JP4363561B2 - 豚の種別の判別法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、豚の品種を簡便に判別する方法および、キットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、豚肉用として飼育されているものは大ヨークシャー種、ランドレース種、デュロック種、バークシャー種、ハンプシャー種、メイシャン種、モンカイ種などと、それらの交雑によるものが主流である。そのなかで、バークシャー種はいわゆる黒豚といわれ、品質の高さから高値で取引されている。
【0003】
しかし、この高値に便乗して黒豚肉として取引されているものの中にはバークシャー以外の種の混じった豚肉やバークシャー種が全く混じっていない豚肉も出回っている。そこで、平成11年6月に「食肉小売品質基準」が改正され、バークシャー純粋種以外の肉を黒豚として表示することを禁止した。しかしながらこれは完全に守られているとはいえないのが現状である。
【0004】
豚の品種を調べる方法として、遺伝子を増幅した後、制限酵素断片長多型(Restriction fragment length polymorphisms:RFLP)により多型解析を行う方法がある(特許文献1)。しかしながら、この方法はRFLPを用いているため多量のDNAを必要とすること、制限酵素を用いるため操作に熟練を要すること、複数の制限酵素を用いるときは操作が煩雑になること、制限酵素が市販されていない多型部位については調べることができない、白色品種と有色品種を区別できない場合がある等の問題が生じ、高精度且つ多検体を処理することは難しい。
【0005】
また、現在までに、豚の種別の判別の指標となる遺伝子多型が多数報告されている(特許文献1)が、より正確な判別には、新たな多型を見出すことが必要である。特に、従来知られている多型のみでは、黒豚と白豚とを判別できない場合がある。
【0006】
一方、標識した標的核酸を固相上で捕獲して、その有無や存在比を解析するマイクロアレイ技術が近年開発された。これは、多数の捕獲核酸(キャプチャーオリゴヌクレオチド)を固相上に固定化し、標識した標的核酸を捕獲核酸にハイプリダイズさせて捕獲し、標的核酸の有無や存在比を網羅的に解析する技術である(非特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3116049号公報(特開2000-350586号公報)
【非特許文献1】
Nature genetics supplement volume 21, P10-14
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、豚の種別判別に際し、簡便且つ、多検体処理に適し、1つの検体に対して一度の試験で高精度の判別が可能な方法及びキットを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を行った結果、幹細胞増殖因子レセプター遺伝子の一種であるKIT遺伝子中に、豚の種別の判別に好適な新規な多型が存在することを見出した。そして、KIT遺伝子の公知の多型、あるいはメラニン細胞刺激ホルモンレセプター遺伝子(MC1R遺伝子)中の多型と組み合わせることにより、被検体豚の種別を高精度に判定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)1種又は2種以上のキャプチャーオリゴヌクレオチドを含み、これらのキャプチャーオリゴヌクレオチドと被検体豚由来の核酸とのハイブリダイゼーションにより検出される多型又はその組み合わせによって、同被検体豚の種別を判別するためのキットであって、前記キャプチャーオリゴヌクレオチドは、配列番号1に示す塩基配列を基準とするKIT遺伝子の塩基配列において、1159位及び1209位に相当する位置のいずれか一方又は両方の位置における多型を検出し得るオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とするキット。
(2)前記キャブチャーオリゴヌクレオチドは、支持体に固定化されていることを特徴とする(1)に記載のキット。
(3)前記キャプチャーオリゴヌクレオチドは、前記KIT遺伝子の塩基配列において、398位、549位、595位、659位、844位、884位、959位、1313位、1342位、1632位、1724位、1986位、2179位、2295位、2313位、2314位、2360位、2377位、2391位、2429位、2449位、2470位、2472位、2600位、2611位、2622位、2663位、2674位、2680位、2717位、2834位、2840位、2899位、3020位、3049位、3207位、3221位、3258位、3296位、3317位、3323位、3341位、3373位、3387位、3420位、3482位、3597位、3666位、3705位、3737位、3773位、3884位、3885位、3886位、及び3887位から選ばれる1又は2以上の位置の多型を検出し得るオリゴヌクレオチドをさらに含む(1)又は(2)に記載のキット。
(4)前記キャプチャーオリゴヌクレオチドは、メラニン細胞刺激ホルモンレセプター遺伝子(以下、「MC1R遺伝子」という)における1又は2以上の位置における多型を検出し得るオリゴヌクレオチドを含む(1)〜(3)のいずれかに記載のキット。
(5)前記MC1R遺伝子における多型が、配列番号2に示す塩基配列において、154位、176位、234位、241位、361位、367位、598位、及び600位から選ばれる位置に相当する位置における多型である(4)に記載のキット。
(6)前記キャプチャーオリゴヌクレオチドは、多型部位を含む領域の塩基配列に相補的又は相同な塩基配列を有し、10〜40塩基長である(1)〜(5)のいずれかに記載のキット。
(7)配列番号1に示す塩基配列を基準とするKIT遺伝子の塩基配列において、1159位又は1209位に相当する位置における多型をハイブリダイゼーションにより検出し得るオリゴヌクレオチド。
(8)前記多型部位を含む領域の塩基配列に相補的又は相同な塩基配列を有し、10〜40塩基長である(7)に記載のオリゴヌクレオチド。
(9)被検体豚由来の核酸と、(1)〜(6)のいずれかに記載のキットに含まれるキャプチャーオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを行い、各々のキャプチャーオリゴヌクレオチドについて被検体豚由来の核酸とのハイブリッド形成の有無を検出し、被検体豚の塩基配列中の多型を同定することによって、被検体豚の種別を判別する方法。
(10)被検体豚のKIT遺伝子中の1又は2以上の多型を検出し、検出される多型又はその組み合わせによって、同被検体豚の種別を判別する方法であって、前記多型は、配列番号1に示す塩基配列を基準とするKIT遺伝子の塩基配列において、1159位及び1209位に相当する位置のいずれか一方又は両方の位置における多型を含むことを特徴とする方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、被検体豚のKIT遺伝子中の1又は2以上の多型を検出し、検出される多型又はその組み合わせによって、同被検体豚の種別を判別する方法であって、前記多型は、配列番号1に示す塩基配列を基準とするKIT遺伝子の塩基配列において、1159位及び1209位に相当する位置のいずれか一方又は両方の位置における多型を含むことを特徴とする方法である。同方法は、具体的には、例えば固定化核酸を用いたハイブリダーゼーションにより行われる。本発明のキットは、本発明の方法をこのようなハイブリダイゼーションにより行うためのキットであって、前記1159位及び1209位に相当する位置のいずれか一方又は両方の位置における多型を検出し得るオリゴヌクレオチドを、キャプチャーオリゴヌクレオチドとして含む。前記多型は、本発明者が見出した新規な多型である。
【0011】
本発明において、多型の検出及びその結果に基づく豚の種別の判別は、上記多型に加えて、KIT遺伝子の公知の多型と組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの多型と、MC1R遺伝子中の多型と組み合わせてもよい。
【0012】
KIT遺伝子の多型としては、配列番号1に示す塩基配列を基準とするKIT遺伝子の塩基配列において、398位、549位、595位、659位、844位、884位、959位、1159位、1209位、1313位、1342位、1632位、1724位、1986位、2179位、2295位、2313位、2314位、2360位、2377位、2391位、2429位、2449位、2470位、2472位、2600位、2611位、2622位、2663位、2674位、2680位、2717位、2834位、2840位、2899位、3020位、3049位、3207位、3221位、3258位、3296位、3317位、3323位、3341位、3373位、3387位、3420位、3482位、3597位、3666位、3705位、3737位、3773位、3884位、3885位、3886位、3887位に相当する位置における多型が挙げられる。
【0013】
また、MC1R遺伝子の多型としては、配列番号2に示す塩基配列を基準とするMC1R遺伝子の塩基配列において、154位、176位、234位、241位、362位、367位、598位、および600位から選ばれる位置に相当する位置における多型が挙げられる。
【0014】
遺伝子における多型の位置は、その位置よりも上流側における配列中のヌクレオチドの挿入、欠失等によって変化し得る。本発明において、「相当する位置」とは、このように、遺伝子配列中の絶対的位置が変わった場合、配列番号1又は2に示す基準配列中の相対位置を示すものである。
【0015】
上記多型位置における多型の様式として具体的には、KIT遺伝子では398位におけるチミンからシトシンへの置換、549位におけるアデニンからグアニンへの置換、595位におけるアデニンからチミンへの置換、659位におけるシトシンからチミンへの置換、844位におけるグアニンからアデニンへの置換、884位におけるシトシンからアデニンへの置換、959位におけるアデニンからグアニンへの置換、1159位におけるチミンからシトシンへの置換、1209位におけるシトシンからチミンへの置換、1313位におけるグアニンからアデニンへの置換、1342位におけるグアニンからアデニンへの置換、1632位におけるグアニンからアデニンへの置換、1724位におけるシトシンからチミンへの置換、1986位におけるアデニンからグアニンへの置換、2179位におけるシトシンからグアニンへの置換、2295位におけるグアニンからアデニンへの置換、2313位におけるシトシンからチミンへの置換、2314位におけるシトシンからアデニンへの置換、2360位におけるシトシンからチミンへの置換、2377位におけるシトシンからチミンへの置換、2391位におけるグアニンからシトシンへの置換、2429位におけるシトシンの欠失、2449位におけるグアニンからアデニンへの置換、2470位におけるグアニンからアデニンへの置換、2472位におけるシトシンからアデニンへの置換、2600位におけるグアニンからアデニンへの置換、2611位におけるアデニンからグアニンへの置換、2622位におけるシトシンからチミンへの置換、2663位におけるアデニンからグアニンへの置換、2674位におけるシトシンからグアニンへの置換、2680位におけるチミンからシトシンへの置換、2717位におけるシトシンからチミンへの置換、2834位におけるアデニンからグアニンへの置換、2840位におけるアデニンからチミンへの置換、2899位におけるグアニンからアデニンへの置換、3020位におけるグアニンからアデニンへの置換、3049位におけるシトシンからアデニンへの置換、3207位におけるシトシンからチミンへの置換、3221位におけるアデニンからシトシンへの置換、3258位におけるグアニンからアデニンへの置換、3296位におけるチミンからシトシンへの置換、3317位におけるチミンからシトシンへの置換、3323位におけるチミンからシトシンへの置換、3341位におけるグアニンからアデニンへの置換、3373位におけるグアニンからチミンへの置換、3387位におけるグアニンからアデニンへの置換、3420位におけるアデニンからグアニンへの置換、3482位におけるグアニンからアデニンへの置換、3597位におけるグアニンからチミンへの置換、3666位におけるアデニンからグアニンへの置換、3705位におけるグアニンからアデニンへの置換、3737位におけるアデニンからグアニンへの置換、3773位におけるシトシンからチミンへの置換、3884位におけるアデニンの欠失、3885位におけるグアニンの欠失、3886位におけるチミンの欠失、及び3887位におけるチミンの欠失が挙げられる。
【0016】
また、MC1R遺伝子では、154位におけるグアニンからアデニンへの置換、176位におけるチミンからシトシンへの置換、234位におけるチミンからシトシンへの置換、241位におけるアデニンからグアニンへの置換、362位におけるシトシンからチミンへの置換、367位におけるシトシンからチミンへの置換、598位におけるグアニンからアデニンへの置換、及び600位におけるグアニンからアデニンへの置換が挙げられる。
【0017】
本発明において検出する、KIT遺伝子の1159位及び1209位以外の多型の組み合わせとしては、以下の組み合わせが挙げられる。
(1)C659T、C2377T
【0018】
(2)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、G2391C、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A
【0019】
(3)T398C、A549G、C659T、C884A、A959G、G1342A、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、G2391C、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A
【0020】
(4)T398C、A549G、C659T、A959G、G1313A、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A
【0021】
(5)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A
【0022】
(6)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A、A3884D、G3885D、T3886D、T3887D
【0023】
(7)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A
【0024】
(8)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、G2470A、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G2899A、G3020A、C3207T、A3221C、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A、C3773T
【0025】
(9)A595T、C659T、G844A、A959G、G1632A、A1986G、G2295A、C2313T、C2314A、C2360T、C2429D、G2449A、A2611G、C2622T、A2663G、C2674G、T2680C、C2717T、A2834G、A2840T、C3049A、A3221C、T3296C、T3317C、T3323C、G3373T、A3420G、G3482A、G3597T、A3666G、G3705A、A3737G
(但し、数字は配列番号1における位置を、数字を挟む左右の文字は左の塩基から右の塩基への置換を、Dは欠失を、それぞれ示す。)
【0026】
また、本発明において検出する、MC1R遺伝子の多型の組み合わせとしては、以下の組み合わせが挙げられる。
(10)C367T
(11)A241G、C362T、G598A
(12)G154A、T176C、T234C、A241G、G600A
【0027】
本発明において、豚の種の判定は、上記多型又はその組み合わせを同定することによって行われる。表1に、MC1R遺伝子の豚の種別による多型の一覧を示す。また、表2〜3に、KIT遺伝子の豚の種別による多型の一覧を示す。例えば表2中に、「白ぶた」が4種記載されているが、これは、4種の白ぶたについて多型の組合せを分類したところ、4種にわかれたことを意味している。また、表1〜3中、「多型個所」は、MC1Rは配列番号2に示す塩基配列を基準とする位置を、KIT遺伝子は配列番号1に示す塩基配列を基準とする位置を示す。また、ランドレース種と大ヨークシャー種は共に白色であるため、以下2種をまとめて白色豚とする。
【0028】
【表1】
Figure 0004363561
【0029】
【表2】
Figure 0004363561
【0030】
【表3】
Figure 0004363561
【0031】
本発明において、好ましくは、上記多型は、それぞれの多型をハイブリダイゼーションにより検出し得るオリゴヌクレオチドを用いて検出される。本発明においては、このようなオリゴヌクレオチドをキャプチャーオリゴヌクレオチドという。キャプチャーオリゴヌクレオチドは、多型部位を含む領域の塩基配列に相補的又は相同な塩基配列を有する。
【0032】
キャプチャーオリゴヌクレオチドの設計は、それぞれの遺伝子に存在する各々の多型部位を含むように行う。また、1つのキャプチャーオリゴヌクレオチドのなかに2塩基以上のタイプ固有の塩基配列が存在していてもかまわない。
【0033】
キャプチャーオリゴヌクレオチドの塩基の長さは、10〜40塩基が望ましい。これより短いとハイブリダイゼーションの検出が困難になり、長いとタイプ固有の配列によるハイブリダイゼーションの差が少なくなり、タイプの判定が難しくなることがある。ただし、このキャプチャーオリゴヌクレオチドの長さは、主として各塩基の含有率や同一塩基の繰り返しなどの配列の特性に依存する。また、ハイブリダイゼーションを妨げる要因である2次構造的障害がある場合は、遺伝子の多型性に関係しない任意の塩基をスペーサー化合物で置換することによりハイブリダイゼーションにおける結合親和性を緩和したオリゴヌクレオチドを用いることにより、前記障害を回避することもできる。このようなスペーサー化合物としては、いずれの種類の塩基との相補結合性を有しない核酸骨格等が挙げられる。
【0034】
キャプチャーオリゴヌクレオチドの塩基配列の例を、配列番号3〜121に示す。尚、配列番号3〜121に示した番号のほか、各塩基配列の5’側もしくは3’側またはその両方において、各々の塩基配列を、MC1R遺伝子、KIT遺伝子の塩基配列に対応して伸長、または短縮させてもよいが、いずれの場合もキャプチャーオリゴヌクレオチドは10〜40塩基の範囲とすることが好ましい。
【0035】
キャプチャーオリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、ペプチド核酸、またはロックド核酸のいずれであってもよい。キャプチャーオリゴヌクレオチドの合成方法は、通常のオリゴヌクレオチドと同様にして、例えば市販のDNA合成機を用いる方法等によって、行うことができる。
【0036】
本発明において、設計されたキャプチャーオリゴヌクレオチドは、出願時点までの研究・調査結果を良く反映したものであるが、新しいハプロタイプの塩基配列に関して、この後、追加的な情報が得られた場合には、本出願に記載の方法に基づいて新たなキャプチャーオリゴヌクレオチドが設計されることになる。このようなキャプチャーオリゴヌクレオチドを使用する場合であっても、KIT遺伝子の1159位及び1209位に相当する位置のいずれか一方を検出する限り、本発明に含まれる。
【0037】
上記のようなキャプチャーオリゴヌクレオチドを用いてハイブリダイゼーションを行う際に、キャプチャーオリゴヌクレオチドと被検体豚に由来する核酸(以下、「核酸プローブ」ともいう)を液中でハイブリダイゼーションさせてもいいし、キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブのどちらかを支持体上に固定化してもよい。
【0038】
固定化を行う場合、このような支持体としては、キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブを固定化でき、被検体とのハイブリダイゼーション及び、ハイブリッドの検出に必要な反応工程に耐え得るものであれば特に制限されない。このような支持体の材質として具体的にはプラスチック、無機高分子、金属、天然高分子、セラミック等が挙げられる。
【0039】
上記プラスチックとして具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビリニデン、ポリフッ化エチレン、ポリイミド及びアクリル樹脂等が挙げられる。
【0040】
また、無機高分子として具体的には、ガラス、水晶、カーボン、シリカゲル及び、グラファイト等が挙げられる。
【0041】
また、金属として具体的には、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、磁石、パラマグネット等が挙げられる。
【0042】
また、天然高分子としてはポリアミノ酸、セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸及び、それらの誘導体等が挙げられる。
【0043】
また、セラミックとして具体的にはアパタイト、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素及び、炭化ホウ素等が挙げられる。
【0044】
本発明においてキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体の固定化に用いる支持体の形状はキャプチャーオリゴヌクレオチドが固定化されれば、特に制限されない。このような支持体の形状として平板、メンブレン、微粒子等が挙げられる。
【0045】
本発明において上記支持体にキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブを固定化する際、支持体にキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブを直接固定化してもよく、担体を支持体に担持させて、担体を介してキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体を支持体に固定化してもよい。担体としては、担体自体がキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体に結合性を有してもよく、キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体に結合性を有するリガンドを介してキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体を固定化できるものであってもよい。ここで、「担持」とは、担体にキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブを固定化する際やキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブ固定化支持体を実際の検出に用いる際等に用いられる水溶性溶剤、有機溶剤等の各種溶剤中で、支持体から上記担体が実質的に脱離しないことを意味する。
【0046】
本発明に用いられる上記担体は、上記支持体上に担持される限り、単に物理的な接着性を利用して担持されていてもよく、また、化学的に共有結合等を介して担持されていてもよい。また、上記担体は、必要に応じ、支持体上の全面において担持されていても、また、その一部において担持されていてもよい。
【0047】
担体としては、有機低分子、プラスチック、無機高分子、金属、天然高分子、セラミック等が挙げられる。
上記有機低分子として具体的には、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、窒素イペリット基含有化合物、アルデヒド基含有化合物、アミノ基含有化合物等が挙げられる。
【0048】
また、プラスチック、無機高分子、金属、セラミックは、前記したものと同様のものを使用することができる。
本発明において特に好ましい担体は、カルボジイミド基含有化合物またはイソシアネート基含有化合物である。
【0049】
各キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブの支持体への供給はキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブの活性が維持されるように、通常、水またはバッファー中に含まれる形で供給される。また、供給の際の温度としては固定化されるキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体の活性が失われないように0℃〜100℃とすることが望ましい。
【0050】
また、オリゴヌクレオチドと支持体の接触後に紫外線等の電磁波を照射することによって固定することもできる。さらに、オリゴヌクレオチドとカルボジイミド樹脂、窒素イペリット、ポリアミノ酸、ニトロセルロール等の公知の化合物を化学的に結合又は物理的に結合した状態で、これら混合物と担体を接触させ固定させても良く、また、このとき紫外線等の電磁波を照射して固定しても良い。
【0051】
本発明においてキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体を支持体に供給する手段は、キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体の活性が維持された状態で供給されれば特に制限はされない。このような例としてディスペンサを用いる方法、ピンを用いる方法、インクジェットを用いる方法などが挙げられる。
【0052】
キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブを支持体上へ固定化する際、その形状はハイブリダイゼーションに影響を及ぼさず、また、検出が困難にならなければ特にその形状は制限されない。このような例として円形、四角形等が挙げられる。支持体上へ各キャプチャーオリゴヌクレオチドが固定化される部位のサイズは、径10μm〜1cmが好ましい。これより小さいと検出が困難になり、また、これより大きいと配置されたキャプチャーオリゴヌクレオチド全体の占める面積が大きくなり、操作性が悪くなるという問題が生じることがある。
【0053】
支持体上への各キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブの固定化の際、各オリゴヌクレオチドまたは被検体をそのまま固定化しても良いが、反応性を高めることによって、キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体の末端にリンカーを付加し、リンカーと支持体又は担体とを反応させてもよい。そのようなリンカーとしては、アミノ基、またはホモポリマー、例えばチミジン残基のホモポリマー等が挙げられる。
【0054】
各キャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブの支持体上への配置は各多型の判定が出来れば特に制限されないが、各多型の判定を容易にするために、多型の判定に用いられるキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは被検体を1区画にまとめるか、あるいは一列に並べるなどして配置することが好ましい。
【0055】
支持体上へ固定されるキャプチャーオリゴヌクレオチドまたは核酸プローブは、1種であっても、2種以上であってもよい。
【0056】
キャプチャーオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに用いる核酸プローブは、MC1R遺伝子及びKIT遺伝子又はその一部を含む核酸である。核酸プローブは、ハイブリダイゼーションを阻害しないものであれば特に制限されないが、通常、DNAまたはRNAなどが用いられる。また、核酸プローブの作製方法は、ハイブリダイゼーションを阻害しない方法であれば特に制限されない。具体的には、豚の血液または組織から核酸を抽出し、MC1R遺伝子及びKIT遺伝子の少なくとも多型部位を含む領域を、Polymerase Chain Reaction(PCR)法、in virto transcription法、Loop-mediated Isothermal Amplification法等の方法によって増幅又は単離することによって、核酸プローブを調製することができる。核酸の調製は、通常核酸の調製に用いられている方法を採用することができる。例えばAnim.Sci.J.71(8):222-234,2000で紹介されている方法が挙げられる。
【0057】
核酸プローブは、各多型を少なくとも1箇所含むように調製する。また、核酸プローブの作製に用いるPCRプライマーは、各ハプロタイプ固有の配列領域を除き、キャプチャーオリゴヌクレオチドと相補的な塩基配列になるように設計される。なお、ハイブリダイゼーションが可能である限りにおいて、核酸プローブは、キャプチャーオリゴヌクレオチドより長くても短くても良い。また、PCR反応の特異性を高めるために、目的とする核酸プローブよりも広い領域を作製する予備的プライマーを用いて初回の作製をおこない、作製された核酸を鋳型として核酸プローブを得るための2次プライマーを用いて核酸増幅をおこなっても良い。多型が離れたところにある場合、各固有領域に応じた核酸プローブを作製することができる。
【0058】
核酸プローブまたはキャプチャーオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションを検出するために通常標識されている。標識された核酸プローブまたはキャプチャーオリゴヌクレオチドを得る方法は、ハイブリダイゼーションを阻害しない方法であれば特に制限されない。このような方法として、最終的な核酸プローブ作製に用いるプライマーを予め標識しておく方法、核酸プローブ作製中に標識する方法、及び、核酸プローブ作製後に標識する方法、標識したキャプチャーオリゴヌクレオチドを作製する方法等が挙げられる。
【0059】
プライマーを予め標識しておく方法、標識したキャプチャーオリゴヌクレオチドを作製する方法としては、標識ヌクレオチドを用いてプライマー合成を行う方法などが挙げられる。核酸プローブ作製中に標識する方法として、核酸プローブ作製反応中に標識したヌクレオチドをとりこませる方法などが挙げられる。また、作製反応後に標識する方法としては、特開平10-287870号に示される方法で標識する方法などが挙げられる。
【0060】
核酸プローブまたはキャプチャーオリゴヌクレオチドを標識する物質は、通常のハイブリダイゼーション法に用いられる標識物質を使用することができる。このような標識物質として蛍光物質やハプテンなどが挙げられる。具体的にはフルオレセイン、ローダミン、フィコエリスリン、テキサスレッド、シアニン系蛍光色素が、ハプテンとしてはビオチン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェニルなどが挙げられる。
【0061】
核酸プローブを作製するためのプライマーは、キャプチャーオリゴヌクレオチドと共に、ハプロタイプタイピングキットに含めることができる。
【0062】
ハイブリダイゼーションは、通常の核酸のハイブリダイゼーションと同様にして行うことができる。以下に具体的な方法を例示する。
SSC(Standard Saline Citrate)などの塩溶液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ウシ血清アルブミンなどのブロッキング溶液、および反応促進のための添加剤からなる混合液に核酸プローブを加える。プローブが2本鎖の場合は熱などによる変性を行う。支持体上に核酸プローブ溶液を数μL滴下した後、数時間加熱操作(通常30℃〜80℃)を行い、支持体上に固定化されているキャプチャーオリゴヌクレオチドと核酸プローブでハイブリッドを形成させる。
【0063】
適当な濃度のSSC溶液またはテトラメチルアンモニウムクロリド溶液中に支持体を沈め、加熱(通常37℃〜70℃)し、特異的なハイブリッドのみを選択的に支持体上に残す。このとき、SDSなどを加えても良い。
【0064】
ハイブリッドの検出には核酸プローブに標識されている蛍光物質またはハプテン等を使用する。蛍光物質を使用する場合は、専用の蛍光スキャナーを用いてハイブリダイズした核酸プローブに標識された蛍光を検出する。
【0065】
ハプテンを使用する場合は、ハプテンを認識するタンパクまたはそれに結合するタンパクと、アルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュ・パーオキシダーゼなどの結合体(酵素コンジュゲート)を含む溶液を支持体上に加え、室温で数10分間反応させる。なお、このハプテンと酵素コンジュゲートの結合反応を行う前に、キャプチャーオリゴヌクレオチドを固定した領域以外の支持体の領域をカゼインやウシ血清アルブミンなどのタンパクを用いて被覆することによって酵素コンジュゲートと支持体の非特異的吸着を阻止することができる。この処置は、オリゴヌクレオチドを固定した後、支持体上にカゼインなどのタンパクの溶液を加え、室温で数10分間放置することによって行うことができる。
【0066】
酵素コンジュゲートと核酸プローブのハプテンとの結合反応後、ハプテンと結合しなかった酵素コンジュゲートを、界面活性剤を含む適当な緩衝液で洗浄することによって、支持体上にはターゲット核酸中のハプテンと結合した酵素コンジュゲートのみが残ることになる。
【0067】
この後酵素コンジュゲートに結合されたアルカリフォスファターゼまたはホースラディッシュ・パーオキシダーゼなどの酵素によって発色し、沈着するような化合物を添加することでハイブリッドを形成している部分だけが可視化される。
【0068】
ここで用いられる化合物としては、ニトロブルーテトラゾリウムクロライド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸−p−トルイジン塩)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジンなどが用いられる。
【0069】
多型の検出は、得られたハイブリダイゼーションの結果をもとに、キャプチャーオリゴヌクレオチド毎に沈着した色素または蛍光を検出することで行う。具体的には、キャプチャーオリゴヌクレオチド毎の発色量および蛍光強度を、対応するキャプチャーオリゴヌクレオチドと比較し、その量の大きい方をハイブリダイゼーション陽性と判定する。量が同じときは共に陽性と判定する。また、その基準は特に制限されないが、用いる標識物質等によって異なるため、検出系毎に基準をきめることが望ましい。
【0070】
上記判定を多型部位毎に行い、各々の多型またはその組み合わせがいずれかのタイプと一致したとき、その種の豚であると判定される。豚は2倍体なので交雑種の場合、2種の交雑と判定されることもある。
【0071】
表4〜6に、配列番号3〜121に示す塩基配列を有するキャプチャーオリゴヌクレオチドを固定化して用いたときの、ハイブリダイゼーションシグナルと豚の種類の対応を示す。ここで表3はMC1R遺伝子のものを表4はKIT遺伝子のものを示す。
【0072】
【表4】
Figure 0004363561
【0073】
【表5】
Figure 0004363561
【0074】
【表6】
Figure 0004363561
【0075】
本発明のキットは、キャプチャーオリゴヌクレオチドを含む。また、本発明のキットは、核酸プローブを作製するためのプライマーまたは標識核酸プローブ、緩衝液、ハプテンを認識する酵素コンジュゲート等のハイブリダイゼーション用の試薬などを含めることができる。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0077】
<1>オリゴヌクレオチドの合成
定法に従い、オリゴヌクレオチド合成機(Perkin-elmer Applied biosystems)を用いて、オリゴヌクレオチドを合成し、脱保護を施した後、乾燥させた。このオリゴヌクレオチド乾燥体を、10mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA緩衝液を用いて溶解し、100pmol/μLのオリゴヌクレオチド溶液を調製した。この合成法は、キャプチャーオリゴヌクレオチド又はプライマーとして使用するいずれのオリゴヌクレオチドに対しても同様である。合成したオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号3〜125に示す。これらのうち、配列番号3〜121がキャプチャーオリゴヌクレオチドであり、配列番号122〜125がプライマーである。キャプチャーオリゴヌクレオチドについては上記合成機を用いて5’末端にアミノ基を結合させ、プライマーについては5’側にローダミン標識した。
【0078】
<2>支持体へのキャプチャーオリゴヌクレオチドのスポッティング
5’末端にアミノ基を有するオリゴヌクレオチド溶液10μLに対してマイクロスポッティング溶液(TeleChem International Inc.)を10μL混合し、マイクロタイタープレート(Greiner Laboratory Inc.)上に分注した。スポッティングマシンの所定の位置にシラン化スライドグラス(Matsunami Glass Ind. Ltd.)を配置し、スポッティングマシンを作動させた。スポッティング終了後、スライドグラスに熱水からの蒸気を数秒間あて、その後紫外線を30mJ照射した。再度蒸気に数秒間曝露した後、ホットプレート上にスライドグラスを置いて水分を除去した。0.1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液でスライドグラスをすすいだ後、蒸留水ですすいだ。スライドグラスを3% BSA(ウシ血清アルブミン)を含む100mM Tris-HCl(pH7.5), 100mM NaCl,0.1% Triton X-100に室温で30分間浸し、ブロッキングした。その後室温で乾燥させた後、10mM Tris-HCl(pH7.5), 1mM EDTA緩衝液で洗浄した。スライドグラスを再度室温で乾燥させ、使用まで乾燥状態で冷暗所にて保存した。
【0079】
<3>プローブ核酸の調製
豚のDNAを鋳型として、PCRによりプローブ核酸を調製した。
各種の豚から得られた血液50μLをマイクロチューブに入れ、これに10mM Tris-HCl pH8.0, 0.1M NaCl, 1mM EDTA, 0.5% SDS, 500μg/mL proteinase Kを500μl加え混和したのち、37℃で一晩インキュベートした。フェノール:クロロフォルム:イソアミルアルコール(25:24:1)溶液を500μL加え、撹拌した後遠心(12000rpm、1分間)し、水相を回収した。この操作を3回繰り返した。得られた水相にクロロフォルム:イソアミルアルコール(24:1)溶液を500μL加え、撹拌した後遠心(12000rpm、1分間)し、水相を回収した。この操作を2回繰り返した。得られた水相中のDNAをエタノール沈殿により回収し、乾燥させ後、TEバッファー(10mM Tris-HCl, 1mM EDTA, pH7.5)に溶解し、PCRテンプレート溶液とした。
【0080】
PCR反応液の組成は、Taqポリメレースを1Unit、プライマーを各10pmol、反応用緩衝液5μl、dNTPを各10nmol、テンプレートDNA溶液を0.5μl、および滅菌水を加えて総量50μlとし、1つのPCRテンプレートについてMC1R遺伝子を増幅するため(配列番号122と123のプライマー)とKIT遺伝子を増幅するため(配列番号124と125のプライマー)2種類用意する。チューブに入れた溶液をサーマルサイクラーにセットして、94℃で3分間加熱した後、94℃:45秒間、60℃:60秒間、72℃:1分間の反応を30サイクル行い、その後72℃:3分間反応させた。
【0081】
本実施例では、確認試験として、次に記載のアガロースゲルを用いた電気泳動を行ったが、実際の臨床における鑑別の際にはこの操作は必須ではない。PCR反応混合物を1μl取り、6×泳動色素(30%グリセロール、0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノール)を1μl、蒸留水4μlと混和した。2%アガロースゲル上で、100V、90分間の条件で泳動させた後、0.5μg/mlエチジウムブロマイドを含む蒸留水に30分間浸し、紫外線照射下でゲルをCCDカメラで撮影した。その結果、所望の増幅断片が得られたことが確認された。
【0082】
<4>ハイブリダイゼーション
<3>で作製した全てのプローブ核酸溶液を混ぜ、その後、4μl取り、ArrayIt Unihyb Hybridization Solution(TeleChem International Inc.)16μlを加えて混合し、100℃で10分間加熱処理を行った後、氷中に5分間浸した。このプローブ核酸溶液を5μlとり、<2>で作製したキャプチャーオリゴヌクレオチドを固定化したスライドグラスにのせ、その上にカバーグラスをのせた。これを保湿箱に入れ、さらに37℃に設定した恒温器に入れて120分間静置した。スライドグラスを取り出し、すばやく室温下で2×SSC, 0.1%SDS溶液(2×SSC:0.033M NaCl, 0.033Mクエン酸ナトリウム)に浸してカバーグラスを除去した。スライドグラスを室温下で2×SSC, 0.1%SDS溶液に5分間浸す操作を2回行い、37℃の0.2×SSC, 0.1%SDS溶液(0.2×SSC:0.0033M NaCl, 0.0033Mクエン酸ナトリウム)に5分間浸す操作を2回行い、最後に2×SSCに浸した。
【0083】
<5>蛍光の検出
ハイブリダイゼーションを終えたスライドグラスを2×SSCから取り出し、遠心機(Beckman社製)にセットし、2000rpmで1分間遠心した。次にScanArray4000(GSI Lumonics社製)にスライドグラスをセットし、蛍光検出を行った。
【0084】
以上の結果およびDNAシーケンス法によるタイピングとの関係を表7に示した。本発明の方法により、豚の種別判定が可能なことが明らかである。
【0085】
【表7】
Figure 0004363561
【0086】
【発明の効果】
本発明により、豚の種別判定を、効率よく、かつ高精度で行うことができる。
【配列表】
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Claims (2)

  1. 大ヨークシャー種及びランドレース種からなる白ぶた種と、デュロック種と、バークシャー種と、ハンプシャー種と、メイシャン種と、モンカイ種とを判別する、豚の種別を判別するためのキットであって、
    前記キットは、以下の(I)〜(III)のすべての塩基置換及び塩基欠失による多型を同時に検出するための複数種のキャプチャーオリゴヌクレオチドを含み、
    前記複数種のキャプチャーオリゴヌクレオチドは、検出しようとする多型が存在する多型部位の種類に対応しており、
    前記キャプチャーオリゴヌクレオチドは、検出しようとする多型の一方を検出するためのオリゴヌクレオチド及び/又は他方を検出するためのオリゴヌクレオチドを含む、キット。
    (I)配列番号1の塩基配列を基準とするKIT遺伝子の多型部位におけるT1159C及び/又はC1209T
    (但し、数字は配列番号1の塩基番号に相当する位置を示し、数字の左の文字は配列番号1における塩基を、数字の右の文字は置換された塩基を示す。)、
    (II)配列番号2の塩基配列を基準とするメラニン細胞刺激ホルモンレセプター遺伝子の多型部位における、A241G、C362T及びG598A、又は、G154A、T176C、T234C、A241G及びG600A
    (但し、数字は配列番号2の塩基番号に相当する位置を示し、数字の左の文字は配列番号2における塩基を、数字の右の文字は置換された塩基を示す。)、
    (III)配列番号1の塩基配列を基準とするKIT遺伝子の多型部位における以下の(A)〜(H)のいずれか:
    (A)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、G2391C、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G及びG3705A、
    (B)T398C、A549G、C659T、C884A、A959G、G1342A、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、G2391C、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G及びG3705A、
    (C)T398C、A549G、C659T、A959G、G1313A、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G及びG3705A、
    (D)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G及びG3705A、
    (E)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A、A3884D、G3885D、T3886D及びT3887D、
    (F)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G3020A、C3207T、A3221C、G3258A、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G及びG3705A、
    (G)T398C、A549G、C659T、A959G、C1724T、A1986G、C2179G、C2377T、G2470A、C2472A、G2600A、A2611G、A2663G、T2680C、A2840T、G2899A、G3020A、C3207T、A3221C、T3296C、T3317C、T3323C、G3341A、G3387A、G3482A、A3666G、G3705A及びC3773T、
    (H)A595T、C659T、G844A、A959G、G1632A、A1986G、G2295A、C2313T、C2314A、C2360T、C2429D、G2449A、A2611G、C2622T、A2663G、C2674G、T2680C、C2717T、A2834G、A2840T、C3049A、A3221C、T3296C、T3317C、T3323C、G3373T、A3420G、G3482A、G3597T、A3666G、G3705A及びA3737G。
    (但し、数字は配列番号1の塩基番号に相当する位置を示し、数字の左の文字は配列番号1における塩基を、数字の右の文字は置換された塩基(Dは欠失を示す)を示す。)
  2. 大ヨークシャー種及びランドレース種からなる白ぶた種と、デュロック種と、バークシャー種と、ハンプシャー種と、メイシャン種と、モンカイ種とを判別する方法であって、
    被検体豚由来の核酸と、請求項1に記載のキットに含まれる複数種のキャプチャーオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを行い、各々のキャプチャーオリゴヌクレオチドについて被検体豚由来の核酸とのハイブリッド形成の有無を検出し、被検体豚の塩基配列中の多型を同定することを特徴とする方法。
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