JP4360138B2 - 無人車の走行制御方法及び無人車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無人車の走行制御方法及び無人車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無人フォークリフトは、床面に縦横に敷設された磁気棒等の誘導線に沿って走行し、荷取場所の荷をフォークに載置して荷置場所まで搬送する荷役作業を無人で行う。この種の無人フォークリフトは、車両の前後にガイドセンサが備えられ、そのガイドセンサにて誘導線と無人フォークリフトの中心とのずれ量を測定する。そして、その測定したずれ量に基づいてステアリングの角度を、誘導線と無人フォークリフトの中心とが一致するように制御することによって、無人フォークリフトを誘導線に沿って走行させるようにしている。この種の無人フォークリフトは、一般に、ずれ量が大きい場合、ステアリングの角度が大きくなり、無人フォークリフトの中心を誘導線に沿って走行させるまでの間、無人フォークリフトは大きく蛇行走行していた。
【0003】
無人フォークリフトの走行には、図9(a)〜(c)に示すスイッチバック走行がある。スイッチバック走行は、カーブの誘導線L1に沿って走行(後進走行)する無人フォークリフト61を直線の誘導線L2にのせたのち、一旦直線の誘導線L2で停止させる。そして、無人フォークリフト61を直線の誘導線L2に沿って走行(前進走行)させることによって、無人フォークリフト61をカーブの誘導線L1から直線の誘導線L2に移し、走行方向を変更する走行である。
【0004】
ところで、このスイッチバック走行において、無人フォークリフト61がカーブの誘導線L1から直線の誘導線L2に基づく走行制御に移る直前では、無人フォークリフト61の中心と直線の誘導線L2とのずれ量は非常に大きい。従って、無人フォークリフト61がカーブの誘導線L1から直線の誘導線L2に移る場合、無人フォークリフト61の中心と直線の誘導線L2とが一致するまで、かなりの距離で直線の誘導線L2に沿って無人フォークリフト61を走行(後進走行)させる必要があった。
【0005】
しかしながら、例えば、カーブの誘導線L1と直線の誘導線L2とが重なる近くに荷取場所や荷置場所が設けられている場合、無人フォークリフト61はその中心と直線の誘導線L2とのずれ量が非常に大きい状態で停止し、荷取り又は荷置き作業をしなければならなかった。そこで、無人フォークリフト61の中心と直線の誘導線L2とのずれ量が大きい場合、そのずれ量に基づいてフォークを幅方向にシフトさせて荷取り又は荷置き作業を可能にする技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−63790号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、荷取り又は荷置き作業を終了し、無人フォークリフト61を直線の誘導線L2に沿って走行(前進走行)させる場合、前記ずれ量が非常に大きいため、無人フォークリフト61は大きく蛇行しながら走行することになる。このようなことは、直線の誘導線L2がその無人フォークリフト61の後進走行方向に充分に長く敷設できない場合も同様に、無人フォークリフト61は大きく蛇行しながら走行していた。
【0008】
このように大きく蛇行する走行は、床面の走行経路上に設けた運行情報を指示する磁気マーク等の目印を読み落とし、荷役作業の効率を低下させる問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解消させるためになされたものであって、その目的は、車体の中心と誘導線とのずれ量がゼロになるまで大きく蛇行することなく緩やかに収束しながら走行することができる無人車の走行制御方法及び無人車を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、床面に敷設された誘導線を車体に備えられた誘導線検出センサで検出し、前記誘導線と前記誘導線検出センサの基準位置とのずれ量を第1ずれ量として算出し、その算出した第1ずれ量に基づいて前記誘導線と前記誘導線検出センサの基準位置とが一致するようにステアリング制御して走行するようにした無人車の走行制御方法において、前記算出した第1ずれ量に基づいて、前記誘導線検出センサについて、前記誘導線検出センサの基準位置から第1ずれ量だけずれた位置又はそのずれた位置よりも前記誘導線検出センサの基準位置に近い位置をオフセット位置として設定し、そのオフセット位置と前記誘導線とのずれ量を第2ずれ量として算出しながら該第2ずれ量がゼロになるようにステアリング制御して無人車を走行させ、前記オフセット位置を、前記無人車が予め定めた距離を走行する毎に前記誘導線検出センサの基準位置に近づけるように更新することをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の無人車の走行制御方法において、更新された前記オフセット位置と前記誘導線検出センサの基準位置との距離が予め定められた値以下となったとき、前記オフセット位置を無効にして前記誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量を算出しながら該第1ずれ量がゼロになるようにステアリング制御して前記無人車を走行させることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明では、無人車において、駆動輪を駆動させる走行用モータと、駆動輪のステアリング角を調整するステアリングモータと、床面に敷設された誘導線を検出する誘導線検出センサと、走行距離を検出する走行距離検出手段と、誘導線検出センサに基づいて誘導線と前記誘導線検出センサの基準位置とのずれ量を第1ずれ量として算出する算出手段と、前記算出した第1ずれ量に基づいて、前記誘導線検出センサについて、前記誘導線検出センサの基準位置から第1ずれ量だけずれた位置又はそのずれた位置よりも前記誘導線検出センサの基準位置に近い位置をオフセット位置として設定する設定手段と、前記オフセット位置と前記誘導線とのずれ量を第2ずれ量として算出して該第2ずれ量がゼロになるようにステアリング走行制御するために前記ステアリングモータ及び走行用モータを駆動制御するモータ駆動手段と、前記オフセット位置を、予め定めた距離を走行する毎に前記誘導線検出センサの基準位置に近づけるように新たなオフセット位置に更新するオフセット位置更新手段とを備えたことをその要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の無人車において、前記設定手段は、前記第1ずれ量が前記誘導線検出センサの基準位置から予め定めた値以下であったとき、オフセット位置を設定しないことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載の無人車において、前記オフセット位置更新手段は、更新した前記オフセット位置と前記誘導線検出センサの基準位置との距離が予め定められた値以下となったとき、オフセット位置を無効にして、前記誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量を算出しながら該第1ずれ量がゼロになるようにステアリング制御するようにしたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の無人車の走行制御方法において、前記オフセット位置の更新を行う毎に、前記オフセット位置を前記誘導線検出センサの基準位置に近づける割合を小さくすることを特徴とする。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、誘導線検出センサの基準位置と誘導線との間に第1ずれ量が生じているとき、オフセット位置と前記誘導線とのずれ量を第2ずれ量として算出しながらステアリング制御して走行するため、誘導線検出センサの基準位置と誘導線とを一致させるための大きなステアリング角の制御は行われない。そして、前記オフセット位置は、予め定めた距離を走行する毎に誘導線検出センサの基準位置に近づくように更新されるようにした。その結果、無人車は誘導線検出センサの基準位置と誘導線とのずれ量がゼロになるまで、大きく蛇行することなく緩やかに収束しながら走行する。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、オフセット位置が誘導線検出センサの基準位置に近い位置にある場合は、誘導線検出センサの基準位置と誘導線との間の第1ずれ量に基づくステアリング制御を行っても、大きく蛇行してステアリング制御がなされることはない。その結果、速やかに誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量をゼロにするためのステアリング制御を行うことができ、その時々でオフセット位置を更新しながらステアリング制御する負荷を軽減することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、モータ駆動手段は、設定手段が設定したオフセット位置と誘導線との第2ずれ量を算出してステアリング走行制御するために前記ステアリングモータ及び走行用モータを駆動制御する。そして、オフセット位置は、オフセット位置更新手段にて、予め定めた距離を走行する毎に前記誘導線検出センサの基準位置に近づけるように新たなオフセット位置に更新される。その結果、無人車は誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量がゼロになるまで大きく蛇行することなく緩やかに収束しながら走行する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、オフセット位置を設定する際、誘導線検出センサの基準位置と誘導線との間の第1ずれ量が前記誘導線検出センサの基準位置から予め定めた値以下である場合は、誘導線検出センサの基準位置と誘導線との間の第1ずれ量に基づくステアリング制御を行っても、大きく蛇行してステアリング制御がなされることはない。その結果、速やかに誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量をゼロにするためのステアリング制御を行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、オフセット位置を更新する際、オフセット位置が誘導線検出センサの基準位置に近い位置にある場合は、誘導線検出センサの基準位置と誘導線との間の第1ずれ量に基づくステアリング制御を行っても、大きく蛇行してステアリング制御がなされることはない。その結果、速やかに誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量をゼロにするためのステアリング制御を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1及び図2に示すように、無人車としての無人フォークリフト1は、床面Rに敷設した誘導線Lに沿って走行する。また、無人フォークリフト1は、その誘導線Lに沿って走行する走行経路上の所定の位置に設置された磁気マークMを検知し、その検知した磁気マークMに基づいて前進、後進、停止、旋回等の走行制御を実行する。
【0020】
無人フォークリフト1の車体2の前側には、左右一対のリーチレグ3が設けられている。無人フォークリフト1は、車体2の下面に駆動輪4とキャスタ輪5が設けられ、リーチレグ3の先端部下面に従動輪6がそれぞれ設けられている。左右一対のリーチレグ3間には、左右一対のマスト7が前後方向に同リーチレグ3に沿って移動可能に設けられている。左右一対のマスト7間には、リフトブラケット10が配設され、そのリフトブラケット10にフォーク11が設けられている。そして、リフトブラケット10(フォーク11)は図示しないリフトシリンダの伸縮動作に基づいてマスト7に沿って昇降する。
【0021】
前記駆動輪4は走行用モータM1(図3参照)に駆動連結され、走行用モータM1の正逆回転によって回動し、無人フォークリフト1を前後進させる。又、駆動輪4は、ステアリングモータM2(図3参照)にて水平方向に回動されて、そのステアリング角が制御されるようになっている。
【0022】
車体2の下面中央には、誘導線検出センサとしての後部ガイドセンサ12が設けられている。車体2の前側下部中央には、センサ固定部材13が前方に延出形成され、そのセンサ固定部材13の先端部には誘導線検出センサとしての前部ガイドセンサ14が設けられている。この後部ガイドセンサ12及び前部ガイドセンサ14は、前記誘導線Lを検知する。又、車体2の下面には、後部ガイドセンサ12の両側方に一対のマーク検出センサ15が設けられ、前記走行経路上に設置した磁気マークMを検知する。そして、各センサ12,14,15が検知した検知信号は、車体2内に設けた算出手段、設定手段、モータ駆動手段、オフセット位置更新手段としての走行制御装置Cに出力される。
【0023】
次に、上記のように構成した無人フォークリフト1の電気的構成について説明する。
図3において、走行制御装置Cはマイクロコンピュータよりなり、前記後部ガイドセンサ12、前部ガイドセンサ14及びマーク検出センサ15と接続され、各センサ12,14,15から検出信号を入力する。走行制御装置Cは、各センサ12,14,15からの検出信号に基づいて、走行のための各種処理を予め用意されているプログラムに従って実行し、前記走行用モータM1及びステアリングモータM2を駆動制御するようになっている。
【0024】
詳述すると、走行制御装置Cは、無人フォークリフト1が後進走行するとき、後部ガイドセンサ12からの検出信号に基づいて、誘導線Lに対する同後部ガイドセンサ12の基準位置としての中心位置C1(車体2の中心と一致)のずれ量Dを算出する。又、走行制御装置Cは、無人フォークリフト1が前進走行するとき、前部ガイドセンサ14からの検出信号に基づいて、誘導線Lに対する同前部ガイドセンサ14の中心位置C1のずれ量Dを算出する。
【0025】
後部及び前部ガイドセンサ12,14は、図5に示すように、その中心位置(車体2の中心位置と一致)C1が床面Rに敷設された誘導線L上に位置するとき、誘導線Lが中心位置C1にある旨の検出信号を出力する。また、両ガイドセンサ12,14は、図6に示すように、その中心位置C1が床面Rに敷設された誘導線Lに対して左側又は右側にずれている場合、そのずれ量Dに相対した値の検出信号を出力する。そして、走行制御装置Cは、両ガイドセンサ12,14からのずれ量Dに相対した値の検出信号に基づいて誘導線Lに対して中心位置C1(車体2の中心)のずれ量Dを求める。
【0026】
そして、走行制御装置Cは、これら算出したずれ量Dに基づいてステアリングモータM2を回動制御してずれ量Dがゼロになるようにステアリング角を調整(ステアリング走行制御)するようになっている。このステアリング走行制御は、走行制御装置Cに予め記憶されたステアリング走行制御プログラムに従って実行される。
【0027】
さらに、走行制御装置Cは、マーク検出センサ15から磁気マークMを検出した検出信号を入力すると、その検出信号に基づいて次に無人フォークリフト1が実行するのは例えば前進、後進、停止、旋回かを判断し、その判断した走行制御を実行する。
【0028】
また、走行制御装置Cは走行距離検出手段としての走行距離センサ20と接続され、同走行距離センサ20からの検出信号に基づいて、その時々の無人フォークリフト1の走行距離を算出するようになっている。走行距離センサ20は、ロータリエンコーダよりなり、前記駆動輪4の回転に相対してパルス信号(検出信号)を出力する。そして、走行制御装置Cはパルス信号(検出信号)の数をカウントすることによって、走行距離を算出するようになっている。
【0029】
次に、無人フォークリフト1のステアリング走行制御動作について説明する。いま、図7に示すように、無人フォークリフト1がカーブの誘導線L1に沿って後進走行し直線の誘導線L2まで走行して、後部ガイドセンサ12の中心位置C1が同誘導線L2と一致した状態で停止している。この時、無人フォークリフト1は、直線の誘導線L2に対して前部ガイドセンサ14の中心位置C1がずれた状態で停止している。図7では、無人フォークリフト1は、前部ガイドセンサ14の中心位置C1が直線の誘導線L2に対して左側にずれ量Dだけずれた状態にある。
【0030】
この状態で、無人フォークリフト1が、誘導線L2に沿って矢印方向に前進走行を開始する。この時、走行制御装置Cは、図4に示すフローチャートにしたがったステアリング走行制御プログラムを実行する。
【0031】
走行制御装置Cは、まず、誘導線L1に基づく後進走行モードから誘導線L2に基づく前進走行モードに切替える(ステップS110)。走行制御装置Cは、誘導線L2に基づく前進走行モードに切替えると、前部ガイドセンサ14からの検出信号を有効化し、以後、前部ガイドセンサ14の検出信号に基づいてずれ量Dを算出する。そして、走行制御装置Cは、前部ガイドセンサ14の検出信号を使って停止状態にある無人フォークリフト1のずれ量Dを算出する(ステップS120)。つまり、前部ガイドセンサ14の中心位置C1に対する誘導線L2のずれ量Dを算出する。
【0032】
走行制御装置Cは、ずれ量Dを算出すると、オフセット位置を設定する処理を行う(ステップS130)。この処理は、まず、ずれ量Dが予め定めた値(本実施形態では10mm)を超えているかどうか判断する。この予め定めた値は、この値のずれ量からずれる量ゼロにステアリング制御して走行させると、無人フォークリフト1が大きく蛇行して磁気マークMが検出できないおそれが生じない値に設定している。そして、算出したずれ量Dが予め定めた値以下の場合には、走行制御装置Cは通常のステアリング走行制御を実行する。一方、算出したずれ量Dが予め定めた値を超える場合には、走行制御装置Cはずれ量Dが大きいと判断してオフセット位置を設定する。
【0033】
走行制御装置Cは、本実施形態では、以下のように設定する。まず、算出したずれ量Dをオフセット量として、図6に示すようにその前部ガイドセンサ14の中心位置C1からずれ量Dだけずれた位置を、前記誘導線とのずれ量を算出するための新たな基準位置(オフセット位置C2)と設定する。
【0034】
オフセット位置C2が設定されると、走行制御装置Cは、走行用モータM1を駆動して無人フォークリフト1を前進走行、即ち走行を開始させる(ステップS140)。走行制御装置Cは、走行開始すると内蔵しているカウンタの内容をリセットし、新たな走行距離センサ20からの検出信号(パルス信号)のカウントを開始し、走行距離の計測を開始する(ステップS150)。
【0035】
そして、走行制御装置Cは、走行距離100mmを走行したか否かを判断しながら無人フォークリフト1を走行制御させる(ステップS160)。この間、走行制御装置Cは、走行開始前に設定した前部ガイドセンサ14のオフセット位置と誘導線L1とのずれ量を算出しながら、そのずれ量がゼロになるようにステアリングモータM2を駆動してステアリングを制御している。従って、誘導線L2に対して車体2に中心位置(前部ガイドセンサ14の中心位置C1)はずれ量Dだけずれた位置にあるが、走行制御装置Cはオフセット位置C2を基準にずれ量を算出するため、算出されるずれ量が小さくなる。その結果、走行制御装置Cは、ステアリング角度の小さなステアリング制御をする。
【0036】
走行制御装置Cは、無人フォークリフト1が100mm走行すると(ステップS160でYES)、前記オフセット位置を前記中心位置C1側に1mm近づけた位置を新たなオフセット位置C2として更新する(ステップS170)。続いて、走行制御装置Cは前記カウンタの内容をリセットし、新たな走行距離の計測を開始する(ステップS180)。次に、走行制御装置Cは、更新したオフセット位置C2が中心位置C1から10mm以下の位置にあるかどうか判断する(ステップS190)。そして、走行制御装置Cは、更新したオフセット位置C2が前部ガイドセンサ14の中心位置C1から10mm以下になるまで、ステップS160〜ステップS190の処理動作を繰り返す。従って、走行制御装置Cは、オフセット位置C2が前部ガイドセンサ14の中心位置C1から10mmまでステアリング角度の小さなステアリング制御をしながら無人フォークリフト1を走行させる。その結果、無人フォークリフト1は、大きく蛇行しながら走行することはない。
【0037】
走行制御装置Cは、更新したオフセット位置が前部ガイドセンサ14の中心位置C1から10mm以下になると(ステップS190でYES)、そのオフセット位置C2を無効(ゼロ)にする(ステップS200)。そして、走行制御装置Cは、以後、前部ガイドセンサ14の中心位置C1と直線の誘導線L2のずれ量Dを求めながら通常のステアリング走行制御を実行する。すなわち、図8に示すように、無人フォークリフト1はその車体の中心が直線の誘導線L2上にくるように、ステアリング制御されながら走行する。
【0038】
尚、無人フォークリフト1を後進走行させる場合も同様に走行制御装置Cは実行し、ステアリング走行制御を行う。この後進走行の場合、前部ガイドセンサ14に替えて後部ガイドセンサ12と誘導線Lとのずれ量Dに基づくステアリング走行制御が行われる。また、スイッチバック走行以外の走行であっても、走行開始前のずれ量Dが予め定めた量以上であれば、走行制御装置Cは上記と同様なステアリング走行制御を行う。
【0039】
次に、上記のように構成した無人フォークリフトの効果について説明する。
(1)本実施形態では、走行開始前の前部ガイドセンサ14の中心位置C1と誘導線L2のずれ量Dが予め定めた値(10mm)を超えたとき、そのずれた位置をオフセット位置とし、そのオフセット位置と直線の誘導線L2とのずれ量を算出してステアリング走行制御する。そして、予め定めた距離(100mm)を走行する毎に、オフセット位置C2を、前部ガイドセンサ14の中心位置C1に近づくように更新するようにした。その結果、無人フォークリフト1は前部ガイドセンサ14の中心位置C1(車体2の中心)と直線の誘導線L2とのずれ量Dがゼロになるまで大きく蛇行することなく緩やかに収束しながら走行することができる。
(2)本実施形態では、走行開始前のずれ量Dが予め定めた値(10mm)以下のとき、中心位置C1と直線の誘導線L2とのずれ量Dに基づく通常のステアリング制御を行うようにした。従って、蛇行することなく速やかに誘導線検出センサの基準位置と誘導線とのずれ量をゼロにするためのステアリング制御を行うことができる。
(3)本実施形態では、オフセット位置が更新されて中心位置C1から予め定めた値(10mm)以下になるとき、中心位置C1と直線の誘導線L2とのずれ量Dに基づく通常のステアリング制御を行うようにした。従って、蛇行することなく速やかに誘導線検出センサの基準位置と誘導線とのずれ量をゼロにするためのステアリング制御を行うことができる。
【0040】
なお、発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記実施形態では、オフセット位置C2を1mmずつ中心位置C1に近づく位置に更新させたが、それ以外の値で更新してもよい。また、一定の間隔(1mm)でオフセット位置C2を更新したが、一定でなくともよい。例えば、最初は大きく中心位置C1に近づけた位置にオフセット位置C2を設定し、更新する毎に中心位置C1に近づける割合を小さくする。
【0041】
○上記実施形態では、走行開始する際のオフセット位置C2は、開始前に算出したずれ量Dの位置としたが、これに限定されるものではない。例えば、ずれ量Dより小さく中心位置C1から近い位置をオフセット位置C2に設定してもよい。この場合、無人フォークリフト1は前部ガイドセンサ14の中心位置C1(車体2の中心)と直線の誘導線L2とのずれ量Dがゼロになるまで収束時間が速くなる。
【0042】
○上記実施形態では、走行開始する際、ずれ量Dが10mm以下のとき、中心位置C1と直線の誘導線L2とのずれ量Dに基づく通常のステアリング制御になるようにしたが、10mmに限定されず適宜変更してもよい。例えば、走行速度との関係で5mm、15mm等適宜変更する。
【0043】
○上記実施形態では、更新するオフセット位置C2が中心位置C1から10mm以下になったとき、オフセット位置C2から中心位置C1と直線の誘導線L2とのずれ量Dに基づく通常のステアリング制御になるようにしたが、10mmに限定されず適宜変更してもよい。例えば、走行速度との関係で5mm、15mm等適宜変更する。
【0044】
○上記実施形態では、100mm走行する毎に、オフセット位置C2を更新するようにしたが、50mm、150mm、200mm、又はそれ以上、適宜変更して実施してもよい。
【0045】
○上記実施形態では、無人車として無人フォークリフト1に具体化したが、例えば無人搬送車等、誘導線に沿って走行する無人車に具体化してもよい。
○上記実施形態では、前部ガイドセンサ14の中心位置C1を基準位置としたがこれに限定されるものではない。要は車体2の中心位置との関係が特定できれば基準位置を適宜変更してもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、車体の中心と誘導線とのずれ量がゼロになるまで大きく蛇行することなく緩やかに収束しながら走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の無人フォークリフトの側面図。
【図2】無人フォークリフトの平面図。
【図3】無人フォークリフトの電気的構成を示すブロック図。
【図4】ステアリング走行制御プログラムのフローチャート。
【図5】ガイドセンサと誘導線との関係を説明するための模式図。
【図6】オフセット位置設定を説明するための模式図。
【図7】無人フォークリフトのオフセット位置設定時の説明図。
【図8】無人フォークリフトのオフセット位置がゼロになった時の説明図。
【図9】従来の無人フォークリフトの進行方向切替え時の説明図。
【符号の説明】
1…無人フォークリフト、2…車体、12…誘導線検出センサとしての後部ガイドセンサ、14…誘導線検出センサとしての前部ガイドセンサ、15…マーク検出センサ、20…走行距離検出手段としての走行距離センサ、C…算出手段、設定手段、モータ駆動手段、オフセット位置更新手段としての走行制御装置、D…ずれ量、L…誘導線、M…磁気マーク、C1…中心位置、C2…オフセット位置、L1…カーブの誘導線、L2…直線の誘導線、M1…走行用モータ、M2…ステアリングモータ。
Claims (6)
- 床面に敷設された誘導線を車体に備えられた誘導線検出センサで検出し、前記誘導線と前記誘導線検出センサの基準位置とのずれ量を第1ずれ量として算出し、その算出した第1ずれ量に基づいて前記誘導線と前記誘導線検出センサの基準位置とが一致するようにステアリング制御して走行するようにした無人車の走行制御方法において、
前記算出した第1ずれ量に基づいて、前記誘導線検出センサについて、前記誘導線検出センサの基準位置から第1ずれ量だけずれた位置又はそのずれた位置よりも前記誘導線検出センサの基準位置に近い位置をオフセット位置として設定し、そのオフセット位置と前記誘導線とのずれ量を第2ずれ量として算出しながら該第2ずれ量がゼロになるようにステアリング制御して無人車を走行させ、
前記オフセット位置を、前記無人車が予め定めた距離を走行する毎に前記誘導線検出センサの基準位置に近づけるように更新することを特徴とする無人車の走行制御方法。 - 請求項1に記載の無人車の走行制御方法において、
更新された前記オフセット位置と前記誘導線検出センサの基準位置との距離が予め定められた値以下となったとき、前記オフセット位置を無効にして前記誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量を算出しながら該第1ずれ量がゼロになるようにステアリング制御して前記無人車を走行させることを特徴とする無人車の走行制御方法。 - 駆動輪を駆動させる走行用モータと、
駆動輪のステアリング角を調整するステアリングモータと、
床面に敷設された誘導線を検出する誘導線検出センサと、
走行距離を検出する走行距離検出手段と、
誘導線検出センサに基づいて誘導線と前記誘導線検出センサの基準位置とのずれ量を第1ずれ量として算出する算出手段と、
前記算出した第1ずれ量に基づいて、前記誘導線検出センサについて、前記誘導線検出センサの基準位置から第1ずれ量だけずれた位置又はそのずれた位置よりも前記誘導線検出センサの基準位置に近い位置をオフセット位置として設定する設定手段と、
前記オフセット位置と前記誘導線とのずれ量を第2ずれ量として算出して該第2ずれ量がゼロになるようにステアリング走行制御するために前記ステアリングモータ及び走行用モータを駆動制御するモータ駆動手段と、
前記オフセット位置を、予め定めた距離を走行する毎に前記誘導線検出センサの基準位置に近づけるように新たなオフセット位置に更新するオフセット位置更新手段と
を備えたことを特徴とする無人車。 - 請求項3に記載の無人車において、前記設定手段は、前記第1ずれ量が前記誘導線検出センサの基準位置から予め定めた値以下であったとき、オフセット位置を設定しないことを特徴とする無人車。
- 請求項3に記載の無人車において、前記オフセット位置更新手段は、更新したオフセット位置と前記誘導線検出センサの基準位置との距離が予め定められた値以下となったとき、オフセット位置を無効にして、前記誘導線検出センサの基準位置と誘導線との第1ずれ量を算出しながら該第1ずれ量がゼロになるようにステアリング制御するようにしたことを特徴とする無人車。
- 請求項1又は請求項2に記載の無人車の走行制御方法において、
前記オフセット位置の更新を行う毎に、前記オフセット位置を前記誘導線検出センサの基準位置に近づける割合を小さくすることを特徴とする無人車の走行制御方法。
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