JP4352625B2 - 路面清掃車の吸塵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面清掃車の吸塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図6に示すように、車体51の下部に吸塵フード52を装備した空気循環式路面清掃車が知られている。吸塵フード52の内側には吸塵室53が形成され、吸塵フード52の前面には路面に摺接するゴム製のフロントフラップ54が取り付けられている。吸塵フード52は圧送ダクト55を介しブロア56に接続されるとともに、吸引ダクト57を介しホッパ58に接続されている。そして、路面上の塵埃をサイドブラシ59で掃き寄せ、フロントフラップ54の下側から吸塵室53に取り込み、吸引ダクト57で吸い上げてホッパ58に回収するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の吸塵装置によると、土砂や石等の重い塵埃はフロントフラップ54の下側をスムーズに通過するが、枯葉や袋等の軽い塵埃はフロントフラップ54の前に残りやすかった。このため、路面上に軽い塵埃が大量にあると、フロントフラップ54の前にごみの塊60が堆積し、フロントフラップ54は撓むが撓むほど腰が強くなるので、この種の塵埃を吸塵室53に取り込むことができず、回収不能になるという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、塵埃の種類や量に応じてフロントフラップの取込方式を切り換え、枯葉や袋等の軽い塵埃であっても容易に回収することができる路面清掃車の吸塵装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明による吸塵装置は、車体の下部に吸塵フードを設け、吸塵フードの前面に路面に摺接するフロントフラップを取り付け、路面上の塵埃をフロントフラップの下側から吸塵フードの吸塵室に取り込み、吸引ダクトを介してホッパに回収する路面清掃車において、フロントフラップの一部に塵埃を吸塵室に通過させる開口部を形成し、吸塵フードに、フロントフラップが路面に摺接した状態で開口部を開閉する開閉フラップを取り付けてなることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明による吸塵装置は、開口部を吸引ダクトの吸込口と対応する車幅方向位置において形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明による吸塵装置は、開口部を通過した塵埃を吸込口に案内するガイドフラップを吸塵室に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明による吸塵装置は、吸塵フードに開閉フラップを垂直軸の周りで回動可能に取り付け、開閉フラップと吸塵フードとの間に開閉フラップを閉鎖位置及び開放位置に保持するバネ部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明による吸塵装置は、吸塵フードの前方にサイドブラシを配置し、開閉フラップにその開放位置において先端がサイドブラシの外周に届く長さのゴムフラップを設けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この実施形態の吸塵装置は図6に示すような空気循環式路面清掃車に装備されている。図1及び図2に示すように、吸塵フード1の本体2は下面が開いた長四角箱形に形成され、フード本体2の車幅方向片側に圧送ダクト3及び吸引ダクト4の下端部が接続されている。フード本体2の内側は仕切板5で上下に仕切られ、上側の送風室6は圧送ダクト3に連通し、下側の吸塵室7は吸引ダクト4に連通している。仕切板5の後側には送風室6の加圧空気を吸塵室7に吹き出すノズル8が吸塵フード1の長手(車幅)方向のほぼ全長にわたって設けられ、フード本体2の内側に図1に鎖線矢印で示す循環空気流が形成される。図2において、Sは車体側面を示す。
【0011】
フード本体2の左右の側壁2a,2bの下端には路面に接するダートシュー9が固着されている。フード本体2の前壁2c及び後壁2dには路面に摺接するゴム製のフロントフラップ10及びリアフラップ11が前後2枚ずつ取り付けられ、各フラップ10,11と側壁2a,2bとにより吸塵室7の気密が保持されている。そして、路面上の塵埃を吸塵フード1より前方のサイドブラシ59で掃き寄せ、フロントフラップ10の下側から吸塵室7に取り込み、前記循環空気流にのせ、吸引ダクト4を介しホッパ58に回収するようになっている。なお、前壁2cには路面上の塵埃を吸引ダクト4の吸込口4a側へ寄せるデフレクタ12が斜めに突設されている。
【0012】
図2〜図4に示すように、吸込口4aと対応する車幅方向位置において、フロントフラップ10の一部には路面上の塵埃を吸塵室7に直接通過させる開口部14が形成されている。吸塵室7には開口部14を通過した塵埃を吸込口4aに案内するゴム製のガイドフラップ15が設けられ、湾曲板16(図1参照)を介し仕切板5に取り付けられている。なお、この実施形態では、前後のフロントフラップ10を左右に切り離し、開口部14を吸塵室7と略同じ高さで形成しているが、フロントフラップ10の下側部分を切り欠き、開口部14を吸塵室7より低く形成してもよい。
【0013】
図3〜図5に示すように、フード本体2には開口部14を手動操作により前後に開閉する開閉フラップ18が取り付けられている。開閉フラップ18は、ブラケット19の下側に前後2枚のゴムフラップ20,21をフロントフラップ10と同じ間隔で取り付けて構成されている。ブラケット19は吸込口4a側の垂直軸22により保持板23に回動可能に支持されている。保持板23は開閉フラップ18の可動範囲を覆い得る大きさで形成され、その後端部は仕切板5にボルト24で取り付けられている。垂直軸22は保持板23の下面に固着した軸受25に保持され、ブラケット19には垂直軸22に対し回動自在なスリーブ26が固着されている。
【0014】
前ゴムフラップ20はブラケット19に帯板28を介して取り付けられ、後ゴムフラップ21はブラケット19の折曲部29に取り付けられている。そして、開閉フラップ18の閉鎖状態においては、前ゴムフラップ20の左右両端部及び後ゴムフラップ21の左端部が前後のフロントフラップ10に前方から接合し、後ゴムフラップ21の右端部はガイドフラップ15に後方から接合して、吸塵室7の気密を保持できるようになっている。一方、フロントフラップ10の開口部14側の端部(図4の10a,10b,10c)は、ブラケット19の回動時にゴムフラップ20,21と接触して撓むように、フード本体2に非拘束の状態で取り付けられている。
【0015】
保持板23には垂直軸22を中心とする円弧孔31が形成されるとともに、円弧孔31の前方に揺動軸32が支持板33を介して支持されている。ブラケット19の中間部上面には円弧孔31に嵌合する案内軸34が突設され、案内軸34にロッド35の後端が回動可能に連結され、ロッド35の前端は揺動軸32の孔36に摺動自在に貫通されている。ロッド35には一対のバネ座37が遊挿され、これらの間にバネ部材としてのコイルスプリング38が介装されている。保持板23の前端部はサイドブラシ59と干渉しないように上方へ斜めに折り曲げられ、この折曲部39にロッド35の前端部が出入りする長孔40が透設されている。
【0016】
そして、ブラケット19の回動に伴ない案内軸34が円弧孔31により案内され、案内軸34が円弧孔31の左端で停止したときに(図2参照)、ゴムフラップ20,21が開口部14を閉鎖し、コイルスプリング38が開閉フラップ18を閉鎖位置に保持する。また、案内軸34が円弧孔31の右端で停止したときには(図3参照)、ゴムフラップ20,21が開口部14を開放し、コイルスプリング38が開閉フラップ18を開放位置に保持する。なお、前ゴムフラップ20は後ゴムフラップ21より長く形成され、開閉フラップ18の開放位置において、前ゴムフラップ20の先端がサイドブラシ59の外周に届くようになっている。
【0017】
上記構成の吸塵装置においては、通常、開閉フラップ18を閉じた状態で清掃作業を行う。この状態では、コイルスプリング38が開閉フラップ18を閉鎖位置に保持しているので、吸塵室7の気密を確実に保持でき、路面上の土砂や石等をフロントフラップ10及び開閉フラップ18の下を通して吸塵室7に効率よく取り込むことができる。また、路面上に枯葉や袋等の軽い塵埃が大量にある場合には、開閉フラップ18を開いて清掃作業を行う。こうすれば、軽い塵埃をフロントフラップ10の開口部14から吸塵室7に直接取り込み、ガイドフラップ15で吸込口4aにスムーズに案内して、吸引ダクト4を介しホッパ58に容易に回収することができる。
【0018】
特に、この実施形態の吸塵装置によれば、開口部14が吸込口4a側に形成されているので、開口部14を通過した軽い塵埃を短い経路で吸込口4aへ瞬時に導くことができる。また、開閉フラップ18はコイルスプリング38の復元力によって開放位置に保持されているので、車体51の振動でばたついたり、閉じたりするおそれがない。しかも、開放位置では、開閉フラップ18の前ゴムフラップ20がサイドブラシ59に接触して吸塵フード1とサイドブラシ59との開放域を塞いでいるので、軽い塵埃がサイドブラシ59の回転に追従して車体51の側方へ飛散するおそれもない。
【0019】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1) フロントフラップ及び開閉フラップのゴムフラップをそれぞれ1枚にすること。
(2) 吸引ダクトの吸込口、フロントフラップの開口部及び開閉フラップをそれぞれ吸塵フードの車幅方向中央部に設けること。
(3) 開閉フラップを水平軸周りで上下に開閉可能に設けること。
(4) 開閉フラップを油圧シリンダ等のアクチュエータで自動的に開閉すること。
(5) 本発明の吸塵装置を、吸塵室の空気を吸引ダクト及びホッパを介してブロアから排出するタイプの路面清掃車に実施すること。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、フロントフラップの一部に開口部を形成し、吸塵フードに、フロントフラップが路面に摺接した状態で開口部を開閉する開閉フラップを取り付けたので、塵埃の種類や量に応じてフロントフラップの取込方式を切り換え、枯葉や袋等の軽い塵埃であっても容易に回収できるという優れた効果を奏する。
【0021】
請求項2の発明によれば、開口部を吸引ダクトの吸込口側に形成したので、軽い塵埃を開口部から吸込口へ短い経路で瞬時に導くことができる効果がある。
【0022】
請求項3の発明によれば、吸塵室にガイドフラップを設けたので、開口部を通過した塵埃を吸込口にスムーズに案内できる効果がある。
【0023】
請求項4の発明によれば、開閉フラップを閉鎖位置及び開放位置に保持するバネ部材を設けたので、閉鎖位置において吸塵室の気密を保持し、開放位置において開閉フラップのばたつきを防止できる効果がある。
【0024】
請求項5の発明によれば、開閉フラップの開放位置においてゴムフラップが吸塵フードとサイドブラシとの開放域を塞ぐので、軽い塵埃の車体側方への飛散を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す吸塵装置の側面図である。
【図2】図1の吸塵装置の平面図である。
【図3】開閉フラップの開閉機構を示す図2の要部拡大図である。
【図4】開閉フラップの作用説明図である。
【図5】開閉フラップの取付構造を示す図1の要部断面図である。
【図6】従来の吸塵装置を示す空気循環式路面清掃車の側面図である。
【符号の説明】
1・・吸塵フード、2・・フード本体、4・・吸引ダクト、4a・・吸込口、7・・吸塵室、10・・フロントフラップ、14・・開口部、15・・ガイドフラップ、18・・開閉フラップ、20,21・・ゴムフラップ、22・・垂直軸、38・・コイルスプリング、51・・車体、58・・ホッパ、59・・サイドブラシ。

Claims (5)

  1. 車体の下部に吸塵フードを設け、吸塵フードの前面に路面に摺接するフロントフラップを取り付け、路面上の塵埃をフロントフラップの下側から吸塵フードの吸塵室に取り込み、吸引ダクトを介してホッパに回収する路面清掃車において、
    フロントフラップの一部に塵埃を吸塵室に通過させる開口部を形成し、
    吸塵フードに、フロントフラップが路面に摺接した状態で開口部を開閉する開閉フラップを取り付けてなる吸塵装置。
  2. 開口部を吸引ダクトの吸込口と対応する車幅方向位置において形成した請求項1記載の路面清掃車の吸塵装置。
  3. 開口部を通過した塵埃を吸込口に案内するガイドフラップを吸塵室に設けた請求項2記載の路面清掃車の吸塵装置。
  4. 吸塵フードに開閉フラップを垂直軸の周りで回動可能に取り付け、開閉フラップと吸塵フードとの間に開閉フラップを閉鎖位置及び開放位置に保持するバネ部材を設けた請求項1、2又は3記載の路面清掃車の吸塵装置。
  5. 吸塵フードの前方にサイドブラシを配置し、開閉フラップにその開放位置において先端がサイドブラシの外周に届く長さのゴムフラップを設けた請求項4記載の路面清掃車の吸塵装置。
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