JP4362150B2 - Fen−1エンドヌクレアーゼ、混合物、および開裂方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、核酸配列および核酸配列の変異を検出し特徴づけるための手段に関する。本発明は、標的配列上に核酸開裂構造体を形成し、部位特異的に該核酸開裂構造体を開裂する方法に関する。標的依存性開裂構造体を開裂し、それにより特異的核酸配列またはその特異的変異の存在を示すために、種々の酵素の5’ヌクレアーゼ活性が用いられる。本発明はさらに、電荷に基づいて核酸分子を分離するための新規な方法および装置を提供する。
発明の背景
特異的核酸配列および配列変化の検出および特徴づけは、感染の指標となるウイルスまたは微生物の核酸配列の存在、疾患およびガンに関連した哺乳動物遺伝子の変異体または対立遺伝子の存在の検出および法医学サンプル中に見いだされる核酸の起源の同定、ならびに父子決定に利用されている。
当該分野では、特異的な核酸配列および配列変化を検出および特徴づけするのに使用されうる種々の方法が公知である。それにもかかわらず、ヒトゲノムおよび病原生物ゲノムの核酸配列データが蓄積するにつれて、迅速で信頼しうる、費用効率が高く、使用者に好都合な、特異的核酸配列についての試験に対する要求が増大し続けている。重要なことは、これらの試験が、関心のある配列の非常に低いコピー数しか含まないサンプルから検出可能なシグナルを発生できなければならないことである。以下の議論は、現在使用されている2段階の核酸検出アッセイ、すなわち、I.稀少配列の検出のためのシグナル増幅技術、およびII.配列の定量的検出のための直接検出技術、を検討する。
I.増幅のためのシグナル増幅技術方法
「ポリメラーゼ連鎖反応」(PCR)は第一世代の核酸増幅方法を含む。しかしながら、同じ特異性原理を用いるが異なる増幅機構によりシグナルを生成させる、いくつかの他の方法が開発されている。これらの方法には、「リガーゼ連鎖反応」(LCR)、「セルフサステインド合成反応(Self-Sustained Synthetic Reaction)」(3SR/NASBA)および「Qβ-レプリカーゼ」(Qβ)が含まれる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、MullisおよびMullisらの米国特許第4,683,195号および第4,683,202号(これらの開示内容を参考としてここに組み入れる)に記載のとおり、クローニングまたは精製をすることなくゲノムDNA混合物中の標的配列のセグメントの濃度を増加させる方法をいう。この技術は、低い標的配列濃度の問題に対する1つのアプローチを提供する。PCRは、検出が容易にできるレベルにまで標的濃度を直接増加させるのに使用することができる。標的配列を増幅させるこの方法は、所望の標的配列を含有するDNA混合物に、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖に相補的なモル過剰量の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを導入することを含む。該混合物を変性させ、ついでハイブリッド形成させる。ハイブリッド形成の後、該プライマーをポリメラーゼで伸長させて相補鎖を形成させる。比較的高い濃度の所望の標的配列のセグメントを得るために、変性、ハイブリッド形成およびポリメラーゼ伸長の工程を必要な回数繰り返すことができる。
所望の標的配列のセグメントの長さは、該プライマーのそれぞれに対する相対位置により決定され、したがって、この長さは制御可能なパラメーターである。標的配列の所望のセグメントが該混合物中で優勢な配列(濃度の点で)となるため、それらは「PCR増幅された」と言われる。
リガーゼ連鎖反応(LCRまたはLAR)
リガーゼ連鎖反応(LCR;Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:189(1991); Barany, PCR Methods and Applic., 1:5(1991)およびWuおよびWallace, Genomics 4:560(1989)に記載されている「リガーゼ増幅反応」(LAR)と称されることもある)は、よく認識されたもう1つの核酸増幅方法へと発展している。LCRでは、4個のオリゴヌクレオド(すなわち、標的DNAの一方の鎖と唯一にハイブリッド形成する2個の隣接オリゴヌクレオチドと、反対側の鎖とハイブリッド形成する隣接オリゴヌクレオチドの相補性セット)を混合し、DNAリガーゼを該混合物に加える。該結合部に完全な相補性があれば、リガーゼは、ハイブリッド形成分子の各セットを共有結合させることとなる。重要なことは、LCRでは、ギャップや誤対合なく2個のプローブが標的サンプル中の配列と塩基対合する場合にのみ、それらが互いに連結されることである。変性、ハイブリッド形成および連結のサイクルを繰り返すことにより、短いDNAセグメントが増幅される。また、単一塩基変化の検出を増強するために、LCRはPCRと組み合わせて使用されている(Segev, PCT国際公開WO09001069号A1(1990))。しかしながら、このアッセイで使用する4個のオリゴヌクレオチドは対形成して2個の短い連結可能断片を形成しうるため、標的非依存的バックグラウンドシグナルを生成する可能性がある。突然変異体スクリーニングのためのLCRの使用は、特異的核酸位置の調査に限定される。
セルフ-サステインド合成反応(3SR/NASBA)
セルフ-サステインド配列複製反応(3SR)(Guatelliら,Proc. Natl. Acad. Sci., 87:1874-1878[1990]、およびProc. Natl. Acad. Sci., 87:7797[1990]の正誤表)は、一定温度でRNA配列を指数関数的に増幅させることができる、転写に基づくin vitro増幅系である(Kwokら,Proc. Natl. Acad. Sci., 86:1173-1177[1989])。ついで、増幅されたRNAは突然変異検出に利用できる(Fahyら,PCR Meth. Appl., 1:25-33[1991])。この方法では、関心のある配列の5’末端にファージRNAポリメラーゼプロモーターを付加するために、オリゴヌクレオチドプライマーを使用する。第2プライマー、逆転写酵素、リボヌクレアーゼH、RNAポリメラーゼおよびリボ-およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸を含む酵素と基質のカクテル中、転写、cDNA合成および第2鎖合成の反復循環に該標的配列を付して、関心のある領域を増幅させる。突然変異を検出するための3SRの使用は、小さなDNAセグメント(例、200〜300塩基対)のスクリーニングに動力学的に限定される。
Q-ベータ(Qβ)レプリカーゼ
この方法では、関心のある配列を認識するプローブを、Qβレプリカーゼのための複製可能なRNA鋳型に結合させる。ハイブリッド形成していないプローブの複製に起因する偽陽性に関する既に確認されている大きな問題は、配列特異的連結工程の使用によって対処されてきた。しかしながら、入手可能な耐熱性DNAリガーゼはこのRNA基質上で有効ではなく、したがって、該連結はT4DNAリガーゼにより低温(37℃)で行わなければならない。このため、LCRの場合と同様、特異性を得るための手段としての高温の使用が妨げられ、該連結事象は該結合部位のみ(他のどこでもない)の突然変異を検出するのに使用できる。
以下の表1には、感度のよい核酸診断法で有用な系のための望ましい特徴のいくつかを記載し、主要増幅方法それぞれの能力を要約する(Landgren, Trends in Genetics 9:199[1993]も参照されたし)。
ある診断方法が成功するためには、それは非常に特異的でなければならない。核酸ハイブリッド形成の特異性を制御する直接的方法は、反応の温度を制御することによるものである。3SR/NASBAおよびQβ系はすべて多量のシグナルを生成させることができるが、それぞれに関与している酵素の少なくとも1つは高温(すなわち55℃以上)では使用できない。したがって、プローブの非特異的ハイブリッド形成を防ぐため、反応温度を上昇させることはできない。プローブを低温でより容易に融解させるためにプローブを短くすれば、複数の完全対合を複合ゲノム中に有する可能性が高くなる。これらの理由により、現在、PCRおよびLCRは検出技術の研究分野で優位を占めている。
Figure 0004362150
PCRおよびLCRにおける増幅方法の基礎は、1つのサイクルの生成物がそれに続くすべてのサイクルで使用可能な鋳型となり、その結果、各サイクルで個数が2倍になるということである。このようないずれの2倍系の最終収率も、(1+X)n=y[式中、「X」は平均効率(各サイクルでコピーされた%)を、「n」はサイクル数を、「y」は全効率または反応収率を示す]で表すことができる(Mullis, PCR Methods Applic., 1:1[1991])。標的DNAの各コピーがポリメラーゼ連鎖反応の各サイクルで鋳型として利用されるなら、平均効率は100%である。PCRを20サイクル行えば、収量は出発物質の220、すなわち1,048,576コピーとなる。反応条件により平均効率が85%まで減少するなら、その20サイクルの収量は出発物質のわずか1.8520、すなわち220,513コピーとなる。すなわち、85%の効率で行うPCRは、100%の効率で行う反応に比べてわずか21%の最終生成物を与えるにすぎない。平均効率が50%まで減少した反応は、可能な生成物の1%未満しか与えない。
実際には、通常のポリメラーゼ連鎖反応はめったに理論最大収量を与えることはなく、通常20サイクル以上のPCRを行って低収量を補う。理論的には20サイクルで得られる百万倍増幅を得るためには、50%の平均効率では34サイクル必要であり、より低効率では、必要なサイクル数は桁外れなものとなる。また、バックグラウンド生成物が所望標的より良好な平均効率で増幅されれば、該バックグラウンド生成物はいずれも優勢生成物となるだろう。
また、標的DNAの長さおよび二次構造、プライマーの長さおよび設計、プライマーおよびdNTPの濃度、緩衝液の組成など(少数ながら列挙してみた)の多数の変数が、PCRの平均効率に影響を及ぼしうる。外因性DNA(例、実験室表面上にこぼされたDNA)による反応の汚染または交差汚染も大きな考慮すべき点である。反応条件はそれぞれの異なるプライマー対および標的配列に関して注意深く最適化されなければならず、熟練した研究者であってもこの過程に何日も費やすことがある。多数の技術的考慮点および他の因子を含むこの方法の困難性のため、PCRを臨床場面で用いる際の重要な障害が現れる。実際、未だPCRは臨床的市場に重要な態様で浸透していない。各標的配列に異なるオリゴヌクレオチド配列を使用するためにLCRも最適化しなければならないため、LCRでも同じ懸念が生じる。また、どちらの方法も、正確な温度循環を可能にする高価な設備を要する。
核酸検出技術の応用の多く(例えば、対立遺伝子変異の研究の場合など)は、複合的なバックグラウンド中の特異的配列の検出だけでなく、ヌクレオチド相違がほとんどないか単一のヌクレオチド相違しかない配列間の識別も含む。PCRにより対立遺伝子特異的変異を検出する一つの方法は、鋳型鎖とプライマーの3’末端との間に誤対合がある場合にはDNA鎖を合成するのがTaqポリメラーゼでは困難であるという事実に基づく。対立遺伝子特異的変異は、可能な対立遺伝子の一方だけと完全に対合するプライマーを使用することによっても検出できる。つまり、もう一方の対立遺伝子との誤対合は該プライマーの伸長を阻害するように作用し、それによりその配列の増幅が阻害される。該誤対合の塩基組成が、該誤対合を越える伸長を阻害する能力に影響を及ぼし、また、ある誤対合は伸長を阻害しないか最小の影響しか及ぼさない点で、この方法は本質的な制限を有する(Kwokら,Nucl. Acids Res., 18:999[1990])。
同様の3’誤対合戦略は、LCRにおける連結を防ぐのにより効果的に使用される(Barany, PCR Meth. Applic., 1:5[1991])。いずれの誤対合も該耐熱性リガーゼの作用を効果的に阻害するが、それでもまだLCRは標的非依存的バックグラウンド連結生成物で増幅が開始するという欠点を有する。また、個々の位置のヌクレオチドを同定するためにPCRについでLCRを組み合わせることも、臨床実験室には明らかにめんどうな提案である。
II.直接検出技術
検出すべき十分な量の核酸が入手可能な場合には、その標的のより多くのコピーを作る(例えばPCRおよびLCRの場合のように)ことなくその配列を直接検出できるという利点がある。最も注目すべきは、シグナルを指数関数的に増幅しない方法のほうが定量的分析になじみ易いことである。たとえ単一オリゴヌクレオチドに複数の染料を結合させてシグナルを増強したとしても、最終シグナル強度と標的量との間の相互関係は直接的である。このような系は、反応生成物それ自体が反応をさらに促進せず、該生成物による実験室表面の汚染が大した問題とならないという追加的な利点を有する。ノーザンブロッティング、サザンブロッティング、リボヌクレアーゼ保護アッセイなどの直接検出の伝統的な方法では、通常、放射能を使用しなければならず、自動化になじみにくい。最近工夫された技術では、放射能の使用を回避し、および/または自動化可能な形態で感度を向上させようとしている。例えば、「サイクリングプローブ反応(Cycling Probe Reaction)」(CPR)および「分枝(Branched)DNA」(bDNA)の2例が挙げられる。
サイクリングプローブ反応(CPR)(Duckら,BioTech., 9:142[1990])は、中央部がRNAよりなり両末端がDNAよりなる長いキメラオリゴヌクレオチドを使用する。該プローブを標的DNAとハイブリッド形成させ、耐熱性リボヌクレアーゼHにさらすことにより、該RNA部分が消化される。このため、残りの二重らせんDNA部分が不安定化し、該標的DNAから残りのプローブが遊離され、もう1つのプローブ分子により該工程が反復される。開裂プローブ分子形態のシグナルが直線的割合で蓄積する。該反復工程によりシグナルは増大するが、該オリゴヌクレオチドのRNA部分は、サンプル調製により運ばれうるリボヌクレアーゼの攻撃を受け易い。
Urdeaら,Gene 61:253-264(1987)に記載されている分枝DNA(bDNA)は、個々のオリゴヌクレオチドのそれぞれに35〜40個の標識(例、アルカリホスファターゼ酵素)を運搬させる分枝構造を有するオリゴヌクレオチドを含む。これによりハイブリッド形成事象からのシグナルが増大するが、非特異的結合からのシグナルも同様に増大する。
これらの方法はいずれも上で述べた直接検出の利点を有するが、CPR法もbDNA法も、上記セクションIに記載したシグナル増幅法では普通であるような、2以上のプローブ(オリゴヌクレオチド)配列による独立した認識の必要条件によって可能となる特異性を利用することができない。検出可能なシグナルが発生するためには2つのオリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズしなければならないという必要条件は、あらゆる検出アッセイに追加のストリンジェンシーを付与する。標的核酸と結合する2つのオリゴヌクレオチドを必要とすることは、プローブの標的への非特異的結合のために偽「陽性」の結果が生ずる機会を少なくする。PCR(DNAポリメラーゼが両方向の2つのオリゴヌクレオチド間のギャップを架橋できるように、これらのオリゴヌクレオチドが対向してしかし適切に配向されねばならない)で必要とされるように、2つのオリゴヌクレオチドが標的に対して特定の方向で結合しなければならないという更なる必要条件は、検出反応の特異性をさらに高める。しかしながら、たとえPCRで2つのオリゴヌクレオチドプローブ(プライマーと称する)を利用しても、「非特異的」増幅(すなわち、用いる2つのプライマーにより指定されない配列の増幅)が普通に起こることは当技術分野で公知である。これは、一部には、PCRで用いるDNAポリメラーゼがオリゴヌクレオチド間の非常に大きな距離(ヌクレオチド数で測定)を収容でき、こうして大きな窓(オリゴヌクレオチドの非特異的結合が不適切な産物の指数関数的増幅に至らせる)が存在するからである。対照的に、LCRは用いるオリゴヌクレオチドが互いに隣接して標的に結合されなければ進行し得ず、こうして二重オリゴヌクレオチドハイブリッド形成の最大限の利点が認められる。
理想的な直接検出法は、直接検出アッセイの利点(例えば、容易な定量化およびキャリオーバー汚染の最小限のリスク)と二重オリゴヌクレオチドハイブリッド形成アッセイにより提供される特異性とを組み合わせたものだろう。
発明の概要
本発明は、部位特異的に核酸開裂構造体を開裂するための手段に関する。一実施態様では、開裂手段は耐熱性DNAポリメラーゼから誘導された5’ヌクレアーゼを含む開裂酵素である。これらのポリメラーゼは特定の核酸配列を検出する新規な方法の土台を形成する。本発明は、臨床診断目的を含むがこれに限らない様々な用途での新規検出法の使用を包含する。
一実施態様では、本発明は、天然(すなわち「野生型」)DNAポリメラーゼの活性とは異なる改変されたDNA合成活性を示すように、天然配列に対して配列が改変されたDNAポリメラーゼ(すなわち「変異型」DNAポリメラーゼ)をコードするDNA配列を包含する。そのコード化されたDNAポリメラーゼは天然DNAポリメラーゼの合成活性と比較して低下した合成活性を示すように改変されることが好ましい。この方法において、本発明の酵素は主に5’ヌクレアーゼであり、干渉性の合成活性の不在下で構造特異的様式で核酸を開裂する能力がある。
重要なことは、本発明の5’ヌクレアーゼが線状の二本鎖構造を開裂して単一の個別の開裂産物を生成できる点である。これらの線状構造は、1)野生型酵素によって(どのような有意な程度にも)開裂されないか、または2)多様な産物を生成するように野生型酵素により開裂されるかのいずれかである。5’ヌクレアーゼのこの特徴は真正細菌の好熱性種由来の耐熱性ポリメラーゼからこの方法で誘導された酵素の変わらぬ性質であることが見いだされた。
本発明はポリメラーゼを合成欠損とするのに必要とされる改変の性質によって制限されるものではない。また、本発明は欠損の程度によっても制限されない。本発明は、合成阻害剤によって阻害され得る改変構造(一次、二次など)および天然の構造を含めて、種々の構造を包含する。
ポリメラーゼの構造が改変される場合、本発明は該構造を改変する手段によって制限されない。一実施態様において、天然DNA配列の改変は1個のヌクレオチドの変化を含む。他の実施態様において、天然DNA配列の改変は1個以上のヌクレオチドの欠失を含む。さらに他の実施態様において、天然DNA配列の改変は1個以上のヌクレオチドの挿入を含む。DNA配列の変化によりアミノ酸配列の変化が現れうることが予想される。
本発明は、中温性、好冷性、好熱性および超好熱性の生物を含む様々な源からの構造特異的ヌクレアーゼを包含する。好適な構造特異的ヌクレアーゼは耐熱性である。耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼは、核酸ハイブリダイゼーションが極めて特異的である場合の温度で作用して、対立遺伝子特異的検出(単一塩基のミスマッチを含む)を可能にするという点で特に有用であると思われる。一実施態様において、耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼは、テルムス・アクアティカス(Thermus aquqticus)、テルムス・フラバス(Thermus flavus)およびテルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)を含むがこれらに限らないテルムス(Thermus)種の天然ポリメラーゼから誘導された改変ポリメラーゼよりなる群から選択される耐熱性5’ヌクレアーゼである。しかしながら、本発明は耐熱性5’ヌクレアーゼの使用に限らない。FEN-1、RAD2およびXPGクラスのヌクレアーゼからの耐熱性構造特異的ヌクレアーゼも好適である。
本発明は、a)第1の領域、第2の領域、第3の領域および第4の領域を有する標的核酸(ただし、該第1の領域は該第2の領域の下流に隣接し、該第2の領域は該第3の領域の下流に隣接し、該第3の領域は該第4の領域の下流に隣接している);b)該標的核酸の該第4の領域に相補的な第1のオリゴヌクレオチド;c)5’部分および3’部分を有する第2のオリゴヌクレオチド(ただし、第2のオリゴヌクレオチドの該5’部分は標的核酸の第2の領域に相補的な配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドの3’部分は標的核酸の第3の領域に相補的な配列を含む);ならびにd)5’部分および3’部分を有する第3のオリゴヌクレオチド(ただし、第3のオリゴヌクレオチドの該5’部分は標的核酸の第1の領域に相補的な配列を含み、第3のオリゴヌクレオチドの3’部分は標的核酸の第2の領域に相補的な配列を含む)を含む開裂構造を含む組成物を提供する。
本発明は、標的核酸の4つの領域の長さに限定されない。1つの実施態様において、標的核酸の第1の領域は、11〜50ヌクレオチドの長さを有する。別の実施態様において、標的核酸の第2の領域は1〜3ヌクレオチドの長さを有する。別の実施態様において、標的核酸の第3の領域は6〜9ヌクレオチドの長さを有する。さらに別の実施態様において、標的核酸の第4の領域は6〜50ヌクレオチドの長さを有する。
本発明は、前記第1、第2、第3および第4のオリゴヌクレオチドの性質または組成によって限定されない。これらのオリゴヌクレオチドには、DNA、RNA、PNAおよびこれらの組み合わせ、ならびに改変されたヌクレオチド、ユニバーサル塩基(universal bases)、付加物(adduct)などが含まれる。さらに、第1、第2、第3および第4のオリゴヌクレオチドの内の1つ以上が3’末端においてジデオキシヌクレオチドを含んでもよい。
好ましい一実施態様において、標的核酸は第1、第2、第3および第4オリゴヌクレオチドの少なくとも1つに対して完全に相補的なわけではない。特に好ましい実施態様では、標的核酸は第2オリゴヌクレオチドに対して完全には相補的でない。
上記のように、本発明は検出法での構造特異的ヌクレアーゼの使用を包含する。一実施態様において、本発明は非標的開裂産物を検出することによる標的核酸分子の存在を検出する方法を提供し、該方法は、a)i)開裂手段、ii)標的核酸源(ただし、標的核酸は第1領域、第2領域、第3領域および第4領域をもち、第1領域は第2領域に隣接してその下流に位置し、第2領域は第3領域に隣接してその下流に位置し、そして第3領域は第4領域に隣接してその下流に位置する)、iii)該標的核酸の第4領域に相補的な第1オリゴヌクレオチド、iv)5’部分と3’部分をもつ第2オリゴヌクレオチド(ただし、第2オリゴヌクレオチドの5’部分は標的核酸の第2領域に相補的な配列を含み、第2オリゴヌクレオチドの3’部分は標的核酸の第3領域に相補的な配列を含む)、および)5’部分と3’部分をもつ第3オリゴヌクレオチド(ただし、第3オリゴヌクレオチドの5’部分は標的核酸の第1領域に相補的な配列を含み、第3オリゴヌクレオチドの3’部分は標的核酸の第2領域に相補的な配列を含む)を用意し、b)開裂手段、標的核酸、第1オリゴヌクレオチド、第2オリゴヌクレオチドおよび第3オリゴヌクレオチドを混合することにより、第1オリゴヌクレオチドが標的核酸の第4領域にアニーリングし、第2オリゴヌクレオチドの少なくとも3’部分が標的核酸にアニーリングし、そして第3オリゴヌクレオチドの少なくとも5’部分が標的核酸にアニーリングして開裂構造体を形成し、該開裂構造体の開裂が起こって非標的開裂産物(各非標的開裂産物は3’-ヒドロキシル基をもつ)を生成するような反応条件下で反応混合物を形成し、そしてc)該非標的開裂産物を検出することを含んでなる。
本発明は標的核酸の性質によって制限されない。一実施態様において、標的核酸は一本鎖DNAを含む。他の実施態様では、標的核酸が二本鎖DNAを含み、工程c)に先立って反応混合物を処理して二本鎖DNAを実質的に一本鎖にする。別の実施態様では、標的核酸はRNAを含み、第1および第2オリゴヌクレオチドはDNAを含む。
本発明は開裂手段の性質により限定されない。一実施態様では、開裂手段が構造特異的ヌクレアーゼであり、特に好ましい構造特異的ヌクレアーゼが耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼである。好ましい実施態様では、耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼが配列番号1-3、9、10、12、21、30、31、101、106、110、114、129、131、132、137、140、141、142、143、144、145、147、150、151、153、155、156、157、158、161、163、178、180および182よりなる群から選択されるDNA配列によりコードされるものである。
他の好ましい実施態様では、耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼがFEN-1/RAD2/XPGクラスに含まれるヌクレアーゼである。別の好ましい実施態様では、耐熱性の構造的特異的ヌクレアーゼはキメラヌクレアーゼである。
別の好ましい実施態様において、非標的開裂産物の検出は反応生成物の電気泳動分離と、分離した非標的開裂産物のその後の視覚化を含んでなる。
他の好ましい実施態様では、第1、第2および第3オリゴヌクレオチドの1つ以上がその3’末端にジデオキシヌクレオチドを含む。ジデオキシヌクレオチド含有オリゴヌクレオチドを用いる場合、非標的開裂産物の検出は好ましくは、a)非標的開裂産物を鋳型非依存性ポリメラーゼおよび少なくとも1種の標識ヌクレオシド三リン酸と共に、少なくとも1つの標識ヌクレオチドが非標的開裂産物の3’-ヒドロキシル基に付加されて、標識された非標的開裂産物を生成するような条件下でインキュベートし、そしてb)標識された非標的開裂産物の存在を検出することを含んでなる。本発明は用いる鋳型非依存性ポリメラーゼの性質によって制限されない。一実施態様では、鋳型非依存性ポリメラーゼはターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼよりなる群から選択される。検出工程でTdTまたはポリAポリメラーゼを用いる場合は、第2オリゴヌクレオチドが5’末端標識を含んでいてもよく、この5’末端標識は標識ヌクレオシド三リン酸に存在する標識とは異なる標識である。本発明は5’末端標識の性質によって制限されず、種々の適当な5’末端標識が当技術分野では知られている。例えば、5’末端標識にはビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイトおよびジゴキシゲニンが含まれる。
別の実施態様において、非標的開裂産物の検出は、a)非標的開裂産物を鋳型非依存性ポリメラーゼおよび少なくとも1種のヌクレオシド三リン酸と共に、少なくとも1つのヌクレオチドが非標的開裂産物の3’-ヒドロキシル基に付加されて、末端付加(tailed)非標的開裂産物を生成するような条件下でインキュベートし、そしてb)末端付加された非標的開裂産物の存在を検出することを含んでなる。本発明は用いる鋳型非依存性ポリメラーゼの性質によって制限されない。一実施態様では、鋳型非依存性ポリメラーゼはターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼよりなる群から選択される。検出工程でTdTまたはポリAポリメラーゼを用いる場合は、第2オリゴヌクレオチドが5’末端標識を含みうる。本発明は5’末端標識の性質によって制限されず、種々の適当な5’末端標識が当技術分野で知られている。例えば、5’末端標識にはビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイトおよびジゴキシゲニンが含まれる。
好ましい実施態様において、この反応条件は2価カチオン源を供給することを含む。特に好ましい2価カチオンはMn2+およびMg2+イオンである。
本発明はさらに、非標的開裂産物を検出することにより標的核酸分子の存在を検出する方法を提供し、該方法は、a)i)開裂手段、ii)標的核酸源(ただし、標的核酸は第1領域、第2領域および第3領域をもち、第1領域は第2領域に隣接してその下流に位置し、第2領域は第3領域に隣接してその下流に位置する)、iii)5’部分と3’部分をもつ第1オリゴヌクレオチド(ただし、第1オリゴヌクレオチドの5’部分は標的核酸の第2領域に相補的な配列を含み、第1オリゴヌクレオチドの3’部分は標的核酸の第3領域に相補的な配列を含む)、iv)11〜15ヌクレオチドの長さを有しかつ5’部分と3’部分をもつ第2オリゴヌクレオチド(ただし、第2オリゴヌクレオチドの5’部分は標的核酸の第1領域に相補的な配列を含み、第2オリゴヌクレオチドの3’部分は標的核酸の第2領域に相補的な配列を含む)を用意し、b)開裂手段、標的核酸、第1オリゴヌクレオチドおよび第2オリゴヌクレオチドを混合することにより、第1オリゴヌクレオチドの少なくとも3’部分が標的核酸にアニーリングし、そして第2オリゴヌクレオチドの少なくとも5’部分が標的核酸にアニーリングして開裂構造体を形成し、該開裂構造体の開裂が起こって非標的開裂産物(各非標的開裂産物は3’-ヒドロキシル基をもつ)を生成するような反応条件下で反応混合物を形成し、そしてc)該非標的開裂産物を検出することを含んでなる。好ましい実施態様では、開裂手段が構造特異的ヌクレアーゼであり、好ましくは耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼである。
本発明は標的核酸の各領域の長さによって制限されない。好ましい実施態様では、標的核酸の第2領域が1〜5ヌクレオチドの長さを有する。他の好ましい実施態様では、第1および第2オリゴヌクレオチドの1つ以上がその3’末端に1個のジデオキシヌクレオチドを含む。ジデオキシヌクレオチド含有オリゴヌクレオチドを用いる場合、非標的開裂産物の検出は好ましくは、a)非標的開裂産物を鋳型非依存性ポリメラーゼおよび少なくとも1種の標識ヌクレオシド三リン酸と共に、少なくとも1つの標識ヌクレオチドが非標的開裂産物の3’-ヒドロキシル基に付加されて、標識された非標的開裂産物を生成するような条件下でインキュベートし、そしてb)標識された非標的開裂産物の存在を検出することを含んでなる。本発明は用いる鋳型非依存性ポリメラーゼの性質によって制限されない。一実施態様では、鋳型非依存性ポリメラーゼはターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼよりなる群から選択される。検出工程でTdTまたはポリAポリメラーゼを用いる場合は、第2オリゴヌクレオチドが5’末端標識を含んでいてもよく、この5’末端標識は標識ヌクレオシド三リン酸に存在する標識とは異なる標識である。本発明は5’末端標識の性質によって制限されず、種々の適当な5’末端標識が当技術分野では知られている。例えば、5’末端標識にはビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイトおよびジゴキシゲニンが含まれる。
別の実施態様において、非標的開裂産物の検出は、a)非標的開裂産物を鋳型非依存性ポリメラーゼおよび少なくとも1種のヌクレオシド三リン酸と共に、少なくとも1つのヌクレオチドが非標的開裂産物の3’-ヒドロキシル基に付加されて、末端付加(tailed)非標的開裂産物を生成するような条件下でインキュベートし、そしてb)末端付加非標的開裂産物の存在を検出することを含んでなる。本発明は用いる鋳型非依存性ポリメラーゼの性質によって制限されない。一実施態様では、鋳型非依存性ポリメラーゼはターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)およびポリAポリメラーゼよりなる群から選択される。検出工程でTdTまたはポリAポリメラーゼを用いる場合は、第2オリゴヌクレオチドが5’末端標識を含みうる。本発明は5’末端標識の性質によって制限されず、種々の適当な5’末端標識が当技術分野で知られている。例えば、5’末端標識にはビオチン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3アミダイト、Cy5アミダイトおよびジゴキシゲニンが含まれる。
本発明の新規な検出法は、疾病またはガンと関連があるかまたは関連がありそうなヒトまたは他の動物由来の遺伝子を含めて、野生型遺伝子および変異型対立遺伝子からなる標的DNAおよびRNAを含むがこれらに限らない標的DNAおよびRNAの検出に用いられる。さらに、本発明の方法は、細菌、真菌、原生動物、繊毛虫およびウイルスを含めた微生物株の検出および/または同定(特にHCVのようなRNAウイルスの検出および同定)にも用いられる。
本発明はさらに改善された酵素的開裂手段を提供する。一実施態様において、本発明は、配列番号102、107、130、132、179、181、183、184、185、186、187および188からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する耐熱性の構造特異的ヌクレアーゼを提供する。別の実施態様において、ヌクレアーゼは、配列番号101、106、129、131、178、180および182からなる群より選択されるDNA配列によりコードされる。
本発明はまた、配列番号101、106、129、131、137、140、141、142、143、144、145、147、150、151、153、155、156、157、158、161、163、178、180および182からなる群より選択される構造特異的ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を有するDNAを含む組換えDNAベクターを提供する。好ましい実施態様において、本発明は、構造特異的ヌクレアーゼをコードし、配列番号101、106、129、131、178、180および182からなる群より選択されるヌクレオチド配列をDNAを有する組換えDNAベクターにより形質転換された宿主細胞を提供する。本発明は、使用する宿主細胞の性質によって限定されない。当該分野において、構造特異的ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列の発現に適し、様々な原核宿主細胞および真核宿主細胞において発現され得る発現ベクターは周知である。好ましい実施態様において、宿主細胞は大腸菌細胞である。
本発明は、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼを提供する。一実施態様において、本発明は、ピロコッカス・ウーゼイ(pyrococcus woesei)FEN-1エンドヌクレアーゼを提供する。好ましい実施態様において、精製されたピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼは、分子量が約38.7キロダルトンである(分子量は、実施例28に記載のSDS-PAGEを用いて適宜推定できる。)
本発明はさらに、ピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクレオチドを提供する。このオリゴヌクレオチドは、配列番号116〜119からなる群より選択されるオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズできる領域を有する。好ましい実施態様において、精製されたピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼをコードするオリゴヌクレオチドは、異種プロモーターに作動可能に連結されている。本発明は、使用する異種プロモーターの性質によって限定されない。好ましい実施態様において、異種プロモーターは誘導可能なプロモーターである(選択されるプロモーターは、当該分野において公知の、発現のために選択された宿主細胞に依存する)。本発明は、使用される誘導可能なプロモーターの性質によって限定されない。好ましい誘導可能なプロモーターは、λ-PLプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーターおよびtrcプロモーターを含む。
別の好ましい実施態様において、本発明は、ピロコッカス・ウーゼイ(Pwo)FEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクレオチドを含む組換えDNAベクターを提供する。このオリゴヌクレオチドは、配列番号116〜119からなる群より選択されたオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能な領域を有する。これらの組換えベクターにより形質転換された宿主も提供される。好ましい実施態様において、本発明は、配列番号116〜119からなる群より選択されるオリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能な領域を有する組換えDNAベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。これらのベクターはさらに、Pwo FEN-1をコードするポリヌクレオチドと作動可能に結合した異種プロモーターを有していてもよい。本発明は、使用する宿主細胞の性質に限定されない。当該分野において、Pwo FEN-1をコードするポリヌクレオチドの発現に適しており、様々な原核宿主細胞および真核宿主細胞において発現可能な発現ベクターは周知である。好ましい実施態様において、宿主細胞は大腸菌細胞である。
さらに別の実施態様において、発明は、分子量が約38.7キロダルトンのピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子を含む単離されたオリゴヌクレオチドを提供する。別の実施態様において、ピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子は異種プロモーターと作動可能に連結されている。本発明は、使用される異種プロモーターの性質に限定されない。好ましい実施態様において、異種プロモーターは、誘導可能なプロモーターである(選択されるプロモーターは、当該分野において知られている、発現のために選択された宿主細胞に依存する)。本発明は、使用される誘導可能なプロモーターの性質に限定されない。好ましい誘導可能なプロモーターには、λ-PLプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーターおよびtrcプロモーターが含まれる。
本発明はさらに、FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を有するDNAを含む組換えDNAベクターを提供する。1つの好ましい実施態様において、本発明は、分子量が約38.7キロダルトンのピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼを提供する。さらにまた、組換えDNAベクターにより形質転換された宿主細胞は、FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を有するDNAを含む。好ましい実施態様において、宿主細胞は、分子量が約38.7キロダルトンのピロコッカス・ウーゼイFEN-1エンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を有するDNAを含む組換えDNAベクターで形質転換される。本発明は、使用される宿主細胞の性質により限定されない。当該分野において、Pwo FEN-1をコードするポリヌクレオチドの発現に適し、様々な原核宿主細胞および真核宿主細胞において発現できる発現ベクターは周知である。好ましい実施態様において、宿主細胞は大腸菌細胞である。
従って、本発明は、精製された天然型エンドヌクレアーゼおよび組換えエンドヌクレアーゼの両方を含む多数の精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼを提供する。好ましい実施形態において、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼは、古細菌または真正細菌から得られる。特に好ましい実施形態において、FEN-1エンドヌクレアーゼは、Archaeoglobus fulgidusおよびMethanobacterium thermoautotrophicumからなる群より選ばれる生物から得られる。好ましい実施形態において、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼは、約39キロダルトンの分子量を有する(分子量を推定する簡便法として、実施例28に記載されているようにSDS-PAGEを利用してもよい)。
本発明は更に、Archaeoglobus fulgidusおよびMethanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクリオチドを提供する。ただし、これらのオリゴヌクレオチドはそれぞれ、配列番号170、171、172、および173からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部分にハイブリダイズ可能な領域を有する。いくつかの好ましい実施形態において、Archaeoglobus fulgidusおよびMethanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするオリゴヌクレオチドは、異種プロモーターに機能しうる形で連結される。しかしながら、本発明は、利用する異種プロモーターの性質によって限定されるものではない。当業界で周知のように、選択されるプロモーターは、発現用として選択される宿主細胞に依存するものと予想される。いくつかの好ましい実施形態において、異種プロモーターは、誘発性プロモーターである。本発明は、利用する誘発性プロモーターの性質によって限定されない。好ましい誘発性プロモーターとしては、λ-PLプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーター、およびtrcプロモーターが挙げられる。
もう1つの好ましい実施形態において、本発明は、Archaeoglobus fulgidusまたはMethanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクリオチドを含んでなる組換えDNAベクターを提供する。ただし、これらのオリゴヌクレオチドはそれぞれ、配列番号170、171、172、および173からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部分にハイブリダイズ可能な領域を有する。本発明は更に、これらの組換えベクターを用いて形質転換された宿主細胞を提供する。好ましい実施形態において、本発明は、配列番号170、171、172、および173からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部分にハイブリダイズ可能な領域を有するDNAを含んでなる組換えDNAベクターを用いて形質転換された宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態において、これらのベクターには更に、FEN-1をコードするポリヌクレオチドに機能しうる形で連結された異種プロモーターが含まれていてもよい。本発明は、利用する宿主細胞の性質によって限定されない。FEN-1をコードするポリヌクレオチドを発現させるのに好適で、しかも様々な原核および真核宿主細胞中で発現させることのできる発現ベクターについては、当業界で周知である。好ましい実施形態において、宿主細胞はEscherichia coli細胞である。
本発明は更に、キメラ構造特異的ヌクレアーゼを提供する。一実施形態において、本発明は、FEN-1、XPG、およびRAD相同体からなる群より選ばれるエンドヌクレアーゼ由来のアミノ酸部分を含んでなるキメラエンドヌクレアーゼを提供する。好ましい実施形態において、キメラエンドヌクレアーゼには、Pyrococcus furiosus、Methanococcus jannaschi、Pyrococcus woesei、Archaeoglobus fulgidus、およびMethanobacterium thermoautotrophicumからなる群より選ばれるFEN-1エンドヌクレアーゼ由来のアミノ酸部分が含まれる。より好ましい実施形態において、キメラFEN-1エンドヌクレアーゼは、約39キロダルトンの分子量を有する(分子量を推定する簡便法として、実施例28に記載されているようにSDS-PAGEを利用してもよい)。
本発明は更に、キメラエンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクレオチドを提供する。一実施形態において、キメラエンドヌクレアーゼをコードするオリゴヌクレオチドには、FEN-1、XPG、およびRAD相同体からなる群より選ばれる遺伝子由来の核酸配列が含まれる。好ましい実施形態において、キメラエンドヌクレアーゼをコードするオリゴヌクレオチドには、Pyrococcus furiosus、Methanococcus jannaschi、Pyrococcus woesei、Archaeoglobus fulgidus、およびMethanobacterium thermoautotrophicumからなる群より選ばれるFEN-1エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子由来の核酸配列が含まれる。特に好ましい実施形態において、キメラエンドヌクレアーゼに対する遺伝子は、異種プロモーターに機能しうる形で連結される。本発明は、利用する異種プロモーターの性質によって限定されない。当業界で周知のように、選択されるプロモーターは、発現用として選択される宿主細胞に依存するものと予想される。好ましい実施形態において、異種プロモーターは、誘発性プロモーターである。本発明は、利用する誘発性プロモーターの性質によって限定されない。好ましい誘発性プロモーターとしては、λ-PLプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーター、およびtrcプロモーターが挙げられる。
もう1つの実施形態において、本発明は、上述したキメラエンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクレオチドを含んでなる組換えDNAベクターを提供する。一実施形態において、組換えDNAベクターには、FEN-1、XPG、およびRAD相同体からなる群より選ばれる遺伝子由来の核酸配列をコードする単離されたオリゴヌクレオチドが含まれる。好ましい実施形態において、組換えDNAベクターには、キメラエンドヌクレアーゼをコードする単離されたオリゴヌクレオチドが含まれ、このオリゴヌクレオチドには、Pyrococcus furiosus、Methanococcus jannaschi、Pyrococcus woesei、Archaeoglobus fulgidus、およびMethanobacterium thermoautotrophicumからなる群より選ばれるFEN-1エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子由来の核酸配列が含まれる。これらのベクターには更に、キメラヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドに機能しうる形で連結された異種プロモーターが含まれていてもよい。
これらの組換えベクターを用いて形質転換された宿主細胞もまた提供される。本発明は、利用する宿主細胞の性質によって限定されない。FEN-1をコードするポリヌクレオチドを発現させるのに好適で、しかも様々な原核および真核宿主細胞中で発現させることのできる発現ベクターについては、当業界で周知である。好ましい実施形態において、宿主細胞はEscherichia coli細胞である。
本発明は更に、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼからなる第1の構造特異的ヌクレアーゼと、第2の構造特異的ヌクレアーゼとを含む混合物を提供する。好ましい実施形態において、混合物の第2の構造特異的ヌクレアーゼは、Pyrococcus woesei FEN-1エンドヌクレアーゼ、Pyrococcus furiosus FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanococcus jannaschii FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼ、Archaeoglobus fulgidus FEN-1エンドヌクレアーゼ、およびキメラFEN-1エンドヌクレアーゼからなる群より選ばれる。このほかの実施形態において、混合物の精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼは、Pyrococcus woesei FEN-1エンドヌクレアーゼ、Pyrococcus furiosus FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanococcus jannaschii FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼ、Archaeoglobus fulgidus FEN-1エンドヌクレアーゼ、およびキメラFEN-1エンドヌクレアーゼからなる群より選ばれる。混合物の更に他の好ましい実施形態において、第2のヌクレアーゼは、野生型DNAポリメラーゼのものよりも低減したDNA合成活性を呈するが野生型DNAポリメラーゼと実質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性を保持するようにアミノ酸配列に変更が加えられた耐熱性DNAポリメラーゼ由来の5’ヌクレアーゼである。混合物のいくつかの好ましい実施形態において、第2のヌクレアーゼは、CleavaseR BN酵素、Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、Escherichia coli Exo III、Saccharomyces cerevisiae Rad1/Rad10複合体からなる群より選ばれる。
本発明はまた、a)精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼおよび核酸基質を提供するステップと、b)基質が1種以上の開裂構造体を形成するような条件下で核酸基質を処理するステップと、c)1種以上の開裂産物が産生されるようにエンドヌクレアーゼを開裂構造体と反応させるステップとを含むことを特徴とする核酸の処理方法を提供する。いくつかの実施形態において、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼは、Pyrococcus woesei FEN-1エンドヌクレアーゼ、Pyrococcus furiosus FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanococcus jannaschii FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼ、Archaeoglobus fulgidus FEN-1エンドヌクレアーゼ、およびキメラFEN-1エンドヌクレアーゼからなる群より選ばれる。他の実施形態において、この方法には更に、野生型DNAポリメラーゼのものよりも低減したDNA合成活性を呈するが野生型DNAポリメラーゼと実質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性を保持するようにアミノ酸配列に変更が加えられた耐熱性DNAポリメラーゼ由来の構造特異的ヌクレアーゼを提供するステップが含まれる。
この方法の他の実施形態において、第2のヌクレアーゼのアミノ酸配列の一部分は、Thermus属の真正好熱菌由来の耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の一部分に対して相同性を有する。更に他の実施形態において、好熱菌は、Thermus aquaticus、Thermus flavus、およびThermus thermophilusからなる群より選ばれる。いくつかの他の実施形態において、構造特異的ヌクレアーゼは、CleavaseR BN酵素、Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、Escherichia coli Exo III、Saccharomyces cerevisiae Rad1/Rad10複合体からなる群より選ばれる。いくつかの好ましい実施形態において、構造特異的ヌクレアーゼは、CleavaseR BNヌクレアーゼである。更に他の実施形態において、ステップ(a)の核酸は、実質的に一本鎖である。更なる実施形態において、核酸は、RNAおよびDNAからなる群より選ばれる。また更なる実施形態において、ステップ(a)の核酸は、実質的に二本鎖である。
この方法の他の実施形態において、ステップ(b)の処理には、二本鎖核酸を実質的に一本鎖にするステップと、二次構造を呈する条件に一本鎖核酸を暴露するステップとが含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、二本鎖核酸は、温度を上昇させることによって実質的に一本鎖に変換される。他の好ましい実施形態において、この方法には更に、1種以上の開裂産物を検出するステップが含まれる。
本発明はまた、a)精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼからなる第1の構造特異的ヌクレアーゼのマンガン含有溶液および核酸基質を提供するステップと、b)実質的に一本鎖の状態で存在する温度まで上昇させて核酸基質を処理するステップと、c)一本鎖基質が1種以上の開裂構造体を生成するような条件下で温度を低下させるステップと、d)1種以上の開裂産物が産生されるように開裂手段を開裂構造体と反応させるステップと、e)1種以上の開裂産物を検出するステップとを含むことを特徴とする核酸の処理方法を提供する。この方法のいくつかの実施形態において、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼは、Pyrococcus woesei FEN-1エンドヌクレアーゼ、Pyrococcus furiosus FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanococcus jannaschii FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼ、Archaeoglobus fulgidus FEN-1エンドヌクレアーゼ、およびキメラFEN-1エンドヌクレアーゼからなる群より選ばれる。他の実施形態において、この方法には更に、第2の構造特異的ヌクレアーゼを提供するステップが含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、第2のヌクレアーゼは、CleavaseR BN酵素、Thermus aquaticus DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus DNAポリメラーゼ、Escherichia coli Exo III、およびSaccharomyces cerevisiae Rad1/Rad10複合体からなる群より選ばれる。更に他の好ましい実施形態において、第2のヌクレアーゼは、野生型DNAポリメラーゼのものよりも低減したDNA合成活性を呈するが野生型DNAポリメラーゼと実質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性を保持するようにアミノ酸配列に変更が加えられた耐熱性DNAポリメラーゼ由来の5’ヌクレアーゼである。更に他の実施形態において、核酸は、RNAおよびDNAからなる群より選ばれる。更なる実施形態において、ステップ(a)の核酸は二本鎖である。
本発明はまた、a)少なくとも1種の精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼを含有する組成物と、b)マンガンを含有する溶液とを含むことを特徴とする核酸処理キットを提供する。このキットのいくつかの実施形態において、精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼは、Pyrococcus woesei FEN-1エンドヌクレアーゼ、Pyrococcus furiosus FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanococcus jannaschii FEN-1エンドヌクレアーゼ、Methanobacterium thermoautotrophicum FEN-1エンドヌクレアーゼ、Archaeoglobus fulgidus FEN-1エンドヌクレアーゼ、およびキメラFEN-1エンドヌクレアーゼからなる群より選ばれる。他の実施形態において、このキットには更に、少なくとも1種の第2の構造特異的ヌクレアーゼが含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、第2のヌクレアーゼは、野生型DNAポリメラーゼのものよりも低減したDNA合成活性を呈するが野生型DNAポリメラーゼと実質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性を保持するようにアミノ酸配列に変更が加えられた耐熱性DNAポリメラーゼ由来の5’ヌクレアーゼである。このキットの更に他の実施形態において、第2のヌクレアーゼのアミノ酸配列の一部分は、Thermus属の真正好熱菌由来の耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列の一部分に対して相同性を有する。更なる実施形態において、好熱菌は、Thermus aquaticus、Thermus flavus、およびThermus thermophilusからなる群より選ばれる。更に他の好ましい実施形態において、キットには更に、開裂産物を検出するための試薬が含まれる。
図面の説明
図1Aは、本発明の検出方法の一実施形態の略図を示している。
図1Bは、本発明の検出方法の第2の実施形態の略図を示している。
図2は、Thermus aquaticus(配列番号1)、Thermus flavus(配列番号2)、およびThermus thermophilus(配列番号3)から単離されたDNAP遺伝子のヌクレオチド構造の比較である。共通配列(配列番号7)は、各行の最初に示されている。
図3は、Thermus aquaticus(配列番号4)、Thermus flavus(配列番号5)、およびThermus thermophilus(配列番号6)から単離されたDNAPのアミノ酸配列の比較である。共通配列(配列番号8)は、各行の最初に示されている。
図4A〜Gは、野生型DNAPTaq遺伝子および合成欠陥(synthesis-deficient)DNAPTaq遺伝子を表す1組の図である。
図5Aは、野生型Thermus flavusポリメラーゼ遺伝子を表している。
図5Bは、合成欠陥Thermus flavusポリメラーゼ遺伝子を表している。
図6は、DNAPTaqを用いて増幅できない構造体を表している。
図7は、DNAPTaqまたはDNAPStf(すなわち、DNAPTaqのStoffel断片)のいずれかを用いて分岐二本鎖の増幅を試みた結果を示すエチジウムブロミド染色ゲルである。
図8は、DNAPTaqによる分岐二本鎖の開裂およびDNAPStfによる開裂不足を分析したゲルのオートラジオグラムである。
図9A〜Bは、DNAPTaqを用いて分岐二本鎖の開裂を試みた際に様々な反応成分の添加およびインキュベーション温度の変化に伴う開裂または開裂不足を分析したゲルのオートラジオグラムである。
図10A〜Bは、プライマーを用いた場合および用いない場合における所定の時間の開裂反応を表すオートラジオグラムである。
図11A〜Bは、種々のDNAPを用いて分岐二本鎖の開裂を試みた結果(プライマーを用いた場合および用いない場合)を表すゲルの1組のオートラジオグラムである。
図12Aは、パイロットオリゴヌクレオチドの標的である基質DNAの特異的開裂の試験に使用した基質およびオリゴヌクレオチドを表している。
図12Bは、図12Aに示されている基質およびオリゴヌクレオチドを用いた開裂反応の結果を表すゲルのオートラジオグラムを表している。
図13Aは、パイロットオリゴヌクレオチドの標的である基質RNAの特異的開裂の試験に使用した基質およびオリゴヌクレオチドを表している。
図13Bは、図13Aに示されている基質およびオリゴヌクレオチドを用いた開裂反応の結果を表すゲルのオートラジオグラムを表している。
図14は、ベクターpTTQ18を表す図である。
図15はベクターpET-3cを表す図である。
図16A〜Eは、DNAPの5’開裂活性による開裂に好適な基質である1組の分子を示している。
図17は、合成欠陥DNAPを用いた開裂反応実験の結果を表すゲルのオートラジオグラムである。
図18は、合成欠陥DNAPTaqクローンの合成活性をアッセイした時の産物を分離したPEIクロマトグラムのオートラジオグラムである。
図19Aは、合成欠陥DNAPが短いヘアピン構造体を開裂させる能力を試験するために使用した基質分子を示している。
図19Bは、図19Aに示されている基質を用いた開裂反応実験の産物を分離したゲルのオートラジオグラムである。
図20Aは、トリガー/検出アッセイで使用したA-およびT-ヘアピン分子を表している。
図20Bは、トリガー/検出アッセイで使用したαプライマーの配列を表している。
図20Cは、開裂されたA-およびT-ヘアピン分子の構造を表している。
図20Dは、A-およびT-ヘアピン分子の間の相補性を表している。
図21は、本発明の5’ヌクレアーゼに対する基質として利用した206量体二本鎖配列全体を示している。
図22AおよびBは、野生型DNAPならびにThermus aquaticusおよびThermus flavusから単離された5’ヌクレアーゼによる線状核酸基質(図21の206量体に基づく)の開裂を示している。
図23は、本発明の検出方法の一実施形態に対応する詳細な模式図を示している。
図24は、本発明の5’ヌクレアーゼによる図23の線状二本鎖核酸構造体の開裂の伝搬を示している。
図25Aは、本発明のDNAPを用いて検出された「ニブリング(nibbling)」現象を示している。
図25Bは、図25Aの「ニブリング」が5’ヌクレオチド開裂であってホスファターゼ開裂ではないことを示している。
図26は、「ニブリング」現象が二本鎖依存性であることを示している。
図27は、検出アッセイにおいて「ニブリング」をいかにして利用することができるかを示す概略図である。
図28は、「ニブリング」が標的指向性をもつ可能性を有することを示している。
図29は、インベーダー(invader)オリゴヌクレオチドを有する標的核酸および標的にアニールされたプローブオリゴヌクレオチドの模式図を示している。
図30は、アニールされたP-15オリゴヌクレオチド(配列番号41)を有するS-60ヘアピンオリゴヌクレオチド(配列番号40)を表す概略図である。
図31は、P-15オリゴヌクレオチドの存在下または不存在下においてS-60ヘアピンを用いて行った開裂反応実験の結果を表すゲルのオートラジオグラムである。
図32は、標的特異的オリゴヌクレオチドの3つの異なる配置、および標的核酸へのそれらのハイブリダイゼーション(この標的核酸にはまたプローブオリゴヌクレオチドがアニールされている)を表す概略図である。
図33は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、インベーダーオリゴヌクレオチドが存在するとプローブ/標的二本鎖中の開裂部位がシフトすることを示している。
図34は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、図32に描かれている3つの標的特異的オリゴヌクレオチドを用いたインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図35は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、非標的核酸分子の存在下または不存在下におけるインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図36は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、標的核酸の存在下でそ量を減少させながら行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図37は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、種々の耐熱性5’ヌクレアーゼまたはDNAポリメラーゼを用いて唾液抽出物の存在下または不存在下で行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図38は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、種々の5’ヌクレアーゼを用いて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図39は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、塩基対が1つだけ異なる2種の標的核酸を用いて2つの異なる反応温度で行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図40Aは、温度上昇が、標的核酸に沿ったプローブオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび開裂に及ぼす影響を示す概略図であり、このプローブには、標的に対して非相補性を有する領域が含まれる。
図40Bは、上流オリゴヌクレオチドの付加が、標的核酸に沿ったプローブオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび開裂に及ぼす影響を示す概略図であり、このプローブには、標的に対して非相補性を有する領域が含まれる。
図41は、標的特異的インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号50)と、標的核酸(配列番号42)に沿って5’Cy3標識を有する標的特異的プローブオリゴヌクレオチド(配列番号49)との配置を示す概略図である。
図42は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、KClの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図43は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、NaClの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図44は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、LiClの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図45は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、KGluの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図46は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、MnCl2またはMgCl2の存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図47は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CTABの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図48は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、PEGの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図49は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、グリセロール、Tween-20、および/またはNonidet-P40の存在下で行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図50は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、反応液中にKClまたはLiClを含む場合または含まない場合についてゼラチンの存在下でその濃度を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図51は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、ゲノムDNAまたはtRNAの存在下でその量を増大させて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図52は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、HCV RNA標的を用いて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示している。
図53は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、HCV RNA標的を用いて行ったインベーダー誘発開裂アッセイの産物を示しているが、この図からインベーダー誘発開裂アッセイ条件下におけるRNA標的の安定性が実証される。
図54は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、HCV RNA標的を用いて行ったインベーダー誘発開裂アッセイにおける検出の感度およびRNAの安定性を示している。
図55は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、3’リン酸基を含む場合または含まない場合のオリゴヌクレオチドの熱分解を示している。
図56は、アミノ修飾オリゴヌクレオチド70および74の構造を示している。
図57は、アミノ修飾オリゴヌクレオチド75の構造を示している。
図58は、アミノ修飾オリゴヌクレオチド76の構造を示している。
図59は、IEFゲルを蛍光イメージャーで走査することにより作成した画像であり、基質70、70dp、74、74dp、75、75dp、76、および76dpの泳動を示している。
図60Aは、標的特異的インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号61)と、標的核酸(配列番号63)に沿って5’Cy3標識を有する標的特異的プローブオリゴヌクレオチド(配列番号62)との配置を示す概略図である。
図60Bは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、電荷反転(すなわち、電荷に基づく開裂産物の分離)を用いた侵入(invasive)開裂アッセイ時に生成した特異的開裂産物の検出を示している。
図61は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、電荷反転を用いた侵入開裂アッセイ時に生成した特異的開裂産物の検出感度を示している。
図62は、電荷に基づいてオリゴヌクレオチドを分離するためのデバイスの第1の実施形態を示している。
図63は、電荷に基づいてオリゴヌクレオチドを分離するためのデバイスの第2の実施形態を示している。
図64は、プライマーオリゴヌクレオチドの存在下または不存在下で行った開裂反応の結果を表すゲルのオートラジオグラムを表している。はしご形状の一連のマーカーがサイズマーカーとして示されている。
図65a〜dは、4対のオリゴヌクレオチドを示している。記載のそれぞれの対において、標的核酸にアニールしたプローブの上側の配列には上流オリゴヌクレオチドが欠損しているが、下側の配列には上流オリゴヌクレオチドが含まれている。
図66は、正に帯電した数種のヘテロ二量体DNA結合染料の化学構造を示している。
図67は、InvaderTM誘発開裂アッセイにおける特異的開裂産物のテーリングおよび検出を行うための他の方法を示す概略図である。
図68はInvaderTMオリゴヌクレオチド、ミニプローブ、およびスタッカーオリゴヌクレオチドがアニールされた標的核酸の模式図を示している。
図69は、T5 5’-エキソヌクレアーゼの3次元構造を示す空間充填モデルである。
図70は、Methanococcus jannaschii FEN-1タンパク質(MJAFEN1.PRO)、Pyrococcus furiosus FEN-1タンパク質(PFUFEN1.PRO)、ヒトFEN-1タンパク質(HUMFEN1.PRO)、マウスFEN-1タンパク質(MUSFEN1.PRO)、Saccharomyces cerevisiaeYKL510タンパク質(YST510.PRO)、Saccharomyces cerevisiaeRAD2タンパク質(YSTRAD2.PRO)、Shizosaccharomyces pombe RAD13タンパク質(SPORAD13.PRO)、ヒトXPGタンパク質(HUMXPG.PRO)、マウスXPGタンパク質(MUSXPG.PRO)、Xenopus laevis XPGタンパク質(XENXPG.PRO)、C. elegnas RAD2タンパク質(CELRAD2.PRO)などの数種のFEN-1ヌクレアーゼのアミノ酸配列のアライメントを示している。これらのタンパク質のいくつかのアミノ酸配列の一部分は、タンパク質間のアライメントを最大化するために省略した。配列の各ラインの左側にある数は、アミノ酸残基の数を意味し、ダッシュは、アライメントを最大化するために導入した間隙である。
図71は、折り畳み配置状態のS-33(配列番号120)および11-8-0(配列番号121)オリゴヌクレオチドを示す概略図である。
図72は、CleavaseR BN/トロンビンのトロンビン消化を示すCoomassie染色SDS-PAGEゲルを表している。
図73は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR BN/トロンビンを用いたS-60の開裂によって生じた産物を示している。
図74は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR BN/トロンビンを用いた環状M13 DNAの開裂によって生じた産物を示している。
図75は、精製したCleavaseR BNヌクレアーゼ、すなわち、Pfu FEN-1、Pwo FEN-1、およびMja FEN-1の泳動を示すSDS-PAGEである。
図76は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR BNおよびMja FEN-1ヌクレアーゼを用いたS-33および11-8-0オリゴヌクレオチドの開裂によって生じた産物を示している。
図77は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、TdTを用いて3’-OH基を含む場合または含まない場合のいずれかのオリゴヌクレオチドのインキュベーションを行ったときに生じた産物を示している。
図78は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、TdTを用いて開裂産物のインキュベーションを行ったときに生じた産物を示している。
図79は、ニトロセルロース支持体上における開裂産物の捕獲および検出を示すUniversal GeneCombTMの写真である。
図80は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR A/GとPfu FEN-1ヌクレアーゼとフルオレセイン標識プローブとを用いることによって生じた産物を示している。
図81は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR A/GとPfu FEN-1ヌクレアーゼとCy3標識プローブとを用いることによって生じた産物を示している。
図82は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR A/GとPfu FEN-1ヌクレアーゼとTET標識プローブとを用いることによって生じた産物を示している。
図83Aおよび83Bは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、CleavaseR A/GとPfu FEN-1ヌクレアーゼと5’位の正電荷をもつかまたはもたないプローブとを用いることによって生じた産物を示している。図83Aに示されているゲルは、標準的な方向で実験したときのものであり、図84Bに示されているゲルは、逆方向で実験したときのものである。
図84は、3-ニトロピロールおよび5-ニトロインドールの構造を示している。
図85は、開裂構造体中にアニールしたオリゴヌクレオチド109、61、および67(配列番号83、61、および62)の配列、ならびにオリゴヌクレオチド67(配列番号62)および配列番号84〜88の複合体の配列を示している。
図86A〜Cは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、標的と完全に相補的であるかまたは標的と1ヶ所だけ不一致であるミニプローブを用いて種々の温度で行ったInvaderTM誘発開裂アッセイで生じた産物を示している。
図87は、オリゴヌクレオチド166(配列番号93)、165(配列番号92)、161(配列番号89)、162(配列番号90)、および164(配列番号91)、ならびに開裂構造体の配列を示している。
図88は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、ras遺伝子配列を標的として用いて行ったInvaderTM誘発開裂アッセイで生じた産物を示している。
図89A〜Cは、S-60ヘアピン(配列番号40)(A)およびP-15オリゴヌクレオチド(配列番号41)の配列(BにおいてS-60ヘアピンにアニールした状態が示されている)の配列、ならびに種々のInvaderTMオリゴヌクレオチドの存在下でS-60ヘアピンの開裂を行うことにより生じた産物を示している。
図90は、種々の3’末端置換基の構造を示している。
図91は、プローブの濃度、温度、およびスターカーオリゴヌクレオチドがミニプローブの開裂に及ぼす影響を示す複合グラフである。
図92は、IT-2オリゴヌクレオチド(配列番号123;折り畳み配置の状態で示されている)の配列ならびにIT-1(配列番号124)およびIT-1A4(配列番号125)オリゴヌクレオチドの配列を示している。
図93は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、図92に示されているオリゴヌクレオチドをCleavaseR A/Gヌクレアーゼにより開裂させたときに生じた産物を示している。
図94は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、Pfu FEN-1およびMja FEN-1ヌクレアーゼによる開裂の速度の比較を示している。
図95は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、ミニプローブおよびスターカーオリゴヌクレオチドを用いたRNA標的の検出を示している。
図96Aは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、図71に示されているオリゴヌクレオチドの混合物を、Pfu FEN-1(A)およびMja FEN-1(B)のいずれかにより開裂させたときに生じた産物を比較したものである。
図96Bは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、図30に示されているオリゴヌクレオチドを、Pfu FEN-1(A)およびMja FEN-1(B)のいずれかにより開裂させたときに生じた産物を比較したものである。
図97は、Pfu FEN-1およびMja FEN-1タンパク質の一部分が結合してキメラヌクレアーゼを形成する様子を示した模式図である。
図98Aは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、図71に示されているオリゴヌクレオチドの混合物を、Pfu FEN-1(A)、Mja FEN-1(B)、または図97に描かれているキメラヌクレアーゼにより開裂させたときに生じた産物を比較したものである。
図98Bは、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、図30に示されているオリゴヌクレオチドを、Pfu FEN-1(A)、Mja FEN-1(B)、または図97に描かれているキメラヌクレアーゼにより開裂させたときに生じた産物を比較したものである。
図99は、蛍光イメージャーにより作成した画像であり、折り畳み状態の開裂構造体を、Pfu FEN-1(A)、Mja FEN-1(B)、または図97に描かれているキメラヌクレアーゼにより開裂させたときに生じた産物を比較したものである。
図100A〜Jは、種々の条件下でCleavase BNの活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図101A〜B、D〜F、およびH〜Jは、種々の条件下でTaqDNの活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図102A〜B、D〜F、およびH〜Jは、種々の条件下でTthDNの活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図103A〜B、D〜F、およびH〜Jは、種々の条件下でPfu FEN-1の活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図104A〜Jは、種々の条件下でMja FEN-1の活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図105A〜B、D〜F、およびH〜Jは、種々の条件下でAfu FEN-1の活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図106A〜EおよびG〜Iは、種々の条件下でMth FEN-1の活性を測定するために使用した種々のアッセイの結果を示している。
図107は、2種の基質を示している。パネルAは、ヘアピン基質(25-65-1)(配列番号176)の構造および配列を示しており、パネルBは、インベーダー(IT)基質(25-184-5)(配列番号177)の構造および配列を示している。
定義
本明細書中で用いられる「相補的」または「相補性」なる用語は、塩基対合規則により結び付けられるポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドまたは標的核酸などのヌクレオチドの配列)に関して用いられる。例えば、配列「A−G−T」は配列「T−C−A」に相補的である。相補性は「部分的」であってもよく、その場合、核酸の塩基の一部だけが塩基対合規則に従ってマッチする。あるいは、核酸間には「完全な」または「全体的な」相補性があってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、該核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に大きな影響を及ぼす。これは、増幅反応ならびに核酸間の結合に依存する検出方法において特に重要である。
「相同性」なる用語は、同一性の程度を意味する。部分的な相同性であっても、もしくは完全な相補性があってもよい。部分的に同一な配列は、もう一方の配列と100%未満同一な配列である。
本明細書中で用いられる「ハイブリダイゼーション」なる用語は、相補的な核酸の対合に関して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の結合の強度)は、核酸間の相補性の程度、用いられる条件のストリンジェンシー、形成されるハイブリッドのTm、および核酸中のG:C比などの要因によって影響を受ける。
本明細書中で用いられる「Tm」なる用語は、「融解温度」に関して用いられる。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団が半分だけ一本鎖に解離する温度である。核酸のTmの計算式は、当業界では周知である。標準的な文献に示されているように、核酸が1M NaClの水性溶液中に含まれる場合、Tm値の簡単な推定値は式:Tm=81.5+0.41(%G+C)により算出できる[例えば、AndersonおよびYoung, Quantitative Filter Hybridization, Nucleic Acid Hybridization(1985)参照]。その他の文献には、Tmの算出に構造的特徴ならびに配列特徴を考慮に入れた、さらに緻密な計算が記載されている。
本明細書中で用いられる「ストリンジェンシー」なる用語は、核酸のハイブリダイゼーションが行われる温度、イオン強度および他の成分の存在の条件に関して用いられる。「高いストリンジェンシー」な条件を用いると、高頻度の相補的塩基配列を有する核酸フラグメント間でのみ核酸の塩基対合が生じる。したがって、互いに完全には相補的でない核酸同士がハイブリダイズまたはアニーリングすることが望ましい場合には、「弱い」または「低い」ストリンジェンシーの条件が必要とされる場合が多い。
「遺伝子」なる用語は、ポリペプチドまたは前駆体の生成に必要な制御配列およびコード配列を含んでなるDNA配列を意味する。該ポリペプチドは、完全長コード配列により、または、所望の酵素活性が保持される場合に限り該コード配列のいずれかの一部分によりコードされうる。
「野生型」なる用語は、天然に存在する起源から単離された場合の遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する、遺伝子または遺伝子産物を意味する。野生型遺伝子は、ある個体群中で最も頻繁に観察され、したがって該遺伝子の「正常」または「野生型」形態と任意に称されているものである。それに対し、「修飾(された)」または「突然変異体」なる用語は、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合、配列の修飾および/または機能的性質の修飾(すなわち、改変された性質)を示す遺伝子または遺伝子産物を意味する。天然に存在する突然変異体は単離することができ、これらは、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合、改変された性質を有するという事実により同定されることが注目される。
本明細書中で使用する「組換えDNAベクター」なる用語は、所望のコード配列、および特定の宿主生物中での作動可能的に連結した該コード配列の発現に必要な適当なDNA配列を含有するDNA配列を意味する。原核生物中での発現に必要なDNA配列には、プロモーター、所望により必要なオペレーター配列、リボソーム結合部位および可能な他の配列が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。
本明細書中で使用する「LTR」なる用語は、プロウイルス(すなわち、レトロウイルスの組込み形態)の各末端に見いだされる長末端反復を意味する。該LTRは、転写制御エレメント、ポリアデニル化シグナル、および該ウイルスゲノムの複製および組込みに必要な配列を含む多数の調節シグナルを含有する。該ウイルスLTRは、U3、RおよびU5と称される3つの領域に分けられる。
U3領域は、エンハンサーおよびプロモーターエレメントを含有する。U5領域は、ポリアデニル化シグナルを含有する。R(反復)領域は、U3領域およびU5領域を分離し、R領域の転写配列は該ウイルスRNAの5’および3’の両末端に出現する。
本明細書中で使用する「オリゴヌクレオチド」なる用語は、2個以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは5個以上、さらに好ましくは約10〜15個以上、さらに好ましくは約15個以上から30個のヌクレオチドよりなる分子と定義される。正確な大きさは多数の因子に依存し、そのため、これらの因子は該オリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途に依存する。該オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写またはその組み合わせを含むいずれの方法で生成させてもよい。
モノヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸(phosphate)基がその隣の3’酸素にリン酸ジエステル結合を介して1方向に結合するような態様で反応してオリゴヌクレオチドを生成するため、オリゴヌクレオチドの末端は、その5’リン酸基がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に結合していないなら「5’末端」と、その3’酸素が後続のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸基に結合していないなら「3’末端」と称される。本明細書では、たとえ核酸配列がより大きなオリゴヌクレオチドの内部にある場合であっても、それが5’および3’末端を有すると称することもある。核酸の鎖に沿って5’から3’の方向に移動する場合、第1の領域の3’末端が第2の領域の5’末端の前にあるならば、該第1の領域はそのもう1つの領域(つまり該第2の領域)の上流であると言う。
2つの異なる非オーバーラップオリゴヌクレオチドが同じ線状相補的核酸配列の異なる領域に対してアニーリングし、一方のオリゴヌクレオチドの3’末端が他方の5’末端に面する場合、前者を「上流」オリゴヌクレオチドと、後者を「下流」オリゴヌクレオチドと称することがある。
「プライマー」なる用語は、プライマー伸長が開始する条件下に置かれた場合、合成開始点として作用する能力を有するオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、精製された制限消化物として天然に存在してもよいし、合成的に製造されてもよい。
プライマーは、鋳型の特異的配列の鎖に対して「本質的に」相補的となるよう選ばれる。プライマーは、プライマー伸長が生じるよう、鋳型鎖とハイブリダイズするのに十分な程度に相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映している必要はない。例えば、非相補的ヌクレオチド断片がプライマーの5’末端に結合していてもよく、この場合、該プライマー配列の残りの部分は該鎖に本質的に相補的となっている。ハイブリダイゼーション、およびそれによるプライマー伸長産物合成のための鋳型プライマー複合体形成に十分な程度に、該プライマー配列が鋳型配列との相補性を有していれば、非相補的塩基またはより長い配列が該プライマー中に点在していてもよい。
「ハイブリダイゼーション」法には、標的核酸(検出すべき配列;この配列の検出は直接的または間接的のいずれかの手段であり得る)に対する相補的配列のアニーリングが含まれる。相補的配列を含有する2つの核酸ポリマーが塩基対合相互作用によりお互いを見いだしかつアニールしうることは、よく認識されている現象である。MarmurおよびLane(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:453(1960))およびDotyら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:461(1960))による「ハイブリダイゼーション」過程の最初の観察の後、この過程はさらに洗練されて、現代生物学に欠くことのできない手段となっている。
相補性に関しては、いくつかの診断的適用では、ハイブリダイゼーションが完全な相補性を示すか部分的な相補性を示すかを判定することが重要である。例えば、病原DNA(例えばウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、原虫由来のもの)の存在または不存在を簡単に検出することが望まれる場合には、関連配列が存在しても、ハイブリダイゼーション法によりハイブリダイゼーションが確実に行われることが重要である。この場合、部分相補的プローブおよび完全相補的プローブが共にハイブリダイズする条件を選択することができる。しかしながら、他の診断的適用では、該ハイブリダイゼーション法が部分的および完全相補性を識別する必要がある場合もある。遺伝的多形性を検出することが目的の場合もある。例えば、ヒトヘモグロビンは、部分的に4つのポリペプチド鎖よりなる。これらの鎖の2つは141個のアミノ酸(α鎖)の同一鎖で、これらの鎖の2つは146個のアミノ酸(β鎖)の同一鎖である。β鎖をコードする遺伝子は、多形性を示すことが知られている。正常対立遺伝子は、6位にグルタミン酸を有するβ鎖をコードする。突然変異対立遺伝子は、6位にバリンを有するβ鎖をコードする。このアミノ酸の相違は、臨床的に鎌状赤血球貧血として知られている意味深い(突然変異対立遺伝子に関して個体がホモ接合である場合に最も意味深い)生理学的影響を有する。アミノ酸変化の遺伝的基礎に、正常対立遺伝子DNA配列と突然変異対立遺伝子DNA配列との間の単一塩基の相違が含まれることはよく知られている。
本明細書中で使用する核酸配列の相補性は、一方の配列の5’末端が他方の3’末端と対合するように該核酸配列と並べた場合に「逆平行な会合」となるオリゴヌクレオチドを意味する。天然核酸中では一般に見られないある塩基が本発明の核酸中に含まれていてもよく、例えば、イノシン、7−デアザグアニンなどが挙げられる。相補性は完全である必要はなく、安定な二本鎖がミスマッチな塩基対またはマッチしていない塩基を含有していてもよい。核酸技術分野の当業者であれば、例えばオリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度およびミスマッチな塩基対の頻度を含む多数の変数を考慮して、二本鎖の安定性を経験的に決定することができる。
核酸二本鎖の安定性は、融解温度、すなわち「Tm」により測定することができる。一定条件下での特定の核酸二本鎖のTmは、平均して塩基対の半分が解離する温度である。
本明細書中で使用する「標識」なる用語は、検出可能な(好ましくは定量可能な)シグナルを得るのに使用することができ、核酸またはタンパク質に結合することができる、いずれかの原子または分子を意味する。標識は、蛍光、放射能、比色分析、重量分析、X線回折または吸収、磁性、酵素活性などにより検出可能なシグナルを与えるものであり得る。標識は、帯電部分(正電荷または負電荷)であるか、あるいは電荷が中性であり得る。
本明細書中で使用する「開裂構造体」なる用語は、プローブ・オリゴヌクレオチドと標的核酸との相互作用によって形成されて二本鎖を形成する構造体である。得られた構造体は、酵素など(しかし、それらに限定されない)の開裂手段によって開裂可能である。開裂構造体は、上記開裂手段による特異的な開裂に対する基質である。これに対して、核酸分子は、二次構造とは無関係に核酸分子を開裂するホスホジエステラーゼなどの薬剤による非特異的な開裂に対する基質である(すなわち、二本鎖構造の形成が必要ない)。
本明細書で使用する「折りたたみ開裂構造体」なる用語は、二次構造を含む一本鎖の核酸基質の領域を指す。この領域は、酵素的開裂手段により開裂することができる。開裂構造は、二次構造とは無関係に核酸分子を開裂する(つまり、基質の折りたたみの必要が無い)ホスホジエステラーゼのような剤による非特異的開裂の基質である核酸分子とは対照的に、開裂手段による特異的開裂の基質である。
本明細書で使用する「折りたたみ標的」なる用語は、二次構造の少なくとも1つの領域(すなわち、核酸の一本鎖の内の少なくとも1つの一本鎖領域、および少なくとも1つの二本鎖領域)を含む核酸鎖を指す。おりたたみ標的は、二次構造の領域とは別に三次構造の領域を含み得る。
本明細書中で使用する「開裂手段」なる用語は、開裂構造体を開裂する能力を有するいずれかの手段を意味し、例えば酵素が挙げられるが、これに限定されるものではない。該開裂手段としては、5’ヌクレアーゼ活性を有する天然DNAP(例、Taq DNAポリメラーゼ、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼI)、より詳細には、5’ヌクレアーゼ活性を有するが合成活性を欠く修飾DNAPなどが挙げられる。核酸鋳型中の天然に存在する構造体を開裂(構造特異的開裂)するという5’ヌクレアーゼが有する能力は、該核酸中の特異的配列を前もって知ることなく核酸中の内部配列相違を検出するのに有用である。このように、それらは構造特異的酵素である。「構造特異的ヌクレアーゼ」または「構造特異的酵素」は、核酸分子中の特異的二次構造を認識し、これらの構造体を開裂する酵素である。本発明の開裂手段は、開裂構造体の形成に応答して核酸分子を開裂する。該開裂手段が、該開裂構造体中のいずれかの特定の位置で該開裂構造体を開裂することは必ずしも必要ではない。
該開裂手段は、5’ヌクレアーゼ活性だけを有する酵素に限定されるものではない。該開裂手段は、クリーブアーゼ(Cleavase)▲R▼酵素、FEN-1エンドヌクレアーゼ(RAD2およびXPGタンパク質を含む)Taq DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIを含む種々の起源から付与されるヌクレアーゼ活性を含んでいてもよい。
酵素(例えば5’ヌクレアーゼ)に関して用いられる「耐熱性」なる用語は、その酵素が、上昇させた温度(すなわち、約55℃以上)で機能性または活性である(すなわち、触媒作用を果たし得る)ことを示す。
本明細書中で使用する「開裂産物」なる用語は、開裂手段を開裂構造体と反応させること(すなわち、開裂構造体を開裂手段で処理すること)により生成される産物を意味する。
「標的核酸」なる用語は、少なくともプローブ・オリゴヌクレオチドとの少なくとも部分的な相補性を有し、さらにインベーダー・オリゴヌクレオチドとも少なくとも部分的な相補性を有する可能性のある配列を含む核酸分子を意味する。該標的核酸は、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAを含有し得る。
「プローブ・オリゴヌクレオチド」なる用語は、インベーダー・オリゴヌクレオチドの存在下または不在下にて標的核酸と相互作用して開裂構造体を形成するオリゴヌクレオチドを意味する。標的核酸とアニーリングすると、該プローブ・オリゴヌクレオチドと標的とは開裂構造体を形成し、該プローブ・オリゴヌクレオチド内で開裂が生じる。標的核酸に沿ってプローブ・オリゴヌクレオチドの上流にインベーダー・オリゴヌクレオチドが存在する場合には、(該インベーダーの不在下での開裂部位に対して)該プローブ・オリゴヌクレオチド内の開裂部位が移動する。
「非標的開裂産物」なる用語は、上記標的核酸に由来しない開裂反応の産物を意味する。先に述べたように、本発明の方法では、開裂構造体の開裂はプローブ・オリゴヌクレオチド内で生じる。この標的核酸依存性開裂により生じるプローブ・オリゴヌクレオチドの断片が、「非標的開裂産物」である。
「インベーダー・オリゴヌクレオチド」なる用語は、プローブ・オリゴヌクレオチドの5’末端に位置する配列と実質的に同じ配列をその3’末端に含むオリゴヌクレオチドを意味する。これらの領域は、相補的標的核酸に沿った同じセグメントに対するハイブリダイゼーションについて競合するであろう。
核酸基質に関して使用する「実質的に一本鎖」なる用語は、該基質分子が主に一本鎖核酸として存在することを意味し、鎖内塩基対合相互作用により一緒に保存される二本の核酸鎖として存在する二本鎖基質とは対照的である。
本明細書中で使用する「配列変異」または「配列変化」(sequence variation)」なる用語は、2つの核酸間の核酸配列の相違を意味する。例えば、野生型構造遺伝子およびこの野生型構造遺伝子の突然変異形態は、単一塩基置換および/または1以上のヌクレオチドの欠失または挿入の存在により、配列が変化することがある。該構造遺伝子のこれらの2つの形態は、互いに配列が異なると言われている。該構造遺伝子の第2の突然変異形態が存在することもある。この第2突然変異形態は、該野生型遺伝子および該遺伝子の第1突然変異形態の両方と配列が異なると言われている。
本明細書中で使用する「遊離させる」または「放出させる」(liberating)なる用語は、5’ヌクレアーゼの作用による、より大きい核酸断片(例えばオリゴヌクレオチド)から核酸断片を遊離させることを意味し、この場合、該遊離断片はもはや、該オリゴヌクレオチドの残りに共有結合により付着しない。
本明細書中で使用する「Km」なる用語は、ある酵素についてのミカエリス・メンテン定数を意味し、所与の酵素が酵素触媒反応においてその最大速度の2分の1を生ずる特異的基質の濃度と定義される。
本明細書中で使用する「ヌクレオチド類似体」なる用語は、7−デアザプリン(すなわち、7−デアザ−dATPおよび7−デアザ−dGTP)などの修飾されたまたは天然に存在しないヌクレオチドを意味する。ヌクレオチド類似体には塩基類似体が含まれ、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの修飾形態よりなる
「多形性遺伝子座」なる用語は、集団中のメンバー間で変異を示すような集団中に存在する遺伝子座である(すなわち、最も一般的な対立遺伝子は0.95未満の頻度を有する)。これに対し、「単形性遺伝子座」は、該集団のメンバー間で見られる変異がほとんどないか全くない遺伝子座である(該集団の遺伝子プール中の最も一般的な対立遺伝子が0.95の頻度を上回る遺伝子座と一般にみなされている)。
本明細書中で使用する「微生物」なる用語は、小さすぎて肉眼で観察できない生物を意味し、細菌、ウイルス、原虫、真菌および繊毛虫が含まれるが、これらに限定されるものではない。
「微生物遺伝子配列」なる用語は、微生物由来の遺伝子配列を意味する。
「細菌」なる用語は、真正細菌種および原始細菌種を含むいずれかの細菌種を意味する。
「ウイルス」なる用語は、自律複製能を有さない(すなわち、複製には宿主細胞装置の使用を要する)偏性限外顕微鏡的細胞内寄生体を意味する。
「多剤耐性」なる用語は、微生物の処理に使用される2以上の抗生物質または抗微生物剤に耐性である微生物を意味する。
本明細書および請求の範囲における「サンプル」なる用語は、その最も広義に用いられる。一方では、それは試験片または培養物(例えば生物学的培養物)を含むことを意味し、また一方では、生物学的および環境的サンプルの双方を含有することを意味する。
生物学的サンプルは、動物(ヒトを含む)の流体、固体(例えば、便)または組織、ならびに酪農品目、野菜、肉および肉副産物、および廃物などの液体および固形の食品および原料(ingredients)、であり得る。生物学的サンプルは、家畜ならびに有蹄類、クマ、魚類、ウサギ、齧歯類などの動物を含む(しかし、それらに限定されない)野生動物の種々の科の全てから得ることが可能である。
環境的サンプルは、表面物質、土壌、水および工業的サンプル、ならびに食品および酪農加工道具、器具、装置、用具、使い捨ておよび非使い捨ての製品から得たサンプルなどの環境物質を含む。これらの例は、本発明に適用可能なサンプルの種類を限定するものとは理解すべきではない。
「標的核酸の供給源」なる用語は、核酸(RNAまたはDNA)を含有する任意のサンプルを意味する。標的核酸の特に好ましい供給源は、血液、唾液、大脳脊髄液、胸水、乳、リンパ(液)、痰および精液を含む(しかし、それらに限定されない)生物学的サンプルである。
オリゴヌクレオチドが他のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)よりも高いモル濃度で存在する場合には、該オリゴヌクレオチドは、他のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)に対して「過剰」に存在すると言る。開裂反応においてプローブ・オリゴヌクレオチドのようなオリゴヌクレオチドが相補的な標的核酸配列の濃度に対して過剰に存在する場合、該反応を用いて、存在する該標的核酸の量を示すことが可能である。典型的には、過剰に存在する場合、プローブ・オリゴヌクレオチドは、少なくとも100倍モル過剰で存在するであろう。標的核酸配列が約10フィコモル以下で存在するならば、典型的には、少なくとも1ピコモルの各オリゴヌクレオチドが用いられるであろう。
第1および第2の標的核酸を「含有すると予想される」サンプルは、標的核酸分子のいずれか一方を含むか、それらの双方を含むか、もしくはそれらのどちらも含まない可能性がある。
「電荷が平衡化された(charge-balanced)」オリゴヌクレオチドなる用語は、電荷を担持するように修飾されたオリゴヌクレオチド(反応におけるインプット・オリゴヌクレオチド)を意味し、この修飾されたオリゴヌクレオチドが開裂(短くなる)または伸長されると、生じる産物が該インプット・オリゴヌクレオチドとは異なる電荷を担持し(電荷が平衡化されていないオリゴヌクレオチド)、その結果、電荷に基づいて該インプット・オリゴヌクレオチドと反応済みオリゴヌクレオチドとを分離できるようになっている。「電荷が平衡化された」なる用語は、修飾または平衡化されたオリゴヌクレオチドが中性の実効電荷を有することを意味するものではない(但し、そのような場合の可能性もある)。電荷を平衡化することは、このインプット・オリゴヌクレオチドから生じる特定の反応産物が該インプット・オリゴヌクレオチドから電荷に基づいて分離できるように、オリゴヌクレオチドを設計および修飾することを意味する。
例えば、プローブ・オリゴヌクレオチドが5’-TTCTTTTCACCAGCGAGACGGG-3’の配列(すなわち、修飾塩基を含まない配列番号61)を有し、かつ該プローブの開裂が2番目と3番目との残基の間で起るインベーダー指令開裂アッセイでは、このオリゴヌクレオチドの1つの可能性のある電荷平衡化形態は、5’-Cy3-アミノT-アミノ-TCTTTTCACCAGCGAGAC GGG-3’であろう。この修飾オリゴヌクレオチドは、正味負の電荷を帯びている。開裂後、次のオリゴヌクレオチドが生じる:5’-Cy3-アミノT-アミノ-T-3’および5’-CTTTTCACCAGCGAGACGGG-3’(配列番号61の残基3〜22)。5’-Cy3-アミノT-アミノ-T-3’は、検出可能な部分(正に帯電したCy3色素)および2つのアミノ修飾塩基を担持する。このアミノ修飾塩基およびCy3色素は、リン酸基によりもたらされる負電荷よりも過剰な正電荷をもたらすため、5’-Cy3-アミノT-アミノ-T-3’オリゴヌクレオチドは正の実効電荷を有する。インプット・プローブと同様に、他方のより長い開裂断片は負の実効電荷を有する。5’-Cy3-アミノT-アミノ-T-3’断片は、インプットプローブ(電荷平衡化されたオリゴヌクレオチド)から電荷に基づいて分離可能なので、電荷非平衡オリゴヌクレオチドと呼ばれる。長い方の開裂産物は、インプット・オリゴヌクレオチドから電荷に基づいて分離できない。何故ならば、両方のオリゴヌクレオチドが正味負の電荷を帯びているからである。したがって、その長い開裂産物は電荷非平衡のオリゴヌクレオチドではない。
「中性の実効電荷(net neutral charge)」なる用語は、修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関して用いられる場合、存在する電荷(すなわち、チミジン上のR-NH3+基、シトシンのN3窒素、リン酸基の存在または不存在、など)の合計が所望の反応条件下で本質的にゼロであることを意味する。正味中性の電荷を有するオリゴヌクレオチドは電場内で移動しない。
「正の実効電荷(net positive charge)」なる用語は、修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関して用いられる場合、存在する電荷(すなわち、チミジン上のR-NH3+基、シトシンのN3窒素、リン酸基の存在または不存在、など)の合計が所望の反応条件下で+1以上であることを意味する。正の実効電荷を有するオリゴヌクレオチドは、電場内で負電極の方に移動する。
「負の実効電荷(net negative charge)」なる用語は、修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドに関して用いられる場合、存在する電荷(すなわち、チミジン上のR-NH3+基、シトシンのN3窒素、リン酸基の存在または不存在、など)の合計が所望の反応条件下で−1以下であることを意味する。正味正の電荷を有するオリゴヌクレオチドは、電場内で陽電極の方に移動する。
「重合手段」なる用語は、オリゴヌクレオチドへのヌクレオシド三リン酸の付加を促進する能力を有する任意の剤を意味する。好ましい重合手段には、DNAポリメラーゼが含まれる。
「連結手段」なる用語は、連結(ligation)(すなわち、核酸の2本の鎖の末端に位置する3’-OHと5’-Pとの間のホスホジエステル結合の形成)を促進する能力を有する任意の剤を意味する。好ましい連結手段にはDNAリガーゼおよびRNAリガーゼが含まれる。
「反応体(reactant)」なる用語は、本明細書ではその最も広義に用いられる。反応体は、酵素的反応体、化学的反応体または紫外光(紫外光、特に短波長の紫外光はオリゴヌクレオチド鎖を破断することが知られている)を含有し得る。この「反応体」なる用語には、オリゴヌクレオチドと反応して該オリゴヌクレオチドを短く(開裂)するか、もしくは伸長する能力を有する任意の剤が包含される。
「付加物(adduct)」なる用語は、本明細書中ではその最も広義に用いられ、オリゴヌクレオチドに付加し得る任意の化合物またはエレメントを示す。付加物は(正または負に)帯電していてもよく、もしくは電荷が中性であってもよい。付加物は、オリゴヌクレオチドに、共有結合または非共有結合によって付加され得る。付加物の例としては、インドジカルボシアニン色素アミダイト、アミノ置換ヌクレオチド、エチジウムブロミド、エチジウムホモダイマー、(1,3-プロパンジアミノ)プロピジウム、(ジエチレントリアミノ)プロピジウム、チアゾールオレンジ、(N,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミノ)プロピルチアゾールオレンジ、(N,N’-テトラメチル-1,2-エタンジアミノ)プロピルチアゾールオレンジ、チアゾールオレンジ−チアゾールオレンジ・ホモダイマー(TOTO)、チァゾールオレンジ−チアゾールブルー・ヘテロダイマー(TOTAB)、チアゾールオレンジ−エチジウム・ヘテロダイマー1(TOED1)、チアゾールオレンジ−エチジウム・ヘテロダイマー2(TOED2)、およびフルオレセイン−エチジウムヘテロダイマー(FED)、ソラレン、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン等が挙げられるが、それらに限定されない。
第1のオリゴヌクレオチドが標的核酸の或る領域に相補性であり、かつ第2のオリゴヌクレオチドがその同じ領域(またはこの領域の一部)に相補性を有する場合、該標的核酸に沿って「重複する領域」が存在する。重複の程度は、相補性の性質に応じて様々に変化するであろう(例えば、図29および67の領域「X」およびそれに伴う考察を参照)。
本明細書で用いられる「精製した」または「精製」なる用語は、サンプルからの異物の除去を意味する。例えば、組換えクリーブアーゼ▲R▼ヌクレアーゼは細菌宿主細胞中で発現され、該ヌクレアーゼは、宿主細胞タンパク質の除去によって精製される。このため、これらの組換えヌクレアーゼの割合(パーセンテージ)はサンプル中で上昇する。
本明細書中で用いられる「組換えDNA分子」なる用語は、分子生物学的技術によって共に結合されているDNAのセグメントからなるDNA分子を意味する。
本明細書中で用いられる「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」なる用語は、組換えDNA分子から発現されるタンパク質分子を意味する。
本明細書中で用いられる「部分(portion)」なる用語は、(「所与のタンパク質の部分」において用いられるように)タンパク質に関して用いられる場合には、そのタンパク質の断片を意味する。該断片の大きさは、4アミノ酸残基から、全アミノ酸配列から1アミノ酸を差し引いたものまでの範囲である。
本明細書中で用いられる「核酸配列」なる用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、またはポリヌクレオチド、それらの断片または部分、ならびに、ゲノム起源または合成起源のDNAまたはRNA(一本鎖または二本鎖であり得る)を意味し、センス鎖またはアンチセンス鎖を表わす。同様に、本明細書中で用いられる「アミノ酸配列」は、ペプチドまたはタンパク質配列を意味する。
本明細書中で用いられる「ペプチド核酸」(「PNA」)は、リシン等のアミノ酸残基およびアミノ基が付加されているオリゴマーを含有する分子を意味する。抗遺伝子剤(anti-gene agents)とも称されるこれらの小さな分子は、それらの相補的核酸鎖に結合することにより転写物の伸長を停止させる[Nielsen PEら,(1993)Anticancer Drug Des. 8:53-63]。
本明細書中で用いられる「精製した」または「実質的に精製した」なる用語は、天然の環境から取り出された、単離された、もしくは分離された分子(核酸配列またはアミノ酸配列のいずれか)を意味し、天然の状態では結合されている他の成分を少なくとも60%、好ましくは75%、最も好ましくは90%含有しない。したがって、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は実質的に精製されたポリヌクレオチドである。
配列番号116にハイブリダイズ可能な領域を有するピロコッカス・ウーゼイ(Pyrococcus woesei)(Pwo)FEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離オリゴヌクレオチド(またはポリヌクレオチド)は、Pwo FEN-1エンドヌクレアーゼの少なくともアミノ末端部分をコードする配列を含むオリゴヌクレオチドである。配列番号117にハイブリダイズ可能な領域を有するPwo FEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離オリゴヌクレオチド(またはポリヌクレオチド)は、Pwo FEN-1エンドヌクレアーゼの少なくともカルボキシ末端部分をコードする配列を含むオリゴヌクレオチドである。配列番号118および119にハイブリダイズ可能な領域を有する。Pwo FEN-1エンドヌクレアーゼをコードする単離オリゴヌクレオチド(またはポリヌクレオチド)は、Pwo FEN-1エンドヌクレアーゼタンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端に対して内部的に位置するPwo FEN-1エンドヌクレアーゼタンパク質の少なくとも部分をコードする配列を含むオリゴヌクレオチドである。
本明細書中で用いられる「融合タンパク質」なる用語は、外因性のタンパク質断片(非クリーブアーゼ▲R▼BN/トロンビンヌクレアーゼタンパク質からなる融合相手)に結合した目的のタンパク質(すなわち、クリーブアーゼ▲R▼BN/トロンビンヌクレアーゼおよびその部分または断片)を含有するキメラタンパク質を意味する。該融合相手は、宿主細胞内で発現された組換えキメラタンパク質(例えば、クリーブアーゼ▲R▼BN/トロンビンヌクレアーゼ)の溶解性を促進し、親和性タグ(例えば、his-タグ)を提供して、該組換え融合タンパク質を宿主細胞または培養上清またはそれらの双方から精製可能にし得る。所望により、該融合タンパク質は、種々の当業界で公知の酵素的または化学的手段によって対象のタンパク質(例えば、クリーブアーゼ▲R▼BN/トロンビンヌクレアーゼまたはその断片)から去されてもよい。
本明細書中で用いられる「キメラタンパク質」および「キメラ性(chimerical)タンパク質」なる用語は、2つ以上の親タンパク質に由来するアミノ酸配列部分を含む単一のタンパク質分子を指す。これらの親分子は、遺伝子的に異なる起源に由来する類似したタンパク質、単一生物に由来する異なるタンパク質、または異なる生物に由来する異なるタンパク質から得ることができる。限定するものではない例示として、本発明のキメラ構造特異的ヌクレアーゼは、2つ以上の生物から得たFEN-1遺伝子から誘導されたアミノ酸配列の(非天然ヌクレアーゼを形成するために組合わせられた)混合物を含み得る。本明細書中で用いられる「キメラ性」なる用語は、天然に存在する遺伝子から得られる特定の部分を表したり、部分同士が組合わせられる様式を限定したりすることを意図するものではない。本明細書に記載する試験方法により決定される開裂活性を有するキメラ構造に特異的なヌクレアーゼ構造物は、本発明の範囲に含まれる改善された開裂剤である。
発明の説明
本発明は、核酸を処理するための方法および組成物、特に、核酸配列および配列変化を検出および特徴づけするための方法および組成物に関する。
本発明は、部位特異的方法で核酸開裂構造体を開裂するための手段に関する。特に、本発明は、核酸合成能を阻害することなく5’ヌクレアーゼ活性を有する開裂酵素に関する。
本発明は、天然耐熱性DNAポリメラーゼから改変されたDNA合成活性を示す耐熱性DNAポリメラーゼ由来の5’ヌクレアーゼを提供する。該ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性は保持されているが、その合成活性は減少しているかまたは喪失している。そのような5’ヌクレアーゼは、合成活性を阻害せずに、核酸の構造特異的開裂を触媒する能力を有する。開裂反応中に合成活性が欠損しているため、核酸開裂産物は均一な大きさとなる。
本発明のヌクレアーゼの新しい性質は、特異的核酸配列を検出する方法の基礎を形成する。この方法は該検出分子の増幅に依るものであり、既存の特異的標的配列検出方法の場合のような該標的配列自体の増幅に依るものではない。
DNAポリメラーゼ(DNAP)[例えば、大腸菌(E. coli)から単離されたもの、またはテルムス(Thermus)属の高温細菌から単離されたもの]は、新しいDNA鎖を合成する酵素である。既知DNAPのいくつかは、該酵素の合成活性に加え、関連ヌクレアーゼ活性を含有する。
いくつかのDNAPは、DNA鎖の5’および3’末端からヌクレオチドを除去することが知られている[Kornberg, DNA Replication, W. H. Freeman and Co., San Francisco, pp 127-139(1980)]。これらのヌクレアーゼ活性は、通常、それぞれ5’エキソヌクレアーゼ活性および3’エキソヌクレアーゼ活性と称されている。例えば、いくつかのDNAPのN−末端ドメインにある5’エキソヌクレアーゼ活性は、DNA複製の際のラギング(ragging)鎖合成中のRNAプライマーの除去および修復の際の損傷ヌクレオチドの除去に関与する。いくつかのDNAP、例えば大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼ(DNAPEcl)も、DNA合成中にプルーフリーディングを起こす3’エキソヌクレアーゼ活性を有する(Kornberg、前掲)。
Taq DNAポリメラーゼ(DNAPTaq)と称されるテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)から単離されたDNAPは、5’エキソヌクレアーゼ活性を有するが、機能的3’エキソヌクレアーゼドメインを欠く[TindallおよびKunkell, Biochem. 27:6008(1988)]。それぞれクレノウ断片およびストフェル(Stoffel)断片と称されるDNAP EclおよびDNAP Taqの誘導体は、酵素的操作または遺伝子操作の結果、5’エキソヌクレアーゼドメインを欠く[Brutlagら,Biochem. Biophys. Res. Commun. 37:982(1969): Erlichら,Science 252:1643(1991); SetlowおよびKornberg, J. Biol. Chem. 247:232(1972)]。
DNAPTaqの5’エキソヌクレアーゼ活性には同時合成が必要であると報告されている[Gelfand, PCR Technology-Principles and Applications for DNA Amplification(H.A. Erlich編), Stockton Press, New York, p.19(1989)]。DNAPTaqおよびDNAPEclの5’エキソヌクレアーゼ消化産物のなかではモノヌクレオチドが優勢となるが、短いオリゴヌクレオチド(12ヌクレオチド以下)も観察することができ、このことは、これらのいわゆる5’エキソヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼ的に機能できることを暗示するものである[Setlow,前掲; Hollandら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276(1991)]。
国際公開WO 92/06200号で、Gelfandらは、耐熱性DNAポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性の好ましい基質は置換一本鎖DNAであると示している。該置換一本鎖DNAと該二重らせんDNAとの間でリン酸ジエステル結合が加水分解されるが、この場合、好ましいエキソヌクレアーゼ開裂部位は二本鎖領域中のリン酸ジエステル結合である。したがって、通常、DNAPと関連している5’エキソヌクレアーゼ活性は構造依存的一本鎖エンドヌクレアーゼであり、より適切には5’ヌクレアーゼと称される。エキソヌクレアーゼは、核酸分子の末端からヌクレオチド分子を開裂する酵素である。一方、エンドヌクレアーゼは、末端部位ではなく内部で核酸分子を開裂する酵素である。いくつかの耐熱性DNAポリメラーゼと関連しているヌクレアーゼ活性は、エンドヌクレアーゼ的に開裂するが、この開裂には、開裂されている分子の5’末端との接触が必要である。したがって、これらのヌクレアーゼは5’ヌクレアーゼと称される。
5’ヌクレアーゼ活性が真正細菌DNAポリメラーゼA型と関連している場合、それは、独立した機能性ドメインとして、該タンパク質のN−末端領域の3分の1に見いだされる。該分子のC−末端の3分の2は、DNA合成を起こす重合ドメインを構成する。また、いくつかのDNAポリメラーゼA型は、該分子の3分の2のC−末端領域に関連した3’エキソヌクレアーゼ活性を有する。
DNAPの5’エキソヌクレアーゼ活性と重合活性とは、該ポリメラーゼ分子のタンパク質分解開裂または遺伝子操作により分離されている。現在までに、ポリメラーゼ活性をそのまま残しながら5’ヌクレアーゼ活性量を除去または減少させるために、耐熱性DNAPが修飾されている。
DNAPEclのクレノウ断片または大きなタンパク質分解開裂断片はポリメラーゼ活性および3’エキソヌクレアーゼ活性を有するが、5’ヌクレアーゼ活性を欠く。DNAPTaq(DNAPStf)のストフェル(Stoffel)断片は、該ポリメラーゼ分子のN−末端の289個のアミノ酸を欠失させる遺伝子操作により5’ヌクレアーゼ活性を欠く[Erlichら,Science 252:1643(1991)]。国際公開WO 92/06200号は、改変されたレベルの5’から3’エキソヌクレアーゼを有する耐熱性DNAPを記載している。米国特許第5,108,892号は、5’から3’エキソヌクレアーゼを有さないテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAPを記載している。しかしながら、分子生物学分野では、合成活性量がより減少した耐熱性DNAポリメラーゼを欠いている。
本発明は、5’ヌクレアーゼ活性を保持するが合成活性が減少しているかまたは全く無い耐熱性DNAポリメラーゼA型由来の5’ヌクレアーゼを提供する。該酵素の合成活性を5’ヌクレアーゼ活性から脱共役できることは、既に報告されているように(Gelfand, PCR Technology、前掲)該5’ヌクレアーゼ活性が同時DNA合成を必要としないことを証明するものである。
本発明の記載は、I.5’ヌクレアーゼを用いた特異的核酸配列の検出、II.熱安定性のDNAポリメラーゼからの5’ヌクレアーゼの生成、III.インベーダー指令開裂アッセイにおける5’ヌクレアーゼを用いた特異的核酸配列の検出、IV.侵入的開裂とプライマー指令開裂との比較、V.選択的電荷反転による特異的核酸の分画、VI.ミニプローブおよび中間域プローブを用いたインベーダーTM指令開裂、VII.インベーダーTM指令開裂アッセイにおける反応生成物の末端付加(tailing)によるシグナル増強、VIII.インベーダーTM指令開裂反応で使用する改良された酵素、ならびにIX.CFLP▲R▼法で使用するための改良された酵素に分けられる。
I.5’ヌクレアーゼを用いた特異的核酸配列の検出
本発明の5’ヌクレアーゼは、特異的核酸配列を同定するための新規の検出アッセイの基礎を形成する。この検出システムは標的配列の2カ所の部分に対する2つのオリゴヌクレオチドプローブのアニーリングを必要とすることによって特異的核酸配列の存在を同定する。ここで用いられている「標的配列」または「標的核酸配列」という用語は、ゲノムDNAまたはRNAなどのポリヌクレオチド配列中の特異的核酸配列であって、検出されるか、あるいは開裂されるか、あるいはその両方であるような特異的核酸配列を意味する。
図1Aは本発明の検出方法の実施形態の一つを図示したものである。標的配列はトリガリングあるいはトリガー反応で2つの全く別のオリゴヌクレオチドによって認識される。これらのオリゴヌクレオチドのうちの一つが固相担体上で供給されることが好ましい。もう一方は遊離体で提供しうる。図1Aにおいて、遊離のオリゴヌクレオチドは”プライマー”として示され、もう一方のオリゴヌクレオチドはタイプIと指名したビーズへ付着していることが示されている。標的の核酸は、本発明のDNAPによる5’アーム(ビーズ1上のオリゴヌクレオチドの)の特異的開裂を行うために2つのオリゴヌクレオチドとアライメントをなす(図1Aには示していない)。
開裂部位(大きい黒の矢印で示している)は”プライマー”の3’末端とその下流にあるビーズ1上のヌクレオチドの分岐(fork)との距離で制御されている。後者は開裂不可能な領域(斜線で示す)を有するようにデザインされている。このようなやり方をとればどちらのオリゴヌクレオチドも、標的核酸とのアライメントがうまくいかない場合あるいは標的核酸に付着し得ない場合に開裂されることがない。
開裂が成功するとαシグナルオリゴヌクレオチドと呼ばれる単一のコピーを遊離する。このオリゴヌクレオチドには検出可能な部分を含有させることができる(例えばフルオレセイン)。他方、それを非標識物とすることもできる。
検出法の1つの実施形態においては、固相担体上にさらに2個のオリゴヌクレオチドを置く。図1Aのビーズ2上のオリゴヌクレオチドはαシグナルオリゴヌクレオチド(α’と示す)に対して相補的な領域を有し、このためハイブリダイゼーションが可能となる。この構造は本発明のDNAPで開裂させてβシグナルオリゴヌクレオチドを放出させることができる。次いで、このβシグナルオリゴヌクレオチドは相補的領域を持つオリゴヌクレオチド(β’と示す)を有するタイプ3のビーズとハイブリダイズしうる。また、この構造を本発明のDNAPで開裂させて、新しいαオリゴヌクレオチドを放出させることができる。
この時点では増幅は直線的なものである。本方法の能力を増大させるため、ビーズタイプ2にハイブリダイズさせたαシグナルオリゴヌクレオチドがβオリゴヌクレオチドを放出後に遊離されて、タイプ2ビーズ上で他のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし続けることが可能となることが望ましい。同様に、タイプ3ビーズからのαオリゴヌクレオチド放出後にβオリゴヌクレオチドが遊離されることが望ましい。
「捕捉された」シグナルオリゴヌクレオチドの遊離は、多数の方法で行いうる。第1に、本発明のDNAPはα’(およびβ’)オリゴヌクレオチドの5’末端を「少しずつ減らす(nibbling)」ことが可能な真の5’エキソヌクレアーゼ活性を有していることが見出された(下記に、より詳細に述べる)。従って、適当な条件下ではハイブリダイゼーションはDNAPのnibblingによって不安定化される。第2にα-α’(およびβ-β’)複合体は、熱(例えば温度サイクル)によって不安定化することができる。
このような技法によってシグナルオリゴヌクレオチドを遊離させると、各開裂の結果シグナルオリゴヌクレオチドの数は2倍となる。このようなやり方で、検出可能なシグナルが迅速に達成できる。
図1Bは本発明の検出方法の第2の実施形態を図示したものである。ここでもまた、標的配列はトリガリングまたはトリガー反応で2つの全く別のオリゴヌクレオチドによって認識され、標的の核酸は、本発明のDNAPによる5’アームの特異的開裂を行うために、2つのオリゴヌクレオチドとアライメントをなす(図1Bには示していない)。第1のオリゴヌクレオチドは標的配列の一部分と完全に相補的である。第2のオリゴヌクレオチドは標的配列と部分的に相補的である;第2のオリゴヌクレオチドの3’末端は標的配列と完全に相補的だが5’末端は非相補的で1重鎖のアームを形成する。第2のオリゴヌクレオチドの非相補的末端は、標準的なヘアピン構造物のセットと共に用いることのできる一般的な配列とすることができる(下記に述べる)。異なる標的配列の検出には2つのオリゴヌクレオチドのユニークな部分が必要とされる:第1のオリゴヌクレオチドの全部と第2のオリゴヌクレオチドの3’末端である。第2のオリゴヌクレオチドの5’末端は不変のものあるいは一般的なものとすることができる。
第1および第2のオリゴヌクレオチドを標的配列に沿って相互が近傍にある状態でのアニーリングで分岐した(forked)開裂構造が形成され、それがDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼの基質となる。開裂部位のおおよその位置はまた図1Bの大きい黒の矢印で示す。
本発明の5’ヌクレアーゼはこの構造を開裂させることができるが、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端をポリメライズで延長させることはできない。第1のオリゴヌクレオチドの延長は第2のオリゴヌクレオチドのアニールされた領域の置き換えを生じ、開裂部位を第2のオリゴヌクレオチドの方向へ動かすことになるため、ポリメリゼーション活性が欠けていることは利点である。もしポリメリゼーションがどんな程度で起こっても良いとすると、多様な長さの開裂産物が産生されてしまう。この開裂産物で検出反応を開始するので、均一な長さの単一の開裂産物が望ましい。
トリガー反応は温度サイクルのできるような条件下で行うことができる。反応の温度サイクルによって反応液中へ放出されるトリガーオリゴヌクレオチドの量が対数的に増加する。
検出方法の2番目の部分は、トリガー反応で形成された第1の開裂構造(第3のあるいはトリガーオリゴヌクレオチドと呼ばれる)の開裂によって遊離された第2のオリゴヌクレオチドの断片を第1のヘアピン構造物とアニーリングすることである。この第1のヘアピン構造物は1重鎖の5’アームと1重鎖の3’アームを持つ。第3のオリゴヌクレオチドはそのヘアピン構造物の3’アームとアニーリングすることによってこの第1ヘアピン構造物の開裂の引き金を引き、それによって本発明の5’ヌクレアーゼが開裂させるための基質を形成する。第1のヘアピン構造物の開裂は2種の反応生成物を生ずる:1)第4のオリゴヌクレオチドと呼ばれる、ヘアピンの開裂された5’アーム、および2)開裂されたヘアピン構造物でここでは既に5’アームを欠いており非開裂のヘアピンに比べサイズが小さい。この開裂された第1のヘアピンは、トリガーまたは第3のオリゴヌクレオチドによって行われた開裂が起こったことを示す検出分子として用いることができる。このことは、第1の2種のオリゴヌクレオチドは見いだされ、それにアニールすることによってサンプル中の標的配列の存在を指し示すことを示している。
その検出産物は第4のオリゴヌクレオチドを第2のヘアピン構造物とアニールさせることによって増幅される。このヘアピン構造物は1重鎖の5’アームと1重鎖の3’アームを持つ。第1のヘアピン構造物の開裂によって作られた第4のオリゴヌクレオチドは第2のヘアピン構造物の3’アームとアニールし、それによって5’ヌクレアーゼに認識される第3の開裂構造物を創り出す。この第2のヘアピン構造物の開裂も2種の反応生成物を生ずる:1)ヘアピンの5’アームの開裂したもので第5のオリゴヌクレオチドと呼ばれ、これは第3のヌクレオチドとその配列が類似または同一であり、2)開裂された第2のヘアピン構造物で、ここでは既に5’アームを欠いており非開裂のヘアピンに比べサイズが小さい。この開裂された第2のヘアピンは検出分子となることができ、第1のヘアピン構造物の開裂によって生じたシグナルを増幅することができる。第4のオリゴヌクレオチドのアニーリングと同時に、第3のオリゴヌクレオチドは、開裂された第1のヘアピン分子から解離されて、第1のヘアピン構造物の新たなコピーと自由にアニールできるようになる。このようなヘアピン構造物からのオリゴヌクレオチドの解離は加熱またはその他の塩基対間の相互作用を壊すのに適したやり方で行うことができる。
検出するシグナルは、第5のオリゴヌクレオチド(第3のオリゴヌクレオチドの配列と類似または同一)をもうひとつの第1のヘアピン構造物の分子とアニールさせることによってさらに増幅される。次いで、開裂を行い、遊離したオリゴヌクレオチドは別の第2ヘアピン構造物の分子とアニールされる。検出のための十分な量の開裂したヘアピン産物を生じさせるために、第1および第2ヘアピン構造物が過剰に供給されアニーリングと開裂の連続的な繰り返しが行われる。検出反応の温度は、ヘアピン構造物の開裂に用いられるオリゴヌクレオチドのアニーリング温度のわずかに上とわずかに下を上下するサイクルで行われ、通常は約55℃から70℃である。ヘアピン構造物の残存量がそのヘアピン構造物のKm値より低くなるまでは各サイクルで開裂数は2倍となる。そのようになる時点には、ヘアピン構造物が実質的に使い切られるときに到達する。検出反応が定量的に用いられる場合には、開裂したヘアピン検出産物の蓄積がプラトーに達する前にサイクル反応は停止される。
開裂したヘアピン構造物の検出はいろいろな方法で行いうる。1つの実施形態においては、検出はアガロースまたはポリアクリルアミドゲル上で分離した後エチジウムブロマイドで染色して行われる。また別の実施形態においては、ゲル上で開裂したヘアピン構造物と非開裂物を分離し、その後ヘアピン構造物が最初に放射活性を持つプローブで標識されていればオートラジオグラフィーを行い、HPLCまたはFPLCを用いてクロマトグラフィーカラムで分離し、その後、異なるサイズの断片をOD260の吸光度で検出する。その他の検出方法としては、1重鎖の5’アームが開裂によって遊離される際の蛍光偏光の変化の検出があり、挿入された蛍光インジケーターの蛍光が、ヘアピン構造物の3’アームとアニールされるプライマーの量が増えるに連れて増大する。もし開裂が引き続いて起きると、2重鎖DNA(プライマーとヘアピンの3’アームの間の)の形成量の増大が起こる。
ヘアピン構造物は、ヘアピンの3’末端を介してアガロース、スチレン、又は磁性ビーズなどの固相担体に付着させることができる。ヘアピンの3’末端とビーズとの間にスペーサー分子を所望により入れることができる。ヘアピン構造物を固相担体に付着させることの利点は、2種のヘアピン構造物がお互いの相補的な領域に対してハイブリダイゼーションすることを防止することである。もしヘアピン構造物がお互いとアニールすると、プライマーとのハイブリダイゼーションに用いうるヘアピンの開裂反応中に放出される量が減少するであろう。もしヘアピン構造物が固相担体に付着していれば、さらに別の開裂産物の検出方法を行いうる。そのような方法としては、それに限定されないが、5’アームが5’末端に標識を含むものであれば遊離した1重鎖5’アームの測定が挙げられる。この標識は放射活性、蛍光、ビオチニル化などで行うことができる。もしヘアピン構造物が開裂しなければ5’の標識は固相担体に付着したまま残る。開裂が起これば、5’の標識は固相担体から放出されてくる。
ヘアピン分子の3’末端はジデオキシヌクレオチドを用いることによってブロックできる。ジデオキシヌクレオチドを含んだ3’末端は特定のDNA修飾酵素、例えば末端基転移酵素との反応に参加できない。3’末端にジデオキシヌクレオチドを持つヘアピンを開裂させると、新たな、ブロックされていない3’末端を開裂箇所に生じる。この新たな3’末端は末端基転移酵素と相互作用するフリーのヒドロキシル基を持ち、それが、開裂産物を検出する別の方法を提供する。
ヘアピン構造物はそれ自身との相補性領域が非常に短くなるように(通常は3-8塩基対の範囲)デザインされている。従って、ヘアピンはその3’アーム上のアニールされたオリゴヌクレオチドの存在によって安定化されていない限りは、この反応が行われる温度が高いと(通常は50-75℃)不安定である。この不安定性によって、共に用いるプライマーの不在条件下では、ポリメラーゼがヘアピン構造物を開裂することを妨げることとなり、それによって非オリゴヌクレオチド性の開裂で起こる偽陽性の結果がでることを防ぐ。
上で述べたとおり、ポリメリゼーション活性を低減させた本発明の5’ヌクレアーゼを用いることは、特異的核酸配列を検出する本法では利点がある。開裂反応中に多量のポリメリゼーションが起こると予測不可能な開裂部位のシフトが起こると考えられ、その結果、容易に定量しうる単一の産物ではなく種々の大きさの一連の開裂ヘアピン構造物が生成されてしまう。さらに、1ラウンドの開裂で用いたプライマーは、もし伸長されていれば、次のサイクルでは、正しくない構造の形成かまたは穏和な温度サイクル条件下で融解させるには長すぎるものになってしまうことによって利用不可能となる。原始的な系では(すなわち、dNTPsが存在しない系)、非修飾のポリメラーゼを用いることが出来るであろうが、ヌクレオチド(dNTPs)が存在すれば1サイクルあたりの効率が低下して偽陰性の結果を与えてしまうこととなる。粗抽出物(ゲノムDNA調製物、粗細胞融解物など)を用いるとき、もしくはPCR反応からのDNAのサンプル、またはその他の何らかのサンプルがdNTPsで汚染されている可能性があるときには、熱安定性のポリメラーゼから由来する本発明の5’ヌクレアーゼは特に有用である。
II.熱安定性のDNAポリメラーゼからの5’ヌクレアーゼの生成
DNAポリメラーゼA型をコードする遺伝子は、DNA配列レベルで互いに約85%の相同性を共有する。耐熱性ポリメラーゼの好ましい具体例としては、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、テルムス・フラバス(Thermus flavus)、テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)などが挙げられる。しかしながら、5’ヌクレアーゼ活性を有する他の耐熱性ポリメラーゼA型も適当である。図2および3では、前記の3つのポリメラーゼのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を比較する。図2および3では、その3つの耐熱性DNAポリメラーゼのヌクレオチド(図2)またはアミノ酸(図3)配列の比較から得られた共通または大多数(majority)配列を最上列に示す。与えられた配列中のアミノ酸残基が該共通アミノ酸配列中に含有されるものと同一であれば、これらの3つのポリメラーゼのそれぞれの配列中に点を付す。表示配列間の整列を最大にするために、間隙を導入するのにダッシュ記号を使用する。所与の位置に共通ヌクレオチドまたはアミノ酸が全く存在しない場合には、該共通配列中に「X」を付す。配列番号1〜3は、その3つの野生型ポリメラーゼのヌクレオチド配列を示し、配列番号4〜6はそのアミノ酸配列を示す。配列番号1は、YT-1株から単離された野生型テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ遺伝子の核酸配列に対応する[Lawyerら,J. Biol. Chem. 264:6427(1989)]。配列番号2は、野生型テルムス・フラバス(Thermus flavus)DNAポリメラーゼ遺伝子の核酸配列に対応する[AkhmetzjanovおよびVakhitov, Nucl. Acids Res. 20:5839(1992)]。配列番号3は、野生型テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)DNAポリメラーゼ遺伝子の核酸配列に対応する[Gelfandら,国際公開W0 91/09950号(1991)]。配列番号7〜8は、それぞれ、前記の3つのDNAPの共通ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示す(図2および3の最上列にも示す)。
耐熱性ポリメラーゼ由来の本発明の5’ヌクレアーゼは合成能が低下しているが、天然DNAポリメラーゼと本質的に同じ5’エキソヌクレーゼ活性を保持する。本明細書中で使用する「本質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性」なる用語は、該修飾酵素の5’ヌクレアーゼ活性が、構造依存的一本鎖エンドヌクレアーゼとして機能する(ただし、該非修飾酵素と比較して必ずしも同じ速度の開裂ではない)能力を保持することを意味する。また、増大した5’ヌクレアーゼ活性を有するが低下した合成活性レベルを有する酵素を生成するように、DNAポリメラーゼA型は修飾されてもよい。減少した合成活性および増大した5’ヌクレアーゼ活性を有する修飾酵素も、本発明で意図される。
本明細書中で使用する「低下した合成活性」なる用語は、該修飾酵素が、該非修飾または「天然」酵素で見いだされる合成活性レベルを下回る合成活性レベルを有することを意味する。該修飾酵素は合成活性を全く残してなくてもよく、あるいは、以下に記載する検出アッセイでの該修飾酵素の使用を阻害しない合成活性レベルを有していてもよい。本発明の5’ヌクレアーゼは、該ポリメラーゼの開裂活性は望ましいが合成能は望ましくない場合(例えば、本発明の検出アッセイの場合など)に有利である。
前記のとおり、該ポリメラーゼ合成を欠損させるのに必要な改変の性質により本発明が限定されるとは意図されない。本発明は、1)タンパク質分解、2)組換え構築物(突然変異体を含む)、3)物理的および/または化学的修飾および/または阻害を含む(これらに限定されるものではない)種々の方法を意図する。
1.タンパク質分解
タンパク質分解酵素で非修飾酵素を物理的に開裂して、合成活性を欠損しているが5’ヌクレアーゼ活性を保持している酵素断片を生成させることにより、減少したレベルの合成活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼを生成させる。タンパク分解消化の後、得られた断片を標準的なクロマトグラフィー技術により分離し、DNAを合成し5’ヌクレアーゼとして作用する能力についてアッセイする。合成活性および5’ヌクレアーゼ活性を測定する該アッセイについては、以下に説明する。
2.組換え構築物
以下の実施例では、耐熱性DNAポリメラーゼ由来の5’ヌクレアーゼをコードする構築物を生成させる好ましい方法を記載する。DNAポリメラーゼA型はDNA配列が同様であるため、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)およびT.フラバス(T.flavus)ポリメラーゼに用いるクローニング戦略を、他の耐熱性ポリメラーゼA型にも適用できる。一般に、耐熱性DNAポリメラーゼA型を含有する細菌から分子生物学的方法を用いてゲノムDNAを単離することにより、耐熱性DNAポリメラーゼをクローニングする。このゲノムDNAを、該ポリメラーゼ遺伝子をPCRにより増幅する能力を有するプライマーにさらす。
ついで、この増幅されたポリメラーゼ配列を、標準的な欠失法に付して該遺伝子のポリメラーゼ部分を欠失させる。適当な欠失法を以下の実施例に記載する。
以下の実施例では、5’ヌクレアーゼ活性を失うことなくDNAPTaqポリメラーゼドメインのどの部分を除去できるかを決定するのに用いる戦略を議論する。該タンパク質からのアミノ酸の欠失は、突然変異またはフレームシフトによる該コーディング遺伝物質の欠失または翻訳停止コドンの導入のいずれかにより行うことができる。さらに、該タンパク質のセグメントを除去するために、該タンパク分子のタンパク質分解処理を行うことができる。
以下の実施例において、Taq遺伝子の特異的改変は、ヌクレオチド1601〜2502(該コーディング領域の末端)の欠失、2043位での4ヌクレオチド挿入、およびヌクレオチド1614〜1848およびヌクレオチド875〜1778(番号づけは配列番号1のとおり)の欠失であった。これらの修飾配列は、以下の実施例および配列番号9〜12に記載する。
当業者は、単一塩基対変化では酵素の構造および機能に害を及ぼさないものと理解する。同様に、これらの酵素のエキソヌクレアーゼまたはポリメラーゼ機能を本質的に変化させることなく、小さな付加および欠失が存在しうる。
他の欠失も、本発明の5’ヌクレアーゼの製造に適している。本発明の検出アッセイにおける5’ヌクレアーゼの使用を合成活性が阻害しないレベルにまで、該欠失により該5’ヌクレアーゼのポリメラーゼ活性を減少させることが好ましい。該合成能が存在しないのが最も好ましい。以下に記載するアッセイの場合と同様、合成および5’ヌクレアーゼ活性の存在について修飾ポリメラーゼを試験する。これらのアッセイを十分検討することにより、未知構造の候補酵素のスクリーニングが可能となる。すなわち、以下に記載するプロトコルに従い構築物「X」を評価して、それが、構造的にではなく機能的に定義される本発明の5’ヌクレアーゼの属のメンバーであるか否かを判定することができる。
以下の実施例では、増幅されたテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)ゲノムDNAのPCR産物は、天然ゲノムDNAと同一のヌクレオチド構造を有さず、もとのクローンと同じ合成能を有さなかった。ポリメラーゼ遺伝子のPCR増幅中のDNAPTaqの不忠実性により生じる塩基対変化も、ポリメラーゼ遺伝子の合成能を不活性化させ得る1つの方法である。以下の実施例および図4Aおよび5Aは、天然テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)およびフラバス(flavus)DNAポリメラーゼ中の領域が合成能に重要であるらしいことを示す。該ポリメラーゼを不活性化しそうな他の塩基対変化および置換もある。
しかしながら、DNAポリメラーゼから5’ヌクレアーゼを生成させる方法を、そのような突然変異増幅産物から開始する必要は必ずしもない。これは、合成欠損DNAPTaq突然変異体を得るために以下の実施例で行った方法であるが、5’ヌクレアーゼを生成させるための欠失、挿入および置換の導入のための出発物として野生型DNAポリメラーゼ配列を使用してもよいと当業者には理解される。例えば、合成欠損DNAPTfl突然変異体を生成させるために、配列番号13〜14に記載のプライマーを使用してテルムス・フラバス(Thermus flavus)AT−62株から該野生型DNAポリメラーゼ遺伝子を増幅した。ついで、該増幅ポリメラーゼ遺伝子を制限酵素消化に付して、該合成活性をコードするドメインの大部分を欠失させた。
本発明の核酸構築物が適当な宿主中での発現能を有することが、本発明で意図される。効率的発現を得るために種々のプロモーターおよび3’配列を遺伝子構造に結合させる方法は当業者に公知である。以下の実施例では、2つの適当なベクターおよび6つの適当なベクター構築物を開示する。勿論、適当な他のプロモーター/ベクターの組み合わせもある。本発明の核酸構築物の発現のために宿主生物を使用することは必ずしも必要でない。例えば、核酸構築物によりコードされるタンパク質の発現は、無細胞in vitro転写/翻訳系を使用することにより行ってもよい。そのような無細胞系の一例は、商業的に入手可能なTnTTM共役網状赤血球ライゼート系(Promega Corporation, Madison, WI)である。
適当な核酸構築物を作製したら、該構築物から5’ヌクレアーゼを製造してもよい。以下の実施例および標準的な分子生物学的教示により、異なる適当な方法で該構築物を操作することが可能となる。
5’ヌクレアーゼが発現されたら、以下に記載するとおり、合成およびヌクレアーゼの両活性について該ポリメラーゼを試験する。
3.物理的および/または化学的な修飾および/または阻害
耐熱性DNAポリメラーゼの合成活性は化学的および/または物理的手段によって低下させることができる。ひとつの態様においては、ポリメラーゼの5‘-ヌクレアーゼ活性により触媒される開裂反応がポリメラーゼの合成活性を優先的に阻害する条件下に操作される。合成活性レベルは、何ら有意な合成活性を必要としない開裂反応を妨害しないレベルの活性まで低下されることを必要とするのみである。
以下の実施例に示されるとおり、5mMより大きい濃度のMg++により天然DNAPTaqの重合活性が阻害される。合成活性が阻害されている条件下で5’-ヌクレアーゼが機能する能力は、ある範囲の濃度のMg++(5−10mM)の存在下に以下に記載する合成活性および5’-ヌクレアーゼ活性に関するアッセイを操作することにより試験される。所定濃度のMg++の影響は、各アッセイについて標準反応と比較した試験反応における合成および開裂の量を定量することにより測定される。
ほかのイオン、ポリアミン、変性剤例えば尿素、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリンおよび非イオン界面活性剤(Triton X-100およびTween-20)、核酸結合性化学物質例えばアクチノマイシンD、エチジウムブロミドおよびソラレンの阻害効果は、合成および5’-ヌクレアーゼアッセイのための標準反応緩衝液へのそれらの付加により試験される。次に耐熱性ポリメラーゼの合成活性に対する優先的な阻害作用を有する化合物を使用して、5’-ヌクレアーゼ活性(開裂)が保持される一方で合成活性が低下または排除される反応条件をつくる。
ポリメラーゼの合成活性を優先的に阻害するために物理的手段を用いることができる。例えば、耐熱性ポリメラーゼの合成活性は、ポリメラーゼを極端な熱(代表的には96-100℃)に長時間(20分以上)さらすことにより破壊される。詳細な熱耐容性に関しては酵素のそれぞれに小さな相違しか存在しないが、それらは容易に測定される。ポリメラーゼを種々の期間、熱で処理し、合成活性および5’-ヌクレアーゼ活性に及ぼす熱処理の効果を測定する。
III.インベーダー指令開裂アッセイにおける5′ヌクレアーゼを用いた特異的核酸配列の検出
本発明は、標的核酸の存在に依存する核酸開裂構造体を形成し、その核酸開裂構造体を開裂して異なる開裂生成物を遊離させる手段を提供する。この標的依存性開裂構造体を開裂するには5′ヌクレアーゼ活性を利用し、得られる開裂生成物はサンプル中の特異的核酸配列の存在を示す。
また、本発明は、温度サイクル(すなわち、標的核酸鎖を周期的に変性させるため)または核酸合成(すなわち、標的核酸鎖の置換のため)を使用する必要なしに、多数回の、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションおよび開裂の過程の間標的核酸を再利用または循環使用するアッセイを提供する。開裂手段(たとえば、5′ヌクレアーゼ)と上流のオリゴヌクレオチドとの相互作用により、その開裂手段は内部部位で下流のオリゴヌクレオチドを開裂することができるようになっていて、そのため、得られる下流オリゴヌクレオチドの断片が標的核酸から解離し、それにより、その標的核酸の該当領域が下流オリゴヌクレオチドの別の未開裂コピーとハイブリダイズできるようになる。
図29に示されているように、本発明の方法では、標的核酸と相互作用して構造特異的ヌクレアーゼのための開裂構造体を形成する少なくとも一対のオリゴヌクレオチドを使用する。より特定的には、この開裂構造体は、i)一本鎖でも二本鎖でもよい標的核酸(二本鎖の標的核酸を使用する場合その核酸はたとえば加熱により一本鎖にすることができる)、ii)標的核酸配列の第1領域の相補体であるために当該第1領域を規定する「プローブ」といわれる第1オリゴヌクレオチド(図29に示されている標的の領域XおよびZ)、iii)「インベーダー」といわれる第2オリゴヌクレオチドを含む。この第2オリゴヌクレオチドの5′部分は第1標的領域(領域XおよびZ)の下流でそれに隣接して同じ標的核酸配列の第2領域(図29の領域YおよびX)を規定し、かつ第2部分は第1オリゴヌクレオチドによって規定される領域中にオーバーラップしている(領域Xはオーバーラップ領域を示している)。得られる構造体を図29に示す。
本発明または本明細書中の考察が特定の作用機構に限定されることはないが、図29は、このタイプの配列の一対のオリゴヌクレオチドによって生じる開裂部位に対する影響を示している。そのような一対のオリゴヌクレオチドの設計について以下詳細に述べる。図29で、核酸(すなわち、標的およびオリゴヌクレオチド)の3′末端は、それら核酸鎖を示す線の端に矢じりを用いて示してある(そして、紙面の余裕がある場合はこれらの端に「3′」の符号も付してある)。すぐに分かるように、2つのオリゴヌクレオチド(インベーダーおよびプローブ)はお互いに平行の配向で配列されており、一方、標的核酸鎖は前記2つのオリゴヌクレオチドに対して逆平行の配向で配列されている。また、インベーダーオリゴヌクレオチドがプローブオリゴヌクレオチドの上流に位置していること、および、標的核酸鎖に対して領域Zは領域Xの上流であり、領域Xは領域Yの上流である(すなわち、領域Yが領域Xの下流であり、領域Xが領域Zの下流である)ことが明らかである。対向する鎖間の相補性領域は短い垂直の線で示してある。開裂部位の正確な位置を示すつもりはないが、プローブオリゴヌクレオチド内の開裂部位がインベーダーオリゴヌクレオチドの存在によってシフトされているエリアは垂直実線の矢じりで示す。標的/インベーダー/プローブ開裂構造体の別の一例を図32Cに示す。いずれの図も(すなわち図29も図32Cも)実際の作用機構または開裂構造体の物理的配列を示しているものではない。また、本発明の方法を特定の作用機構に限定するつもりはない。
これらのオリゴヌクレオチドの結合により標的核酸が3つの異なる領域、すなわち、プローブのみに相補性を有する領域(「Z」で示す)、インベーダーのみに相補性を有する領域(「Y」で示す)、および、両方のオリゴヌクレオチドに相補性を有する領域(「X」で示す)に分割されると考えることができる。
これらのオリゴヌクレオチド(すなわち、インベーダーおよびプローブ)の設計は当業界で標準的な操作を用いて達成される。たとえば、得られるオリゴヌクレオチドが標的核酸と結合しないで自身で折り重なってしまったり互いにハイブリダイズしてしまうような自己相補性を有する配列は通常回避される。
これらのオリゴヌクレオチドの長さを選択する際のひとつの要件は、標的核酸を含有しているサンプルの複雑さである。たとえば、ヒトのゲノムは長さが約3×109塩基対である。ヌクレオチド10個の配列はランダムな一続きのヌクレオチド中に1:410、すなわち1:1048,576の頻度で現れる。これは、30億の塩基対で約2,861回である。明らかに、この長さのオリゴヌクレオチドがヒトゲノムの大きさの配列を有する標的内のヌクレオチド10個の領域に特異的に結合する機会は少ない。しかし、標的配列が3kbのプラスミド内にあれば、このようなオリゴヌクレオチドは特異的に結合する機会がかなりあるであろう。これと同様な計算によって、数学的にいって3×109塩基対に対して一回現れる確率の配列の最小長さはヌクレオチド16個のオリゴヌクレオチド(すなわち、16-mer)であることが分かる。
オリゴヌクレオチドの長さを選択する際の第二の要件はそのオリゴヌクレオチドが機能すると期待される温度範囲である。平均塩基含有率(G−C塩基対50%)の16-merのTm(配列の50%が解離する温度)の計算値は、とりわけオリゴヌクレオチドおよびその標的の濃度、反応の塩含量ならびにヌクレオチドの正確な順序に依存するが、約41℃である。習慣的に、ハイブリダイゼーションの特異性を高めるために通常長めのオリゴヌクレオチドを選択する。長さがヌクレオチド20〜25個であるオリゴヌクレオチドを使用することが多い。これは、そのTmsの付近(Tmの約5°内)の温度で実施する反応で使用する場合特異性が高いと思われるからである。また、このようなオリゴヌクレオチド(すなわち20〜25-mer)は計算されたTmsが50〜70℃の範囲であるので、この温度範囲で最適な活性を示すことが多い耐熱性酵素によって触媒される反応で使用するのに適している。
選択したオリゴヌクレオチドの最大の長さもまた所望の特異性に基づく。部分的な相補体と安定に結合する危険性が高くなってしまうほど、または所望の場合に容易に取り除くことができない(たとえば、開裂が生じた後標的から解離できない)ほどに長い配列を選択するのは避けなければならない。
インベーダー指令開裂のためのオリゴヌクレオチドの設計と選択の第一工程はこれらのサンプル一般原理に従う。個々に配列特異的プローブと考えられる各オリゴヌクレオチドは上記ガイドラインに従って選択することができる。すなわち、各オリゴヌクレオチドは一般に、複雑なサンプル内の目的とする標的配列とのみハイブリダイズすると正当に期待される程充分に長く、通常はヌクレオチド20〜40個の範囲である。あるいは、インベーダー指令開裂アッセイはこれらオリゴヌクレオチドの共同作用に依存するので、X、Y、Z領域にまたがる/結合する2つの複合した長さのオリゴヌクレオチドを選択してこの範囲内に入れてもよい。このとき個々のオリゴヌクレオチドは各々がヌクレオチド約13〜17個の範囲である。このような設計は、耐熱性開裂手段を使用する場合より低い温度で反応を実施する必要がある非耐熱性開裂手段を反応に使用するときに用いられることになろう。場合によっては、これらのオリゴヌクレオチドを標的核酸内に多数回結合する(たとえば、標的内の多数の変異体または多数の類似配列に結合する)のが望ましいことがある。本発明の方法は特定の大きさのプローブオリゴヌクレオチドにもインベーダーオリゴヌクレオチドにも制限されるものではない。
このアッセイのためのオリゴヌクレオチド対を設計する第二の工程は、上流の「インベーダー」オリゴヌクレオチド配列が下流の「プローブ」オリゴヌクレオチド配列とオーバーラップする程度、したがってプローブが開裂される大きさを選択することである。このアッセイの鍵となる重要な特徴は、プローブオリゴヌクレオチドを、熱変性または重合による置換の必要なく、そのプローブオリゴヌクレオチドが「ターンオーバー」するように作製することができること、すなわち、開裂されたプローブが離れてプローブ分子の他のコピーの結合と開裂を可能にすることができるということである。このアッセイのひとつの態様ではプローブのターンオーバーが開裂剤によるエキソヌクレアーゼ消化によって容易であり得るが、本発明の核心はターンオーバーがこのエキソヌクレアーゼ活性を必要としないことである。
1. オーバーラップの量(X領域の長さ)の選択
上記のようなターンオーバーを達成するひとつの方法は図29を考察することによって想定することができる。各オリゴヌクレオチドのTmは当該オリゴヌクレオチドの全長の関数であることが分かる。すなわち、当該プローブに対して、インベーダーのTm=Tm(Y+X)、プローブのTm=Tm(X+Y)である。プローブが開裂されるとX領域が遊離され、Zセクションが残る。ZのTmが反応温度より低く、その反応温度がTm(X+Z)より低い場合、プローブの開裂によりZが脱離して新たな(X+Z)がハイブリダイズできることになる。この例から分かるように、X領域は充分に長くて、Xの遊離により残余のプローブセクションのTmが反応温度より低くならなければならない。G−Cに富むXセクションはA−Tに富むXセクションよりずっと短く、それでもこの安定性シフトを達成できる。
2.Y領域およびZ領域と相互作用するオリゴヌクレオチドの設計
インベーダーオリゴヌクレオチドと標的との結合がプローブとの結合より安定であれば(たとえば、長いか、またはY領域がG−C塩基対に富んでいれば)、標的のX領域との競合的結合においてインベーダーと会合したXのコピーが有利であり、したがってプローブは効率的にハイブリダイズできず、アッセイのシグナルは低くなるであろう。あるいは、プローブの結合がZ領域で特に強ければ、インベーダーはやはり内部開裂を引き起こすことになる(これは酵素によって媒介されるからである)が、Z領域に結合したプローブオリゴヌクレオチドの部分は反応温度で解離せず、ターンオーバーは少なくなり、アッセイのシグナルはやはり低くなるであろう。
オリゴヌクレオチドの、Y領域およびZ領域と相互作用する部分は、安定性が同じくらいであるのが明らかに有利である。すなわち、これらの部分は同様な融解温度をもっていなければならない。これらの領域が同じ長さでなければならないというわけではない。すでに述べたように、融解温度は、長さの他に、塩基含量とそれら塩基の特定の配列によっても影響を受ける。インベーダー中に設計された特異的安定性は反応を実施しようとする温度に依存する。
この考察は、(上で論じたオリゴヌクレオチド特異性に対する基本的なガイドラインの中で)プローブ配列およびインベーダー配列の安定性とそれらのX成分およびY成分の配列の安定性との間のバランスこそが、これらの安定性の絶対よりも、プローブ配列およびインベーダー配列の選択の際の主たる要件であるということを示そうとしたものである。
3. 反応条件の設計
開裂手段として5′ヌクレアーゼを用いる本発明の方法を使用して分析できる標的核酸には、RNAとDNAの両方の多くのタイプが包含される。このような核酸は標準的な分子生物学的技術を用いて得ることができる。たとえば、核酸(RNAまたはDNA)は組織サンプル(たとえば生体組織検査試片)、組織培養細胞、細菌および/またはウイルスを含むサンプル(たとえば、細菌および/またはウイルスの培養物)などから単離できる。標的核酸はまた、DNA鋳型からin vitroで転写することもでき、PCRで化学合成または生成することができる。さらにまた核酸は、生体からゲノム材料としてまたはプラスミドもしくは類似の染色体外DNAとして単離することができ、あるいは、制限エンドヌクレアーゼその他の開裂剤による処理によって生ずるような材料の断片でもよいし、合成でもよい。
標的核酸、プローブ核酸およびインベーダー核酸を本発明の開裂反応に組み立てるには、ジデオキシヌクレオチドシークエンスやポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のようなオリゴヌクレオチド塩基酵素アッセイの設計で一般に用いられている原理を利用する。これらのアッセイと同様に、オリゴヌクレオチドは標的核酸へのハイブリダイゼーションの速度が非常に速くなるように充分過剰に供給される。これらのアッセイは一般に、反応混合物1μl当たり各オリゴヌクレオチドを50fmol〜2pmol用いて実施する。本明細書に述べる実施例では反応容量1μl当たり250fmol〜5pmolの範囲の量のオリゴヌクレオチドを使用した。これらの値は、実証容易の目的で選択したものであり、本発明の範囲をこれらの濃度に限定するつもりはない。他の分子生物学的反応で一般に用いられている他の(たとえば、より低い)オリゴヌクレオチド濃度も考えられる。
標的核酸とハイブリダイズする各プローブオリゴヌクレオチドの開裂を指令するためにインベーダーオリゴヌクレオチドがすぐに利用できるのが望ましい。このために、本明細書に記載する実施例では、インベーダーオリゴヌクレオチドをプローブオリゴヌクレオチドに対して過剰に提供する。この過剰は10倍であることが多い。これは有効な割合ではあるが、本発明の実施が特定のインベーダー対プローブの比(2〜100倍の比が考えられる)に限定されることを意図するものではない。
緩衝液条件は、オリゴヌクレオチド/標的ハイブリダイゼーションと開裂剤の活性の両方と適合するように選択しなければならない。核酸修飾酵素、特にDNA修飾酵素に対して最適な緩衝液条件は一般に、塩基対合による核酸鎖の会合を可能にするのに充分な一価および二価の塩を含む。本発明の方法を本明細書に特に記載したもの以外の酵素開裂剤を用いて実施する場合、反応は通常その開裂剤のヌクレアーゼ機能にとって最適であると報告されているいずれかの緩衝液中で実施する。一般に、この方法における開裂剤の有用性を試験するために、対象とする開裂剤を試験するための試験反応を本明細書に記載したMOPS/MnCl2/KCl緩衝液またはMg含有緩衝液中および製造業者のデータシート、雑誌または私信にこのような開裂剤と共に使用するのに適していると報告されているなんらかの緩衝液中で実施する。
インベーダー指令開裂反応の生成物は、導入したオリゴヌクレオチドの構造特異的開裂によって生成した断片である。得られた開裂および/または未開裂オリゴヌクレオチドは、電気泳動(アクリルアミドやアガロースゲル、紙などを始めとする各種支持体上)、クロマトグラフィー、蛍光偏光、質量分析およびチップハイブリダイゼーションを始めとするいろいろな方法で分析・分離できる。開裂反応の生成物の分析用として電気泳動分離を使用して本発明を例証する。しかし、開裂生成物の分析は電気泳動に限られることはない。電気泳動は当業界で広く実用されており、当業者にとって容易に利用できるので、本発明の方法を例証するのに電気泳動を選択した。
プローブオリゴヌクレオチドとインベーダーオリゴヌクレオチドは開裂反応後の検出に役立つ標識を含有していてもよい。この標識はオリゴヌクレオチドの5′または3′に位置する放射性同位体(たとえば、32Pまたは35Sで標識したヌクレオチド)であってもよいし、あるいは、オリゴヌクレオチド全体に標識を分配してもよい(すなわち、均一に標識されたオリゴヌクレオチド)。標識は直接検出することができる蛍光発生基(fluorophore)のような非等張検出可能な残基または二次試薬によって特異的認識が可能な反応性の基であってもよい。たとえば、ビオチニル化したオリゴヌクレオチドは指示薬(たとえばアルカリホスファターゼまたは蛍光発生基)に結合したストレプトアビジン分子をプローブとして用いて探査することによって検出することができ、あるいは、ジゴキシゲニンのようなハプテンは類似の指示薬に結合した特異的抗体を用いて検出することができる。
4. 反応条件の最適化
インベーダー指令開裂反応は特異的核酸の存在を検出するのに有用である。インベーダーオリゴヌクレオチドおよびプローブオリゴヌクレオチドの選択と設計に関して上記した要件に加えて、反応を実施することになる条件を特異的標的配列の検出に最適化させることができる。
インベーダー指令開裂アッセイを最適化する際のひとつの目的は最小コピーの標的核酸の特異的検出を可能にすることである。この目的を達成するために、反応の速度(たとえば毎分の開裂事象の数)が最大になるように組合せた反応の要素が最大の効率で相互作用するのが望ましい。反応の全体効率に寄与する要因としてはハイブリダイゼーションの速度、開裂の速度および開裂したプローブの遊離の効率がある。
開裂の速度は選択した開裂手段の関数であり、市販の酵素調製物を使用する場合には製造業者の指示に従って、または本明細書に記載した実施例に記載したようにして最適にすることができる。他の要因(ハイブリダイゼーションの速度、遊離の効率)は反応の実施に依存し、これらの要因の最適化について以下に述べる。
核酸ハイブリダイゼーションの速度に大きな影響を与える開裂反応の3つの要因は核酸の濃度、開裂反応を実施する温度、および反応溶液中の塩および/または他の荷電遮蔽イオンの濃度である。
このタイプのアッセイでオリゴヌクレオチドプローブを使用する濃度は当業界でよく知られており、すでに論じた。オリゴヌクレオチド濃度を最適化する一般的なアプローチの一例はパイロット試験(pilot test)に対するオリゴヌクレオチドの出発量を選択することである。多くのオリゴヌクレオチドに基づくアッセイで使用する濃度範囲は0.01〜2μMである。最初の開裂反応を実施するときデータのうち次の質問が問題となる。反応を開裂生成物を実質的に含まない標的核酸の存在しない状態で実施するか。開裂の部位をインベーダーオリゴヌクレオチドの設計に従って特異的にシフトするか。特異的開裂生成物は未開裂プローブの存在下で容易に検出されるか(または、未切断材料の量が選択した可視化法に圧倒しないか)。
これらの質問に対する答が否定的であることは、プローブ濃度が高過ぎること、および一連の希釈プローブを用いた一組の反応を適当な量が同定されるまで実施すべきであることを示唆している。所与のサンプルタイプ(たとえば、精製したゲノムDNA、体液抽出物、溶解細菌抽出物)中の所与の標的核酸がいったん同定されれば、再び最適化する必要はない。サンプルタイプは、存在する物質の複雑さがプローブの最適性に影響し得るので重要である。
逆に、選択した最初のプローブ濃度が低過ぎると、非効率的なハイブリダイゼーションのために反応が遅くなり得る。プローブの量を増大して試験すると濃度が最適を越える点が同定される。ハイブリダイゼーションは過剰のプローブによって容易になるので、この点よりすぐ下のプローブ濃度を使用して反応を実施するのが望ましいが必要なわけではない。
インベーダーオリゴヌクレオチドの濃度は上記した設計要件に基づいて選択することができる。好ましい態様の場合インベーダーオリゴヌクレオチドはブローブオリゴヌクレオチドより過剰にする。特に好ましい態様の場合インベーダーはプローブより約10倍過剰である。
温度もオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションにおける重要な要因である。試験した温度範囲は大部分が上述したオリゴヌクレオチドの設計に依存している。好ましい態様の場合、反応は、反応における最も安定性の低いオリゴヌクレオチドのTmより少し低い温度で実施する。オリゴヌクレオチドおよびそれらの成分領域(X、Y、Z、図29)の融解温度は、コンピューターソフトウェアを用いて評価することができ、または、より粗い概算として、A−T塩基対当たり2℃、G−C塩基対当たり4℃の値とし、核酸の全体にわたって合計することによって評価することができる。後者の方法はヌクレオチドが約10〜30個の長さのオリゴヌクレオチドで使用することができる。コンピューターによる核酸のTmの予測でも近似でしかないので、最初の試験のために選択する反応温度は計算したTmを留保して決定すべきである。最適化がこれに限られることはないが、これらの最適化アッセイにおいて便利な試験間隔は5℃ずつの上昇・下降である。
温度を試験したら、その結果は特異性について(上記質問の最初の2つ)オリゴヌクレオチド濃度の決定の場合と同様にして分析することができる。非特異的開裂(すなわち、プローブの長さに沿って多くの位置またはあらゆる位置でのプローブの開裂)はプローブとサンプル材料との非特異的相互作用を示し、より高い温度を使用すべきことを示唆している。逆に、開裂が少しだけまたはまったくないということは、目的とするハイブリダイゼーションさえも妨げられていることを示し、より低い温度の使用を示唆している。いくつかの温度を試験することによって、プローブの特異的開裂の速度が最大になる最適な温度を同定することが可能である。以上のようにしてオリゴヌクレオチドを設計したら、プローブオリゴヌクレオチドのZ領域のTmはターンオーバーを確実にするようにこの温度より低くすべきである。
ハイブリダイゼーション効率の第三の決定要因は反応の塩濃度である。多くの場合溶液条件の選択は開裂剤の要件に依存し、商業的に入手した試薬については製造業者の指示書がこの情報の元となる。特定の開裂剤を用いてアッセイを開発する場合、上記のオリゴヌクレオチドと温度の最適化はその開裂剤に最も適した緩衝液条件で実施するべきである。
「無酵素」対照により、特定の反応条件下または試験しようとするサンプルの存在下(すなわちサンプル内の夾雑ヌクレアーゼを検査する際)における標識したオリゴヌクレオチドの安定性の評価が可能になる。このためには、基質とオリゴヌクレオチドを、酵素を除くすべての反応成分を含有するチューブに入れ、酵素を含む反応と同様に処理する。その他の対照も含ませ得る。たとえば、標的核酸以外のすべての成分を含む反応は、開裂が標的配列の存在に依存するかどうか確認するのに役立つ。
5. 多重対立遺伝子(multiple alleles)の探査
インベーダー指令開裂反応はまた、混合サンプル集団中の個々の変異体または対立遺伝子を検出・定量化するのにも有用である。このようなニーズの一例としては、癌に関連する遺伝子内の突然変異に関して腫瘍材料を分析するものがある。腫瘍から得た生体組織検査材料は正常細胞の重要な補体を有している可能性がある。したがって、サンプル中の標的核酸のコピーの5%未満に存在する場合でも突然変異を検出することが望ましい。この場合その集団のどの画分がその突然変異をもっているのか測定することも望ましい。同様な分析は他の遺伝子系で対立遺伝子変異体を検査するのにも行ない得、本発明の方法は腫瘍の分析のみに限定されるということはない。
以下に示すように、反応は、標的核酸の図29で「Z」と名付けた領域内に1つでもヌクレオチドが異なるミスマッチがあるプローブの開裂は抑制するが、この領域が標的と完全に相補的である類似のプローブの開裂は可能とするような条件下で実施することができる。したがって、このアッセイは混合サンプル内の個々の変異体または対立遺伝子を定量するのに使用できる。
このようなアッセイで異なる標識をもつ多数のプローブを使用することも考えられる。サンプル中の異なる変異体または対立遺伝子の表示を検査するには、検出しようとする各対立遺伝子または変異体が、特有の標識をもつ特異的なプローブ(すなわち、標的配列のZ領域に完全に一致しているもの)を有するようにプローブの混合物を提供する(たとえば、同じ標識をもつ変異体プローブを2つ単一の反応に用いてはならない)。これらのプローブは、ただ一組の反応条件下でそれぞれの標的核酸と混合されたときに同じ速度でシグナルを蓄積できることを確認するように前もって特性付けされる。その混合したプローブの組、対応するインベーダーオリゴヌクレオチド、標的核酸サンプル、および適当な開裂剤を含む開裂反応と、一致しているプローブのみが開裂するという条件下における開裂反応の性能とが一緒になる結果、存在する種の各々の個別の定量が可能になり、したがって、標的サンプル中のそれらの相対的表示が示される。
IV.侵入的(invasive)開裂とプライマー指令開裂との比較
本明細書中で述べている「侵入的」または「インベーダー指令」開裂という用語は、以下に定義する第1上流オリゴヌクレオチドを用いて第2下流配列内の部位で特異的開裂を起こさせることを特に意味している。二本鎖構造(duplex)内の領域でそのような開裂の指令を実行するには、第1と第2オリゴヌクレオチドの配列がオーバーラップしている必要がある。すなわち、「インベーダー」といわれる上流のオリゴヌクレオチドの一部分が下流の「プローブ」オリゴヌクレオチドの一部分とかなりの相同性を有しており、その結果これらの領域は検出しようとする標的核酸の同一の相補的領域と対合する傾向がある。本発明が特定の機構に限定されることはないが、このオーバーラップ領域は共有するハイブリダイゼーション部位を交互に占めると期待される。プローブオリゴヌクレオチドが標的核酸に充分アニーリングし、したがってインベーダーの3′領域が対合しないままでいるとき、そのようにして形成された構造体は本発明の5′ヌクレアーゼの基質とならない。対照的に、逆が真の場合には、そのように形成された構造体はこれらの酵素の基質となり、インベーダーオリゴヌクレオチドによって置き換えられるプローブオリゴヌクレオチドの部分の開裂と遊離が可能になる。開裂部位が、他の場合には標的配列と対合することになるプローブオリゴヌクレオチドのある領域にシフトするということは、本発明の侵入的開裂アッセイ(すなわちインベーダー指令開裂アッセイ)のひとつの特徴である。
この時点で、上記の侵入的開裂と、プローブオリゴヌクレオチドの内部開裂に導き得るが侵入的開裂は含まないプローブ開裂の他の2つの形態と対照するのが有益である。第1のケースでは、ハイブリダイズしたプローブは二本鎖依存性エキソヌクレアーゼにより5′から3′に向かって「ニブリング(nibbling:ひとつずつ分解)」され、その結果、オリゴヌクレオチドは標的に結合していられなくなるまで5′末端から短くされる(たとえば実施例6〜8、図26〜28参照)。そのようなニブリングが停止する部位は分離されているよう(be discreted)であり、全長のプローブの融解温度と反応温度との差に応じて、この停止点はプローブオリゴヌクレオチド配列中の1個または数個のヌクレオチドであり得る。このような「ニブリング」はプローブの全長に相当するものまでにわたる長めの生成物の「ラダー(ladder)」の存在によって示されることが多いが、常にではない。このようなニブリング反応の生成物のいずれも侵入的開裂反応の生成物と大きさおよび開裂部位が一致するようにすることができる。一方、これらのニブリング生成物の創製は反応の温度と開裂剤の種類に大きく依存しているが、上流オリゴヌクレオチドの作用とは独立であり、したがってインベーダー開裂に関与しているとは考えられない。
考えられ得る第2開裂構造体は、プローブオリゴヌクレオチドが標的核酸といくつかの相補領域をもっていてそれらが1つ以上の非相補領域または非相補ヌクレオチドを挟んで分配されているものである。これらの非相補的領域は核酸二本鎖内の「バブル(bubble)」と考えられる。温度が上昇するにつれて相補領域はそれらの安定性の最低のものから最高のものへという順序で「融解」すると期待され得る。安定性の低い領域が二本鎖のセグメントの端近くにあり、鎖に沿って次の相補領域がより高い融解温度をもっている場合、二本鎖の末端領域を最初に融解させ、最初のバブルを開かせ、それにより本発明の5′ヌクレアーゼによる開裂の好ましい基質構造を作り出す温度を見出だすことができる(図40a)。そのような開裂の部位は5′アーム上で一本鎖と二本鎖の領域間の接合部からヌクレオチド2つ内にあると期待される(Lyamichevら、上掲、および米国特許第5,422,253号)。
追加のオリゴヌクレオチドを導入して標的核酸に沿って対合させることができ、これは未対合の5′アームの次の開裂のためにこのバブルを開放するのに同様な効果をもつ(図40bおよび図6)。この場合、上流のオリゴヌクレオチドの3′末端ヌクレオチドはその3′が「バブル」領域内に位置するように標的核酸配列に沿ってアニーリングすることに注意されたい。このオリゴヌクレオチドの3′末端の正確な位置に応じて、開裂部位は新たな非対合5′アームに沿って存在しうるか、または上記したように熱的に開放されたバブル構造体に期待される部位であり得る。前者の場合開裂は二本鎖領域内ではなく、したがって侵入的開裂ではないが、後者の場合オリゴヌクレオチドは単に、他の場合には温度のみの使用(すなわち、追加のオリゴヌクレオチドを存在させない)により露出され得る部位における開裂を誘発する助けになっているだけであり、したがって侵入的開裂と考えられる。
要約すると、標的配列の開裂に基づく検出に使用するオリゴヌクレオチドのいかなる配置も分析することにより、その配置が本発明でいう侵入的開裂構造体であるかどうかを決定することができる。侵入的開裂構造体は、上流のオリゴヌクレオチドが存在しない場合には標的核酸と対合すると期待される領域中におけるプローブの開裂を支持している。
後述の実施例26に、一対の上流および下流(すなわちプローブ)オリゴヌクレオチドの所与の配置が標的核酸に沿ってアニーリングしたときに侵入的開裂構造体を形成するかどうかを決定するための実験の設計と実施に関するさらなる指針を挙げる。
V.選択的電荷反転による特異的核酸の分画
核酸に基づくいくつかの検出アッセイではオリゴヌクレオチドプローブの伸長および/または短縮をする。たとえば、本明細書に記載したように、プライマー指令、プライマー依存性およびインベーダー指令開裂アッセイならびに「ニブリング」アッセイではいずれも、標的核酸配列の存在を検出するための手段としてオリゴヌクレオチドの開裂(すなわち短縮(shortening))をする。オリゴヌクレオチドプローブの短縮を含む他の検出アッセイの例としては、Gelfandらの米国特許第5,210,015号(その開示内容は引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されている「TaqMan」またはニックトランスレーションPCRアッセイ、Urdeaの米国特許第4,775,619号および第5,118,605号(その開示内容は引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されているアッセイ、WalderとWalderの米国特許第5,403,711号(その開示内容は引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されている触媒ハイブリダイゼーション増幅アッセイ、ならびにDuckらの米国特許第4,876,187号および第5,011,769号(その開示内容は引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されているサイクルプローブアッセイがある。オリゴヌクレオチドプローブ(またはプライマー)の伸長を含む検出アッセイの例としては、MullisおよびMullisらの米国特許第4,683,195号および第4,683,202号(その開示内容は引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ならびにBirkenmeyerらの米国特許第5,427,930号および第5,494,810号(その開示内容は引用したことにより本明細書に含まれているものとする)に記載されているリガーゼ連鎖反応(LCR)がある。以上の例はオリゴヌクレオチドプローブの伸長および/または短縮を含む核酸に基づく検出アッセイを例示したものであり、全部を挙げたものではない。
一般に、オリゴヌクレオチドプローブの伸長および/または短縮を含む核酸に基づく検出アッセイでは、反応の生成物を検出するために反応後の分析が必要である。特異的反応生成物は、最初のまたは未反応のオリゴヌクレオチドプローブを含めて他の反応成分から分離しなければならないのが普通である。ひとつの検出技術では、反応したオリゴヌクレオチドプローブと未反応のオリゴヌクレオチドプローブを電気泳動で分離する。アッセイがプローブの開裂または短縮を含む場合、未反応生成物は反応生成物または開裂生成物より長い。アッセイがプローブ(またはプライマー)の伸長を含む場合、反応生成物は最初のものより長い。種々の長さの核酸分子を含むサンプルのゲルに基づく電気泳動では、これらの断片が主としてその大きさに基づいて分離される。これは、中性またはアルカリ性のpHをもつ溶液中では大きく異なるサイズ(すなわち分子量)を有する核酸は非常に似通った荷電−質量比をもっており分離しないという事実に基づいている[Andrews、電気泳動、第2版、オックスフォード大学出版(1986年)、第153〜154頁]。ゲルマトリックスは分子ふるい(molecular sieve)として機能し、核酸のサイズと形状(たとえば、線状、緩和環状、または共有閉環状スーパーコイル)に基づいて分離できる。
未修飾の核酸は、核酸の糖-リン酸骨格内に含まれる負に帯電したリン酸基が存在するため負の実効電荷をもっている。一般に、サンプルは負極の近くでゲルに載せ、核酸断片は正極に向かってゲル中を移動する。この際最小の断片は最も速くゲル中を移動する。
本発明は電荷に基づいて核酸断片を分画する新規な手段を提供する。この新規な分離技術は、正に帯電した付加物はその付加物の電荷が複合体全体の電荷より大きいので、小さいオリゴヌクレオチドの電気泳動的挙動に影響を与え得るという観察結果に関連している。正に帯電した付加物(たとえばCy3およびCy5蛍光染料、図66に示した正に帯電したヘテロダイマーDNA結合染料など)の使用に加えて、オリゴヌクレオチドはアミノ酸(特に有用なアミノ酸は帯電したアミノ酸、すなわちリシン、アルギニン、アスパラギン酸(asparate)、グルタミン酸(glutamate))、修飾された塩基、たとえばアミノ修飾された塩基、および/またはホスホネート骨格を(すべての位置またはそのサブセットに)含有し得る。また、以下に詳細に述べるように、アミノ修飾塩基および/または完全なまたは部分的なホスホネート骨格の使用と共に正に帯電した付加物の代わりに中性染料または検出残基(たとえばビオチン、ストレプトアビジンなど)を使用してもよい。
この観察された効果はDNA分子の開裂に基づくアッセイにおける特に有用なものである。一例として本明細書に記載したアッセイを用いて、オリゴヌクレオチドをCleavase(登録商標)酵素その他の開裂剤の作用によって短縮する場合、負の実効電荷を大きく減少させるだけでなく実際にそれを越えるために正の電荷を作り出して、標識された物質の実効電荷を有効に「フリッピング(flipping)」ことができる。この電荷の反転により、標的特異的開裂の生成物を未開裂プローブから非常に簡単な手段によって分割することが可能になる。たとえば、開裂生成物は、ゲルに基づく電気泳動をすることなく焦点を合わせた検出(focused detection)のために反応装置の任意の点に配置した負の電極に向かって移動させることができる。実施例24に、ゲルに基づく電気泳動なしの焦点を合わせた検出に適した装置の例を挙げる。スラブゲル(slab gel)を使用する場合サンプルウェルをゲルの中心において開裂プローブと未開裂プローブが反対方向に移動するのを観察することができる。あるいは、従来の垂直ゲルを、電極を通常のDNAゲルとは逆に(すなわち、正極を頂部に、負極を底部に)して用い、その結果、開裂された分子がゲル中に入る一方未開裂のものが電気泳動緩衝液の上部貯蔵部中に分散するようにすることができる。
このタイプの読み出し(readout)の重要な利点は生成物と基質との分割の絶対性である。すなわち、分離はほぼ100%である。この意味するところは、大量の未開裂プローブを供給してプローブに基づくアッセイのハイブリダイゼーション工程を実施することができ、それでも、未消費(すなわち未反応)プローブは、特異的反応生成物と同じ極には移動しないという事実のために、本質的に結果から控除してバックグラウンドを低減することができるということである。
正に帯電した多重の付加物を使用することにより、通常は負に帯電した鎖をほぼ中性にするのに充分な修飾をもつ合成分子を構築することができる。そのように構築した場合、単一のリン酸基の存否は負の実効電荷または正の実効電荷の間の差を意味することができる。この観察結果は、ひとつの目的が酵素により生成した3′リン酸を欠くDNA断片と3′リン酸(したがって追加の負の電荷2つ)を保持している熱分解生成物とを区別することである場合には特に有用である。実施例23および24に、正に帯電した反応生成物を正味で負に帯電した基質オリゴヌクレオチドから分離する能力を示す。これらの実施例で論じるように、オリゴヌクレオチドは正味で負の化合物から正味で正に帯電した化合物へと変換され得る。実施例24では、正に帯電した染料Cy3を、オリゴヌクレオチドの5′末端に2つのアミノ置換された残基も有する22-mer(配列番号61)の5′末端に導入した。このオリゴヌクレオチドプローブは負の実効電荷をもっている。プローブ内のヌクレオチドを2個開裂する開裂後、標識されたオリゴヌクレオチド5′-Cy3-アミノT-アミノT-3′(および配列番号61の残存するヌクレオチド20個)が遊離した。この短い断片は正の実効電荷をもっており、一方開裂したオリゴヌクレオチドの残部と未反応または最初のオリゴヌクレオチドは負の実効電荷をもっている。
本発明は、オリゴヌクレオチドの開裂によって生成した特異的反応生成物が正の実効電荷を有するように設計することができ、一方未反応のプローブは電荷が中性であるかまたは負の実効電荷を有するという態様を包含する。また本発明は、遊離する生成物が負の実効電荷を有するように設計することができ、一方最初の核酸が正の実効電荷をもっているという態様も包含する。検出しようとする遊離生成物の長さに応じて、正に帯電した染料をプローブの一端に導入することができ、また開裂に際して、正に帯電した染料を含有する遊離された断片が正の実効電荷をもつように、修飾された塩基をオリゴヌクレオチドに沿って配置することができる。正に帯電した付加物(たとえば染料)の存在のみでは遊離される断片に正の実効電荷を付与するのに充分でないような場合には、アミノ修飾された塩基を使用して遊離断片の電荷平衡をとることができる。また、正の実効電荷を付与するのに充分なレベルでリン酸骨格をホスホネート骨格で置換することができる(これは、オリゴヌクレオチドの配列がアミノ置換された塩基の使用に適さない場合に特に有用である)。図56と57に、第二のT残基上にホスホネート基を含有する短いオリゴヌクレオチドの構造を示す。充分にホスホネートで置換された骨格を含有するオリゴヌクレオチドは、負に帯電したリン酸基がないために電荷が中性である(電荷を有する修飾された荷電残基の存在または荷電付加物の存在がない)。ホスホネートを含有するヌクレオチド(たとえばメチルホスホネートを含有するヌクレオチド)は入手が容易であり、当業界でよく知られている技術を用いて合成中にオリゴヌクレオチドの任意の位置に導入することができる。
本質的に、本発明は、核酸に基づく検出アッセイにおいて特異的反応生成物と最初のオリゴヌクレオチドとの分離を可能にする電荷に基づく分離の使用を包含する。この新規な分離技術の基礎は、プローブの開裂または伸長の際に「電荷非平衡」となり、実効電荷に基づいて特異的反応生成物を最初の反応物質から分離することができるような「電荷平衡」オリゴヌクレオチドプローブ(PCRの場合は一般に「プライマー」といわれる)の設計と使用である。
PCRの場合のようにオリゴヌクレオチドプローブ(すなわちプライマー)の伸長を含むアッセイの場合、最初のプライマーは正の実効電荷をもつように設計される。重合中の短いオリゴヌクレオチドプライマーの伸長により、負の実効電荷をもつPCR生成物が生成する。次に、特異的反応生成物は、本明細書に記載した電荷に基づく分離技術を使用して最初のプライマーから容易に分離でき、濃縮できる(PCR後に分離・濃縮されることになる生成物が負の電荷をもつので電極は実施例24の記載とは逆にする)。
VI.ミニプローブ(Miniprobe)と中間域(Mid-Range)プローブを用いたインベーダー(商標)指令開裂
前記第III欄で説明したように、インベーダー(Invader(商標))指令開裂アッセイは、ヌクレオチド約13〜25個(典型的にはヌクレオチド20〜25個)の長さを有するインベーダーオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドを用いて実施できる。また、X領域、Y領域およびZ領域にまたがるオリゴヌクレオチド(図29参照)、すなわちインベーダーオリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドはこれら自身が、標的鎖に沿って配列されているが共有結合はしていないより短いオリゴヌクレオチド配列から構成され得る。すなわち、複合オリゴヌクレオチドの糖-リン酸骨格にニックがあるが、得られる二本鎖中で塩基対合したヌクレオチドの連鎖に分断(disruption)はない。核酸の短い鎖がより長い鎖に沿って連続して整列したとき、各々のハイブリダイゼーションは隣接する断片のハイブリダイゼーションによって安定化される。これら塩基対は骨格が実際中断されていないようにらせん(helix)に沿って積み重なることができるからである。この結合の共同により、より長い核酸のみにハイブリダイズするセグメントに期待される以上の相互作用の安定性を各セグメントに与えることができる。この観察結果のひとつの応用は、このようにハイブリダイズするように設計された3つのヘキサマーオリゴヌクレオチドの組からDNA配列決定法用のプライマー、通常はヌクレオチド約18個の長さのものを組み立てることであった[Kotlerら、(1993年)Proc. Natl.. Acad. Sci. USA 90:4241]。得られる二重にニックの入ったプライマーは、ヘキサマーのハイブリダイゼーションを破壊するが18-merのものは破壊しないと期待され得る温度で実施する反応で酵素的に伸長することができる。
複合またはスプリット(split)オリゴヌクレオチドの使用はインベーダー(商標)指令開裂アッセイで成功裡に応用される。プローブオリゴヌクレオチドは、図68に示したように標的オリゴヌクレオチドに沿って連続・隣接してアニーリングする2つのオリゴヌクレオチドに分割することができる。図68で、下流のオリゴヌクレオチド(図29のプローブに類似)はより小さい2つの断片から組み立てられている。すなわち、検出反応の途中で開裂されることになるヌクレオチド(nt)6〜10個の短いセグメント(「ミニプローブ」と称する)と、このミニプローブのすぐ下流でハイブリダイズしプローブのハイブリダイゼーションを安定化させる役割をするオリゴヌクレオチド(「スタッカー」といわれる)とである。開裂構造体を形成するために、ミニプローブの所望の領域に開裂活性を指令するように上流のオリゴヌクレオチド(「インベーダー(Invader(商標))」オリゴ)を提供する。核酸の非結合断片(すなわちミニプローブとスタッカー)からプローブを組み立てることにより、配列の領域が、全体が証明された配列の再合成を必要とすることなく変化でき、したがってその検出系のコストと柔軟性が改良される。また、非結合複合オリゴヌクレオチドの使用により、シグナル発生を達成するために完全に一致したハイブリダイゼーションの必要時においてその系をよりストリンジェントなものにし、これを標的核酸配列中の突然変異または変化を検出する感受性手段として使用することができる。
図68に示してあるように、ひとつの態様において、本発明の方法では、標的核酸と相互作用する少なくとも3つのオリゴヌクレオチドを使用して構造特異的ヌクレアーゼに対する開裂構造体を形成する。より特定すると、開裂構造体は、i)一本鎖でも二本鎖でもよい標的核酸(二本鎖の標的核酸を使用する場合、たとえば加熱により一本鎖にすることができる)、ii)標的核酸配列の第1領域の相補体であるために当該第1領域を規定する「スタッカー」といわれる第1オリゴヌクレオチド(図67に示されている標的の領域W)、iii)標的核酸配列の第2領域の相補体であるために当該第2領域を規定する「ミニプローブ」といわれる第2オリゴヌクレオチド(図67に示されている標的の領域XおよびZ)、iv)5′部分が第2標的領域に隣接してその下流にある同じ標的核酸配列(図67の領域YおよびX)の第3領域を規定し、かつ第2すなわち3′部分が第2オリゴヌクレオチドによって規定される領域とオーバーラップする(領域Xはオーバーラップの領域を示す)「インベーダー」といわれる第3オリゴヌクレオチドを含む。得られる構造体を図68に示す。
本発明または本明細書中の考察が特定の作用機構に限定されることはないが、図68は、このタイプの配列の3つのオリゴヌクレオチドによって生じる開裂部位に対する影響を示している。これら3つのオリゴヌクレオチドの設計について以下詳細に述べる。図68で、核酸(すなわち、標的およびオリゴヌクレオチド)の3′末端は、それら核酸鎖を示す線の末端に矢じりを用いて示してある(そして、紙面に余裕がある場合はこれらの末端に「3′」の符号も付してある)。すぐに分かるように、3つのオリゴヌクレオチド(インベーダー、ミニプローブおよびスタッカー)はお互いに平行の配向で配列されており、一方、標的核酸鎖は前記3つのオリゴヌクレオチドに対して逆平行の配向で配列されている。また、インベーダーオリゴヌクレオチドがミニプローブオリゴヌクレオチドの上流に位置していること、ミニプローブオリゴヌクレオチドがスタッカーオリゴヌクレオチドの上流に位置していること、および、標的核酸鎖に対して領域Wは領域Zの上流であり、領域Zは領域Xの上流の上流であり、領域Xは領域Yの上流である(すなわち、領域Yは領域Xの下流であり、領域Xは領域Zの下流であり、領域Zは領域Wの下流である)ことが明らかである。対向する鎖間の相補性領域は短い垂直の線で示してある。開裂部位の正確な位置を示すつもりはないが、ミニプローブオリゴヌクレオチド内の開裂部位がインベーダーオリゴヌクレオチドの存在によってシフトされているエリアは垂直実線の矢じりで示す。図68は開裂構造体の実際の作用機構または物理的配列を示すものではない。また、本発明の方法は特定の作用機構に限定されるものではない。
これらのオリゴヌクレオチドの結合により標的核酸が4つの異なる領域、すなわち、スタッカーのみに相補性を有する領域(「W」で示す)、ミニプローブのみに相補性を有する領域(「Z」で示す)、インベーダー(商標)オリゴのみに相補性を有する領域(「Y」で示す)、および、インベーダー(商標)とミニプローブの両方のオリゴヌクレオチドに相補性を有する領域(「X」で示す)に分割されると考えることができる。
上記利点に加えて、開裂構造体を形成するオリゴヌクレオチドの複合設計を使用することにより、インベーダー指令開裂アッセイを実施するための反応条件の設計の自由度(latitude)が大きくなる。上記第III欄に記載したより長いプローブ(たとえばnt16〜25個)をこのプローブのTmより低い温度で実施する反応における検出に使用する場合、プローブの開裂はそれが一部となる二本鎖を不安定にするのに重要な役割を果たし得、したがって標的核酸上の認識部位のターンオーバーおよび再利用を可能にする。対照的に、ミニプローブの場合、プローブのTm以上の反応温度は、プローブ分子がプローブの開裂なしにでも極めて急速に標的とハイブリダイズしてそれから遊離されることを意味している。上流のインベーダー(商標)オリゴヌクレオチドと開裂手段が提供される場合、ミニプローブは特異的に開裂されるが、その開裂はミニプローブのターンオーバーに必要ではない。長いプローブ(たとえばnt16〜25個)をこのように使用した場合、この状態を達成するのに必要とされる温度は極めて高く、平均塩基組成の25-merの場合で約65〜70℃となる。そのように高い温度を使用する必要があるということは、開裂剤の選択を極めて耐熱性のものに限定し、プローブオリゴヌクレオチドの熱分解のため、検出手段によっては反応のバックグラウンドに寄与することになろう。したがって、短めのプローブがこの方法で使用するのに好ましい。
本発明のミニプローブは所望の用途に応じてサイズが変化し得る。ひとつの態様の場合プローブは標準的なプローブ(たとえば16〜25nt)と比較してかなり短くてもよく、ヌクレオチド6〜10個の範囲であり得る。このように短いプローブを使用する場合反応条件は、スタッカーオリゴヌクレオチドが存在しない状態でミニプローブのハイブリダイゼーションを阻止するように選択することができる。このようにして、長めの配列の統計的な特異性と選択性が得られるように短いプローブを作成することができる。短い配列(すなわち、領域「Z」であり、これはミニプローブのうちインベーダーとオーバーラップしない領域である)内、または連続二本鎖間の接合部におけるミスマッチによって起こり得る事象であるが、ミニプローブ核酸とスタッカー核酸の共同結合が乱れた場合、この共同性が失われることがあり、短めのオリゴヌクレオチド(すなわちミニプローブ)の安定性が劇的に低下し、したがって本発明のアッセイにおける開裂生成物のレベルが減少する。
中間的なサイズのプローブを使用することも考えられる。そのようなプローブは11〜15ヌクレオチドの範囲であるが、最初に記載したより長めのプローブに伴なう特徴のいくつかを併せ持っており、これらの特徴にはスタッカーオリゴヌクレオチドの助けがなくてもハイブリダイズし開裂される可能性が包含される。そのようなプローブの期待されるTmより低い温度でのターンオーバーの機構は、20nt範囲のプローブについて上で述べたものと同じであり、また「X」領域内の脱安定化およびサイクル化のための配列の除去に依存している。
中間域プローブもまた、期待されるTm以上の高温で、プローブターンオーバーを促進するべく開裂よりも融解が起こるように使用することができる。しかし、上記の長めのプローブとは対照的に、そのような熱的に実施されるターンオーバーの使用を可能にするのに必要な温度はずっと低くなり(約40〜60℃)、したがって反応中の開裂手段と核酸の両方が熱分解から保護される。こうして、中間域プローブは上記ミニプローブと同様な場合に実施し得る。ミニプローブとの別の類似性として、中間域プローブからの開裂シグナルの蓄積は、反応条件によっては、スタッカーの存在によって促進され得る。
要約すると、標準の長いプローブは通常スタッカーオリゴヌクレオチドが下流に存在することで利益を得ることはなく(そのようなオリゴヌクレオチドが標的核酸内のプローブ結合に干渉する構造をも分解し得る場合は例外である)、通常はいくつかのヌクレオチドが除去されてオリゴヌクレオチドが標的から効率よく遊離され得ることを必要とする条件で使用する。
このミニプローブは非常に短く、下流のスタッカーオリゴヌクレオチドが存在すると最適に機能する。これらミニプローブは、どの塩基が開裂されたかどうかには関係なく、標的上のプローブの迅速な交換を促進するような反応温度を使用する反応条件によく適している。充分な量の開裂手段を伴なう反応では結合するプローブはそれが融解する前に急速に開裂される。
中間域プローブまたはミニプローブはこれらのプローブの特徴を合わせ持っており、設計された長いプローブと同様の反応で使用することができる。ただし、低めの温度でプローブターンオーバーを促進するためにオーバーラップ領域(「X」領域)を長めにする。好ましい態様の場合、中間域プローブは、これらのプローブが標的にハイブリダイズし、開裂に関係なく迅速に遊離されるほど充分に高い温度で使用される。これは、オリゴヌクレオチドの融解温度またはその付近でのオリゴヌクレオチドの挙動であることが知られている。このターンオーバーのモードは長いプローブよりもミニプローブ/スタッカーの組合せの場合に使用するモードによく似ている。中間域プローブはある状況下ではスタッカーの存在下で高まった性能をもっている。たとえば、中間域の下側の端(lower end)、たとえば11ntのプローブの場合、または例外的なA/T含量をもつものの場合、プローブのTmよりずっと高い温度(たとえば10℃以上高い温度)で実施する反応では、スタッカーの存在がプローブの性能を高めるようであるが、より中間的な温度ではプローブはスタッカーと関係がない。
ミニプローブ、ミディ(すなわち中間域)プローブおよび長いプローブの区別は不動のもの(inflexible)というわけではなく、単に長さに基づくものである。ある所与のプローブの性能はその特異的配列、溶液条件の選択、温度の選択および選択された開裂手段によって変化し得る。
本発明の開裂構造体を含むオリゴヌクレオチドの組み立てはプローブと標識との間のミスマッチに感受性であるということを実施例18で示す。実施例18で使用するミスマッチの部位は一例であり、開裂に影響を与えるミスマッチの位置を制限するつもりはない。また、インベーダー(商標)オリゴヌクレオチドと標的との間のミスマッチを、関連する標的配列を区別するのに使えるとも考えられる。インベーダー(商標)、プローブおよびスタッカーオリゴヌクレオチドを含む3-オリゴヌクレオチド系の場合、ミスマッチは、これらのオリゴヌクレオチドおよび標的配列の間で形成された二本鎖の領域内のいずれかに位置し得ると考えられる。好ましい態様の場合検出しようとするミスマッチはプローブに位置している。特に好ましい態様の場合、ミスマッチはプローブ内で、プローブが標的と一致していない(ミスマッチしている)ときに開裂される部位のすぐ上流(すなわち5′側)の塩基対にある。
別の好ましい態様では、検出しようとするミスマッチが、ミニプローブのハイブリダイゼーションによって規定される領域「Z」の内部に位置している。特に好ましい態様では、ミスマッチはミニプローブ内で、ミニプローブが標的とミスマッチしているときに開裂される部位のすぐ上流(すなわち5′側)の塩基対にある。
単一の反応でいろいろな配列を検出し得ることも予想される。異なる配列に特異的なプローブを別々に標識することができる。たとえば、プローブは異なる染料その他の検出可能な基、異なる長さをもち得るし、または、開裂後の生成物の実効電荷が異なってもよい。これらの方法のいずれかで異なって標識すると、各特異的標的配列と最終生成物との対応関係を符合させることができる。これは、ある混合物中に存在する異なる種類の遺伝子の量を検出する場合に応用される。検出・定量しようとする混合物中の異なる遺伝子は野生型および突然変異型の遺伝子であり得、たとえば腫瘍サンプル(たとえば生体組織検査材料)に見られることのあるものがある。この態様では、正確に同じサイズのプローブであって、ひとつは野生型の配列に一致し、ひとつは突然変異に一致するものを設計し得る。ある設定した時間の間実施した反応で得られる開裂生成物の定量により混合物中の2つの遺伝子の割合が判明する。このような分析は混合物中の非関連遺伝子についても実施できる。このタイプの分析は2つの遺伝子に限定されるものではない。混合物内の多くの変異体も同様に測定し得る。
あるいは、単一の遺伝子上の異なる部位をモニター・定量してその遺伝子の測定値を確認することができる。この態様の場合、各プローブから得られるシグナルは同じになると期待される。
さらに、別々に標識をされていない多数のプローブを用いて集合したシグナルを測定するようにすることも考えられる。これは、単一の遺伝子を検出するためにその遺伝子からのシグナルを増幅するように設計されたたくさんのプローブを使用するときに望ましい。この態様はまた混合物中の非関連配列を検出するのにも使用できる。たとえば、血液バンク内で、感染源の宿主のいずれが血液サンプル内に存在するかどうか知ることが望ましい。血液はどの感染源が存在したかに関係なく廃棄されるので、プローブ上の異なるシグナルは本発明のこのような応用では必要なく、実際上機密の点で望ましくないであろう。
すでに2つのオリゴヌクレオチド系について述べたように、検出反応の特異性は、完全な一組の検出オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションに関与する標的核酸配列の集合した(aggregate)長さによって影響を受ける。たとえば、複雑なゲノム内の単一の領域を検出することが望まれる応用があり得る。そのような場合、オリゴヌクレオチドの組は、標的核酸の長めのセグメント(ヌクレオチド20〜40個の範囲であることが多い)のハイブリダイゼーションによって正確に認識されることを要するように選択し得る。他の場合には、そのオリゴヌクレオチドの組を標的サンプル内の多数の部位と相互作用させることが望ましいことがある。これらの場合、ひとつの方法は、標的核酸配列のより小さいセグメント、したがって統計的にはより普通のセグメントを認識する一組のオリゴヌクレオチドを使用することであろう。
ひとつの好ましい態様の場合、インベーダーオリゴヌクレオチドとスタッカーオリゴヌクレオチドは、最大限安定にして、反応の間長期にわたって標的配列と結合したままになるように設計することができる。これを達成するには、当業者に周知のたくさんの方法のいずれかを使用すればよく、たとえば、オリゴヌクレオチドの長さ(全長で約50ntまで)に対して余分なハイブリダイズ用配列を加えたり、あるいは、負電荷の減少した残基、たとえばホスホロチオエートやペプチド-核酸残基を用いて、相補鎖が天然鎖と同定度に互いに受け入れるようにするとよい。そのような修飾はこれらのフランキングオリゴヌクレオチドを夾雑ヌクレアーゼに対して耐性にするのにも役立ち得、したがって反応中これらが継続して標的鎖上に存在することをさらに確実にする。さらに、インベーダー(商標)オリゴヌクレオチドとスタッカーオリゴヌクレオチドは(たとえばソラレン(psoralen)架橋を用いて)標的に共有結合してもよい。
開裂に使用する温度ではなく、プローブオリゴヌクレオチドのTmまたはその付近の反応温度を使用してこれらの検出反応におけるプローブオリゴヌクレオチドのターンオーバーを実行させることは、開裂されるプローブオリゴヌクレオチドの量がターンオーバー速度に悪影響を与えることなく実質的に減少し得るということを意味している。上流オリゴヌクレオチドの3′末端とプローブ上の所望の開裂部位との関係は注意深く設計しなければならないことが確認されている。本発明で使用するタイプの構造特異的エンドヌクレアーゼに好ましい開裂部位は二本鎖中に1つ入った塩基対であることが知られている(Lyamichevら、上掲)。以前は、上流オリゴヌクレオチドまたはプライマーの存在により開裂部位がこの好ましい部位から5′アームの一本鎖領域にシフトされ得ると信じられていた(Lyamichevら、上掲および米国特許第5,422,253号)。この従来提案されていた機構とは対照的に、プローブ(ミニプローブも中間域プローブも含む)上の開裂部位のすぐ5′側または上流のヌクレオチドは標的と対合することができて効率のよい開裂が起こるものと信じられるが、本発明は特定の機構に限定されるものではない。本発明の場合、これは、目的とする開裂部位のすぐ上流のプローブ配列中のヌクレオチドであろう。さらに、本明細書に記載したように、プローブ内の同じ部位で開裂を指令させるためには、上流のオリゴヌクレオチドはその3′塩基(すなわちnt)をプローブの目的とする開裂部位のすぐ上流にもっていなければならないことが観察されている。これにより、上流のオリゴヌクレオチドの3′末端ヌクレオチドと開裂部位の5′側のプローブオリゴヌクレオチドの塩基とが、標的鎖の対応するヌクレオチドとの対合に関して競合することになる。
この競合の結果、すなわち、好結果の開裂事象の間にどちらの塩基が対合したのかを検査するために、プローブオリゴヌクレオチドとインベーダーオリゴヌクレオチドに置換基を導入して、プローブかインベーダー(商標)のいずれかのオリゴヌクレオチドがこの位置で標的配列とミスマッチするようにし、両者の開裂速度に対する影響を検査した。インベーダー(商標)オリゴヌクレオチドが3′末端で対合しないと開裂速度は落ちなかった。しかし、この塩基を取り除くと開裂部位は目的とした部位の上流にシフトした。対照的に、インベーダー(商標)オリゴヌクレオチドが開裂を指令する部位のすぐ上流でプローブオリゴヌクレオチドが標的と塩基対合しなかった場合は開裂速度が劇的に減少し、競合がある場合にはプローブオリゴヌクレオチドがこの位置で塩基対合すべき分子であるということを示唆していた。
上流のインベーダーオリゴヌクレオチドの3′末端は開裂の間対合しないにもかかわらず、開裂の正確な位置決定には必要であるように思われる。開裂の位置を決定するのに3′末端ヌクレオチドのどの部分が必要なのか検査するために、この末端に各種方法で変更したヌクレオチドを有するインベーダー(商標)オリゴヌクレオチドを設計した。検査した糖には3′リン酸基を有する2′デオキシリボース、ジデオキシリボース、3′デオキシリボース、2′O-メチルリボース、アラビノースおよび3′リン酸を有するアラビノースが包含される。3′リン酸をもつ塩基性リボースと3′リン酸をもたないものとを試験した。リボース糖上の3-ニトロピロールや5-3ニトロインドールのような合成「ユニバーサル」塩基を試験した。最後に、前のヌクレオチドの3′末端に糖残基を介することなく結合された塩基様芳香環構造アクリジンを試験した。得られた結果は、(インベーダーオリゴヌクレオチドの3′末端の)塩基の芳香環は下流のプローブ内の所望の部位での開裂を指令するのに必要な基であるという結論を支持していた。
VII.インベーダー(商標)指令開裂アッセイにおける反応生成物の末端付加によるシグナル増強
オリゴヌクレオチドプローブを高温の開裂検出アッセイで用いると、端の切れた(truncated)プローブのいくらかの割合が非特異的熱分解によって短かくされていること、そしてそのような切断生成物が標的特異的開裂データの解析をより困難にし得ることが確認されている。このようなバックグラウンド開裂は、特異的開裂生成物から分離しないと一定時間で蓄積された生成物の量に基づく標的核酸の定量の精度を低下させる。非特異的生成物から特異的生成物を区別するひとつの手段はすでに開示したものであり、これらの反応の生成物を反応における種々の分子種がもっている実効電荷の違いによって分離することに基づいている。すでに論じたように、熱分解生成物は通常分解後に3′リン酸を保持しているのに対して、酵素によって開裂した生成物はもっていない。リン酸上の2つの負電荷は電荷に基づく生成物の分割を容易にする。
所望のサブセットのプローブ断片上に3′リン酸が存在しないことは酵素的アッセイでも利用し得る。核酸ポリメラーゼは、鋳型のないもの(non-templated)(たとえばターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ポリAポリメラーゼ)も、鋳型依存性のもの(たとえばPolIタイプDNAポリメラーゼ)も、次のヌクレオチドを結合するのに利用できる3′ヒドロキシルを必要とする。この3′末端構造の酵素的選択は特異的生成物を非特異的生成物から区別する有効な手段として使用できる。
上記分離の利点に加えて、インベーダー特異的開裂の特異的生成物の端にヌクレオチドを付加すると、生成物に標識を付加するか、固体支持体に基づく読み出し系を容易にする捕獲可能な尾部を付加するか、またはこれら両者を同時になすかの機会が提供される。この概念のいくつかの可能な態様を図67に示す。
図67には、ブロックされたまたは伸長できない3′末端(たとえば3′ジデオキシヌクレオチド)を含有するインベーダー(商標)オリゴヌクレオチド、ブロックされたまたは伸長できない3′末端(オリゴヌクレオチドの3′末端にある白丸は伸長できないヌクレオチドを示す)を含有するプローブオリゴヌクレオチド、および標的核酸からなるインベーダー(商標)開裂構造体を示した。プローブオリゴヌクレオチドは(星印で示されている)ビオチンやフルオレセイン標識のような5′末端標識を含有していてもよい(5′ビオチン標識プローブまたは5′フルオレセイン標識プローブを使用する開裂構造体を、それぞれ開裂構造体の大きな図の下に左から右へかけて示す)。プローブの開裂後(開裂部位は大きな矢じりで示す)開裂したビオチン標識プローブを、鋳型依存性ポリメラーゼ(たとえばTdT)およびフルオレセイン化ヌクレオチド三リン酸を用いて伸長する。フルオレセイン尾部を付加した開裂プローブ分子は次に、その5′ビオチン標識を介してストレプトアビジンに結合することによって捕獲した後、蛍光を測定する。あるいは、5′フルオレセイン化プローブの開裂後、開裂したプローブを、鋳型依存性ポリメラーゼ(たとえばTdT)およびdATPを用いて伸長する。次に、ポリアデニル化された(A-末端付加された)開裂プローブ分子をポリA尾部を介して固体支持体に結合したオリゴdTに結合させることによって捕獲する。
図66に示した例は、TdTを使用してインベーダー(商標)指令開裂の特異的生成物に末端付加することに基づいている。この特定の酵素を使用する際の説明を例示として挙げるが、限定の意味はない(実際、RNAを含むプローブオリゴを使用する場合、開裂したRNAプローブはポリAポリメラーゼを用いて伸長できる)。このタイプのアッセイは上述のように鋳型依存性ポリメラーゼを使用するように設計することができると考えられる。これは、端が切り取られた(truncated)オリゴヌクレオチドが合成を開始できる標的核酸とは異なる適切なコピー鋳型の存在を必要とするが、開裂前には3′末端のミスマッチまたは修飾のために伸長できないプローブがインベーダー指令開裂によって開裂されたときにはプライマーとして活性化され得ることが予想できる。鋳型指令末端付加反応も、導入されるヌクレオチドのより広い選択とより良好な制御を可能にするという利点をもっている。
非鋳型(nontemplated)末端付加の使用は、検出反応で追加の核酸の存在を必要とせず、アッセイの開発と修復のひとつの工程を回避する。また、非鋳型合成の使用はハイブリダイゼーション工程を省略し、アッセイの迅速化が可能である。さらに、TdT酵素は速く、15分の反応で少なくとも700個以上のヌクレオチドを基質オリゴヌクレオチドに付加することができる。
上で述べたように付加された尾部はいろいろに使用することができる。標識された基(labeled moiety)を開裂生成物に付加して各開裂事象に由来するシグナルを増大させる直接的な方法として使用することができる。このような反応を図66の左側に示す。この標識された基(部分)は、ヌクレオチドに結合されたとき、末端付加用酵素によって付加することができるものならなんでもよく、たとえば染料分子、ジゴキシゲニンのようなハプテン、またはビオチンのような他の基でもよい。
好ましい態様の場合アッセイは混合物中の末端付加されたインベーダー指令開裂生成物を特異的に捕獲または分別する手段を含んでいる。混合物中の標的核酸は反応中に末端付加することができる。標識が付加されている場合、末端付加されたインベーダー指令開裂生成物をこれら他の標識された分子から分別して結果のバックグラウンドを回避するのが望ましい。これは、開裂生成物のみが捕獲され得るならば実施が容易である。たとえば、使用するプローブが5′末端にビオチンをもっており、3′末端の伸長がブロックされており、かつ末端付加の間に染料が付加される本発明の開裂アッセイを考えてみよう。さらに、生成物はビオチン残基を介して支持体上に捕獲され、この捕獲された染料を測定して標的核酸の存在を評価するとしよう。末端付加によって標識が付加される場合特異的に開裂したプローブのみが標識される。残りの未切断プローブは最終捕獲工程で結合したままでいられるが、シグナルに寄与しない。同じ反応で標的核酸のニックおよび切断部がこの酵素によって末端付加され、したがって染料で標識されることになる。最終捕獲においてこれらの標識された標的は支持体に結合せず、したがって標識されていてもシグナルには寄与しない。最終特異的生成物が2つの部分、すなわちプローブ由来部分と尾部部分とから構成されていると考えると、プローブ由来部分を、ハイブリダイゼーションにせよ、ビオチン/ストレプトアビジンにせよ、その他の方法にせよ、特異的捕獲に使用する場合、標識は尾部部分と会合するのが特に好ましいことが上記議論から分かる。逆に、標識がプローブ由来部分に結合しているならば、図66の右側に示したように尾部部分を捕獲に適するように作成することができる。尾部はいろいろな方法で捕獲でき、たとえば、ハイブリダイゼーション、ビオチンの導入とストレプトアビジンによる捕獲があり、または長めの分子はより予想通りに、また効率的にいくつかの核酸認識マトリックス、たとえば膜状のニトロセルロース、ナイロンもしくはガラス、紙、樹脂、その他の形態に結合するという事実によって捕獲できる。このアッセイに必要なわけではないが、この機能の分離により未反応プローブと末端付加された標的核酸の両方をシグナルから有効に排除できる。
上記支持体に加えて、末端付加された生成物は適切な捕獲基を含有する任意の支持体に捕獲することができる。たとえば、ビオチニル化された生成物は通常アビジンで処理した表面で捕獲される。これらのアビジン表面は、可能なものを2,3名前を挙げると、マイクロタイタープレートウェル、ビーズ、浸漬棒(dipstick)であり得る。このような表面はまた特異的オリゴヌクレオチドを含有するように修飾することもでき、ハイブリダイゼーションによる生成物の捕獲が可能になる。本明細書に記載した捕獲表面は当業者には広く知られており、ニトロセルロース浸漬棒(たとえばGeneComb(商標)、BioRad、Hercules、カリフォルニア州)が包含される。
VIII.インベーダー(商標)指令開裂反応で使用する改良された酵素
本発明で開裂構造体とは、プローブオリゴヌクレオチドと標的核酸との相互作用によって二本鎖を形成した構造体であって、得られた構造体が酵素を始めとする(しかし酵素に限られるわけではない)開裂手段によって開裂可能なものと定義される。この開裂構造体はさらに、ホスホジエステラーゼのような剤による非特異的開裂の基質である核酸分子とは対照的に開裂手段による特異的開裂の基質として定義される。いくつかの可能な開裂構造体の例を図16に示す。酵素的開裂手段の改良を考慮する際には、これらの構造体のいずれかに対するその酵素の作用および開裂構造体の定義内に入る他のあらゆる構造体に対するその酵素の作用を考慮すればよい。図16の構造体で示した開裂部位は一例として示したものである。このような構造体内の任意の部位での特異的開裂が考えられる。
ある酵素の改良は1種以上の構造体の開裂速度の増大または減少であり得る。また改良により、1種以上の前記開裂構造体の開裂部位の数が増減することになり得る。核酸開裂アッセイで使用する新規な構造特異的ヌクレアーゼのライブラリーを開発する際に、改良は多くのいろいろな態様をもち得、各々が特定のアッセイで使用する特異的基質構造に関連する。
一例として、本発明のインベーダー(商標)指令開裂アッセイのひとつの具体例を考察し得る。インベーダー(商標)指令開裂アッセイにおいて開裂した材料の蓄積は酵素挙動のいくつかの特徴によって影響を受ける。驚くことではないが、ターンオーバー速度、または一定の時間の内に単一の酵素分子によって開裂することができる構造体の数は、アッセイ反応中に加工される材料の量を決定する際に非常に重要である。酵素が基質を認識するのに長時間がかかれば(たとえば、最適以下の構造体である場合)、または開裂するのに長時間がかかれば、生成物蓄積速度はこれらの工程が迅速に進む場合より低い。これらの工程が迅速であり、それでも酵素が開裂した構造体に「結合し続け(holds on)」、他の未切断構造体にすぐには作用しないならば、速度は負の影響を受ける。
酵素のターンオーバーは酵素挙動が生成物の蓄積の速度に負に影響し得る唯一の方法ではない。生成物を可視化または測定するのに使用する手段が正確に定義された生成物に対して特異的である場合、その定義から外れる生成物は検出から逃れ、したがって生成物の蓄積速度は実際のものより低く見えるであろう。たとえば、本発明のインベーダー(商標)指令開裂アッセイにおいてジヌクレオチドやテトラヌクレオチドまたは残基3つ以外の任意の大きさのオリゴヌクレオチドは検出できないがトリヌクレオチドに対して感度の良い検出器をもっていれば、誤った開裂は検出可能なシグナルを比例的に減少させるであろう。本明細書に示した開裂データから分かるように、プローブ内には通常の開裂に有利な部位がひとつあるが、この主要な開裂部位から1つ以上のヌクレオチドが開裂された生成物があることが多い。これらは標的依存性であり、したがって非特異的バックグラウンドではない生成物である。にもかかわらず、後の可視化系が一次生成物のみを検出できるのであれば、これらはシグナルの損失となる。そのような選択的可視化系の一例は、正の電荷と負の電荷の電荷平衡が、生成物の挙動を決定する本明細書で示した電荷反転読み出し(readout)である。このような系において、余分なヌクレオチドの存在または期待されたヌクレオチドの不在は、電荷平衡の悪い生成物を残すことによって、基準に合った開裂生成物を最終的検出から除外し得る。すぐ分かるように、標準的なストリンジェントハイブリダイゼーションのようにオリゴヌクレオチドのヌクレオチド含量を感度良く区別することができるアッセイは、基準にあった生成物のいくらかの割合がそのアッセイによってうまく検出できない場合にはその感度に影響が出る。
これらの考察は本発明の方法に使用しようとする酵素の極めて望ましい2つの特質(traits)を示唆している。まず第一に、酵素が認識、開裂および遊離を始めとする全開裂反応を迅速に遂行すれば、インベーダー指令開裂アッセイで創造され得るシグナルが多くなる。第二に、酵素が構造体内の単一の開裂部位に上首尾に焦点を結べばそれだけ、選択的読み出しにおいてうまく検出できる開裂生成物の量が多くなる。
インベーダー(商標)指令開裂アッセイで使用しようとする酵素を改良する際の上記理由は、改良を目指すひとつの方向の一例として機能することを意味しており、改良された酵素活性の性質または応用に制限を加えるものではない。適切に考察される改良となる活性変化の別の方向としては、DNAP結合5′ヌクレアーゼが一例として使用し得る。本明細書に記載したポリメラーゼ欠損5′ヌクレアーゼのいくつかを創造する際に、図4に示したようにポリメラーゼドメインの実質的な部分の欠失によって創造したものは親のタンパク質では弱かったかまたはなかった活性をもっていることが判明した。これらの活性としては、図16Dに示した非分岐(no-forked)構造を開裂する能力、二本鎖を形成した鎖の5′末端からエキソヌクレアーゼによってヌクレオチドを除去する大きく増強された能力、および遊離5′末端の恩恵を受けることなく環状の分子を開裂する発生期(nascent)の能力がある。これらの特徴は、図1Aに示すような検出アッセイの開発に寄与してきた。
IX.CFLP(登録商標)法で使用するための改良された酵素
本明細書中に定義されているとおり、折り畳まれた(フォールディングした)開裂構造体は、二次構造を含有する1以上の領域[該領域は酵素(これに限定されるものではない)などの開裂手段により開裂されうる]を含有する一本鎖核酸分子である。さらに、その折り畳まれた開裂構造体は、ホスホジエステラーゼなどの物質による非特異的開裂の基質となる核酸分子とは対照的に、前記開裂手段による特異的開裂の基質と定義される。いくつかの可能な開裂構造体の具体例を、図16に示す。
酵素開裂手段の改良を検討する際には、これらの折り畳まれた任意の構造体に対する及び開裂構造体の定義に含まれる他の任意の構造体に対する構造特異的酵素の作用を考慮されるであろう。図16の構造体上に示す開裂部位は、例示として記載されている。本発明では、そのような構造体内の任意の部位での特異的開裂を計画する。また、酵素の改良は、折り畳まれている又は折り畳まれていない1以上の型の構造体の開裂速度の増加または減少を含むと計画される。また、改良は、1以上の開裂構造体上の開裂部位の増加または減少をもたらすかもしれない。核酸開裂アッセイで使用するための新規または追加的な構造特異的ヌクレアーゼのライブラリーを開発する場合には、改良は、ある特定のアッセイで使用する特異的基質構造体にそれぞれが関連した多数の異なる実施形態を有することが可能である。
一例として、本発明のCFLP(登録商標)アッセイの1つの実施形態を考慮することができる。CFLP(登録商標)アッセイでは、開裂産物の分布は、酵素挙動のいくつかの特徴により影響される。いくつかの場合には、DNA(すなわち、DNA基質)は、ある特定の構造特異的ヌクレアーゼ(例えば、Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼまたは本発明の他のヌクレアーゼ)による開裂に対して抵抗性である配列領域を有しうることが認められている。本発明を使用するために該メカニズムの理解が必要なわけではないが、これらの領域は構造化されていない(すなわち、二次構造を欠く)可能性があり、あるいは、形成した構造体は、これらのヌクレアーゼにより十分に認識されないかもしれない。後者の場合、そのような領域内で開裂するヌクレアーゼを使用すれば、存在する追加的な構造情報の可視化が可能になることが計画される。実施例38および40に記載のデータは、もう1つのヌクレアーゼ(これは、異なる基質認識特異性を有し、そのため、異なる組の構造体が開裂パターンに表される)をCFLP(登録商標)分析で使用することによりもたらされるこの特別な利点を示している。
また、単一の酵素(例えば、ヌクレアーゼ)が、関心のある核酸断片全体にわたる十分な開裂をもたらさない場合もあるであろう。最適な開裂パターンは、該バンドが均等の間隔で位置し、該バンドの強度が可能な限り均等であり、断片のサイズが完全長(より大きな断片の表示を保証するもの)から開裂可能な最も短い断片サイズ(約15〜20nt)にまで及ぶものであると考えられる。より詳細なパターン[すなわち、少数のバンド(<約5個)よりむしろ多数のバンド(>約15個)を含有するもの]はまた、配列の変化(例えば、突然変異体、野生型形態などの2つの基質形態の間の単点突然変異)に対する反応において相違を示す可能性が高くなる。CFLP(登録商標)パターンの間隔および強度の分布、または関心のある断片の開裂頻度(例えば、バンドの数)が、単一の酵素の使用により最適にならない場合には、本発明のいくつかの実施形態においては、開裂パターンの所望の改善が酵素混合物によってもたらされると意図される。わずかに異なる基質特異性を有するヌクレアーゼを混合することによる改善効果が、図100に示す実験で示されている。
DNAポリメラーゼに由来する5’ヌクレアーゼに加えて、本発明はまた、DNAポリメラーゼに由来しない構造特異的ヌクレアーゼの使用を意図する。例えば、Pol I型DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼと同様の基質特異性を有する真核性および古細菌性エンドヌクレアーゼのクラスが同定されている。これらは、FEN-1(Flap EndoNuclease)、RAD2およびXPG(色素性乾皮症相補性群G)タンパク質である。これらのタンパク質はDNA修復に関与し、図16Bに記載のモデルと同様、重合中に伸長プライマーにより置換された5’アームに類似した構造体の開裂を促進することが示されている。単細胞および高等真核生物ならびに古細菌から同様のDNA修復酵素が単離されており、真性細菌中には関連DNA修復タンパク質が存在する。また、同様の5’ヌクレアーゼが、T5、T7などのバクテリオーファージと関連している。
驚くべきことに、文献報告とは異なり、FEN-1タンパク質が、図16Aに示されているのと同様の折り畳まれた構造体も効果的にに開裂しうることが本発明で示された。この型の構造体は、核酸が二次構造をとる場合に形成される構造体である。FENクラスのヌクレアーゼを定義している文献は、一本鎖のDNA上においても、開裂部位の上流にプライマーを欠く構造体(例えば、図16Aに記載のもの)上においても、活性が全く認められないと記載している(HarringtonおよびLieber,前掲を参照されたい)。
最近、DNAPTaqおよびT5ファージ5’エキソヌクレアーゼの三次元構造(図69)が、X線回折により決定された(Kimら,Nature 376:612[1995]およびCeskaら,Nature 382:90[1995])。それらの2つの酵素は、アミノ酸配列の類似性が限られたものであるにもかかわらず、非常に類似した三次元構造を有する。T5 5’エキソヌクレアーゼ構造の最も顕著な特徴は、該タンパク質の活性部位と2つのαヘリックスとから形成される三角形の孔の存在である(図69)。DNAPTaqのこの同じ領域の結晶構造は不規則であり、このことは、この領域が変化に富む(flexible)ことを示しており、したがって、それは、公開されている三次元構造には示されていない。一方、T5 5’エキソヌクレアーゼに対するDNAPTaqの5’ヌクレアーゼの三次元全体の類似性に基づけば、また、DNAPTaqタンパク質の不規則な領域中のアミノ酸がαヘリックスの形成に関連したものであることに基づけば、DNAPTaqの5’ヌクレアーゼドメインは同一構造を有している可能性がある。DNAPTaqの5’ヌクレアーゼドメイン内のそのような孔または溝の存在は、その基質特異性に基づいて予想された(Lyamichevら,前掲)。
前記構造体を開裂のために正しく配置するためには、開裂構造体の5’アームが前記のらせん状アーチを貫通しなければならないと示唆されている(Ceskaら,前掲)。本明細書に記載の5’ヌクレアーゼの修飾の1つにより、不十分にしか開裂しないか又は全く開裂しない構造体(例えば、5’アームのそのような貫通を妨げる環状DNA標的上の構造体)の改良された開裂を可能にするために、該タンパク質のらせん状アーチ部分が切り開かれた。このアプローチを試験するためのモデルとして選択した遺伝子構築物は、Cleavase(登録商標)BN(これは、DNAPTaqに由来するが、該ポリメラーゼドメインを含有しない)と称されるものであった(実施例2を参照されたい)。それは、DNAP Taqの全5’ヌクレアーゼドメインを含み、したがってT5 5’エキソヌクレアーゼに構造上非常に類似しているはずである。この5’ヌクレアーゼを選択して、この型のタンパク質上でのそのような物理的修飾の原理を示した。本発明の、アーチ開口修飾は、DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼドメインに限定されるものではなく、開裂活性上の制約としてそのような孔を含む任意の構造特異的ヌクレアーゼ上での使用が意図される。本発明では、Thermus属に由来するDNAPに由来する5’ヌクレアーゼと同様に、Thermus属に由来するDNAPのらせん状アーチ中へのトロンビン開裂部位の挿入が意図される。Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを使用する本明細書に示す具体例は、ヌクレアーゼドメイン内に位置するらせん状アーチを開口する概念を単に例示するに過ぎない。Themus属に由来するDNAPのアミノ酸配列は高度に保存されているため、本発明の教示は、これらのDNAPおよびこれらのDNAPに由来する5’ヌクレアーゼ中に存在するらせん状アーチ中へのトロンビン部位の挿入を可能にする。
らせん状アーチの開口は、該アーチ中へプロテアーゼ部位を挿入することにより行なった。これは、アーチをその頂点で開口するための適当なプロテアーゼでの発現タンパク質の翻訳後消化を可能にした。この型のプロテアーゼは、特定のアミノ酸配列の短い伸長を認識する。そのようなプロテアーゼには、トロンビンおよびXa因子が含まれる。そのようなプロテアーゼでのタンパク質の開裂は、該タンパク質のアミノ酸配列内のその部位の存在と、折り畳まれたその無傷タンパク質上のその部位の接近性との両方に左右される。結晶構造を用いたとしても、プロテアーゼの開裂に対する、タンパク質の任意の特定領域の感受性を予想することは困難であろう。結晶構造がない場合には、それは実験的に決定しなければならない。
プロテアーゼ開裂部位を含有するように修飾されたタンパク質の部位特異的開裂のためのプロテアーゼを選択する場合には、第1工程において、別の部位での開裂に関して未修飾タンパク質を試験することである。例えば、DNAPTaqおよびCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼの両方を、Xa因子およびトロンビンプロテアーゼと共にプロテアーゼ開裂条件下でインキュベートした。どちらのヌクレアーゼタンパク質も5’ヌクレアーゼドメイン内でXa因子で切断されたが、どちらのヌクレアーゼも多量のトロンビンで消化されなかった。したがって、Cleavase(登録商標)BN酵素のアーチの開口に関する初期試験には、トロンビンを選択した。
本明細書に記載のプロテアーゼ/Cleavase(登録商標)修飾の場合、Xa因子プロテアーゼは、最終産物の活性を損なう可能性がある領域内の、未修飾ヌクレアーゼタンパク質内の許容されない位置で強力に開裂した。本発明で意図される他の未修飾ヌクレアーゼは、Xa因子に対しては感受性であってはならないが、トロンビンまたはそのような他のプロテアーゼに対しては感受性であってもよい。あるいは、それらは、修飾しようとするヌクレアーゼの機能に無関係な部位で、これらの又はそのような他のプロテアーゼに対して感受性であってもよい。プロテアーゼ開裂部位の付加による修飾のためにタンパク質を得る場合には、いずれのプロテアーゼが、許容されるレベルの開裂を他の領域内に与えるかを決定することを考慮して、該未修飾タンパク質を該プロテアーゼで試験すべきである。
Cleavase(登録商標)BNタンパク質を発現させるDNAPTaqクローン化セグメントを使用する場合には、トロンビン開裂部位をコードするヌクレオチドを、該ヌクレアーゼ遺伝子のアミノ酸90をコードする配列の近くにインフレームで導入した。DNAPTaqの三次元構造およびT5 5’エキソヌクレアーゼの構造の両方を参考にして、この位置は、らせん状アーチの頂点またはその付近にあると判断した。
該コード化アミノ酸配列LVPRGSを、該ヌクレアーゼ遺伝子の部位指向的突然変異誘発により、らせん状アーチの頂点内に挿入した。プロリンは、αヘリックスを破壊するアミノ酸であり、このアーチの三次元構造に重要かもしれないため、トロンビン開裂部位内のプロリン(P)を、通常はCleavase(登録商標)BN中のこの位置に存在するプロリンが置換されるように配置された。この構築物を発現させ、精製し、ついでトロンビンで消化した。貫通モデルによる開裂を促進する遊離5’末端を与えない標的核酸(バクテリオファージM13ゲノムDNA)を開裂する、その消化された酵素の能力に関して、該酵素を試験した。
ヌクレアーゼ中のらせん状アーチはプロテアーゼ開裂により開口したが、同じ目的を達成するために他の多数の技術を利用することができると意図される。例えば、発現により生じたタンパク質は、らせん状アーチの最上部(アミノ酸90)が該タンパク質のアミノ末端に位置し、該タンパク質配列の天然のカルボキシル末端およびアミノ末端が結合し、新たなカルボキシル末端が天然アミノ酸89に位置するように立体配置され、ヌクレオチド配列を再構成することが可能である。このアプローチは、外来配列が全く導入されず、該酵素が、単一アミノ酸鎖であり、したがって開裂された5’ヌクレアーゼより安定となりうる、という利点を有する。DNAPTaqの結晶構造では、5’エキソヌクレアーゼドメインのアミノ末端およびカルボキシル末端は、互いに非常に接近して位置し、このことは、それらの末端が、時には必要な柔軟なリンカーペプチド配列を使用しなくても、直接結合しうることを示唆している。該遺伝子のそのような再構成ならびにそれに続くクローニングおよび発現は、当業者に公知の標準的なPCR組換えおよびクローニング技術により行なうことが可能であろう。
本発明はまた、種々の条件下で成長する生物から単離されたヌクレアーゼの使用を意図する。FEN-1/XPGクラスの酵素の遺伝子は、バクテリオファージからヒトにわたる生物(例えば、古細菌界(Kingdom Archaca)の高度好熱菌)に見出される。高温を使用することになるアッセイの場合には、高度好熱菌から単離された酵素が、そのようなアッセイに要求される耐熱性を示しうると考えられる。中等度の温度で最大酵素活性を有するのが望ましいと考えられるアッセイの場合、あるいは高温で酵素を破壊するのが望ましいと考えられるアッセイの場合には、中等度の温度が成長に好ましい生物に由来する酵素が特に貴重かもしれない。
本発明者以外の者により配列決定された一群のFEN-1タンパク質のアライメントを、図70A-Eに示す。このクラスのタンパク質にはいくつかの保存領域が存在することが、このアライメントから認められ、このことは、それらが機能的に、そしておそらく構造的に関連していることを示唆している。アミノ酸配列から可能な核酸配列へ逆翻訳し、ついで可能な限り少数の変異を配列内に有するプライマーを選択する方法で、in vitro増幅(PCR)用のプライマーを設計するために、アミノ酸配列レベルでの類似性領域を用いることが可能である。関連DNA配列に関して検索するために、低いストリンジェンシーのPCRにおいて、これらを使用することができる。このアプローチでは、実際のDNA配列を事前に知らなくても、FEN-1ヌクレアーゼをコードするDNAの増幅が可能である。
また、完全には保存されていない領域が配列内に存在することが、このアライメントから認められる。認められる相違の程度は、該タンパク質が基質特異性の微妙な又は顕著な相違を有している可能性があることを示唆している。すなわち、それらは、本発明の開裂構造体上で種々のレベルの開裂活性を有している可能性がある。ある特定の構造体が、それ以外の構造体より大きな速度で開裂される場合には、これは、好ましい基質ということになり、一方、遅く開裂される構造体は、それほど好ましくない基質とみなされる。この場合の好ましい又はそれほど好ましくない基質という表現は、本発明を限定するものではない。本発明のいくつかの実施形態は、それほど好ましくない基質と酵素との相互作用を利用すると意図される。後記アッセイを用いて、本発明の開裂アッセイにおける適合性に関して候補酵素を試験する。
前記のとおり、構造特異的ヌクレアーゼの生物間変異、あるいは単一生物内の天然構造特異的ヌクレアーゼの間での変異のため、これらのヌクレアーゼの試験系および最終的なアッセイの用途の両方において、異なる活性が観察される可能性がある。これらの2以上のヌクレアーゼを単一のアッセイで併用して、それらのタンパク質の併用効果を利用するのが望ましい場合があることが認められている。また、核酸およびアミノ酸の一次配列が全く異なる場合であっても、これらのヌクレアーゼの多数が、結晶構造を比較した場合に類似した形態学的特徴を有することが前記で認められる。
本発明のヌクレアーゼの種々の領域を単一のヌクレアーゼ分子内で合体させることにより、本発明のヌクレアーゼの機能を修飾し改良することが可能であると意図される。これを達成しうる1つの方法は、各タンパク質の所望の部分のコード領域を含有する遺伝子の構築および発現によるものである。そのようなヌクレアーゼの構造および/または組成を限定するものではないが、キメラヌクレアーゼが、2つの異なる天然酵素に由来する部分からなることが可能であると意図される。さらに、2以上の天然酵素の部分を単一のキメラヌクレアーゼ内で合体させることが可能であると意図される。
5’ヌクレアーゼの構造の保存性は、同じ機能を有すると考えられる該タンパク質内の領域を同定するのに十分な程度に該一次配列が整列するのを可能にする。これらの共通領域は類似した機能を果たすかもしれないが、だからといって、それらの機能が同一のメカニズムまたは同一の性能特性(例えば、代謝回転速度、基質Km、イオン要求性)で発揮されるということではない。例えば、本明細書に記載の「ループ領域」に対応すると考えられる配列のセグメントは、アミノ酸配列内の配置とアミノ酸配列内の保存性との両方により、各タンパク質配列上に位置しうる。この場合に用いる、アミノ酸配列の保存性は、厳密なアミノ酸同一性だけでなく、生じる該配列の特性(例えば、疎水性、親水性、正または負電荷、αヘリックスもしくはβシートを形成する性質または立体的特徴などであるが、これらに限定されるものではない)も含む。
本発明のキメラヌクレアーゼを作製するために使用する配列部分は、最終構築物が各推定ドメインの単一の代表例を有するよう選択することができる。好ましい実施形態では、天然酵素のドメインアライメントを模擬するよう該配列ドメインを配置する。
キメラヌクレアーゼの作製により得られる改良点は、そのようなヌクレアーゼのいずれかの特定の特性に限定されない。前記のとおり、酵素の改良には、1以上の型の構造体の開裂の速度の増加または減少を含めることができる。また、改良は、1以上の前記開裂構造体上の開裂部位の増加または減少をもたらすかもしれない。また、改良は、前記の開裂機能の変化を伴い又は伴わずに、酵素安定性の変化をもたらすかもしれない。核酸開裂アッセイで使用するための新規構造特異的ヌクレアーゼのライブラリーを開発する場合には、改良は、ある特定のアッセイで使用する特異的基質構造体にそれぞれ関連した多数の異なる実施形態を有することが可能である。
1.構造特異的ヌクレアーゼアッセイ
これらのアッセイで構造特異的活性に関して候補ヌクレアーゼを試験する場合には、修飾DNAポリメラーゼの試験に関して実施例2に記載されているのとほとんど同じ方法を用いるが、異なるモデル構造体ライブラリーを使用する。プライマー非依存的およびプライマー指向的(primer-directed)開裂における酵素特性を評価することに加えて、該酵素に好都合な開裂部位の下流の二重らせんの長さを調べるために1組の合成ヘアピンを使用する。
本発明で使用するFEN-1およびXPG 5’ヌクレアーゼの活性は、それらを使用することを意図するアッセイ(例えば、本発明のInvaderTM指向的開裂検出アッセイおよび核酸を特徴づけるCFLP(登録商標)法が含まれるが、これらに限定されるものではない)(CFLP(登録商標)法は、同時係属出願第08/337,164号、第08/402,601号、第08/484,956号および第08/520,946号;これらの出願の開示を参照により本明細書に組み入れることとする)において試験しなければならない。InvaderTMアッセイは、開裂部位の上流の標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの影響を表すために「プライマー指向的」または「プライマー依存的」と称される開裂様式を用いる。これに対して、CFLP(登録商標)反応は、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの不存在下で、標的核酸内の折り畳まれた構造またはヘアピンを開裂することに基づく。本明細書に記載の試験は、いずれかの特定の開裂部位または基質構造の認識様式によるヌクレアーゼの分析に限定されるものではない。酵素は、構造を認識する基準点として3’末端を利用する3’ヌクレアーゼとして記載されることが可能であり、あるいはさらに異なる認識様式を有することが可能であると意図される。さらに、5’ヌクレアーゼなる語の使用は、考慮の対象を、いずれかの特定の部位で該開裂構造体を開裂する酵素に限定するものではない。それは、構造体の開裂を引き起こすために5’末端との或る程度の関連または接近を要する一般的なクラスの酵素を意味する。
構造体上での未知酵素の開裂能力の評価が可能となるよう、1組のモデル開裂構造体が作製されている。該モデル構造体のそれぞれは、標準的なDNA合成化学法により調製された1以上の合成オリゴヌクレオチドからなる。そのような合成モデル基質構造体の具体例を、図30および71に示す。これらは、そのような試験構造体において望ましい一般的な折り畳まれた立体配置を代表するにすぎないと意図される。そのような構造をとる配列が図に示されているが、他の多数のヌクレオチド配列配置が、そのように折り畳まれると予想される。本明細書に記載の試験を行なうために1組のオリゴヌクレオチド中に組み入れる本質的特徴は、「プライマー指向的」な開裂を試験するための追加的な核酸のハイブリダイゼーションを可能にするのに十分に長い3’アームおよび二重らせん領域の長さの存在または不存在である。図71に示す組では、S-33および11-8-0構造体の二重らせんの長さは、それぞれ12および8塩基対である。それらの試験分子におけるこの長さの相違は、より長い二重らせんとより短い二重らせんとの間の候補ヌクレアーゼによる識別の検出を容易にする。該酵素に与えられた二重らせん分子(短い方および長い方の両方)の領域に伸長するこの一連の付加を用いることができる。該二重らせんの閉鎖末端での安定化DNAテトラループ(Antaoら,Nucl. Acids Res. 19:5901[1991])またはトリループ(Hiraroら,Nuc. Acids Res. 22:576[1994])の使用は、予想される構造が該オリゴヌクレオチドにより形成されるのを保証するのに役立つ。
本発明のヌクレアーゼの活性に対する特異的修飾の効果は、試験構造体中にそのような修飾を施すことにより評価することができる。例えば、前記および実施例23に記載の電荷逆転法(charge reversal method)においてこれらの開裂剤の性能を評価するために、正に荷電した部分(例えば、Cy3色素およびアミン基)を、開裂されるプローブの5’末端に付加することができる。
プライマー特異的開裂を試験するためのモデル基質「S-60ヘアピン」(配列番号40)を実施例11に記載する。プライマーの不存在下では、通常、このヘアピンが開裂されて、18および19ヌクレオチド長の5’アーム断片が遊離される。S-60ヘアピンの3’アームにハイブリダイズした場合に該二重らせんの塩基にまで伸長するP-14(5’-CGAGAGACCACGCT-3’)(配列番号122)と称されるオリゴヌクレオチドは、同じサイズの開裂産物を、より大きな開裂速度で与える。
侵入性開裂を試験するためには、P-15(5’-CGAGAGACCACGCTG-3’)(配列番号41)と称される別のプライマーを使用する。侵入性開裂が成功する場合には、このプライマーの存在は、S-60の開裂部位を二重らせん領域中へ移動させて、通常は、21および22ヌクレオチド長の産物を遊離する。
また、プライマー指向的開裂または侵入性開裂のいずれかに対する開裂構造体の修飾の効果を試験するために、S-60ヘアピンを使用することができる。そのような修飾には、ヘアピン二重らせん内の1個の、少数の又はすべての位置でのミスマッチまたは塩基類似体の使用、プライマーとS-60の3’アームとの間の二重らせん内の同様の破壊または修飾、プライマー配列の一方の又は両方の末端に対する化学的または他の修飾、または該構造体の5’アームに対する部分の結合または他の修飾が含まれるが、これらに限定されるものではない。S-60または本明細書に記載の同様のヘアピンを使用する分析のすべてにおいて、プライマーの存在下および不存在下での活性を、同じヘアピン構造体を使用して比較することができる。
適当な量のヘアピン、プライマーおよび候補ヌクレアーゼを含むこれらの試験反応の集合体を、実施例2に記載する。そこに記載されているとおり、開裂産物の存在は、未開裂試験構造体より低分子量で移動する分子の存在により示される。標識の電荷の逆転を用いる場合には、該産物は、未開裂物質とは異なる実効電荷を保持することになる。これらの開裂産物はいずれも、候補ヌクレアーゼが所望の構造特異的ヌクレアーゼ活性を有することを示している。「所望の構造特異的ヌクレアーゼ活性」は、候補ヌクレアーゼが1以上の試験分子を開裂することを意味するにすぎない。開裂が成功したとみなされるためには、候補ヌクレアーゼがいずれかの特定の開裂速度または開裂部位で開裂することは必ずしも必要とされない。
実施例
下記の実施例は本発明の或る好ましい実施態様および側面を説明するのに利用でき、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
以下の開示において、下記の略号が適用される:★Afu(アルカエグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus));Mth(メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum));Mja(メタノコッカス・ジャナスキ(Methanococcus jannaschii)); Pfu(ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)); Pwo(ピロコッカス・ウーゼイ(Pyrococcus woesei)); Taq(テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus));Taq DNAP,DNAPTaq,およびTaq Pol I(T.aquaticus DNAポリメラーゼI); DNAPStf(DNAPTaqのストフェル断片);DNAPEc 1(大腸菌DNAポリメラーゼI);Trh(テルムス・テルモフィルス(Thermus thermophilus))Ex.(実施例); Fig.(図面);℃(摂氏温度);g(重力場);vol(容積);w/v(重量対容積);v/v(容積対容積);BSA(ウシ血清アルブミン);CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);DNA(デオキシリボ核酸);p(プラスミド);μl(マイクロリットル);ml(ミリリットル);μg(マイクログラム);pmol(ピコモル);mg(ミリグラム);M(モル/リットル);mM(ミリモル/リットル);μM(マイクロモル/リットル);nm(ナノメーター);kdal(キロダルトン);OD(光学密度);EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸);FITC(フルオレセインイソチオシアネート);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);NaPO4(リン酸ナトリウム);NP-40(Nonidet P-40);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド);TBE(トリス−ボレート−EDTA、即ち、HClではなくホウ酸で滴定され、EDTAを含むTris緩衝液);PBS(リン酸緩衝生理食塩水);PPBS(1mM PMSFを含むリン酸緩衝生理食塩水);PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動);Tween(ポリオキシエチレン−ソルビタン);Ambion(Ambion, Inc., Austin, TX);Boehringer(Boehringer Mannheim Biochemicals, Indianapolis, IN);Dynal(Dynal A.S., Oslo, Norway); Epicentre(Epicentre Technologies, Ma-dison, WI); MJ Research(MJ Research, Watertown, MA);National Biosciences(National Biosciences, Plymouth, MN); New England Biolabs(New England Biolabs, Beverly, MA); Novagen(Novagen,Inc., Madison, WI); Perkin Elmer(Perkin Elmer, Norwalk, CT); Promega Corp.(Promega Corp., Madison, WI); Stratagene(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA); USB(U.S.Biochemical, Cleveland, OH)。
実施例1
天然耐熱性DNAポリメラーゼの特性
A. DNAPTaqの5’ヌクレアーゼ活性
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)[Saikiら,Science 239:487(1988); MullisおよびFaloona, Methods in Enzymology 155:335(1987)]中に、DNAPTaqは全てではないが多くのDNA配列を増幅することができる。DNAPTaqを使用して増幅し得ない一つの配列が図6に示される(ヘアピン構造は配列番号15である。プライマーは配列番号16〜17である。)。このDNA配列はそれ自体で折り畳んで二つの一本鎖アーム(これらはPCRに使用されるプライマーに相当する)を有するヘアピンを形成することができるという顕著な特性を有する。
増幅のこの失敗はその酵素の5’ヌクレアーゼ活性のためであるか否かを試験するために、本発明者らはPCRの30サイクル中にこのDNA配列を増幅するDNAPTaqおよびDNAPStfの能力を比較した。合成オリゴヌクレオチドをWisconsin-Madisonの大学にあるBiotechnology Centerから入手した。DNAPTaqおよびDNAPStfをPerkin Elmerから入手した(すなわち、AmpliTaq DNAポリメラーゼおよびAmpli-Taq DNAポリメラーゼのStoffel断片)。基質DNAはpUC19に二本鎖形態でクローン化された図6に示されたヘアピン構造を含んでいた。増幅に使用したプライマーを配列番号16-17として記載する。プライマー配列番号17は図6中でヘアピン構造の3’アームにアニールされて示されている。プライマー配列番号16は図6中でヘアピンの5’アームのボールド体の最初の20ヌクレオチドとして示されている。
ポリメラーゼ連鎖反応液は10mM Tris Cl pH8.3の50μl溶液中にスーパーコイルプラスミド標的DNA 1ng、それぞれのプライマー5pmole、それぞれのdNTP40μM、および2.5ユニットのDNAPTaqまたはDNAPStfを含んでいた。DNAPTaq反応液には50mM KClおよび1.5mM MgCl2を含ませた。温度プロフィールは30サイクル中に95℃で30秒、55℃で1分間および72℃で1分間であった。それぞれの反応の10%を45mM Tris Borate、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液中6%ポリアクリルアミド(29:1で架橋された)中のゲル電気泳動により分析した。
結果を図7に示す。予想産物をDNAPTaq(「T」として示される)ではなくDNAPStf(単に「S」として示される)によりつくった。本発明者らは、DNAPTaqのヌクレアーゼ活性がこのDNA配列の増幅の欠如の原因であると結論する。
この構造DNAの基質領域中の5’未対合ヌクレオチドがDNAPTaqにより除去されるか否かを試験するために、同2種ポリメラーゼを使用してPCRの4サイクル中の末端標識5’アームの運命を比較した(図8)。DNAPStfおよび32P-5’末端標識プライマーを使用して、図6に記載されたヘアピン鋳型の如きヘアピン鋳型をつくった。そのDNAの5’末端をDNAPStfではなくDNAPTaqにより数個の大きい断片として放出した。これらの断片のサイズ(それらの運動性に基く)は、それらがDNAの未対合5’アームの殆どまたは全部を含むことを示す。こうして、開裂は分岐二重鎖の基部またはその付近で起こる。これらの放出された断片は直接配列分析、および末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼにより延長される断片の能力により証明されるように3’OH基で終端する。
図9〜11はDNAPTaqにより触媒された開裂反応を特性決定するように設計された実験の結果を示す。特にことわらない限り、開裂反応液は合計容積10μlの10mM Tris-Cl、pH8.5、50mM KClおよび1.5mM MgCl2中0.01pmole熱変性された末端標識ヘアピンDNA(未標識相補ストランドも存在する)、1pmoleプライマー(3’アームに相補性)および0.5ユニットのDNAPTaq(0.026pmoleであると推定)を含んでいた。示されるように、幾つかの反応液は異なる濃度のKClを有し、それぞれの実験に使用した正確な時間および温度を個々の図に示す。プライマーを含んだ反応液は図6に示されたプライマーを使用した(配列番号17)。或る場合には、ポリメラーゼおよび選択されたヌクレオチドを用意することによりプライマーを結合部位まで延長した。
反応をMgCl2または酵素の添加により最終反応温度で開始した。反応を20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含む95%ホルムアルデヒド(停止溶液)8μlの添加によりそれらのインキュベーション温度で停止した。National Bioscien-ces,Inc.からのOligoTMプライマー分析ソフトウェアを使用して、リストされたTm計算を行った。15または65mM全塩でDNA濃度として0.25μMを使用して、これらを測定した(全反応中の1.5mM MgCl2がこれらの計算について15mM塩の値を与えられた)。
図9は開裂部位に関する一組の実験および条件の結果を含むオートラジオグラムである。図9Aは開裂を可能にする反応成分の測定である。5’末端標識ヘアピンDNAのインキュベーションは、示された成分を用いて55℃で30分間行なった。産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分解し、産物の長さ(単位:ヌクレオチド数)を示す。図9Bは添加プライマーの不在下の開裂の部位に関する温度の効果を記載する。反応液をKClの不在下で示された温度で10分間インキュベートした。産物の長さ(単位:ヌクレオチド数)を示す。
驚くことに、DNAPTaqによる開裂はプライマーまたはdNTPのいずれをも必要としない(図9Aを参照のこと)。こうして、5’ヌクレアーゼ活性は重合とは関連し得ない。ヌクレアーゼ活性はマグネシウムイオンを必要とするが、マグネシウムイオンは特異性および活性の潜在的な変化はあるが置換し得る。亜鉛イオンまたはカルシウムイオンのいずれもが開裂反応を支持しない。反応は25℃から85℃までの広い温度範囲にわたって起こり、開裂の速度が高温で増大する。
図9を参照して、プライマーは添加dNTPの不在下で伸長されない。しかしながら、プライマーはヘアピンの開裂の部位および速度の両方に影響する。開裂の部位の変化(図9A)はDNA基質のアームの間に形成された短い二重鎖の分断により生じることが明らかである。プライマーの不在下で、図6に下線を施すことにより示された配列が対合して、延長された二重鎖を形成することができた。延長された二重鎖の末端における開裂は、プライマーを添加しないで図9Aレーンに見られる11ヌクレオチド断片を放出するであろう。過剰のプライマーの添加(図9A、レーン3および4)または高温におけるインキュベーション(図9B)は二重鎖の短い延長を乱し、長い5’アームひいては長い開裂産物をもたらす。
プライマーの3’末端の位置は開裂の正確な部位に影響し得る。電気泳動分析をプライマーの不在下で行った結果(図9B)、開裂が第一塩基対と第二塩基対の間で基質二重鎖(温度に応じて、延長形態または短縮形態)の末端で起こることが明らかになった。プライマーが二重鎖の基部まで延長する時、開裂がまた二重鎖中で一つのヌクレオチドを生じる。しかしながら、4または6ヌクレオチドの隙間がプライマーの3’末端と基質二重鎖の間に存在する時、開裂部位は5’方向に4ヌクレオチドから6ヌクレオチドにシフトする。
図10はプライマーオリゴヌクレオチドの存在下(図10A)または不在下(図10B)の開裂の速度論を記載する。50mM KCl(図10A)または20mM KCl(図10B)を用いて反応を55℃で行った。反応産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分解し、産物の長さ(単位:ヌクレオチド数)を示す。マーカーを示す「M」は5’末端標識19-ntオリゴヌクレオチドである。これらの塩条件下で、図10Aおよび10Bは、反応がプライマーの不在下よりもプライマーの存在下で約20倍速いことが明らかであることを示す。効率に関するこの効果は基質上の酵素の適切な配列および安定化に寄与し得る。
両方の反応を50mM KCl中で行う時、開裂速度に関するプライマーの相対的な影響が極めて大きくなる。プライマーの存在下で、開裂の速度は約50mMまでKCl濃度につれて増大する。しかしながら、プライマーの存在下のこの反応の抑制が100mMで明らかであり、150mM KClで完全である。対照的に、プライマーの不在下では、その速度が20mMまでKClの濃度により増進されるが、それは30mM以上の濃度で低下される。50mM KClでは、反応が殆ど完全に抑制される。プライマーの不在下のKClによる開裂の抑制は温度により影響され、低温で更に顕著である。
切断すべきアームの5’末端の認識は基質認識の重要な特徴であることが明らかである。遊離5’末端を欠いている基質、例えば、環状M13 DNAは試験したいずれの条件でも開裂し得ない。5’アームを形成した基質でさえも、DNAPTaqによる開裂の速度がアームの長さにより影響される。プライマーおよび50mM KClの存在下で、27ヌクレオチドの長さである5’延長の開裂は55℃で2分以内に実質的に完結する。対照的に、84ヌクレオチドおよび188ヌクレオチドの5’アームを有する分子の開裂は20分後に約90%および40%の完結であるにすぎない。高温におけるインキュベーションは5’アーム中の二次構造を示す長い延長の抑制効果を低下し、または酵素中の熱不安定構造がその反応を抑制し得る。過剰の基質の条件下で行われた混合実験は、長いアームを有する分子が非生産的複合体(non-productive complex)中で利用可能な酵素を優先的に束縛しないことを示す。これらの結果は、5’ヌクレアーゼドメインが5’アームを一つの末端から他の末端に移動することにより、分岐二重鎖の末端にある開裂部位への接近を獲得することを示し得る。更に長い5’アームは更に偶発の二次構造を有するものと予想され(特にKCl濃度が高い時)、これがおそらくこの移動を妨げるのであろう。
開裂は少なくとも2キロ塩基までの基質ストランド標的分子またはパイロット核酸の長い3’アームにより抑制されないことが明らかである。その他の極限では、1ヌクレオチドのように短いパイロット核酸の3’アームは効率が良くないもののプライマー非依存性反応で開裂を支持することができる。充分に対合されたオリゴヌクレオチドはプライマー延長中にDNA鋳型の開裂を誘発しない。
相補的ストランドが唯一の不対合3’ヌクレオチドを含む時でさえも、分子を開裂するDNAPTaqの能力は対立遺伝子特異的PCRを最適化するのに有益であるかもしれない。不対合3’末端を有するPCRプライマーはパイロットオリゴヌクレオチドとして作用してヌクレオシド三リン酸の不在下でDNAPTaqと一緒の潜在的鋳型−プライマー複合体のプレインキュベーション中に望ましくない鋳型の選択的開裂を誘導することができた。
B.その他のDNAPの5’ヌクレアーゼ活性
その他のDNAP中のその他の5’ヌクレアーゼが本発明に適しているか否かを測定するために、酵素のアレイ(その幾つかが文献中に明らかな5’ヌクレアーゼ活性のないものであると報告された)を試験した。構造特異的様式で核酸を開裂するこれらのその他の酵素の能力を、それぞれの酵素による合成に最適であると報告された条件下で図6に示されたヘアピン基質を使用して試験した。
DNAPEclおよびDNAPクレノウをPromega Corporationから入手した。ピロコッカスフリオウス(Pyrococcus furious)[「Pfu」、Bargseidら,Strategies 4:34(1991)]のDNAPはStratageneからのものであった。テルモコッカス リトラリス(Thermococcus litoralis)[「Tli」、Vent(exo-)、Perlerら,Proc.Natl.Acad. Sci. USA 89: 5577(1992)]のDNAPはNew England Biolabsからのものであった。テルムス フラブス(Thermus flavus)[「Tfl」、Kaledinら,Biokhimiya 46:1576(1981)]のDNAPはEpicentre Technologiesからのものであり、またテルムス テルモフィルス(Thermus thermophilus)[「Tth」、Carballeiraら,Biotechni-ques 9:276(1990); Myersら,Biochem. 30:7661(1991)]のDNAPはU.S.Biochemicalsからのものであった。
本実施例においては、プライマー依存性反応のために製造業者により供給された緩衝液、または10mMTris Cl、pH8.5、1.5mM MgCl2、および20mM KClを使用して、0.5ユニットのそれぞれのDNAポリメラーゼを20μl反応液中でアッセイした。反応混合物を酵素の添加の前に72℃に保った。
図11はこれらの試験の結果を記録するオートラジオグラムである。図11Aは幾つかの好熱性細菌のDNAPのエンドヌクレアーゼの反応を示す。反応液をプライマーの存在下で55℃で10分間またはプライマーの不在下で72℃で30分間インキュベートし、産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分解した。産物の長さ(単位:ヌクレオチド数)を示す。図11BはDNAPEclの5’ヌクレアーゼによるエンドヌクレオリチック(endonucleolytic)開裂を示す。DNAPEcl反応液およびDNAPクレノウ反応液を37℃で5分間インキュベートした。DNAPEclレーン(それぞれ、プライマーの存在下および不在下でつくられた)中の25ヌクレオチドおよび11ヌクレオチドの開裂産物の光バンドに注目されたい。また、図7Bはプライマーの存在下(+)または不在下(-)のDNAPTaq反応を示す。これらの反応をそれぞれ50mMおよび20mM KCl中で行い、55℃で10分間インキュベートした。
図11Aを参照して、真正細菌テルムス テルモフィルスおよびテルムス フラブスからのDNAPはプライマーの存在下および不在下の両方でDNAPTaqと同じ位置で基質を開裂する。対照的に、古細菌ピロコッカス フリオサスおよびテルモコッカス リトラリスからのDNAPは基質をエンドヌクレオリチックに開裂することができない。ピロコッカス・フリオウスおよびテルモコッカス・リトラリスからのDNAPは真正細菌酵素と配列相同性を殆ど共有しない(Itoら,Nucl.Acids Res. 19:4045(1991); Mathurら,Nucl.Acids Res. 19:6952(1991);またPerlerらを参照のこと)。図11Bを参照して、DNAPEclはまた基質を開裂するが、得られる開裂産物は、3’エンドヌクレアーゼが抑制されない限り検出し難い。DNAPEclおよびDNAPTaqの5’ヌクレアーゼドメインのアミノ酸配列は約38%相同性である(Gelfand、上記文献)。
また、DNAPTaqの5’ヌクレアーゼドメインはバクテリオファージT7の遺伝子6によりコードされた5’エキソヌクレアーゼと約19%相同性を共有する[Dunnら,J.Mol.Biol. 166:477(1983)]。DNAP重合ドメインに共有結合されないこのヌクレアーゼは添加プライマーの不在下で上記5’ヌクレアーゼにより切断される部位と同様または同一の部位でDNAをエンドヌクレオチックに開裂することもできる。
C.トランス開裂
特定の配列で有効に開裂するように誘導される5’ヌクレアーゼの能力を下記の実験で実証した。「パイロットオリゴヌクレオチド」と称される部分相補性オリゴヌクレオチドを開裂の所望の位置で配列とハイブリッドを形成した。パイロットオリゴヌクレオチドの非相補性部分は鋳型の3’アームに類似する構造を与え(図6を参照のこと)、一方、基質ストランドの5’領域は5’アームになった。パイロットがそれ自体で折り畳んで安定化テトラ−ループを有する短いヘアピンを生じるようにパイロットの3’領域を設計することにより、プライマーを用意した[Antaoら,Nucl.Acids Res. 19:5901(1991)]。2種のパイロットオリゴヌクレオチドを図12Aに示す。オリゴヌクレオチド19-12(配列番号18)、30-12(配列番号19)および30-0(配列番号20)はそれぞれ31ヌクレオチド、42ヌクレオチドまたは30ヌクレオチドの長さである。しかしながら、オリゴヌクレオチド19-12(配列番号18)および34-19(配列番号19)はそれぞれ19ヌクレオチドおよび30ヌクレオチドを有するにすぎず、これらは基質ストランド中の異なる配列に相補性である。パイロットオリゴヌクレオチドは約50℃(19-12)および約75℃(30-12)でそれらの相補体を融解するように計算される。両方のパイロットはそれらの3’末端で12ヌクレオチドを有し、これらは塩基対合プライマーを付着する3’アームとして作用する。
開裂がパイロットオリゴヌクレオチドにより誘導し得ることを実証するために、本発明者らは2種の潜在的パイロットオリゴヌクレオチドの存在下で一本鎖標的DNAをDNAPTaqとともにインキュベートした。標的およびパイロット核酸が共有結合されないトランス開裂反応液は、同緩衝液の容積20μl中に0.01pmoleの単一末端標識基質DNA、1ユニットのDNAPTaqおよび5pmoleのパイロットオリゴヌクレオチドを含む。これらの成分を95℃で1分間のインキュベーション中に合わせてPCR生成された二本鎖基質DNAを変性し、次に反応の温度をそれらの最終インキュベーション温度に低下した。オリゴヌクレオチド30-12および19-12は標的ストランドの5’末端から85ヌクレオチドおよび27ヌクレオチドである基質DNAの領域にハイブリッドを形成することができる。
図21は完全206-mer配列(配列番号32)を示す。206-merをPCRにより作製した。New England Biolabs(それぞれ、カタログ番号1233および1224)からのM13/pUC 24-mer逆配列決定用(-48)プライマーおよびM13/pUC配列決定用(-47)プライマーを、標的配列を含む鋳型(10ng)としてpGEM3z(f+)プラスミドベクター(Promega Corp.)とともに使用した(それぞれ50pmole)。PCRの条件は以下のとおりであった。100μlの20mM Tris-Cl、pH8.3、1.5mM MgCl2、0.05%Tween-20および0.05%NP-40を含む50mM KCl中50μMのそれぞれのdNTPおよび2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ。反応を95℃で45秒、63℃で45秒、次に72℃で75秒で35回サイクルした。サイクリング後に、反応を72℃で5分間インキュベーションして終わらせた。得られる断片を(45mM Tris-Borate、pH8.3、1.4mM EDTA)の緩衝液中6%ポリアクリルアミドゲル(29:1架橋)による電気泳動により精製し、エチジウムブロミド染色またはオートラジオグラフィーにより視覚化し、ゲルから切除し、受動拡散により溶離し、エタノール沈殿により濃縮した。
基質DNAの開裂はパイロットオリゴヌクレオチド19-12の存在下で50℃で起こったが(図12B、レーン1および7)、75℃では起こらなかった(レーン4および10)。オリゴヌクレオチド30-12の存在下では、開裂が両温度で観察された。たとえ50℃で基質中の偶発構造がKClの不在下でプライマー非依存性開裂を可能にしたとしても(図12B、レーン9)、開裂は添加オリゴヌクレオチドの不在下(レーン3、6および12)または約80℃で起こらなかった。基質DNAに相補性を有しない非特異的オリゴヌクレオチドは50mM KClの不在下または存在下で50℃で開裂を誘導しなかった(レーン13および14)。こうして、開裂反応の特異性は基質に対する相補性の程度およびインキュベーションの条件により調節し得る。
D.RNAの開裂
上記のトランス開裂実験に使用した配列の短縮RNAバージョンを、その反応中の基質として利用するその能力について試験した。RNAは、パイロットオリゴヌクレオチドの存在に依存性である反応において、予想された位置で開裂する。[α−32P]UTPの存在下のT7 RNAポリメラーゼによりつくられたRNA基質は図12Bに使用したDNA基質の末端切断型に相当する。反応条件は上記DNA基質に使用した条件と同様であり、50mM KClを用いた。インキュベーションは55℃で40分間であった。使用したパイロットオリゴヌクレオチドを30-0(配列番号20)と称し、図13Aに示す。
開裂反応の結果を図13Bに示す。反応を図13Bに示されるようにDNAPTaqまたはパイロットオリゴヌクレオチドの存在下または不在下で行った。
印象的なことに、RNA開裂の場合、3’アームはパイロットオリゴヌクレオチドに必要とされない。この開裂は30塩基対の長さのRNA-DNA二重鎖に沿って幾つかの位置でRNAを切断すると予想される前記RNaseHによるとはあまり考えられない。DNAPTaqの5’ヌクレアーゼはヘテロ二重鎖領域の5’末端付近の単一部位でRNAを開裂する構造特異的RNaseHである。
驚くことに、3’アームを欠いているオリゴヌクレオチドはRNA標的の有効な開裂を誘導する際にパイロットとして作用することができる。何となれば、このようなオリゴヌクレオチドは天然DNAPを使用してDNA標的の有効な開裂を誘導することができないからである。しかしながら、本発明の幾つかの5’ヌクレアーゼ(例えば、図4に示されたクローンE、FおよびG)は3’アームの不在下でDNAを開裂することができる。換言すれば、非延長性開裂構造は耐熱性DNAに由来する本発明の幾つかの5’ヌクレアーゼによる特異的開裂に必要とされない。
本発明者らは、完全相補性プライマーの存在下のDNAPTaqによるRNA鋳型の開裂が、何故にDNAPTaqが逆転写酵素の反応に近似する反応においてRNA鋳型についてDNAオリゴヌクレオチドを延長することができないのかを説明する助けとなるか否かを試験した。別の好熱性DNAP、DNAPTthはMn++の存在下でのみであるがRNAを鋳型として使用することができ、こうして本発明者らはこの酵素がこの陽イオンの存在下でRNAを開裂しないと予想した。それ故、本発明者らはMg++またはMn++を含む緩衝液中でDNAPTaqまたはDNAPTthの存在下で適当なパイロットオリゴヌクレオチドとともにRNA分子をインキュベートした。予想されたように、両酵素はMg++の存在下でRNAを開裂した。しかしながら、DNAPTthではなくDNAPTaqはMn++の存在下でRNAを分解した。本発明者らは、多くのDNAPの5’ヌクレアーゼ活性がRNAを鋳型として使用できないことに寄与し得ると結論した。
実施例2
耐熱性DNAポリメラーゼ由来5’ヌクレアーゼの生成
本発明の検出アッセイにおけるDNA開裂中の望ましくない副反応である活性である合成活性を低下したが、耐熱性ヌクレアーゼ活性を維持した耐熱性DNAポリメラーゼを生成した。結果物は極めて特異的に核酸DNAを開裂する耐熱性ポリメラーゼである。
テルムス属の真正細菌からのDNAポリメラーゼA型は広範囲のタンパク質配列同一性(DNAStar,WIからのDNA分析ソフトウェアでLipman-Pearson方法を使用して、重合ドメイン中90%)を共有し、重合およびヌクレアーゼアッセイの両方で同様に挙動する。それ故、本発明者らはこのクラスの代表としてテルムス アクアティカス(DNAPTaq)およびテルムス フラブス(DNAPTfl)のDNAポリメラーゼの遺伝子を使用した。その他の真正細菌生物、例えば、テルムス テルモフィルス、テルムスsp.、テルモトガ マリチマ、テルモシフォアフリカヌスおよびバチルス ステアロテルモフィルス、からのポリメラーゼ遺伝子が同等に好適である。これらの好熱性生物からのDNAポリメラーゼは高温で生存し、行動することができ、こうして温度が核酸ストランドの非特異的ハイブリダイゼーションに対する選択手段として使用される反応に使用し得る。
下記の欠失突然変異誘発に使用した制限部位を便宜上選択した。同様の便宜にある異なる部位がテルムス テルモフィルス遺伝子中で利用でき、関連生物からのその他の型Aポリメラーゼ遺伝子と同様の構造をつくるのに使用し得る。
A.5’ヌクレアーゼ構造体の作製
1.修飾DNAPTaq遺伝子
第一工程は誘導プロモーターの制御下でプラスミドについてTaqDNAポリメラーゼの修飾遺伝子を入れることであった。修飾Taqポリメラーゼ遺伝子を以下のようにした単離した。TaqDNAポリメラーゼ遺伝子を、配列番号13-14に記載されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して、テルムス アクアティカス、株YT-1(Lawyerら,上記文献)からのゲノムDNAからポリメラーゼ連鎖反応により増幅した。得られるDNAの断片はコード配列の5’末端に制限エンドヌクレアーゼEcoRIの認識配列を有し、3’末端にBglII配列を有する。BglIIによる開裂はBamHIにより生じた末端と適合性である5’オーバーハングまたは“付着末端”を残す。PCR増幅されたDNAをEcoRIおよびBamHIで消化した。ポリメラーゼ遺伝子のコード領域を含む2512bp断片をゲル精製し、次に誘導プロモーターを含むプラスミドにつないだ。
本発明の一実施態様では、ハイブリッドtrp-lac(tac)プロモーターを含む、pTTQ18ベクターを使用し[M.J.R.Stark, Gene 5:255(1987)]、図14に示す。tacプロモーターはE.coli lacリプレッサーの制御下にある。抑制は、細菌増殖の所望のレベルに達するまで、抑制すべき遺伝子産物の合成を可能にし、その時点で抑制が特異的インデューサー、イソプロピル−b−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加により除去される。このような系が形質転換体の増殖を遅延または阻止し得る外来タンパク質の発現を可能にする。
tacの如き細菌プロモーターは、それらが多数のコピープラスミドに存在する時には適当に抑制されないかもしれない。高度に毒性のタンパク質がこのようなプロモーターの制御下に置かれる場合、制御を免れる少量の発現が細菌に有害であり得る。本発明の別の実施態様では、クローン化遺伝子産物の合成を抑制するための別の選択肢を使用した。プラスミドベクター系列pET-3中に見られるバクテリオファージT7からの非細菌プロモーターを使用してクローン化変異体Taqポリメラーゼ遺伝子を発現した[図15;StudierおよびMoffatt, J.Mol.Biol. 189: 113(1986)]。このプロモーターはT7 RNAポリメラーゼのみにより転写を開始する。BL21(DE3)pLYSの如き好適な株中で、このRNAポリメラーゼの遺伝子がlacオペレーターの制御下で細菌ゲノムで運ばれる。このアレンジメントは、多数のコピー遺伝子の発現(プラスミドに関する)がT7 RNAポリメラーゼの発現に完全に依存し、これが容易に抑制されるという利点を有する。何となれば、それは単一コピー中に存在するからである。
pTTQ18ベクター(図14)への結合について、Taqポリメラーゼコード領域を含むPCR産物DNA(mutTaq、クローン4B、配列番号21)をEcoRIおよびBglIIで消化し、この断片を通常の「付着末端」条件下[Sambrookら,Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, pp.1.63-1.69(1989)]でプラスミドベクターpTTQ18のEcoRI部位およびBamHI部位につないだ。この構造体の発現は、天然タンパク質の最初の二つの残基(Met-Arg)がベクターからの三つの残基(Met-Asn-Ser)により置換されている翻訳融合産物を生じるが、その天然タンパク質の残部は変化しないであろう。その構造体をE.coliのJM109株に形質転換し、形質転換体を天然タンパク質を発現する細菌の増殖を許さない不完全抑制条件下に置いた。これらの平板培養(plating)条件は増幅プロセス中のTaqポリメラーゼの不忠実度から生じるもののような既存の突然変異を含む遺伝子の単離を可能にする。
この増幅/選択プロトコルを使用して、本発明者らは突然変異したTaqポリメラーゼ遺伝子(mutTaq、クローン4B)を含むクローン(図4Bに示される)を単離した。その突然変異体を最初にその表現型により検出し、この場合、粗細胞抽出物中の温度安定性5’ヌクレアーゼ活性は通常であったが、重合活性は殆ど不在であった(野生型Taqポリメラーゼ活性の約1%未満)。
組換え遺伝子のDNA配列分析は、それが二つのアミノ酸置換をもたらすポリメラーゼドメインでの変化を有することを示した。ヌクレオチド位置1394のAからGへの変化がアミノ酸位置465(天然核酸配列およびアミノ酸配列、配列番号1および4に従ってナンバリングした)のGluからGlyへの変化を生じ、またヌクレオチド位置2260のAからGへの変化がアミノ酸位置754のGlnからArgへの変化を生じる。GlnからGlyへの突然変異は非保存位置にあるので、またGluからArgへの突然変異は既知のA型ポリメラーゼの実質上全ての中に保存されるアミノ酸を変化させるので、この後者の突然変異はおそらくこのタンパク質の合成活性が減少する原因となる突然変異である。図4B構築物のヌクレオチド配列を配列番号21に示す。この配列によってコードされる酵素をクリーブアーゼ▲R▼A/Gと呼ぶ。
次に、DNAPTaq構築物の誘導体をmutTaq遺伝子からつくり、こうして、それらは、これらの特別な領域が欠失されない限り、それらのその他の変化の他にこれらのアミノ酸置換を全て有する。これらの突然変異部位を図4中の図式中のこれらの位置において黒色ボックスにより示す。図4中、表示“3’Exo”を使用してDNAPTaq中に存在しないA型ポリメラーゼと関連する3’エキソヌクレアーゼ活性の位置を示す。図4E、FおよびGに示された遺伝子以外の全ての構築物をpTTQ18ベクター中で作製した。
図4EおよびF中の遺伝子について使用したクローニングベクターは上記の市販のpET-3系列からのものであった。このベクター系列はT7プロモーターの下流のクローニング用のBamHI部位のみを有するが、その系列は三つのリーディングフレームのいずれへのクローニングも可能にする変異体を含む。上記PCR産物のクローニングについて、pET-3cと称した変異体を使用した(図15)。そのベクターをBamHIで消化し、仔ウシ腸ホスファターゼで脱リン酸し、DNAPEclおよびdNTPのクレノウ断片を使用して付着末端にフィルインした。図4Bに示された変異体TaqDNAP(mutTaq、クローン4B)の遺伝子をEcoRIおよびSalIによる消化によりpTTQ18から放出し、ベクターで行ったように“付着末端”をフィルインした。その断片を標準的な平滑末端条件(Sambrookら,Molecular Cloning,上記文献)下でベクターに連結し、その構築物をE.coliのBL21(DE3)pLYS株に形質転換し、単離物をスクリーニングして、プロモーターに対して適当な配向で遺伝子と連結した単離物を同定した。この構築物により別の翻訳融合産物を生じ、この場合、DNAPTaqの最初の二つのアミノ酸(Met-Arg)がベクターから13個+PCRプライマーから2個により置換される(Met-Ala-Ser-Met-Thr-Gly-Gly-Gln-Gln-Met-Gly-Arg- Ile-Asn-Ser)(配列番号29)。
本発明者らの目標は、DNAを合成する能力を欠いているが、5’ヌクレアーゼ活性を有する、核酸を開裂する能力を保持する酵素を作製することであった。DNAのプライマーを用いた鋳型合成の作用は実際に一連の調整された現象であり、こうしてその他の現象に影響しないで一つの現象を乱すことによりDNA合成を不能にすることができる。これらの工程としては、プライマー認識および結合、dNTP結合およびヌクレオチド間のホスホジエステル結合の触媒作用が挙げられるが、これらに限定されない。DNAPEcIの重合ドメイン中のアミノ酸の幾つかがこれらの機能に関連していたが、正確なメカニズムはまだ十分には明らかにされていない。
DNAポリメラーゼの重合能力を破壊する一つの方法はそのタンパク質についてそのドメインをコードする遺伝子セグメントの全部または一部を欠失させるか、またはそうでない場合には遺伝子が完全重合ドメインをつくることができないようにすることである。個々の変異型酵素は細胞内および細胞外の両方で安定性および溶解性が互いに異なる可能性がある。例えば、DNAPEcIの5’ヌクレアーゼドメイン(これは穏やかなタンパク質分解により重合ドメインから活性型で放出され得る[SetlowとKornberg, J.Biol.Chem. 247:232(1972)])とは対照的に、テルムス(Thermus)ヌクレアーゼドメインは、同様に処理すると、可溶性が減少し、その開裂活性がしばしば失われる。
出発物質として図4Bに示された変異体遺伝子を使用して、幾つかの欠失構築物を作出した。クローニング技術はすべて標準的なものであり(Sambrookら,上記文献)、簡単にまとめると以下のようになる。
図4C: mutTaq構築物をPstIで消化し、示されるようにポリメラーゼコード領域内で1回切断し、そのベクターの多重クローニング部位で遺伝子の少し下流で切断する。これらの二つの部位の間の断片の放出後に、ベクターを再度連結して、894-ヌクレオチド欠失を生じさせ、フレーム中の結合の下流に終止コドン40ヌクレオチドを入れた。この5’ヌクレアーゼ(クローン4C)のヌクレオチド配列を配列番号9に示す。
図4D: mutTaq構築物をNheIで消化し、これは遺伝子中の位置2047で1回切断する。得られる4ヌクレオチド5’突出部末端を上記のようにしてフィルインし、平滑末端を再度連結した。得られる4ヌクレオチド挿入はリーディングフレームを変化させ、突然変異の10アミノ酸下流で翻訳の終止させる。この5’ヌクレアーゼ(クローン4D)のヌクレオチド配列を配列番号10に示す。
図4E: EcoRIおよびSalIを使用して、完全mutTaq遺伝子をpTTQ18から切断し、上記のようにしてpET-3cにクローン化した。このクローンを、図4Eに示されたように位置している特有の部位でBstXIおよびXcmIで消化した。そのDNAをDNAPEc1およびdNTPのクレノウ断片で処理し、両部位の3’突出部をトリミングして平滑末端とした。これらの平滑末端を一緒に連結し、1540ヌクレオチドのアウト−オブ−フレーム(out-of-frame)欠失をもたらした。イン−フレーム終止コドンが結合部位の18トリプレット後に生じる。この5’ヌクレアーゼ(クローン4E)のヌクレオチド配列を配列番号11に示し、適当なリーダー配列を配列番号30に示す。それはまたクリーブアーゼ▲R▼BXと称される。
図4F: EcoRIおよびSalIを使用して、完全mutTaq遺伝子をpTTQ18から切断し、上記のようにしてpET-3cにクローン化した。このクローンを、図示されたように位置している特有の部位でBstXIおよびBamHIで消化した。そのDNAをDNAPEc1およびdNTPのクレノウ断片で処理し、両部位の3’突出部をトリミングして平滑末端とし、一方、BamHI部位の5’突出部をフィルインして平滑末端とした。これらの末端を一緒に連結し、903ヌクレオチドのイン−フレーム欠失をもたらした。この5’ヌクレアーゼ(クローン4F)のヌクレオチド配列を配列番号12に示す。それはまたCleavase▲R▼BBと称される。
図4G: このポリメラーゼは図4Eに示されたポリメラーゼの変異体である。それをプラスミドベクターpET-21(Novagen)にクローン化した。このベクター中に見られるバクテリオファージT7由来の非細菌プロモーターはT7 RNAポリメラーゼによらなければ転写を開始しない。StudierとMoffatt,上記文献を参照のこと。(DES)pLYSのような適した株中で、このRNAポリメラーゼの遺伝子がlacオペレーターの制御下で細菌ゲノムによって運ばれる。この配置は、多重コピー遺伝子の発現(プラスミド上での)がT7 RNAポリメラーゼの発現に完全に依存性し、これが容易に抑制されるという利点を有する。なぜなら、それが単一コピー中に存在するからである。これらの変異体遺伝子の発現がこのしっかりと制御されたプロモーターのもとで起こるので、宿主細胞に対する発現されたタンパク質の毒性の潜在的な問題は関心事ではない。
また、pET-21ベクターは、発現されたタンパク質のカルボキシ末端に付加される6連続ヒスチジン残基の広がりである“His-タグ”を特徴とする。次に得られるタンパク質が、固定されたNi++イオンを含む市販(Novagen)カラム樹脂を使用して金属キレート化クロマトグラフィーにより単一工程で精製できる。2.5mlカラムが再使用可能であり、天然の条件または変性(グアニジン-HClまたは尿素)条件下で20mgまでの標的タンパク質を結合することができる。
通常の形質転換技術を使用して、E.coli(DES)pLYS細胞を上記構築物で形質転換し、通常の増殖培地(例えば、Luria-Bertaniブロス)に接種するのに使用する。T7 RNAポリメラーゼの産生をIPTGの添加により対数期増殖中に誘導し、更に12〜17時間インキュベートする。培養物のアリコートを誘導の前後に取り出し、タンパク質をSDS-PAGEにより試験する。外来タンパク質が細胞タンパク質の約3〜5%を占め、かつ主要宿主タンパク質バンドのいずれとも共泳動しない場合、クーマシーブルーによる染色が外来タンパク質の視覚化を可能にする。主要宿主タンパク質と同時泳動するタンパク質は、分析のこの段階で見られるためには全タンパク質の10%以上として発現される必要がある。
幾つかの変異体タンパク質は細胞により封入体中に取り込まれる。これらは細菌が高レベルの外来タンパク質を発現するように作出された時に細胞質中で形成される顆粒であり、それらを粗溶解産物から精製し、SDS-PAGEにより分析してそれらのタンパク質含量を測定できる。クローン化タンパク質が封入体中に存在する場合、それは開裂活性およびポリメラーゼ活性を評価するために放出される必要がある。様々な可溶化方法が様々なタンパク質に適しており、種々の方法が知られている。例えば、Builder &Ogezの米国特許第4,511,502号(1985); Olsonの米国特許第4,518,526号(1985); Olson &Paiの米国特許第4,511,503号(1985); Jonesらの米国特許第4,512,922号(1985)を参照のこと。これらの全てが参考として本明細書に含まれる。
次に可溶化タンパク質を、製造業者(Novagen)の指示に従って上記のようにしてNi++カラムで精製する。洗浄したタンパク質をイミダゾール競合物質(1M)と高塩(0.5M NaCl)の組み合わせによりカラムから溶離し、透析して緩衝液を交換し、変性タンパク質を再生させる。典型的な回収は出発培養液1m1当たり約20μgの特定タンパク質をもたらす。DNAP変異体をCleavase▲R▼BNヌクレアーゼと称し、その配列を配列番号31に示す。配列番号31のDNA配列を翻訳することにより、Cleavase▲R▼BNヌクレアーゼのアミノ案配列を得る。
2.修飾DNAPTfl遺伝子
テルムス・フラバスのDNAポリメラーゼ遺伝子をATCCから入手した“T.フラバス”AT-62株(ATCC 33923)から単離した。この株はAkhmetzjanovおよびVakhitov,上記文献により公表された配列を生成するのに使用されたT.フラバスとは異なる制限地図を有する。公表された配列を配列番号2に示す。T.フラブスのAT-62株からのDNAポリメラーゼ遺伝子についての配列データは公表されていなかった。
T.アクアティカスDNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号13-14)を増幅するのに使用したのと同じプライマーを使用して、T.フラバスからのゲノムDNAを増幅した。約2500塩基対PCR断片をEcoRIおよびBamHIで消化した。突出末端をDNAPEc1クレノウ断片およびdNTPで平滑にした。N末端のコード領域を含む、得られた約1800塩基対断片を上記のようにしてpET-3cに連結した。この構築物、クローン5Bを図5Bに示す。野生型T.フラブスDNAポリメラーゼ遺伝子を図5Aに示す。5BクローンはpET-3cにクローン化されたDNAPTaqクローン4EおよびFと同じリーダーアミノ酸を有する。翻訳終止がどこで起こるのかは正確には知られていないが、そのベクターはクローニング部位のすぐ下流に強い転写終止シグナルを有する。
B.形質転換された細胞の増殖および誘導
通常の形質転換技術を使用して、細菌細胞を上記構築物で形質転換し、通常の増殖培地(例えば、Luria-Bertaniブロス)2mlに接種するのに使用した。得られた培養物は使用した特定の株に適するようにインキュベートし、特定の発現系に必要とされるのであれば誘導した。図4および5に示した構築物の全てについては、培養物を0.5ODの光学密度(波長600nm)まで増殖させた。
クローン化遺伝子の発現を誘導するために、培養物を0.4mM IPTGの最終濃度にし、インキュベーションを12〜17時間続けた。それぞれの培養液の50μlアリコートを誘導の前後に取り出し、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)のために通常のゲルローディング緩衝液20μlと合わせた。外来タンパク質が細胞タンパク質の約3〜5%を占め、主要E.coliタンパク質バンドのいずれとも共泳動しない場合、クーマシーブルーによるその後の染色(Sambrookら,上記文献)は外来タンパク質の視覚化を可能にする。主要宿主タンパク質と共泳動するタンパク質は、分析のこの段階で見られるためには全タンパク質の10%以上として発現される必要がある。
C.熱溶解および分画化
粗細菌細胞抽出物を加熱して、それ程安定ではないE.coliタンパク質を変性および沈殿させることにより、発現された耐熱性タンパク質、すなわち5’ヌクレアーゼを単離した。次に沈殿したE.coliタンパク質をその他の細胞破砕物とともに遠心分離により除去した。培養液1.7mlを12,000〜14,000rpmで30〜60秒の微量遠心分離によりペレット化した。上清の除去後に、細胞を緩衝液A(50mM Tris-HCl、pH7.9、50mMデキストロース、1mM EDTA)400μl中で再度懸濁させ、再度遠心分離し、次に4mg/mlリゾチームとともに緩衝液A80μl中で再度懸濁させた。細胞を室温で15分間インキュベートし、次に緩衝液B(10mM Tris-HCl、pH7.9、50mM KCl、1mM EDTA、1mM PMSF、0.5%Tween-20、0.5%Nonidet-P40)80μlと合わせた。
この混合物を75℃で1時間インキュベートして宿主タンパク質を変性し、沈殿させた。この細胞抽出物を4℃で14,000rpmで15分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。この上清0.5〜1μlのアリコートをそれぞれの試験反応に直接使用し、7μlを上記のようにして電気泳動分析にかけることにより、抽出物のタンパク質含量を測定した。もとの組換えTaq DNAポリメラーゼ[Englke, Anal.Biochem 191:396(1990)]、および図4Bに示した二点突然変異タンパク質は両方ともこの時点で可溶性かつ活性である。
外来タンパク質は封入体への細胞による外来タンパク質の取込みのために熱処理後に検出されないことがある。これらは、細菌が高レベルの外来タンパク質を発現するように作出された時に細胞質中で形成される顆粒であり、それらを粗溶解産物から精製し、SDS PAGEで分析してそれらのタンパク質含量を測定し得る。多くの方法が文献に記載されており、一つのアプローチが以下に記載される。
D.封入体の単離および可溶化
小培養物を増殖させ、上記のようにして誘導した。1.7mlアリコートを短時間の遠心分離によりペレット化し、細菌細胞を溶解緩衝液(50mM Tris-HCl、pH8.0、1mM EDTA、100mM NaCl)100μl中で再度懸濁させた。20mM PMSF 2.5μlを0.5mMの最終濃度で添加し、リゾチームを1.0mg/mlの濃度まで添加した。細胞を室温で20分間インキュベートし、デオキシコール酸を1mg/ml(100mg/ml溶液1μl)まで添加し、その混合物を約15分間または粘稠になるまで37℃でインキュベートした。DNAse Iを10μg/mlまで添加し、その混合物を室温で約30分間またはそれが最早粘稠ではなくなるまでインキュベートした。
この混合物から、封入体を4℃で14,000rpmで15分間遠心分離により回収し、上清を捨てた。ペレットを10mM EDTA(pH8.0)および0.5%Triton X-100を含む溶解緩衝液100μl中で再度懸濁させた。室温で5分後、封入体を前記のようにしてペレット化し、上清をその後の分析のために貯蔵した。封入体を蒸留水50μl中で再度懸濁させ、5μlをSDSゲルローディング緩衝液(これは封入体を溶解する)と合わせ、上清のアリコートとともに電気泳動で分析した。
クローン化タンパク質が封入体中に存在する場合は、開裂活性およびポリメラーゼ活性を評価するためにそれを放出させる。可溶化の方法は特定の活性と適合性である必要がある。様々な可溶化方法が様々なタンパク質に適しており、種々の方法がMolecular Cloning(Sambrookら,上記文献)に説明されている。以下は、本発明者らが本発明者らの単離物の幾つかに使用した改良法である。
封入体−水懸濁液20μlを室温で4分間にわたって14,000rpmで遠心分離によりペレット化し、上清を捨てた。封入体を更に洗浄するために、ペレットを2M尿素を含む溶解緩衝液20μl中で再度懸濁させ、室温で1時間インキュベートした。次に洗浄した封入体を8M尿素を含む溶解緩衝液2μl中で再度懸濁させた。封入体が溶解するにつれて、その溶液が目視で透明になった。未溶解破砕物を室温で4分間にわたって14,000rpmで遠心分離により除去し、抽出物上清を新しいチューブに移した。
尿素濃度を低下させるために、抽出物をKH2PO4中で希釈した。180μlの50mM KH2PO4(pH9.5)、1mM EDTAおよび50mM NaClを含む新しいチューブを調製した。抽出物のアリコート2μlを添加し、素早くボルテックスして混合した。抽出物の全てが合計10回の添加で添加されてしまうまで、この工程を繰り返した。その混合物を室温で15分間放置し、その間にしばしば若干の沈殿が生じる。沈殿を室温で15分間にわたって14,000rpmで遠心分離により除去し、上清を新しいチューブに移した。KH2PO4溶液中200μlのタンパク質に、飽和(NH42SO4 140-200μlを添加し、その結果、得られる混合物は約41%〜50%飽和(NH42SO4であった。その混合物を氷で30分間冷却してタンパク質を沈殿させ、次にタンパク質を室温で4分間にわたって14,000rpmで遠心分離により回収した。上清を捨て、ペレットを緩衝液C(20mM HEPES(pH7.9)、1mM EDTA、0.5%PMSF、25mM KClおよびそれぞれ0.5%のTween-20およびNonidet P40)20μlに溶解した。タンパク質溶液を再度4分間にわたって遠心分離して不溶性物質をペレット化し、上清を新しいチューブに分離した。1〜4μlをSDS-PAGEにより分析することにより、この方法で調製した抽出物のタンパク質含量を視覚化した。抽出物0.5〜1μlは記載したような開裂アッセイおよび重合アッセイで試験した。
E.ヌクレアーゼの存在および合成活性に関するタンパク質分析
上記され、図4および5に示された5’ヌクレアーゼを下記の方法により分析した。
1.構造特異的ヌクレアーゼアッセイ
候補である修飾ポリメラーゼを、構造体特異的開裂を触媒するその能力を試験することにより、5’ヌクレアーゼ活性について試験した。本明細書に使用される“開裂構造体”という用語は、DNAPの5’ヌクレアーゼ活性による開裂のための基質である核酸構造体を意味する。
ポリメラーゼを図16に示された構造を有する試験複合体に曝す。5’ヌクレアーゼ活性に関する試験は三つの反応を伴う。1)プライマー特異的開裂(図16B)を行う。何となれば、それが反応の塩濃度の変化に対し比較的非感受性であり、それ故、修飾酵素が活性に必要とするどのような溶質条件でも行い得るからである。これは、一般に未修飾ポリメラーゼに好適な条件と同じである。2)同様のプライマー特異的開裂をプライマー非依存性開裂を可能にする緩衝液、すなわち、酵素がこれらの条件下で生存することを実証するための低塩濃度緩衝液中で行い、かつ3)プライマー非依存性開裂(図16A)を同じ低塩濃度緩衝液中で行う。
分岐二重鎖を図16に示した基質鎖と鋳型鎖の間で形成する。本明細書に使用される“基質鎖”という用語は、5’ヌクレアーゼ活性により仲介される開裂が起こる核酸鎖を意味する。基質鎖は5’ヌクレアーゼ開裂の基質として利用できる分岐複合体中の上側の鎖として常に示される(図16)。本明細書に使用される“鋳型鎖”という用語は、基質鎖に少なくとも部分相補的であり、基質鎖にアニールして開裂構造体を形成する核酸の鎖を意味する。鋳型鎖は分岐開裂構造体の下側の鎖として常に示される(図16)。プライマー依存性開裂が試験される時のように、プライマー(長さ19〜30ヌクレオチドの短いオリゴヌクレオチド)を複合体に添加する場合、鋳型鎖の3’腕にアニールするように設計される(図16B)。その反応に使用されるポリメラーゼが合成活性を有する場合、このようなプライマーは鋳型鎖に沿って伸長されるはずである。
開裂構造体は一本鎖ヘアピン分子としてつくられてもよく、標的の3’末端および図16Eに示すようなループとして結合されたパイロットの5’末端を有する。また、これらの試験には、3’腕に相補的のプライマーオリゴヌクレオチドが必要とされ、その結果、プライマーの存在に対する酵素の感受性を試験し得る。
試験開裂構造体を形成するのに使用される核酸は化学的に合成でき、または通常の組換えDNA技術により作製し得る。後者の方法により、その分子のヘアピン部分は、互いに隣接するが逆向きの短いDNAセグメントの二重コピーをクローニングベクターに挿入することによりつくることができる。次に、この逆向きのリピートを含み、短い(約20ヌクレオチド)の対を形成していない5’腕および3’腕を得るのに充分なフランキング配列を含む二本鎖断片が、制限酵素消化、または5’エキソヌクレアーゼを欠いている酵素(例えば、AmpltaqTMDNAポリメラーゼのStoffel断片、VentTMDNAポリメラーゼ)で行われるPCRによりベクターから放出し得る。
試験DNAは、放射性同位元素または非同位元素タグで、いずれかの末端、または内部を標識し得る。ヘアピンDNAが合成一本鎖またはクローン化二本鎖であるかを問わないで、DNAを使用前に加熱して全ての二重鎖を溶融する。氷上で冷却した時、図16Eに示された構造体が形成され、この構造体はこれらのアッセイを行うのに充分な時間、安定である。
プライマー特異的開裂(反応1)について試験するために、検出可能な量の試験分子(典型的には1-100fmoleの32P標識ヘアピン分子)および10〜100倍モル過剰のプライマーを、試験酵素と適合性であることが知られている緩衝液に入れる。反応2について、プライマー特異的開裂がプライマー非依存性開裂を可能にする条件下で行われる場合、同じ量の分子を、pH、酵素安定剤(例えば、ウシ血清アルミン、ノニオン系界面活性剤、ゼラチン)および還元剤(例えば、ジチオスレイトール、2−メルカプトエタノール)に関して反応1に使用された緩衝液と同じであるが、1価陽イオン塩を20mM KClで置換する溶液に入れる。20mM KClがプライマー非依存性開裂に最適と実証されている。塩の非存在下で通常作用するDNAPEc1の如き酵素のための緩衝液は、この濃度を達成するためには添加しない。プライマー非依存性開裂(反応3)について試験するために、プライマーではなく、同じ量の試験分子を反応2に使用されたのと同じ緩衝条件のもとに一緒にする。
次に三つの反応全てを、酵素対試験複合体のモル比が約1:1であるのに充分な酵素にさらす。酵素安定性または複合体安定性により許容される温度以下の範囲の温度(これは好熱性菌からの酵素にとって80℃以下である)で、開裂を可能にするのに充分な時間(10〜60分)、反応液をインキュベートする。反応1、2および3の産物を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、オートラジオグラフィーまたは使用した標識系に適した同等な方法により視覚化する。別の標識系として、ケミルミネセンス検出、銀染色またはその他の染色、ブロッティングおよびプロービング等が挙げられる。開裂産物の存在は、未開裂試験構造体よりも低分子量で移動する分子の存在により示す。これらの開裂産物は、候補のポリメラーゼが構造特異的5’ヌクレアーゼ活性を有することを示す。
修飾DNAポリメラーゼが天然DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性と実質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性を有するか否かを測定するために、上記試験の結果を天然DNAポリメラーゼを用いて行ったこれらの試験から得られた結果と比較する。“実質的に同じ5’ヌクレアーゼ活性”は、修飾ポリメラーゼおよび天然ポリメラーゼが両方とも同じ様式で試験分子を開裂することを意味する。修飾ポリメラーゼが天然DNAポリメラーゼと同じ速度で開裂することは必要ではない。
幾つかの酵素または酵素調製物は、上記開裂条件の下で機能性であり、かつ5’ヌクレアーゼ検出を妨害し得る、他の関連した活性または夾雑物による活性(contaminating activity)を有し得る。反応条件は、基質の分解、または5’ヌクレアーゼ開裂およびその産物の他のマスキングを回避するために、これらのその他の活性を考慮して改良し得る。例えば、E.coliのDNAポリメラーゼI(Pol I)は、そのポリメラーゼ活性および5’ヌクレアーゼ活性の他に、DNAを3’から5’方向に分解し得る3’エキソヌクレアーゼ活性を有する。従って、図16E中の分子が上記条件下でこのポリメラーゼにさらされる時、3’エキソヌクレアーゼ活性は対を形成していない3’腕を速やかに除去して、5’エキソヌクレアーゼ開裂の基質に必要とされる分岐構造体を破壊し、開裂は検出されない。その構造体を開裂するPol Iの真の能力は、3’エキソヌクレアーゼが、条件(例えば、pH)の変化、突然変異、またはその活性にとっての競合物質の添加により阻害される場合に、明らかにし得る。Pol Iによる開裂反応に対して、図16E構造体に無関係の、500pmoleの一本鎖競合オリゴヌクレオチドを添加すると、5’腕の5’エキソヌクレアーゼの遊離を妨害せずに、図16E構造体の3’腕の消化が有効に抑制される。競合物質の濃度は重要ではないが、その反応の期間にわたって3’エキソヌクレアーゼを占有するのに充分に高くすべきである。
試験分子の同様の分解は、候補ポリメラーゼ調製物中の混入成分により引き起こされるかもしれない。構造体特異的ヌクレアーゼ反応を、候補ヌクレアーゼの純度を測定し、研究されるポリメラーゼ調製物への試験物質の過剰暴露および過少暴露の間のウィンドウを見出すために、幾つかのセットで実行することができる。
上記の修飾ポリメラーゼを、以下のようにして5’ヌクレアーゼ活性について試験した。反応1を、10mM Tris-HCl(pH8.5)、20℃、1.5mM MgCl2および50mM KClの緩衝液中で行い、反応2では、KCl濃度を20mMに低下させた。反応1および2では、図16Eに示された試験基質分子10fmoleを1pmoleの指示されたプライマーおよび修飾ポリメラーゼを含む抽出物(上記のようにして調製した)0.5〜1.0μlと合わせた。次にこの混合物を、55℃で10分間インキュベートした。試験した変異体ポリメラーゼの全てについて、これらの条件は完全な開裂を得るのに充分であった。図16Eに示された分子を5’末端で標識した時、25ヌクレオチド長の遊離された5’断片を20%ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)で簡易に分離した。クローン3C-Fおよび4Bは、未修飾DNAポリメラーゼの開裂に匹敵する構造特異的開裂を示した。更に、クローン3E、3Fおよび3Gは、上記のように3’腕の非存在下でDNAを開裂する、付加された能力を有する。代表的な開裂反応を図17に示す。
図17に示された反応について、変異体ポリメラーゼクローン3E(Taq変異体)および4B(Tfl変異体)を、図16Eに示されたヘアピン基質分子を開裂するそれらの能力について試験した。基質分子を5’末端で32P標識した。10fmoleの熱変性した、末端標識基質DNAおよび0.5ユニットのDNAPTaq(レーン1)もしくは0.5μlの3Eもしくは4B抽出物(図17、レーン2−7、抽出物を上記のようにして調製した)を、10mM Tris-HCl(pH8.5)、50mM KClおよび1.5mM MgCl2を含む緩衝液中で一緒に混合した。最終反応容積は10μlであった。レーン4および7に示された反応液はその他に50μMのそれぞれのdNTPを含む。レーン3、4、6および7に示された反応液は、0.2μMのプライマーオリゴヌクレオチド(基質の3’腕に相補的かつ図16Eに示される)を含む。反応液を55℃で4分間インキュベートした。反応を反応容積10μl当たり8μlの添加により停止した。次にサンプルを12%変性アクリルアミドゲルにアプライした。電気泳動後に、ゲルをオートラジオグラフィーにかけた。図17は、クローン3Eおよび4Bが天然DNAPTaqの活性と同様の開裂活性を示すことを示す。或る種の開裂がプライマーの非存在下でこれらの反応中に起こることを注目されたい。ここに使用した構造体(図16E)の如き長いヘアピン構造体を、50mM KClを含む緩衝液中で行われる開裂反応に使用する時、低レベルのプライマー非依存性開裂が見られる。更に高い濃度のKClはこれらの条件下でこのプライマー非依存性開裂を抑制するが、排除しない。
2.合成活性に関するアッセイ
修飾酵素をアッセイ系に添加することにより、修飾酵素またはタンパク質分解断片の能力を評価する。このアッセイ系では、プライマーが鋳型にアニールし、DNA合成が添加酵素により触媒される。多くの標準的な実験技術でこのようなアッセイが使用される。例えば、ニックトランスレーションおよび酵素の配列決定は、ポリメラーゼ分子によるDNA鋳型に沿ったプライマーの伸長を伴う。
修飾酵素の合成活性を測定するのに好ましいアッセイでは、オリゴヌクレオチドプライマーを一本鎖DNAの鋳型(例えば、バクテリオファージM13DNA)にアニールし、プライマー/鋳型二重鎖を、当該修飾ポリメラーゼ、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)並びに未修飾酵素または天然酵素に適していることが知られている緩衝液および塩の存在下でインキュベートする。プライマー伸長(変性ゲル電気泳動による)またはdNTP取込み(酸沈殿またはクロマトグラフィーによる)の検出が、活性ポリメラーゼの指標である。同位元素標識または非同位元素標識がプライマーまたはdNTPとして含まれ、重合産物の検出を促進することが好ましい。合成活性は成長するDNA鎖に取込まれた遊離ヌクレオチドの量として定量され、特定反応条件下である単位時間当たりで取込まれた量として表される。
合成活性に関するアッセイの代表的な結果を図18に示す。変異体DNAPTaqクローン4B-Fの合成活性を以下のようにして試験した。下記の緩衝液のマスター混合物をつくった。1.2X PCR緩衝液(1X PCR緩衝液は、50mM KCl、1.5mM MgCl2、10mM Tris-Cl、pH8.5、およびそれぞれ0.05%のTween 20およびNonidet P40)、それぞれ50μMのdGTP、dATPおよびdTTP、5μM dCTPおよび0.125μMの600Ci/mmolのα-32P-dCTPを含有する。この混合物をその最終容積に調節する前に、それを二つの等しいアリコートに分けた。このアリコートの一方に、50μlのまでの水を加えて上記の濃度とした。他方には、一本鎖M13mp18 DNA(約2.5pmoleまたは0.05μM最終濃度)および250pmoleのM13配列決定プライマー(5μM最終濃度)および蒸留水を加えて、最終容量を50μlとした。それぞれのカクテルを75℃に5分間温め、次に室温まで冷却した。これにより、DNAを含む混合物中で、プライマーをDNAにアニールさせた。
それぞれのアッセイについて、DNAを含むカクテル4μlを、記載されたようにして調製された変異体ポリメラーゼ1μl、または1ユニットのDNAPTaq(Perkin Elmer)を含むdH2O1μlと合わせた。“DNAなし”の対照を、DNAPTaqの存在下で合わせ(図18、レーン1)、また酵素に代えて水を使用して“酵素なし”の対照を行った(レーン2)。それぞれの反応液を混合し、次に室温(約22℃)で5分間インキュベートし、次に55℃で2分間、次に72℃で2分間インキュベートした。この段階インキュベートを行って、72℃より低い至適温度を有し得るすべての突然変異体における重合を検出した。最終インキュベーション後に、チューブをさっと遠心して縮合物を回収し、氷の上に置いた。それぞれの反応液1μlをポリエチレンイミン(PEI)セルロース薄層クロマトグラフィープレートの下端から1.5cmの位置にオリジンとしてスポットし、乾燥させた。緩衝液のフロントがオリジンから約9cm上がるまで、クロマトグラフィープレートを0.75M NaH2PO4(pH3.5)中に置いた。プレートを乾燥させ、プラスチックラップで包み、蛍光インキでマークし、X線フィルムに露光した。最初にスポットした位置にとどまっているカウントとして取込みを検出し、一方、取込まれなかったヌクレオチドはオリジンからこの塩溶液により移動された。
二つの対照レーンでのカウントの位置の比較により、変異体調製物中の重合活性の欠如を確認した。修飾DNAPTaqクローンの中で、クローン4Bのみが図18に示されるように残存合成活性を保持する。
実施例3
耐熱性DNAポリメラーゼに由来する5’ヌクレアーゼが短いヘアピン構造体を特異的に開裂させることができる
ヘアピン構造体を開裂させて、検出分子として適した開裂されたヘアピン構造体を作製する5’ヌクレアーゼの能力を試験した。ヘアピン試験分子の構造および配列を図19A(配列番号15)に示す。ヘアピン試験分子の3’腕上で、その相補的配列にアニールしたオリゴヌクレオチド(図19A中のプライマー、配列番号22)を示す。ヘアピン試験分子は、ポリメラーゼ連鎖反応において標識T7プロモータープライマーを使用して、32Pで単一末端標識された。標識はヘアピン試験分子の5’腕に存在し、図19A中星印により表される。
10fmoleの熱変性された末端標識ヘアピン試験分子を、0.2μMのプライマーオリゴヌクレオチド(ヘアピンの3’腕に相補的)、50μMの各dNTPおよび0.5ユニットのDNAPTaq(Perkin Elmer)または5’ヌクレアーゼを含む抽出物(上記のようにして調製した)0.5μlを、10mM Tris-HCl(pH8.5)、50mM KClおよび1.5mM MgCl2を含む総量10μlの緩衝液に添加することにより、開裂反応を行った。ルーン3、5および7に示された反応をdNTPの非存在下で行った。
反応液を55℃で4分間インキュベートした。反応を、反応量10μl当たり、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含む95%ホルムアミド8μlの添加により55℃で停止した。サンプルを加熱せず、その後に変性ポリアクリルアミドゲル(10%ポリアクリルアミド、19:1架橋、および7Mの尿素を含む89mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、2.8mM EDTA)にロードした。サンプルを加熱せずに、一本鎖ヘアピン分子および再度二重鎖にされた未開裂ヘアピン分子を分離した。
図19Bは、オリゴヌクレオチドがヘアピンの一本鎖3’腕にアニールされて開裂産物の単一種を生じる時に、検出可能な合成活性を欠いている変化されたポリメラーゼがヘアピン構造体を開裂することを示す(図19B、レーン3および4)。レーン3および4に示された、クローン4Dの如き5’ヌクレアーゼはdNTPの存在下でさえも単一の開裂産物を生じる。残存量の合成活性(野生型活性の1%未満)を保持する5’ヌクレアーゼは、多種の開裂産物を生じる。何となれば、ポリメラーゼがヘアピンの3’腕にアニールされたオリゴヌクレオチドを伸長させ、それにより開裂の部位を移動させることができるからである(クローン4B、レーン5および6)。天然DNATaqは残存合成活性を保持する変異体ポリメラーゼよりも更に多くの種の開裂産物を生じ、dNTPの存在下で、天然ポリメラーゼ中の高レベルの合成活性によりヘアピン構造体を二本鎖形態に更に変換する(図19B、レーン8)。
実施例4
トリガー/検出アッセイの試験
トリガー/検出アッセイのトリガー反応において放出され、このアッセイの検出反応において検出される型のオリゴヌクレイオチドの、能力を試験するために、図20Aに示した2つのヘアピン構造を標準的な手法におって合成した。その2つのヘアピ構造をA-ヘアピン(配列番号23)及びT-ヘアピン(配列番号24)と命名した。適切なアニールプライマー存在下での予想切断部位を矢印で示した。A-及びT-ヘアピンは、A-ヘアピン中の殆どのT残基をオミットすること及びTヘアピン中の殆どのA残基をオミットすることによって鎖内ミスフォールディングを防止するように設計した。ミスプライミング及びずれ(slippage)を防止するために、そのヘアピンは配列モチーフ中に局所的な変異を持つように設計されている(例えば、T残基に対して1又は2ヌクレオチド離して又は対にしてスペースを入れること)。そのA−及びT−ヘアピンは、pUC型のベクター中での方向性のあるクローニングに適した末端を有する二重鎖を形成するように互いにアニールされ得る。すなわち、制限酵素部位が二重鎖のループ領域中に配置され、所望によりステム領域を伸長するために用いられ得る。
試験トリガーオリゴヌクレオチドの配列を図20Bに示す。このオリゴヌクレオチオドはアルファプライマー(配列番号25)と命名する。アルファプライマーは図20Aに示したように、T-ヘアピンの3’アームに相補的である。アルファプライマーがT-ヘアピンにアニーリングすると、耐熱性DNAポリメラーゼによって認識される切断構造が形成される。T-ヘアピンの切断によって、T-ヘアピンの5’一本鎖アームが遊離し、タウプライマー(配列番号26)及び切断T-ヘアピン(図20B;配列番号27)が生じる。タウプライマーは、図20Aに示したようにA-ヘアピンの3’アームに相補的である。タウプライマーのA-ヘアピンへのアニーリングは、別の切断構造を生じる。すなわち、この第2の切断構造の切断によって、A-ヘアピンの5’一本鎖アームが遊離し、別のアルファプライマーの分子を生じ、これは次にT-ヘアピンの別の分子にアニールする。熱サイクリングはプライマーを放出し、そのため、それらは更なる切断反応において機能し得る。多数のサイクルのアニーリング及び切断が行われ得る。切断反応の産物は、プライマー及び図20Cに示される短縮化されたヘアピン構造物である。この短縮化された又は切断されたヘアピン構造物は、変性アクリルアミドゲル上での電気泳動によって非切断のヘアピンから分離され得る。
アニーリング及び切断反応は以下のようにして行われる。すなわち、10mM Tris-Cl、pH8.5、1.0 MgCl2、75mM KCl、1pmol A-ヘアピン、1pmol T-ヘアピンを含む50μlの反応溶液中で、アルファプライマーをヘアピン構造物(1pmol)に対して等モル量又は10〜106倍の範囲の希釈で加え、そして5’ヌクレアーゼ(上記のように調製した)を含む0.5μlの抽出物を加えた。アルファ及びトリガープライマーの予想される融解温度は、上記緩衝液中で60℃である。アニーリングは、その予想融解温度より少し低い55℃で行った。Perkin Elmer DNA Thermal Cyclerを用いて、反応物を55℃で30秒間アニーリングさせた。次いで、切断するために、温度を5分間かけて72℃までゆっくりと上昇させた。切断後、別のサイクルのアニーリングが生じるように、反応物を急速に55℃にした(1℃/秒)。ある範囲のサイクル数(20、40及び60サイクル)を行い、これらの各サイクル数での反応産物を分析した。切断されたヘアピン産物の蓄積がプラトーに達しないことを示すサイクル数が、定量的な結果を得ることが所望される場合に、次の測定に使用される。
所望のサイクル数の後、10μlの反応容量当り、20mM EDTA及び0.05%染色マーカーを含む95%ホルムアミド8μlを添加することによって55℃で反応を停止させる。サンプルは、変性ポリアクリルアミドゲル(10%ポリアクリルアミド、19:1架橋剤、7M尿素、89mMトリス-ホウ酸、pH8.3、2.8mM EDTA)上にロードする前には加熱しない。サンプルは、一本鎖及び再二本鎖化非切断ヘアピン分子の分離が可能となるように、加熱しなかった。
ヘアピン分子は、別々の固体支持分子(例えば、アガロース、スチレン又は磁気ビーズ)に、各ヘアピンの3’末端を介して結合され得る。所望であれば、スペーサー分子が、ヘアピンの3’末端とビーズとの間に配置され得る。ヘアピンを固体支持体に結合させる利点は、これが融解及びアニーリングのサイクルの間にA−及びT-ヘアピンが互いにハイビリダイズするのを防ぐことにある。A-及びT-ヘアピンは互いに相補的であり(図20Dに示す)、もしそれらの全長にわたって互いにアニールすることが可能であるとすれば、これは検出反応の間にアルファ及びタウプライマーへのハイブリダイゼーションに利用可能なヘアピンの量を減少させることになる。
本発明の5’ヌクレアーゼが、このアッセイに用いられる。なぜなら、それらは重要な合成活性を欠いているためである。この合成活性の欠損は、単一の切断ヘアピン産物の産生をもたらす(図19B、レーン4に示される)。多切断産物が、1)干渉する目的の合成活性の存在(図19B、レーン6及び8を参照のこと)、又は2)反応におけるプライマー非依存的切断の存在によって生じ得る。プライマー非依存的な切断の存在は、トリガー/検出アッセイにおいて、切断構造のフォークにおける異なるサイズの産物の存在によって検出される。プライマー非依存的切断は、存在する場合に、ヘアピン分子のフォーク領域における非切断ヌクレオチドの使用によって、弱められ又は抑制され得る。例えば、チオール化ヌクレオチドが、プライマー非依存的切断を防ぐフォーク領域でのいくつかのヌクレオチドを置換するのに用いられ得る。
実施例5
直鎖状核酸基質の開裂
以上から、天然(すなわち、“野生型”)耐熱性DNAポリメラーゼは特定の様式でヘアピン構造体を開裂することができ、この発見が検出アッセイに成功裏に応用できることが明らかなはずである。この実施例では、本発明の変異体DNAPを図22Aに示された3種の異なる開裂構造体に対して試験する。図22A中の構造体1は、単純な一本鎖206-merである(その調製および配列情報は先に説明した)。構造体2および3は二重鎖である。構造体2は図12A(下側)に示されたのと同じヘアピン構造体であり、一方、構造体3は構造体2のヘアピン部分が除去されている。
開裂反応液は、合計容積10μlの10mM Tris-HCl、pH8.3、100mM KClおよび1mM MgCl2中に0.01pmoleの得られた基質DNAおよび1pmoleのパイロットオリゴヌクレオチドを含んでいた。反応液を55℃で30分間インキュベートし、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含む95%ホルムアミド8μlの添加により停止した。サンプルを75℃で2分間加熱し、その直後に7M尿素を含む45mM Tris・ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液中の10%ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)で電気泳動にかけた。
結果をオートラジオグラフィーにより視覚化し、以下に示す酵素とともに図22Bに示す。Iは天然Taq DNAPであり、IIは天然Tfl DNAPであり、IIIは図4Eに示されたCleavase▲R▼BXであり、IVは図4Fに示されたCleavase▲R▼BBであり、Vは図5Bに示された突然変異体であり、またVIは図4Gに示されたCleavase▲R▼BNである。
構造体2を使用して比較を“標準化”する。例えば、30分間に構造体2で同量の開裂を生じさせるには、50ngのTaq DNAPおよび300ngのCleavase▲R▼BNを要することがわかった。これらの条件下では、天然Taq DNAPは構造体3を有意な程度まで開裂することができない。天然Tfl DNAPは多種の産物を生じるような様式で構造体3を開裂させる。
対照的に、試験した突然変異体の全てが構造体3の直鎖状二重鎖を開裂する。この知見は、突然変異体DNAポリメラーゼのこの特徴が好熱性種にわたって耐熱性ポリメラーゼに合致するものであることを示す。
本発明の変異型DNAポリメラーゼは、直鎖状二本鎖構造物を切断することができ(図1A)、このことは、より単純なアッセイデザインへの応用を可能とする。図23は、図1Aのアッセイデザインに対応するより詳細な模式図を提供する。
図23に示した2つの43マーは、標準的な方法によって合成した。それぞれは、検出目的用に5’末端にフルオレセインを含み且つストレプトアビジンをコートした常磁性粒子への結合が可能になるように、3’末端にビオチンを含む(ビオチン-アビジン結合はジグザグの線によって示される)。
トリチル基を除去する前に、合成反応の単色型副産物を除くために、オリゴヌクレオチドをHPLCで精製した。各43マーのアリコートを、ビーズ1mg当り100pmolの濃度でM-280 Dynabeads(Dynal)に結合させた。2mgのビーズ(200μl)を0.1%BSAを含む1×洗浄/結合緩衝液(1M NaCl、5mM Tris-Cl、pH7.5、0.5mM EDTA)中で2回洗浄した(1回の洗浄当り200μl)。ビーズは、上清の除去が可能になるように、洗浄の間に、磁気的に沈降させた。2回目の洗浄の後、ビーズを200μlの2×洗浄/結合緩衝液(2M NaCl、10mM Tris-Cl、pH7.5、1mM EDTA)に再懸濁し、そして2つの100μlのアリコートに分けた。各アリコートに、2つのオリゴヌクレオチドの一方の100μM溶液のうち1μlを加えた。混合後、ビーズを室温で60分間、ときどき緩やかな混合を伴いつつ、インキュベートした。次いでビーズを沈殿させ、上清を分析したところ、好結果の結合を示す、痕跡量の非結合オリゴヌクレオチドしか示されなかった。ビーズの各アリコートを1回の洗浄当り100μlで3回洗浄した。すなわち、洗浄/結合緩衝液で1回、10mM Tris-Cl、pH8.3及び75mM KClの緩衝液で2回洗浄した。懸濁液1μl当り10μgのビーズに1pmolのオリゴヌクレオチドの濃度になるように、最終容量100μlのTris/KClに、ビーズを再懸濁した。ビーズは使用中は4℃に保存した。
ビーズの型は、図1Aに対応する。すなわち、2型ビーズは、遊離したとき22マーであるアルファシグナルオリゴヌクレオチド(配列番号35)及びベータシグナルオリゴヌクレオチド(配列番号36)に相補的な配列(配列番号34)を含むオリゴヌクレオチド(配列番号33)を含む。このオリドヌクレオチドは「A」は有さず、「T」リッチである。3型ビーズは、遊離したとき20マーであるベータシグナルオリゴヌクレオチド(配列番号39)及びアルファシグナルオリゴヌクレオチド(配列番号35)に相補的な配列(配列番号38)を含むオリゴヌクレオチド(配列番号37)を含む。このオリドヌクレオチドは「T」は有さず、「A」リッチである。
切断反応溶液は、20μlの75mM KCl、10mM Tris-Cl、pH8.3、1.5mM MgCl2及び10μM CTAB中に、1μlの示したビーズ、10pmolの非標識アルファシグナルオリゴヌクレオチド((もし示すとすれば)例えば“pilot”)及び500ngのCleavase▲R▼BNを含む。酵素以外の全ての成分が組み立てられ、軽ミネラルオイルが重層され、そして53℃に加温された。反応は、予め加熱した酵素の添加により開始し、そしてその温度で30分間インキュベートした。反応はその温度で16μlの20mM EDTA及び各々0.05%のブロモフェノールブルー及びキシレンシアノールを含む95%ホルムアミドを添加することにより停止させた。この添加は、加熱する際に酵素活性を停止させ、ビオチン-アビジン結合を破壊し、ビーズから大半(95%より多い)のオリゴヌクレオチドを遊離させる。サンプルは、45mM Tris-ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液中での、7M尿素を含む10%ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)を用いる電気泳動の前に、直ちに75℃に2分間加熱した。結果は、分離したDNAの正に荷電したナイロン膜への接触転移及びブロッキングした膜をアルカリホスファターゼに結合させた抗フルオレセイン抗体でのプローブ化により可視化した。洗浄後、シグナルを抗体が結合されているパープル沈殿物(purple precipitate)をデポジットするWestern Blue(Promega)中で膜をインキュベーションすることにより展開した。
図24は、本発明のDNAP変異体による、図23の直鎖状核酸構造物の切断の増幅を示す。2つの中央レーンは、両方のタイプのビーズを含む。上記のように、ベータシグナルオリゴヌクレオチド(配列番号36)は、遊離されるときには24マーであり、そしてアルファシグナルオリゴヌクレオチド(配列番号35)は、遊離されるときには20マーである。24マー及び20マーに相当する2本の短いバンドの形成は、明らかに“pilot”に依存している。
実施例6
耐熱性DNAPによる5’エキソヌクレアーゼ加水分解的開裂(「ニブリング」)
耐熱性DNAP(本発明のものを含む)は、直鎖状二重鎖核酸構造体の5’末端をニブリングすることが可能な真の5’エキソヌクレアーゼを有することが判明した。本実施例では、206塩基対のDNA二重鎖基質(上記参照)を再度使用する。この場合、上記基質はポリメラーゼ連鎖反応において1個の32P標識プライマーおよび1個の非標識プライマーを用いて生成された。開裂反応は、全容量10μlの10mM Tris-Cl, pH8.5, 50mM KCl, 1.5mM MgCl2中の、0.01pmolの熱変性させ、末端標識した基質DNA(非標識鎖をも有する)、5pmolのパイロットオリゴヌクレオチド(図12Aのパイロットオリゴ参照)および0.5ユニットのDNAP Taqまたは大腸菌抽出物(上記参照)中の0.5μlのCleavase▲R▼BBからなっていた。
前もって温めておいた酵素の添加により65℃で反応を開始させ、次に30分間最終インキュベーション温度に変えた。結果を図25Aに示す。レーン1〜4のサンプルは天然のTaq DNAPの存在下における結果であり、レーン5〜8はCleavase▲R▼BBの存在下における結果を示す。レーン1、2、5および6の反応は65℃で実施し、レーン3、4、7及び8の反応は50℃で実施した。そして、すべての反応は20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する8μlの95%ホルムアミド溶液の添加により停止させた。45mM Tris・ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液に溶解した、7M尿素を含む10%アクリルアミドゲル(19:1架橋)中を泳動させる電気泳動の直前に、サンプルを2分間75℃に加熱した。反応1、2、5および6において予測される産物は長さが85ヌクレオチドである。反応3および7において予測される産物は長さが27ヌクレオチドである。反応4および8はパイロットを添加せずに実施され、産物の長さは206ヌクレオチドに留まるはずである。24ヌクレオチドに見られる微かなバンドは、PCR由来の残留末端標識化プライマーである。
これらの条件下でCleavase▲R▼BBが非常に少ない種において標識の全てを出現させることは驚くべき結果であり、この酵素が基質を完全に加水分解した可能性を示唆している。レーン5〜8(欠失突然変異体を用いて実施した反応)において見られた最も速く移動するバンドの成分を確認するため、206塩基対二重鎖のサンプルをT7遺伝子6エキソヌクレアーゼ(USB)または子ウシ腸アルカリホスファターゼ(Promega)を用いて製造者の指示にしたがって処理し、標識化モノヌクレオチド(図25Bのレーンa)または遊離の32P標識無機リン酸塩(図25Bのレーンb)をそれぞれ生成した。これらの産物およびパネルAのレーン7の産物を、45mM Tris・ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液に溶解した、7M尿素を含有する20%アクリルアミドゲル(19:1架橋)中を短時間電気泳動させて分画した。このように、Cleavase▲R▼BBは基質をモノヌクレオチドに変換することができる。
実施例7
ニブリングは二重鎖依存性である
Cleavase▲R▼BBによるニブリングは、二重鎖依存性である。本実施例では、非標識206bp断片を鋳型として用いた、非標識dNTPの4種全部と組み合わせたα-32P標識dCTPを組み入れる15サイクルのプライマー伸長により、前記206-merの内部的に標識された一本鎖を生成した。45mM Tris・ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液に溶解した非変性6%ポリアクリルアミドゲル(29:1架橋)中の電気泳動により、一本鎖および二本鎖産物を分画し、オートラジオグラフィーにより可視化し、ゲルから切り出し、受動拡散により溶出し、エタノール沈殿により濃縮した。
開裂反応は、全容量40μlの10mM Tris-Cl, pH8.5, 50mM KCl, 1.5mM MgCl2中の、0.04ピコモルの基質DNAおよび2μlのCleavase▲R▼BB(上記の大腸菌抽出物中)からなっていた。前もって温めておいた酵素の添加により反応を開始させた。5、10、20および30分後に10μlのアリコートを取り、30mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含む8μlの95%ホルムアミド溶液を含有する用意した試験管に移した。45mM Tris・ホウ酸、pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液に溶解した、7M尿素を含有する10%アクリルアミドゲル(19:1架橋)中を泳動させる電気泳動の直前に、サンプルを2分間75℃に加熱した。図26に示すように、結果をオートラジオグラフィーにより可視化した。明らかに、Cleavase▲R▼BBによる開裂は二重鎖構造に依存する。206-mer二重鎖の開裂は完全であるのに対し、一本鎖構造の開裂は検出されない。
実施例8
ニブリングは標的指令され得る
本発明のDNAPのニブリング活性は、検出アッセイにおいてうまく用いることができる。そのようなアッセイの1つの実施形態を図27に示す。このアッセイでは、標的配列に特異的な標識化オリゴを用いた。このオリゴは標的に対して過剰であるため、ハイブリダイゼーションは迅速である。この実施形態では、該オリゴは2つのフルオロセイン標識を含み、それらフルオロセイン標識同士が該オリゴ上で接近することにより発光が消滅する。DNAPが該オリゴをニブリングできるようになると、それらの標識は分離し、検出可能となる。短くなった二本鎖は、不安定になり、解離する。重要なことは、この時点で標的が、無傷の標識化オリゴと自由に反応することである。所望のレベルの検出が達成されるまで、この反応を続けてもよい。ラムダ・エキソヌクレアーゼを用いる類似の、しかし異なるタイプのサイクル・アッセイ(cycling assay)が記載されている(C.G. CopleyおよびC. Boot, BioTechniques 13:888(1992)を参照されたい。
そのようなアッセイが成功するかどうかは、特異性によって決まる。つまり、オリゴは特定の標的にハイブリダイズしなければならない。さらに、このアッセイは感度がよいことも好ましい。オリゴは、理想的には、少量の標的を検出可能であるべきである。図28Aには、プラスミド標的配列に結合した5’-末端32P標識化プライマーが示されている。この場合、該プラスミドはpUC19(市販されている)であり、このプラスミドは、2分間沸騰させ、次いで急冷することによって熱変性されていた。該プライマーは21マー(21-mer)(配列番号39)であった。用いた酵素は、Cleavase▲R▼BX(5 X 10-3μlの抽出物と同等の希釈物)(100mM KCl、10mM Tris-Cl、pH8.3、2mM MnCl2中)であった。この反応は、ゲノム・バックグラウンドDNA(ニワトリ血液由来)を用いて、もしくは用いずに55℃で16時間行った。20mM EDTAおよびマーカー色素を含有する95%ホルムアミド8μlを添加することにより、反応を停止させた。
この反応の産物は、図28Bに示すように、PAGE(10%ポリアクリルアミド、19:1架橋、1×TBE)により分離した。レーン「M」は標識化21マー(21-mer)を含有する。レーン1〜3は特異的な標的を含有しないが、但しレーン2および3はそれぞれ100ngおよび200ngのゲノムDNAを含有している。レーン4、5および6は全て、それぞれ0ng、100ngまたは200ngのゲノムDNAと共に特異的な標的を含有する。明らかに、レーン4、5および6では、バックグラウンドDNAの存在または量に関係なく、モノヌクレオチドへの変換が起こっている。したがって、ニブリングは標的指令され、かつ特異的であり得る。
実施例9
Cleavase▲R▼の精製
上記のように、発現された耐熱性タンパク質(すなわち、5’ヌクレアーゼ)を細菌細胞の粗抽出物により単離した。つぎに、沈殿した大腸菌タンパク質を他の細胞破砕物と共に遠心により除去した。本実施例では、BNクローンを発現する細胞を培養し、回収した(500g)。大腸菌各1グラム(湿重量)に対し、3mlの溶菌緩衝液(50mM Tris-HCl, pH8.0, 1mM EDTA, 100μM NaCl)を添加した。200μg/mlのリゾチームを用いて室温で20分間細胞を溶菌させた。次に、最終濃度が0.2%となるようにデオキシコール酸を添加し、混合物を室温で15分間インキュベートした。
溶菌物を約6〜8分間0℃で超音波処理した。沈殿物を遠心分離(39,000gで20分間)により除去した。上清にポリエチレンイミンを添加し(0.5%)、混合物を氷上で15分間インキュベートした。
この混合物を遠心分離にかけ(5,000gで15分間)上清を回収した。これを30分間60℃で加熱し、次に再度遠心分離にかけ(5,000gで15分間)上清を再度回収した。
35%硫酸アンモニウムを用いて、この上清を4℃で15分間沈殿させた。次に混合物を遠心分離にかけ(5,000gで15分間)上清を除去した。次に、沈殿物を0.25M KCl, 20mM Tris, pH7.6, 0.2% Tweenおよび0.1 EDTAに溶解し、結合緩衝液(8X結合緩衝液は40mMイミダゾール、4M NaCl, 160mM Tris-HCl, pH7.9よりなる)を外液として透析した。
次に、Ni++カラム(Novagen)を用いて可溶化タンパク質を精製した。結合緩衝液をカラム床の頂部まで注いで十分に流出させ、次に、調製した抽出物をカラムにロードした。効率的精製には1時間あたり約10カラム容量の流速が最適である。流速が速すぎると、溶出画分を汚染する不純物が多くなる。
25ml(10容量)の1X結合緩衝液でカラムを洗浄し、次に15ml(6容量)の1X洗浄緩衝液(8X洗浄緩衝液は480mMイミダゾール、4M NaCl, 160mM Tris-HCl, pH7.9よりなる)で洗浄した。15ml(6容量)の1X溶出緩衝液(4X溶出緩衝液は4mMイミダゾール、2M NaCl, 80mM Tris-HCl, pH7.9よりなる)を用いて結合タンパク質を溶出した。次に、35%硫酸アンモニウムを用いて上記のようにタンパク質を再沈殿させる。次に沈殿物を溶解して、20mM Tris, 100mM KCl, 1mM EDTAを外液として透析した。溶液をTween 20およびNP-40のそれぞれ0.1%とし、4℃で保存した。
実施例10
開裂反応における種々の二価陽イオンの使用は得られる開裂産物の性質に影響を及ぼす
テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ(DNAPTaq)のC末端重合ドメインの修飾および/または欠失により得られた5’ヌクレアーゼを比較すると、図4B-Gに示すとおり、開裂部位の上流に位置するプライマーの3’末端(図6に示すとおり)とのこれらのタンパク質の相互作用の強度において有意な相違が認められた。Pol I型DNAポリメラーゼによるこれらの構造体の開裂の説明において[実施例1およびLyamichevら,(1993)Science 260:778]、プライマーの不存在下では、二本鎖領域と一本鎖の5’および3’アームとの結合の位置が開裂部位を決定するが、プライマーの存在下では、プライマーの3’末端の位置が開裂部位の決定因子になることが認められた。3’末端に対するこの親和性は、DNAポリメラーゼの合成機能に符合するものであると仮定された。
図22Aに示す構造体2を用いて、いくつかの異なる溶液[例えば、種々の塩(KClまたはNaCl)、種々の二価陽イオン(Mn2+またはMg2+)などを含有する溶液]と種々の開裂反応温度の使用とを含む開裂反応における、開裂部位に近接した3’末端の影響を調べた。開裂部位付近の3’末端(先導(pilot)オリゴヌクレオチドのもの)に対する酵素(例えば、5’ヌクレアーゼを含むDNAP、修飾されたDNAPまたは5’ヌクレアーゼ)の結合が強力な反応条件では、示されている構造体が、図22Aに示されている部位で開裂される。この開裂により、不対合5’アームが遊離し、標的核酸の残部と該先導オリゴヌクレオチドの折りたたまれた3’末端との間にニックが残る。これに対して、3’末端に対するDNAP(5’ヌクレアーゼを含む)の結合が弱い反応条件では、最初の開裂は前記のとおりであったが、5’アームの遊離後は、残存した二本鎖がDNAPのエキソヌクレアーゼ機能により消化される。
3’末端に対するDNAPの結合を弱める1つの方法は、この機能の少なくともいくつかを付与するドメインの全部または一部を除去することである。実施例6に示したとおり、DNAPTaqの重合ドメインの欠失により得られる5’ヌクレアーゼのいくつかは、真のエキソヌクレアーゼ機能を増強した。
また、奥まった位置にある3’末端に対するこれらの型の酵素(すなわち、DNAPと関連しているか又はそれに由来する5’ヌクレアーゼ)の親和性は、開裂反応中に存在する二価陽イオンの種類に影響されることがある。Longleyら[Nucl. Acids Res. 18:7317(1990)]は、DNAPTaqとの反応にMnCl2を使用すると、鋳型とアニーリングしたプライマーの5’末端からヌクレオチドを除去することが、非効率的ではあるものの、該ポリメラーゼによって可能になることを証明している。同様に、DNAPTaqまたはCleavase▲R▼ BBヌクレアーゼを含有する反応で図22Aの構造体2(前記のとおり)を使用して得られた開裂産物を調べることにより、該開裂反応においてMgCl2の代わりにMnCl2を使用すると、最初の開裂部位の下流の二本鎖のエキソヌクレアーゼ的「ニブリング(nibbling)」が生じることが認められた。いずれかの特定のメカニズムに本発明を限定するものではないが、該開裂反応においてMgCl2の代わりにMnCl2を使用すると、奥まった位置にある3’末端に対するこれらの酵素の親和性が減少すると考えられる。
すべての場合において、MnCl2の使用は5’ヌクレアーゼ機能を増強させ、Cleavase▲R▼ BBヌクレアーゼの場合には、5’ヌクレアーゼ機能が50〜100倍刺激されることが認められる。したがって、前記においては、これらの酵素のエキソヌクレアーゼ活性がMgCl2の存在下で示されたが、後記のアッセイにおいては、MgCl2の代わりにMnCl2を使用すると、50〜100倍少ない酵素の使用により、相当な量のエキソヌクレアーゼ活性が示される。これらの減少した量の酵素を、MgCl2を含有する反応混合物中で使用した場合には、ニブリングまたはエキソヌクレアーゼ活性は、実施例6〜8で認められるものほど著明でない。
後記実施例11〜18に記載の核酸検出アッセイの実施において、MgCl2またはMnCl2のいずれかの存在下で行なう反応を比較すると、同様の影響が認められる。どちらの二価陽イオンの存在下においても、インベーダー(invader)オリゴヌクレオチド(後記)の存在は、開裂部位をプローブ二本鎖中に押し込むが、MnCl2の存在下では、プローブ二本鎖が更にニブリングされ(nibbled)、3’末端標識が該プローブオリゴヌクレオチド上に存在する場合には可視化されうる産物のラダーが生じる。Mn2+を含有する反応からインベーダーオリゴヌクレオチドを除くと、該プローブは5’末端からニブリングされる。Mg2+に基づく反応は、プローブオリゴヌクレオチドの最小のニブリングを示す。これらのいずれの場合においても、該プローブの消化は、標的核酸の存在に左右される。後記実施例では、Mn2+の存在下で認められる増強したニブリング活性により生じたラダーを、プローブオリゴヌクレオチドが標的配列とハイブリダイズしたことを示す陽性指標として使用する。
実施例11
重合を行わない場合の耐熱性5’ヌクレアーゼによる侵入的5’エンドヌクレアーゼ開裂
前記実施例に記載したとおり、5’ヌクレアーゼは、分岐二本鎖中の一本鎖領域と塩基対合領域との結合部付近(通常は、塩基対合領域中に約1塩基対の位置)を開裂する。本実施例では、図30に示すとおり、対象二本鎖の5’領域と相同な3’領域を保持する上流オリゴヌクレオチドが配置されている場合には、耐熱性5’ヌクレアーゼ[本発明のもの(例えば、Cleavase▲R▼ BNヌクレアーゼ、Cleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ)を含む]は、該塩基対合領域中のより内側で開裂しうることを示す。
図30は、以下の配列よりなり、それ自身の上に折りたたまれるように設計された合成オリゴヌクレオチドを示す:5’-GTTCTCTGCTCTCTGGTCGCTGTCTCGCTTGTGAAACAAGCGAGACAGCGTGGTCTCTCG-3’(配列番号40)。このオリゴヌクレオチドは、「S-60ヘアピン」と称される。このオリゴヌクレオチドにより形成される15塩基対のヘアピンは、ループ末端内の「トリループ(tri-loop)」配列(すなわち、3個のヌクレオチドが該ヘアピンのループ部を形成する)により更に安定化される[Hirano, I.ら(1994)Nucleic Acids Res. 22(4):576]。図30はまた、P-15オリゴヌクレオチドの配列、ならびにP-15とS-60ヘアピンオリゴヌクレオチドとが共有する相補性領域の位置を示す。P-15オリゴヌクレオチドの配列は、5’-CGAGAGACCACGCTG-3’(配列番号41)である。後記で詳しく説明するとおり、図29に示す黒塗りの矢じりは、P-15オリゴヌクレオチドの不存在下でのS-60ヘアピンの開裂部位を示し、白抜きの矢じりは、P-15オリゴヌクレオチドの存在下での開裂部位を示す。矢じりのサイズは、個々の部位の相対的利用度を示す。
後続の検出のために、S-60ヘアピン分子を、その5’末端上でビオチン標識した。耐熱性5’ヌクレアーゼの存在下、かつ、P-15オリゴヌクレオチドの存在下または不存在下で、S-60ヘアピンをインキュベートした。S-60ヘアピンにより形成されうる完全な二本鎖の存在は、プライマー非依存的な様式で(すなわち、P-15オリゴヌクレオチドの不存在下での)Cleavase▲R▼ BN 5’ヌクレアーゼでの開裂により示される。S-60ヘアピン分子の5’末端からの18および19ヌクレオチド断片の遊離は、S-60ヘアピンの3’アームに何もハイブリダイズしていない場合には該開裂が一本鎖領域と二本鎖領域との結合部付近で生じることを示した(図31、レーン2)。
図31に示す反応を以下のとおりに行なった。5’でビオチン標識された20フィコモルのヘアピンDNA(配列番号40)を、0.1ngのCleavase▲R▼ BN酵素、ならびに9μlの合計容量中に各々0.5%のTween-20およびNP-40を含有する1μlの100mM MOPS(pH7.5)と一緒にした。レーン1に示す反応では、該酵素を加えず、蒸留水の添加によりその容量を補った(これを、未切断または無酵素の対照として使用した)。また、図31のレーン3に示す反応は、図30に示すS-60ヘアピン(配列番号40)の不対合3’アームとハイブリダイズしうる0.5ピコモルのP-15オリゴヌクレオチド(配列番号41)を含んでいた。
これらの反応に1滴の鉱油を重層し、該反応を95℃に15秒間加熱し、ついで37℃に冷却し、各管へ1μlの10mM MnCl2を加えることにより反応を開始した。5分後、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する6μlの95%ホルムアミドを加えることにより反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する15%アクリルアミドゲル(19:1架橋)による電気泳動の直前に、サンプルを75℃に2分間加熱した。
電気泳動後、ゲルプレートを分離し、ゲルを1個のプレート上に平坦なままで維持した。予め水中で湿らせた0.2mm孔の正に荷電したナイロンメンブレン(NYTRAN, Schleicher and Schuell, Keene, NH)を、露出したゲル上に載せた。気泡をすべて除去した。ついで2枚の3MM濾紙(Whatman)を該メンブレン上に載せ、他方のガラスプレートを再配置し、そのサンドイッチ状体をバインダークリップで締め付けた。トランスファーを一晩行なった。トランスファーの後、メンブレンをゲルから注意深くはがし、風乾した。乾燥が完了した後、メンブレン1cm2当たり0.3mlの緩衝液を使用して1.2×Sequenase Images Blocking Buffer(United States Biochemical)中でメンブレンを洗浄した。この洗浄は室温で30分間行なった。ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ複合体(SAAP, United States Biochemical)を、1:4000希釈になるまでブロッキング溶液へ直接加え、15分間攪拌した。該メンブレンをH2Oで軽く濯ぎ、ついで、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する1×SAAP緩衝液(100mM Tris-HCl, pH10, 50mM NaCl)0.5ml/cm2を使用して、3回洗浄した(1回の洗浄は5分間)。各洗浄の間に該メンブレンをH2Oで軽く濯いだ。ついで該メンブレンを、1mM MgCl2を含有するがSDSを含有しない1×SAAP緩衝液中で1回洗浄し、液体を完全に吐き出し、ヒートシール可能なビニル袋に入れた。滅菌ピペットを使用して、アルカリホスファターゼ用化学発光基質CDP-StarTM(Tropix, Bedford, MA)5mlをその袋へ加え、2〜3分間でメンブレン全体に分散させた。そのCDP-StarTMで処理したメンブレンをXRP X線フィルム(Kodak)に露出した(初回露出は10分間)。
得られたオートラジオグラフを図31に示す。図31で「M」と表示しているレーンは、マーカーとして働くビオチン化P-15オリゴヌクレオチドを含有している。未開裂のS-60ヘアピン(60ヌクレオチド、レーン1)およびマーカー(15ヌクレオチド、レーン「M」)のサイズ(オリゴヌクレオチド単位)、ならびにP-15オリゴヌクレオチドの存在下(レーン3)または不存在下(レーン2)でのS-60ヘアピンの開裂により得られた開裂産物のサイズ(オリゴヌクレオチド単位)が示されている。
S-60ヘアピンの相補領域は同一分子上に位置しているため、ハイブリダイゼーションを起こす(すなわち、該ヘアピンの二本鎖領域を形成させる)のに、遅延時間を実質的に全く要さないはずである。このヘアピン構造は、該酵素が該分子を配置させ開裂するよりかなり前に形成されると予想されるであろう。予想どおり、該プライマーオリゴヌクレオチドの不存在下での開裂は、二本鎖領域と一本鎖領域との結合部またはその付近で生じ、不対合5’アームを遊離した(図31、レーン2)。得られた開裂産物は、18および19ヌクレオチド長であった。
トリループを有するS-60ヘアピンの安定性は、前記実施例1に記載した「プライマー指令(primer-directed)」開裂をP-15オリゴヌクレオチドが促進するのを妨げると予想された。なぜなら、「プライマー」の3’末端は不対合のままだからである。驚くべきことに、該酵素は、P-15プライマーがS-60ヘアピンの二本鎖領域中へ「侵入(invasion)」するのを媒介するらしいことが判明した。このことは、開裂部位が二本鎖領域中へ更に3〜4塩基対移動して、より大きな産物(22および21ヌクレオチド)の遊離が図31のレーン3で認められることから明らかである。
S-60ヘアピンの正確な開裂部位を、P-15オリゴヌクレオチドの不存在下での開裂部位を示す黒塗りの矢じり、およびP-15の存在下での開裂部位を示す白抜くの矢じりにより、図30の構造体上に図示する。
これらのデータは、下流二本鎖の同様に配向した鎖の最初の数個の塩基とある程度の配列相同性を有するオリゴヌクレオチドの、3’アーム上の存在が、5’ヌクレアーゼによる開裂部位を決定する支配的な因子となりうることを示している。下流二本鎖の同様に配向した鎖の最初の数個の塩基とある程度の配列相同性を共有するオリゴヌクレオチドは、ヘアピンの二本鎖領域に侵入すると思われるので、それを「インベーダー(invader)」オリゴヌクレオチドと称することにする。後記実施例で示すとおり、二本鎖領域が同一分子(すなわちヘアピン)上に存在するか否か、あるいは該二本鎖が2本の分離した核酸鎖間で形成されるか否かに無関係に、インベーダーオリゴヌクレオチドは二本鎖核酸領域に侵入(または置換)すると思われる。
実施例12
インベーダーオリゴヌクレオチドは予め形成されたプローブ/標的二本鎖中の開裂部位を移動させる
実施例11では、ヘアピン分子上に存在する二本鎖領域を5’ヌクレアーゼが開裂する部位を、インベーダーオリゴヌクレオチドが移動させうることを示した。本実施例では、インベーダーオリゴヌクレオチドが、2本の分離した核酸分子鎖間で形成される二本鎖領域内の開裂部位を移動させる能力を調べた。
一本鎖環状M13mp19分子を含む一本鎖標的DNAと標識(フルオレセイン)プローブオリゴヌクレオチドとを、二本鎖の形成を促進する塩(KCl)および二価陽イオン(Mg2+またはMn2+)を含有する反応緩衝液の存在下で混合した。このプローブオリゴヌクレオチドは、標的分子(例えば、M13mp19)に沿う領域と相補的な標識オリゴヌクレオチドを意味する。そのプローブと標的とがアニーリングした後で、第2オリゴヌクレオチド(未標識)を該反応へ加えた。第2オリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドが結合する領域の下流に位置する標的の領域に結合する。この第2オリゴヌクレオチドは、標的分子のもう1つの領域と相補的な配列を含有する。第2オリゴヌクレオチドが、標的に沿う配列の一部と相補的な領域を含有しており、その領域にプローブオリゴヌクレオチドも結合する場合、この第2オリゴヌクレオチドはインベーダーオリゴヌクレオチドと称される(図32cを参照されたい)。
図32は、M13mp19標的分子(示されている全3個の構造体中の下側の鎖)に沿う領域に対する2個のオリゴヌクレオチドのアニーリングを示す。図32には、M13mp19分子の52ヌクレオチドの部分のみを示す。この52ヌクレオチドの配列を配列番号42に記載する。プローブオリゴヌクレオチドは、3’末端にフルオレセイン標識を含有する。該プローブの配列は、5’-AGAAAGGAAGGGAAGAAAGCGAAAGG-3’(配列番号43)である。図32では、インベーダーオリゴヌクレオチドを包含する第2オリゴヌクレオチドを含む配列に下線を付している。図32aでは、配列5’-GACGGGGAAAGCCGGCGAACG-3’(配列番号44)を有する第2オリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチド(フルオレセインまたは「Fluor」で標識)のものとは異なる標的分子下流領域と相補的であり、第2の上流オリゴヌクレオチドと図32aに示す構造体に対するプローブとの間には間隙がある。図32bでは、配列5’-GAAAGCCGGCGAACGTGGCG-3’(配列番号45)を有する第2の上流オリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドのものとは異なる標的分子領域と相補的であるが、この場合、第2オリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドとは互いに隣接している(すなわち、第2の上流オリゴヌクレオチドの3’末端は、プローブの5’末端と直接隣接しており、このために、これらの2つのオリゴヌクレオチド間には間隙が存在しない)。図32cでは、第2の上流オリゴヌクレオチド[5’-GGCGAACGTGGCGAGAAAGGA-3’(配列番号46)]とプローブオリゴヌクレオチドとは、標的分子に対する相補性領域を共有している。したがって、該上流オリゴヌクレオチドは、下流プローブの最初の数個の塩基と同一の配列を有する3’アームを有する。この場合、該上流オリゴヌクレオチドは、「インベーダー」オリゴヌクレオチドと称される。
該インベーダーの添加前に形成されるプローブ/標的二本鎖における開裂パターンに対するインベーダーオリゴヌクレオチドの存在の効果を調べた。該プローブを標的とアニーリングさせた後に、インベーダーオリゴヌクレオチドおよび酵素を加え、該プローブの開裂の位置および程度を調べて、a)該インベーダーがプローブの特定の内部領域へ開裂部位を移動させうるか否か、b)プローブ配列の熱サイクル(thermal cycling)、重合またはエキソヌクレアーゼ除去の不存在下であっても該反応が経時的に特異的開裂産物を蓄積しうるか否かを判定した。
反応は以下のとおりに行なった。各20μlの2つの酵素混合物を調製した。これらの混合物は、該混合物4μl当たり50ピコモルの示されているインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)を含む又は含まない2μlのCleavase▲R▼A/Gヌクレアーゼ抽出物(実施例2に記載のとおりに調製したもの)を含有するものであった。図33に示す8つの反応のそれぞれについて、150フィコモルのM13mp19一本鎖DNA(Life Technologies, Inc.より入手可能)を5ピコモルのフルオレセイン標識プローブ(配列番号43)と一緒にして、図31cに示す構造体を作製した[ただし、インベーダーオリゴヌクレオチドは存在しない(プローブ/標的混合物)]。該プローブ/標的混合物の半分(4本の管)を、各々0.5%のTween-20およびNP-40を含有する1μlの100mM MOPS(pH7.5)、0.5μlの1M KClならびに0.25μlの80mM MnCl2と一緒にし、蒸留水で6μlの容量とした。プローブ/標的混合物の第2の組を、各々0.5%のTween-20およびNP-40を含有する1μlの100mM MOPS(pH7.5)、0.5μlの1M KClならびに0.25μlの80mM MgCl2と一緒にした。したがって、この第2の組の混合物は、第1の組の混合物中に存在するMnCl2の代わりにMgCl2を含有していた。
該混合物(緩衝液、KClおよび二価陽イオンと共にプローブ/標的を含有するもの)を、1滴のChill Out▲R▼蒸発防止剤で覆い、60℃(5分間)にすることによりアニーリングさせた。インベーダーオリゴヌクレオチドを含有しない4μlの前記酵素混合物を反応に加え、その産物を図33のレーン1、3、5および7に示す。図33のレーン2、4、6および8に示す産物を与える反応には、同量の酵素をインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)と混合した。反応1、2、5および6は60℃で5分間インキュベートし、反応3、4、7および8は60℃で15分間インキュベートした。
20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する8μlの95%ホルムアミドを加えることにより、すべての反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを90℃に1分間加熱した。電気泳動後、Hitachi FMBIO蛍光イメージャー(imager)を使用して反応産物を可視化し、その結果を図33に示す。蛍光標識されたオリゴヌクレオチドを電気泳動し蛍光イメージャー上で画像化した場合、全レーンの図33における塩の前(saltfront)の位置またはその付近に認められる非常に低分子量の蛍光物質および他の蛍光画像が観察される。この物質は、開裂反応の産物ではない。
これらの反応でMnCl2を使用した場合(レーン1〜4)には、実施例7に記載のとおり、Cleavase▲R▼酵素の真のエキソヌクレアーゼまたは「ニブリング」活性が刺激される。これは、図33のレーン1および3で明らかに認められるとおりである。インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)の不存在下でプローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)がこのようにニブリングされることは、プローブオリゴヌクレオチドが標的配列と二本鎖を形成しつつあることを証明するものである。このニブリング反応により生じるラダー状産物を、臨床試料中に存在しうるヌクレアーゼによるプローブ分解物から識別するのは難しいかもしれない。これに対して、インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)を導入すると、プローブ開裂における特徴的な移動が生じ、開裂部位がプローブ中へ6〜7塩基分押し込まれた。このことは、両オリゴヌクレオチドのアニーリングを裏付けるものである。MnCl2の存在下では、エキソヌクレアーゼの「ニブリング」は、インベーダー指令開裂事象の後、残存二本鎖が不安定化し解離するまで生じる可能性がある。
マグネシウムに基づく開裂反応(レーン5〜8)では、Cleavase▲R▼ A/Gのニブリングまたは真のエキソヌクレアーゼ機能は酵素抑制されるため(しかし、該酵素のエンドヌクアーゼ機能は実質的に変化しない)、該インベーダーの不存在下ではプローブオリゴヌクレオチドは分解されない(図33、レーン5および7)。該インベーダーを加えると、インベーダーオリゴヌクレオチドが、アニーリングしたプローブのエンドヌクレアーゼ的開裂部位の移動を促進しうることが明らかである。インベーダーとの5分間および15分間の反応の産物(図33のレーン6および8)の比較から、追加のプローブが標的とハイブリダイズし開裂されることが示される。侵入されないプローブ部分(すなわち、配列番号43のヌクレオチド9〜26)の理論上の融解温度(Tm)は56℃である。したがって、認められる代謝回転(反応時間が増加するにつれて蓄積する開裂産物により示される)は、理論上のTmが76℃である完全長プローブ分子が、この60℃の反応における後続のプローブアニーリング事象に関与しているに違いないことを示唆している。
実施例13
3’インベーダーオリゴヌクレオチド配列とプローブの5’領域との重複は開裂部位の移動を引き起こす
実施例12では、インベーダーオリゴヌクレオチドが、標的分子とアニーリングしたプローブの開裂部位の移動を引き起こしうることを示した。本実施例では、該プローブの上流のオリゴヌクレオチドの存在が、該プローブに沿った開裂部位の移動を引き起こすのに十分であるか否か、あるいはプローブオリゴヌクレオチドの5’末端の最初の数個のヌクレオチドと同じ配列を有するインベーダーオリゴヌクレオチドの3’末端上のヌクレオチドの存在が、開裂の移動を促進するのに必要か否かを調べるために実験を行なった。
この点を調べるために、標的特異的オリゴヌクレオチドの3つの異なる配置から得た開裂産物を比較する。これらのオリゴヌクレオチドと、それらが試験核酸M13mp19とハイブリダイズする様態とを、図32に示す。図32aでは、上流オリゴヌクレオチド(配列番号45)の3’末端が、下流「プローブ」オリゴヌクレオチド(配列番号43)の5’末端の上流に位置していて、どちらのオリゴヌクレオチドとも対合していないM13標的領域が存在している。図32bでは、上流オリゴヌクレオチド(配列番号45)の配列はプローブ(配列番号43)の直ぐ上流にあり、該配列間には間隙も重複もない。図32cには、本発明のアッセイで使用する基質の配置を示す。この図は、上流「インベーダー」オリゴヌクレオチド(配列番号46)が、その3’領域部分上に、下流プローブ(配列番号43)の5’領域内に存在する配列と同じ配列を有することを示している。すなわち、これらの領域は、M13標的核酸の同一セグメントとハイブリダイスするために競合することになる。
これらの実験では、4つの酵素混合物を以下のとおりに調製した(予定では、1消化当たり5μlとした)。混合物1は、各々0.1%のTween-20およびNP-40、4mM MnCl2ならびに100mM KClを含有する20mM MOPS(pH7.5)中に、混合物5μl当たり2.25μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物(実施例2に記載のとおりに調製したもの)を含有していた。混合物2は、各々0.1%のTween-20およびNP-40、4mM MnCl2ならびに100mM KClを含有する20mM MOPS(pH7.5)中に、混合物5μl当たり11.25単位のTaq DNAポリメラーゼ(Promega)を含有していた。混合物3は、20mM Tris-HCl(pH8.5)、4mM MgCl2および100mM KCl中に、混合物5μl当たり2.25μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物を含有していた。混合物4は、20mM Tris-HCl(pH8.5)、4mM MgCl2および100mM KCl中に、混合物5μl当たり11.25単位のTaq DNAポリメラーゼを含有していた。
各反応について、合計容量5μlの蒸留水中で、50フィコモルのM13mp19一本鎖DNA(標的核酸)を、5ピコモルのプローブオリゴヌクレオチド(3’末端にフルオレセイン標識を含有する配列番号43)および図32に示す3つの上流オリゴヌクレオチドの1つ(すなわち、配列番号44〜46の1つ)の50ピコモルと一緒にした。該反応に1滴のChill OutTM蒸発防止剤を重層し、62℃に加温した。各管へ5μlの酵素混合物を加えることにより開裂反応を開始し、該反応を62℃で30分間インキュベートした。図34のレーン1〜3に示す反応には混合物1を加え、反応4〜6には混合物2を加え、反応7〜9には混合物3を加え、反応10〜12には混合物4を加えた。
62℃で30分後、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する8μlの95%ホルムアミドを加えることにより、該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを75℃に2分間加熱した。
電気泳動後、Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して反応産物を可視化した。その結果を図34に示す。図34のレーン1、4、7および10に示す反応産物は、上流オリゴヌクレオチドとして配列番号33を含有する反応からのものであった(図28aを参照されたい)。図34のレーン2、5、8および11に示す反応産物は、上流オリゴヌクレオチドとして配列番号34を含有する反応からのものであった(図28bを参照されたい)。図34のレーン3、6、9および12に示す反応産物は、上流オリゴヌクレオチドとして配列番号46のインベーダーオリゴヌクレオチドを含有する反応からのものであった(図32cを参照されたい)。
開裂剤としてCleavase▲R▼ A/GヌクレアーゼまたはDNAP Taqのいずれかを使用するMn2+に基づく反応(それぞれレーン1〜3および4〜6)を検討すると、両酵素が、活性なエキソヌクレアーゼ機能をこれらの緩衝条件下で有することが示される。プローブオリゴヌクレオチド上で3’標識を使用することにより、ニブリング活性の産物が標識されたままとなるため、このアッセイでそれを可視化することが可能になる。レーン1、2、4および5で認められるラダーは、該プローブが、意図されたとおりに標的DNAとハイブリダイズすることを証明している。これらのレーンはまた、非侵入的オリゴヌクレオチドの位置が、得られる産物にほどんど影響を及ぼさないことを示している。これらの消化により生成する均一なラダーを、臨床試料中に存在しうる混入ヌクレアーゼにより生成するラダーから識別することは難しいであろう。これに対して、レーン3および6に示される産物(この場合は、開裂を特定するためにインベーダーオリゴヌクレオチドを加えた)は、非常に特徴的な移動を示し、一次開裂産物が、非侵入的開裂で認められるものより小さくなっている。これらのレーン中のより短い産物により示されるとおり、次にこの産物を、これらの条件下で更なるニブリングアッセイに付す。これらのインベーダー指令開裂産物は、プローブオリゴヌクレオチドの非特異的分解のバックグラウンドから容易に区別されるであろう。
二価陽イオンとしてMg2+を使用する場合には、その結果はより一層特徴的なものとなる。上流オリゴヌクレオチドが侵入的でない図34のレーン7、8、10および11では、最小のニブリングが認められる。DNAP Taq反応の産物は、ヌクレオチド1個または2個分だけ5’末端で短縮したプローブのいくらかの蓄積を示し、これは、ニックの入った基質に対するこの酵素の作用に関するこれまでの検討(Longleyら,前掲)と符合している。しかしながら、上流オリゴヌクレオチドが侵入的である場合には、特徴的に移動するプローブバンドの出現が認められる。これらのデータは、下流プローブの開裂部位の固定を引き起こすのは、上流オリゴヌクレオチドの侵入的3’部分であることを明らかに示している。
このように、前記の結果は、開裂部位の移動を媒介するのは、インベーダーオリゴヌクレオチドの3’末端の、遊離した又は最初は非アニール性のヌクレオチドの存在であり、該プローブの上流でアニーリングしたオリゴヌクレオチドの単なる存在ではないことを示している。インベーダーオリゴヌクレオチドを使用する核酸検出アッセイを、「インベーダー指令開裂」アッセイと称することとする。
実施例14
インベーダー指令開裂は、非標的DNA分子のバックグラウンド中で一本鎖および二本鎖の標的分子を認識する
核酸検出方法が広く有用となるためには、多量の他のDNA(例えば、細菌またはヒトの染色体DNA)を含有している可能性があるサンプル中で、特異的な標的を検出できなくてはならない。インベーダー指令開裂アッセイが、多量の非標的DNAの存在下で、一本鎖または二本鎖のいずれかの標的分子を認識し開裂する能力を調べた。これらの実験では、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態のモデル標的核酸M13(一本鎖のM13mp18はLife Technologies, Inc.より入手可能であり、二本鎖のM13mp19はNew England Biolabsより入手可能である)をヒトゲノムDNA(Novagen, Madison, WI)と一緒にし、ついでインベーダー指令開裂反応で使用した。二本鎖標的分子に対するオリゴヌクレオチドの溶液ハイブリダイゼーションを含むポリメラーゼ連鎖反応または酵素的DNA配列決定アッセイなどにおける標準的な実施と同様に、この開裂反応の開始前に、該DNAを95℃に15分間加熱して、該サンプルを完全に変性させた。
図35のレーン2〜5に示す各反応では、標的DNA(25フィコモルのssDNAおよび1ピコモルのdsDNA)を50ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)と一緒にした。レーン1に示す反応では、標的DNAを加えなかった。また、反応1、3および5は、470ngのヒトゲノムDNAも含有していた。これらの混合物を蒸留水で10μlの容量とし、Chill OutTM蒸発防止剤を重層し、15分間95℃にした。このインキュベーション時間の後95℃のまま、各管へ10μlの混合物[該混合物は、各々0.1%のTween-20およびNP-40、4mM MnCl2ならびに100mM KClを含有する20mM MOPS(pH7.5)中に2.25μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物(実施例2に記載のとおりに調製したもの)と5ピコモルのプローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)とを含む]を加えた。該反応は15分間62℃とし、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する12μlの95%ホルムアミドを加えることにより該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを75℃に2分間加熱した。Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して反応産物を可視化した。その結果を図35に示す。
図35において、レーン1は、プローブ(配列番号43)、インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)およびヒトゲノムDNAを含有する反応の産物を含有する。レーン1を検討すると、該プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドが標的配列に対して特異的であり、有意なバックグラウンド開裂がゲノムDNAの存在によって何ら引き起こされないことが示される。
図35において、レーン2および3は、それぞれヒトゲノムDNAの不存在下または存在下で一本鎖標的DNA(M13mp18)、プローブ(配列番号43)およびインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)を含有する反応からの反応産物を含有する。レーン2および3を検討すると、大過剰の競合DNA(ヒトゲノムDNA)の存在下または不存在下で一本鎖標的分子上の特異的配列の存在を検出するのにインベーダー検出アッセイが使用可能であることが示される。
図35において、レーン4および5は、それぞれヒトゲノムDNAの不存在下または存在下で二本鎖標的DNA(M13mp19)、プローブ(配列番号43)およびインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)を含有する反応からの反応産物を含有する。レーン4および5を検討すると、二本鎖標的分子がインベーダー指令検出反応に著しく適していることが示される。大過剰のゲノムDNAのバックグラウンド中の標的として短い二本鎖分子M13mp19を使用するこの反応の成功は、特に注目に値する。なぜなら、より短く、かつ、それほど複雑でないM13 DNA鎖が、それらの相補鎖を、より複雑なヒトゲノムDNA鎖より容易に見つけるであろうと予想されていたからである。M13 DNAに沿った標的配列にプローブおよび/またはインベーダーオリゴヌクレオチドが結合する前にM13 DNAがリアニーリングするならば、開裂反応は妨げられるであろう。また、変性したゲノムDNAは、該プローブおよび/またはインベーダーオリゴヌクレオチドに対して相補的な領域を含有している可能性があるため、該ゲノムDNAが、これらのオリゴヌクレオチドに結合し、それによりM13に対するそれらのハイブリダイゼーションを妨げることにより、ゲノムDNAの存在が該反応を阻害する可能性があった。前記の結果は、前記で用いた反応条件下では、これらの理論的な懸念が問題とならないことを示している。
これらのデータは、二本鎖標的中に存在する配列を検出するのにインベーダー検出アッセイの使用が可能であることを示しているだけでなく、多量の非標的DNA(470ng/20μlの反応)の存在が開裂の特異性を減少させないことも示している。この量のDNAは産物の蓄積の速度に何らかの影響を及ぼしてはいるが(おそらく、該酵素の一部に結合することによるものであろう)、標的配列の性質は、それが一本鎖核酸であろうと二本鎖核酸であろうと、このアッセイの適用を限定するものではない。
実施例15
標的の濃度の関数としてのインベーダー指令開裂アッセイにおけるシグナルの蓄積
インベーダー指令開裂アッセイを用いてサンプル中の標的核酸の量を示すことができるか否かを調べるために、以下の実験を行なった。インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)、標識プローブ(配列番号43)および標的核酸M13mp19を含有する開裂反応を調製した。開裂産物の蓄積が、反応中に存在する標的DNAの量を反映するか否かを調べるために、含有させるM13標的DNAの量を次第に少なくする一連の反応を用いた。
反応は以下のとおりに行なった。酵素および緩衝液を含有するマスター混合物を調製した。それぞれ5μlのマスター混合物は、各々0.1%のTween-20およびNP-40、4mM MnCl2ならびに100mM KClを含有する20mM MOPS(pH7.5)中に25ngのCleavase▲R▼ BNヌクレアーゼを含有していた。図36のレーン4〜13に示す各開裂反応では、DNA混合物5μl当たり、5ピコモルのフルオレセイン標識プローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)、50ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)およびそれぞれ100、50、10、5、1、0.5、0.1、0.05、0.01または0.005フィコモルの一本鎖M13mp19を含有するDNA混合物を調製した。該DNA溶液を、1滴のChill Out▲R▼蒸発防止剤で覆い、61℃とした。各管へ5μlの該酵素混合物を加えることにより、開裂反応を開始した(最終反応容量は10μlであった)。61℃で30分後、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する8μlの95%ホルムアミドを加えることにより、該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを90℃に1分間加熱した。参照体(すなわち、標準体)を得るために、フルオレセイン標識プローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)の1.0、0.1および0.01ピコモルのアリコートを前記ホルムアミド溶液で希釈して、18μlの最終容量とした。これらの参照マーカーを、該ゲルのそれぞれレーン1〜3中にローディングした。電気泳動後、Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して、開裂反応の産物(および参照標準体)を可視化した。その結果を図36に示す。
図36では、フルオレセイン含有核酸(すなわち、開裂プローブ分子および未開裂プローブ分子)の周囲を枠で示しており、各枠内に含有されるフルオレセインの量を枠の下に示している。該ゲルのバックグラウンド蛍光(「バックグラウンド」と表示した枠を参照されたい)を蛍光イメージャーにより差し引きして、開裂プローブ産物および未開裂プローブ産物を含有する枠の下に示す各値を得た(枠の左上には1〜14の番号を付し、枠の下にはVに続けて数値を示している)。「M」と表示しているレーンは、マーカーとして働くフルオレセイン化オリゴヌクレオチドを含有する。
図36に示す結果は、一定の長さのインキュベーション時間内での開裂プローブ分子の蓄積が、該反応内に存在する標的DNAの量を反映することを示している。その結果はまた、開裂プローブ産物が、標的のコピー数より多く蓄積することを示している。このことは、10フィコモル(0.01ピコモル)の未開裂プローブを示すレーン3の結果を、10フィコモルの標的DNAの存在に応じて蓄積した産物を示すレーン5の結果と比較することにより明らかに示される。これらの結果は、該反応が、存在する各標的分子当たり何百個ものプローブオリゴヌクレオチド分子を開裂することができ、インベーダー指令開裂反応で生成する標的特異的シグナルを劇的に増幅することを示している。
実施例16
インベーダー指令開裂アッセイに対する唾液抽出物の影響
核酸検出方法が医学(すなわち、診断)の場で有用なものとなるためには、典型的な臨床試料中に存在すると考えられる物質および混入物により該方法が妨げられてはならない。臨床サンプル中に存在すると考えられる核酸、糖タンパク質および炭水化物(これらに限定されるものではない)を含む種々の物質に対するインベーダー指令開裂アッセイの感度を試験するために、臨床実験室の慣例に従った方法でヒトの唾液のサンプルを調製し、得られた唾液抽出物を、インベーダー指令開裂アッセイに加えた。開裂の阻害および開裂反応の特異性に対する唾液抽出物の影響を調べた。
ヒトの唾液1.5mlを集め、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)を含有する等容量の混合物で1回抽出した。得られた混合物をミクロ遠心機中で遠心分離して、水相と有機相とを分離した。上方の水相を新鮮な管中に移した。1/10容量の3M NaOAcを加え、該管の内容物を混合した。2倍容量の100%エチルアルコールを該混合物へ加え、該サンプルを混合し、室温で15分間インキュベートして、沈殿物を形成させた。該サンプルをミクロ遠心機中、13,000rpmで5分間遠心分離し、上清を取り出し廃棄した。乳状ペレットが容易に認められた。該ペレットを70%エタノールで1回濯ぎ、減圧下で乾燥し、200μlの10mM Tris-HCl(pH8.0)、0.1mM EDTAに溶解した(これにより唾液抽出物が構成される)。該唾液抽出物の1μlは、唾液7.5μlと等価である。走査型紫外線分光測光による該唾液抽出物の分析は、約260nmにピーク吸光度を示し、抽出物1μl当たり合計約45ngの核酸の存在を示した。
以下の酵素に対する唾液抽出物の存在の影響を調べた:Cleavase▲R▼ B/Nヌクレアーゼ、Cleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ、および3つの異なるロットのDNAPTaq[AmpliTaq▲R▼(Perkin Elmer;DNAPTaqの組換え形態)、AmpliTaq▲R▼ LD(Perkin-Elmer;非常に低レベルのDNAを含有する組換えDNAPTaq調製物)およびTaq DNAポリメラーゼ(Fischer)]。試験する各酵素について、酵素/プローブ混合物を調製した。該混合物は、各々0.1%のTween-20およびNP-40、4mM MnCl2、100mM KClならびに100μg/ml BSAを含有する10μlの20mM MOPS(pH7.5)中に5ピコモルのプローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)と共に、選択した量の酵素を含むものであった。以下の量の酵素を使用した:実施例9に記載のとおりに調製した25ngのCleavase▲R▼ BN、実施例2に記載のとおりに調製した2μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物、2.25μl(11.25ポリメラーゼ単位)の以下のDNAポリメラーゼ:AmpliTaq▲R▼DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)、AmpliTaq▲R▼DNAポリメラーゼLD(low DNA;Perkin-Elmerから)、Taq DNAポリメラーゼ(Fischer Scientific)。
図37に示す反応のそれぞれについて(ただし、レーン1に示すものを除く)、標的DNA(50フィコモルの一本鎖M13mp19 DNA)を、50ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)および5ピコモルのプローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)と一緒にした。反応1(レーン1)では、標的DNAを加えなかった。反応1、3、5、7、9および11は1.5μlの唾液抽出物を含んでいた。これらの混合物を蒸留水で5μlの容量とし、1滴のChill Out▲R▼蒸発防止剤を重層し、10分間95℃にした。ついで5μlの所望の酵素/プローブ混合物を加えることにより、開裂反応を開始した。反応1、4および5にはCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼを加えた。反応2および3にはCleavase▲R▼ BNを加えた。反応6および7にはAmpliTaq▲R▼を加え、反応8および9にはAmpliTaq▲R▼ LDを加え、反応10および11にはFisher ScientificからのTaq DNAポリメラーゼを加えた。
該反応を63℃で30分間インキュベートし、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する6μlの95%ホルムアミドを加えることにより、該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを75℃に2分間加熱した。Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して反応産物を可視化した。その結果を図37に示す。
該酵素のそれぞれで処理した唾液抽出物を含むおよび含まない図37に示す2組のレーン間での比較は、唾液抽出物が該酵素のそれぞれに異なる影響を及ぼすことを示している。Cleavase▲R▼ BNヌクレアーゼおよびAmpliTaq▲R▼では、これらの条件下での開裂が有意に阻害されたが、Cleavase▲R▼ A/GヌクレアーゼおよびAmpliTaq▲R▼ LDは、開裂されたプローブの収量の相違をほとんど示していない。Fisher ScientificからのTaq DNAポリメラーゼの調製物は、中間の反応を示し、開裂産物の収量が部分的に減少している。重合の点では、それらの3つのDNAPTaq変異体は等価なはずであり、これらは、等量の合成活性を有する同じタンパク質のはずである。認められる相違は、精製時の異なる取り扱いまたは異なる精製方法により生じた各調製物中に存在するヌクレアーゼ活性の量の変動による可能性がある。いずれにせよ、市販のDNAP調製物の重合活性を評価するために設計された品質管理アッセイは、存在するヌクレアーゼ活性の変動を明らかにしないようである。DNAPTaqの調製物を完全な5’ヌクレアーゼ活性に関してスクリーニングする場合には(すなわち、5’ヌクレアーゼ活性は特異的に定量された場合)、該調製物が示す感受性(唾液抽出物に対するもの)は、DNAPTaqとの間に非常に少数のアミノ酸の相違を有するCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼを用いた場合に認められる感受性と、より合致すると考えられる。
Cleavase▲R▼ BNおよびDNAPTaq変異体の遅い反応においてでさえ、不適当なハイブリダイゼーションまたは唾液由来のヌクレアーゼによるプローブオリゴヌクレオチドの非特異的開裂の顕著な増加が全くないことは注目に値する。
実施例17
インベーダー指令開裂アッセイにおける追加の5’ヌクレアーゼの比較
多数の真正細菌DNAポリメラーゼA型(すなわち、Pol I型DNAポリメラーゼ)は、構造特異的エンドヌクレアーゼとして機能することが示されている(実施例1およびLyamichevら,前掲)。本実施例では、このクラスの酵素にも、Cleavase▲R▼酵素ほど効率的でないものの、本発明のインベーダー指令開裂を触媒させることが可能であることを示した。
異なる3つの耐熱性DNAポリメラーゼ[テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ(Promega)、テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)およびテルムス・フラバス(Thermus flavus)DNAポリメラーゼ(Epicentre)]と共に、Cleavase▲R▼ BNヌクレアーゼおよびCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼを試験した。図38のレーン1〜11に示す反応で使用した酵素混合物は、それぞれ5μl容量中に以下のものを含有していた:レーン1:各々0.1%のTween-20およびNP-40、4mM MnCl2、100mM KClを含有する20mM MOPS(pH7.5);レーン2:レーン1について記載したのと同じ溶液中の25ngのCleavase▲R▼ BNヌクレアーゼ;レーン3:レーン1について記載したのと同じ溶液中の2.25μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物(実施例2に記載のとおり調製したもの);レーン4:20mM Tris-Cl(pH8.5)、4mM MgCl2および100mM KCl中の2.25μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物;レーン5:レーン4について記載したのと同じ緩衝液中の11.25ポリメラーゼ単位のTaq DNAポリメラーゼ;レーン6:レーン1について記載したのと同じ緩衝液中の11.25ポリメラーゼ単位のTth DNAポリメラーゼ;レーン7:製造業者により供給された2×濃度の緩衝液に4mM MnCl2を補足した液中の11.25ポリメラーゼ単位のTth DNAポリメラーゼ;レーン8:製造業者により供給された2×濃度の緩衝液を4mM MgCl2で補足した液中の11.25ポリメラーゼ単位のTth DNAポリメラーゼ;レーン9:レーン1について記載したのと同じ緩衝液中の2.25ポリメラーゼ単位のTfl DNAポリメラーゼ;レーン10:製造業者により供給された2×濃度の緩衝液に4mM MnCl2を補足した液中の2.25ポリメラーゼ単位のTflポリメラーゼ;レーン11:製造業者により供給された2×濃度の緩衝液に4mM MgCl2を補足した液中の2.25ポリメラーゼ単位のTfl DNAポリメラーゼ。
全11個の反応について十分な標的DNA、プローブおよびインベーダーを一緒にして、マスター混合物とした。この混合物は、55μlの蒸留水中に、550フィコモルの一本鎖M13mp19標的DNA、550ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)および55ピコモルのプローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)(それぞれ図28cに記載のもの)を含有していた。5μlの該DNA混合物を、11本の標識された管中に分注し、1滴のChill Out▲R▼蒸発防止剤を重層した。該反応を63℃とし、5μlの適当な酵素混合物を加えることにより開裂を開始した。ついで該反応混合物を63℃で15分間インキュベートした。20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する8μlの95%ホルムアミドを加えることにより、該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを90℃に1分間加熱した。電気泳動後、Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して反応産物を可視化し、その結果を図38に示す。図38に示す結果を検討すると、試験した5’ヌクレアーゼのすべてが、試験した緩衝系の少なくとも1つにおいてインベーダー指令開裂を触媒する能力を有することが示される。ここでは最適化されていないが、これらの開裂剤は、本発明の方法で使用するのに適したものである。
実施例18
インベーダー指令開裂アッセイは標的核酸配列中の単一の塩基の相違を検出することができる
インベーダー指令開裂アッセイが、単一の塩基のミスマッチ突然変異を検出する能力を調べた。Cleavase▲R▼酵素に抵抗性のホスホロチオエート骨格を含有する2つの標的核酸配列を化学合成し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した。ホスホロチオアート骨格を含む標的を使用して、オリゴヌクレオチドと二本鎖になっている場合の標的のエキソヌクレアーゼ的ニブリングを妨害した。インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)およびプローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)と完全に相補的な標的配列を与える標的オリゴヌクレオチドは、以下の配列を含有していた:
5’-CCTTTCGCTTTCTTCCCTTCCTTTCTCGCCACGTTCGCCGGC-3’(配列番号47)。配列番号47に対する単一の塩基の変化を含有する第2の標的配列を合成した:
5’-CCTTTCGCTCTCTTCCCTTCCTTTCTCGCCACGTTCGCCGGC-3'(配列番号48;配列番号47に対する単一の塩基の変化を下線を付した太字を用いて示す)。それにより、図29に示す標的の「Z」領域内に共通ミスマッチが生じる。
単一のミスマッチの存在により相違する2つの標的配列を識別するために、2つの異なる反応温度(55℃および60℃)を用いてインベーダー指令開裂反応を行なった。50mM KClを含む9μlの10mM MOPS(pH7.4)中に200フィコモルの配列番号47または配列番号48のいずれか、3ピコモルのフルオレセイン標識プローブオリゴヌクレオチド(配列番号43)、7.7ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号46)および2μlのCleavase▲R▼ A/Gヌクレアーゼ抽出物(実施例2に記載のとおり調製したもの)を含有する混合物を調製し、1滴のChill Out▲R▼蒸発防止剤で覆い、適当な反応温度とした。1μlの20mM MgCl2を加えることにより開裂反応を開始した。55℃または60℃のいずれかで30分後、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する10μlの95%ホルムアミドを加えて、該反応を停止した。ついで、20%変性ポリアクリルアミドゲル上に4μlをローディングする前に、該反応混合物を90℃に1分間加熱した。分離した反応産物を、Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して可視化した。得られた画像を図39に示す。
図39において、レーン1および2は、55℃で行なった反応からの産物を示し、レーン3および4は、60℃で行なった反応からの産物を示す。レーン1および3は、標的として配列番号47(プローブと完全にマッチする)を含有する反応からの産物を含有していた。レーン2および4は、標的として配列番号48(プローブに対して単一の塩基のミスマッチを有する)を含有する反応からの産物を含有していた。該プローブに対して完全なハイブリダイゼーションマッチ(すなわち、完全な相補性)を有さない標的は、それほど強力に結合しないであろう。すなわち、その二本鎖のTmは、完全にマッチした場合の同じ領域のTmより低いであろう。ここに示す結果は、反応条件を変化させて、そのミスマッチを受け入れたり(例えば、反応温度を低下させることにより)、あるいはミスマッチ配列の結合を除外する(例えば、反応温度を上昇させることにより)ことができることを示している。
図39に示す結果は、特異的な開裂事象は、それがインベーダー指令開裂反応において生じたものであったとしても、プローブオリゴヌクレオチドと標的配列との間の単一の塩基のミスマッチの存在により失われうることを示している。このように、反応条件を選択して、ミスマッチしたインベーダー指令開裂プローブのハイブリダイゼーションを除去し、それにより該プローブの開裂を減少させたり更には排除することができる。このアッセイ系の拡張として、別々のレポーター分子(すなわち、特有の標識)をそれぞれが有する複数の開裂プローブを単一の開裂反応で使用して、同じ標的領域中の2以上の変異体を同時にプローブすることも可能であろう。そのような反応の産物は、標的分子中に存在する突然変異の検出だけでなく、標的配列の混合物を含有するサンプル内に存在する各配列(すなわち、突然変異体および野生型、または複数の異なる突然変異体)の相対濃度の測定をも可能にするであろう[標的に対して等量であるが非常に大過剰(例えば、少なくとも100倍モル過剰、典型的には、約10フィコモル以下の標的配列が存在する場合に、少なくとも1ピコモルの各プローブオリゴヌクレオチドを使用する)を、最適化された条件中で使用する場合]。前記のとおり、標的変異体の相対量の相違はいずれも、ハイブリダイゼーションの速度論に影響を及ぼさず、各プローブの開裂の量は、反応内に存在する各変異体の相対量を反映するであろう。
本実施例に示す結果は、インベーダー指令開裂反応を用いて標的核酸間の単一の塩基の相違を検出できることをはっきりと証明している。
実施例19
インベーダー指令開裂反応は、反応条件の大きな変化による影響を受けない
前記で示した結果は、インベーダー指令開裂反応を用いて標的核酸配列の検出が可能であり、このアッセイを用いて標的核酸間の単一の塩基の相違を検出できることを明らかにした。これらの結果は、核酸標的を認識するための効率的な方法として、一対の重複オリゴヌクレオチドと共に5’ヌクレアーゼ(例えば、Cleavase▲R▼ BN、Cleavase▲R▼ A/G、DNAPTaq、DNAPTth、DNAPTfl)を使用しうることを示した。後記の実験では、侵入的開裂反応が、条件の大きな変化による影響をそれほど受けないため、該方法が臨床実験室での実施に適したものとなることを示す。
開裂反応の条件の変化の影響を、それが侵入的開裂の特異性に及ぼす影響、および反応経過中に蓄積するシグナルの量に及ぼす影響に関して調べた。開裂反応の変化を比較するために、まず、「標準的」なインベーダー開裂反応を定義した。それぞれの場合おいて、特に断らない限り、個々の試験において変化させない態様は、この標準的な反応のものとする一方、示した反応パラメーターを変化させた。これらの試験の結果を、図42〜51のいずれか又は後記の結果に示す。
a)標準的なインベーダー指令開裂反応
標準的な反応は、100mM KCl、4mM MnCl2ならびに各々0.05%のTween-20およびNonidet-40を含有する10μlの10mM MOPS(pH7.5)中に、1フィコモルのM13mp18一本鎖標的DNA(New England Biolabs)、5ピコモルの標識プローブオリゴヌクレオチド(配列番号49)、10ピコモルの上流インベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号50)、および2単位のCleavase▲R▼ A/Gを含むものと定義した。各反応について、緩衝液、塩および酵素を一緒にして5μlの容量とし、DNA(標的および2つのオリゴヌクレオチド)を5μlのdH2O中で一緒にし、1滴のChill Out▲R▼蒸発防止剤を重層した。同じ反応成分で複数の反応を行なう場合には、これらの配合を比例的に増加させた。
特に断らない限り、該DNA混合物を含有するサンプル管を61℃に加温し、5μlの該酵素混合物を加えることにより反応を開始した。この温度で20分後、20mM EDTAおよび0.05%マーカー色素を含有する8μlの95%ホルムアミドを加えることにより、該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%アクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動の直前に、サンプルを75℃に2分間加熱した。電気泳動後、Hitachi FMBIO蛍光イメージャーを使用して反応産物を可視化した。それぞれの場合に、未開裂プローブ物質は、濃い黒色のバンドまたは染みとして、通常はパネルの上半分に認められ、一方、インベーダー指令開裂による所望の産物は、1個または2個の狭い黒色バンドとして、通常はパネルの下半分に認められた。また、いくつかの反応条件下、特に、高い塩濃度の反応条件下では、もう1つの開裂産物が認められる(したがって、ダブレットが生じる)。より薄い灰色バンドのラダーは、一般に、プローブオリゴヌクレオチドのエキソヌクレアーゼニブリング、または熱で誘発された非特異的なプローブ分解を示す。
図41は、M13mp18標的分子(下側の鎖)に沿う領域に対する、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドのアニーリングを示す。図41では、M13mp18分子の52ヌクレオチドの部分のみが示されており、この52ヌクレオチドの配列は、配列番号42(この配列は、M13mp18およびM13mp19の両方において同じである)に記載されている。該プローブオリゴヌクレオチド(上側の鎖)は、5’末端にCy3アミダイト標識を含有し、該プローブの配列は、
5’-AGAAAGGAAGGGAAGAAAGCGAAAGGT-3'(配列番号49)である。太字は、修飾塩基(2’-O-CH3)の存在を示す。Cy3アミダイト(Pharmacia)は、オリゴヌクレオチドの合成中に任意の位置で取込まれうるインドジカルボシアニン色素アミダイトである。Cy3は黄色領域で蛍光を発する(励起および発光の最大がそれぞれ554および568nm)。インベーダーオリゴヌクレオチド(中間の鎖)は以下の配列を有する:5’-GCCGGCGAACGTGGCGAGAAAGGA-3’(配列番号50)。
b)KCl滴定
図42は、KCl濃度を変化させ、2mM MnCl2を併用した場合(その他の点では標準的な反応)の結果を示す。反応は、観察の確認のために2回繰返して行なった。レーン1および2に示す反応は、添加されたKClを含有せず、レーン3および4は5mMのKClを含有し、レーン5および6は25mM KClを含有し、レーン7および8は50mM KClを含有し、レーン9および10は100mM KClを含有し、レーン11および12は200mM KClを含有していた。これらの結果は、KClを加えると、特異的な開裂産物の生成が可能になることを示している。最強のシグナルは100mMのKCl濃度で認められたが、25mM以上のKCl濃度を有する残りの反応におけるシグナルの特異性は、いずれかの個々の反応条件にとって望ましいならば、全領域(すなわち、25〜200mM)からの濃度の選択が可能であることを示している。
図42に示すとおり、効果的な開裂が生じるためには、インベーダー指令開裂反応は、塩(例えば、KCl)の存在を必要とする。KClは、約25mMを超える濃度で存在する場合に、あるCleavase▲R▼酵素の活性を阻害しうることが、他の反応において判明している(例えば、図30に示すS-60オリゴヌクレオチドを使用する開裂反応において、Cleavase▲R▼ BN酵素は、プライマーの不存在下、50mM KCl中では、その活性の約50%を喪失する)。したがって、別の塩をインベーダー指令開裂反応で使用することを検討した。これらの実験では、カリウムイオンをNa+またはLi+で置換し、塩化物イオンをグルタミン酸で置換した。KClを別の塩で置換することについて、以下のc〜e節で説明する。
c)NaCl滴定
図43には、100mM KCl(レーン1および2)で見られる影響と比較して、KClの代わりに各種濃度のNaClを使用し、2mM MnCl2を併用した結果を示す(レーン3〜10)。その他の点では、標準的な反応である。レーン3および4で分析した反応は75mMのNaClを含有し、レーン5および6は100mMのNaClを含有し、レーン7および8は150mMのNaClを含有し、レーン9および10は200mMのNaClを含有した。これらの結果は、インベーダー指令開裂反応においてKClの代わりにNaClを使用することができる(すなわち、NaClの存在は、KClの場合と同様に、産物の蓄積を増加させる)ことを示した。
d)LiCl滴定
図44には、100mM KCl(レーン1および2)で見られる影響と比較して、KClの代わりに各種濃度のLiClを使用した結果を示す(レーン3〜14)。その他の点では、標準的な反応である。レーン3および4で分析した反応は25mMのLiClを含有し、レーン5および6は50mMのLiClを含有し、レーン7および8は75mMのLiClを含有し、レーン9および10は100mMのLiClを含有し、レーン11および12は150mMのLiClを含有し、レーン13および14は200mMのLiClを含有した。その結果は、LiClは、インベーダー指令開裂反応におけるKClの適当な置換体として使用可能である(すなわち、LiClの存在は、KClの場合と同様に、産物の蓄積を増加させる)ことを示した。
e)KGlu滴定
図45には、グルタミン酸のカリウム塩(KGlu)を、より一般的に使用される塩化物塩(KCl)の代わりに、一定範囲の温度で行なう反応において使用した結果を示す。KGluは、いくつかの酵素反応の非常に効果的な塩供給源であり、より広範囲の濃度で最大の酵素活性を許容することが示されている[Leirmoら,(1987)Biochem. 26:2095]。KGluが標的核酸に対するプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドのアニーリングを促進する能力を、LiClのものと比較した。これらの実験では、標準的な20分間ではなく15分間反応を行なった。レーン1で分析した反応は150mMのLiClを含有し65℃で行った。レーン2〜4で分析した反応は200mM、300mMおよび400mMのKGluを含有し、それぞれ65℃で行なった。レーン5〜8で分析した反応は、レーン1〜4で使用した塩濃度の順序を繰り返したが、67℃で行った。レーン9〜12は69℃で行った同一の順序を示し、レーン13〜16は71℃で行った同一の順序を示す。図45に示した結果は、KGluが、侵入的開裂反応における塩として非常に効果的であることを示した。さらに、これらのデータは、可能なKGluの濃度範囲がLiClの濃度範囲よりも遥かに広く、400mMのKGluであっても十分な活性が明らかに認められることを示した。
f)MnCl2およびMgCl2滴定ならびにMnCl2をMgCl2で置換しうる可能性
場合によっては、使用する酵素の活性に必要な二価陽イオンとしてMn2+に加えて又はその代わりにMg2+の存在下で侵入的開裂反応を行なうのが望ましいかもしれない。例えば、細菌培養または組織からDNAを調製するいくつかの一般的な方法では、沈殿によるDNAの集積を促進するのに使用する溶液中でMgCl2を使用する。さらに、核酸のハイブリダイゼーションを促進するために、前記で一価の塩を使用したのと同じ方法で、二価陽イオンを高濃度(すなわち、5mM以上)で使用し、それにより侵入的開裂反応を増強することができる、この実験では、1)MgCl2によるMnCl2の置換、およびMgCl2およびMnCl2の存在濃度を増加させた場合に特異的な産物が得られる可能性に関する、侵入的開裂反応の許容度を調べた。
図46は、MnCl2の濃度を2mMから8mMまで変化させた場合、MnCl2を2〜4mMのMgCl2で置換した場合、またはこれらの成分を併用した場合(その他の点では標準的な反応)の結果を示す。レーン1および2で分析した反応は、各々2mMのMnCl2およびMgCl2を含有し、レーン3および4の反応は2mM MnCl2のみを含有し、レーン5および6は3mM MnCl2を含有し、レーン7および8は4mM MnCl2を含有し、レーン9および10は8mM MnCl2を含有していた。レーン11および12で分析した反応は2mM MgCl2を含有し、レーン13および14は4mM MgCl2を含有していた。これらの結果は、これらの反応におけるCleavase▲R▼ A/G酵素の開裂活性を付与するのに必要な二価陽イオンとして、MnCl2およびMgCl2の両方を使用することができ、侵入的開裂反応が、これらの成分の広範囲の濃度を許容しうることを示している。
侵入的開裂反応における産物の蓄積の速度に塩環境が及ぼす影響を検討したのに加えて、標準的なハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ブロットハイブリダイゼーション)または連結反応における核酸ハイブリダイゼーションを増強するのに有効であると示されている反応成分の使用を検討した。これらの成分は、容量排除剤(volume excluders)として作用して、関心のある核酸の有効濃度を増加させ、それによりハイブリダイゼーションを増強する可能性がある。あるいは、それらは、電荷遮蔽剤として作用して、核酸鎖の高度に荷電している骨格間の反発を最小限に抑制するかもしれない。これらの実験の結果を、以下のgおよびh節に記載する。
g)CTABの添加の影響
ポリカチオン界面活性剤であるセチルトリエチルアンモニウムブロミド(CTAB)は、核酸のハイブリダイゼーションを劇的に増強することが示されている[PontiusおよびBerg(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8237]。図47に示したデータは、KClの代わりに150mM LiClを使用する以外は標準的な反応である侵入的開裂反応へ界面活性剤CTABを添加した結果を示す。レーン1は未反応(即ち、未切断)プローブを示し、レーン1に示した反応はCTABを用いないLiClで改変した標準反応である。レーン3および4で分析した反応は100μMのCTABを含有し、レーン5および6は200μMのCTABを含有し、レーン7および8は400μMのCTABを含有し、レーン9および10は600μMのCTABを含有し、レーン11および12は800μMのCTABを含有し、レーン13および14は1mMのCTABを含有した。これらの結果は、より少ない量のCTABがこれらの反応条件下で非常に適度な増強効果を有する可能性があり、約500μMを超える濃度のCTABの存在は、特異的開裂産物の蓄積に抑制的であることを示した。
h)PEGの添加の影響
図48には、各種濃度比率[%(w/v)]のポリエチレングリコール(PEG)を加えること(その他の点では標準的な反応)による影響を示す。PEG含有反応の反応温度を増加させることによる影響も検討した。レーン1および2でアッセイした反応は、PEGを使用しない標準反応とし、レーン3および4は4%PEGを含有し、レーン5および6は8%PEGを含有し、レーン7および8は12%PEGを含有した。前述の各反応は61℃で行った。レーン9、10、11および12で分析した反応は、65℃で行い、それぞれ0%、4%、8%および12%のPEGを含有した。これらの結果は、PEGを加えると、試験したすべての比率(%)および試験した両方の温度で、特異的開裂産物の生成が実質的に失われることを示した。
また上述のデータ(即ちCTABおよびPEG添加の影響)の他に、反応混合物中の1×Denhardts溶液の存在は、開裂反応に何ら悪影響を及ぼさないことが判明した[50×Denhardts溶液は、500ml当たり5gのフィコール、5gのポリビニルピロリドン、5gのBSAを含有する]。さらに、インベーダー指令開裂反応に対する影響に関して、Denhardts溶液の各成分の存在を個別的に(すなわち、フィコール単独、ポリビニルピロリドン単独、BSA単独で)調べたところ、悪影響は何ら認められなかった。
i)安定化剤の添加の影響
侵入的開裂反応の生産を増強するもう1つのアプローチは、使用する酵素の活性を、反応環境中でのその安定性を増加させたり又はその代謝回転速度を増加させることにより増強することである。侵入的開裂反応において種々の物質が作用する正確なメカニズムは考慮せずに、長期保存中に酵素を安定化させるのに一般に使用される幾つかの物質を、侵入的開裂反応における特異的開裂産物の蓄積を増強する能力に関して試験した。
図49には、15%のグリセロールを加えること、および1.5%の界面活性剤Tween-20およびNonidet-P40を単独でまたは組合せて加えること(その他の点では標準的な反応)による影響を示す。レーン1で分析した反応は標準反応とした。レーン2で分析した反応は1.5%のNP-40を含有し、レーン3は1.5%Tween-20を含有し、レーン4は15%のグリセロールを含有した。レーン5で分析した反応ではTween-20とNP-40の双方を上述の濃度で添加し、レーン6はグリセロールとNP-40の双方を含有し、レーン7はグリセロールおよびTween-20の双方を含有し、レーン8は三種全てを含有した。図49に示した結果は、これらの条件下では、これらの添加物は、特異的開裂産物の蓄積に、ほとんど又は全く影響を及ぼさないことを示した。
図50には、塩の種類および濃度を標準的な反応から変化させた反応へゼラチンを加えることによる影響を示す。さらに、これらの反応の全てを、61℃に代えて65℃で行った。レーン1〜4でアッセイした反応はKClを添加せず、それぞれ0.02%、0.05%、0.1%または0.2%のゼラチンを含有した。レーン5、6、7および8は、それぞれゼラチンを同量滴定し、100mMのKClを含有した。レーン9、10、11および12も、ゼラチンを同量滴定し、さらにKClの代わりに150mMのLiClを含有した。レーン13および14は、ゼラチンを含まないが、それぞれ100mMのKClまたは150mMのLiClのいずれかを含有した反応を示す。図50に示した結果は、塩の不存在下では、ゼラチンは特異的開裂産物の蓄積に対して適度な増強効果を有するが、これらの条件下で行なう反応に塩(KClまたはLiCl)を加えた場合には、ゼラチンの量を増加させると産物の蓄積が減少することを示した。
j)多量の非標的核酸の添加の影響
サンプル内の特異的核酸配列の検出においては、追加の遺伝物質(すなわち、非標的核酸)の存在が、アッセイの特異性に負の影響を及ぼすか否かを判定することが重要である。本実験では、多量の非標的核酸(DNAまたはRNA)の添加が侵入的開裂反応の特異性に及ぼす影響を調べた。予想開裂部位の変化、またはプローブオリゴヌクレオチドの非特異的分解の増加に関して、データを検討した。
図51は、標準的な反応のKClの代わりに150mM LiClを使用して65℃で行なった侵入的開裂反応に対する非特異的核酸(例えば、ゲノムDNAまたはtRNA)の影響を示す。レーン1および2でアッセイした反応は、それぞれ235ngおよび470ngのゲノムDNAを含有していた。レーン3、4、5および6で分析した反応は、それぞれ100ng、200ng、500ngおよび1μgのtRNAを含有していた。レーン7は、標準的な反応で使用する量を上回る添加核酸を含有しない対照反応を表す。図51に示す結果は、多量の非標的核酸の添加は、特異的開裂産物の蓄積を明らかに減速しうることを示している(本発明はいずれかの特定のメカニズムに限定されるものではないが、追加の核酸は、酵素の結合に関して特異的反応成分と競合すると考えられる)。追加の実験では、多量の非標的核酸を加えることによる影響は、反応内の酵素を増加させることにより相殺しうることが判明した。図51に示すデータはまた、侵入的開裂反応の重要な特性である検出特異性が、多量の非標的核酸の存在により損なわれなかったことを示している。
前記のデータに加えて、「標準的」な反応で使用するMOPS緩衝液の代わりにコハク酸緩衝液(pH5.9)を使用して侵入的開裂反応を行なったところ、悪影響は何ら認められなかった。
図42〜51および前記に示すデータは、侵入的開裂反応が、多種多様な反応条件を用いて実施でき、したがって臨床実験室での実施に適していることを示している。
実施例20
インベーダー指令開裂によるRNA標的の検出
感染症および遺伝病に特異的なDNA配列を検出するという臨床的要求に加えて、RNAよりなる標的核酸を定量的に検出できる技術に対する要求がある。例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの幾つかのウイルス体はRNAゲノム物質を有しており、その定量的検出は、サンプル中のウイルス負荷(load)の尺度として使用することができる。そのような情報は、診断または予後において非常に重要な価値を有する。
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、全世界において輸血後非A非B(NANB)肝炎の主要原因となっている。さらに、HCVは、全世界の肝細胞癌(HCC)および慢性肝炎の主要病原体である。HCVのゲノムは、小さな(9.4kb)RNA分子である。血液サンプル中のHCV RNAの存在は感染性と強く相関するが、標準的な免疫学的試験で測定した場合のHCV抗体の存在は該サンプルの感染性と常に相関するとは限らないことが、輸血によるHCVの伝播の研究において判明している。逆に、免疫抑制された感染個体では、血清学的試験が陰性のままであっても、HCV RNAが容易に検出されることがある[J.A. Cuthbert(1994)Clin. Microbiol. Rev. 7:505]。
HCV RNAを検出するためのプローブに基づくアッセイの開発が要求されていること、およびそのような開発が重要であることは明らかである。臨床サンプル中のHCVを検出するためにポリメラーゼ連鎖反応が用いられているが、サンプルのキャリーオーバー(carry-over)汚染に関連した問題が懸念されている。逆転写または増幅を行なわなくてもウイルスRNAを直接検出できれば、既存アッセイの欠点のいくつかを克服することが可能となろう。
(+)鎖RNAのC型肝炎ウイルスのゲノムは、5’および3’の非コード領域(すなわち、5’および3’の非翻訳領域)を含むいくつかの領域と、コアタンパク質(C)、2個のエンベロープ糖タンパク質(E1およびE2/NS1)および6個の非構造糖タンパク質(NS2-NS5b)をコードするポリタンパク質コード領域とを含む。HCVゲノムの分子生物学的分析は、該ゲノムのいくつかの領域が単離体間で非常に高度に保存されている一方で、他の領域はかなり急速に変化しうることを示している。5’非コード領域(NCR)は、HCVにおいて最も高度に保存されている領域である。これらの分析により、これらのウイルスを6個の基本的な遺伝子型群に分類し、さらに12個を超える亜型に分類することが可能となった[HCV遺伝子型の名称および分類は次々と生まれつつある;最近の分類表については、Altamiranoら,J. Infect. Dis. 171:1034(1995)を参照されたい]。
感染個体中に存在するHCVを検出する迅速かつ正確な方法を開発するために、インベーダー指令開裂反応がHCV RNAを検出する能力を調べた。異なる6個のHCV RNA単離体の保存された5’非翻訳領域に由来するDNAを含有するプラスミドを使用して、in vitro転写のための鋳型を作製した。これらの6個のプラスミド中に含有されるHCV配列は、遺伝子型1(1a、1b、1cおよびΔ1cを代表する4個の亜型)、2および3を代表するものである。ここで用いるHCV遺伝子型の名称は、Simmondsら[Altamiranoら,前掲に記載されている]のものである。Δ1c亜型は、後記のモデル検出反応において使用した。
a)HCV配列を含有するプラスミドの作製
HCVに由来する6個のDNA断片を、血液提供者の血清サンプルから抽出したRNAを使用するRT-PCRにより作製した。これらのPCR断片は、M. Altamirano博士(University of British Columbia, Vancouver)から恵贈されたものである。これらのPCR断片は、HCV遺伝子型1a、1b、1c、Δ1c、2cおよび3aに由来するHCV配列を代表するものである。
標準的な方法(Altamiranoら,前掲)を用いて、RNA抽出、逆転写およびPCRを行なった。簡単に説明すると、グアニジンイソチオシアナート、ラウリルサルコシン酸ナトリウムおよびフェノール−クロロホルムを使用して100μlの血清からRNAを抽出した[Inchauspeら,Hepatology 14:595(1991)]。製造業者の指示に従い、外部アンチセンスプライマーHCV342の存在下でGeneAmp rTh逆転写酵素RNA PCRキット(Perkin Elmer)を使用して、逆転写を行なった。HCV342プライマーの配列は、5’-GGTTTTTCTTTGAGGTTTAG-3’(配列番号51)である。RT反応の終了後、センスプライマーHCV7[5’-GCGACACTCCACCATAGAT-3’(配列番号52)]およびマグネシウムを加え、第1PCRを行なった。第1PCR産物からのアリコートを、プライマーHCV46[5’-CTGTCTTCACGCAGAAAGC-3’(配列番号53)]およびHCV308[5’-GCACGGTCTACGAGACCTC-3’(配列番号54)]の存在下で第2(ネスティド)PCRで使用した。これらのPCRは、HCVゲノムの−284位〜−4位のHCVの保存された5’非コード領域(NCR)に相当する281bpの産物を産生した(Altamiranoら,前掲)。
6個の281bpのPCR断片をクローニングに直接使用するか、あるいはそれらを、10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2および0.1%Tween20を含有する緩衝液中に約100フィコモルのDNA、HCV46およびHCV308プライマー(0.1μM、100μMの全4個のdNTP)、および2.5単位のTaq DNAポリメラーゼを含む50μlのPCRを使用する追加の増幅工程に付した。PCRは、96℃で45秒、55℃で45秒および72℃で1分の25サイクルを行なった。2μlの元のDNAサンプルまたは再増幅されたPCR産物のいずれかを使用して、製造業者のプロトコールに従い線状pT7Blue T-ベクター(Novagen)中へクローニングした。該PCR産物をpT7Blue T-ベクターに連結した後、該連結反応混合物を使用して、コンピテントJM109細胞(Promega)を形質転換した。挿入断片を有するpT7Blue T-ベクターを含有するクローンを、40μg/ml X-Gal、40μg/ml IPTGおよび50μg/mlアンピシリンを含有するLBプレート上で白色のコロニーの存在により選択した。各PCRサンプルについて4個のコロニーを拾い、50μg/mlカルベニシリンを含有する2mlのLB培地中で一晩増殖させた。以下のアルカリミニプレッププロトコールを用いて、プラスミドDNAを単離した。1.5mlの一晩培養物からの細胞を、ミクロ遠心機中での2分間の遠心分離(14K rpm)により集め、上清を廃棄し、10μg/ml RNアーゼA(Pharmacia)を含有する50μl TE緩衝液に細胞ペレットを再懸濁した。0.2N NaOH、1%SDSを含有する100μlの溶液を加え、細胞を2分間溶解した。該ライゼートを100μlの1.32M酢酸カリウム(pH4.8)と穏やかに混合し、該混合物をミクロ遠心機中で4分間遠心分離(14K rpm)し、細胞デブリを含むペレットを廃棄した。プラスミドDNAを、200μlのエタノールで上清から沈殿させ、ミクロ遠心機中での遠心分離(14K rpm)によりペレット化した。該DNAペレットを15分間風乾し、ついで50μlのTE緩衝液(10mM Tris-HCl, pH7.8、1mM EDTA)に再溶解した。
b)後続のin vitro転写用のファージT7プロモーターを付加するためのHCVクローンの再増幅
転写のRNA産物が、分離した3’末端を有することを保証するためには、HCV配列の末端で終わる線状転写鋳型を作製することが必要であった。これらの断片は、ファージプロモーター配列とHCV挿入断片とを含有するプラスミドのセグメントを、PCRを用いて再増幅するにことにより簡便に得られた。これらの研究では、T7プロモーター配列:5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’(配列番号55;「T7プロモータープライマー」)(Novagen)にハイブリダイズするプライマーと、3’末端HCV特異的プライマーHCV308(配列番号54)とを使用して、HCV Δ1c型のクローンを再増幅した。これらの反応では、30サイクルの増幅を行なう以外は前記のとおりにT7およびHCV308プライマーを使用する200μlのPCRにおいて、1μlのプラスミドDNA(約10〜100ng)を再増幅した。得られたアンプリコンは、354bp長であった。増幅後、該PCR混合物を新鮮な1.5mlのミクロ遠心管中に移し、該混合物のNH4OAcの最終濃度を2Mとし、1倍容量の100%イソプロパノールを加えることにより該産物を沈殿させた。室温で10分間インキュベートした後、該沈殿物を遠心分離により集め、80%エタノールで1回洗浄し、減圧下で乾燥した。集めた物質を、ヌクレアーゼを含まない100μlの蒸留水(Promega)に溶解した。
このアンプリコンからRNAセグメントを得た。これは、100μlの反応中で5.3μgの前記アンプリコンを使用し、RiboMAXTMLarge Scale RNA Production System(Promega)を製造業者の指示に従い使用するin vitro転写により行なった。該転写反応を3.75時間インキュベートし、ついでRiboMAXTMキットの説明書に従い5〜6μlのRQ1 RNアーゼ非含有DNアーゼ(1単位/μl)を加えることによりDNA鋳型を破壊した。該反応をフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(50:48:2)で2回抽出し、水相を新鮮なミクロ遠心管に移した。ついで、10μlの3M NH4OAc(pH5.2)および110μlの100%イソプロパノールを加えることにより、該RNAを集めた。4℃で5分間インキュベートした後、該沈殿物を遠心分離により集め、80%エタノールで1回洗浄し、減圧下で乾燥した。得られたRNA転写産物(HCV1.1転写産物)の配列を配列番号56に記載する。
c)インベーダー指令開裂アッセイにおけるHCV1.1転写産物の検出
HCV特異的プローブオリゴヌクレオチド[5’-CCGGTCGTCCTGGCAATXCC-3’(配列番号57);Xは、非塩基性(abasic)リンカー上のフルオレセイン色素の存在を示す]と該プローブの6−ヌクレオチド侵入的開裂を引き起こすHCV特異的インベーダーオリゴヌクレオチド[5’-GTTTATCCAAGAAAGGACCCGGTC-3’(配列番号58)]とを使用するインベーダー指令開裂アッセイにおいて、HCV1.1転写産物の検出を試験した。
それぞれ10μlの反応混合物は、50mM KCl、4mM MnCl2、各々0.05%のTween-20およびNonidet-P40ならびに7.8単位のRNasin▲R▼リボヌクレアーゼ阻害剤(Promega)を含有する10mM MOPS(pH7.5)の緩衝液中に、5ピコモルのプローブオリゴヌクレオチド(配列番号57)および10ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号58)を含んでいた。使用した開裂剤は、Cleavase▲R▼A/G(10μlの反応当たり5.3ngで使用)またはDNAPTth(10μlの反応当たり5ポリメラーゼ単位で使用)であった。RNA標的の量を、以下に示すとおり変化させた。RNアーゼ処理が示されている場合は、検出が、転写反応からのいずれかの残存DNA鋳型の存在によるものではなく、反応内のRNAに特異的なものであることを示すために、標的RNAを10μgのRNアーゼA(Sigma)で37℃で30分間前処理した。RNアーゼで処理したHCV RNAアリコートは、精製を介することなく直接使用した。
各反応では、該インベーダーおよびプローブを前記の濃度としつつ開裂剤およびMnCl2を加えずに最終濃度を10μlとする以外は前記のとおりの反応溶液に、標的RNAを懸濁した。該反応を46℃に加温し、適当な酵素とMnCl2との混合物を加えることにより反応を開始した。46℃で30分間インキュベートした後、8μlの95%ホルムアミド、10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレット(メチルバイオレットローディング緩衝液)を加えることにより、該反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する15%変性ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動により、サンプルを分離した。電気泳動後、FMBIO-100イメージアナライザー(Hitachi)を使用して、標識された反応産物を可視化した。得られたイメージャースキャンを図52に示す。
図52において、レーン1〜4で分析したサンプルは1ピコモルのRNA標的を含有し、レーン5〜8に示す反応は100フィコモルのRNA標的を含有し、レーン9〜12に示す反応は10フィコモルのRNA標的を含有していた。奇数レーンはすべて、Cleavase▲R▼ A/G酵素を使用して行なった反応を示し、偶数レーンはすべて、DNAPTthを使用して行なった反応を示す。レーン1、2、5、6、9および10で分析した反応は、RNアーゼAで前消化されていたRNAを含有していた。これらのデータから示されるとおり、侵入的開裂反応はRNA標的を効率的に検出し、さらに、RNアーゼで処理されたサンプル中に特異的開裂シグナルが全く存在しないことから、残りのレーン内の特異的開裂産物は、投入RNAの存在に依存的であることが裏付けられる。
実施例21
インベーダー指令開裂反応における標的RNAの運命
本実施例では、インベーダー指令開裂反応におけるRNA標的の運命を調べた。前記の実施例1Dで示したとおり、RNAをDNAオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせると、そのRNAを開裂するために、DNAポリメラーゼに結合した5’ヌクレアーゼを利用できる。5’アームが長いか、あるいはそれが高度に組織化されている場合は、そのような開裂が抑制されることがある[Lyamichevら(1993)Science 260:778および米国特許第5,422,253号(それらの開示を参考として本明細書に組入れることとする)]。本実験では、標的としてフルオレセイン標識RNAを使用して行なう、実施例20に記載されているのと同様の反応を用いて、RNA標的が検出オリゴヌクレオチド(すなわち、プローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチド)とハイブリダイズした場合に、該RNA標的が開裂剤で開裂される程度を調べた。
反応内の2%のUTPの代わりにフルオレセイン-12-UTP(Boehringer Mannheim)を使用し100μlの反応内で5.3μgのアンプリコンを使用する以外は実施例20に記載のとおりに、転写反応を行なった。該転写反応を2.5時間インキュベートし、ついでRiboMAXTMキットの説明書に従い5〜6μlのRQl RNアーゼ非含有DNアーゼ(1単位/μl)を加えることによりDNA鋳型を破壊した。有機抽出は省略し、10μlの3M NaOAc(pH5.2)および110μlの100%イソプロパノールを加えることにより、RNAを集めた。4℃で5分間インキュベートした後、沈殿物を遠心分離により集め、80%エタノールで1回洗浄し、減圧下で乾燥した。得られたRNAを、ヌクレアーゼを含まない100μlの水に溶解し、45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する8%変性ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動により、該サンプルの50%を精製した。完全長の物質を含有するゲルスライスを切り出し、200μlの10mM Tris-Cl(pH8.0)、0.1mM EDTAおよび0.3M NaOAc中に該スライスを4℃で一晩浸すことによりRNAを溶出した。ついで2.5倍量の100%エタノールを加えることにより、RNAを沈殿させた。−20℃で30分間インキュベートした後、沈殿物を遠心分離により回収し、80%エタノールで1回洗浄し、減圧下で乾燥した。該RNAを、ヌクレアーゼを含まない25μlの水に溶解し、ついで260nmでの紫外線吸光度により定量した。
該反応がプローブおよびインベーダーオリゴヌクレオチドを含まない以外は実施例20に記載のCleavase▲R▼ A/GおよびDNAPTthインベーダー反応を繰返す反応において、精製されたRNA標的のサンプルを5または30分間インキュベートした。ついで産物を分析したところ、該RNAが非常に安定であり、非特異的分解の非常に僅かなバックグラウンドが、ゲルレーン中の灰色のバックグラウンドとして現れることが示された。そのバックグラウンドは、反応内の酵素の存在に左右されなかった。
精製されたRNA標的を使用するインベーダー検出反応を、実施例20に記載のプローブ/インベーダーの組合わせ(配列番号57および58)を使用して行なった。各反応は、150mM LiCl、4mM MnCl2、各々0.05%のTween-20およびNonidet-P40ならびに39単位のRNAsin▲R▼(Promega)を含有する10mM MOPS(pH7.5)の緩衝液中に、500フィコモルの標的RNA、5ピコモルのフルオレセイン標識プローブおよび10ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチドを含んでいた。これらの成分を一緒にし、50℃に加温し、53ngのCleavase▲R▼ A/Gまたは5ポリメラーゼ単位のDNAPTthのいずれかを加えることにより、反応を開始した。最終反応容量は10μlであった。50℃で5分後、各反応のアリコート5μlを、4μlの95%ホルムァミド、10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレットを含有する管に取った。残されたアリコートに1滴のChill 0ut▲R▼蒸発防止剤を加え、さらに25分間インキュベートした。ついで4μlの前記ホルムアミド溶液を加えることにより、これらの反応を停止した。45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する分離20%変性ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動により、これらの反応の産物を分離した。電気泳動後、FMBIO-100イメージアナライザー(Hitachi)を使用して、標識された反応産物を可視化した。得られたイメージャースキャンを図53A(5分の反応)および図53B(30分の反応)に示す。
図53では、標的RNAは各レーンの最上部の非常に近くに認められ、一方、標識プローブおよびその開裂産物は、各パネルの中央の直ぐ下に認められる。FMBIO-100イメージアナライザーを使用して、プローブバンド中の蛍光シグナルを定量した。各パネルにおいて、レーン1は、開裂剤の不存在下で行なった反応からの産物を含有し、レーン2は、Cleavase▲R▼ A/Gを使用して行なった反応からの産物を含有し、レーン3は、DNAPTthを使用して行なった反応からの産物を含有する。
プローブバンド中の蛍光シグナルの定量から、5分のインキュベーションの後に、12%または300フィコモルのプローブがCleavase▲R▼ A/Gで開裂され、29%または700フィコモルがDNAPTthで開裂されることが明らかとなった。30分のインキュベーションの後には、Cleavase▲R▼ A/Gは該プローブ分子の32%を開裂し、DNAPTthは該プローブ分子の70%を開裂していた(図53Aおよび53Bに示す画像は、RNA分解からの少量のバックグラウンドを示すように調節された濃さで印刷されており、強力なシグナルを含有するバンドは飽和している。したがって、これらの画像は、測定された蛍光の相違を正確に反映していない)。
図53に示すデータは、侵入的開裂条件下で、RNA分子が、標的として検出されるのに十分に安定であり、各RNA分子がプローブ開裂の多数のラウンドに耐えうるものであることを明らかに示している。
実施例22
インベーダー指令開裂アッセイにおける標的RNAの滴定
特異的標的核酸の存在を検出する手段としてのインベーダー指令開裂アッセイの主な利点の1つは、一定の長さの時間内に生成した開裂産物の量と反応内に存在する関心のある核酸の量とが相関することにある。RNA配列の定量的検出の利点については、実施例20で説明した。本実施例において本発明者らは、種々の量の標的出発物質を使用することにより、該検出アッセイが定量的であることを示す。これらのデータは、投入する標的の量と産生する開裂産物の量との間の相関性を示しているのに加えて、このアッセイにおいてRNA標的が再利用されうる程度を図式的に示している。
これらの反応で使用するRNA標的は、実施例21で記載したフルオレセイン標識物質(すなわち、配列番号56)であった。フルオレセイン-12-UTPがT7 RNAポリメラーゼにより取込まれる効率は不明であったため、RNAの濃度は、蛍光強度ではなく260nmにおける吸光度を測定することにより決定した。各反応は、150mM LiCl、4mM MnCl2、各々0.05%のTween-20およびNonidet-P40ならびに39単位のRNAsin▲R▼(Promega)を含有する10mM MOPS(pH7.5)の緩衝液中に、5ピコモルのフルオレセイン標識プローブ(配列番号57)および10ピコモルのインベーダーオリゴヌクレオチド(配列番号58)を含んでいた。標的RNAの量を、以下に示すとおり、1フィコモルから100フィコモルまで変化させた。これらの成分を一緒にし、Chill Out▲R▼蒸発防止剤を重層し、50℃に加温した。53ngのCleavase▲R▼ A/Gまたは5ポリメラーゼ単位のDNAPTthのいずれかを加えて最終反応容量を10μlとすることにより、反応を開始した。50℃で30分後、8μlの95%ホルムアミド、10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレットを加えることにより、これらの反応を停止した。レーン1および2中の未反応のマーカーを希釈して、同じ合計容量(18μl)にした。該サンプルを90℃に1分間加熱し、45mM Tris-ホウ酸(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液中に7M尿素を含有する20%変性ポリアクリルアミドゲル(19:1架橋)に通す電気泳動により、これらの各反応の2.5μlを分離し、FMBIO-100イメージアナライザー(Hitachi)を使用して、標識された反応産物を可視化した。得られたイメージャースキャンを図54に示す。
図54において、レーン1および2は、それぞれ、5ピコモルの未開裂プローブおよび500フィコモルの未処理RNAを示している。該プローブは、パネルの中央付近の非常に濃いシグナルであり、一方、該RNAは、パネルの最上部付近の薄い線である。これらのRNAを、転写反応において、フルオレセイン-12-UTPによる天然UTPの2%置換により転写させた。得られた転写産物は、74U残基を含有し、これらは、1分子当たり平均1.5個のフルオレセイン標識を与えるであろう。レーン2において1/10モル量のRNAをローディングすると、レーン2におけるシグナルは、レーン1のプローブの蛍光強度の約1/7(0.15×)となるはずである。測定は、その強度が1/40に近いことを示し、このことは、標識の取込み効率が約17%であることを示している。RNA濃度はA260測定により確認されたため、これによって、以下の実験的観察が変更されることはないが、RNAおよびプローブからのシグナルが反応内の相対量を正確に反映していないことに注意すべきである。
レーン3〜7で分析した反応は、それぞれ1、5、10、50および100フィコモルの標的を含有し、プローブの開裂はCleavase▲R▼ A/Gで行なった。レーン8〜12で分析した反応は、同じ一連の標的量を繰返し、プローブの開裂はDNAPTthで行なった。産物のバンドの周囲に示す枠は、各反応について蛍光を測定したスキャン領域を示している。各枠内で検出した蛍光単位の数値を、各枠の下に示す。また、バックグラウンド蛍光も測定した。
各レーンで検出された蛍光を比較することにより、これらの30分間の反応で生成する産物の量が標的物質の量と相関しうることが認められる。開裂剤としてDNAPTthを使用する場合には、これらの条件下での産物の蓄積が若干増加するが、存在する標的の量との相関性は保たれている。このことは、サンプル内の標的RNAの量を測定する手段としてインベーダーアッセイを使用できることを示している。
インプットしたRNAの蛍光強度と開裂産物の蛍光強度との比較から、インベーダー指令開裂アッセイが、標的の量を超えるシグナルを生成して、開裂されたプローブとして視覚的に認められるシグナルが、標的RNAを表すシグナルよりはるかに強力であることが示される。さらにこのことは、各RNA分子が何度も使用可能だという実施例20に記載した結果を裏付けるものである。
実施例23
電荷の反転によるDNAの検出
特定の標的の検出は、プローブオリゴヌクレオチドの開裂によりインベーダー指令開裂アッセイにおいて達成される。前記実施例で記載した方法に加えて、以下に示す荷電逆転法を利用して、未開裂プローブから開裂プローブを分離することができる。この新規分離法は、正に帯電した付加物が、小さなオリゴヌクレオチドの電気泳動の挙動に影響を及ぼしうる(これは、該付加物の電荷が該複合体全体の電荷に対して有意なものであることによる)という観察に関連している。帯電した付加物による異常な移動度の観察については、既に文献で報告されているが、認められているすべての場合において、他の科学者らが追求した目的は、酵素的伸張によりオリゴヌクレオチドをより大きくすることに係わっている。負に帯電したヌクレオチドを加えてゆくにつれて、付加物の正の効果は無視しうる程度にまで減少する。その結果、正に帯電した付加物の効果は失われてしまい、そのような効果はこれまでの文献でほとんど注目されていない。
この観察された効果は、DNA分子の開裂に基づくアッセイにおいて特に有用である。Cleavase▲R▼酵素または他の開裂剤の作用によりオリゴヌクレオチドを短くする場合には、正電荷により、負の実効電荷を有意に減少させるだけでなく、実際にはそれを凌駕させ、標識体の実効電荷を有効に「フリッピング(flipping)」させることができる。電荷のこの反転により、標的特異的開裂の産物を、非常に簡単な手段で未開裂プローブから分離するのが可能となる。例えば、ゲルに基づく電気泳動を用いない焦点化検出(focused detection)を行なうために、反応容器中の任意の位置に配置された負極に向かって開裂産物を移動させることができる。スラブゲルを使用する場合には、該ゲルの中央にサンプルウェルを配置して、開裂プローブおよび未開裂プローブが互いに逆方向へ移動するのを観察することができる。別法として、伝統的な垂直ゲルを使用することができるが、この場合には、通常のDNAゲル(すなわち、正極が最上部で、負極が最下部)に対して電極を反転させて、開裂された分子がゲルに侵入する一方で、未開裂分子が上部の電気泳動緩衝液の貯蔵槽中へ分散するようにする。
このタイプの読取りのもう1つの利点は、基質からの産物の分離の絶対性にある。このことは、プローブに基づくアッセイのハイブリダイゼーション工程を駆動するために多量の未開裂プローブを供給することができ、それにもかかわらず、得られた結果から未消費プローブを差し引いて、バックグラウンドを減少させることができることを意味する。
正に帯電した複数の付加物を使用することにより、通常は負に帯電している鎖をほとんど中性とするのに十分な程度に修飾された合成分子を構築することができる。そのように構築されている場合には、単一のリン酸基の存在または不存在は、負の実効電荷または正の実効電荷の間の相違を表している可能性がある。この観察が特に有用なのは、目的の1つが、、3’ホスフェートを欠く酵素的に生成したDNA断片と、3’ホスフェート(およびこれに伴い2個の追加の負電荷)を保有する熱分解産物とを識別することにある場合である。
a)DNAオリゴヌクレオチドの熱分解産物の特性決定
DNAプローブの熱分解は高いバックグラウンドを与え、これは、特異的な酵素開裂により生じたシグナルを不明瞭にし、信号対雑音比を減少させることがある。DNA熱分解産物の性質を更に理解するために、本発明者らは、5’テトラクロロ-フルオレセイン(TET)標識オリゴヌクレオチド78(配列番号59)および79(配列番号60)(それぞれ100ピコモル)を、50μlの10mM NaCO3(pH10.6)、50mM NaCl中、90℃で4時間インキュベートした。サンプルの蒸発を防止するために、該反応混合物に50μlのChill Out▲R▼14液体ワックス(MJ Research)を重層した。ついで該反応を2個の等しいアリコート(AおよびB)に分割した。アリコートAは、25μlのメチルバイオレットローディング緩衝液と混合し、アリコートBは、2.5μlの100mM MgCl2および1μlの1単位/μl仔ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP)(Promega)を加え、37℃で30分間インキュベートすることにより脱リン酸化し、ついで25μlのメチルバイオレットローディング緩衝液を加えた。各サンプルの1μlを、12%ポリアクリルアミド変性ゲルに通す電気泳動により分離し、実施例21に記載のとおりFMBIOイメージアナライザーと共に585nmフィルターを使用して画像化した。得られたイメージャースキャンを図55に示す。図55において、レーン1〜3はTET標識オリゴヌクレオチド78を含有し、レーン4〜6は、TET標識オリゴヌクレオチド79を含有する。レーン1および4は、加熱処理されていない反応の産物を含有する。レーン2および5は、加熱処理された反応からの産物を含有し、レーン3および6は、加熱処理されホスファターゼ処理に付された反応からの産物を含有する。
図55に示すとおり、加熱処理は、5’-TET標識DNAの有意な分解を引き起こし、分解産物のラダーを与える(図55、レーン2、3、5および6)。バンドの強度は、オリゴヌクレオチド配列中のプリンおよびピリミジン塩基の配置と相関しており、このことは、骨格の加水分解が、プリンの場合にピリミジンの場合より速い速度を有する非塩基性の中間産物の形成を介して生じうることを示している
Figure 0004362150
脱リン酸化は、熱分解過程で生成したすべての産物の移動度を減少させ、その最も顕著な効果は、より短い産物で認められる(図55、レーン3および6)。このことは、熱分解産物が、CIAPでの脱リン酸化により除去されうる3’末端ホスホリル基を有することを示している。ホスホリル基の除去は、全体の負電荷を2個分減少させる。したがって、より少数の負電荷を有する、より短い産物は、2個の電荷の除去に際して、より大きな影響を受ける。このことにより、短い産物の方が、より大きな種で認められるものよりも移動度が大きくなる。
熱分解DNA産物の大部分が3’末端ホスフェート基を含有し、Cleavase▲R▼酵素で生成した産物がそれを含有しないという事実は、インベーダー指令開裂アッセイで生成した産物の簡単な単離方法の開発を可能にする。熱分解産物中に存在する余分な2個の電荷は、特異的開裂産物中に存在しない。したがって、1個または2個の実効正電荷を含有する特異的産物を与えるアッセイを設計する場合には、同様の熱分解産物は負または中性であろう。そのような相違を利用して、以下に示す逆荷電法により特異的産物を単離することができる。
b)短いアミノ修飾オリゴヌクレオチドの脱リン酸化は、標識産物の実効電荷を逆転しうる
オリゴヌクレオチドがどのようにして負の実効電荷化合物から正の実効電荷化合物に変換されうるかを示すために、70、74、75および76と表示し図56〜58に示す4個の短いアミノ修飾オリゴヌクレオチドを合成した(図56は、オリゴヌクレオチド70および74の両方を示す)。4個すべての修飾オリゴヌクレオチドは、本実施例に記載する反応条件下および単離条件下で個々に正に荷電する5’末端に位置するCy-3色素を有する。化合物70および74は、それぞれC10またはC6リンカーを介してC5位に結合した正に帯電したR-NH3 +基を反応条件下で現す2個のアミノ修飾チミジンを含有する。化合物70および74は、3’末端がリン酸化されているため、それらは4個の負電荷および3個の正電荷よりなる。化合物75が74と異なっている点は、74中の内部のC6アミノ修飾チミジンホスフェートがチミジンメチルホスホナートで置換されている点にある。ホスホナート骨格は帯電していないため、化合物75上には合計3個の負電荷がある。このため、化合物75には1個の負の実効電荷が付与される。化合物76が70と異なる点は、内部のアミノ修飾チミジンが内部のシトシンホスホナートで置換されている点にある。シトシンのN3窒素のpKaは4〜7となることが可能である。したがって、この化合物の実効電荷は、溶液のpHに応じて−1〜0となることが可能である。分析を簡易にするために各基には整数の電荷を割り当てるが、各化学基のpKaおよび周囲のpHに応じて、実際の電荷は、割り当てられている整数と異なることがあると認識される。この相違は、ここで検討する酵素反応に用いるpH範囲の全体において有意なものではないと考えられる。
これらの化合物の脱リン酸化、または3’末端ホスホリル基の除去は、2個の負電荷の喪失につながり、1の正の実効電荷を有する産物を生成する。本実験では、等電点電気泳動(IEF)法を用いて、記載されている基質での、脱リン酸化中に1の負の実効電荷から1の正の実効電荷への変化を示す。
基質70、74、75および76を、標準的なホスホルアミダイト化学法により合成し、14M水酸化アンモニウム水溶液中22℃で24時間、脱保護し、ついで溶媒を減圧中で除去した。該乾燥粉末を、200μlの水に再懸濁し、0.2μmフィルターで濾過した。ストック溶液の濃度は、分光光度計(Spectronic Genesys 2, Milton Roy, Rochester, NY)を使用して、水中で200倍希釈したサンプルの261nmでの紫外線吸光度により推定した。
化合物70および74、75および76の脱リン酸化は、10μlの該粗製ストック溶液(約0.5〜2mMの範囲の濃度)を、100μlのCIAP緩衝液(Promega)中の2単位のCIAPで37℃で1時間処理することにより行なった。ついでCIAPを不活性化するために、該反応を75℃に15分間加熱した。明確にするために、脱リン酸化された化合物を「dp」と表示する。例えば、脱リン酸化後に、基質70は70dpになる。
IEF実験用のサンプルを調製するために、基質および脱リン酸化産物のストック溶液の濃度を、水で希釈することにより、532nmで8.5×10-3の均一な吸光度に調節した。各サンプルの2μlを、IEFにより、PhastSystem電気泳動装置(Pharmacia)およびPhastGel IEF 3-9媒体(Pharmacia)を用い、製造業者のプロトコールに従って分析した。分離は、以下の設定で15℃で行なった:予行:2,000V、2.5mA、3.5W、75Vh;負荷:200V、2.5mA、3.5W、1.5Vh;実行:2,000V、2.5mA、3.5W、130Vh。分離後、585nmフィルターを備えたFMBIOイメージアナライザー(Hitachi)を使用して、サンプルを可視化した。得られたイメージャースキャンを図59に示す。
図59は、基質70、74、75および76およびそれらの脱リン酸化産物のIEF分離の結果を示す。「サンプルローディング位置」と表示した矢印はローディング線を示し、「+」の記号は正極の位置を示し、「−」の記号は負極の位置を示す。
図59に示す結果は、基質70、74、75および76は正極に向かって移動し、一方、脱リン酸化産物70dp、74dp、75dpおよび76dpは負極に向かって移動したことを示している。観察された移動方向の違いは、該基質の予想実効電荷(−1)および該産物の実効電荷(+1)と符合する。該リン酸化化合物の移動度の小さな変動は、全体のpIが変化することを示している。このことは、脱リン酸化化合物にも当てはまった。例えば、76dpにおけるシトシンの存在は、この化合物を負極に向かってさらに移動させたが、このことは、残りの脱リン酸化化合物より全体のpIが高いことを示している。天然のアミノ修飾塩基(70dpおよび74dp)および帯電していないメチルホスホナート架橋(産物75dpおよび76dp)の組合せを使用することにより、追加の正電荷が得られることに注目することが重要である。
前記で示した結果は、単一のホスフェート基の除去が、オリゴヌクレオチドの実効電荷をフリップさせて電場での反転を引き起こし、産物の容易な分離を可能にすること、およびオリゴヌクレオチドの正確な塩基組成が、絶対的な移動度には影響を及ぼすが、電荷フリッピング効果には影響を及ぼさないことを示している。
実施例24
電荷逆転(Charge Reversal)によるインベーダー指令開裂反応における特異的開裂産物の検出
本実施例においては、インベーダー指令開裂アッセイで生じた産物を反応カクテル中に存在するその他のあらゆる核酸から単離する能力を、電荷逆転を用いて示した。本実験では、下記のCy3-標識オリゴヌクレオチドを利用した:5’-Cy3-アミノT-アミノT-CTTTTCACCAGCGAGACGGG-3’(配列番号61、「オリゴ61」と称する)。オリゴ61は、開裂によって正の実効電荷を有する標識産物が放出されるように設計した。正の実効電荷を有する5’-末端標識産物が、インベーダー指令開裂アッセイフォーマットにおいてCleavase▲R▼酵素によって認識されるかどうかを試験するために、プローブオリゴヌクレオチド61(配列番号61)および侵入性オリゴヌクレオチド67(配列番号62)を、標準ホスホルアミダイト化学およびGlen Research(スターリング(Sterling)、ヴァージニア州(VA))から入手した試薬を用いてDNAシンセサイザー(ABI 391)によって化学合成した。
各アッセイ反応は、M13mp18 1本鎖DNAを100fmol、プローブ(配列番号61)およびインベーダー(配列番号62)オリゴヌクレオチドをそれぞれ10pmol、ならびにCleavase▲R▼A/Gを20単位溶かした100mMのKClを含む10mMのMOPS溶液(pH7.4)10μlを含んでいた。試料の上に鉱油をのせて、蒸発を防いだ。試料を50℃、55℃、60℃、または65℃のいずれかの温度にして、1μlの40mM MnCl2を加えることによって開裂を開始させた。25分間反応を行い、次いで20mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレットを含有する95%ホルムアルデヒド10μlを加えることによって反応を終了させた。陰性対照実験では、標的のM13mp18を用いずに、60℃で行った。5μlの各反応物を、45mMのトリス−ホウ酸塩(pH 8.3)および1.4mMのEDTAを含有する8Mの尿素を加えた緩衝液とともに20%変性ポリアクリルアミドゲル(架橋29:1)の別々のウェルに加えた。20ワットの電場を図60Bに示したような向き(すなわち、逆向きに)に置かれた電極を用いて30分間印加した。これらの反応の産物を、FMBIO蛍光画像装置を用いて視覚化した。得られた画像装置スキャンを図60Bに示す。
図60Aは、標的のM13mp18 DNAに沿って配列されたインベーダー(配列番号61)およびプローブ(配列番号62)を示す概略図であり、M13mp18配列の中の53塩基のみを示す(配列番号63)。インベーダーオリゴヌクレオチドの配列はM13mp18標的の下に表示され、矢印をM13mp18配列の上に用いてプローブと標的に対するインベーダーの位置を示す。図60Aに示したように、インベーダーとプローブオリゴヌクレオチドはオーバーラップする2塩基領域を共有している。
図60Bにおいて、レーン1〜6には、それぞれ、50℃、55℃、60℃および65℃で行われた反応物が含まれ、レーン5には対照反応物(標的を含まない)が含まれる。図60Bにおいて、開裂産物は、パネルの上半分にある濃いバンドとして観察され;下方に観察される薄いバンドは産生された一次産物の量に比例して現れ、本発明を特定の機構に限定するものではないが、一つのヌクレオチドを二重鎖に開裂することを示し得るものである。非開裂プローブはゲルに入らないので見えない。対照のレーンには、バックグラウンド以上の検出可能な信号は観察されなかった(レーン5)。侵入性開裂反応において予測したように、指令開裂産物の蓄積速度は、温度依存性であった。これらの特定のオリゴヌクレオチドおよび標的を用いた場合、産物蓄積の最高速度は55℃にて観察され(レーン2)、65℃ではほんのわずかの産物が観察された(レーン4)。
高温で長時間インキュベートすると、DNAプローブを非特異的に開裂する(すなわち熱分解する)ことが可能であり、得られる断片は分析の妨害バックグラウンドの一因となる。そのような熱分解の産物は、単一ヌクレオチドから全長プローブまで分布する。この実験においては、標的依存性開裂による特異的産物を熱分解により生じたプローブ断片から高感度に分離させる、開裂産物の電荷に基づく分離能力(すなわち電荷逆転)を調べた。
この検出方法の感度の限界を試験するために、標的M13mp18 DNAを1fmol〜1amolの範囲以上に10倍ごとに連続的に希釈した。インベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドは上記のものである(すなわち配列番号61および62)。侵入性開裂反応を下記のように変更して上記のように行った:反応は55℃で行い、100mMのKClの代わりに250mMまたは100mMのKGluを用い、インベーダーオリゴヌクレオチドは1pmolのみ加えた。反応は上記のようにして開始させ、12.5時間行った。また、M13mp18標的DNAを加えない陰性対照反応も行った。20mMのEDTAおよび0.02%のメチルバイオレットを含有する95%ホルムアルデヒド10μlを加えることによって反応を終了させ、この混合物5μlを電気泳動し、上記のようにして視覚化させた。得られた画像装置スキャンを図61に示す。
図61において、レーン1には陰性対照が含まれ、レーン2〜5には100mMのKGluを用いて行った反応物が含まれ、レーン6〜9には250mMのKGluを用いて行った反応物が含まれる。レーン2および6において分離された反応物には、lfmolの標的DNAが含まれており、レーン3および7の反応物には100amolの標的が含まれており、レーン4及び8の反応物には10amolの標的が含まれており、レーン5および9の反応物には1amolの標的が含まれていた。図61に示された結果は、電荷逆転を用いて侵入性開裂反応における特異的開裂産物の産生を検出する場合の検出限界が1アトモルまたは約6.02×105の標的分子以下であることを証明するものである。対照レーンには検出可能な信号は観察されず、これは、非特異的加水分解またはその他の分解産物は、酵素特異的開裂産物と同じ方向に移動しないことを示すものである。Cy3の最大励起および最大発光はそれぞれ554と568であり、一方、FMBIO画像装置アナライザーは532で励起し、585で検出する。したがって、特異的開裂産物の検出限界はより密接に整合した励起源および検出フィルターを用いることによって改良することができる。
実施例25
荷電反応産物の分離および検出のための装置および方法
本実施例は、溶液中で酵素反応を行い、それにより反応物が電荷中性基質または特異的反応産物とは反対の電荷を有する基質のどちらかから荷電産物を生じさせることよって産生された特異的反応産物を単離および濃縮する方法および装置に関する。本実施例の方法および装置によれば、例えば、本発明のインベーダー指令開裂アッセイによって生じた産物を単離することができる。
本実施例の方法および装置は、電場が荷電分子の溶液に印加されると、反対電荷の電極への分子の移動が非常に急速に生じるという原理に基づくものである。かかる急速な移動が劇的に遅くなるようにマトリックスまたはその他の阻害材料を荷電分子と反対電荷の電極との間に導入すると、マトリックスに到達する最初の分子はほとんど停止し、したがって遅滞している分子を追いつかせることができる。この方法では、溶液中に分散された荷電分子の集団を、効率的に小容量に濃縮することができる。分子を検出可能な成分(例えば蛍光染料)で標識することにより、分析物を濃縮および局在化させることによって検出が容易になる。本実施例は、本発明によって企図された装置の2つの実施態様を説明するものであり、もちろん、これらの装置の変形は当業者には明白であり、かかる変形は本発明の精神および範囲に含まれるものである。
図62は、本発明の方法を用いることによって生じた正荷電産物を濃縮するための装置の一つの実施態様を図示するものである。図62に示したように、この装置は、反応溶液(11)を含有する反応管(10)を含む。2本の細い毛管(または中空孔を有するその他の管)(13Aおよび13B)のそれぞれの一端を反応溶液(11)中に浸す。毛管(13Aおよび13B)は、それらが反応管に接触しないように反応溶液(11)中に吊り下げてもよく、毛管を吊り下げるためのある一つの適当な方法は、クランプ(図示せず)で適切に保持することである。また、毛管は、それらが反応管と接触するように反応溶液(11)中に吊り下げてもよい。適当な毛管としては、科学用品会社(例えば、Fisher ScientificまたはVWR Scientific)、または血液抜き取りおよび分析用の材料を所有する医療用品会社から通常市販されているガラス毛管が挙げられる。本発明は、ある特定の内径を有する毛管に限定されるものではないが、約1/8インチ(約3mm)以下の内径を有する管が、本発明で使用するのに特に好ましく、例えば、Kimble No.73811-99管(VWR Scientific)は内径1.1mmであり、適切な型の毛管である。装置の毛管は、通常、ガラス製であるが、導体またはトラップ材のどちらかを含むことができる硬質または軟質のあらゆる不導性管状体が本発明の使用に適している。適当な軟質管の一つの例は、Tygon▲R▼透明プラスチック管材料(部品No.R3603;内径=1/16インチ;外径=1/8インチ)である。
図62に示したように、毛管13Aは、電源(20)(例えば、上記の実験用品会社またはRadio Shackのようなエレクトロニクス用品会社から市販されている制御可能な電源)の陽極に接続されており、毛管13Bは電源(20)の陰極に接続されている。毛管13Bには、トラップ材(14)が充填されており、トラップ材(14)は該トラップ材(14)に入った産物の移動を最小限にすることにより正荷電反応産物をトラップすることができる。適当なトラップ材としては、限定するものではないが、高塩濃度緩衝液(0.5M以上の酢酸ナトリウムまたは同様の塩)中で重合した高い百分率(例えば約20%)アクリルアミドが挙げられ、そのような高い百分率のポリアクリルアミドマトリックスは、正荷電反応産物の移動を劇的に遅くさせる。また、トラップ材は、入ってくる正荷電産物を結合することができる、負荷電ラテックスビーズなどの負荷電固体マトリックスを含み得る。正荷電反応産物のどのような濃縮をも阻害することが可能な量のトラップ材(14)が用いられ得ることを留意すべきである。したがって、図62の毛管13Bは、該管の下方の液に浸された部分のみにトラップ材を含むが、トラップ材(14)は毛管(13B)全体に存在することができ、同様に、正荷電反応産物は、一般に、毛管(13B)の下端の非常に小さい部分に蓄積するので、トラップ材(14)が図62に示すよりも少なくてもよい。反応溶液(11)と接触して、反応産物を回収するための収容力を有するのに十分なだけの量のトラップ材が必要とされる。毛管13Bがトラップ材で完全に充填されていない場合、残りの空間は導体(15)で充填されており、適当な導体は下記で論ずる。
比べると、電源20の陽極に接続された毛管(13A)はいかなる導体(15;図62ではハッチングを付した部分)で充填されていてもよい。導体は、試料反応緩衝液(例えば、150mMのLiCl、4mMのMnCl2を含む10mMのMOPS(pH 7.5))、標準電気泳動緩衝液(例えば、45mMのトリス−ホウ酸塩(pH 8.3)、1.4mMのEDTA)、または反応溶液(11)自体であり得る。導体(15)は液体である場合が多いが、半固体材料(例えばゲル)またはその他の適当な材料はより簡単に使用し得るものであり、本発明の範囲内である。さらに、他の毛管(すなわち毛管13B)で用いられるトラップ材も導体として使用され得る。逆に、陽極に取り付けられた毛管(13A)に用いられる同一の導体を、トラップ材(14)を含む領域の上方の空間を充填するために毛管13Bにおいても用い得ることに留意すべきである(図62参照)。
毛管(13Aおよび13B)のそれぞれの頂端は、電極線(18)またはその他の適当な材料により電源(20)の適切な電極に接続される。細い白金線(例えば0.1〜0.4mm。Aesar Johnson Matthey、ワードヒル(Ward Hill)、マサチューセッツ州)は電気泳動条件下で腐食しないので、この白金線が、通常、導線として用いられる。電極線(18)は、衛生器具をシールするために、通常、金物店(hardware stores)で販売されているシリコーン接着剤などの不導性接着剤(図示せず)により毛管(13Aおよび13B)に取り付けることができる。毛管が軟質材料から構成されている場合、電極線(18)を、小さいホースクランプまたは締め付け線(constricting wire)(図示せず)にて固定して、該電極線のまわりに毛管の開口部を圧縮することができる。導体(15)がゲルである場合、電極線(18)は毛管内のゲル中に直接埋封することができる。
開裂反応物は、反応管(10)中に収納され、前述の実施例(実施例22〜23)に記載したようにここで反応が行われる。反応溶液(11)をある特定の容量に限定するものではないが、好ましい容量は10m1未満であり、より好ましくは0.1ml未満である。両方の毛管に接触させるのに十分なだけの容量が必要とされる。開裂反応が完了したら、電源(20)を入れることによって電場を毛管に印加する。結果として、開裂される場合、正荷電断片(実施例23に記載)が生じるが、開裂されない場合、負の実効電荷を有するオリゴヌクレオチドを用いるインベーダー指令開裂反応中に生じた正荷電産物は、負の毛管の方に移動し、この移動はトラップ材(14)によって減速または停止され、そして負に帯電した非開裂プローブ分子および熱分解プローブ分子は陽極の方に移動する。この装置または同様の装置を使用することによって、侵入性開裂反応による正荷電産物は、他の材料(すなわち、非開裂プローブおよび熱分解プローブ)から分離され、大容量から濃縮される。産物を少量のトラップ材(14)に濃縮することにより、最初の反応物の容量における検出であり得る信号対雑音比よりもはるかに高い信号対雑音比を有する検出が簡単にできる。濃縮された産物は蛍光染料などの検出可能な成分で標識されているので、市販の蛍光板状読み取り装置(図示せず)を用いて産物の量を確かめることができる。適当な板状読み取り装置としては、頂部レーザー読み取り装置および底部レーザー読み取り装置が挙げられる。毛管13Bは、頂部または底部板状読み取り装置のどちらかの使用に適合するように、所望の位置に反応管(10)とともに配置することができる。
図63に図示した本発明の別の実施態様においては、上記の手順はただ1本の毛管(13B)を利用することによって行われる。毛管(13B)は上記のトラップ材(14)を含み、そして電極線(18)に接続され、次いでその電極線(18)は電源(20)の陰極に取り付けられている。反応管(10)はその表面に埋め込まれた電極(25)を有しており、電極の一方の表面は反応管(10)の内部にさらされており、他方の表面は反応管の外部にさらされている。反応管外部にさらされた電極(25)の表面は、電源(20)の陽極に電極線(18)によって接続された導電表面(26)と接触している。また、図63に図示された配置の変更も本発明により企図されている。例えば、電極(25)は反応管(10)の小孔を使用することにより反応溶液(11)と接触させ得るものであり、さらに、電極線(18)を電極線(18)に直接接続することができ、それによって導電表面(26)を省略することができる。
図63に示したように、電極(25)は、1本以上の反応管が導電表面(26)上に固定され得るように、反応管(10)の底部に埋め込まれている。この導電表面は、多数の反応管用の陰極として役立つことができ、適切な接点を有するそのような表面は金属箔(例えば銅または白金、Aesar Johnson Matthey、ワードヒル、マサチューセッツ州)を用いることにより、接点を回路板に貼り付けるのとほとんど同じ方法で貼り付けることができる。そのような表面接点は、反応試料に直接さらされるものではないので、銅などの安価な金属を電気接続のために用いることができる。
上記の装置および方法は、正荷電オリゴヌクレオチドの分離および濃縮に限定されない。当業者には明らかなように、毛管13Bが電源(20)の陽極および毛管13Aに接続されているか、または電極25が電源(20)の陰極に接続されていることを除いて、上記の装置および方法を用いて、負に帯電した反応産物を中性または正荷電反応物から分離し得る。
実施例26
プライマーが下流二重鎖における不適性対合「バブル(bubble)」の3’側に伸長する場合に同じ部位に生じるプライマー指令的およびプライマー非依存性開裂
実施例1で論じたように、分岐した二重鎖(bifurcated duplex)のプライマー上流の存在は開裂部位に影響を及ぼすことができ、プライマーの3’末端と二重鎖の塩基との間のギャップの存在はこの構造の不対5’アームの上流への開裂部位のシフトを引き起こすことができる(上記のLyamichevら、および米国特許第5,422,253号参照)。プライマーに応答して得られた開裂部位の非侵入性シフトを図9、10および11に示すが、用いられるプライマーには4-ヌクレオチドギャップ(二重鎖の塩基に対して)が残されていた。図9〜11において、全ての「プライマー指令的」開裂反応により21ヌクレオチド産物が得られた一方、プライマー非依存性開裂反応により25ヌクレオチド産物が得られた。プライマーが二重鎖のベースの方に伸長する場合に得られ、ギャップは残っていない開裂の部位を調べた。結果を図64に示す(図64はLyamichevらにおける図2Cの再現である)。これらのデータは、実施例1に記載したように、図6に示した構造の開裂から誘導された。別段明記しないかぎり、開裂反応物は、0.01pmolの熱変性末端標識ヘアピンDNA(非標識相補鎖を有するものも存在する)、1pmolのプライマー{図6に示された3’アームに相補的であり、配列:5’-GAATTCGATTTAGGTGACACTATAGAATACA(配列番号64)を有する}および0.5単位のDNAPTaq(0.026pmolと推定される)を加えた、10mMのトリス−Cl(pH 8.5)ならびに1.5mMのMgCl2および50mMのKClの合計容量10μlが含まれる。図64の第1のレーン示された反応物はプライマーが省略されており、レーン2には含まれている。これらの反応物は55℃で10分間インキュベートした。反応を、最終反応温度で、MgCl2または酵素のどちらかを加えることによって開始させた。反応を、それらのインキュベート温度で、20mMのEDTAおよび0.05%のマーカー染料を含む95%ホルムアミド8μlを加えることによって停止させた。
図64は、ヘアピン二重鎖のベースの方に伸長するプライマーの存在下での分岐した二重鎖構造の開裂部位における影響を示すオートラジオグラムである。放出された開裂産物の大きさは左に示されている(すなわち25ヌクレオチド)。開裂基質のジデオキシヌクレオチドシークエンシングラダーをマーカーとして右に示す(レーン3〜6)。
これらのデータは、下流二重鎖に隣接するプライマーが存在すると(レーン2)、プライマーの不存在下(レーン1)で行われる反応において観察される部位と同じ部位で開裂が生じるということを示すものである(追加の比較のために図9AおよびB、10Bおよび11Aを参照されたい)。上流オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドは鋳型鎖と塩基対を形成することができるが、開裂部位のすぐ上流の領域の置換鎖とは相同でない場合(すなわち、上流オリゴヌクレオチドが二重鎖の「バブル」になっている場合)、開裂が明らかにシフトする部位は上流オリゴヌクレオチドの存在に完全には依存していない。
発明の背景の節および表1で論じたように、アッセイにおいては2つの独立した配列の認識の必要性が高度に望ましいレベルの特異性をもたらす。本発明の侵入性開裂反応においては、インベーダーおよびプローブオリゴヌクレオチドは、正確な開裂産物を産生することができる正確な方向づけおよび間隔を有する標的核酸とハイブリダイズしなければならない。特有の開裂パターンが検出系における両方のオリゴヌクレオチドのうまい並びに依存しない場合、これらの非依存性認識の利点が失われる。
実施例27
「X」オーバーラップ領域中に部分相同性のみが存在する場合の侵入性開裂およびプライマー指令的開裂
本発明をある特定の機構に限定するものではないが、開裂部位が下流プローブオリゴヌクレオチドとオーバーラップする領域を共有する上流オリゴヌクレオチドの存在に依存する様式でプローブと標的核酸の間に形成された二重鎖内の部位にシフトする場合、侵入性開裂が生じる。いくつかの場合において、下流オリゴヌクレオチドの5’領域は、標的核酸と完全に相補的でなくてもよい。このような場合、上流オリゴヌクレオチドの不存在下においてさえプローブの開裂はプローブ内の部位で生じ得る(完全に対合したプローブがインベーダーなしで用いられる場合に観察される塩基ごとのかじり取り(nibbling)とは対照的である)。侵入性開裂は、インベーダーオリゴヌクレオチドの存在に依存する下流二重鎖内の部位への開裂の明らかなシフトによって特徴づけられる。
プローブの5’領域(すなわちインベーダーとオーバーラップする領域)において標的鎖との相補性の程度が低下している1セットのプローブオリゴヌクレオチドの予想開裂部位を比較することによって、侵入性開裂とプライマー指令的開裂との比較が説明され得る。上記のヘアピン基質上で行った試験(実施例25)と同様の簡単な試験を行って、侵入性開裂を上記の非侵入性プライマー指令的開裂と比較することができる。そのような1セットの試験オリゴヌクレオチドを図65に図示する。図65に示した構造を2つ一組に分類し、「a」、「b」、「c」、および「d」と名称を付けた。各組は、標的鎖(配列番号65)にアニーリングされた同一のプローブ配列を有するが、各組の頂部構造は上流オリゴヌクレオチドなしで描かれており、一方、底部構造はかかるオリゴヌクレオチドを含む(配列番号66)。図64a〜64dに示されたプローブの配列を、それぞれ、配列番号43、67、68および69に示す。可能性のある開裂部位を黒い矢じりで示す。(これらの構造のそれぞれにおける正確な開裂部位は開裂剤およびその他の実験変数の選択によって変動し得る。これらの特定の部位は単に説明的な目的で提供されるものである。)
かかる試験を行うために、各プローブの開裂部位を上流オリゴヌクレオチドの存在下および不存在下、実施例19に記載したのと同じような反応条件にて決定した。次いで、上流オリゴヌクレオチドが反応に含まれる場合、プローブの5’末端から放出される断片の大きさが増大するか否かを測定するために、各組の反応の産物を比較する。
プローブ分子が標的鎖と完全に相補的である図65aに示された配列は、図32に示されたものと類似している。頂部構造をDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼで処理すると、プローブのヌクレオチド加水分解的かじり取り(exonucleolytic nibbling)が生じる。対照的に、インベーダーオリゴヌクレオチドが含まれると、図33に観察されたものと同様の特有の開裂シフトが生じる。
図65bおよび65cに示された配列は、プローブの5’末端に若干量の不対合配列を有する(それぞれ、3および5塩基)。これらの小さな5’アームは5’ヌクレアーゼに適した開裂基質であり、1本鎖領域と二重鎖との接続点の2ヌクレオチド内で開裂される。これらの配列において、上流オリゴヌクレオチドの3’末端は、標的配列と相補的であるプローブの5’領域の一部と同一性を有する(すなわち、インベーダーの3’末端は、標的とプローブの5’末端の一部との結合に対して競合しなければならない)。したがって、上流オリゴヌクレオチドが含まれる場合、開裂部位の下流二重鎖へのシフトを媒介するものと考えられ(本発明は、ある特定の作用機構に限定されるものではないが)、よって、これは、侵入性開裂を構成する。プローブの不対合領域の末端5’ヌクレオチドが標的鎖とハイブリダイズすることができる場合、インベーダーの不存在下における開裂部位は変わり得るが、インベーダーオリゴヌクレオチドを添加すると、やはり開裂部位は適正な位置にシフトする。
最後に、図65dに示した配列において、プローブと上流オリゴヌクレオチドは有意な相同性領域を共有しておらず、上流オリゴヌクレオチドの存在は標的とプローブとの結合に対して競合しない。図64dに示された構造の開裂は、上流オリゴヌクレオチドがある場合も無い場合も同じ部位で生じ、したがって、侵入性開裂を構成しない。
このように、上流オリゴヌクレオチド/プローブ対を調べることによって、得られる開裂が侵入性であるか、単にプライマー指令的であるかを容易に決定することができる。予想した結果が配列の簡単な検査によっては明らかにはならない可能性があるような、プローブが標的核酸に完全に相補的ではない場合、このような分析は特に有用である。
実施例28
修飾Cleavase(登録商標)酵素
核酸の開裂に有用な活性を有するヌクレアーゼを開発するために、下記のようにして修飾ヌクレアーゼを産生させた。
a)Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼ
i)Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼのクローニングおよび発現
部位特異的突然変異誘発を用いて、開裂される1本鎖DNAがおそらく通過しなければならないらせん状アーチ形のタンパク質を形成すると考えられているCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼの領域にプロテアーゼであるトロンビンによって認識されるタンパク質配列を導入した。突然変異誘発は、突然変異誘発オリゴヌクレオチド5’-GGGAAAGTCCTCGCAGCCGCGCGGGACGAGCGTGGGGGCCCG(配列番号100)を用いる製造業者のプロトコルにしたがって、Transformer(商標名)突然変異誘発キット(Clonetech、パロアルト(Palo Alto)、カリフォルニア州)を用いて行った。突然変異誘発後、DNAを配列決定してトロンビン開裂部位の挿入を確かめた。Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼをコードするDNA配列を配列番号101に示し、Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号102に示す。
トロンビン突然変異体(すなわち、Cleavase(登録商標)BN/トロンビン)の大量調製を、実施例28に記載したようにCleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを過剰発現するE.coli細胞を用いて行った。
ii)Cleavase(登録商標)BN/トロンビンのトロンビン開裂
6.4mgの精製Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを、0.4Uのトロンビン(Novagen)を用いて23℃または37℃にて4時間消化した。消化の完了を15%SDSポリアクリルアミドゲルによる電気泳動によって確かめた後、クーマシーブリリアントブルーRで染色した。また、野生型Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼも、対照としてトロンビンで消化した。得られたゲルを図72に示す。
図72において、レーン1には分子量マーカー(低範囲タンパク質分子量マーカー、Promega)が含まれ、レーン2には非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼが含まれ、レーン3および4にはトロンビンを用いて23℃でそれぞれ2時間および4時間消化したCleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼが含まれ、そしてレーン5および6にはトロンビンを用いて37℃でそれぞれ2時間および4時間消化したCleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼが含まれている。これらの結果は、Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼが36.5キロダルトンの見掛分子量を有することを示すものであり、Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼがトロンビンによって効率的に開裂されるということを示すものである。さらに、トロンビン開裂産物は、Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼの挿入トロンビン部位の位置に基づいて予想される大きさである、27キロダルトンと9キロダルトンの概算分子量を有する。
消化および非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼにおけるヘアピン開裂活性のレベルを測定するために、希釈物を作製し、5’フルオレセイン標識を含む試験ヘアピンの開裂に用いた。種々の量の消化および非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを、5μMのオリゴヌクレオチドS-60ヘアピン(配列番号40、図30参照)とともに、10mMのMOPS(pH 7.5)、0.05%Tween-20、0.05%NP-40および1mMのMnCl2中で60℃にて5分間インキュベートした。消化混合物を20%アクリルアミドゲルにて電気泳動し、日立FMBIO 100蛍光画像装置で視覚化した。得られた像を図73に示す。
図73において、レーン1には酵素を含まない対照が含まれ、レーン2には0.01ngのCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼを用いて産生させた反応産物が含まれ、レーン3、4および5にはそれぞれ0.01ng、0.04ngおよび4ngの非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを用いて産生させた反応産物が含まれ、そしてレーン6、7および8にはそれぞれ0.01ng、0.04ngおよび4ngのトロンビン消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを用いて産生させた反応産物が含まれる。図73に示された結果によって、トロンビン開裂部位の挿入により開裂活性が約200倍(Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼの活性に対して)低下するが、トロンビンによる消化は該活性を有意に低下させないことが証明された。
M13 1本鎖DNAを、Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼ、ならびに消化および非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼによる開裂の基質として用いた。70ngの1本鎖M13 DNA(New England Biolabs、ビバリー(Beverly)、マサチューセッツ州)を、8ngのCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼ、非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼ、または消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼを含む10mMのMOPS(pH 7.5)、0.05%Tween-20、0.05%NP-40、1mMのMgCl2または1mMのMnCl2中で、50℃にて10分間インキュベートした。反応混合物を0.8%アガロースゲル上で電気泳動し、次いで0.5μg/mlの臭化エチジウム(EtBr)を含む溶液で染色してDNAバンドを視覚化した。EtBr−染色ゲルの陰性像を図74に示す。
図74において、レーン1には酵素を含まない対照が含まれ、レーン2にはCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼおよび1mMのMgCl2を用いて産生させた反応産物が含まれ、レーン3にはCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼおよび1mMのMnCl2を用いて産生させた反応産物が含まれ、レーン4には非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼおよび1mMのMgCl2を用いて産生させた反応産物が含まれ、レーン5には非消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼおよび1mMのMnCl2を用いて産生させた反応産物が含まれ、レーン6にはトロンビン消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼおよび1mMのMgCl2を用いて産生させた反応産物が含まれ、そしてレーン7にはトロンビン消化Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼおよび1mMのMnCl2を用いて産生させた反応産物が含まれる。図74に示された結果によって、Cleavase(登録商標)BN/トロンビンヌクレアーゼは、Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼと比較して、環状DNAを開裂するための高い能力を有している(したがって、フリーの5’末端の存在の必要性が低くなる)ことが証明された。
これらのデータから、らせん状アーチ形のこれらのタンパク質を、酵素、または開裂構造を特異的に認識するための該酵素の能力を破壊することなく開環することができるということが理解され得る。Cleavase(登録商標)BN/トロンビン突然変異体は、上記のように、5’末端に関係なく開裂能力が増大している。そのような構造を開裂する能力により、環状でない場合が多いが、どのような利用可能な5’末端からも遠く移動した多数の望ましい開裂部位を与え得るゲノムDNAなどの長い分子の開裂が可能になる。開裂構造は、かかる部位に、鎖の折り曲がり(すなわちCFLP(登録商標)開裂)または構造形成性オリゴヌクレオチドの導入(米国特許第5,422,253号)のどちらかによって作られ得る。また、核酸の5’末端も、大きすぎるためにらせん状アーチに通すことができない物質の結合により、利用することができなくなり得る。かかる結合成分としては、ストレプトアビジンもしくは抗体などのタンパク質、またはビーズもしくは反応容器の内壁などの固体支持体が挙げられ得る。らせん状アーチのループに開口部を有する開裂酵素は、このように立体的に配置されているDNAを開裂することができ、そのような酵素を用いて反応を構成することができる方法の数を増やすことができる。
b)Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼ
i)Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼの構築および発現
Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼという、Taq DNAポリメラーゼの重合欠失(polymerization deficient)突然変異体を構築した。Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼには、785位に野生型アスパラギン酸残基の代わりにアスパラギン残基が含まれている(D785N)。
Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼをコードするDNAを、Cleavase(登録商標)A/G(mutTaq、実施例2)をコードする遺伝子から、2ラウンドの部位特異的突然変異誘発にて構築した。まず、Cleavase(登録商標)A/G遺伝子(配列番号21)の1397位のGと2264位のGをそれぞれAに置換して野生型DNAPTaq遺伝子を再作製する。突然変異誘発の第2ラウンドとして、野生型DNAPTaq遺伝子を、2356位のGをAに置換することによってCleavase(登録商標)DN遺伝子に変換した。これらの操作は下記のようにして行った。
Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼをコードするDNAを、pTTQ18プラスミド(実施例2)からpTrc99A(Pharmacia)プラスミドに2工程にて再クローニングした。まず、pTrc99Aベクターを、pTrc99A地図の270位のGを除去することによって修飾し、pTrc99Gクローニングベクターを作製した。かかる目的のために、pTrc99AプラスミドDNAをNcolで開裂し、後退性(recessive)3’末端をE.coliポリメラーゼIのクレノウ断片を用いて4つのdNTP全ての存在下で37℃にて15分間ふさいだ。クレノウ断片を65℃で10分間インキュベートすることにより失活させた後、プラスミドDNAをEcoRIで開裂し、再び末端をクレノウ断片を用いて4つのdNTP全ての存在下で37℃にて15分間ふさいだ。次いで、クレノウ断片を65℃で10分間インキュベートすることにより失活させた。プラスミドDNAをエタノール沈殿させて、ライゲーションにより再環化して、E.coli JM109細胞(Promega)の形質転換に用いた。プラスミドDNAをシングルコロニーから分離して、pTrc99A地図の270位のGの欠失をDNA配列決定によって確認した。
第2の工程として、Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼをコードするDNAを、pTTQ18プラスミドからEcoRIおよびSalIを用いて取り出し、Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ遺伝子を有するDNA断片を、1%アガロースゲル上で分離して、Geneclean IIキット(Bio101、ヴィスタ(Vista)、カリフォルニア州)を用いて単離した。精製断片を、EcoRIおよびSalIを用いて開裂されたpTrc99Gベクターにライゲーションした。ライゲーション混合物を用いてコンピテントE.coli JM109細胞(Promega)を形質転換した。プラスミドDNAをシングルコロニーから分離して、Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ遺伝子の挿入を、EcoRIおよびSalIを用いる制限酵素分析によって確認した。
pTrc99AベクターにクローニングされたCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ遺伝子を有するプラスミドDNA pTrcAGを、QIAGENプラスミドMaxiキット(QIAGEN、チヤッツワース(Chatsworth)、カリフォルニア州)を用いて製造業者のプロトコルにしたがって200mlのJM109一晩培養物から精製した。pTrcAGプラスミドDNAを、2つの突然変異誘発プライマー、E465(配列番号103)(Integrated DNA Technologies、アイオワ州)およびR754Q(配列番号104)(Integrated DNA Technologies)、ならびに選択プライマーTrans Oligo AlwNI/SpeI(Clontech、パロアルト、カリフォルニア州、カタログ#6488-1)を用いてTransformer(商標名)部位特異的突然変異誘発キットプロトコル(Clontech)にしたがって突然変異誘発させて、回復(restored)野生型DNAPTaq遺伝子(pTrcWT)を産生させた。
pTrc99Aベクターにクローニングされた野生型DNAPTaq遺伝子を有するpTrcWTプラスミドDNAを、QIAGENプラスミドMaxiキット(QIAGEN、チヤッツワース、カリフォルニア州)を用いて製造業者のプロトコルにしたがって200mlのJM109一晩培養物から精製した。次いで、pTrcWTを、突然変異誘発プライマーD785N(配列番号105)(Integrated DNA Technologies)および選択プライマーSwitch Oligo SpeI/AlwNI(Clontech、カタログ#6373-1)を用いてTransformer(商標名)部位特異的突然変異誘発キットプロトコル(Clontech)にしたがって突然変異誘発させて、Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼをコードするDNAを含有するプラスミドを作製した。Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼをコードするDNA配列を配列番号106に示し、Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号107に示す。
Cleavase(登録商標)DNヌクレアーゼの大量調製を、実施例29に記載したようにCleavase(登録商標)DNヌクレアーゼを過剰発現するE.coli細胞を用いて行った。
c)Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)DVヌクレアーゼ
Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)DVヌクレアーゼと称する、2つのTaq DNAポリメラーゼの重合欠失突然変異体を構築した。Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼには、610位に、野生型アスパラギン酸残基の代わりにアラニン残基が含まれている(D785A)。Cleavase(登録商標)DVヌクレアーゼには、610位に、野生型アスパラギン酸残基の代わりにバリン残基が含まれている(D610V)。
i)Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)DVヌクレアーゼの構築および発現
Cleavase(登録商標)DAおよびDVヌクレアーゼをコードするベクターを構築するために、pTrcAG内に含まれるCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ遺伝子を、2つの突然変異誘発プライマー、R754Q(配列番号104)およびD610AV(配列番号128)、ならびに選択プライマーTrans Oligo AlwNI/SpeI(Clontech、カタログ#6488-1)を用いてTransformer(商標名)部位特異的突然変異誘発キットプロトコル(Clontech)にしたがって突然変異誘発させて、Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼまたはCleavase(登録商標)DVヌクレアーゼをコードするDNAを含有するプラスミドを作製した。D610AVオリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドの5’末端から10番目の位置にプリンAまたはGを有するように合成した。突然変異誘発後、プラスミドDNAをシングルコロニーから分離し、存在する突然変異の型、DAまたはDVをDNA配列決定によって決定した。Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼをコードするDNA配列を配列番号129に示し、Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号130に示す。Cleavase(登録商標)DVヌクレアーゼをコードするDNA配列を配列番号131に示し、Cleavase(登録商標)DVヌクレアーゼのアミノ酸配列を配列番号132に示す。
Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼとCleavase(登録商標)DVヌクレアーゼの大量調製を、実施例29に記載したように、Cleavase(登録商標)DAヌクレアーゼまたはCleavase(登録商標)DVヌクレアーゼを過剰発現するE.coli細胞を用いて行った。
d)Cleavase(登録商標)Tth DNヌクレアーゼ
i)Cleavase(登録商標)Tth DNヌクレアーゼの構築と発現
バクテリア種のテルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Th)からのDNAポリメラーゼ酵素は、このタンパク質の遺伝子を発現ベクターに導入してクローニングし、E.coli細胞内でそれを過剰に生産させることにより生産された。ゲノムDNAは、実施例29aに記載されているように、ATCC(ATCC #27634)からの1バイアルの乾燥テルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)株のHB-8から調製した。DNAポリメラーゼ遺伝子を、実施例29bに記載されているように、PCRにより増幅したが、その際以下のプライマー:実施例29aに記載されている5’-CACGAATTCCGAGGCGATGCTTCCGCTC-3’(配列番号166)及び5’-TCGACGTCGACTAACCCTTGGCGGAAAGCC-3’(配列番号167)を使用した。
得られたPCR産物を、EcoR I及びSalI制限ヌクレアーゼで消化し、実施例27bに記載されているように、連結反応によりEcoRI/SalI消化プラスミドベクター pTrc99g(実施例27bに記載)に挿入して、プラスミド pTrcTth-1をつくった。このTthポリメラーゼ構築物は、1つのヌクレオチドを失っており、それは偶然に5’ヌクレオチドから省かれ、その結果フレームの範囲外のポリメラーゼ遺伝子となった。この誤りは、以下のオリゴヌクレオチド:5’-GCATCGCCTCGGAATTCATGGTC-3’(配列番号168)を使用して実施例27bに記載されているように、pTrcTth-1の突然変異誘発により修正し、プラスミドpTrcTth-2をつくった。TthDN構築物は、787位のアスパラギン酸をコードする配列をアスパラギンをコードする配列に突然変異させることによりつくられた。実施例27bに記載されているような、以下のオリゴヌクレオチド、5’-CAGGAGGAGCTCGTTGTGGACCTGGA-3’(配列番号169)によるpTrcTth-2の突然変異誘発は、プラスミドpTrcTth-DNをもたらした。その結果得られたポリメラーゼ欠損ヌクレアーゼ、Cleavase(登録商標)TthDNを、実施例29に記載されているように、発現させて精製した。
実施例29
耐熱性FEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現
3種類の古細菌種由来の耐熱性FEN-1タンパク質をコードする配列をE.coliにクローニングして、過剰発現させた。本実施例には、a)メタノコッカス・ジャナスキイ(Metanococcus jannaschii)由来のFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現、b)ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来のFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現、c)ピロコッカス・ウーゼイ(Pyrococcus woesei)由来のFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現、d)組換え耐熱性FEN-1タンパク質の大量調製、ならびにe)FEN-1エンドヌクレアーゼを用いる活性アッセイが含まれる。
a)メタノコッカス・ジャナスキイ由来のFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現
メタノコッカス・ジャナスキイ(M.ジャナスキイ)由来のFEN-1エンドヌクレアーゼをコードするDNAをM.ジャナスキイ細胞から単離し、下記のようにして、誘導プロモーターの転写調節下にプラスミドに挿入した。ゲノムDNAを、生M.ジャナスキイ菌(DSMZ、Duetsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen、Braunschweig、ドイツ#2661)の1つのバイアルから、DNA XTRAXキット(Gull Laboratories、ソルトレークシティ、ユタ州)を用いて製造業者のプロトコルにしたがって調製した。最終DNAペレットをTE(10mMトリスHCl、pH 8.0、1mM EDTA)100μl中に再懸濁した。DNA溶液1マイクロリットルを使用して、Advantage(商標名)cDNA PCRキット(Clonetech)を用いるPCRを行った。このPCRは製造業者の推奨にしたがって行った。5’−末端プライマー(配列番号108)は、NcoI制限部位を作製するための1塩基置換を有するMja FEN-1オープンリーディングフレームの5’末端と相補的である{M.ジャナスキイ(Mja)FEN-1をコードする遺伝子を含有するM.ジャナスキイゲノムの断片は、受託番号#U67585としてGenBankから入手可能である}。3’−末端プライマー(配列番号109)は、SalI制限酵素部位を作製するための2塩基置換を有するMja FEN-1オープンリーディングフレームの3’末端から下流側の約15塩基対の配列と相補的である。5’−末端および3’−末端プライマーの配列は、それぞれ、5’-GGGATACCATGGGAGTGCAGTTTGG-3’(配列番号108)および5’-GGTAAATTTTTCTCGTCGACATCCCAC-3’(配列番号109)である。PCR反応により、長さ約1キロベースの単一の主要バンドが増幅(すなわち産生)された。Mja FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を配列番号110に示し、このORFによってコードされるアミノ酸配列を配列番号111に示す。
PCR増幅後、全反応物を1.0%アガロースゲル上で電気泳動し、主要バンドをゲルから切り出して、Geneclean IIキット(Bio101、ヴィスタ、カリフォルニア州)を用いて製造業者の指示にしたがって精製した。約1μgのゲル精製Mja FEN-1 PCR産物をNcoIおよびSalIで消化した。消化後、DNAをGeneclean IIキットを用いて製造業者の指示にしたがって精製した。pTrc99aベクター(Pharmacia、ピスカッタウェイ(Piscataway)、ニュージャージー州)1μgを、消化PCR産物とのライゲーションの準備として、NcoIおよびSalIで消化した。消化pTrc99aベクター100ngおよび消化Mja FEN-1 PCR産物250ngを混合してライゲーションし、pTrc99-MJFEN1を作製した。pTrc99-MJFEN1を用いて、コンピテントE.coli JM109細胞(Promega)を標準技術により形質転換した。
b)ピロコッカス・フリオサス由来のFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現
ピロコッカス・フリオサス(P.フリオサス)FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするDNAを、P.フリオサス(Pfu)FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするDNAを含有するプラスミド{海洋バイオテクノロジーセンター(バルチモア、メリーランド州)のFrank Robb.博士から入手}を用いるPCR増幅によって得た。Pfu FEN-1エンドヌクレアーゼの一部をコードするDNA配列は、受託番号AAl13505およびW36094としてGenBankから入手することができる。増幅されたPfu FEN-1遺伝子をpTrc99a発現ベクター(Pharmacia)に挿入して、誘導trcプロモーターの転写調節下にPfu FEN-1遺伝子を配置した。PCR増幅は下記のようにして行った。反応物100μlには、50mMトリスHCl(pH 9.0)、20mM(NH42SO4、2mMのMgCl2、50μMのdNTP、50pmolの各プライマー、1UのTflポリメラーゼ(Epicentre Technologies、マジソン(Madison)、ウィスコンシン州)および1ngのFEN-1遺伝子含有プラスミドDNAが含まれていた。5’−末端プライマー(配列番号112)は、NcoI部位を作製するための2塩基置換を有するPfu FEN-1オープンリーディングフレームの5’末端と相補的であり、3’−末端プライマー(配列番号113)はPstI部位を作製するための2塩基置換を有するFEN-1オープンリーディングフレームの下流側の約30塩基対に位置する領域と相補的である。5’−末端および3’−末端プライマーの配列は、それぞれ、5’-GAGGTGATACCATGGGTGTCC-3’(配列番号112)および5’-GAAACTCTGCAGCGCGTCAG-3’(配列番号113)である。PCR反応により、長さ約1キロベースの単一の主要バンドが増幅された。Pfu FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を配列番号114に示し、このORFによってコードされるアミノ酸配列を配列番号115に示す。
PCR増幅後、全反応物を1.0%アガロースゲル上で電気泳動し、主要バンドをゲルから切り出してGeneclean IIキット(Bio101)を用いて製造業者の指示にしたがって精製した。約1μgのゲル精製Pfu FEN-1 PCR産物を、NcoIおよびPstIで消化した。消化後、DNAを、Geneclean IIキット(Bio101)を用いて製造業者の指示にしたがって精製した。pTrc99aベクター1μgを、消化PCR産物とライゲーションする前に、NcoIおよびPstIで消化した。100ngの消化pTrc99aと250ngの消化Pfu FEN-1 PCR産物を混合してライゲーションし、pTrc99-PFFEN1を作製した。pTrc99-PFFEN1を用いて、コンピテントE.coli JM109細胞(Promega)を標準技術にて形質転換した。
c)ピロコッカス・ウーゼイ由来のFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングおよび発現
ピロコッカス・ウーゼイ(Pwo)FEN-1エンドヌクレアーゼをコードするDNAをクローニングするために、文献(Zwicklら,(1990)J.Bact. 172:4329)に記載の方法にいくつかの変更を加えた方法により、凍結乾燥P.ウーゼイ菌(DSMZ#3773)からDNAを調製した。簡単に言うと、P.ウーゼイ菌の1つのバイアルを再水和して、0.5mlのLB(Luria broth)に再懸濁した。細胞を、14,000×gで1分間遠心分離し、細胞ペレットをTE 0.45mlに再懸濁した。50μlの10%SDSを加えて、混合物を室温(RT)で5分間インキュベートした。次いで、1:1のフェノール:クロロホルムを用いて細胞溶解物を3回抽出し、クロロホルムを用いて3回抽出した。イソプロパノール500μlを抽出溶解物に加えて、14,000×gで10分間遠心分離することによりDNAをペレットにした。DNAペレットを0.5mlの70%エタノール中で洗浄し、14,000×gで5分間遠心分離することによりDNAを再度ペレットにした。DNAペレットを乾燥し、TE 100μlに再懸濁し、さらに精製することなくPCR反応に使用した。
発現ベクターにクローニングするためのP.ウーゼイFEN-1遺伝子断片を作製するために、低ストリンジェンシーPCRを、P.フリオサスFEN-1遺伝子オープンリーディングフレームの両末端と相補的なプライマーを用いて試みた。5’−末端プライマーと3’−末端プライマーの配列は、それぞれ、5’-GATACCATGGGTGTCCCAATTGGTG-3’(配列番号116)および5’-TCGACGTCGACTTATCTCTTGAACCAACTTTCAAGGG-3’(配列番号117)である。P.フリオサスとP.ウーゼイ由来のタンパク質相同体(すなわち、FEN-1タンパク質以外のタンパク質)の高レベルの配列類似性は、P.フリオサスFEN-1遺伝子と相補的な配列を含むプライマーを用いてP.ウーゼイFEN-1遺伝子を増幅することができる可能性が高いということを示唆するものである。しかしながら、このアプローチはいくつかの異なるPCR条件下で成功しなかった。
P.フリオサスおよびM.ジャナスキイ由来のFEN-1遺伝子のDNA配列をならべて、2つの遺伝子間の配列同一ブロックを同定した。これらのブロックを用いて、保存領域にあるP.フリオサスFEN-1遺伝子に相補的なFEN-1遺伝子のための内部プライマー(すなわち、ORFの5’末端と3’末端の内部に位置した配列と相補的なもの)を設計した。5’−内部プライマーと3’−内部プライマーの配列は、それぞれ、5’-AGCGAGGGAGAGGCCCAAGC-3’(配列番号118)および5’-GCCTATGCCCTTTATTCCTCC-3’(配列番号119)である。これらの内部プライマーを用いるPCRを、Advantage(商標名)PCRキットを用いて行うことにより、〜300bpの主要バンドを得た。
内部プライマーを用いたPCRが成功したので、内部プライマー(配列番号118および119)と外部プライマー(配列番号116および117)の混合物を含む反応を試みた。5’−末端外部プライマー(配列番号116)および3’−末端内部プライマー(配列番号119)を含む反応によって600bpのバンドが生じ、5’−末端内部プライマー(配列番号118)および3’−末端外部プライマー(配列番号117)を含む反応によって750bpのバンドが生じた。これらのオーバーラップDNA断片をゲル精製し、PCR反応において外部プライマー(配列番号116および117)と混合した。この反応により、Pwo FEN-1遺伝子オープンリーデイングフレーム全体を含む1kbのDNA断片が得られた。得られたPCR産物をゲル精製し、消化して、Mja FEN-1遺伝子PCR産物について上記した方法と全く同様にしてライゲーションした。得られたプラスミドを、pTrc99-PWFEN1と命名した。pTrc99-PWFEN1を用いて、コンピテントE.coli JM109細胞(Promega)を標準技術により形質転換した。
d)Archaeoglobus fulgidusからのFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングと発現
予備的なArchaeoglobus fulgidus(Afu)の220万塩基の染色体配列をTIGR(The Institute for Genomic Research)のworld wide web siteからダウンロードし、そしてソフトウェアープログラム(MacDNAsis)に組み込み、DNA及びタンパク質配列の分析及び操作のために使用した。注釈のない配列は、6つの可能性の有るリーディングフレーム全てに翻訳され、それぞれ約726,000のアミノ酸からなる。それぞれのフレームは、FEN-1ファミリーに保存されている配列であるアミノ酸配列“VFDG”(バリン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グリシン)の存在を求めて個々に探索された。該アミノ酸配列はオープンリーディングフレーム内に存在し、そのフレームはFEN-1遺伝子に保存されている他のアミノ酸配列を含み、その他のFEN-1遺伝子とほぼ同じサイズであった。そのORF DNA配列を、配列番号178に示し、一方そのORFタンパク質配列を配列番号179に示した。そのリーディングフレーム内の、このアミノ酸配列の位置に基づいて、推定のFEN-1遺伝子をコードしているDNA配列を同定した。
その配列情報を用いて、A. fulgidusゲノムDNAからのFEN-1に似た配列のPCR増幅に使用する、オリゴヌクレオチドプライマーを設計した。DSMZ(DSMZ#4304)からの生きたA. fulgidusバクテリアの1バイアル(約5mlの培養菌)を使用することを除いて、M.janaschiiに関して実施例29aに記載したようにA.fulgidusからゲノムDNAを調製した。実施例29aに記載したように、1マイクロリットルのゲノムDNAをPCR反応に使用した。5’末端プライマーは、Nco Iサイトをつくるための1塩基対の置換がある事を除いて、Afu FEN-1遺伝子の5’末端に相補的である。3’末端プライマーは、Sal Iサイトをつくるための2塩基の置換を含む事を除いて、FEN-1 ORFから下流のAfu FEN-1遺伝子の3’末端に相補的である。5’及び3’末端プライマーの配列は、それぞれ5’-CCGTCAACATTTACCATGGGTGCGGA-3’(配列番号170)及び5’-CCGCCACCTCGTAGTCGACATCCTTTTCGTG(配列番号171)である。Afu FEN-1遺伝子のクローニング、発現及び精製は実施例29a及び29dに記載のように行った。
e)Methanobacterium thermoautotrophicumからのFEN-1エンドヌクレアーゼのクローニングと発現
Genome Therapeutics world wide web pageで、FEN-1に保存されているアミノ酸配列を探すためMethanobacterium thermoautotrophicum(Mth)ゲノムの全オープンリーディングフレームの試験的なリストを探索した。アミノ酸配列”VFDG”(バリン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グリシン)をオープンリーディングフレーム内に見出し、このフレームは他の保存されているFEN-1配列をも含んでいた。配列番号181は、Genome Therapeuticsに示されたMth FEN-1 ORF DNA配列を提供し、一方配列番号182は、Genome Therapeuticsに示されたMth FEN-1 ORFタンパク質配列を提供する。しかしながら、このオープンリーディングフレームは、ほぼ325アミノ酸長の他の原始FEN-1遺伝子と比較すると、259アミノ酸長である。この不一致の原因を調べるために、Afu FEN-1に関して上述したように同一の方法で、Mth FEN-1のDNA配列を得た。
配列の調査に基づくと、オープンリーディングフレームは、オープンリーディングフレームのおよそ750番目の1塩基の欠失により328アミノ酸まで伸長できることが明らかだった。1塩基の欠失により加えられた付加的なアミノ酸配列は、P.furiosus FEN-1遺伝子の同領域と39%同一である。推定上のMth FEN-1遺伝子のDNA配列を用いて、その遺伝子の5’及び3’末端に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。5’オリゴヌクレオチドは、2置換を含みそれがNco Iサイトをつくることを除けば、Mth FEN-1遺伝子の5’末端に相補的である。3’オリゴヌクレオチドは、真のオープンリーディングフレームが終わると考えられる位置の約100塩基対下流の遺伝子の3’末端に相補的である。この領域は、天然PstIサイトを含む。5’及び3’オリゴヌクレオチドの配列は、それぞれ5’-GGGTGTTCCCATGGGAGTTAAACTCAGG-3’(配列番号172)及び5’-CTGAATTCTGCAGAAAAAGGGG-3’(配列番号173)である。
ゲノムDNAは、実施例29aに記載されているようにATCC(ATCC #29096)からの凍結M. thermoautotrophicumバクテリアの1バイアルから調製した。Mth FEN-1のPCR、クローニング、発現及び精製は、SalIに代わりにPstIを使用したことを除いて、実施例29a及び29dに記載のようにおこなった。World wide web上で公開されているゲノム配列と比べると、クローン化Mth FEN-1遺伝子のシークエンシングにより、付加的な”T”ヌクレオチドの存在が明らかにされた。FEN-1オープンリーディングフレームの775番目に位置するこの”T”残基は、フレームシフトを引き起こし、他の微生物からのFEN遺伝子との比較に基づくと、当初考えられていたような更に大きなオープンリーディングフレームをもたらす。配列番号182は、本発明のMth ORF DNA配列の配列を提供し、一方、配列番号183は、本発明のMth FEN-1タンパク質配列の配列を提供する。
f)組換え耐熱性FEN-1タンパク質の大量調製
Mja、PwoおよびPfu FEN-1タンパク質を、下記のようなTaq DNAポリメラーゼ調製プロトコル(Engelkeら(1990)Anal. Biochem. 191:396)に由来する下記の技術によって精製した。pTrc99-PFFEN1、pTrc99-PWFEN1、またはpTrc99-MJFEN1のいずれかを含むE.coli細胞(JM109株)を、100μg/mlのアンピシリンを含むLB(Luria Broth)3ml中に接種し、37℃で16時間増殖させた。一晩中培養した培養物を100μg/mlのアンピシリンを含むLB200mlまたは350ml中に接種し、A600が0.8になるまで激しく振盪しながら37℃で増殖させた。IPTG(1Mの保存溶液)を最終濃度が1mMになるまで加えて、37℃で16時間増殖を続けた。
誘導された細胞をペレットにして、細胞ペレットの重さを計った。等容量の2X DG緩衝液(100mMトリスHCl(pH 7.6)、0.1mMのEDTA)を加えて、ペレットを攪拌によって再懸濁した。50mg/mlのリゾチーム(Sigma、セントルイス、ミズーリ州)を最終濃度が1mg/mlになるまで加えて、細胞を室温で15分間インキュベートした。デオキシコール酸(10%溶液)を、最終濃度が0.2%になるまで攪拌しながら滴下した。1容量のH2Oと1容量の2X DG緩衝液を加え、得られた混合物を氷上で2分間音波処理して混合物の粘度を低下させた。音波処理後、3Mの(NH42SO4を最終濃度が0.2Mになるまで加えて、溶解物を14000×g、4℃で20分間遠心分離した。上清を取り出して、70℃で60分間インキュベートし、その時10%ポリエチルイミン(PEI)を0.25%になるまで加えた。氷上で30分間インキュベートした後、混合物を14,000×g、4℃で20分間遠心分離した。この時点で、上清を取り出し、FEN-1タンパク質を下記のように(NH42SO4を添加することにより沈殿させた。
PwoおよびPfu FEN-1調製物に対して、2容量の3M(NH42SO4を添加することによりFEN-1タンパク質を沈殿させた。混合物を一晩室温で16時間インキュベートし、タンパク質を14,000×g、4℃で20分間遠心分離した。タンパク質ペレットを、0.5mlのQ緩衝液(50mMのトリスHCl(pH 8.0)、0.1mMのEDTA、0.1%のTween 20)に再懸濁した。Mja FEN-1調製物に対して、固体の(NH42SO4を最終濃度が3M(〜75%飽和)になるまで加えて、混合物を氷上で30分間インキュベートし、タンパク質をスピンダウンして上記のように再懸濁した。
再懸濁したタンパク質調製物を、A279を測定することにより定量し、総タンパク質2〜4μgを含有するアリコートを、標準Laemmli緩衝液(Laemmli(1970)Nature 277:680)中において、10%SDSポリアクリルアミドゲル(アクリルアミド:ビス−アクリルアミドの比が、29:1)上で電気泳動し、クーマシーブリリアントブルーRで染色した。その結果を図75に示す。
図75において、レーン1には分子量マーカー(Mid-Range Protein Molecular Weight Markers、Promega)が含まれ、マーカータンパク質の大きさはゲルの左に示した。レーン2には精製Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼが含まれ、レーン3〜5には、それぞれ、Pfu、PwoおよびMja FEN-1ヌクレアーゼを発現するE.coliから調製された抽出物が含まれる。Pfu FEN-1ヌクレアーゼの分子量の計算値(すなわち、ヌクレアーゼをコードするDNA配列の翻訳を用いる)は、38,714ダルトンであり、Mja FEN-1ヌクレアーゼの分子量の計算値は37,503ダルトンである。Pwo FEN-1タンパク質とPfu FEN-1タンパク質を、SDS-PAGEゲル上でいっしょに移動させることにより、Pwo FEN-1の分子量を38.7kDaと推定した。
e-g)FEN-1エンドヌクレアーゼを用いる活性アッセイ
i)混合ヘアピンアッセイ
Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼは、12塩基対のステム−ループ構造に対して、8塩基対のステム−ループDNA構造の約60倍の親和性を有する。Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼとFEN-1ヌクレアーゼとの活性の違いについての試験として、8または12bpステム−ループを有するオリゴヌクレオチドの混合物(S-33および11-8-0オリゴヌクレオチドを示した図71参照)を、Mja FEN-1ヌクレアーゼを過剰発現するE.coli細胞から調製した抽出物(上記のように調製)とともにインキュベートした。反応物は、0.05μMのオリゴヌクレオチドS-33(配列番号120)および11-8-0(配列番号121)(両方とも5’−フルオレセイン標識を含むオリゴヌクレオチドである)、10mMのMOPS(pH 7.5)、0.05%Tween-20、0.05%NP-40、1mMのMnCl2を含んでいた。反応物を90℃で10秒間加熱し、55℃に冷却し、次いで1μlの粗抽出物(Mja FEN-1)または精製酵素(Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼ)を加えて、混合物を55℃で10分間インキュベートした。また、酵素を含まない対照試験も行った。ホルムアミド/EDTAを加えることによって反応を停止させて、試料を変性20%アクリルアミドゲル上で電気泳動し、日立FMBIO 100蛍光画像装置で視覚化した。得られた像を図76に示す。
図76において、レーン1にはCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼによって生じた反応産物が含まれ、レーン2には酵素を含まない対照反応による反応産物が含まれ、そしてレーン3にはMja FEN-1ヌクレアーゼによって生じた反応産物が含まれる。図76に示されたデータによって、Cleavase(登録商標)BNヌクレアーゼはS33構造(12bpステム−ループ)の方を強く好み、一方、Mja FEN-1ヌクレアーゼは、ほとんど同じ効率で8または12bpのステム−ループを有する構造を開裂するということが示されている。このことは、Mja FEN-1ヌクレアーゼがCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼとは異なる基質特異性を有し、「発明の説明」で記載したようなInvader(商標名)アッセイまたはCFLP(登録商標)分析に有用な特徴を有するということを示すものである。
実施例30
Invader(商標名)指令開裂の産物を選択的に伸長させるターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ
DNAプローブの熱分解産物の大部分は、3’−末端にリン酸基を有する。鋳型非依存性DNAポリメラーゼ、末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ(TdT)が、上記の3’−末端リン酸基を末尾付加(tail)または重合する(すなわち、3’末端にヌクレオチド三リン酸を追加する)ことができるどうかを調べるために、下記の実験を行った。
高パーセンテージの熱分解産物を含有する試料を作製するために、5’フルオレセイン標識オリゴヌクレオチド34-078-01(配列番号73)(200pmol)を、100μlの10mM NaCO3(pH 10.6)、50mM NaCl中で、95℃にて13時間インキュベートした。蒸発を防ぐために、反応混合物を60μlのChillOut(商標名)14液体ワックスで覆った。次に、反応混合物を2つの等量のアリコートに分けた(AおよびB)。アリコートAを1/10容量の3M NaOAcと混合し、次いで3容量のエタノールと混合して、−20℃で保存した。アリコートBを、0.5μlの1M MgCl2および1μlの1ユニット/μl 子ウシ腸管アルカリホスファターゼ(CIAP)(Promega)を加えて、37℃で30分間インキュベートすることにより脱リン酸した。等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(24:24:1)を試料に加えた後、1分間攪拌し、次いでマイクロ遠心機にて最大速度で5分間遠心分離して相分離させた。水相を、1/10容量の3M NaOAcおよび3容量のエタノールを加えた新たな試験管に取り出した後、−20℃で30分間保存した。次に、両方のアリコート(AおよびB)をマイクロ遠心機にて最大速度で10分間遠心分離して、DNAをペレットにした。次いで、ペレットを2回、それぞれ80%エタノールで洗浄し、続いて完全に乾燥させた。次に、乾燥ペレットをそれぞれ70μlのddH2Oに溶解した。
TdT反応を下記のようにして行った。6つの混合物を作った。混合物にはすべて、10mMのトリスOAc(pH 7.5)、10mMのMgOAc、50mMのKClおよび2mMのdATPが含まれていた。混合物1および2にはlpmolの未処理34-078-01(配列番号73)が含まれており、混合物3および4には2μlのアリコートA(上記)が含まれており、混合物5および6には2μlのアリコートB(上記)が含まれていた。それぞれ9μlの混合物1、3および5に1μlのddH2Oを加えて、それぞれ9μlの混合物2、4および6に1μlの20ユニット/μl TdT(Promega)を加えた。混合物を37℃で1時間インキュベートし、次いで10mMのEDTAおよび0.05%マーカー染料を含む95%ホルムアミド5μlを添加することにより反応を終了させた。各混合物5μlを、7M尿素を加えた45mMトリス−ホウ酸塩(pH 8.5)、1.4mM EDTAを含有する緩衝液を用いた20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)による電気泳動によって分離し、505nmフィルターを有するFMBIO画像アナライザーを用いて画像化した。得られた像を図81に示す。
図81において、レーン1、3および5には、それぞれ、TdT不存在下でインキュベートした、未処理34-078-01(配列番号73)、熱分解34-078-01(配列番号73)、および熱分解脱リン酸化34-078-01(配列番号73)が含まれている。レーン2、4および6には、それぞれ、TdT存在下でインキュベートした、未処理34-078-01(配列番号73)、熱分解34-078-01(配列番号73)、および熱分解脱リン酸化34-078-01(配列番号73)が含まれている。
図81、レーン4に示されるように、TdTは、3’−末端リン酸基を含む熱分解産物を伸長することができず、3’−末端ヒドロキシル基を有する分子を選択的に伸長する。
実施例31
Invader(商標名)指令開裂産物の特異的TdT末尾付加(tailing)ならびにニトロセルロース支持体上のその後の捕獲および検出
TdTを用いて特異的開裂産物を伸長する場合、末尾付加(tailed)産物を検出する1つの手段は、視覚化する前に固体支持体上に伸長産物を選択的に捕獲することである。本実施例は、TdTおよびデオキシヌクレオチド三リン酸の使用により開裂産物を選択的に末尾付加することができ、ニトロセルロース支持体に結合した相補的オリゴヌクレオチドを用いて捕獲することにより末尾付加産物を視覚化することができるということを示すものである。
Invader(商標名)指令開裂反応で産生された開裂産物を伸長するために、下記の実験を行った。3つの反応混合物を、それぞれ、10mM MES(pH 6.5)、0.5%Tween-20、0.5%NP-40からなる緩衝液中で作った。第1の混合物は、5fmolの標的DNA−M13mp18、10pmolのプローブオリゴ32-161-2(配列番号71、このプローブオリゴヌクレオチドは、3’末端付近に3’ddCおよびCy3アミド化基(amidite group)を含む)ならびに5pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド32-161-1(配列番号70、このオリゴは3’ddCを含む)を含んでいた。第2の混合物は、プローブおよびInvader(商標名)オリゴヌクレオチドを含んでおり、標的DNAは含んでいなかった。第3の混合物は、第1の混合物と同じであり、Invader(商標名)指令開裂産物を、開裂の前後に蛍光画像化により検出することができるように、5’フルオレセイン標識を有している以外は同一のプローブ配列{オリゴ32-161-4(配列番号72、このオリゴは3’ddC、5’フルオレセイン標識、および3’末端付近にCy3染料基を含む)}を含んでいた。プローブのみの対照試料は、10pmolのオリゴ32-161-2(配列番号71)を含んでいた。それぞれ3μlの酵素混合物は5ngのCleavase(登録商標)DNヌクレアーゼを加えた7.5mMのMgCl2を含んでいた。TdT混合物(各4μlあたり)は、10UのTdT(Promega)、1mMのCoCl2、50mMのKClおよび100μMのdTTPを含んでいた。上記のInvader(商標名)開裂反応混合物を薄肉管中で作り、3μlのCleavase(登録商標)DN酵素混合物を加えることによって反応を開始させた。反応物を65℃で20分間インキュベートした。37℃まで冷却した後、4μlのTdT混合物を加えて、試料を37℃で4分間インキュベートした。次いで、ビオチン-16-dUTPを100μMになるまで加えて、試料を37℃で50分間インキュベートした。1μlの0.5M EDTAを加えることによって反応を終了させた。
末尾付加の効率を試験するために、産物をアクリルアミドゲル上に流した。4μlの各反応混合物を26μlの95%ホルムアミド、10mMのEDTAおよび0.05%メチルバイオレットと混合し、90℃に1分間加熱し、3μlを、7M尿素を加えた45mMのトリス−ホウ酸塩(pH 8.3)、1.4mMのEDTAを含有する緩衝液とともに20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)にローディングした。マーカー{ΦX174-HinfI(フルオレセイン標識されている)}もローディングした。電気泳動後、ゲルを、505nmフィルターを備えたFMBIO-100画像アナライザー(日立)を用いて分析した。その結果を図82に示す。
図82において、レーン1には何の処理もされていないプローブ32-161-2だけが含まれている。レーン2および3には、それぞれ、二次的TdT末尾付加がない場合とある場合の、標的DNAなしで行った反応産物が含まれている。レーン4および5には、それぞれ、二次的TdT末尾付加がない場合とある場合の、標的DNA、プローブオリゴ32-161-2(配列番号71)およびInvader(商標名)オリゴ32-161-1(配列番号70)を用いて行った反応産物が含まれている。レーン6および7は、それぞれ、二次的TdT末尾付加がない場合とある場合の、標的DNA、プローブオリゴ32-161-4(配列番号72)およびInvader(商標名)オリゴ32-161-1(配列番号70)を含有する反応産物を示すものである。レーンMにはマーカーΦX174-HinfIが含まれている。
レーン4および5の反応産物は、プローブに5’フルオレセインが存在しないことによって放出5’産物(ゲルの底部付近の「A」と示したもの)またはTdT伸長5’産物(ゲルの頂部付近の「B」と示したもの)の検出が妨げられること以外はレーン6および7で観察されたものと同じである。開裂プローブのCy3標識3’部分はこれらの反応全てにおいて認識できる(ゲルの中心の真下の「C」と示したもの)。
固体支持体上の標的依存性Invader指令開裂産物の検出を示すために、レーン3〜5の反応物を、図79に図示したようにくし形にデザインされた硬質ナイロン基材上に標準ニトロセルロースマトリックスをのせた
Figure 0004362150
(Bio-Rad)上で試験した。製造業者のプロトコルに一つ変更を加えて行った:PCRに推奨されている10%の代わりに、10μlのインベーダー指令開裂反応物を用いた。開裂産物を捕獲するために、2.5pmolの捕獲オリゴ59-28-1(配列番号133)を各歯にスポットした。製造業者の指示にしたがって捕獲および視覚化を行った。その結果を図79に示す。
図79において、歯番号6および7は、標的DNAの不存在下および存在下で行った反応の捕獲結果を示すものである。歯8はキット陽性対照を示すものである。
歯6と比較した場合の歯7に観察されるスポットの濃さは、Invader(商標名)指令開裂アッセイの産物は固体支持体上で特異的に検出され得るということを明確に示すものである。本実施例では
Figure 0004362150
を用いて固体支持体捕獲を示したが、当業者に公知のその他の支持体捕獲方法も同様に適している。例えば、ビーズまたは反応容器表面は、この工程で用いることができるように、捕獲オリゴヌクレオチドで簡単に被覆し得る。また、同様の固体支持体は、開裂/末尾付加反応のビオチンまたはハプテン標識産物の捕獲のためのストレプトアビジンまたは抗体で簡単に被覆し得る。これらの実施態様はいずれも、得られる蛍光、化学発光、色の変化、放射線放出、光学濃度変化または産物のその他の識別可能な特徴を検出することによって産物を適切に視覚化し得る。
実施例32
Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼおよびPfu FEN-1ヌクレアーゼによるInvader(商標名)指令開裂における侵入長さとプローブの5’標識の効果の比較
Pfu FEN-1ヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼの、5’アームを開裂する能力における侵入の長さの効果ならびに染料の型の効果を調べるために、下記の実験を行った。フルオレセイン、TETまたはCy3のいずれかで標識された類似の配列を有する3つのプローブを、標的核酸であるM13mp18の8、5および3塩基とオーバーラップする標的ハイブリダイゼーション領域を作る3つのInvader(商標名)オリゴヌクレオチドを含む反応物中で構築した。
反応は下記のとおりに行った。全ての条件での反応を2個1対で行った。Pfu FEN-1ヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼの酵素混合物を作った。それぞれ2μlのPfu FEN-1混合物は、100ngのPfu FEN-1(実施例28に記載したとおりに調製したもの)および7.5mMのMgCl2を含んでいた。それぞれ2μlのCleavase(登録商標)A/G混合物は、5.3ngのCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼおよび4.0mMのMnCl2を含んでいた。緩衝液、M13mp18およびInvader(商標名)オリゴヌクレオチドを含有する6個のマスター混合物を作った。それぞれ7μlの混合物1〜3は、1fmolのM13mp18、10pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド{34-078-4(配列番号50)、24-181-2(配列番号76)、または24-181-1(配列番号75)}を加えた10mMのMOPS(pH 7.5)、150mMのLiClを含んでいた。それぞれ7μlの混合物4〜6は、1fmolのM13mp18、10pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド{34-078-4(配列番号50)、24-181-2(配列番号76)、または24-181-1(配列番号75)}を加えた10mMのトリス(pH 8.0)を含んでいた。次いで、混合物1〜6をそれぞれ3つの混合物に分けて、フルオレセイン標識プローブ(オリゴ34-078-01;配列番号73)、Cy3標識プローブ(オリゴ43-20;配列番号74)またはTET標識プローブ(オリゴ90;5’TET標識を含む配列番号43)のいずれかを加えた。それぞれ7μlの混合物はすべて、10pmolの対応プローブを含んでいた。上記のDNA溶液を、10μlのChillOut(登録商標)蒸発遮断層でおおって、68℃にした。
混合物1〜3から調製した反応系を、2μlのCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ混合物で開始させ、混合物4〜6から調製した反応系を2μlのPfu FEN-1混合物で開始させた。68℃で30分加熱した後、10mMのEDTAおよび0.05%マーカー染料を含む95%ホルムアミド8μlを加えることにより反応を終了させた。試料を90℃で1分間加熱した後すぐに、7M尿素を加えた45mMトリスホウ酸塩(pH 8.3)、1.4mM EDTAを含む緩衝液中で、20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)による電気泳動を行った。電気泳動後、日立FMBIO蛍光画像装置を用いて開裂反応産物を視覚化した。フルオレセイン標識プローブの結果を図80に示し、Cy3標識プローブの結果を図81に示し、TET標識プローブの結果を図82に示す。これらの図のそれぞれにおいて、Cleavase(登録商標)A/Gによる開裂産物はレーン1〜6に示され、PfuFEN-1による開裂産物はレーン7〜12に示されている。それぞれの場合において、非開裂物質はゲルの頂部付近の非常に濃いバンドとして現れている(左に「U」と示されている)。オーバーラップの8、5または3塩基を有する、Invaderオリゴヌクレオチドにより指令される開裂産物(すなわち、「X」領域はヌクレオチド(nt)長さ8、5または3である)は、それぞれ、各組におけるレーンの第1、第2および第3の対に示され、左側に番号8、5および3と示されているのはこれらの反応物から放出された5’末端である。図81に示された開裂反応物においてわかるように、正荷電Cy3染料の存在によって、短い産物が長い産物よりもゆっくりと移動することになる。これらの産物は、別の正電荷、例えば実施例23に用いたようなアミノ修飾を含まないので、依然として負の実効電荷を有しており、標準電気泳動において陽極の方に移動する。
これらのデータから、Cleavase(登録商標)A/GおよびPfu FEN-1構造特異的ヌクレアーゼは、染料同一性およびプローブから開裂される断片の大きさに別個に応答するということがわかる。Pfu FEN-1ヌクレアーゼは、Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼよりも染料同一性に対する応答において変異性がかなり低いということが示されており、どのような染料もこの酵素といっしょに使用することに適しているということを示すものである。対照的に、Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼにより触媒された開裂の量は、染料同一性により実質的に変動する。フルオレセイン染料の使用により、Pfu FEN-1ヌクレアーゼで観察された結果と非常に近い結果が得られ、一方、Cy3またはTETの使用により、Pfu FEN-1反応物と比較した場合、劇的に低下した信号が得られた。このことに対する一つの例外は、TET染料を有する3ヌクレオチド(nt)産物の開裂におけるものであり(図82のレーン5および6)、Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼはPfu FEN-1ヌクレアーゼと同じ速度で開裂した。これらのデータは、Cleavase(登録商標)A/Gはこれらのその他の染料で標識されたプローブを開裂するのに使用し得るものである一方、Pfu FEN-1ヌクレアーゼはCy3およびTET標識プローブの開裂に好ましいヌクレアーゼであるということを示すものである。
実施例33
Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼまたはPfu FEN-1ヌクレアーゼを用いた侵入性開裂の速度における5’正電荷の効果の試験
正荷電付加物(すなわち、実施例23および24に示したような電荷逆転技術またはCRTプローブ)を含むプローブオリゴヌクレオチドの5’末端における正電荷が、Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼまたはPfu FEN-1ヌクレアーゼの、プローブの5’アームを開裂する能力に影響を及ぼすか否かを調べるために、下記の実験を行った。
下記の配列を有する2つのプローブオリゴヌクレオチドを、Invader(商標名)反応に利用した:プローブ34-180-1:(N-Cy3)TNH2TNH2CCAGAGCCTAATTTGCCAGT(N-フルオレセイン)A(ここで、NはCy3またはフルオレセイン基を含むスペーサーを表す)(配列番号77)およびプローブ34-180-2:5’-(N-TET)TTCCAGAGCCTAATTTGCCAGT-(N-フルオレセイン)A(ここで、NはTETまたはフルオレセイン基を含むスペーサーを表す)(配列番号78)。プローブ34-180-1は、2つの5’末端T残基にアミノ修飾基(amino-modifiers)を、5’末端にCy3標識を有しており、5’末端に余分な正電荷を持っている。プローブ34-180-2は5’末端にTET標識を有しており、余分な正電荷はない。プローブ34-180-1の3’末端のフルオレセイン標識によって、3’開裂産物および非開裂プローブはアクリルアミドゲル上を標準的な方向に流すことにより(すなわち、DNAを陽極の方に移動させることにより)いっしょに視覚化することができる。プローブ34-180-1の5’開裂産物は、正の実効電荷を有しており、非開裂プローブと同じ方向には移動しないので、ゲル上を反対方向に移動させて(すなわち、このDNAを陰極の方に移動させて)分離することにより視覚化される。
開裂反応は、下記のとおりに行った。全ての条件による反応を2個1対で行った。Pfu FEN-1ヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼの酵素混合物を作製した。それぞれ2μlのPfu FEN-1混合物は、100ngのPfu FEN-1(実施例28に記載したとおりに調製したもの)および7.5mMのMgCl2を含んでいた。それぞれ2μlのCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ混合物は、26.5ngのCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼおよび4.0mMのMnCl2を含んでいた。緩衝液、M13mp18およびInvader(商標名)オリゴヌクレオチドを含有する4個のマスター混合物を作製した。それぞれ7μlの混合物1は、5fmolのM13mp18、10pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド123(配列番号79)を加えた10mMのHEPES(pH 7.2)を含んでいた。それぞれ7μlの混合物2は、1fmolのM13mp18、10pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド123を加えた10mMのHEPES(pH 7.2)を含んでいた。それぞれ7μlの混合物3は、5fmolのM13mp18、10pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド123を加えた10mMのHEPES(pH 7.2)、250mMのKGluを含んでいた。それぞれ7μlの混合物4は、1fmolのM13mp18、10pmolのInvader(商標名)オリゴヌクレオチド123を加えた10mMのHEPES(pH 7.2)、250mMのKGluを含んでいた。各混合物7μlに対して、10pmolのプローブ34-180-1(配列番号77)またはプローブ34-180-2(配列番号78)を加えた。上記のDNA溶液を、10μlのChillOut(登録商標)蒸発遮断層でおおって、65℃に加熱した。混合物1〜2から調製した反応系を、2μlのPfu FEN-1混合物を加えることにより開始させ、混合物3〜4から調製した反応系を2μlのCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ混合物を加えることにより開始させた。65℃で30分加熱した後、10mMのEDTAを含む95%ホルムアミド8μlを加えることにより反応を終了させた。試料を90℃で1分間加熱した後すぐに、7M尿素を加えた、45mMトリスホウ酸塩(pH 8.3)、1.4mMのEDTAを含む緩衝液中で20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)による電気泳動を行い、そして45mMトリスホウ酸塩(pH 8.3)、1.4mM EDTAを含む緩衝液中で20%天然アクリルアミドゲル(29:1架橋)による電気泳動を行った。
電気泳動後、開裂反応産物を、日立FMBIO蛍光画像装置を用いて視覚化した。得られた像を図83に示す。図83Aは標準的な電気泳動方向に流した変性ゲルを示すものである。図83Bは逆の方向に流した天然ゲルを示すものである。Pfu FEN-1ヌクレアーゼとCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼによって産生された反応産物を、それぞれレーン1〜8と9〜16に示す。5fmolのM13mp18反応物から得られた産物と1fmolのM13mp18反応物から得られた産物を、レーン1〜4、9〜12(5fmol)と5〜8、13〜16(1fmol)に示す。プローブ34-180-1はレーン1〜2、5〜6、9〜10、13〜14であり、プローブ34-180-2はレーン3〜4、7〜8、11〜12、15〜16である。
全開裂反応から得られたフルオレセイン標識3’末端断片を、図83Aに示す(左に「3’」と示した)。3ヌクレオチド(nt)5’TET標識産物はこの図では見えないが、5’Cy3標識産物は図83Bに示す。
図83Aの3’末端バンドを用いて、種々の5’末端標識の存在下における種々の酵素による開裂速度を比較することができる。かかるバンドから、存在する標的核酸の量にかかわらず、Pfu FEN-1ヌクレアーゼおよびCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼは両方ともより多くの5’TET標識プローブ由来の産物を示すということがわかる。Pfu FEN-1ヌクレアーゼに関しては信号がわずか約25〜40%しか増加しないこの選択が適度である。しかしながら、Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼの場合、5’TET標識に対する強い選択性がある。したがって、電荷逆転方法を用いて産物を分離する場合、実質的な量の産物がCleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ触媒反応物から観察されるが、Pfu FEN-1ヌクレアーゼはCy3標識プローブの開裂に対して好ましい酵素である。
実施例33
Invader(商標名)指令開裂によるミスマッチの検出における普遍(universal)塩基の使用
「縮重塩基」という用語は、特定の塩基相補性、すなわち、AとT、およびGとCについての標準「ワトソン−クリック」様式で水素結合していないヌクレオチド上の塩基をいう。例えば、イノシン塩基は、天然塩基の全てと、1個または2個の水素結合を介して塩基対を形成することができるので(「ゆらぎ」効果)、縮重と呼ばれる。また、縮重塩基は全く塩基対を形成しなくてもよく、この型の塩基は、二重鎖のヌクレオチドと反対の方向に位置することができ、塩基対合による安定性に寄与することはできないが、その反対方向の塩基を詰め込むことにより積極的に不安定にするものではないので、「普遍」塩基と称されている。これらの普遍塩基を用いる二重鎖は、スタッキング相互作用によってのみ安定化される。普遍塩基の2つの例、3-ニトロピロールおよび5-ニトロインドールを図84に示す。ハイブリダイゼーションにおいて、ミスマッチ位置から3塩基に3-ニトロピロールを配置することにより1塩基ミスマッチの鑑別(differential)認識を高める。この高い識別力は、非天然塩基(すなわち、ミスマッチにきわめて接近した修飾Tm)の不安定化作用から生ずるようである。Invader(商標名)指令開裂アッセイを用いてミスマッチを高感度に検出する方法と同じ原理を試験するために、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドを、天然ミスマッチの存在下または不存在下で、図84に示した普遍塩基を用いて設計した。これらの実験において、ミスマッチ部位に隣接する単独のニトロピロール塩基またはニトロインドール塩基の対の使用が試験された。
これらのアッセイに用いられる標的、プローブおよびInvader(商標名)オリゴヌクレオチドを図85に示す。43ヌクレオチドオリゴヌクレオチド(オリゴ109、配列番号83)を標的として用いた。プローブオリゴヌクレオチド(オリゴ61、配列番号61)は、開裂により正の実効電荷を有する標識産物を放出する。図85において、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドを矢印のような標的オリゴヌクレオチドの上方に図示する。大きな矢じりは、Invader(商標名)オリゴと標的のミスマッチの位置を示すものである。標的オリゴヌクレオチドの下方に、完全に相補的な全天然(すなわち普遍塩基でないもの)Invader(商標名)オリゴ(オリゴ67、配列番号62)およびミスマッチ(「M」)の両側に普遍塩基(「X」)を含むInvader(商標名)オリゴ複合体を示す。下記のInvader(商標名)オリゴを用いた:単一ヌクレオチド(nt)ミスマッチを含むオリゴ114(配列番号86);2個の5-ニトロインドール塩基を含み、ミスマッチを含まないオリゴ115(配列番号87);2個の5-ニトロインドール塩基を含み、単一ヌクレオチド(nt)ミスマッチを含むオリゴ116(配列番号88);1個の3-ニトロピロール塩基を含み、ミスマッチを含まないオリゴ112(配列番号84);1個の5-ニトロピロール塩基を含み、単一ヌクレオチド(nt)ミスマッチを含むオリゴ113(配列番号85);および標的と完全に相補的であるオリゴ67(配列番号62)。
Invader(商標名)指令開裂反応を、1μMの適当な侵入性オリゴヌクレオチド(オリゴ67、112〜116)、10nM合成標的109、1μM Cy3標識プローブ61および2ユニットのCleavase(登録商標)DV(実施例27に記載したようにして調製)を含有する10μlの10mM MOPS(pH7.2)、100mM KCl中で行った。反応物をChillOut(登録商標)液体ワックスでおおって、適切な反応温度である52℃、55℃または58℃に加熱して、1μlの40mM MnCl2を加えることにより反応を開始させた。反応を1時間行って、ホルムアミド10μlを加えることにより反応を停止させた。各反応物の総容量の4分の1を20%未変性ポリアクリルアミドゲル上にローディングし、逆方向に電気泳動した。産物を、585nmフィルターを用いる日立FMBIO-100蛍光スキャナーを用いて視覚化した。得られた像を図86A〜Cに示す。各パネルにおいて、レーン1〜6には、それぞれInvader(商標名)オリゴ67、114、115、116、112および113を用いる反応により得られた反応産物が含まれる。52℃、55℃、および58℃にて行った反応を、それぞれパネルA、BおよびCに示す。
これらのデータから、2つの隣接5-ニトロインドールは、1つの3-ニトロピロール系または全天然塩基ハイブリダイゼーションよりも有意に大きな鑑別(differentiation)を示し、この感度の増大は温度依存性ではないということがわかる。このことは、普遍塩基の使用が、標的核酸と本発明の検出オリゴヌクレオチドの複合体との1塩基ミスマッチを高感度に検出するのに有用な手段であるということを証明するものである。
実施例35
ミニプローブを用いたヒトRasがん遺伝子における点突然変異の検出
本明細書では、非常に短いプローブを標的核酸配列の高感度検出に用いることができるということが示されている(実施例37)。本実施例においては、短プローブは標的とミスマッチする場合、かなり不十分にしか作用しないので、所与の核酸配列を、1塩基のみ異なる密接関係物(close relative)から区別するのに用いることができるということが示される。この系を試験するために、1つの位置で互いに異なっている、複数の合成ヒトrasがん遺伝子標的配列を作製した。オリゴヌクレオチド166(配列番号93)は、野生型ras標的配列を示すものである。オリゴヌクレオチド165(配列番号92)は、突然変異体ras標的配列を示すものである。これらのオリゴヌクレオチドの配列を図87に示すが、ras遺伝子のコドン13に対応する部位に配列変化部位が示されている。Invader(商標名)オリゴヌクレオチド(オリゴ162)は、配列:5’-GSCSTSCSASASGSGSCSACTCTTGCCTACGA-3’(配列番号90)(ここで、Sはチオール結合を示す){すなわち、これらは2’-デオキシヌクレオチド-5’-O-(1-チオモノホスフェート)である}を有する。ミニプローブ(オリゴ161)は、配列:5’-(N-Cy3)TNH2TNH2CACCAG-3’(配列番号89)を有し、突然変異体ras標的配列を検出するために設計される(すなわち、オリゴ165と完全に相補的である)。スタッカーオリゴヌクレオチド(オリゴ164)は、配列:5’-CSTSCSCSASASCSTSASCCACAAGTTTATATTCAG-3’(配列番号91)を有する。これらのオリゴヌクレオチドの開裂構造への構築を示す概略図を図76に示す。
各開裂反応物は、侵入性オリゴヌクレオチド(オリゴ162)およびスタッキングオリゴヌクレオチド(オリゴ164)を100nMずつ、10μMのCy3標識プローブ(オリゴ161)ならびに100pMのオリゴ165またはオリゴ166(標的DNA)を加えた10μlの10mM HEPES(pH7.2)、250mM KGlu、4mM MnCl2を含んでいた。DNA混合物を鉱油でおおって、90℃で15秒間加熱し、次いで反応温度の47℃、50℃、53℃または56℃にした。1μlの100ng/μl Pfu FEN-1を加えることにより反応を開始させた。反応を3時間行って、ホルムアミド10μlを加えることにより反応を停止させた。各反応物の総容量の4分の1を20%未変性ポリアクリルアミドゲルにローディングし、逆方向に電気泳動させた。ゲルを、585nmフィルターを備えた日立FMBIO-100蛍光スキャナーを用いてスキャンした。得られた像を図88に示す。
図88には、試験される各反応温度についての、突然変異体ras標的配列(オリゴ165)または野生型(オリゴ166)のどちらかを含む反応物から得られた産物を示す。
これらのデータは、ミニプローブを用いて1個のヌクレオチドが異なる配列間を高感度に識別することができることを示すものである。ミニプローブは、突然変異体標的配列の存在下では開裂されて強い信号を生じるが、野生型標的配列の存在下ではミニプローブはほとんどあるいは全く開裂されなかった。さらに、密接に関連した標的間の識別は、少なくとも10℃の温度範囲にわたって有効であり、選択がハイブリダイゼーション単独に基づく場合(例えばASOとのハイブリダイゼーション)に通常許容することができる温度範囲に比べて非常に広い温度範囲である。このことは、ミスマッチミニプローブと比較した場合に完全マッチミニプローブが好ましい基質である酵素が、識別における一つの因子であり得ることを示唆するものである。したがって、この系によって、標的核酸配列を高感度かつ特異的に検出することができる。
実施例36
モデルオリゴヌクレオチド構造の開裂部位における3’末端同一性の効果
上記の実施例で記載したように、構造特異的ヌクレアーゼは、分岐した二重鎖内の1本鎖領域と塩基対合領域との接続点付近を、通常、約1塩基対で塩基対合領域に開裂する。実施例11において、本発明のヌクレアーゼ(例えばCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼ、Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼ)を含む耐熱性5’ヌクレアーゼは、図30に示したように、対象の二重鎖の5’領域に相同な3’領域を有する上流オリゴヌクレオチドを有する場合、より大きな間隔で塩基対領域に開裂する能力を有する。また、インベーダーオリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドは標的核酸と塩基対合しなくてもよく、さらに対合する場合のように開裂を同じ間隔で下流二重鎖にシフトさせることも確認されている。本実施例においては、開裂をシフトさせるのに必要なのは、ヌクレオチドの塩基成分(糖またはリン酸基ではない)であることを示すものである。
図89AおよびBは、下記の配列:5’-GTTCTCTGCTCTCTGGTCGCTGTCTCGCTTGTGAAACAAGCGAGACAGCGTGGTCTCTCG-3’(配列番号40)からなり、それ自体が折り曲がるように設計されている合成オリゴヌクレオチドを示すものである。このオリゴヌクレオチドは、「S-60ヘアピン」という。このオリゴヌクレオチドにより形成された15塩基対ヘアピンは、そのループ末端の「トリループ」配列(すなわち、ヘアピンのループ部分由来の3ヌクレオチド)によってさらに安定化される(Hiraro. I.ら,(1994)Necleic Acids Res. 22(4):576)。図89Bは、P-15オリゴヌクレオチド(配列番号41)の配列と、P-15およびS-60ヘアピンオリゴヌクレオチドに共通の相補性領域の位置を示すものである。示されているP-15オリゴヌクレオチドに加えて、P-14オリゴヌクレオチド(配列番号122)(P-14は、P-15と比較して3’末端が1塩基短い)、非塩基性糖を有するP-14(P-14d、配列番号80)、ならびに3’リン酸基を持つ非塩基性糖を有するP-14(P-14dp、配列番号81)の存在下における開裂も試験した。3’リン酸基を有するP-15オリゴであるP-15p(配列番号82)も試験した。図89に示した黒い矢印は、P-15オリゴヌクレオチドの不存在下(上の構造;A)または存在下(下の構造;B)におけるS-60ヘアピンの開裂部位を示す。
S-60ヘアピン分子の5’末端を、その後の検出のためにフルオレセインで標識した。S-60ヘアピンを、耐熱性5’ヌクレアーゼの存在下、P-15オリゴヌクレオチドの存在下または不存在下でインキュベートした。S-60ヘアピンによって形成することができる完全二重鎖の存在は、プライマー非依存性様式(すなわち、P-15オリゴヌクレオチドの不存在下)でのCleavase(登録商標)BN 5’ヌクレアーゼによる開裂によって示される。S-60ヘアピン分子の5’末端からの18および19−ヌクレオチド断片の放出により、S-60ヘアピンの3’アームとハイブリダイゼーションするものがない場合、開裂は1本鎖領域と2本鎖領域との接続点付近に生じるということがわかった(図31、レーン2)。
図89Cに示された反応は、1mM MnCl2および50mM K-グルタメートを含む10μlの1X CFLP緩衝液中、0.02μMのS-60、0.5μMのInvader(商標名)オリゴヌクレオチドおよび0.01ng/μlのCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼの存在下で行った。反応物を40℃で5分間インキュベートして、停止緩衝液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.02%メチルバイオレット)8μlを加えることにより反応を停止させた。試料を75℃で2分間加熱した後すぐに、7M尿素を加えた45mMトリスホウ酸塩(pH8.3)、1.4mM EDTAの緩衝液を用いて15%アクリルアミドゲル(19:1架橋)による電気泳動を行った。次いで、ゲルを、505nmフィルターを備えたFMBIO-100画像アナライザー(日立)を用いて分析した。得られた像を図89Cに示す。
図89Cにおいて、レーン1には酵素を含まない対照から得られた産物が含まれ、レーン2にはInvader(商標名)オリゴの不存在下で行った反応により得られた産物が含まれ、レーン3〜6には、それぞれ、P-14d、P-14dp、P-15およびP-15p Invader(商標名)オリゴの存在下で行った反応により得られた産物が含まれる。図89Cに示されたデータから、P-15 Invader(商標名)オリゴヌクレオチドは、開裂部位のシフトを引き起こす一方、リボース(P14d)またはリン酸化リボース(P14dp)のどちらかを有するP14 Invader(商標名)オリゴヌクレオチドは、開裂部位のシフトを引き起こさなかったということがわかる。このことは、開裂のシフトを促進するためには、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドの15番目の残基が、結合された塩基基を有する必要があるということを示すものである。興味深いことに、P15オリゴヌクレオチドの3’末端にリン酸基を付加することにより、明らかに、開裂部位のシフトが逆転した。このレーンにおける開裂は、実際に、レーン2で観察されたようなInvader(商標名)オリゴヌクレオチドの不存在下における開裂であり得る。3’リン酸基を有する5’染料標識Invader(商標名)オリゴヌクレオチドを用いた実験において、これらのオリゴヌクレオチドはゲル移動を激しく遅延させたが、これは、反応物中の酵素またはその他の成分(例えばBSA)が開裂構造の残部とは関係なく3’リン酸基と結合することができることを示唆するものである。Invader(商標名)オリゴヌクレオチドが実際に開裂構造から隔離されている場合、得られるS-60ヘアピンの開裂は、「プライマー非依存性」様式で生じるので、シフトされない。
上記で引用した研究に加えて、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドの3’末端上のその他の置換基の効果を、いくつかの異なる酵素の存在下、およびMn++またはMg++の存在下で調べた。開裂産物の産生におけるこれらの3’末端修飾の効果を、下記の表にまとめる。合成出発残基として支持体上に付加された、表に記載の化学成分を有する調節細孔ガラス(controlled pore glass、CPG)合成カラムの使用による標準オリゴヌクレオチド合成中に、全ての修飾がなされた。これらの全CPG材料は、Glen Research社(スターリング(Sterling)、ヴァージニア州)から入手した。
図90に、これらの実験に用いた3’末端置換基の構造を示す。
Figure 0004362150
これらのデータから、多数の異なる修飾を、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドの3’末端上に傷つけることなく用いることができることがわかる。本発明の種々の実施態様において、このような3’末端修飾は、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性を遮断し、促進し、または変更するために(例えば、ミスマッチに対する識別力を高めるために、またはミスマッチの許容度を高めるために、またはInvader(商標名)オリゴヌクレオチドおよび標的核酸との結合を強化するために)用いることができる。いくつかの置換基を用いて、構築された複合体内の認識および開裂における酵素の挙動を変更し得る。
また、変更3’末端を用いて、鋳型依存性または鋳型非依存性核酸ポリメラーゼのどちらかによるInvader(商標名)オリゴヌクレオチドの伸長を妨げることも可能である。別の未修飾ジデオキシヌクレオチド(すなわち、結合染料またはその他の成分をもたないもの)の使用は、そのようなジデオキシヌクレオチドは開裂活性を低下させず、完全に伸長不能であるという理由から、特に好ましいInvader(商標名)オリゴヌクレオチド伸長遮断手段である。
実施例37
Invader(商標名)指令開裂によるミニプローブの開裂におけるプローブ濃度、温度およびスタッカーオリゴヌクレオチドの効果
開裂構造を形成するために使用されるスタッカーオリゴヌクレオチドは、ミニプローブを用いる核酸標的の検出において2つの目的を果たし得る。スタッカーオリゴヌクレオチドは、ミニプローブと標的核酸との相互作用の安定化を助け得るものであり、より多量に開裂プローブを蓄積させる。さらに、複合体中のかかるオリゴの存在により、開裂部位の二重鎖下流が伸長し、本発明の酵素のいくつかの開裂活性が高められ得る。異なる構造特異的ヌクレアーゼによる、かかる二重鎖の長さの異なる選択の例は、図76中の8bpおよび12bp二重鎖領域のCleavase(登録商標)BNヌクレアーゼとMja FEN-1ヌクレアーゼ開裂の比較において見られる。また、開裂構造に対する酵素の親和性が高くなると、一定の時間に行われる反応中の開裂プローブの蓄積が増大することになる。
また、標的に結合するミニプローブの量は、反応混合物中のミニプローブの濃度に影響される。ミニプローブがわずかにハイブリダイゼーションしそうな場合でさえ(例えば、反応が、プローブ/標的二重鎖の予想溶融温度を超える温度で行われる場合)、所与の時間での標的上のプローブの量は、高濃度のミニプローブを用いることによって増大させることができる。
ミニプローブの開裂を増大させることに対するスタッカーオリゴヌクレオチドの必要性を、低濃度のプローブおよび高濃度のプローブで調べた。反応は、侵入性オリゴヌクレオチド(オリゴ135、配列番号98)およびスタッキングオリゴヌクレオチド(オリゴ147、配列番号134)の両方を100nM、ならびに100pM ssM13 DNAを含有する、10μlの10mM HEPES(pH7.2)、250mM KGlu、4mM MnCl2中で行った。反応物を鉱油でおおって、90℃で15秒間加熱し、次いで反応温度にした。反応は、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃および65℃で行った。開裂反応は、1μlの100ng/μl Pfu FEN-1および1μlの種々の濃度のCy3標識142ミニプローブオリゴヌクレオチド(配列番号97)を加えることによって開始させた。反応を1時間行って、10μ1のホルムアルデヒドを加えることにより反応を停止させた。各反応物の総容量の4分の1を、20%未変性ポリアクリルアミドゲル上にローディングし、逆方向に電気泳動させた。ゲルを、585nmフィルターを用いる日立FMBIO-100蛍光スキャナーを使用して視覚化した。各産物バンドの蛍光を測定し、図91に示したグラフをマイクロソフトエクセル拡張シートを用いて作成した。
図91にまとめたデータから、ミニプローブの濃度は産物の最終測定に有意に影響を及ぼし、濃度が上昇すると劇的な増加を示すということがわかった。また、ミニプローブの濃度が上昇すると、最適反応温度も高い方へシフトした。ハイブリダイゼーションにおける相補鎖の濃度が、その相補鎖間で形成する二重鎖の見掛けのTmに影響することは当技術分野では公知である。本発明の方法および組成物にさらに有意なことは、スタッカーオリゴヌクレオチドの存在がプローブの全濃度でのミニプローブの開裂速度に絶大なる影響を及ぼすという事実である。各プローブ濃度において、スタッカーの存在により開裂産物からの信号が2倍になった。このことによって、スタッカーオリゴヌクレオチドを本明細書に記載したミニプローブとともに使用する有用性が証明された。
実施例38
Cleavase(登録商標)A/Gヌクレアーゼの開裂活性を減少させるInvader(商標名)オリゴヌクレオチド中のミスマッチの存在
どのような核酸検出アッセイにおいても、関連核酸間の小さな相違を高感度に検出するようにそのアッセイがなされ得る場合、付加的な利益がある。下記の実験においては、モデル標的核酸とのハイブリダイゼーションを行う場合、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドの3’末端付近にミスマッチが存在しまたは存在しないこと以外は同一であるモデル開裂基質を用いた。次いで、開裂プローブの蓄積における、かかる領域中のミスマッチの効果を評価した。
Cleavase(登録商標)A/GヌクレアーゼがInvader(商標名)アッセイにおいてプローブオリゴヌクレオチドを開裂する能力における、Invader(商標名)オリゴヌクレオチド中のミスマッチの存在の効果を示すために、下記の実験を行った。試験オリゴヌクレオチドIT-2(配列番号123)の開裂を、Invader(商標名)オリゴヌクレオチドIT-1(配列番号124)およびIT-1A4(配列番号125)の存在下で行った。オリゴヌクレオチドIT-1は、IT-2の3’アームと完全に相補的であり、一方、オリゴヌクレオチドIT-1A4は、3’末端から4番目の位置にT→A置換を有しており、Invader(商標名)標的二重鎖中にA/Aミスマッチを生じさせる。マッチおよびミスマッチInvader(商標名)オリゴヌクレオチドは、下記反応を行う温度でハイブリダイゼーションすると予想される。図92は、折り曲がったIT-2構造にアニーリングしたIT-1、および折り曲がったIT-2構造にアニーリングしたIT-1A4を示す図である。
反応は下記のとおりに行った。5’末端がフルオレセイン(Integrated DNA Technologies)で標識された試験オリゴヌクレオチドIT-2(0.1μM)を、Cleavase(登録商標)AGを0.26ng/μlで加えた、4mM MgCl2を含むCFLP(登録商標)緩衝液10μlとともに、1μM IT-1またはIT-1A4の存在下で、40℃にて10分間インキュベートした。酵素を含まない対照試験も行った。蒸発を防ぐために、試料を15μlのChill-Out(登録商標)液体ワックスでおおった。停止緩衝液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.02%メチルバイオレット)4μlを加えることにより、反応を停止させた。開裂産物を20%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離して、505nmフィルターを備えたFMBIO-100画像アナライザー(日立)で分析した。得られた像を図93に示す。
図93において、レーン1には酵素を含まない対照から得られた産物が含まれており、未開裂IT-2オリゴの移動が観察され;レーン2〜4には、それぞれ、Invader(商標名)オリゴを含まない反応、IT-1 Invader(商標名)オリゴを含む反応、およびIT-1A4 Invader(商標名)オリゴを含む反応から得られた産物が含まれている。
これらのデータから、ミスマッチがハイブリダイゼーションを破壊しないと予想される条件下においてさえ、ミスマッチの存在によって開裂が著しく低減するということがわかる。このことによって、開裂速度の低下からわかるように、インベーダーオリゴヌクレオチド結合領域は、ミスマッチ検出に用いることができる複合体内の領域の一つであるということが証明された。
実施例39
Invader(商標名)反応におけるPfu FEN-1ヌクレアーゼおよびMja FEN-1ヌクレアーゼの活性の比較
Invader(商標名)反応におけるPfu FEN-1ヌクレアーゼおよびMja FEN-1ヌクレアーゼの活性を比較するために、下記の実験を行った。Invader-標的ヘアピン構造を形成している試験オリゴヌクレオチドIT3(配列番号145)、および5’末端がフルオレセイン(Integrated DNA Technologies)で標識されたプローブオリゴヌクレオチドPR1(配列番号127)を、Pfu FEN-1ヌクレアーゼまたはMja FEN-1ヌクレアーゼのどちらかを用いるInvader(商標名)アッセイに使用した。
アッセイは、下記のとおりに行った。Pfu FEN-1(13ng/μl)およびMja FEN-1(10ng/μl)(実施例28に記載したようにして調製したもの)を、IT3(0.1nM)およびPR1(2および5μM)を加えた10μl CFLP(登録商標)緩衝液、4mM MgCl2、20mg/ml tRNAとともに、55℃にて41分間インキュベートした。蒸発を防ぐために、試料を15μlのChill-Out(登録商標)蒸発遮断層でおおった。停止緩衝液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.02%メチルバイオレット)70μlを加えることにより反応を停止させた。反応産物(1μl)を20%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離し、蛍光画像装置を用いて視覚化し、プローブおよび産物に対応するバンドを定量した。得られた像を図94に示す。図94において、回転速度(turnover rate)/標的/分を、プローブおよび試験した標的の各濃度における各ヌクレアーゼについての像の下に示す。
実施例33において、Invader(商標名)指令開裂反応においてPfu FEN-1構造特異的ヌクレアーゼを用いると、Cleavase(登録商標)A/Gを用いるよりも産物蓄積の速度が大きくなるということが示された。本実施例に示したデータにより、Mja FEN-1ヌクレアーゼをフルオレセイン標識プローブとともに使用すると、産生される産物の量が平均約50%増大することが証明され、Pfu FEN-1ヌクレアーゼに加えて、Mja FEN-1ヌクレアーゼは、本発明の方法による核酸標的の検出に対して好ましい構造特異的ヌクレアーゼであるということが証明された。
実施例40
ミニプローブおよびスタッカーオリゴヌクレオチドを用いたRNA標的核酸の検出
上述のM13 DNA標的物質の検出のほかに、実施例20に記載のHCV誘導RNA配列を検出するようにミニプローブ/スタッカー系を設計した。中程度の長さのプローブ、長い中間領域プローブ、または短い標準的プローブについても試験した。使用したミニプローブ(オリゴ42-168-1)は、配列5’-TET-CCGGTCGTCCTGG-3’(配列番号95)を有し、このミニプローブと併用したスタッカーオリゴヌクレオチド(オリゴ32-085)は、配列5’-CAATTCCGGTGTACTACCGGTTCC-3’(配列番号96)を有する。スタッカーと併用しない僅かに長いプローブ(オリゴ42-088)は、配列5’-TET-CCGGTCGTCCTGGCAA-3’(配列番号94)を有する。両方のプローブと併用したInvaderオリゴヌクレオチドは、配列5’-GTTTATCCAAGAAAGGACCCGGTC-3’(配列番号58)を有する。反応は、150mM LiCl、4mM MnCl2、それぞれ0.05%のTween-20およびNP-40、ならびに39ユニットのRNAsin(Promega)を、pH6.5の10mM MESに加えた緩衝液10μl中で、50fmoleの標的RNA、10pmoleのInvaderオリゴヌクレオチド、および5pmoleのミニプローブオリゴヌクレオチドを用いて行った。併用の場合は、10pmoleのスタッカーオリゴヌクレオチドを添加した。これらの成分を混ぜ、Chillout(登録商標)蒸発バリヤーで覆い、50℃まで加温し、5ポリメラーゼユニットのDNAPTthを添加することにより反応を開始し、最終反応容積を10μlとした。50℃で30分間経過させた後、8μlの95%ホルムアミド(10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレットを含む)を添加することにより反応を停止した。1分間で90℃までサンプルを加熱し、次に、45mMトリス-ボレート緩衝液(pH8.3、1.4mM EDTAを含む)中において7M尿素を含む20%変性ポリアクリルアミド(19:1架橋)を介して、電気泳動法により、これらの各反応物2.5μlを分離し、更に、FMBIO-100イメージアナライザー(Hitachi)を用いて、標識化された反応産物を可視化した。得られたイメージは図95に示されている。
図95において、レーン1および2は、Invaderオリゴヌクレオチドおよび長いプローブ(オリゴ42-088)を含む反応の産物を、それぞれ標的RNAが存在しない場合および存在する場合について示している。レーン3、4、および5は、Invaderオリゴヌクレオチドおよび短いプローブ(オリゴ42-168-1)を含む反応の産物を示している。レーン3は、標的RNAが存在しない対照反応であり、レーン4および5は、標的を有するが、それぞれスタッカーオリゴヌクレオチドが存在しない場合または存在する場合である。
これらの条件下では、スタッカーオリゴヌクレオチドの助けを借りずに、僅かに長い(16nt)プローブオリゴヌクレオチドが極めて容易に開裂された。これとは対照的に、短いプローブ(13nt)は、検出可能なレベルの開裂を行うためには、スタッカーオリゴヌクレオチドの存在が必要であった。これらのデータは、Invader指向性開裂により標的を検出するミニプローブ系が、同じようにRNAおよびDNA標的の検出に適用できることを示している。更に、スタッカーオリゴヌクレオチドの不存在下における長いプローブと短いプローブとの開裂性能の比較は、核酸標的の検出におけるミニプローブ/スタッカー系の性能と中間領域および長いプローブの性能との違いを示す1例を提供する。
実施例41
キメラ構造特異的なヌクレアーゼの構築
図70はFEN-1, XPG,およびRADタイプのヌクレアーゼのそれぞれ数種を含む構造特異的ヌクレアーゼ数種のアミノ酸配列のアライメントを示す。各配列の左側の数字はアミノ酸残基数を示す。これらのタンパク質相互間のアライメントを最大限に示すために、これらのタンパク質のうちのいくつかのアミノ酸配列の一部は、示していない。ダッシュ(-)はアライメントを最大とするために導入されたギャップを示す。このアライメントから、タンパク質が保存されているブロック毎におおよそ分けることができ、これはそのタンパク質の機能的な領域を示していることもわかる。本発明のキメラヌクレアーゼに関しての限定とすることを意図してはいないが、これらの保存されているブロックはこのようなキメラタンパク質の創製のための接合部位を選択するために用いうる。
Methanococcus JannaschiiのFEN-1タンパク質(MJAFEN1.PRO), Pyrococcus furiosus FEN-1タンパク質(PFUFEN1.PRO)を図70のアライメントに示している。これらの2種の天然型の遺伝子は、これらの親のヌクレアーゼのどちらとも異なる活性を有するキメラヌクレアーゼが創製されていることを示すために用いた。当業者に知られているとおり、適当な位置での制限開裂および連結も本発明のヌクレアーゼを創製するために適した方法である。2種の開裂構造、すなわち折り畳み構造(例えば図71を参照せよ)および侵入性構造(例えば図30を参照せよ)に対する親のヌクレアーゼの活性はそれぞれ図96Aおよび96Bに示すデータで表されている。これらの供試分子を実施例29eに記した方法で消化した。”1”と記したレーンはPfu FEN-1による開裂を示し、”2”と記したレーンはMaj FEN-1による開裂を示す。
本実施例ではキメラタンパク質の完全なコード配列を構築するためにPCRを用いた。この実施例は多くの可能な組み合わせのうちの1つの小さなサブセットである。あるヌクレアーゼの遺伝子の何らかの断片と、1つまたはそれ以上の他のヌクレアーゼの遺伝子断片とを組み合わせて本発明のキメラヌクレアーゼの実施例をさらに作ることが出来るようなプライマーをデザインすることも、当業界ではよく行われることである。本発明は活性試験法を含む方法を提供し、それによってここには記載していないいかなるキメラヌクレアーゼの活性でも測定し特徴付けることが可能である。従って、本発明はここに記載した試験方法などの方法で測定できるような、キメラヌクレアーゼとして要求される事項を満足するいかなるキメラヌクレアーゼもその範囲に含むことを意図するものである。
M. jannaschiiおよびP. furiosusの5’ヌクレアーゼ遺伝子からキメラヌクレアーゼを作るために、相同の部分を図97に示す外部および内部プライマーのセットを用いてPCRで増幅した。次のステップで、一方の遺伝子の5’部分ともう一方の遺伝子の3’部分を組換えPCRによってペアとなるように結びつけ、各組み合わせがそれぞれ異なる完全長のキメラ遺伝子を創り出すようにした。この結果できたコード領域をpTrc99Aベクターにクローン化し、キメラヌクレアーゼを産生するように発現させた。図97に示す各キメラ遺伝子個々の構築の詳細は下記に述べる。
a)M.jannaschiiのN末端部分およびP.furiosusのC末端部分をコドン84の位置で接合させたキメラ5’ヌクレアーゼの構築(図97g)
M.jannaschiiの5’ヌクレアーゼ遺伝子を含むpTrc99Aベクターの断片を、TrcFwdプライマー(配列番号135)および025-141-02プライマー(配列番号136)を各々5ピコモル(pmole)用い、50μlの反応液とし、AdvantageTM cDNA PCRキット(Clonetech)を用いて、30サイクル(92℃30秒間、55℃1分間、72℃1分間)のPCRで増幅し、N末端をコードする遺伝子断片(配列番号137)を作成した。P,furiosusの遺伝子を含むpTrc99Aの断片を、Trc Revプライマー(配列番号138)および025-141-01プライマー(配列番号139)を用いて増幅し、C末端をコードする遺伝子断片(配列番号140)を作成した。PCR産物をHigh Pure PCR Product Purificationキット(Boehringer Mannheim,ドイツ)を用いてキット製造者のプロトコールに従って精製し、100μlの水に溶出させた。
025-141-02プライマー(配列番号136)および025-141-01プライマー(配列番号139)は、お互いに相補的であるので、上記で作られたPCR断片は一方の末端に相補性に対応する領域を持つ。これらの断片を増幅反応において組み合わせて用いると相補性の領域はお互いにハイブリダイズする部分となり、DNAポリメラーゼで満たされ、次いで外部プライマーのペア、この場合はTrcFwd(配列番号135)およびTrcRev(配列番号138)を用いて増幅して一つの断片(配列番号141)を作成する。外部プライマーのそれぞれ5ピコモルを、上述のAdvantageTM cDNA PCRキット(Clonetech)を用いて50μlのPCR反応液中に加えた。キメラ部分をコードする領域(配列番号141の45-1067に位置する)を含む完全長のPCR産物(配列番号141)を1%アガロースゲルで標準的な手法を用いて分離し、Geneclean II Kit(Bio 101, Vista, CA)を用いて単離した。単離した断片をNco IおよびPst I制限酵素で切断しpTrc99Aベクター中にクローン化した。
b)P.furiosusのN末端部分およびM.jannaschiiのC末端部分をコドン84の位置で接合させたキメラ5’ヌクレアーゼの構築(図97f)
P.furiosusの5’ヌクレアーゼ遺伝子を含むpTrc99Aベクターの断片を、TrcFwdプライマー(配列番号135)および025-141-02プライマー(配列番号136)を各々5ピコモル用い、上述の方法に従って、PCRで増幅しN末端をコードする遺伝子断片(配列番号142)を作成した。M.jannaschiiの遺伝子を含むpTrc99Aベクターの断片を、Trc Revプライマー(配列番号138)および025-141-01プライマー(配列番号139)を用いて増幅し、C末端をコードする遺伝子断片(配列番号143)を作成した。断片を精製し、PCRで組み合わせ、上述のとおりキメラ遺伝子の全体(配列番号144の45-1025の位置)を含む一つの断片(配列番号144)を形成させた。このキメラ遺伝子をNcoIおよびPstIで切断しpTrc99Aベクター中に上述のa)のとおりクローン化した。
c) P.furiosusのN末端部分およびM.jannaschiiのC末端部分をコドン114の位置で接合させたキメラ5’ヌクレアーゼの構築(図97e)
pTrcPfuHisプラスミドの断片を、TrcFwdプライマー(配列番号135)および025-164-04プライマー(配列番号146)を各々5ピコモル用いて、上述のとおりPCRで増幅し、N末端をコードする遺伝子断片(配列番号145)を作成した。pTrcPfuHisプラスミドは、pTrc99-PFFFEN1(実施例28に記載)を、精製に都合の良いようにヒスチジンのテールを付加することにより修飾して構築した。このヒスチジンのテールを付加するために、6個のヒスチジン残基をコードする配列を、pTrc99-PFFFEN1の最後のアミノ酸のコドンをコードする領域と終止コドンとの間に挿入するために標準的なプライマー特異的変異誘発法を用いた。その結果出来たプラスミドをpTrcPfuHisと名付けた。
pTrcMjaHisプラスミドの断片を増幅しC末端をコードする遺伝子の断片(配列番号147)を産生させるために、159-006-01プライマー(配列番号148)および025-164-07プライマー(配列番号149)を、上記a)に記載のとおり用いた。pTrcMjaHisプラスミドはpTrc99-MJFEN1(実施例28に記載)に、精製に都合の良いようにヒスチジンのテールを付加することにより修飾して構築した。このヒスチジンのテールを付加するためには、6個のヒスチジン残基をコードする配列を、pTrc99-MJFEN1の最後のアミノ酸のコドンをコードする領域と終止コドンとの間に挿入するために標準的なPCR変異誘発法を用いた。その結果出来たプラスミドをpTrcMjaHisと名付けた。断片を精製し、TrcFwdプライマー(配列番号135)および159-006-01プライマー(配列番号148)を用いてPCRで増幅することによって組み合わせ、キメラ遺伝子(45-1043の位置)を含む一つの断片(配列番号150)とした。このキメラ遺伝子をNcoIおよびPstIで切断し、pTrc99Aベクター中に上述のa)に記載のとおりクローン化した。
d)M.jannaschiiのN末端部分およびP.furiosusのC末端部分をコドン148の位置で接合させたキメラ5’ヌクレアーゼの構築(図97d)
TrcFwdプライマー(配列番号135)および025-119-05プライマー(配列番号152)を用いて、M.jannaschiiの5’ヌクレアーゼ遺伝子を持つpTrc99Aベクターの断片を上述のとおりPCRで増幅し、N末端をコードする遺伝子断片(配列番号151)を作成した。TrcRevプライマー(配列番号138)および025-119-04プライマー(配列番号154)を用いて、P.furiosus遺伝子を持つpTrc99Aベクターの断片を増幅し、C末端をコードする遺伝子断片(配列番号153)を作成した。断片を上述のとおり精製し、TrcFwdプライマー(配列番号135)およびTrcRevプライマー(配列番号138)を用いてPCRで増幅することによって組み合わせ、キメラ遺伝子(45-1067の位置)を含む一つの断片(配列番号155)とした。このキメラ遺伝子をNcoIおよびPstIで切断し、pTrc99Aベクター中に上述のa)に記載のとおりクローン化した。
e)P.furiosusのN末端部分およびM.jannaschiiのC末端部分をコドン148の位置で接合させたキメラ5’ヌクレアーゼの構築(図97c)
pTrcPfuHisプラスミドの断片を、TrcFwdプライマー(配列番号135)および025-119-05プライマー(配列番号152)を用いて上述のとおりPCRで増幅し、N末端をコードする遺伝子断片(配列番号156)を作成した。pTrcMjaHisプラスミドの断片を増幅し、C末端をコードする遺伝子の断片(配列番号157)を産生させるために、TrcRevプライマー(配列番号138)および025-119-04プライマー(配列番号154)を用いた。断片を上述のとおり精製し、TrcFwdプライマー(配列番号135)およびTrcRevプライマー(配列番号138)を用いてPCRで増幅することによって組み合わせ、キメラ遺伝子(45-1025の位置)を含む一つの断片(配列番号158)とした。このキメラ遺伝子をNcoIおよびPstIで切断し、pTrc99Aベクター中に上述のa)に記載のとおりクローン化した。
f)キメラの発現と精製
上記のキメラ酵素のうち、P.furiosus-M.jannaschii構築物で接合ポイントがコドン114であるもの(すなわち実施例41c)を除く全てのものは、TaqDNについて述べた方法で精製した。ヒスチジンをタグしたP.furiosus-M.jannaschiiコドン114キメラは、Taq PolIの5’ヌクレアーゼドメインBNについて述べた方法で精製した。
g)天然型およびキメラ構造特異的ヌクレアーゼの活性の特徴づけ
上記によって作成されたキメラ酵素全ての特徴を調べた。ある一つのアッセイにおいては、実施例29eで述べたアッセイ系を用い長短のヘアピン基質の混合物を用いて調べた。
これらの試験では、各酵素の50ngを用い、2分間50℃で反応させた。分析結果は図98Aに示す。この図では、図98Aで”1”および”2”と記したレーンはそれぞれPfuおよびMajの親の酵素との反応性を示す。切断されていない残存ヘアピン分子は各レーンの最上部の2つのバンドとして認められる。試験した各キメラ酵素は図97を参照することにより示される。例えば、「97f」と記したレーンはP.furiosusのN末端およびM.jannaschiiのC末端をコドン84で接合させたキメラ5’ヌクレアーゼによる供試分子の開裂を示している。各レーンの下部には各種の開裂産物が認められる。これらのデータはキメラヌクレアーゼが、どちらかの親と同様の(例えば97cおよび親のPfu FEN-1はこの試験ではほとんど開裂活性を示さない)、あるいはどちらの親とも別の(すなわち、産物の特徴が異なる)開裂活性(すなわち基質特異性)を持ちうることを示している。
同様にして、これらのキメラ酵素について侵入性開裂活性を、図30に示すS-60構造物およびP15オリゴヌクレオチドを用いて実施例11に述べた方法で調べた。結果は図98Bに示す。非開裂の標識P15オリゴヌクレオチドは各レーンの上部に現れるが、開裂を受けた標識産物は下部に現れる。
これらの結果は、キメラ酵素はオリジナルの(すなわち野生型の)M.jannaschiiおよびP.furiosus 5’ヌクレアーゼとは活性および特異性が異なることを示している。
実施例42
キメラヌクレアーゼを用いた折り畳み開裂構造物の消化の比較
大腸菌の16S rRNA遺伝子に由来するPCRで増幅したセグメントをCFLPTM分析した。細菌の16S rRNA遺伝子は系統樹を通じて変化してはいるが、これらの遺伝子には種、属、界のレベルで保存されているセグメントがある。これらの特徴によって、変化している領域の隣りに位置するコンセンサス配列を含むプライマーを作り出すことができた。原核生物ではリボソームRNA遺伝子は2から10コピー、大腸菌株中では平均7コピー存在している。いかなるPCR増幅もこれらの遺伝子の混合されたものを作り出し、本質的には、その株からの“multiplex”PCRとなる。CFLPTM分析の結果は、その生命体の内部のわずかに変化したrRNA遺伝子の複合したパターンを示しているので、ある一つの特定のrRNAが「バーコード」全体に直接的な責任があるわけではない。下記のアンプリコン(amplicon)の代表的な例として大腸菌16S E.coli rrsE遺伝子が提供されている(配列番号165)。これらの遺伝子が可変性であるにも関わらず、PCRによる増幅をrRNAの保存されている領域間で行うことができるので、調べようとしているいかなる微生物であっても、前もってそのrRNA配列の全てについての知識を持っておくことは不必要である(Browら,J. Clin. Microbiol., 34:3129[1996]を参照せよ)。
本実施例では、1638プライマー(5’-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3’)(配列番号174)/TET-1659プライマー(5’-CTGCTGCCTCCCGTAGGAGT-3’)(配列番号175)のペアを、大腸菌O-157:H7(ATCC #43895)に由来するゲノムDNAから得たrrs Eの約350bpの断片を増幅するために用いた。PCR反応液は、100μlの容量中に、10mMのTris-HCl(25℃でpH8.3), 50mM KCl, 1.5mM MgCl2, 0.001% w/vゼラチン,各60μMずつのdGTP, dATP, dTTP,およびdCTP,各プライマーを1μMずつ, 25ngゲノムDNA,および2.5ユニットのAmpliTaq DNAポリメラーゼ, LDを含有する。DNAポリメラーゼ調製物中に含まれる夾雑物によって産生される16S rRNA産物の量を調べるため、細菌のゲノムDNAを含まない対照の反応液も反応させた。反応は、95℃30秒間;60℃1分間;72℃30秒間で30サイクル行い、最終サイクル後、試験管を4℃に冷却した。
温度サイクルをかけた後、PCR混合物を大腸菌のエキソヌクレアーゼI(ExoI, Amersham)で処理して1本鎖の部分アンプリコンおよびプライマーを除去した。1ユニットのExoIを直接各PCR混合物に添加し、サンプルを37℃20分間インキュベートした。次いで、そのヌクレアーゼを70℃15分加熱することにより不活化した。反応混液を2MのNH4OAcに加え、100%エタノールを等量加えてDNAを沈殿させた。
1X CFLPTM バッファー(10mM MOPS, pH7.5; Tween 20とNP-40をそれぞれ0.5%)および0.2mM MnCl2を含有し総量10μlとしたものの中に1μlのTET標識PCR産物(約100フェムトモル(fmole))を含むものを開裂反応液とした。酵素以外の成分を合計で9μlとなるようにした。反応は、95℃15分間加熱し、55℃に冷却し、開裂反応は50ngの酵素を添加することにより開始させた。55℃で2分間反応させた後、95%ホルムアミド, 10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレットを含む溶液6μlを添加することにより反応を停止させた。
反応混液を85℃で2分間加熱し、次いで45mM Tris-ホウ酸塩, pH8.3, 1.4mM EDTAのバッファー中に7M尿素を加えたものを用いて10%変性ポリアクリルアミドゲル(19:1クロスリンク)で電気泳動して分解し、FMBIO-100 Image Analyzer(Hitachi)を用いて可視化した。スキャンイメージの結果を図99に示す。この図では各消化に用いた酵素は各レーンの最上部に示されている。Cleavase▲R▼ BNについては実施例2で述べた。レーン2はMja FEN-1の親のヌクレアーゼによる消化の結果を示しているが、一方キメラヌクレアーゼによる消化は図97のダイアグラムを参照することにより示されている。これらのデータは、これらのヌクレアーゼ各々を同一の反応条件下で用いると(すなわちDNAが類似の折り畳み構造を取るものと思われる条件)、全く別のパターンを生じ、このことはこれらの酵素の特異性の相異を示している。従って、各酵素は、対象の核酸による折り畳み構造に関する別の情報をも提供でき、それによって同定、遺伝子型の決定、および/または変異の検出のための、分子同士のより正確な比較が可能となる。
これらのデータは、これらの酵素の活性が、類似の反応状況下において実質的に変化し得ることを示している。未知の酵素のための最適化パネルを用いることが、所定の用法に対しての最適の酵素と条件を選択することの助けとなる。例えば、侵入性開裂反応においては、ヌクレアーゼと侵入性開裂の条件とを組み合わせて選択することが望ましいことがしばしばあるが、その組み合わせはインベーダーオリゴヌクレオチドがなければ活性を示さない(すなわちヘアピンタイプの基質を切断しない)。最適化パネルは、例えばMgCl2含有溶液中でのPfu FEN-1酵素の使用などのヘアピン開裂に好ましくない条件を選ぶことができる。逆に言えば、ヘアピン開裂はCFLPタイプの開裂には望ましく、この活性の強度に従って反応条件をスクリーンすることが考えられる。
実施例43
構造特異的ヌクレアーゼの能力の特徴づけ
7種の酵素、Afu, Pfu, MthおよびMja FEN-1s, Cleavase▲R▼ BN, Taq DNならびにTth DNの最適条件を求めるために2種の基質を用いた。図107パネルAに示すとおり、基質25-65-1(5’-フルオレセイン-TTTTCGCTGTCTCGCTGAAAGCGAGACAGCGTTT-3’;配列番号176)は5’アームを有するステムループ構造であり、5’アームの5’末端はフルオレセインで標識されている。図107パネルBに示すとおり、基質25-184-5(インベーダー様の“IT”試験用基質)(5’-フルオレセイン-TTTTCGCTGTCTCGCTGAAAGCGAGACAGCGAAAGACGCTCGTGAAACGAGCGTCTTTG-3’;配列番号177)はフルオレセインで標識した5’アームの近傍に上流プライマーを持つ基質であり、これはインベーダーオリゴヌクレオチドおよび標的(“IT”)の擬似体である。標準的な反応液は2μMの標識基質,10mM MOPS, pH7.5, 0.05% TWEEN 20, 0.05% NP-40, 20μg/ml tRNA(Sigma, #R-5636)ならびに2mM MgCl2もしくは2mM MnCl2を含む。酵素および2価の陽イオンを加えずに10μlの反応液を90℃で15秒間加熱し、その後、反応液を室温まで冷却し、酵素を添加した。反応液を50℃で20秒間加熱し、2価の陽イオンを添加して反応を開始させた。インキュベーション時間は1分から1時間まで特定の酵素/基質の組み合わせに応じて変えた。反応時間は25%未満の基質がインキュベーション中に開裂されるように調節した。10μlの95%ホルムアミド, 20mM EDTA,メチルバイオレットを添加して反応を停止させた。各反応液の1μlを、20%変性アクリルアミドゲル上で電気泳動させ、FMBIO 100スキャナー(Hitachi)でスキャンした。
2価の陽イオンの濃度は、その他の条件は標準に保った上で、MgCl2もしくはMnCl2を0.25mMから7mMに変化させた。塩濃度はその他の条件は標準に保った上で、KClを0mMから200mMもしくは塩耐性の酵素では400mMに変化させた。温度条件を変化させる実験は、Cleavase▲R▼ BNおよびFEN-1酵素での反応液中に50mM KClならびに4mM MgCl2もしくはMnCl2を含有させて行った。Taq DNおよびTth DNでの温度条件を変える実験は200mM KClならびに4mM MgCl2もしくはMnCl2を反応液中に含有させて行った。温度は40℃から85℃まで、用いた特定の酵素によって5または10度の増加幅で変化させた。
結果は図100-106に示す。図100はCleavase▲R▼ BNの結果を示し、図101はTaq DNの結果、図102はTth DNの結果、図103はPfu FEN-1の結果、図104はMja FEN-1の結果、図105はAfu FEN-1の結果、図106はMth FEN-1の結果を示す。これらの図の中の各パネルでは酵素活性は1分あたりの酵素分子あたりの開裂で定義されている。“IT”と記したパネルは25-184-5構造(配列番号177;図107B)の開裂を示し、それはインベーダーオリゴ/標的DNA構造に似せたものであり、“hairpin”と記したパネルは25-65-1構造(配列番号176;図107A)の開裂を示し、それは折り畳み開裂構造に対する活性を示す。
これらの図の各々で、パネルAは本文中に述べたとおり2mM MgCl2およびIT基質を含みKClの濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルBは本文中に述べたとおり2mM MnCl2およびIT基質を含みKClの濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルCは本文中に述べたとおり2mM MgCl2およびヘアピン基質を含みKClの濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルDは本文中に述べたとおり2mM MnCl2およびヘアピン基質を含みKClの濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルEは本文中に述べたとおりIT基質を含みMgCl2の濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルFは本文中に述べたとおりIT基質を含みMnCl2の濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルGは本文中に述べたとおりヘアピン基質を含みMgCl2の濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルHは本文中に述べたとおりヘアピン基質を含みMnCl2の濃度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルIは本文中に述べたとおりIT基質, 4mM MgCl2,および50mM KCl(Afu FEN-1, Pfu FEN-1, Mja FEN-1, Mth FEN-1およびCleavase▲R▼ BN)もしくは200mM KCl(Taq DNおよびTth DN)を含み、温度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示し;パネルJは本文中に述べたとおりIT基質, 4mM MnCl2,および50mM KCl(Afu FEN-1, Pfu FEN-1, Mja FEN-1, Mth FEN-1およびCleavase▲R▼ BN)もしくは200mM KCl(Taq DNおよびTth DN)を含み温度を記載のとおり変化させた反応液の結果を示す。これらの図のうちのいくつか(例えば101,102,103,および105)は上記のパネルA-Jの各々を示してはいないことに注意すべきである。
上記から、本発明が核酸配列および核酸配列の変異を検出し特徴づけることができる試薬と方法を提供することは明らかである。本発明のインベーダーTM-特異的(InvaderTM-directed)開裂反応は、直接検出アッセイの利点(例えば定量が容易でコンタミネーションを持ち込むことの危険性が最小限である)と、2重あるいは3重オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイによって得られる特異性とを併せ持つ理想的な直接的検出法を提供する。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:2506塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:2
配列の長さ:2496塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:3
配列の長さ:2504塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:4
配列の長さ:832アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:5
配列の長さ:831アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:6
配列の長さ:834アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:7
配列の長さ:2502塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:8
配列の長さ:833アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:不明
配列の種類:ペプチド
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:9
配列の長さ:1647塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:10
配列の長さ:2088塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:11
配列の長さ:962塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:12
配列の長さ:1600塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:13
配列の長さ:36塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:14
配列の長さ:34塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:15
配列の長さ:91塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:16
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:17
配列の長さ:27塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:18
配列の長さ:31塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:19
配列の長さ:42塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:20
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:21
配列の長さ:2502塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:22
配列の長さ:19塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:23
配列の長さ:72塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:24
配列の長さ:70塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:25
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:26
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:27
配列の長さ:46塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:28
配列の長さ:50塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:29
配列の長さ:15アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:不明
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:30
配列の長さ:969塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:31
配列の長さ:948塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:32
配列の長さ:206塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:33
配列の長さ:43塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:34
配列の長さ:19塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:35
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:36
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:37
配列の長さ:43塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:38
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:39
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:40
配列の長さ:60塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:41
配列の長さ:15塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:42
配列の長さ:52塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:43
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:44
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:45
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:46
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:47
配列の長さ:42塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:48
配列の長さ:42塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:49
配列の長さ:27塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:8
特徴を決定した方法:実験による
他の情報:証拠=実験による
mod_base=その他
注=「この位置のA残基は2’-O-メチルアデノシンである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:50
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:51
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:52
配列の長さ:19塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:53
配列の長さ:19塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:54
配列の長さ:19塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:55
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:56
配列の長さ:337塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:対応無し
トポロジー:対応無し
配列の種類:RNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:57
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_feature
存在位置:18
特徴を決定した方法:実験による
他の情報:証拠=実験による
注=「この位置のNは非塩基性(abasic)リンカー上のフルオレセイン色素の存在を示す」
配列
Figure 0004362150
配列番号:58
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:59
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:60
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:61
配列の長さ:22塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:1..2
特徴を決定した方法:実験による
他の情報:証拠=実験による
mod_base=その他
注=「1番目および2番目のT残基はアミノ修飾T残基である」
配列
Figure 0004362150
配列番号:62
配列の長さ:22塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:63
配列の長さ:53塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:64
配列の長さ:31塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:65
配列の長さ:42塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:66
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:67
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:68
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:69
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:70
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:24
他の情報:mod_base=その他
注=「この位置の残基はジデオキシシチジンである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:71
配列の長さ:28塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(27,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はCy3アミダイト基を担持するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:28
他の情報:mod_base=その他
注=「この位置の残基はジデオキシシチジンである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:72
配列の長さ:29塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はフルオレセイン標識を含有するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(28,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はCy3アミダイト基を担持するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:29
他の情報:mod_base=その他
注=「この位置の残基はジデオキシシチジンである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:73
配列の長さ:27塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はフルオレセイン標識を含有するスペーサーである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:74
配列の長さ:29塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はCy3アミダイト基を担持するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(28,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はビオチン基を担持するスペーサーである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:75
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:76
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:77
配列の長さ:25塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はCy3アミダイト基を担持するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:2..3
他の情報:mod_base=その他
注=「これらの位置の残基は付加されたアミノ基を有する」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(24,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はフルオレセイン標識を含有するスペーサーである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:78
配列の長さ:24塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:1
他の情報:mod_base=その他
注=「この位置の残基は5’TET標識を有する」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(23,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はフルオレセイン標識を含有するスペーサーである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:79
配列の長さ:25塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:80
配列の長さ:14塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(14,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は非塩基性(abasic)リボースを含有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:81
配列の長さ:14塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(14,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は3’リン酸基を有する非塩基性(abasic)リボースを含有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:82
配列の長さ:15塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(15,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は3’リン酸基を含有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:83
配列の長さ:43塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:84
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(16,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は3−ニトロピロールである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:85
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(16,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は3−ニトロピロール基である」
配列
Figure 0004362150
配列番号:86
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:87
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(10,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は、5−ニトロインドールである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(16,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は5−ニトロインドールである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:88
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(10,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は5−ニトロインドールである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(16,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は5−ニトロインドールである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:89
配列の長さ:9塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はCy3アミダイト標識を担持するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:2..3
他の情報:mod_base=その他
注=「これらの位置の残基は付加されたアミノ基を有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:90
配列の長さ:23塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシグアノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(2,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(4,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(5..6,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(7..8,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシグアノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:91
配列の長さ:27塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(2,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3..4,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(5..6,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(7,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(8,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:92
配列の長さ:56塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(2,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシグアノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(4..5,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(6,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(7,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(8,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9..10,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:93
配列の長さ:56塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(2,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシグアノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(4..5,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(6,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(7,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(8,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9..10,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:94
配列の長さ:16塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はTET標識を有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:95
配列の長さ:13塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はTET標識を有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:96
配列の長さ:25塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:97
配列の長さ:9塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基はCy3アミダイト標識を担持するスペーサーである」
配列の特徴
特徴を表す記号:modified_base
存在位置:2..3
他の情報:mod_base=その他
注=「これらの位置の残基は付加されたアミノ基を有する」
配列
Figure 0004362150
配列番号:98
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシグアノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(2,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3..4,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(5,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(6,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(7..8,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(10,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:99
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1..2,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(4..5,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシアデノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(6..8,「」)
他の情報:注=「これらの位置の残基は2’デオキシチミジン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシグアノシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(10,「」)
他の情報:注=「この位置の残基は2’デオキシシトシン5’-O-(1-チオモノホスフェートである」
配列
Figure 0004362150
配列番号:100
配列の長さ:42塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:101
配列の長さ:963塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..960
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:102
配列の長さ:320アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:103
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:104
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:105
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:106
配列の長さ:2505塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..2499
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:107
配列の長さ:833アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:108
配列の長さ:25塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:109
配列の長さ:27塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:110
配列の長さ:981塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..978
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:111
配列の長さ:326アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:112
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:113
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:114
配列の長さ:1023塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..1020
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:115
配列の長さ:340アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:116
配列の長さ:25塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:117
配列の長さ:37塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:118
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:119
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:120
配列の長さ:33塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:121
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:122
配列の長さ:14塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:123
配列の長さ:44塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:124
配列の長さ:14塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:125
配列の長さ:14塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:126
配列の長さ:50塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:127
配列の長さ:17塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:128
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:129
配列の長さ:2505塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..2499
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:130
配列の長さ:833アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:131
配列の長さ:2505塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..2499
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:132
配列の長さ:833アミノ酸
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:133
配列の長さ:30塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:134
配列の長さ:31塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(1..2,「」)
他の情報:note=「これらの位置の残基は2’−デオキシシトシン5’−O−(1−チオモノホスフェート)である」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(3,「」)
他の情報:note=「この位置の残基は2’−デオキシチミジン5’−O−(1−チオモノホスフェート)である」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(4..5,「」)
他の情報:note=「これらの位置の残基は2’−デオキシアデノシン5’−O−(1−チオモノホスフェート)である」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(6..8,「」)
他の情報:note=「これらの位置の残基は2’−デオキシチミジン5’−O−(1−チオモノホスフェート)である」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(9,「」)
他の情報:note=「この位置の残基は2’−デオキシグアノシン5’−O−(1−チオモノホスフェート)である」
配列の特徴
特徴を表す記号:misc_difference
存在位置:置換(10,「」)
他の情報:note=「この位置の残基は2’−デオキシシトシン5’−O−(1−チオモノホスフェート)である」
配列
Figure 0004362150
配列番号:135
配列の長さ:17塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:136
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:137
配列の長さ:296塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:138
配列の長さ:17塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:139
配列の長さ:21塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:140
配列の長さ:889塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:141
配列の長さ:1164塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:142
配列の長さ:296塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
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説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:143
配列の長さ:840塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:144
配列の長さ:1115塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:145
配列の長さ:386塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:146
配列の長さ:33塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:147
配列の長さ:668塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:148
配列の長さ:53塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:149
配列の長さ:17塩基対
配列の型:核酸
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配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:150
配列の長さ:1054塩基対
配列の型:核酸
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配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:151
配列の長さ:514塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:152
配列の長さ:17塩基対
配列の型:核酸
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トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:153
配列の長さ:667塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:154
配列の長さ:17塩基対
配列の型:核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:155
配列の長さ:1164塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:156
配列の長さ:514塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:157
配列の長さ:618塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:158
配列の長さ:1115塩基対
配列の型:核酸
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配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:159
配列の長さ:2505塩基対
配列の型:核酸
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トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:160
配列の長さ:834アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:161
配列の長さ:2511塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
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配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:162
配列の長さ:836アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:163
配列の長さ:2511塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
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配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:164
配列の長さ:836アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:165
配列の長さ:350塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:166
配列の長さ:28塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
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配列
Figure 0004362150
配列番号:167
配列の長さ:30塩基対
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配列
Figure 0004362150
配列番号:168
配列の長さ:23塩基対
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鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:169
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:170
配列の長さ:26塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:171
配列の長さ:31塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
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配列
Figure 0004362150
配列番号:172
配列の長さ:28塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:173
配列の長さ:22塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:174
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
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配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:175
配列の長さ:20塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:176
配列の長さ:34塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
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配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:177
配列の長さ:59塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
説明:desc=「DNA」
配列
Figure 0004362150
配列番号:178
配列の長さ:1011塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:179
配列の長さ:336アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:180
配列の長さ:777塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(genomic)
配列
Figure 0004362150
配列番号:181
配列の長さ:258アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:182
配列の長さ:987塩基対
配列の型:核酸
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トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:183
配列の長さ:328アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:184
配列の長さ:340アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
Figure 0004362150
配列番号:185
配列の長さ:326アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:186
配列の長さ:332アミノ酸
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配列
Figure 0004362150
配列番号:187
配列の長さ:340アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150
配列番号:188
配列の長さ:326アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:関係なし
トポロジー:関係なし
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0004362150

Claims (10)

  1. 配列番号179で表されるアミノ酸配列を含む精製された耐熱性構造特異的ヌクレアーゼ。
  2. 配列番号178で表されるDNA配列を含む単離された核酸。
  3. 配列番号178で表されるヌクレオチド配列、又は配列番号178に1若しくは数個の欠失を有するヌクレオチド配列であって構造特異的ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含むDNAを含有する組換えDNAベクター。
  4. 請求項3に記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
  5. 前記宿主細胞が大腸菌(Escherichia coli)細胞である、請求項4に記載の宿主細胞。
  6. 核酸を処理する方法であって、
    a)i)配列番号179で表されるアミノ酸配列を含む精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼ、およびii)イ)プローブ オリゴヌクレオチド及び標的核酸の間で形成される二本鎖(デュプレックス)を含む開裂構造体、又はロ)二次構造の領域を含む一本鎖の核酸基質を含む開裂構造体から選ばれる核酸開裂構造体、を用意し、
    b)前記エンドヌクレアーゼを前記開裂構造体と反応させて1以上の開裂産物を生成させる、ことを含んでなる方法。
  7. 核酸処理キットであって、a)配列番号179で表されるアミノ酸配列を含む精製されたFEN-1エンドヌクレアーゼ又は配列番号179で表される配列に1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を含み、5’ヌクレアーゼ活性を有するFEN-1エンドヌクレアーゼを含む組成物、およびb)緩衝溶液、を含んでなるキット。
  8. FEN-1エンドヌクレアーゼ及び耐熱性DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼからなる群から選ばれる第2の構造特異的ヌクレアーゼをさらに含む、請求項に記載のキット。
  9. 前記耐熱性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列が野生型DNAポリメラーゼに比較し欠失、置換、又は付加を含み、該耐熱性DNAポリメラーゼはDNA合成活性を欠失している、請求項に記載のキット。
  10. 前記開裂産物を検出する試薬をさらに含む、請求項に記載のキット。
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