JP4355879B2 - 光学素子用成形型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスからなる光学素子をプレスによって成形するために使用する光学素子用成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学ガラス材料を加熱、押圧することにより所望形状に成形して、光学素子とする方法は従前より行われている。一方、近年は、光学系の高性能化に伴って非球面形状のみならず自由曲面形状等の複雑な形状の光学素子を大量に、しかも安価で生産できることが望まれている。光学素子を安価に生産するためには、成形を行う成形型の長寿命化が必須の条件となる。
【0003】
これに対し、光学素子の製造では、種々の金属酸化物やアルカリ成分などを含む反応性の高いガラスを高温下で使用するため、型の劣化が激しい。又、光学ガラスがプレス成形される温度は、ガラスの融点にもよるが、一般的に400℃〜800℃であり、このような高温での成形では元素の拡散が生じ易い。特に、光学ガラス材料に含まれるアルカリ金属等の成分や雰囲気中の酸素分子は化学反応を起こし易いと共に粒界拡散し易い。このようなことから、型とガラスとが接触する成形面の劣化が型の寿命を左右しており、このため、型の表面に対し、硬質膜等の処理が行われている。
【0004】
このようなガラス成形に用いられる従来の成形型としては、特開昭62−3031号公報に記載されるように、白金系合金膜が被覆されたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし金属の合金とはバルク状態での性状を示すものであり、微小領域では均一な構造や組成に制御されておらず、部分的に固溶体であったり、混合体であったりして性状のバラツキが非常に大きいものとなっている。このため、白金系合金膜が被覆された型を用いたガラスのプレス成形では、微小領域での組成及び構造が異なった部分から結晶欠陥が生じてガラス成分や酸素原子が拡散侵入し易くなっている。そして、拡散侵入した成分は中間層や型母材の元素と反応して化合物を生成するため、白金系合金膜下で反応した化合物成分の反応成長と、ガラス成形時の熱サイクルにより膜剥離が生じている。これにより、型寿命が依然として短かい問題を有している。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、高温下でのガラスのプレス成形においても、長寿命を有することが可能な光学素子用成形型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の光学素子用成形型は、ガラスよりなる光学素子のプレス成形に用いる光学素子用成形型において、型母材の成形面上に白金、ルテニウム、レニウム、オスミニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウムより2種類以上の貴金属を選択し、各々の前記貴金属の単金属からなる単層膜を、同じ前記貴金属の前記単金属からなる単層膜が連続しないように積層し、かつ、積層された全ての前記単層膜の合計が10層以上であることを特徴とする。
【0008】
白金、ルテニウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、パラジウムからなる貴金属は、いずれもガラスとの濡れ性が悪く、また酸素との反応性が非常に小さい材料であり、光学素子用成形型として非常に有用な材料である。請求項1の発明では、これらの貴金属の単層膜を2種類以上用いて積層することにより、表面の膜構造を均一なものとすることができ、これによりガラス成分や酸素原子の拡散を防止する作用が向上する。
【0009】
また、単層膜が1層のみでは膜厚が結晶粒の大きさと非常に近くなるため、粒子脱落などによる部分欠陥の可能性が大きくなって好ましくない。更に、光学素子成形用型として高温、高圧力下で使用するためには、各膜間の応力が小さいことが必要であり、性質の異なる薄膜を応力を緩和させた状態で積層させるには、10層以上であることが必要となる。なお、この10層以上という積層数は、実験によっても確認されている。
【0010】
以上のようにして得られた膜は、製造時に膜厚や構造を制御しており、1層毎では単体金属であって合金とは構造が全く異なっている。このような単体金属の積層では、合金で見られる微小領域での組成の相違や、組織の相違による欠陥がなくなり、さらに応力による部分欠陥もなくなるため、ガラス成分や酸素の原子拡散を防止する作用を有する。以上により、長寿命の光学素子用成形型とすることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明であって、全ての前記単層膜が50nm以下の厚さであることを特徴とする。
【0012】
単層膜1層当たりの厚さは50nm以下で、且つ10層以上積層することが望ましい。こうして得られる膜は非常に薄い膜を多層積層することから超多層膜となる。このように単層膜1層当たりの厚さを50nm以下にすることにより、展性、延性の性質がバルクに比べて大きく作用するため、性状の異なる膜の積層においても応力を緩和しながら多くの膜を積層することができる。これに対して膜厚を50nm以上にすると、徐々にバルクの性質に近づいて、積層膜間の界面に強い応力が発生するようになり、加熱冷却などで膜剥がれが生じ、超多層膜の効果が得られない。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発明であって、異なる結晶構造を有する前記単層膜を積層したことを特徴とする。
【0014】
単層膜の積層構造としては、面心立方と六方晶の組合せなど結晶構造が異なる材料同士であっても超多層膜化することにより、膜剥がれのない積層が可能となる。更に、このように結晶構造が異なる材料同士では、相互の結晶構造が干渉し合って、緻密さが向上し、ガラス成分や酸素の原子拡散を防止する作用が向上する。
【0015】
以上の請求項1〜3においては、型母材の材質は、特に限定されるものではないが、成形用型材の型母材として一般的に用いられている超硬合金、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、クロミア、ジルコニア等の高温時の硬度が高い材質が好ましい。
【0016】
この発明において、成形面側を研磨して十分に平滑かつ形状精度を良好に仕上げた型母材の表面に対して、膜の製造方法としてのスパッタリング、イオンプレーティングなどの一般的な物理蒸着法を行うことにより容易に成膜することができる。成膜材料としては白金、ルテニウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、パラジウムのいずれかからなる貴金属を用いる。また、後述の請求項4及び請求項5記載の膜の成膜方法を用いても良い。
【0019】
非球面や自由曲面などの曲面に代表される複雑形状が多い光学素子用成形型の場合には、アークプラズマの中からイオンを取り出して被成膜材料に付着させて成膜するPBID(Plazma Based Ion Deposition)やPBII(Plazma Based Ion Implantation)などの3次元イオン成膜法が有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
この実施の形態では、超硬合金からなる基材を所望の最終製品に対応した形状と概略近い形状に加工した後、成形面をダイヤモンド砥石を用いた研削加工により所望の最終形状に対応した形状に加工し、鏡面研磨を施すことにより型母材を作製した。型母材の成形面は、直径15mmの平面形状となっていた。
【0021】
次に、RFスパッタリング装置の真空容器内に型母材をセットした後、真空容器内を減圧してアルゴンガスを導入し、アルゴンガスで逆スパッタリングして型母材の成形面を清浄化した。その後、真空容器内を再度減圧して、型母材の成形面にイリジウムを50nmの厚さで成膜した。更に減圧したままの状態で、その上に白金を50nm成膜した。これらの50nmの厚さは、単位時間当たりの成膜レートを測定する実験の繰り返しを行うことにより得た50nm用の条件を時間の関数で定めたものである。このように白金とイリジウムをターゲットとしたスパッタリングによって、それぞれが50nmの膜厚となるように交互に成膜を行い、各5層ずつ計10層で0.5μmの積層膜を成膜した。
【0022】
この膜をオージェ分光分析によってデプスプロファイリングにより分析したところ、最表層が白金、次がイリジウム、その次が白金の順で交互に繰り返されており、しかもそれぞれの単層膜が50nmの厚さで積層されていることが確認された。このように成膜された成形型を窒素雰囲気中で400℃まで加熱した後、徐冷して膜の残留応力を取り除いた。
【0023】
以上のようにして得られた本実施の形態の成形型を2つ組み合わせて用い、SiO2、BaO2を主成分とした硝材Aを窒素雰囲気下で600℃に加熱してプレス成形した。
【0024】
一方、本実施の形態と同様の型母材に対して、RFスパックリングにより白金50%とイリジウム50%の合金を0.5μmの厚さで成膜した型を比較例1として用い、白金単体を500nmの厚さで成膜した型を比較例2として用いて同様にして硝材Aをプレス成形した。
【0025】
比較例1の成形型は150ショット目で成形膜に膜剥がれが生じた。この膜表面を電子顕微鏡で観察したところ、数μmから数10μmの大きさで模様が見られた。この模様は微小領域での組成及び構造が違うことからなるものであり、ここに欠陥が発生する。更に膜剥がれの部分を観察、分析したところ、型母材の超硬合金中のタングステンが酸化されて酸化タングステン(WO3)が析出していた。タングステンの酸化で生じる酸化タングステンは酸化時に体積膨張するため、その膨張によって膜が剥がれやすくなったと推察できる。酸化の原因となる酸素は合金膜の微小領域での組成や構造の違いから生じた欠陥からの拡散によるものである。
【0026】
一方、比較例2の型はわずか34ショット目で膜剥がれが生じた。これは膜の応力に起因するものである。
【0027】
これに対して本実施の形態の成形型は、離型時のガラス貼り付きが全く見られず、1000ショット成形後も膜剥がれは発生しなかった。表面が同じ白金単層であったにもかかわらず比較例2のように膜剥がれが発生しなかったのは、単層が50nmと薄く、更にイリジウムとの積層によって応力が緩和されたためである。
【0028】
なお、この実施の形態では、型母材として超硬合金を使用したが、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、クロミア、ジルコニア等を用いることが可能である。また、この実施の形態では、膜材料として白金とイリジウムの単層を交互に成膜する場合について説明したが、これらの材料に代えて、または、これらの材料とともに、ルテニウム、オスミウム、パラジウムから選択された2種の膜材料を用いても同様の効果がある。
【0029】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と同一の型母材に対し、立方晶の結晶構造を有する白金と六方晶の結晶構造を有するオスミウムを成膜した成形型である。
【0030】
RFスパッタリング装置中に実施の形態1と同様な型母材をセットして、その成形面上にオスミウムを20nm成膜し、その上に白金20nm成膜し、その後、オスミウムと白金を20nmの厚さで交互に成膜して28層の積層膜を作製した。なお、20nmの厚さは実施の形態1と同様に成膜レートから算出したものである。この積層膜の最表層は白金である。
【0031】
比較例3として同様の方法により、型母材上にオスミウム100nmと白金100nmとを交互に6層成膜した型を製作した。そして、この実施の形態の型と比較例3の型を窒素雰囲気中で400℃まで加熱した後、徐冷して膜の残留応力を取り除いた。
【0032】
以上のようにして得られた成形型を2つ組み合わせて用いて、La2O3を主成分とした硝材Cを窒素雰囲気下で650℃に加熱してプレス成形した。本実施の形態の成形型は、離型時のガラス貼り付きが全く見られず、1000ショット成形後も膜剥がれは見られなかった。これに対して比較例3の成形型は6ショットで2層目から膜剥がれが生じた。
【0033】
このように実施の形態の成形型では、結晶構造が異なる貴金属材料においても、非常に薄い層で積層したことにより、高温下でのプレス成形でも膜剥がれを生じることがなく、長寿命とすることが可能となっている。
【0034】
なお、立方晶を有する白金、イリジウム、ロジウム、六方晶を有するルテニウム、レニウム、オスミウム、ロジウム、正方晶を有するパラジウムを任意に組み合わせても、薄い単層膜の積層により得られる作用によって本実施の形態と同様の効果が得られる。
例えば、膜材料として上述したようなイリジウムと白金を用い、これらの単層を交互に成膜して10層の積層膜を作製する場合の他、これらの材料に代えて、オスミウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、パラジウムから選択された2種の膜材料を用い、これらの単層を交互に成膜して例えば10層の積層膜を作製しても同様の効果が得られる。
【0035】
(実施の形態3)
この実施の形態では、型母材に対し3次元イオン成膜法を用いてイリジウムとレニウムの積層膜を成膜した成形型を説明する。
【0036】
図1は、3次元イオン成膜を行う成膜装置を示す。成膜を行う真空容器1はグランドに接続されており、真空容器1内の上部に導電性の試料ホルダ2が配置されている。成膜対象となる型母材3は試料ホルダ2に保持されており、試料ホルダ2を介して直流パルスバイアス電源4に接続されている。
【0037】
試料ホルダ2の下方にはプラズマを発生させる固体ターゲット5a、5bと、プラズマを発生させるための初期放電を起こさせるトリガー電極6a、6bと、固体ターゲット5a,5bに放電してプラズマを発生させるアーク電極7a、7bとが設置されている。トリガー電極6a、6bは固体ターゲット5a、5bと電気的に導通しておらず、かつ高電圧がかかったとき放電により導通させるよう固体ターゲット5a、5bの極近傍に絶縁体を介して設置してある。トリガー電極6a、6bはそれぞれトリガー電源8a、8bに接続され、アーク電極7a、7bはそれぞれアーク電源9a、9bに接続されている。直流パルスバイアス電源4は、アーク電極7a、7bの放電が始まると同時、又は遅延して負の電圧を発生させるように図示しないコンピューターにより制御されている。
【0038】
この実施の形態では、型母材3としての材質として炭化珪素を用い、成形面は開口径が直径8mm、曲率半径5mmの凹面となっており、この成形面に鏡面研磨を施して成膜に供される。一方の固体夕一ゲット5aには純度99.99%のレニウムを、他方の固体ターゲット5bには純度99.99%のイリジウムを使用した。
【0039】
成膜は、真空容器1内を排気口より排気して1×10−4Pa以下に減圧した後、まずアーク電源9aからアーク電極7aに60Vの電圧を印加し、トリガー電源8aからトリガー電極6aに4.5kVの電圧を瞬間的に印加してトリガー放電を起こさせた。このトリガー放電を引き金に、アーク電極7aから固体ターゲット5aに放電が起こり、固体ターゲット5aの表面からレニウムのプラズマが発生する。
【0040】
その瞬間、プラズマは真空容器1内の型母材3の周囲へ到達する。同時に直流パルスバイアス電源4により型母材3に12μsec幅でインターバルが13μsecで−15kVの直流パルスバイアス電圧を100回加える。これにより、プラズマ中に含まれるイオンが直流パルスバイアス電圧により引き出され、型母材3へと注入される。この注入操作を100回線り返した。このとき、引き出されるイオンは電気的な力によるため、3次元形状であっても全ての面でその面の垂直方向に注入される。
【0041】
次に、直流パルスバイアス電圧を−0.3kVに下げてレニウムの固体ターゲット5aのみに対して同様の操作を2000回行った。パルスバイアス電圧を下げたことにより、イオンのエネルギーが小さくなり、このためイオンの注入ではなく付着が生じるようになり、成形型3の成形面にレニウムのイオンがデポジットされた厚さ21.4nmのレニウム層が形成された。
【0042】
さらに、アーク電源9bからアーク電極7bに60Vの電圧を印加し、トリガー電源8bからトリガー電極6bに4.5kVの電圧を瞬間的に加え、トリガー放電を起こさせた。このトリガー放電を引き金にアーク電極7bから固体ターゲット5bに放電が起こり、固体ターゲット5bの表面からイリジウムのプラズマが発生する。プラズマを型母材3の周囲へ到達させた状態で、直流パルスバイアス電圧が−0.3kVのままで、イリジウムの固体ターゲット5bに対し、同様の操作を625回行い、レニウム層の上に厚さ16.5nmのイリジウム層を形成した。
【0043】
以後、厚さ21.4nmのレニウム層と、厚さ16.5nmのイリジウム層の成膜を繰り返して、それぞれが10層ずつ積層された成形型を得た。この成形型の表面粗さを測定したところ、最大表面粗さRaが0.007μmであった。又、3次元イオン成膜法を用いたことにより、成形面が曲面であっても面に対して膜が垂直に積層していた。
【0044】
以上のようにして得られた成形型を2つ組み合わせて用いて、SiO2、TiO2及びアルカリ金属酸化物を主成分とした硝材Bを窒素雰囲気下で、560℃に加熱して成形したところ、離型時のガラス貼り付きが全く見られず、1000ショット成形後も膜剥がれは見られなかった。また面粗さを測定したところ、Raが0.008μmとほとんど変化が無く、成形型として求められる粗さとしてはまだ十分な鏡面を有していた。
【0045】
このような実施の形態では、実施の形態1の効果に加え、曲面を有する成形型に対しても積層膜を形成することができることが可能となる効果を有している。
【0046】
なお、この実施の形態では2種類の貴金属の固体ターゲットを用いて積層したが、ターゲット周辺の部材を追加して3種類以上の固体ターゲットを用いて成膜することも同様に行うことができる。また、この実施の形態では、固体ターゲットの材料として、レニウム及びイリジウムを用いた場合について説明したが、これらの材料のいずれかとパラジウムを固体ターゲットの材料として用いても、同様の効果がある。
【0047】
(実施の形態4〜9)
表1は実施の形態4〜9の成形型の成膜条件、成形結果を示す。これらの実施の形態では、開口径が直径13mm、曲率半径が12mmの凹面となっている成形面を有し、この成形面に鏡面研磨を施した超硬合金からなる型母材を用いた。表1において、「奇数層」は型母材に対し奇数の順番で積層されたものを示し、「偶数層」は型母材に対し偶数の順番で積層されたものを示す。
【0048】
表1の「成形結果」は各実施の形態における成形型2つを組み合わせて、SiO2、BaO2を主成分とした硝材Aを窒素雰囲気下で600℃に加熱してプレス成形したものであり、いずれの実施の形態の成形型においても、膜剥がれや、ガラス融着による劣化は生じることがなかった。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、貴金属の単層膜を2種類以上用いて積層することによって、表面の膜構造が均一となり、ガラス成分や酸素の原子拡散に伴う劣化が改善されて型寿命を延ばすことができる。又、型寿命が延びたことにより、安価なガラス光学素子を提供することが可能となる。
【0051】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、貴金属の展性や延性が各単層膜に大きく作用して応力が緩和されるため、数多くの膜の積層が可能となる。
【0052】
請求項3の発明によれば、請求項1及び2の効果を有するのに加えて、結晶構造の異なった貴金属の単層膜を積層するため、結晶構造が相互に干渉し合って、緻密な膜を積層することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3次元イオン成膜を行う成膜装置の断面図である。
Claims (3)
- ガラスよりなる光学素子のプレス成形に用いる光学素子用成形型において、
型母材の成形面上に白金、ルテニウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、パラジウムより2種類以上の貴金属を選択し、各々の前記貴金属の単金属からなる単層膜を、同じ前記貴金属の前記単金属からなる単層膜が連続しないように積層し、かつ、積層された全ての前記単層膜の合計が10層以上であることを特徴とする光学素子用成形型。 - 全ての前記単層膜が50nm以下の厚さであることを特徴とする請求項1記載の光学素子用成形型。
- 異なる結晶構造を有する前記単層膜を積層したことを特徴とする請求項1又は2記載の光学素子用成形型。
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