JP2006140009A - 固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性を維持しつつ耐腐食性を向上させた固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けてブラスト面を形成し、前記ブラスト面上に導電性保護膜を形成する。さらに、前記導電性保護膜を、前記ブラスト面上に前記ブラスト用微粉末より一次粒径が小さな微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることにより、形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けてブラスト面を形成し、前記ブラスト面上に導電性保護膜を形成する。さらに、前記導電性保護膜を、前記ブラスト面上に前記ブラスト用微粉末より一次粒径が小さな微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることにより、形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、固体高分子膜の両側に各々電極を配置した単位セル(膜電極)を複数個積層してなる固体高分子電解質燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)において前記単位セル間に配置されて用いられる固体高分子電解質燃料電池用セパレータに関するものである。
周知のように、近年、地球温暖化を始めとする地球環境の破壊が懸念されており、様々な分野において地球環境の破壊防止に向けた努力が始められている。そのような努力の一環として、燃料電池を自動車のモーター電源あるいは分散電源として用いるための研究開発が活発に進められている。かかる燃料電池としては、種々ある燃料電池の中でも、固体高分子電解質燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)と呼称される燃料電池が注目されている。
この固体高分子電解質燃料電池は、図2に示すように、固体高分子膜21の両側に酸素極22、水素極23の電極を配置して単位セルを構成し、この単位セルの両側を燃料電池用セパレータ24で挟んで積層した構成となっている。
前記燃料電池用セパレータ24の一方の側面24aには、この側面24aに隣接する単位セルに燃料ガスを供給するための燃料ガス用溝25が形成され、他方の側面24bには、この側面24bに隣接する単位セルに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス用溝26が形成されている。これらの溝は、図に示すように、側面の周縁部分を残した内側の領域に形成されている。そして、燃料電池セパレータ24は、少なくとも表面は導電性を有しており、その各側面の周縁部分において、単位セルの各電極22,23に電気的に接触している。図中、符号27a及び27bは燃料ガス供給穴(ガス供給部)及び排出穴であり、符号28aおよび28bは酸化剤ガス供給穴及び排出穴である。
前記固体高分子電解質燃料電池に用いられる燃料電池用セパレータは、金属系セパレータと樹脂系セパレータに大別される(非特許文献1、2参照)。金属系セパレータには、一般的にステンレス鋼が用いられている。また、軽量化を図るために、アルミニウム(Al)あるいはアルミニウム(Al)基合金あるいはチタン(Ti)が用いられることもある。一方、樹脂系セパレータには、カーボン系材料あるいはカーボン樹脂モールドセパレータが用いられている。
セミナーテキスト:技術情報協会 平成15年7月24日
工業材料2003年4月号(Vol.51 No.51 No.4 p59−61
樹脂系セパレータは、軽量であり、腐食に対する耐性が金属系セパレータに比べて優れている反面、強度面に問題があり、特に強い衝撃が加わった場合には、割れを生ずる可能性がある。これに対して、金属系セパレータは、強度が大きく、割れにくい、成型が容易などの長所がある。しかし、固体高分子電解質燃料電池のスタック内が腐食環境にあるため、ステンレス鋼等の金属からなる金属系セパレータには、腐食が生じやすいという問題点がある。また、金属セパレータの表面に金属の不動態被膜が形成されれば、腐食の問題はなくなるが、表面の導電性が低下するため、電極との接触部分において接触抵抗が増大することとなり、使用時間の経過とともに燃料電池から取り出される電圧が低下する、すなわち、電池性能が低下するという問題もある。
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、導電性を維持しつつ耐腐食性を向上させた固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、実験、検討を重ねたところ、一次粒径が数μmの微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルから所定範囲の速度で目的の金属基材表面に吹き付けると、金属基材表面に緻密な堆積層が形成できることを知るに至った。微粉末を所定範囲の速度で目的の金属基材表面に衝突させると、その衝撃エネルギーにより微粉末はより微細に粉砕される。発生した微粉砕粒子は粉砕により活性な新生面を有することになり、新生面同士が密着して金属基材表面に密に堆積し、相互に強く結合する。その結果、金属基材表面上には、微粉末の材料からなる緻密な堆積層が形成される。それが緻密な堆積層であることは、図3に示す硼化チタン(TiB2)膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真によって確認することができる。この硼化チタン膜は、平均一次粒径2.5μmの硼化チタン微粉末を粒子速度1000m/秒にてステンレス(SUS304)基板上に吹き付けることによって得られた厚さ2.0μmの硼化チタン堆積膜である。
この図3から分かるように、微粉末を吹き付けて形成したコーティング層は、結晶粒径が小さく、極めて緻密な膜である。この時に用いる微粉末の金属種として硼化チタン(TiB2)のような導電性を有するとともに耐腐食性に優れた金属材料を用いれば、目的の金属基材表面に導電性及び耐腐食性に優れた緻密な導電性保護膜を形成することができる。このような微粉末を微小孔ノズルから目的の金属基材表面に吹き付けることによって金属基材表面上に得られる緻密な堆積層を、本発明では、「微粉末ジェットコーティング層」と呼称する。
前記微粉末ジェットコーティング層を得る方法である微粉末ジェットコーティング法は、単に所定粒径範囲の微粉末を所定範囲の速度で目的の金属基材表面に吹き付けるだけの方法であり、加熱等の補助的条件を必要としない。処理温度としては、常温にて行うことができる。したがって、金属基材表面に堆積された微粉砕粒子は、結晶成長することなく、そのままの粒径を維持したままとなり、緻密の程度が劣化することはない。これに対して、従来のCVD法やPVD法では、高温にて成膜するために、堆積膜中において結晶成長が促進され、膜を構成する粒径が大きくなり、膜の緻密度は大きく劣化してしまう。
本発明者らは、さらに研究を重ねたところ、固体高分子電解質燃料電池は、運転中および運転の前後において、比較的大きな温度変化にさらされるので、セパレータの金属基材表面とその上に形成した導電性保護膜との間に熱歪みによる応力が掛かることが確認された。そのため、金属基材表面と導電性保護膜との間には、常に所定の剥離力が働くことになる。前記微粉末ジェットコーティング層は、十分な表面密着力を有しているものの、長期な運転にも耐えられるように、さらに金属基材表面への付着力を高める必要のあることが知見された。
金属基材表面への膜付着力を高めるには、基材表面を粗面にして表面積を増大させる方法は周知であるが、従来慣用の化学的および物理的な粗面形成技術では、前記緻密な導電性保護膜に適切な微細な粗面が得られにくい。そのため、本発明者らは、他の粗面形成技術を探求した。その結果、前記導電性保護膜を形成するための微粉末より一次粒径が粉砕されにくい大きさの微粉末を用い、この微粉末を金属基材表面への衝突により微粉砕されない範囲の速度で吹き付ければ、金属基材表面に微細な粗面を形成し得ることが確認された。この微粉末により形成される微細な粗面を、本発明では、「微粉末によるブラスト面」と呼称する。
金属セパレータを構成する金属基材表面に、予め前記「微粉末によるブラスト面」を形成しておき、このブラスト面上に前記「微粉末ジェットコーティング層」を形成すれば、導電性及び耐食性に優れ、かつ密着性(耐剥離性)に優れた導電性保護膜を、金属セパレータの金属基材表面に形成することができる。
前記「微粉末ジェットコーティング層」を構成する微粉末としては、一次粒径0.1μm〜3.0μmの微粉末が好適である。また、前記「微粉末によるブラスト面」を形成するための粉末としては、一次粒径3.0μm以上の粉末が好適である。ブラスト面を形成するに適した粒径の下限値と、コーティング層を形成するに適した粒径の上限値とは、明確に区別できるものでなく、微粉末を吹き付けるときの粒子速度との組み合わせによって、変動する。したがって、同じ3.0μmの一次粒径の微粉末を用いた場合であっても、吹きつけ速度を調整することによって、コーティング層が形成される場合と、ブラスト現象が優先的に生じる場合とがある。0.1μm〜3.0μmの微粉末を用いてコーティング層を形成するためには、吹きつけの粒子速度は500m/秒以上に設定する必要がある。
前記導電性及び耐食性を有する導電性保護膜を形成する材料としては、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成することが好ましい。
前記ブラスト面を形成するための微粉末の材料は、前記導電性保護膜を形成するための微粉末と同じ材料を用いてもよいし、他の材料を用いてもよい。他の材料としては、酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ジルコニウム(ZrO2),酸化ハフニウム(HfO2)等の金属酸化物、珪化モリブデン(MoSi2),珪化コバルト(CoSi2)などの珪化物が挙げられる。したがって、前記ブラスト面を形成するための微粉末としては、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)、さらに酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ジルコニウム(ZrO2),酸化ハフニウム(HfO2)等の金属酸化物、珪化モリブデン(MoSi2),珪化コバルト(CoSi2)などの珪化物のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることができる。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の請求項[1]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる導電性および耐食性に優れた金属セパレータであって、前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末によるブラスト面が形成され、該ブラスト面上に導電性保護膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[2]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]に記載の金属セパレータにおいて、前記導電性保護膜が微粉末ジェットコーティング層から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[3]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]に記載の金属セパレータにおいて、微粉末ジェットコーティング層が一次粒径0.1μm〜3.0μmの微粉末を用いて得られた緻密層であることを特徴する。
本発明の請求項[4]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の金属セパレータにおいて、微粉末によるブラスト面が一次粒径3.0μm以上の微粉末を用いたブラスト処理によるものであることを特徴とする。
本発明の請求項[5]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータは、前記請求項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の金属セパレータにおいて、導電性保護膜が、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[6]は、固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法に係るもので、この製造方法は、固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる導電性および耐食性に優れた燃料電池用金属セパレータの製造方法であって、前記金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けてブラスト面を形成し、前記ブラスト面上に導電性保護膜を形成することを特徴とする。
本発明の請求項[7]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[6]に記載の金属セパレータの製造方法において、前記導電性保護膜を、前記ブラスト面上に前記ブラスト用微粉末より一次粒径が小さな微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることにより、形成することを特徴とする。
本発明の請求項[8]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[7]に記載の金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜形成用の微粉末として一次粒径0.1μm〜3.0μmの微粉末を用いることを特徴する。
本発明の請求項[9]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[8]に記載の金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜形成用の微粉末の吹きつけ粒子速度を500m/秒以上とすることを特徴とする。
本発明の請求項[10]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[6]〜[9]のいずれか1項に記載の金属セパレータの製造方法において、ブラスト用微粉末として一次粒径3.0μm以上の微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[11]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[6]〜[10]のいずれか1項に記載の金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜を、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成することを特徴とする。
本発明の請求項[12]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[7]または[8]に記載の金属セパレータの製造方法において、導電性保護膜形成用の金属微粉末として、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[13]にかかる固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法は、前記請求項[6]〜[12]のいずれか1項に記載の金属セパレータの製造方法において、ブラスト用微粉末として、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)、さらに酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ジルコニウム(ZrO2),酸化ハフニウム(HfO2)等の金属酸化物、珪化モリブデン(MoSi2),珪化コバルト(CoSi2)などの珪化物のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることを特徴とする。
本発明の請求項[14]は、固体高分子電解質燃料電池に係るものであり、この燃料電池は、ガス供給部を有する請求項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータと、固体高分子膜の一方の面に酸素含有ガスが供給されるカソード側電極と、他方の面に水素含有ガスが供給されるアノード側電極とを備えた単位セルと、を積層して構成されていることを特徴とする。
本発明に係る固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法は、導電性を維持しつつ耐食性と耐剥離性に優れた導電性保護膜を金属セパレータの金属基材表面に形成することができ、それにより導電性及び耐食性に優れた金属セパレータを提供することができる。また、本発明の金属セパレータを用いることにより、電力取りだし効率が高く、高耐久性の固体高分子電解質燃料電池を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明における微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から金属セパレータの金属基材表面に吹き付けて金属基材の周縁部分(電極との接触部分)に成膜するための装置の概略図である。
図1は、本発明における微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から金属セパレータの金属基材表面に吹き付けて金属基材の周縁部分(電極との接触部分)に成膜するための装置の概略図である。
真空排気が可能なステンレス製のチャンバー1内には、基板(金属セパレータの金属基材(ステンレス))2を支持する基板ホルダー3と、キャリアガスによって搬送された原料粉末をエアロゾルとして噴射するための微小孔ノズル4が設置されている。基板ホルダー3は、図示しない駆動機構によって、ノズル4に対してXY方向に所定の速度で駆動できる機構を備えている。また、ノズル4と基板ホルダー3との間隔は、図示しない機構によって、任意の距離に設定できるようになっている。
図1において、符号5は、所定の方法で調整された原料粉末を一定速度で供給できる機能を有するパウダーフィーダーである。このパウダーフィーダー5としては、エジェクターを備えた回転掻き取り方式のパウダーフィーダーが好適に用いられるが、一定時間に一定量の粉末を供給できる機能を備えていれば、この方式に限定されるものではない。パウダーフィーダー5には、圧力調整器7及びマスフローコントローラ8を介してキャリアガスボンベ6が接続されている。チャンバー1内の雰囲気は、粉塵補集用のフィルター9を介して、ロータリーポンプ10及びメカニカルブースターポンプ11によって排気されている。12は自動バルブもしくは手動バルブである。13は圧力計である。
図1を用いて本発明によるステンレス系の金属基材の周縁部分に導電性保護膜を成膜する手順を説明する。この説明では、導電性保護膜を形成する金属種として、炭化チタン(TiC)を用いている。所定の形状の基板2を基板ホルダー3にセットする。基板2は、ステンレス系等の金属基材であり、燃料電池のセパレータとなるものである。
パウダーフィーダー5には、予め、基板の表面粗度を粗くするために粒度を調節した炭化チタン(TiC)粉末を所定量、充填しておく。充填する炭化チタン(TiC)粉末の一次粒子径は、3μm以上が望ましい。一次粒子径が3μm以下の場合、基板の表面粗度を粗くする効果が著しく減少する。
次に、ロータリーポンプ10及びメカニカルブースターポンプ11によりチャンバー1内を真空排気する。チャンバー1内が10Pa以下の到達真空度に達したら、キャリアガスボンベ6から圧力調整器7及びマスフローコントローラ8を介して圧力及び流量を所定の値に設定したキャリアガスをパウダーフィーダー5に送り込む。キャリアガスには、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)などの不活性ガスを用いることができる。キャリアガス流量が定常値に達し、チャンバー1内の圧力が安定したら、パウダーフィーダー5の粉末供給機構を作動させ、キャリアガスに原料粉末を均一に分散させたエアロゾルを形成する。
このようにして生成したエアロゾルをノズル4のエアロゾル導入部に導入する。導入されたエアロゾルは、微小孔ノズル4の絞り部及び粒子加速部を順次通る際に加速され、ノズル4の先端の開口部から基板2に向かって噴射される。この際、基板2の表面がブラストされ、表面が粗くなる(ブラスト面が形成される)。ただし、ブラストに用いるTiC粉末の一次粒子径は3.0μm以上と大きいため、粉末が基板2に衝突しても、ブラスト現象は生じるものの、TiC粉末の一次粒子が破砕することはないため、TiC膜が成膜されることはない。
次に、パウダーフィーダー5にTiC膜を成膜するための原料粉末を充填する。充填するTiC粉末の一次粒子径は0.1μm以上3.0μm以下が望ましい。本発明の方法は、微小孔ノズル4から高速で噴射された微粒子が基板2に衝突する際の衝撃力を成膜の駆動力としているため、充填する炭化チタン(TiC)粉末の粒子径が0.1μm以下の場合、基板に衝突する際の衝撃力が小さいため、薄膜が形成されない。一方、充填する炭化チタン(TiC)粉末の粒子径が3.0μm以上の場合、成膜中にノズル4が閉塞し、成膜プロセスが停止してしまうことがあるので、注意が必要である。
次に、ロータリーポンプ10及びメカニカルブースターポンプ11によりチャンバー1内を真空排気する。チャンバー1内が10Pa以下の到達真空度に達したら、キャリアガスボンベ6から圧力調整器7及びマスフローコントローラ8を介して圧力及び流量を所定の値に設定したキャリアガスをパウダーフィーダー5に送り込む。キャリアガスには、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)などの不活性ガスを用いることができる。粒子速度を大きくするためには、キャリアガスはヘリウム(He)が望ましい。
キャリアガス流量が定常値に達し、チャンバー1内の圧力が安定したら、パウダーフィーダー5の粉末供給機構を作動させ、キャリアガスに原料粉末を均一に分散させたエアロゾルを形成する。このようにして生成したエアロゾルをノズル4のエアロゾル導入部に導入する。導入されたエアロゾルは、ノズル4の絞り部及び粒子加速部を順次通る際に加速され、ノズル4の先端の開口部から基板2の周縁部に形成された前記ブラスト面に向かって噴射される。基板2の表面に高速で衝突したエアロゾル中の原料粉末は破砕し、活性な新生面が露出し、その新生面に別の粒子の新生面が密着することにより、基板2の周縁部に形成されたブラスト面の上に高い密着力を有する緻密な炭化チタン(TiC)膜(導電性保護膜)が形成される。
この際、基板ホルダー3を図示しない駆動機構によって、XY方向に移動させることにより、基板2上の一定面積(周縁部)に炭化チタン(TiC)膜を形成することができる。パウダーフィーダー5からの原料粉末供給速度、基板ホルダー3の移動速度などを変化させることにより、基板2上に形成させる膜の膜厚を制御することができる。
基板2上に形成させる膜の膜厚は、0.01μm以上10μm以下が望ましい。基板2上に形成させる膜の膜厚が、0.01μm以下の場合、電極との接触抵抗低減効果が低下する。一方、基板2上に形成させる膜の膜厚が、10μm以上の場合、薄膜内の内部応力が大きくなり、膜が基板2から剥離しやすくなる。以上の成膜の過程において、基板2は特に加熱しておらず、常温に保たれている。
以下、本発明を実施例を説明する。以下に示す実施例は、本発明を好適に説明するための例示にすぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
原料粉末に日本新金属(株)の炭化チタン(商品番号:TiC−01)を用い、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部(単位セルの電極に電気的に接触する部分)に炭化チタン(TiC)薄膜を形成した。成膜に先立ち、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面にブラスト面を形成するため、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の炭化チタン(商品番号:TiC−M)粉末を充填した。充填した炭化チタン(TiC)粉末の平均一次粒径は3.3μmであった。ノズル4−基板2間距離を50mm、粉末供給速度2.5g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒、ヘリウム(He)流量は20リットル/分の条件で、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部をブラストしてブラスト面を形成した。
原料粉末に日本新金属(株)の炭化チタン(商品番号:TiC−01)を用い、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部(単位セルの電極に電気的に接触する部分)に炭化チタン(TiC)薄膜を形成した。成膜に先立ち、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面にブラスト面を形成するため、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の炭化チタン(商品番号:TiC−M)粉末を充填した。充填した炭化チタン(TiC)粉末の平均一次粒径は3.3μmであった。ノズル4−基板2間距離を50mm、粉末供給速度2.5g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒、ヘリウム(He)流量は20リットル/分の条件で、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部をブラストしてブラスト面を形成した。
次に、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の炭化チタン(商品番号:TiC−01)粉末を充填した。充填した炭化チタン(TiC)原料粉末の平均一次粒径は0.9μmであった。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末の供給速度1.5g/分、基板2の移動速度0.5mm/秒とした。ヘリウム(He)流量は20リットル/分に設定した。ノズルの開口径は0.5×5mmであり、ステンレスセパレータ基板(SUS304)の周縁部に形成されたブラスト面上に幅5mmの炭化チタン(TiC)膜を形成した。ステンレスセパレータ基板は常温であり、特に加熱はしていない。Sloan社製の段差計(商品名:DektakII−A)で、成膜した炭化チタン(TiC)膜の膜厚を計測した結果、膜厚は2.8μmであった。
(比較例1)
ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面の表面をブラストせずに、直接、炭化チタン(TiC)膜を形成した。この比較例1における炭化チタン膜の成膜条件は、上記実施例1と同様であった。
ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面の表面をブラストせずに、直接、炭化チタン(TiC)膜を形成した。この比較例1における炭化チタン膜の成膜条件は、上記実施例1と同様であった。
実施例1及び比較例1について、CSEM社のマイクロスクラッチ試験機を用いて、ダイアモンド圧子によるスクラッチ試験を行い、成膜した炭化チタン膜の密着力を評価した。圧子として先端極率50μmのダイアモンド圧子を用い、測定条件は、最大荷重30N、荷重速度50N/分、スクラッチ速度0.5mm/分とした。その結果、実施例1のクリティカル荷重が28Nであったのに対し、比較例1のクリティカル荷重は15Nであり、実施例1の方が基板2との密着力(耐剥離性)が高いことが確認された。
(実施例2)
原料粉末に日本新金属(株)の硼化チタン(商品番号:TiB2−NF)を用い、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周囲に硼化チタン(TiB2)薄膜を形成した。成膜に先立ち、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面にブラスト面を形成するために、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の硼化チタン(商品番号:TiB2−PO)粉末を充填した。充填した硼化チタン(TiB2)粉末の平均一次粒径は3.2μmであった。ノズル4−基板2間距離を50mm、粉末供給速度2.8g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒、ヘリウム(He)流量は、20リットル/分の条件でステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部をブラストしてブラスト面を形成した。
原料粉末に日本新金属(株)の硼化チタン(商品番号:TiB2−NF)を用い、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周囲に硼化チタン(TiB2)薄膜を形成した。成膜に先立ち、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面にブラスト面を形成するために、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の硼化チタン(商品番号:TiB2−PO)粉末を充填した。充填した硼化チタン(TiB2)粉末の平均一次粒径は3.2μmであった。ノズル4−基板2間距離を50mm、粉末供給速度2.8g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒、ヘリウム(He)流量は、20リットル/分の条件でステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部をブラストしてブラスト面を形成した。
次に、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の硼化チタン(商品番号:TiB2−NF)粉末を充填した。充填した硼化チタン(TiB2)原料粉末の平均一次粒径は1.0μmであった。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度1.8g/分、基板2の移動速度0.5mm/秒とした。ヘリウム(He)流量は20リットル/分に設定した。ノズルの開口径は0.5×5mmであり、ステンレスセパレータ基板(SUS304)の周縁部に形成されたブラスト面上に幅5mmの硼化チタン(TiB2)膜を形成した。ステンレスセパレータ基板は常温であり、特に加熱はしていない。Sloan社製の段差計(商品番号:DektakII−A)で成膜した硼化チタン(TiB2)膜の膜厚を計測した結果、膜厚は3.1μmであった。
(比較例2)
ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面をブラストせずに、直接、硼化チタン(TiB2)膜を形成した。この比較例2における硼化チタン(TiB2)膜の成膜条件は、実施例2と同様であった。
ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面をブラストせずに、直接、硼化チタン(TiB2)膜を形成した。この比較例2における硼化チタン(TiB2)膜の成膜条件は、実施例2と同様であった。
実施例2及び比較例2について、CSEM社のマイクロスクラッチ試験機を用いて、ダイアモンド圧子によるスクラッチ試験を行い、成膜した炭化チタン膜の密着力を評価した。圧子として先端極率50μのダイアモンド圧子を用い、測定条件は、最大荷重30N、荷重速度50N/分、スクラッチ速度10.5mm/分とした。その結果、実施例2のクリティカル荷重が24Nであったのに対し、比較例2のクリティカル荷重は11Nであり、実施例2の方が基板2との密着力(耐剥離性)が高いことが確認された。
(実施例3)
原料粉末に日本新金属(株)の硼化ジルコニウム(商品番号:ZrB2−F)を用い、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部に硼化ジルコニウム(ZrB2)薄膜を形成した。成膜に先立ち、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面にブラスト面を形成するために、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の硼化ジルコニウム(商品番号:ZrB2−O)粉末を充填した。充填した硼化ジルコニウム(ZrB2)粉末の平均一次粒径は3.5μmであった。ノズル4−基板2間距離を590mm、粉末供給速度3.2g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒、ヘリウム(He)流量は、20リットル/分の条件でステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部をブラストしてブラスト面を形成した。
原料粉末に日本新金属(株)の硼化ジルコニウム(商品番号:ZrB2−F)を用い、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部に硼化ジルコニウム(ZrB2)薄膜を形成した。成膜に先立ち、ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面にブラスト面を形成するために、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の硼化ジルコニウム(商品番号:ZrB2−O)粉末を充填した。充填した硼化ジルコニウム(ZrB2)粉末の平均一次粒径は3.5μmであった。ノズル4−基板2間距離を590mm、粉末供給速度3.2g/分、基板2の移動速度1.0mm/秒、ヘリウム(He)流量は、20リットル/分の条件でステンレスセパレータ基板(SUS304)2の周縁部をブラストしてブラスト面を形成した。
次に、パウダーフィーダー5に日本新金属(株)の硼化ジルコニウム(商品番号:ZrB2−F)粉末を充填した。充填した硼化ジルコニウム(ZrB2)原料粉末の平均一次粒径は1.5μmであった。成膜条件は、ノズル4−基板2間距離を50mm、原料粉末供給速度2.5g/分、基板2の移動速度0.5mm/秒とした。ヘリウム(He)流量は、20リットル/分に設定した。ノズルの開口径は0.5×5mmであり、ステンレスセパレータ基板(SUS304)の周縁部に形成されたブラスト面上に幅5mmの硼化ジルコニウム(ZrB2)膜を形成した。ステンレスセパレータ基板は常温であり、特に加熱はしていない。Sloan社製の段差計(商品名:DektakII−A)で成膜した硼化ジルコニウム(ZrB2)膜の膜厚を計測した結果、膜厚は2.9μmであった。
(比較例3)
ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面をブラストせずに、直接、硼化ジルコニウム(ZrB2)膜を形成した。この比較例3における硼化ジルコニウム(ZrB2)膜の成膜条件は、実施例3と同様であった。
ステンレスセパレータ基板(SUS304)2の表面をブラストせずに、直接、硼化ジルコニウム(ZrB2)膜を形成した。この比較例3における硼化ジルコニウム(ZrB2)膜の成膜条件は、実施例3と同様であった。
実施例3及び比較例3について、室温と100℃との間で熱サイクル試験を実施した結果、基板2表面にブラスト面を形成した実施例3では、硼化ジルコニウム(ZrB2)膜の剥離は全く認められなかったのに対し、基板2表面のブラスト処理を施していない比較例3では、硼化ジルコニウム(ZrB2)膜の一部に剥離が認められた。
本発明の金属セパレータは、燃料電池の単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末によるブラスト面が形成され、該ブラスト面上に導電性保護膜が形成されているので、腐食環境下においても、電極との接触部分において良好な接触抵抗を維持することができる。さらに本発明では、上記の導電性保護膜を成膜する前に、金属微粉末で基板表面をブラストして、基板の表面にブラスト面を形成し、このブラスト面上に導電性保護膜を形成しているため、セパレータ基板と導電性保護膜との密着力(耐剥離性)が向上され、その結果、固体高分子電解質燃料電池の高性能化及び長寿命化に貢献できる。
1 チャンバー
2 基板(セパレータの金属基材)
3 基板ホルダー
4 ノズル
5 パウダーフィーダー
6 キャリアガスボンベ
7 圧力調整器
8 マスフローコントローラ
9 フィルター
10 ロータリーポンプ
11 メカニカルブースターポンプ
12 バルブ
13 圧力計
14 電極
15 カーボンクロス
16 サンプル
21 固体高分子膜
22 酸素極
23 水素極
24 燃料電池用セパレータ
24a 燃料電池用セパレータの一方の側面
24b 燃料電池用セパレータの他方の側面
25 燃料ガス用溝
26 酸化剤ガス用溝
27a 燃料ガス供給穴(ガス供給部)
27b 燃料ガス排出穴
28a 酸化剤ガス供給穴(ガス供給部)
28b 酸化剤ガス排出穴
2 基板(セパレータの金属基材)
3 基板ホルダー
4 ノズル
5 パウダーフィーダー
6 キャリアガスボンベ
7 圧力調整器
8 マスフローコントローラ
9 フィルター
10 ロータリーポンプ
11 メカニカルブースターポンプ
12 バルブ
13 圧力計
14 電極
15 カーボンクロス
16 サンプル
21 固体高分子膜
22 酸素極
23 水素極
24 燃料電池用セパレータ
24a 燃料電池用セパレータの一方の側面
24b 燃料電池用セパレータの他方の側面
25 燃料ガス用溝
26 酸化剤ガス用溝
27a 燃料ガス供給穴(ガス供給部)
27b 燃料ガス排出穴
28a 酸化剤ガス供給穴(ガス供給部)
28b 酸化剤ガス排出穴
Claims (14)
- 固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる導電性および耐食性に優れた金属セパレータであって、
前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末によるブラスト面が形成され、該ブラスト面上に導電性保護膜が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。 - 前記導電性保護膜が微粉末ジェットコーティング層から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
- 前記微粉末ジェットコーティング層が一次粒径0.1μm〜3.0μmの微粉末を用いて得られた緻密層であることを特徴する請求項2に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
- 前記微粉末によるブラスト面が一次粒径3.0μm以上の微粉末を用いたブラスト処理によるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
- 前記導電性保護膜が、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ。
- 固体高分子電解質燃料電池を構成する単位セル間に設けられる導電性および耐食性に優れた燃料電池用金属セパレータの製造方法であって、
前記金属セパレータの前記単位セルを構成する電極と接触する金属基材表面に、微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けてブラスト面を形成し、
前記ブラスト面上に導電性保護膜を形成することを特徴とする固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。 - 前記導電性保護膜を、前記ブラスト面上に前記ブラスト用微粉末より一次粒径が小さな微粉末をキャリアガスとともに微小孔ノズルの先端から吹き付けることにより、形成することを特徴とする請求項6に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記導電性保護膜形成用の微粉末として一次粒径0.1μm〜3.0μmの微粉末を用いることを特徴する請求項7に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記導電性保護膜形成用の微粉末の吹きつけ粒子速度を500m/秒以上とすることを特徴とする請求項8に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記ブラスト用微粉末として一次粒径3.0μm以上の微粉末を用いることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記導電性保護膜を、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つ、もしくは、これらの材料の組合わせから構成することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記導電性保護膜形成用の微粉末として、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることを特徴とする請求項7または8に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- 前記ブラスト用微粉末として、炭化チタン(TiC)、炭化シリコン(SiC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、硼化チタン(TiB2)、硼化クロム(CrB)、硼化タンタル(TaB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(Cr2N)、窒化タンタル(TaN)、さらに酸化アルミニウム(Al2O3),酸化ジルコニウム(ZrO2),酸化ハフニウム(HfO2)等の金属酸化物、珪化モリブデン(MoSi2),珪化コバルト(CoSi2)などの珪化物のいずれか1つの微粉末、もしくは、これらの微粉末の組合わせ混合微粉末を用いることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータの製造方法。
- ガス供給部を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子電解質燃料電池用セパレータと、
固体高分子膜の一方の面に酸素含有ガスが供給されるカソード側電極と、他方の面に水素含有ガスが供給されるアノード側電極とを備えた単位セルと、
を積層して構成されている固体高分子電解質燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004328099A JP2006140009A (ja) | 2004-11-11 | 2004-11-11 | 固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法 |
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JP2004328099A JP2006140009A (ja) | 2004-11-11 | 2004-11-11 | 固体高分子電解質燃料電池用金属セパレータ及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2006140009A true JP2006140009A (ja) | 2006-06-01 |
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ID=36620703
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007100131A1 (ja) * | 2006-02-27 | 2007-09-07 | Nippon Steel Corporation | 固体高分子型燃料電池用セパレータおよびその製造方法 |
JP2010212179A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Sintokogio Ltd | 固体高分子型燃料電池のセパレ一夕用基材の表面導電化処理方法 |
JP2019199627A (ja) * | 2018-05-14 | 2019-11-21 | トヨタ自動車株式会社 | 表面処理方法及び表面処理装置 |
WO2022152341A1 (de) * | 2021-01-13 | 2022-07-21 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Redox-flussbatterie |
-
2004
- 2004-11-11 JP JP2004328099A patent/JP2006140009A/ja not_active Withdrawn
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US8182961B2 (en) | 2006-02-27 | 2012-05-22 | Nippon Steel Corporation | Solid polymer type fuel cell separator and method of production of same |
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WO2022152341A1 (de) * | 2021-01-13 | 2022-07-21 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Redox-flussbatterie |
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