbの発生周期T1 と同じでもよいが、パルス発生回路3の消費する電力を低減する観点から、発生周期T1 よりも長くするのが好ましい。なお、周期T4 を周期T1 よりも延ばした場合には、周期T4 は周期T1 の整数倍となる。
【0027】
コントローラ100は、たとえば、レゾルバ120をモータ等の制御対象の回転軸に取り付けたときに、レゾルバ120(角度変換回路12)から回転軸の回転角度θの情報を得て、この回転角度θの情報に基づいて制御対象を制御する。
コントローラ100は、主電源25から電力を受けて動作する。
また、コントローラ100は、制御電源停電検知回路110から検知信号110sを受けると、角度変換回路12からレゾルバ120の角度を読み取り、絶対値座標のバックアップを行った後、パルス発生回路3へ励磁切換信号100asを出力する。励磁切換信号100asは、非停電時励磁データ保持部4と停電時/断線検知用励磁データ保持部5に記憶されたデータのうち、パルス発生回路3が読み取るべきデータを決定するための信号である。
【0028】
差動入力アンプ7は、励磁信号Pa,Pbと断線検知用励磁信号Pc,Pdとに応じて、検出コイル122に発生した誘起電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する。差動入力アンプ7を用いて増幅すると、特に、ケーブル30が長い時に、ハムなどのコモンモードノイズを除去する効果がある。
【0029】
コンパレータ8は、差動入力アンプ7の出力電圧を上記した基準電圧と異なるコンパレート電圧でコンパレートし、コンパレート信号を回転量検出部9へ出力する。
回転量検出部9は、コンパレータ8からのコンパレート信号を、たとえば、励磁信号Paおよび励磁信号Pbの励磁タイミングに基づくラッチタイミングでラッチする。そして、得られたA相信号およびB相信号から、レゾレバ120のステータに対するロータの回転量を検出し、これを記憶する。
【0030】
図4に、差動入力アンプ7およびコンパレータ8の回路の一例を示す。
図4に示すように、差動入力アンプ7は、抵抗R1,R2,R3と、オペアンプ200とで構成されている。また、コンパレータ8は、抵抗R4,R5,R6と、オペアンプ201とで構成されている。
オペアンプ200の正入力および負入力には、抵抗R2を介して検出コイル122の端部がそれぞれ接続されている。オペアンプ200は、正入力および負入力の間の電圧差を増幅する。
オペアンプ200の正入力は、抵抗R3を介して基準電圧Vbの供給線に接続されている。
オペアンプ200の出力は、抵抗R3を介してオペアンプ200の負入力に帰還されている。
抵抗R1は検出コイル122に並列に接続されている。
【0031】
オペアンプ201の負入力には、オペアンプ200の出力が接続されている。オペアンプ201の出力は、抵抗R5を介してオペアンプ201の正入力に帰還されている。
オペアンプ201の正入力には、抵抗R6を介してコンパレート電圧Vsの供給線に接続されている。
オペアンプ201の出力は、抵抗R4を介して、電圧Vccを供給する電源に接続されている。この電源は、回転量検出部9を構成するロジック回路に電力を供給する。
オペアンプ201は、正入力および負入力の間の電圧差を増幅する。
【0032】
基準電圧Vbは、たとえば、1.5Vであり、これに対して、コンパレート電圧Vsはこの基準電圧Vbに対して微小電圧、たとえば数百mVだけ高いか、あるいは低い電圧に設定される。具体的には、コンパレート電圧Vsは、たとえば、1.4Vに設定される。
差動入力アンプ7では、基準電圧Vbを基準として、検出コイル122に発生した誘起電圧が増幅される。
コンパレータ8では、差動入力アンプ7の出力電圧がコンパレート電圧Vsによってコンパレートされる。
【0033】
断線検知回路11は、バックアップ回路2とレゾルバ120とを結ぶケーブル30の断線、あるいは、バックアップ回路2とレゾルバ120との間に用いられているコネクタの脱落による、バックアップ回路2とレゾルバ120との接続経路の遮断を検知する。
断線検知回路11には、コンパレータ8のコンパレート信号COMPが入力される。また、断線検知回路11には、2つのクロック信号CLK1,CLK2が入力される。
クロック発生回路10は、2つのクロック信号CLK1,CLK2を生成する。このクロック発生回路10は、パルス発生回路3が発生する断線検知用励磁信号Pc,Pdの発生周期に合わせて、2つのクロック信号CLK1,CLK2を発生する。クロック信号CLK1,CLK2は、励磁信号Paの発生前に発生し、クロック信号CLK2は断線検知用励磁信号Pdの発生後に発生される。
【0034】
図5は、断線検知回路11の一構成例を示す回路図である。
図5に示すように、断線検知回路11は、複数のフリップフロップ回路250〜254と、アンド回路255とを有する。
なお、フリップフロップ回路250は、断線検知用励磁信号Pc,Pdの発生周期毎にコンパレート信号COMPの変化の有無を検出する本発明の第1の検出回路の一実施態様である。フリップフロップ回路251〜254とアンド回路255とは、本発明の第2の検出回路を構成している。
【0035】
フリップフロップ回路250の入力端子Dには、電圧Vccを供給する電源が接続され、クロック端子CLKには、クロック信号CLK1が入力され、リセット端子/RSTには、コンパレート信号COMPが入力される。
【0036】
フリップフロップ回路250の出力端子Qは、フリップフロップ回路251の入力端子Dに接続され、フリップフロップ回路251の出力端子Qは、フリップフロップ回路252の入力端子Dに接続され、フリップフロップ回路252の出力端子Qは、フリップフロップ回路253の入力端子Dに接続されている。
【0037】
フリップフロップ回路251〜253の各クロック端子CLKには、クロック信号CLK2が入力される。
アンド回路255の入力には、フリップフロップ回路251〜253の各出力端子Qが接続されている。
フリップフロップ回路254の入力端子Dには、電圧Vccを供給する電源が接続され、クロック端子CLKには、アンド回路254の出力信号が入力される。フリップフロップ回路255の出力端子Qの出力信号が検知信号11sとなる。
【0038】
次に、上記構成のレゾルバ信号処理装置1の動作の一例について説明する。
制御電源140のオン時
制御電源140をオンすると、主電源25が投入される。主電源25が投入されると、角度変換回路12やコントローラ100が動作可能となる。また、バックアップ回路2も電源切換回路130により、主電源25から電力供給を受けることになる。また、パルス発生回路3は、停電検知回路6からの検知信号6sが解除される。
コントローラ100のリセットが解除されると、コントローラ100は、回転量検出部9より停電中の回転量rdを読みだす。これにより、コントローラ100は、たとえば、主電源25からの電力供給が遮断されている間に制御対象が回転したような場合に、この制御対象の回転量を取得することができる。
コントローラ100は、回転量検出部9より停電中の回転量rdを読みだしたのち、励磁切換信号100asをパルス発生回路3へ出力する。
【0039】
パルス発生回路3は、停電時/断線検知用励磁データ保持部5から非停電時励磁データ保持部4へ切り換え、図2に示した、パルス幅変調された励磁信号Vpa、Vpbを励磁コイル121A,121Bに供給する。
次いで、コントローラ100は、角度変換回路12から現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。この回転角度θは、ロータの360°内での回転位置を示すデータである。
コントローラ100は、回転量検出部9に記憶された回転量rdと、角度変換回路12からの回転角度信号RDとにより、制御対象の絶対的な座標値を認識することが可能となる。
【0040】
制御電源140のオフ時
制御電源140がオフされると、制御電源停電検知回路110がこれを検知し、検知信号110sをコントローラ100へ出力する。
コントローラ100は、検知信号110sを受けて、角度変換回路12からレゾルバ120の現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。コントローラ100は、回転角度θに基づいて、絶対値座標のバックアップを行う。これにより、コントローラ100には、制御電源140をオフしたときの絶対値座標が記憶される。
【0041】
さらに、コントローラ100は、励磁切換信号100asをパルス発生回路3へ出力する。
パルス発生回路3は、励磁切換信号100asを受けると、読み取るデータを非停電時励磁データ保持部4から停電時/断線検知用励磁データ保持部5に切り換える。
これにより、レゾルバ120へは、図3に示した励磁信号Pa,Pbおよび断線検知用励磁信号Pc,Pdが供給される。
この後、主電源25の供給電圧が低下し、バックアップ回路2は、電源切換回路130により、主電源25に代えてバックアップ電源21から電力の供給を受けることになる。
【0042】
主電源25の供給電圧が低下すると、停電検知回路6がこれを検知し、検知信号6sをパルス発生回路3に出力する。
パルス発生回路3は、検知信号6sを受けた後、所定時間(たとえば、9秒)が経過すると、図3に示した励磁信号Pa,Pbの周期T1 を所定倍(たとえば、16倍)に延ばす。
なお、断線検知用励磁信号Pc,Pdの発生周期T4 も励磁信号Pa,Pbの周期T1 の延長に合わせて延長される。
【0043】
図6は、励磁信号Pa,Pbおよび断線検知用励磁信号Pc,Pdを励磁コイル121A,121Bへ供給したときに、検出コイル122に発生する誘起電圧の回転角度θに応じた変化例を示す図である。なお図6に示す出力電圧は、差動入力アンプ7の出力である。
図6に示すように、検出コイル122に発生する誘起電圧は、ロータの回転角度θに応じて変化する。すなわち、励磁信号Pa,Pbは、ロータの回転角度θに応じて変調される。
また、図6からわかるように、断線検知用励磁信号Pc,Pdを印加することにより、回転角度θがいずれであっても、差動入力アンプ7の出力は、基準電圧Vbに対して正方向および負方向の両側に変化する。すなわち、断線検知用励磁信号Pc,Pdを印加しないと、たとえば、回転角度θが0°,270°,315°,360°のような場合には、差動入力アンプ7の出力は、基準電圧Vbに対して正方向または負方向の一方向にしか変化しない。
一方、ケーブル30の断線やコネクタの脱落により接続経路が遮断されていると、励磁信号Pa,Pbおよび断線検知用励磁信号Pc,Pdに対する応答は発生しない。
【0044】
差動入力アンプ7の出力電圧は、コンパレータ8によって、コンパレート電圧Vsでコンパレートされる。
ここで、コンパレータ8において基準電圧Vbではなくコンパレート電圧Vsによってコンパレートする理由について説明する。
図6に示したように、パルス状の励磁信号Pa,Pbおよび断線検知用励磁信号Pc,Pdに対して検出コイル122に発生する電圧(差動入力アンプ7の出力電圧)を基準電圧Vbでコンパレートすると、励磁信号Pa,Pbや断線検知用励磁信号Pc,Pdに対応しない部分で、ノイズ等の影響によりコンパレート信号が発生する可能性がある。
このため、本実施形態では、コンパレート電圧Vsを基準電圧Vbに対してプラスまたはマイナス方向にわずかに異ならせてコンパレートする。これにより、差動入力アンプ7の出力電圧から、励磁信号Pa,Pbおよび断線検知用励磁信号Pc,Pdによる変化のみを検出することが可能となる。
【0045】
図7は、コンパレータ8によりコンパレート電圧Vsでコンパレートしたコンパレート信号の例を示す図である。
図7に示すように、コンパレート信号は、ロータの回転角度θに応じて変化する。
回転量検出部9は、このコンパレート信号を、たとえば、励磁信号Paおよび励磁信号Pbの立ち下がりに同期したラッチタイミングLpaおよびLpbでラッチする。
【0046】
コンパレート信号をラッチタイミングLpaに基づいてラッチすることにより、図8(a)に示すA相データが得られる。
コンパレート信号をラッチタイミングLpbでラッチすることにより、図8(b)に示すB相データが得られる。
このA相データが本発明の第1相信号の一実施態様であり、B相データが本発明の第2相信号の一実施態様である。
図8から分かるように、A相データおよびB相データは、位相が90°異なっている。また、A相データおよびB相データは、ロータの回転角度θが180°変化する毎に変化する。
回転量検出部9は、A相データおよびB相データの立ち上がりおよび立ち下がりを検出することにより、ロータの回転方向および回転角度θを90°毎に検出することができる。
これにより、回転量検出部9は、A相データおよびB相データから主電源25が遮断されている間のロータの回転量rdを検出し、これを記憶保持する。
【0047】
また、図7から分かるように、断線検知用励磁信号Pc,Pdを印加したことにより、ケーブル30の断線等が発生していないときは、コンパレート信号は必ず変化するのがわかる。
すなわち、励磁信号Pa,Pbだけでは、回転角度θによってはコンパレート信号が変化しない場合もあるが、断線検知用励磁信号Pc,Pdを補助的に印加することにより、断線検知用励磁信号Pc,Pdを印加した時に、確実にコンパレート信号を変化させることが可能となる。
一方、ケーブル30の断線等が発生しているときには、コンパレート信号は、常に”1”(ハイレベル)となる。
【0048】
断線検知回路11には、コンパレータ8からコンパレート信号COMPが入力されるとともに、クロック発生回路10からクロック信号CLK1,CLK2が入力される。
図9は、バックアップ回路2とレゾルバ120との接続経路が遮断されていないときの、断線検知回路11における各信号のタイミングチャートである。
図9に示すように、クロック信号CLK1は、励磁信号Paが入力される時点よりも所定時間だけ前にフリップフロップ回路250に入力される。
クロック信号CLK2は、断線検知用励磁信号Pdが入力された時点よりも所定時間だけ後にフリップフロップ回路251〜253に入力される。
なお、図9において、励磁信号Pbおよび断線検知用励磁信号Pcについては記載を省略した。
【0049】
クロック信号CLK1が入力されることにより、フリップフロップ回路250の出力端子Qからの出力信号Q1は、ハイレベルとなる。
その後、フリップフロップ回路250のリセット端子/RSTにコンパレート信号COMPが入力されると、出力信号Q1はローレベルになる。
【0050】
非断線時においては、フリップフロップ回路251〜253のクロック端子CLKにクロック信号CLK2が入力される時点で、入力端子Dにはローレベルの信号が常に入力されるので、フリップフロップ回路251〜253の出力端子Qからはローレベルの信号が出力される。このため、アンド回路255の出力信号は、常にローレベルとなり変化しない。
したがって、最終段のフリップフロップ回路254のクロック端子CLKへ入力される信号が変化しないため、フリップフロップ回路254の出力端子Qから出力される検知信号11sは、図9に示したように、常にローレベルとなる。なお、最終段のフリップフロップ回路254はリセット時に出力端子Qからローレベルの信号を出力する。
コントローラ100は、再び制御電源140を投入したときに、この検知信号11sがローレベルの場合には、ケーブル30の断線やコネクタの脱落による接続経路の遮断が発生していないと判断する。
【0051】
図10は、バックアップ回路2とレゾルバ120との接続経路が遮断されたときの、断線検知回路11における各信号のタイミングチャートである。
図10に示すように、断線が発生すると、断線検知回路11へコンパレート信号COMPが入力されなくなる。断線検知回路11へコンパレート信号COMPが入力されなくなると、フリップフロップ回路250の出力端子Qの出力信号Q1は、クロック信号CLK1が入力されたのち、”1”(ハイレベル)に維持される。
このため、断線検知用励磁信号Pc,Pdの発生毎に、フリップフロップ回路251、252および253の順に、断線検出結果としての”1”(ハイレベル)の信号を保持する。
フリップフロップ回路251、252および253のすべてが、”1”(ハイレベル)の信号を保持すると、アンド回路255の出力信号は、”1”(ハイレベル)の信号となる。
これにより、フリップフロップ回路254の出力する検知信号11sは、図9に示すように、”1”(ハイレベル)となる。
【0052】
コントローラ100は、再び制御電源140を投入したときに、この検知信号11sがハイレベルの場合には、ケーブル30の断線やコネクタの脱落による接続経路の遮断が発生したと判断する。
【0053】
以上のように、本実施形態では、バックアップ回路2のパルス発生回路3が励磁コイル121A,121Bへ停電時の回転量を検出するために供給する励磁信号Pa,Pbに加えて補助的に断線検知用励磁信号Pc,Pdを供給する。断線検知用励磁信号Pc,Pdが励磁信号Pa,Pbを補助することにより、バックアップ回路2とレゾルバ120との間の接続経路が遮断していないときには、レゾルバ120の回転角度θに関わらず、検出コイル122の検出する信号を、断線検知用励磁信号Pc,Pdの発生毎に必ず変化させることができる。バックアップ回路2とレゾルバ120との間の接続経路が遮断されているときには、検出コイル122の検出する信号は変化しないことから、停電中におけるケーブル30の断線やコネクタの脱落を確実に検知することができる。
また、本実施形態によれば、接続経路の遮断を検出するために、フォトカプラー等を使用する必要がなく、消費電力が増加することがない。
また、断線検知回路11は、ケーブル30のインピーダンスの大きさに影響を受けないため、ケーブル30の延長化が可能となる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、3つのフリップフロップ回路251〜253を使用してディジタルフィルタを構成した。検知速度と耐ノイズ性の兼ね合いにより、ディジタルフィルタを構成するフリップフロップ回路の個数は適宜変更可能である。
【0055】
第2実施形態
図11は、本発明の他の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、図11において、第1の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置と同一の構成部分には同一の符号を使用している。
図11において、レゾルバ信号処理装置101は、バックアップ回路102と、角度変換回路12と、切換スイッチ群150、151とを有する。
バックアップ回路102は、パルス発生回路103と、非停電時励磁データ保持部104と、停電時/断線検知用励磁データ保持部105と、停電検出回路106と、差動入力アンプ107A,107Bと、コンパレータ108A,108Bと、回転量検出部109と、クロック発生回路110と、断線検知回路111とを有する。
バックアップ回路102には、電源切換回路130を介してバックアップ電源21および主電源25が電気的に接続されている。
【0056】
切換スイッチ群150は、4つのスイッチSW1〜SW4を有する。
スイッチSW1〜SW4は、端子Ta,Tb,Tcを有しており、端子TaおよびTbと端子Tcとの間を選択的に電気的に接続する。
スイッチSW1〜SW4の切り換えは、コントローラ100からの切換信号150sに応じて行われる。
スイッチSW1,SW3の端子Tcは、コイル121Aの両端にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW2,SW4の端子Tcは、コイル121Bの両端にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW1〜SW4の端子Taは、パルス発生回路103の出力端A1〜A4にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW1〜SW4の端子Tbは、差動入力アンプ107A,107Bの入力端にそれぞれ電気的に接続されている。
【0057】
切換スイッチ群151は、2つのスイッチSW5およびSW6を有する。
スイッチSW5およびSW6は、端子Ta,Tb,Tcを有しており、端子TaおよびTbと端子Tcとの間を選択的に電気的に接続する。
スイッチSW5およびSW6の切り換えは、コントローラ100からの切換信号151sに応じて行われる。
スイッチSW5およびSW6の端子Taは、角度変換回路12の入力端にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW5およびSW6の端子Tbは、パルス発生回路103の出力端A1およびA3にそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチSW5およびSW6の端子Tcは、コイル122の両端にそれぞれ電気的に接続されている。
【0058】
コントローラ100は、主電源25から電力を受けているときには、スイッチSW1〜S6の端子Taと端子Tcとの接続を指示する切換信号150s,151sを切換スイッチ群150,151へ出力する。
コントローラ100は、制御電源停電検知回路110から検知信号110sを受けると、スイッチSW1〜S6の端子Tbと端子Tcとの接続を指示する切換信号150s,151sを切換スイッチ群150,151へ出力する。
【0059】
停電検知回路106は、上述した実施形態に係る停電検知回路6と同様の機能を有し、主電源25からバックアップ回路102への電力の供給が遮断されたことを検出すると、検出信号106sをパルス発生回路103へ出力する。
【0060】
非停電時励磁データ保持部104は、上述した第1の実施形態に係る非停電時励磁データ保持部4と同様に、パルス発生回路103が主電源25から電力の供給を受けているときに、パルス発生回路103から出力すべき励磁信号の励磁データを保持している。
停電時/断線検知用励磁データ保持部105は、上述した第1の実施形態に係る停電時/断線検知用励磁データ保持部5と同様に、主電源25からのパルス発生回路103への電力供給が遮断され、バックアップ電源21から電力を受けているときに、パルス発生回路103から出力すべき励磁信号の励磁データを保持している。
【0061】
パルス発生回路103は、主電源25から電力の供給を受けているときには、非停電時励磁データ保持部104に記憶された励磁データに基づいて、パルス状の励磁信号を出力端A1〜A4から出力する。この励磁信号は、2相のコイル121A,121Bに供給される。
また、パルス発生回路103は、励磁切換信号100asが入力されると、停電時/断線検知用励磁データ保持部105に記憶された励磁データに基づいて、図12に示す励磁信号Paと断線検知用励磁信号Pcとを出力する。
励磁信号Paは本発明の回転量検出用励磁信号の一実施態様であり、断線検知用励磁信号Pcは本発明の断線検知用励磁信号の一実施態様である。
【0062】
磁信号Paは、パルス発生回路103の出力端A1から所定周期T1 で発生されるパルス幅T2 のパルス状の信号である。この励磁信号Paは、コイル122に供給される。
断線検知用励磁信号Pcは、パルス発生回路103の出力端A3から所定周期T4 で発生されるパルス幅T2 のパルス状の信号である。この断線検知用励磁信号Pcはコイル122に供給され、励磁信号Paとは極性が反転した信号である。
断線検知用励磁信号Pcは、磁信号Paが発生したのち、所定時間T3 だけ遅れて発生される。
周期T1 と周期T4 とは同じでもよいが、パルス発生回路103の消費する電力を低減する観点から、発生周期T1 よりも長くするのが好ましい。なお、周期T4 を周期T1 よりも延ばした場合には、周期T4 は周期T1 の整数倍となる。
【0063】
差動入力アンプ107A,107Bは、上述した第1の実施形態に係る差動入力アンプ7と同様の構成である。
差動入力アンプ107Aは、励磁信号によってコイル121Aの両端に発生した誘起電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する。
差動入力アンプ107Bは、励磁信号によってコイル121Bの両端に発生した誘起電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する。
【0064】
コンパレータ108A,108Bは、上述した第1の実施形態に係るコンパレータ8と同様の構成である。
コンパレータ108Aは、差動入力アンプ107Aの出力電圧を上記した基準電圧と異なるコンパレート電圧でコンパレートし、生成したコンパレート信号COMPAを回転量検出部109へ出力する。
コンパレータ108Bは、差動入力アンプ107Bの出力電圧を上記した基準電圧と異なるコンパレート電圧でコンパレートし、生成したコンパレート信号COMPBを回転量検出部109へ出力する。
なお、コンパレータ108A,108Bにおけるコンパレート電圧は、第1の実施形態と同様に設定される。
【0065】
回転量検出部109は、コンパレータ108A,108Bのコンパレート信号COMPA,COMPBを、たとえば、励磁信号の立ち下がりに同期したラッチタイミング、あるいは、このラッチタイミングに対して正負のいずれかの方向に僅かにずらしたタイミングでラッチする。
A相およびB相のコンパレート信号をそれぞれラッチすることにより、図8に示したのと同様のA相データおよびB相データが得られる。
そして、得られたA相信号およびB相信号から、レゾルバ120のステータに対するロータの回転量を検出し、これを記憶する。
【0066】
クロック発生回路110は、上述した第1の実施形態に係るクロック発生回路10と同様に、断線検出用励磁信号Pcの発生周期に対応してクロック信号CLK1,CLK2を生成し、これを断線検知回路111へ供給する。
クロック信号CLK1は、励磁信号Paが発生される時点より所定時間だけ前に発生され、クロック信号CLK2は、断線検知用励磁信号Pcが発生された時点から所定時間だけ後に発生される。
【0067】
断線検知回路111は、バックアップ回路102とレゾルバ120とを結ぶケーブルの断線、バックアップ回路102とレゾルバ120との間に用いられているコネクタの脱落、切換スイッチ群150,151の故障等によるバックアップ回路2とレゾルバ120との接続経路の遮断を検知する。
図13に断線検知回路111の回路構成の一例を示す。
図13に示す断線検知回路111は、上述した第1の実施形態に係る断線検知回路11のフリップフロップ回路250のリセット端子/RSTの入力段にオア回路260を追加したものである。
オア回路260は、コンパレート信号COMPA,COMPBが入力され、これらのオアをとってフリップフロップ回路250へ出力する。
【0068】
次に、上記構成のレゾルバ信号処理装置101の動作の一例について説明する。
制御電源140のオン時
制御電源140をオンすると、主電源25が投入される。主電源25が投入されると、角度変換回路12やコントローラ100が動作可能となる。また、バックアップ回路102も電源切換回路130により、主電源25から電力供給を受けることになる。また、パルス発生回路103は、停電検知回路106からの検知信号106sが解除される。
コントローラ100のリセットが解除されると、コントローラ100は、回転量検出部109より停電中の回転量rdを読みだす。これにより、コントローラ100は、たとえば、主電源25からの電力供給が遮断されている間に制御対象が回転したような場合に、この制御対象の回転量を取得することができる。
コントローラ100は、回転量検出部109より停電中の回転量rdを読みだしたのち、励磁切換信号100asをパルス発生回路103へ出力する。
【0069】
次いで、コントローラ100は、角度変換回路12から現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。この回転角度θは、ロータの360°内での回転位置を示すデータである。
コントローラ100は、回転量検出部109に記憶された回転量rdと、角度変換回路12からの回転角度信号RDとにより、制御対象の絶対的な座標値を認識することが可能となる。
【0070】
コントローラ100は、回転量検出部109より停電中の回転量rdを読みだしたのち、励磁切換信号100asをパルス発生回路103へ出力する。
さらに、コントローラ100は、切換スイッチ群150,151に対して端子Tcと端子Taとの接続を指示する切換信号150s,151sを出力する。
パルス発生回路103は、励磁切換信号100asを受けると、読み取るデータを停電時/断線検知用励磁データ保持部105から非停電時励磁データ保持部104に切り換える。
また、パルス発生回路103の各出力端A1〜A4とコイル121A,121Bの各端部S1〜S4とが接続されるとともに、角度変換回路12とコイル122の端部R1,R2とが接続される。
これにより、パルス発生回路103は、パルス幅変調された励磁信号Vpa、Vpbを励磁コイル121A,121Bに供給する。
【0071】
次いで、コントローラ100は、角度変換回路12から現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。この回転角度θは、ロータの360°内での回転位置を示すデータである。
コントローラ100は、回転量検出部109に記憶された回転量rdと、角度変換回路12からの回転角度信号RDとにより、制御対象の絶対的な座標値を認識することが可能となる。
【0072】
制御電源140のオフ時
制御電源140をオフすると、制御電源停電検知回路110がこれを検知し、検知信号110sをコントローラ100へ出力する。
コントローラ100は、検知信号110sを受けて、角度変換回路12からレゾルバ120の現在のロータの回転角度θの回転角度信号RDを読み取る。コントローラ100は、回転角度θに基づいて、絶対値座標のバックアップを行う。これにより、コントローラ100には、制御電源140をオフしたときの絶対値座標が記憶される。
【0073】
さらに、コントローラ100は、励磁切換信号100asをパルス発生回路103へ出力する。
また、コントローラ100は、切換スイッチ群150,151に対して端子Tcと端子Tbとの接続を指示する切換信号150s,151sを出力する。
【0074】
パルス発生回路103は、励磁切換信号100asを受けると、読み取るデータを非停電時励磁データ保持部104から停電時/断線検知用励磁データ保持部105に切り換える。
また、差動入力アンプ107A,107Bとコイル121A,121Bとが接続され、パルス発生回路103の出力端A1,A3とコイル122の端部R1,R2とが接続される。
【0075】
これにより、コイル122へは、図12に示した励磁信号Paおよび断線検知用励磁信号Pcが供給される。
この後、主電源25の供給電圧が低下し、バックアップ回路2は、電源切換回路130により、主電源25に代えてバックアップ電源21から電力の供給を受けることになる。
主電源25の供給電圧が低下すると、停電検知回路106がこれを検知し、検知信号106sをパルス発生回路103に出力する。
パルス発生回路103は、検知信号106sを受けた後、所定時間(たとえば、9秒)が経過すると、図12に示した励磁信号Paの発生周期T1 および断線検知用励磁信号Pcの発生周期T4 を所定倍(たとえば、16倍)に延ばす。
【0076】
図14は、励磁信号Paおよび断線検知用励磁信号Pcをコイル122へ供給したときに、コイル122に発生する誘起電圧の回転角度θに応じた変化例を示す図である。なお図14に示す出力電圧は、差動入力アンプ107A,107Bの出力電圧である。
図14に示すように、コイル122に発生する誘起電圧は、ロータの回転角度θに応じて変化する。
また、図14からわかるように、断線検知用励磁信号Pcを印加することにより、回転角度θがいずれであっても、差動入力アンプ107A,107Bの出力の少なくとも一方は、基準電圧Vbに対して正方向および負方向の両側に変化する。すなわち、断線検知用励磁信号Pcを印加しないと、たとえば、回転角度θが0°,270°,315°,360°のような場合には、差動入力アンプ107A,107Bの出力は、基準電圧Vbに対して正方向または負方向の一方向にしか変化しない。
一方、ケーブルの断線やコネクタの脱落によりバックアップ回路102とレゾルバ120との接続経路が遮断されていると、励磁信号Paおよび断線検知用励磁信号Pcに対する応答は発生しない。
【0077】
差動入力アンプ107A,107Bの出力電圧は、コンパレータ108によって、コンパレート電圧Vsでコンパレートされる。
このとき、コンパレート電圧Vsを基準電圧Vbに対してプラスまたはマイナス方向にわずかに異ならせてコンパレートする。これにより、差動入力アンプ107A,107Bの出力電圧から、励磁信号Paおよび断線検知用励磁信号Pcによる変化のみを検出することが可能となる。
【0078】
図15は、コンパレータ108A,108Bによりコンパレート電圧Vsでコンパレートしたコンパレート信号の例を示す図である。なお、図15の(a)はA相(コンパレータ108A)のコンパレート信号COMPA、(b)はA相(コンパレータ108B)のコンパレート信号COMPB、(c)はコンパレート信号COMPAとコンパレート信号COMPBとのオアをとったものである。
図15に示すように、コンパレート信号COMPA,COMPBは、ロータの回転角度θに応じて変化する。
回転量検出部109は、このコンパレート信号COMPA,COMPBを、たとえば、励磁信号Paの立ち下がりに同期したラッチタイミングLpaあるいはこのラッチタイミングLpaから所定時間だけずらしたラッチタイミングでラッチする。
【0079】
コンパレート信号COMPA,COMPBをラッチタイミングLpaに基づいてラッチすることにより、図8に示したのと同様のA相データおよびB相データが得られる。
【0080】
また、図15(c)から分かるように、断線検知用励磁信号Pcを印加したことにより、ケーブルの断線等が発生していないときは、COMPA+COMPBの信号は必ず変化するのがわかる。
すなわち、励磁信号Paだけでは、回転角度θによってはCOMPA+COMPBの信号が変化しない場合もあるが、断線検知用励磁信号Pcを補助的に印加することにより、断線検知用励磁信号Pcを印加した時に、確実にコンパレート信号を変化させることが可能となる。
一方、ケーブルの断線等が発生しているときには、コンパレート信号は、常に”1”(ハイレベル)となる。
【0081】
断線検知回路111には、コンパレータ108Aからコンパレート信号COMPA,COMPBが入力されるとともに、クロック発生回路110からクロック信号CLK1,CLK2が入力される。
図16は、バックアップ回路102とレゾルバ120との接続経路が遮断されていないときの、断線検知回路111における各信号のタイミングチャートである。
図16に示すように、クロック信号CLK1は、励磁信号Paが入力される時点よりも所定時間だけ前にフリップフロップ回路250に入力される。
クロック信号CLK2は、断線検知用励磁信号Pcが入力された時点よりも所定時間だけ後にフリップフロップ回路251〜253に入力される。
【0082】
クロック信号CLK1が入力されることにより、フリップフロップ回路250の出力端子Qからの出力信号Q1は、ハイレベルとなる。
その後、フリップフロップ回路250のリセット端子/RSTにオア回路260の出力信号COMPA+COMPBが入力されると、出力信号Q1はローレベルになる。
【0083】
非断線時においては、フリップフロップ回路251〜253のクロック端子CLKにクロック信号CLK2が入力される時点で、入力端子Dにはローレベルの信号が常に入力されるので、フリップフロップ回路251〜253の出力端子Qからはローレベルの信号が出力される。このため、アンド回路255の出力信号は、常にローレベルとなり変化しない。
したがって、最終段のフリップフロップ回路254のクロック端子CLKへ入力される信号が変化しないため、フリップフロップ回路254の出力端子Qから出力される検知信号111sは、図16に示したように、常にローレベルとなる。
コントローラ100は、再び制御電源140を投入したときに、この検知信号11sがローレベルの場合には、ケーブルの断線やコネクタの脱落による接続経路の遮断が発生していないと判断する。
【0084】
図17は、バックアップ回路102とレゾルバ120との接続経路が遮断されたときの、断線検知回路111における各信号のタイミングチャートである。
図17に示すように、断線が発生すると、断線検知回路111へオア回路260の出力信号COMPA+COMPBが入力されなくなる。断線検知回路11へ信号COMPA+COMPBが入力されなくなると、フリップフロップ回路250の出力端子Qの出力信号Q1は、クロック信号CLK1が入力されたのち、”1”(ハイレベル)に維持される。
このため、断線検知用励磁信号Pcの発生毎に、フリップフロップ回路251、252および253の順に、断線検出結果としての”1”(ハイレベル)の信号を保持する。
フリップフロップ回路251、252および253のすべてが、”1”(ハイレベル)の信号を保持すると、アンド回路255の出力信号は、”1”(ハイレベル)の信号となる。
これにより、フリップフロップ回路254の出力する検知信号11sは、図17に示すように、”1”(ハイレベル)となる。
【0085】
コントローラ100は、再び制御電源140を投入したときに、この検知信号111sがハイレベルの場合には、ケーブルの断線やコネクタの脱落による接続経路の遮断が発生したと判断する。
【0086】
以上のように、本実施形態では、バックアップ回路102のパルス発生回路103がコイル122へ停電時の回転量を検出するために供給する励磁信号Paに加えて補助的に断線検知用励磁信号Pcを供給する。これにより、バックアップ回路102とレゾルバ120との間の接続経路が遮断していないときには、レゾルバ120の回転角度θに関わらず、コイル121A,121Bの検出する信号を、断線検知用励磁信号Pcの発生毎に必ず変化させることができる。バックアップ回路102とレゾルバ120との間の接続経路が遮断されているときには、コイル121A,121Bの検出する信号は変化しないことから、停電中におけるケーブルの断線やコネクタの脱落を確実に検知することができる。
また、本実施形態によれば、接続経路の遮断を検出するために、フォトカプラー等を使用する必要がなく、消費電力が増加することがない。
また、断線検知回路111は、バックアップ回路102とレゾルバ120とを結ぶケーブルのインピーダンスの大きさに影響を受けないため、ケーブルの延長化が可能となる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、レゾルバ信号処理回路の回路構成を簡素化できるとともに、主電源を遮断したときに作動するバックアップ回路の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】パルス発生回路において、非停電時励磁データ保持部に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す図である。
【図3】パルス発生回路において、停電時/断線検知用励磁データ保持部に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す図である。
【図4】差動入力アンプおよびコンパレータの回路の一例を示す図である。
【図5】断線検知回路の一例を示す図である。
【図6】コイルに発生する誘起電圧の回転角度θに応じた変化例を示す図である。
【図7】コンパレート信号の一例を示すグラフである。
【図8】A相データおよびB相データの一例を示す図である。
【図9】バックアップ回路とレゾルバとの接続経路が遮断されていないときの、断線検知回路における各信号のタイミングチャートである。
【図10】接続経路が遮断されたときの、断線検知回路における各信号のタイミングチャートである。
【図11】本発明の他の実施形態に係るレゾルバ信号処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図12】パルス発生回路において、停電時/断線検知用励磁データ保持部に記憶されたデータに基づいて発生される励磁信号の一例を示す図である。
【図13】断線検知回路の構成例を示す回路図である。
【図14】コイルに発生する誘起電圧の回転角度θに応じた変化例を示す図である。
【図15】コンパレート信号およびこれらを合成した信号の例を示すグラフである。
【図16】バックアップ回路とレゾルバとの接続経路が遮断されていないときの、断線検知回路における各信号のタイミングチャートである。
【図17】接続経路が遮断されたときの、断線検知回路における各信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1,101…レゾルバ信号処理装置
2,102…バックアップ回路
3,103…パルス発生回路
4,104…非停電時励磁データ保持部
5,105…停電時/断線検知用励磁データ保持部
6,106…停電検知回路
7,107A,107B…差動入力アンプ
8,108A,108B…コンパレータ
9,109…回転量検出部
10,110…クロック発生回路
11,111…断線検知回路
12…角度変換回路
21…バックアップ電源
25…主電源
100…コントローラ
110…制御電源停電検知回路
120…レゾルバ
130…電源切換回路
140…制御電源
Claims (5)
- 相対回転可能な第1および第2のコイルを有するレゾルバの信号処理を行うレゾルバ信号処理装置であって、
前記レゾルバと接続され、主電源からの電力の供給が遮断されているときにバックアップ電源から電力の供給を受けて動作するバックアップ回路を有し、
前記バックアップ回路は、
前記第1のコイルおよび第2のコイルの一方へパルス状の励磁信号を供給するパルス発生手段と、
前記第1のコイルおよび第2のコイルの他方によって検出された信号に基づいて、前記バックアップ電源から電力の供給を受けている間に発生した前記第1および第2のコイルの相対回転量を検出する回転量検出手段と、
前記第1のコイルおよび第2のコイルの前記他方によって検出された信号に基づいて、前記レゾルバと前記バックアップ回路との接続経路の遮断の有無を検知する断線検知手段と
を有し、
前記パルス発生手段は、前記相対回転量を検出するための所定周期のパルス状の回転量検出用励磁信号と前記接続経路の遮断の有無を検出するための所定周期のパルス状の断線検知用励磁信号とを前記第1および第2のコイルの前記一方に供給し、
前記回転量検出用励磁信号と断線検知用励磁信号とは、極性が反対である
レゾルバ信号処理装置。 - 前記パルス発生手段は、主電源から電力の供給を受けているときには、第1の励磁データに基づいてパルス状の励磁信号を前記第1および第2のコイルの前記一方又は前記他方に供給し、前記バックアップ電源から電力を受けているときには、第2の励磁データに基づいて、前記回転量検出用励磁信号と前記断線検知用励磁信号とを前記第1および第2のコイルの前記一方に供給する
請求項1に記載のレゾルバ信号処理装置。 - 前記断線検知用励磁信号の発生周期は、前記回転量検出用励磁信号の発生周期よりも長い
請求項1又は2に記載のレゾルバ信号処理装置。 - 前記バックアップ回路は、
前記第1および第2のコイルの他方に発生する電圧が基準電圧で差動入力され、これを増幅する差動入力アンプと、
前記差動入力アンプの出力電圧を前記基準電圧と異なるコンパレート電圧でコンパレートするコンパレータと、
を有し、
前記回転量検出手段は、前記コンパレータのコンパレート信号を前記励磁信号の励磁タイミングに基づいてラッチして得られた第1相信号および第2相信号から前記相対回転量を検出する回路を有し、
前記断線検知手段は、前記コンパレータのコンパレート信号に基づいて、前記接続経路の遮断の有無を検知する検知信号を生成する断線検知回路を有する
請求項1〜3のいずれかに記載のレゾルバ信号処理装置。 - 前記断線検知回路は、
前記断線検知用励磁信号の発生周期毎に前記コンパレート信号の変化の有無を検出する第1の検出回路と、
前記第1の検出回路の検出結果を複数の前記発生周期に渡って保持し、複数の前記発生周期における前記検出結果に基づいて、前記接続経路の遮断の有無を検知する検知信号を生成する第2の検出回路と
を有する請求項4に記載のレゾルバ信号処理装置。
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