JP4362210B2 - 孔部を有するワークの焼き入れ方法および焼き入れ用補助具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、内燃機関を構成するクランクシャフト等の孔部を有するワークに対して硬化処理を好適に行うことが可能な孔部を有するワークの焼き入れ方法および焼き入れ用補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、車両用等のエンジンにおいて、コネクティングロッドを介してピストンに接続されるクランクシャフトが用いられ、このクランクシャフトは、複数のピン部、ジャーナル部およびバランスウエイトによって構成されている。軸部に支持されて回動自在に設けられた前記ジャーナル部と、コネクティングロッドが回動自在に連結される前記ピン部には、それぞれ、潤滑油を流通させる油孔が形成されている。前記油孔によって構成される潤滑油通路によってベアリングの潤滑油の一部をピン部およびジャーナル部に供給してコネクティングロッドに設けたメタルを潤滑するためである。
【0003】
また、前記クランクシャフトのピン部やジャーナル部には、強度を増強させるために、その表面に高周波焼き入れ等の硬化処理が施されている。
【0004】
ところで、前記クランクシャフトでは、潤滑油通路が設けられているため、特に、ジャーナル部から偏位した部位に設けられたピン部のねじり疲労強度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、クランクシャフトのピン部およびジャーナル部に対する高周波焼き入れ工程と、油孔部分に対する高周波焼き入れ工程とをそれぞれ異なる条件で別途遂行することにより、前記油孔部分における高周波焼き入れ硬化層を深層形成することが考えられる。
【0006】
さらに、潤滑油通路を有するクランクシャフトの前記潤滑油通路の開口部を含む表面に高周波焼き入れ処理を行い、前記開口部の高周波焼き入れ層の下部にレーザ焼き入れまたはショットピーニングを行うことによって、潤滑油通路の開口部近傍の疲労強度を増大させる技術的思想が知られている(特開平9−14252号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、クランクシャフトのピン部およびジャーナル部と、油孔部分とで条件を変えて高周波焼き入れ処理を施した場合、生産効率が劣るとともに、加熱用コイルの寿命が大幅に低下して歪みが増大するという不具合がある。
【0008】
また、特開平9−14252号公報に開示された技術的思想では、高周波焼き入れ装置の他にレーザ焼き入れ装置という異なる加熱手段が必要となるため、新たな設備投資によって製造コストが高騰するとともに、生産効率が大幅に低下するという不具合がある。
【0009】
本発明は、前記の不具合を考慮してなされたものであり、ワークの外表面に対する焼き入れ硬化層の形成と同時に、該ワークに形成された孔部の開口部を含む孔部の内部に対しても焼き入れ硬化層を形成することが可能な孔部を有するワークの焼き入れ方法および焼き入れ用補助具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、ワークに形成された孔部内に絶縁材料で被覆した誘導体を装填し、前記孔部の開口部に非磁性材料からなる押さえ部材で前記誘導体を保持した状態でワークに対して高周波焼き入れ処理を施し、
同時に孔部の内部に装填された誘導体を介して磁界を発生させ、前記孔部の軸線方向に沿った中心部の近傍から該孔部の端部側の開口部にかけて略末広がり形状の焼き入れ硬化層を形成することを特徴とする。
【0011】
この場合、前記誘導体の形状を選択することにより、孔部の中心部には焼き入れされていない非焼き入れ硬化層を形成し、前記孔部の中心部より開口部側に偏位した位置から開口部にかけて略末広がり状の焼き入れ硬化層を形成し、あるいは、孔部の中心部を含む孔部全体に焼き入れ硬化層を形成することができる。このように誘導体の形状に対応して孔部の一部あるいは全部に対して焼き入れ硬化層を形成することを選択することができる。
【0012】
なお、クランクシャフトのピン部、ジャーナル部等に形成された油孔内に絶縁材料によって被覆された誘導体を該油孔内に遊嵌された状態で挿入し、導電性材料からなる押さえ部材を前記油孔の開口部に係着することにより前記誘導体を保持した状態で前記クランクシャフトのピン部、ジャーナル部に対して高周波焼き入れ処理を施し、前記高周波焼き入れ処理が終了した後、前記油孔から前記誘導体、絶縁材料および押さえ部材を除去してもよい。
【0013】
さらに、本発明は、孔部を有するワークに対して高周波焼き入れ処理を施すときの補助具であって、
ワークの孔部内に遊嵌された状態で装填される誘導体と、
導電性材料によって形成され、前記誘導体をワークの孔部内に保持する押さえ部材と、
前記誘導体と孔部内壁面との間、および前記誘導体と前記押さえ部材との間にそれぞれ介装される複数の絶縁体と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この場合、前記誘導体を、フェライトコアまたは珪素銅板で形成し、前記絶縁体を、誘導体の表面を部分的に被覆する、例えば、アルミナファイバを含むセラミックス材料で形成し、前記押さえ部材を、ワークの孔部の内部のエアーを排気し、且つ孔部内に対する冷却液を供給可能とする開放構造に設けるとよい。
【0015】
なお、前記クランクシャフトのピン部およびジャーナル部に形成された油孔に対して高周波焼き入れ処理を施してもよい。
【0016】
本発明によれば、簡素な構造からなる焼き入れ用補助具を用いることにより、ワークの孔部に対して簡便に焼き入れ硬化層を形成することができる。
【0017】
さらにまた、ピン部および/またはジャーナル部に形成された油孔の軸線方向に沿った中心部近傍から該油孔の開口部にかけて略末広がり状の焼き入れ硬化層が形成されたクランクシャフト、あるいはピン部および/またはジャーナル部に形成された油孔の軸線方向に沿った中心部からその近傍にかけて焼き入れ硬化層が形成され、さらに、前記中心部近傍から該油孔の開口部にかけて前記焼き入れ硬化層に連続する略末広がり状の焼き入れ硬化層が形成されたクランクシャフトが得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る孔部を有するワークの焼き入れ方法について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1において、参照数字10は、本発明に係る孔部を有するワークの焼き入れ方法が適用されるワークであるクランクシャフトを示す。
【0020】
このクランクシャフト10は、高炭素鋼または合金鋼等の焼き入れ性に優れた材料が用いられ、バランスウエイト12が一体成形された鍛造品によって形成される。前記クランクシャフト10には、図示しないベアリングに回動自在に軸支される大径な円柱状のジャーナル部14と、図示しないコネクティングロッドが回動自在に連結される小径な円柱状のピン部16とがそれぞれ所定間隔離間して複数個形成されている。
【0021】
前記ジャーナル部14およびピン部16には、潤滑油通路として機能する油孔18がクランクシャフト10の回転軸線中心に対して略直交する方向に貫通形成され、該ジャーナル部14の油孔18とピン部16の油孔18とは、それぞれ図示しない連通路を介して連通するように設けられている。なお、前記潤滑油通路は、バランスウエイト12に形成された油孔18にも連通するように形成されている。
【0022】
なお、本実施の形態では、前記油孔18の直径を約5.0mmに設定し、該油孔18の開口部20を面取り形成している。また、前記油孔18は、クランクシャフト10の表面に後述する高周波焼き入れ処理が施される前に図示しないドリル等の穿孔手段によって形成される。
【0023】
高周波焼き入れ処理が施される前に、前記油孔18に対して焼き入れ用補助具22が装填される。
【0024】
この焼き入れ用補助具22は、図2に示されるように、油孔18の内部に挿入可能な略円柱状に形成され、耐熱性磁性体からなる磁芯として機能するフェライトコア24と、前記フェライトコア24を油孔18の内部に保持する押さえ部材として機能する導電性材料によって形成された銅線26と、前記フェライトコア24の外周面と油孔18の孔部内壁面との間、および前記フェライトコア24の軸線方向に沿った両端部と銅線26との間にそれぞれ装着されるスペーサとして機能し、耐熱性の絶縁材料からなるセラミックス28とを有する。
【0025】
本実施の形態では、前記フェライトコア24を、直径約3.5mm、長さ約20.0mmに設定し、無垢材から削り出した円柱状に形成し、セラミックス28によって所定部分が被覆され、油孔18の孔部内に遊嵌された状態で保持されている。この場合、前記フェライトコア24に代替して、例えば、珪素銅板等の導電率、透磁率の優れた誘導体を用いてもよい。
【0026】
前記セラミックス28としては、例えば、アルミナファイバー等の耐熱性を有する絶縁材料によって形成され、厚さが約0.2mm〜0.5mmの範囲内に設定するとよい。本実施の形態では、厚さが約0.3mmからなる薄板細長状に形成されたセラミックス28を、フェライトコア24の外周面に対して、マダラ状、井桁状、マトリックス状等に所定の間隔をおいて張り付けている。
【0027】
押さえ部材は、フェライトコア24を支持する導電性材料からなり、簡便に油孔18内に押し込み可能で且つ取り外し可能に構成され、本実施の形態では、1本の銅線26を円弧状に湾曲させて油孔18の入り口部分に係止することにより、油孔18を閉塞することがなく該油孔18と外部とが連通可能な状態に設けられている。
【0028】
このようにして焼き入れ用補助具22が油孔18の孔部内に装填された後、図4に示されるようなセミ・ループ式鞍型の高周波加熱コイル30を用い、クランクシャフト10を矢印A方向に沿って回動させながらピン部16(またはジャーナル部14)に対して高周波焼き入れ処理をそれぞれ施す。
【0029】
なお、高周波加熱コイル30は、図示しないアクチュエータの駆動作用下に矢印X方向または矢印Y方向に沿って変位自在に設けられたリードパイプ32と、前記リードパイプ32と一体的に変位し、図示しない高周波電源から給電される円弧状の加熱部導体34と、冷却液を噴射して被焼き入れ部分の表面を急冷却する冷却液ジャケット36とを備える。
【0030】
クランクシャフト10のピン部16に対して高周波焼き入れ処理を施す場合を例にして以下説明する。
【0031】
前記高周波加熱コイル30に通電してピン部16の外周面を誘導加熱した場合、油孔18の孔部内に装填されたフェライトコア24により磁界が発生し、油孔18の中心部Oから開口部20にかけて誘導加熱されて温度が上昇し、その結果、図3に示されるように、油孔18の中心部Oから両端側の開口部20にかけてそれぞれ末広がり形状部38を有する高周波焼き入れ硬化層40(図3中の網状部分)が形成される。
【0032】
なお、高周波加熱コイル30によってピン部16に対して加熱処理をした後、冷却液ジャケット36から被焼き入れ部分および油孔18に対して冷却液を噴射することにより、前記油孔18を含むピン部16が急冷される。
【0033】
特に、油孔18の開口部20近傍では、部分的に、通常の約2倍の層厚からなる8.0mm〜10.0mmの高周波焼き入れ硬化層が形成され、油孔18の中心部Oから開口部20に向かって徐々に幅方向の寸法が増大する末広がり形状部38を有する高周波焼き入れ硬化層40となり、ピン部16の荷重に対する強度を大幅に増大させることができた。
【0034】
一方、図3に示されるように、油孔18の中心部Oの近傍部分では、高周波加熱による影響がないため焼き入れされていない非高周波焼き入れ硬化層42(図3中の白地部分)が形成され、油孔18の中心部Oより開口部20側に偏位した位置から開口部20側に向かって末広がり状の高周波焼き入れ硬化層40が形成されていることが了解される。
【0035】
この結果、ピン部16の内部の靭性に影響を与えることがなく、ねじり疲労強度が維持される。なお、前記ピン部16と同様にしてジャーナル部14に対しても高周波焼き入れ硬化層40を形成するとよい。
【0036】
なお、油孔18内に装填された耐熱性のフェライトコア24は、油孔18内にきつく詰め込まれた状態ではなく、油孔18の空間内に遊嵌された状態が望ましい。
【0037】
また、押さえ部材は、油孔18の開口部20に対して簡単に押し込むことができ、且つ取り外しが可能な形状のものがよく、しかもリサイクルして使用可能なものが望ましい。その際、油孔18を完全に閉塞するように蓋をするものではなく、油孔18内のエアーを外部に放出し、急冷効果を発揮させるために開放構造となっていることが必要である。これは、高周波誘導加熱されたワーク(クランクシャフト10のピン部16、ジャーナル部14等)が冷却液によって急冷されてマルテンサイト化されるため、油孔18にも同様に冷却液が円滑に流入されるようにするためである。
【0038】
次に、第1変形例に係る焼き入れ用補助具22aを図5に示す。なお、以下に示す変形例において、同一の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
第1変形例では、2つに分割されたフェライトコア44a、44bを油孔18の軸線方向に沿って挿入し、分割されたフェライトコア44a、44bの間、および油孔18の内周面との間にそれぞれスペーサとして機能するセラミックス46を複数介装している。また、図7Aおよび図7Bに示されるように、断面略円形状の突起部47を有する略円盤状に形成された押さえ部材48を用い、前記押さえ部材48には相互に対向する一組の断面略三日月状の貫通孔50a、50bが形成されている。なお、前記押さえ部材48を導電性材料によって形成すると好適である。
【0040】
第1変形例に係る焼き入れ用補助具22aを用いて高周波焼き入れ処理を施した場合、図6に示されるように、油孔18の中心部Oから開口部20側に向かって徐々に末広がりとなる高周波焼き入れ硬化層40が得られた。
【0041】
第2変形例に係る焼き入れ用補助具22bを図8に示す。
【0042】
第2変形例では、中央部が厚肉で端部側が徐々に薄肉となるように断面略凸レンズ状に形成されたフェライトコア52を用いている。第2変形例に係る焼き入れ用補助具22bを用いて高周波焼き入れ処理を施した場合、図9に示されるように、油孔18の一方の開口部20と他方の開口部20との間の中心部Oの近傍部分に対しても高周波焼き入れ硬化層40が形成される。
【0043】
例えば、高負荷出力エンジンが用いられるレース用、あるいはスポーツカー等に適用されるクランクシャフトにおいて、高いねじり強度、全体強度が要求される場合があり、油孔18全体に高周波焼き入れ硬化層40が形成されることが望ましく、その際、第2変形例に係る焼き入れ用補助具22bを使用すると好適である。
【0044】
これに対して、一般的に使用されるクランクシャフトでは油孔18の全体に高周波焼き入れ硬化層40が形成される必要がなく、油孔18の中心部Oより偏位した部分から開口部20にかけて高周波焼き入れ硬化層40が形成されることにより、十分なねじり強度を有する。
【0045】
このように、焼き入れ用補助具を適切に選択することにより、種々のクランクシャフトに要求される耐久強度等に対応して油孔18の全体あるいはその所定部分に対して高周波焼き入れ硬化層40を形成することができる。
【0046】
なお、図10に示されるように、第3変形例に係る焼き入れ用補助具22cでは、中央部が薄肉に形成された断面略凹レンズ状のフェライトコア54を断面T字状に形成されたセラミックス56によって油孔18内に保持することにより、図3と同様な高周波焼き入れ硬化層40が得られた(図11参照)。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0048】
すなわち、ワークの孔部の中心部から両端側の開口部にかけてそれぞれ末広がり形状を有する焼き入れ硬化層を形成することにより、ワークの孔部の内部の靭性に影響を与えることがなく、ねじり疲労強度が維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る孔部を有するワークの焼き入れ方法が適用されるワークであるクランクシャフトの斜視図である。
【図2】前記クランクシャフトのピン部の油孔内に焼き入れ用補助具が装填された状態の縦断面図である。
【図3】前記ピン部の油孔に対して高周波焼き入れ硬化層が形成された状態を示す説明図である。
【図4】前記クランクシャフトのピン部に対して高周波加熱処理を施す高周波加熱コイルの概略構成図である。
【図5】第1変形例に係る焼き入れ用補助具が油孔内に装填された状態の縦断面図である。
【図6】図5に示す焼き入れ用補助具を用い、ピン部の油孔に対して高周波焼き入れ硬化層が形成された状態を示す説明図である。
【図7】図7Aは、図5に示す焼き入れ用補助具を構成する押さえ部材の斜視図、図7Bは、直径方向に沿った縦断面図である。
【図8】第2変形例に係る焼き入れ用補助具が油孔内に装填された状態の縦断面図である。
【図9】図8に示す焼き入れ用補助具を用い、ピン部の油孔に対して高周波焼き入れ硬化層が形成された状態を示す説明図である。
【図10】第3変形例に係る焼き入れ用補助具が油孔内に装填された状態の縦断面図である。
【図11】図10に示す焼き入れ用補助具を用い、ピン部の油孔に対して高周波焼き入れ硬化層が形成された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10…クランクシャフト 12…バランスウエイト
14…ジャーナル部 16…ピン部
18…油孔 20…開口部
22、22a〜22c…焼き入れ用補助具
24、44a、44b、52、54…フェライトコア
26…銅線 28、46、56…セラミックス
30…高周波加熱コイル 38…末広がり形状部
40…高周波焼き入れ硬化層 42…非高周波焼き入れ硬化層
48…押さえ部材
Claims (9)
- ワークに形成された孔部内に前記孔部の軸線方向に沿う長さよりも短い長さを有し、且つ絶縁材料で被覆した誘導体を装填し、前記孔部の開口部に非磁性材料からなる押さえ部材で前記誘導体を保持し、
前記誘導体を介して磁界を発生させ、前記孔部の軸線方向に沿った中心部の近傍から該孔部の端部側の開口部にかけて略末広がり形状の焼き入れ硬化層を形成することを特徴とする孔部を有するワークの焼き入れ方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記誘導体の形状を選択することにより、孔部の中心部には焼き入れされていない非焼き入れ硬化層を形成し、前記孔部の中心部より開口部側に偏位した位置から開口部にかけて略末広がり状の焼き入れ硬化層が形成されることを特徴とする孔部を有するワークの焼き入れ方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記誘導体の形状を選択することにより、孔部の中心部を含む孔部全体に焼き入れ硬化層を形成し、前記焼き入れ硬化層は、前記孔部の中心部より開口部側に偏位した位置から開口部にかけて略末広がり状に形成されることを特徴とする孔部を有するワークの焼き入れ方法。 - クランクシャフトのピン部、ジャーナル部等に形成された油孔内に前記油孔の軸線方向に沿う長さよりも短い長さを有し、且つ絶縁材料によって被覆された誘導体を該油孔内に遊嵌された状態で挿入し、導電性材料からなる押さえ部材を前記油孔の開口部に係着することにより前記誘導体を保持した状態で前記クランクシャフトのピン部、ジャーナル部に対して高周波焼き入れ処理を施し、前記高周波焼き入れ処理が終了した後、前記油孔から前記誘導体、絶縁材料および押さえ部材を除去することを特徴とする孔部を有するワークの焼き入れ方法。
- 孔部を有するワークに対して高周波焼き入れ処理を施すときの補助具であって、
ワークの孔部内に遊嵌された状態で装填され、且つ前記孔部の軸線方向に沿う長さよりも短い長さを有する誘導体と、
導電性材料によって形成され、前記誘導体をワークの孔部内に保持する押さえ部材と、
前記誘導体と孔部内壁面との間、および前記誘導体と前記押さえ部材との間にそれぞれ介装される複数の絶縁体と、
を備えることを特徴とする焼き入れ用補助具。 - 請求項5記載の焼き入れ用補助具において、
前記誘導体は、フェライトコアまたは珪素銅板からなることを特徴とする焼き入れ用補助具。 - 請求項5記載の焼き入れ用補助具において、
前記絶縁体は、アルミナファイバを含むセラミックス材料からなり、誘導体の表面を部分的に被覆することを特徴とする焼き入れ用補助具。 - 請求項5記載の焼き入れ用補助具において、
前記ワークはクランクシャフトからなり、前記クランクシャフトのピン部およびジャーナル部に形成された油孔に対して高周波焼き入れ処理が施されることを特徴とする焼き入れ用補助具。 - 請求項5記載の焼き入れ用補助具において、
前記押さえ部材は、ワークの孔部内のエアーを排気し、且つ前記孔部内に対する冷却液を供給可能とする開放構造に設けられていることを特徴とする焼き入れ用補助具。
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