JP4350280B2 - 常温硬化性ゴム組成物およびその用途 - Google Patents
常温硬化性ゴム組成物およびその用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、硬化速度が速く、耐候性に優れ、しかも密着性に優れる硬化物を形成し得る常温硬化性ゴム組成物およびその用途に関し、さらに詳しくは、特にメラミンアルキドやメラミンアクリル等の従来からある塗料の塗膜に対する密着性を改良した、自動車補修用塗料等の用途に有用な常温硬化性ゴム組成物およびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂が常温で空気中の湿分により緻密な網状構造を形成し、高光沢、耐候性、耐変色性、耐溶剤性、硬度、無機系基材に対する密着性等の優れた樹脂となることが既に知られている。
加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂のこのような優れた特性を生かし、塗料、接着剤、コーテイング剤、シーラント、バインダーなど多くの用途に使用することが可能である。
【0003】
しかしながら、加水分解性シリル基含有ビニル系樹脂の有機系基材に対する密着性は必らずしも満足のゆくものではなかった。たとえば自動車補修用塗料としては、種々の旧来からある塗料の塗膜に対する密着性が要求され、特にメラミンアクリルやメラミンアルキッド上の密着性を確保することが課題であつた。
メラミンアルキドやメラミンアクリルに対する密着性改善の方法として、アミン系シランカップリング剤またはその変性物を添加する方法が知られているが、アミン系シランカップリング剤の添加は、加水分解性シリル基含有ビニル系共重合体の保存安定性の低下を招いたり、また着色しやすい等の問題があった。
【0004】
特開平1−51468号公報には、加水分解性シリル基含有ビニル系共重合体のメラミンアルキドやメラミンアクリルに対する密着性がシラン化合物の部分加水分解縮合物の添加により改善されることが記載されているが、有機系基材に対する密着性の更なる向上が要望されていた。また、自動車補修用塗料等の分野では、作業時間短縮の観点から硬化時間が短いこと、補修後の耐久性の観点から耐候性に優れること、がそれぞれ重要であり、これらの特性の向上が、大きな課題として残されていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、硬化速度が速く、耐候性に優れ、しかも、密着性に優れる硬化物を形成し得る常温硬化性ゴム組成物およびその用途を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物は、
非共役ポリエンである下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有し、かつ、分子中に下記一般式[III]で表わされる加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
下記一般式[V]
R1 nSi(OCH3)4-n ・・・[V]
[式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、
【0007】
【化18】
【0008】
HS(CH2)2CH2−、H2N(CH2)2NH(CH2)2CH2−、
CH2=CH−CO−O(CH2)2CH2−、
CH2=CH−CH=C(CH3)−CO−O(CH2)2CH2−
を示し、nは0〜3の整数を示す]で表わされるシラン化合物の単独あるいは複数からなる部分加水分解縮合物で、加水分解性メトキシシリル基を有する、数平均分子量が250〜2,500のシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、
硬化触媒(C)と
からなることを特徴としている。
【0009】
【化19】
【0010】
[式中、nは0ないし10の整数であり、
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。]
【0011】
【化20】
【0012】
[式中、R3は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。]
【0013】
【化21】
【0014】
[式中、Rは、炭素原子数1〜12の1価炭化水素基であり、
Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、チオアルコキシ基およびアミノ基から選ばれる加水分解性基であり、
aは0、1または2の整数である]。
【0015】
前記シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)としては、メチルオルトシリケートの部分加水分解縮合物、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシランを一成分として含む部分加水分解縮合物が挙げられる。
前記硬化触媒(C)としては、たとえば下記の一般式
【0016】
【化22】
【0017】
[式中、R7は、炭素原子数1〜20の1価のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、n’は1〜3の整数である。]で表わされるリン酸および/または酸性リン酸エステル、
リン酸および/または酸性リン酸エステルと、エポキシ化合物との付加反応生成物、
下記の一般式
【0018】
【化23】
【0019】
[これらの式において、R3は、炭素原子数1〜20の1価のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、
R4は、水素またはメチル基であり、
R5は、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アラルキル基、アリーレン基、または
【0020】
【化24】
【0021】
である。]
で表わされる酸性リン酸エステル基を有する(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーとの共重合体であり、その数平均分子量(Mn)が1,000〜30,000である(メタ)アクリレート系共重合体、
リン酸および/または酸性リン酸エステルと、エポキシシランとの付加反応生成物、
リン酸および/または酸性リン酸エステルと、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの付加反応生成物が好ましく用いられる。
【0022】
本発明に係る他の常温硬化性ゴム組成物は、
前記一般式[III]で表わされる加水分解性シリル基を含有する、主鎖に実質的に不飽和二重結合を含まない有機重合体(D)と、
前記一般式[V]で表わされるシラン化合物の単独あるいは複数からなる部分加水分解縮合物で、加水分解性メトキシシリル基を有する、数平均分子量が250〜2,500のシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、
硬化触媒(C)と
を含有してなる架橋可能なゴム組成物であって、
電気・電子部品、輸送機、土木・建築、医療またはレジャーの用途に用いられることを特徴としている。
【0023】
前記電気・電子部品の用途としては、たとえば重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材、ポッティング材、コーティング材もしくは接着剤;電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;またはゲルもしくはコンデンサの封入材が挙げられる。
前記シーリング材は、たとえば冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロンまたは漏電ブレーカー用のシール材として用いられる。
【0024】
前記ポッティング材は、たとえばトランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするために用いられる。
前記コーティング材は、高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドICの回路素子;HIC;電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするために用いられる。
【0025】
前記接着剤は、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために用いられる。
前記輸送機の用途としては、たとえば自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途が挙げられる。
前記自動車の用途としては、具体的には、自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルター用のシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のポッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラスもしくはエンジンコントロール基板用のコーティング材;またはオイルパンのガスケット、タイミングベルトカバーのガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤の用途が挙げられる。
【0026】
前記船舶の用途としては、具体的には、配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;または電線もしくはガラス用の接着剤の用途が挙げられる。
前記土木・建築の用途としては、たとえば商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケースにおける内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;または粘着シート、防水シートもしくは防振シートの用途に用いられる。
【0027】
前記医療の用途としては、たとえば医薬用ゴム栓、シリンジガスケットもしくは減圧血管用ゴム栓用のシール材料が挙げられる。前記レジャーの用途としては、たとえばスイミングキャップ、ダイビングマスクもしくは耳栓用のスイミング部材;またはスポーツシューズもしくは野球グローブ用のゲル緩衝部材が挙げられる。
【0028】
本発明に係るシーリング材、ポッティング材、コーティング材、および接着剤は、
前記一般式[III] で表わされる加水分解性シリル基を含有する、主鎖に実質的に不飽和二重結合を含まない有機重合体(D)と、
前記一般式[V]で表わされるシラン化合物の単独あるいは複数からなる部分加水分解縮合物で、加水分解性メトキシシリル基を有する、数平均分子量が250〜2,500のシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、
硬化触媒(C)と
を含有してなる架橋可能なゴム組成物からなることを特徴としている。
【0029】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る常温硬化性ゴム組成物およびその用途について具体的に説明する。
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物は、シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、必要に応じて硬化触媒(C)とを含有してなる。
【0030】
[シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン
ランダム共重合体ゴム(A)]
本発明で用いられるシリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)は、下記一般式[III] で表わされる加水分解性シリル基を含有しており、特定のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)に、特定のケイ素化合物をハイドロシリレーション反応(ヒドロシリル化反応)させることなどにより得ることができる。
【0031】
【化25】
【0032】
一般式[III]において、Rは、非置換または置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基であり、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子などで置換した基が挙げられる。
【0033】
また、Xは、ハイドライド基(−H)、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、チオアルコキシ基、またはアミノ基である。
ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、酸アミド基およびチオアルコキシ基の具体例は、後述する一般式[IV]中のXにおけるこれらの基の具体例と同じ基が挙げられる。
【0034】
aは0、1または2の整数であり、好ましくは0または1である。
エチレン・α - オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A 0 )
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
【0035】
このような炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。
【0036】
これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる非共役ポリエンは、下記の一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物である。
【0037】
【化26】
【0038】
一般式[I]において、nは0ないし10の整数であり、
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R1の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
【0039】
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
R2の炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記R1の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0040】
【化27】
【0041】
一般式[II]において、R3は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。
R3のアルキル基の具体例としては、上記R1のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
上記一般式[I]または[II]で表わされるノルボルネン化合物としては、具体的には、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-2- プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1-メチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-エチル-3- ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-メチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(3-エチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネン、5-(2-メチル-6- ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5- ヘキセシル)-2- ノルボルネン、5-(5-エチル-5- ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4- ペンテニル)-2- ノルボルネンなど挙げられる。このなかでも、5-ビニル-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2- ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2- ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2- ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2- ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2- ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2- ノルボルネンが好ましい。これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0042】
上記ノルボルネン化合物たとえば5-ビニル-2- ノルボルネンの他に、本発明の目的とする物性を損なわない範囲で、以下に示す非共役ポリエンを併用することもできる。
このような非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-メチレン-2- ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、5-ビニリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニル-2- ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;
2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-プロペニル-2,2- ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
【0043】
上記のような諸成分からなるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)は、以下のような特性を有している。
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとのモル比(エチレン/α- オレフィン)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)は、(a)エチレンで導かれる単位と(b)炭素原子数3〜20のα- オレフィン(以下単にα- オレフィンということがある)から導かれる単位とを、40/60〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは60/40〜80/20のモル比[(a)/(b)]で含有している。
【0044】
このモル比が上記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性および加工性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
(ii)ヨウ素価
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)のヨウ素価は、0.5〜50(g/100g)、好ましくは0.8〜40(g/100g)、さらに好ましくは1〜30(g/100g)、特に好ましくは1.5〜25(g/100g)である。
【0045】
このヨウ素価が上記範囲内にあると、加水分解性シリル基を目的とする含有量に調整でき、耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、耐環境劣化性(=耐熱老化性)に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。ヨウ素価が50を超えると、コスト的に不利になるので好ましくない。
(iii) 極限粘度
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.001〜2dl/g、好ましくは0.01〜2dl/g、さらに好ましくは0.05〜1.0dl/g、より好ましくは0.05〜0.7dl/g、特に好ましくは0.1〜0.5dl/gであることが望ましい。
【0046】
この極限粘度[η]が上記範囲内にあると、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れた架橋ゴム成形体を提供することができ、流動性に優れたゴム組成物が得られる。
(iv)分子量分布(Mw/Mn)
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)のGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は、3〜100、好ましくは3.3〜75、さらに好ましくは3.5〜50である。
【0047】
この分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに、強度特性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)は、下記化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒の存在下に、重合温度30〜60℃、特に30〜59℃、重合圧力4〜12kgf/cm2、特に5〜8kgf/cm2、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレンと、炭素原子数3〜20のα- オレフィンと、上記一般式[I]または[II]で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とをランダム共重合することにより得られる。共重合は、炭化水素媒体中で行なうのが好ましい。
(H)VO(OR)nX3-n(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4(Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウム化合物。
【0048】
上記可溶性バナジウム化合物(H)は、重合反応系の炭化水素媒体に可溶性の成分であり、具体的には、一般式 VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(式中、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物を代表例として挙げることができる。
【0049】
より具体的には、VOCl3、VO(OC2H5)Cl2、
VO(OC2H5)2Cl、VO(O−iso-C3H7)Cl2、
VO(O−n-C4H9)Cl2、VO(OC2H5)3、VOBr3、VCl4、
VOCl3、VO(O−n-C4H9)3、VCl3・2OC6H12OHなどを例示することができる。
(I)R'mAlX'3-m (R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、 mは1〜3である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
【0050】
上記有機アルミニウム化合物(I)としては、具体的には、
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R1 0.5Al(OR1)0.5などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0051】
本発明において、上記化合物(H)のうち、VOCl3で表わされる可溶性バナジウム化合物と、上記化合物(I)のうち、Al(OC2H5)2Cl/Al2(OC2H5)3Cl3のブレンド物(ブレンド比は1/5以上)を触媒成分として使用すると、ソックスレー抽出(溶媒:沸騰キシレン、抽出時間:3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1%以下であるエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)が得られるので好ましい。
【0052】
また、上記共重合の際に使用する触媒として、いわゆるメタロセン触媒たとえば特開平9−40586号公報に記載されているメタロセン触媒を用いても差し支えない。
ケイ素化合物
本発明で用いられるケイ素化合物は、下記一般式[IV]で表わされる。
【0053】
【化28】
【0054】
一般式[IV]において、Rは、非置換または置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子などで置換した基が挙げられる。
【0055】
また、Xは、ハイドライド基(−H)、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、チオアルコキシ基、またはアミノ基である。
ハロゲン基としては、たとえば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0056】
アルコキシル基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロポキシブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、などが挙げられる。
アシルオキシ基としては、たとえば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0057】
ケトキシメート基としては、たとえば、アセトキシメート基、ジメチルケトキシメート基、ジメチルケトキシメート基、シクロヘキシルメート基などが挙げられる。
アミド基としては、たとえば、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジブチルアミド基、ジフェニルアミド基などが挙げられる。
【0058】
酸アミド基としては、たとえば、カルボン酸アミド基、マレイン酸アミド基、アクリル酸アミド基、イタコン酸アミド基などが挙げられる。
チオアルコキシ基としては、たとえば、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオイソブトキシ基、sec-チオブトキシ基、tert-チオブトキシ基、チオペンチルオキシ基、チオヘキシルオキシ基、チオフェノキシ基などが挙げられる。
【0059】
アミノ基としては、たとえば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
これらの中では、アルコキシル基、特に炭素原子数1〜4のアルコキシル基が好ましい。
上記一般式[IV]におけるaは0、1または2の整数であり、好ましくは0または1である。
【0060】
上記一般式[IV]で表わされるケイ素化合物としては、具体的には、
トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン等のハロゲン化シラン類;
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ブチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ブチルエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;
トリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン等のアシロキシシラン類;
トリス(アセトキシメート)シラン、ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン等のケトキシメートシラン類;
アミノキシシラン、トリアミノキシシラン等のアミノオキシシラン類;
メチルジアミノシラン、トリアミノシラン等のアミノシラン類などが挙げられる。これらの中では、特にアルコキシシラン類が望ましい。
【0061】
上記一般式[IV]で表わされるケイ素化合物は、上記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)中の二重結合1モル当たり、0.01〜5モル、好ましくは0.05〜3モルとすることが好ましい。
ハイドロシリレーション反応は、遷移金属錯体の触媒を使用して行なう。
このような触媒としては、たとえば白金、ロジウム、コバルト、パラジウムおよびニッケルから選ばれるVIII族遷移金属錯体化合物が有効に使用される。これらの中では、特に塩化白金酸、白金オレフィン錯体のような白金系触媒が好ましい。この場合、触媒の使用量は触媒量であるが、好ましくは反応物(エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)に対して、金属単位として0.1〜10000ppm、好ましくは1〜1000ppm、特に好ましくは20〜200ppmである。このハイドロシリレーション反応の好適な温度は30〜180℃、好ましくは60〜150℃である。また、このハイドロシリレーション反応は、必要に応じて加圧下で行なうことができる。反応時間は10秒〜10時間程度である。
【0062】
なお、この反応では、溶剤は使用してもしなくてもよいが、使用する場合はエーテル類、炭化水素類のような不活性溶剤が好ましい。
本発明においては、上記ハイドロシリレーション反応により、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)中の二重結合に、上記一般式[IV]で表わされるケイ素化合物のSiH基が付加した、下記のような加水分解性シリル基含有のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が得られる。
【0063】
【化29】
【0064】
【化30】
【0065】
なお、上記一般式[IV]で表わされる加水分解性シリル基含有化合物とともに、下記式で表わされる片末端水素変性シロキサンを付加させて、シロキサンの特徴である耐候性、滑り性、ガス透過性を付与することも可能である。
【0066】
【化31】
【0067】
(式中、R1は、一般式[IV]におけるRと同様、非置換または置換の炭素原子数1〜12の1価炭化水素基であり、特にアルキル基であることが好ましい。また、mは5〜200の整数であり、特に10〜150の整数が好ましい。)
[シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)]
本発明で用いられるシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)としては、具体的には、メチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ- アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ- メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β- アミノエチル-γ-プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ- メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等のシラン化合物の部分加水分解縮合物で、その数平均分子量(Mn)が250〜2,500のものが挙げられる。
【0068】
このような部分加水分解縮合物(B)は、シラン化合物を単独または複数混合し、必要量のH2O を加え、また必要に応じて塩酸、硫酸等の縮合触媒を少量加え、常温〜100℃生成するメタノールを除去しながら縮合を進めることにより容易に得られる。
メチルシリケートの部分加水分解縮合物でメトキシシリル基を含有する化合物としては、たとえば日本コルコート社のメチルシリケート47、メチルシリケート51、メチルシリケート55、メチルシリケート58、メチルシリケート60が挙げられる。
【0069】
また、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の部分加水分解縮合物でメトキシシリル基を含有する化合物としては、信越化学工業(株)のAFP−1、AFR−2、AFP−6、信越化学工業(株)のKR213、KR217、KR9218、東芝シリコーン(株)のTSR165、TR3357、日本ユニカー(株)のY−1587、FZ−3701、FZ−3704等が挙げられる。
【0070】
[硬化触媒(C)]
本発明で用いられる硬化触媒(C)としては、具体的には、
ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物;
リン酸、モノメチルホスフフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェート等のリン酸およびまたはリン酸エステル;
プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメタクリレート、グリシドール、アリルグリシジルエーテル、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ- グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ- グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、
【0071】
【化32】
【0072】
カーデコラE[商品名;油化シエル(株)製]、エピコート828 [商品名;油化シエル(株)製]あるいはエピコート1001[商品名;油化シエル(株)製]等のエポキシ化合物と、リン酸またはモノ酸性リン酸エステルとの付加反応物;
モノ[β- ヒドロキシエチルメタクリレート]アシッドホスフェート、KAYAMER PM−1、KAYAMER PM−2またはKAYAMER PM-21[商品名;日本化薬(株)製]、あるいはグリシジルメタクリレートとリン酸との反応物のような分子内に酸性リン酸エステル基と重合性二重結合を併せ持つ化合物とビニルモノマーとの共重合から得られる数平均分子量1,000〜30,000の酸性リン酸エステル基を含有する共重合体;
アルキルチタン酸塩;
有機アルミニウム;
マレイン酸パラトルエンスルホン酸等の酸性化合物;
ヘキシルアミン、ジ-2- エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミンあるいはドデシルアミン等のアミン類;
水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等のアルカリ性化合物などが挙げられる。
【0073】
これらの硬化触媒(C)は、添加しなくとも硬化を進めることはできるが、硬化を速やかに進めたい場合には1種単独で、あるいは2種以上組み合わせで用いることができる。
[組成割合]
上述したシリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)、シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)および硬化触媒(C)の混合比は、好ましくは(A):(B):(C)=100:0.1〜100:0.5〜20(重量比)、さらに好ましくは(A):(B):(C)=100:0.5〜20:0.5〜10(重量比)である。
【0074】
シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)を用いたときの塗膜の基材への密着性改良効果は、低分子量の加水分解性シラン化合物(B)がシリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の網目構造に組み込まれることに起因していると考えられる。
[その他の成分]
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物には、脱水剤は用いても用いなくてもよいが、長期にわたる安定性、繰り返し使用しても問題のない安定性を確保するために脱水剤を用いる事ができる。
【0075】
脱水剤としては、具体的には、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、メチルトリメトキシシラン、γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート等の加水分解性エステル化合物が挙げられる。
これらの加水分解性エステル化合物は、シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)の重合時に、加えても、重合後に加えてもよい。
【0076】
また、本発明に係る常温硬化性ゴム組成物には、必要に応じて、沈降防止剤、レベリング剤等の添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート等の繊維素;アルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化プロピレン樹脂、塩化ゴム、ポリビニルブチラール等の樹脂;接着性改良剤;物性調整剤;保存安定性改良剤;可塑剤;充填剤;老化防止剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;オゾン劣化防止剤;光安定剤;アミン系ラジカル連鎖禁止剤;リン系過酸化物分解剤;滑剤;顔料;発泡剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、配合することができる。
【0077】
接着性改良剤としては、一般に用いられている接着剤やアミノシラン化合物、エポキシシラン化合物等のシランカップリング剤、その他の化合物を用いることができる。このような接着性改良剤の具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、γ- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α- メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。接着性改良剤を配合する場合、その配合量は、シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、1〜50重量部程度が好ましく、5〜30重量部程度がより好ましい。
【0078】
保存安定性改良剤としては、たとえばケイ素原子に加水分解性基が結合した化合物やオルト有機酸エステル等を挙げることができる。このような保存安定性改良剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルイソブトキシシラン、トリメチル(n-ブトキシ)シラン、n-ブチルトリメトキシシランやオルト蟻酸メチル等を挙げることができる。
【0079】
保存安定性改良剤を配合する場合、その配合量としては、シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.5〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部程度がより好ましい。
可塑剤も特に限定されるものではなく、通常用いられる可塑剤がいずれも使用できるが、本発明に係るゴム組成物に配合される各種成分と相溶性のよいものが好ましい。
【0080】
このような可塑剤としては、具体的には、
ポリブテン、水添ポリブテン、エチレン・α- オレフィンコオリゴマー、α- メチルスチレンオリゴマー、ビフェニル、トリフェニル、トリアリールジメタン、アルキレントリフェニル、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、アルキルジフェニル、部分水素添加ターフェニル、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン等の炭化水素系化合物類;
塩化パラフィン類;
ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類;
ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類;
ジエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;
トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類などが挙げられる。これらの中では、特に飽和炭化水素系化合物類が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0081】
これらの中で不飽和基を有さない炭化水素系化合物類(具体的には水添ポリブテン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン等)が、本発明に係るゴム組成物に配合される各種成分との相溶性が良好であり、またゴム組成物の硬化速度への影響が小さく、しかも、得られる硬化物の耐候性が良好となり、かつ安価なため好ましい。
【0082】
これらの可塑剤は、前記エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A0)に加水分解性シリル基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節などの目的で溶剤の代わりに用いてもよい。
可塑剤を配合する場合、その配合量は、加水分解性シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10〜500重量部程度が好ましく、20〜300重量部程度がより好ましい。
【0083】
上記充填剤の具体例としては、たとえば木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、グラファイト、珪藻土、白土、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水珪酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉末、フリント粉末、亜鉛末などが挙げられる。これらの充填剤のうちでは沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、カーボンブラック等のチキソトロピック性を有する充填剤や、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等が好ましい。充填剤を配合する場合、その配合量は、シリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10〜500重量部程度が好ましく、20〜300重量部程度がより好ましい。
【0084】
上記老化防止剤としては、通常用いられている公知の老化防止剤、たとえばイオウ系老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
イオウ系老化防止剤としては、たとえばメルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類やヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類などが挙げられる。
【0085】
このようなイオウ系老化防止剤の具体例としては、
メルカプタン類である2-メルカプトベンゾチアゾール;
メルカプタンの塩類である2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩;
スルフィド類である4,4'-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオ-ビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-チオ-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルベンジル)スルフィド、テレフタロイルジ(2,6-ジ-メチル-4-t-ブチル-3-ヒドロキシベンジルスルフィド、フェノチアジン、2,2'-チオ- ビス(4-オクチルフェノール)ニッケル、ジラウリルチオジプロピオネイト、ジステアリルチオジプロピオネイト、ジミリスチルチオジプロピオネイト、ジトリデシルチオジプロピオネイト、ジステアリルβ,β'-チオジブチレイト、ラウリル−ステアリルチオジプロピオネイト、2,2-チオ[ジエチル-ビス-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネイト〕;
ポリスルフィド類である2-ベンゾチアゾールジスルフィド;
ジチオカルボン酸塩類であるチンクジブチルジチオカルバメイト、チンクジエチルジチオカルバメイト、ニッケルジブチルジチオカルバメイト、チンクジ-n-ブチルジチオカルバメイト、ジブチルアンモニウムジブチルジチオカルバメイト、チンクエチル−フェニル−ジチオカルバメイト、チンクジメチルカルバメイト;
チオウレア類である1-ブチル-3-オキシ-ジエチレン-2-チオウレア、ジ-o-トリル−チオウレア、エチレンチオウレア;
チオホスフェイト類であるトリラウリルトリチオホスフェイトなどを挙げることができる。
【0086】
このようなイオウ系老化防止剤は、他の老化防止剤に比べて本発明に係る硬化性ゴム組成物に用いた場合、主鎖の熱による分解劣化を大幅に防止することができ、表面タック(ベトツキ)の発生などを防止することができる。
上記ラジカル禁止剤としては、たとえば2,2-メチレン- ビス(4-メチル-6-t- ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル-β-ナフチルアミン、α- ナフチルアミン、N,N'-sec- ブチル-p- フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N'- ジフェニル-p- フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤などが挙げられる。
【0087】
上記紫外線吸収剤としては、たとえば2-(2'-ヒドロキシ-3',5'- ジ-t- ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジン)セバケートなどが挙げられる。
上記老化防止剤を配合する場合、その配合量は、シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部程度がより好ましい。
【0088】
常温硬化性ゴム組成物およびその用途
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物は、以上詳述したような加水分解性シリル基含有のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、前記一般式[V]で表わされるシラン化合物の単独あるいは複数からなる部分加水分解縮合物で、加水分解性メトキシシリル基を有する、数平均分子量が250〜2,500のシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、硬化触媒(C)とを含有してなる常温硬化性ゴム組成物は、電気・電子部品、輸送機、土木・建築、医療またはレジャーの用途などに好適に用いられる。
【0089】
電気・電子部品の用途としては、具体的には、重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材、ポッティング材、コーティング材もしくは接着材;電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;またはゲルもしくはコンデンサの封入材などが挙げられる。上記シーリング材は、たとえば冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロン、漏電ブレーカー用のシール材として好適に用いられる。
【0090】
上記ポッティング材は、たとえばトランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするために好適に用いられる。
上記コーティング材は、たとえば高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドIC等の各種回路素子;HIC、電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤー等のバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするために好適に用いられる。
【0091】
上記接着剤は、たとえばブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために好適に用いられる。
上記輸送機の用途としては、自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途がある。
自動車の用途としては、たとえば自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルターのシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドICのポッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラス、エンジンコントロール基板のコーティング材;またはオイルパンもしくはタイミングベルトカバー等のガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシール、ミラー用の接着剤などが挙げられる。
【0092】
船舶の用途としては、たとえば配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;電線もしくはガラス用の接着剤などが挙げられる。
上記の土木建築の用途としては、たとえば商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケース等における内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;または粘着シート、防水シートもしくは防振シートなどが挙げられる。
【0093】
上記の医療の用途としては、たとえば医薬用ゴム栓、シリンジガスケット、減圧血管用ゴム栓などが挙げられる。
上記のレジャーの用途としては、たとえばスイミングキャップ、ダイビングマスク、耳栓等のスイミング部材;スポーツシューズ、野球グローブ等のゲル緩衝部材などが挙げられる。
【0094】
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物は、電気・電子部品、輸送機、土木建築、レジャー等の用途において、シーリング材(シール材)、ポッティング材、コーティング材、接着剤として好適に用いることができる。
【0095】
【発明の効果】
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物は、シリル基含有エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、硬化触媒(C)とを含有しているので、硬化速度が速く、耐候性に優れ、しかも、各種被着体に対する密着性に著しく優れている。
【0096】
本発明に係る常温硬化性ゴム組成物は、塗料、接着剤、コーティング剤、シーラント、バインダー等の用途、とりわけ自動車補修用塗料等の用途において特に有用である。
【0097】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
なお実施例、比較例で用いた共重合体ゴムの組成、ヨウ素価、極限粘度[η]、分子量分布(Mw/Mn)は、次のような方法で測定ないし求めた。
(1)共重合体ゴムの組成
共重合体ゴムの組成は13C−NMR法で測定した。
(2)共重合体ゴムのヨウ素価
共重合体ゴムのヨウ素価は、滴定法により求めた。
(3)極限粘度[η]
共重合体ゴムの極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
共重合体ゴムの分子量分布は、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わした。GPCには、カラムに東ソー(株)製のGMH−HT、GMH−HTLを用い、溶媒にはオルソジクロロベンゼンを用いた。
【0098】
また実施例、比較例で行なった促進耐候試験は、下記の方法に従って行なった。
[促進耐候試験]
JIS B−7753に準拠して、サンシャイン・カーボンアーク・ウェザロメーターを用い、耐候性試験を行なった。
【0099】
<試験条件>
照射・降雨サイクル:120分照射/18分降雨
ブラックパネル温度:63±2℃
槽内温度:40±2℃
照射時間:500時間
【0100】
【製造例1】
[シリル基含有エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)の製造]
攪拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(攪拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5-ビニル-2- ノルボルネンとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを2.5kg、プロピレンを4.0kg、5-ビニル-2- ノルボルネンを380gの速度で、また、水素を700リットル、触媒としてVO(OEt)2Cl を45ミリモル、Al(Et)1.5Cl1.5 を315ミリモルの 速度で連続的に供給した。
【0101】
以上に述べたような条件で共重合反応を行なうと、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A0−1)が均一な溶液状態で得られた。
その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行なった。
【0102】
上記のようにして得られたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A0−1)は、エチレン含量が68モル%であり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.2dl/gであり、ヨウ素価(IV)が10(g/100g)であり、Mw/Mnが15であった。
上記のようにして得られたエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A0−1)100gに、2%塩化白金酸のトルエン溶液0.3gを加え、メチルジメトキシシラン1.5gを仕込み、120℃で2時間反応させた。反応後、過剰のメチルジメトキシシランと溶剤(トルエン)を留去したところ、ジメトキシメチルシリル基(−SiCH3(OCH3)2)を含有するエチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)101.5gが得られた。
【0103】
【製造例2】
[シリル基含有ビニル重合体(1)の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下ロート、冷却管を備えた反応器にキシレン340gを仕込み、110℃に加熱する。次に、スチレン140g、ブチルアクリレート166g、メチルメタクリレート467g、ステアリルメタクリレート100g、γ- メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン117g、N-メチロールアクリルアミド10g、γ- メルカプトプロピルトリメトキシシラン30g、アゾビスイソブチロニトリル30gを溶かした溶液を反応器に3時間連続追加した。モノマー追加終了後、別に用意したアゾビスイソブチロニトリル3gをトルエン200gに溶かした溶液を更に1時間にわたつて追加し、更に1時間後重合を行ない、シリル基含有ビニル樹脂(1)を得た。
【0104】
得られたシリル基含有ビニル重合体(1)樹脂溶液の不揮発性成分の濃度は、65%であった。また、GPC法による数平均分子量(Mn)は4,400であった。
【0105】
【製造例3】
[エポキシ化合物と酸性リン酸エステルとの反応物の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下ロート、冷却管を備えた反応器にMP−4(大八化学(株)製モノブチルホスフエート:酸価670)を50g取り、撹拌、窒素雰囲気下でγ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン70.5gを徐々に滴下した。発熱が認められなくなった時点で更に80℃で1時間加熱し、反応を進めた。冷却後、オルト酢酸メチル12g、メタノール12g、キシレン96.5g加え、有効成分濃度50%の硬化触媒溶液を得た。これを硬化触媒1とする。
【0106】
【製造例4】
[酸性リン酸エステル基含有共重合体の製造]
撹拌装置、温度計、窒素導入管、滴下ロート、冷却管を備えた反応器にイソプロパノール170g、酢酸ブチル170gを仕込み、110℃に加熱した。次に、スチレン200g、ブチルアクリレート300g、メチルメタクリレート380g、MR−200(大八化学社製、α- アシッドホスホキシエチルメタクリレート)100g、アクリル酸20g、アゾビスイソブチロニトリル30gを溶かした溶液を反応器に3時間連続追加した。モノマー追加終了後、別に用意したアゾビスイソブチロニトリル3gを酢酸ブチル200gに溶かした溶液を更に1時間にわたって追加し、更に1時間後重合を行なった後、イソプロパノール350gを加え、酸性リン酸エステル基含有共重合体(樹脂固形分濃度50%)を得た。これを硬化触媒2とする。
【0107】
【実施例1〜7、比較例1〜15】
製造例1で得られたシリル基含有エチレン・プロピレン・5-ビニル-2- ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1)、または製造例2で得られたシリル基含有ビニル重合体(1)、シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)、硬化触媒(C)を第1表および第2表に示した組成で配合し、更にキシレンで塗装粘度に希釈し塗料化した。
【0108】
熱硬化性樹脂塗膜は、磨き軟鋼板を#240研摩し、更に2液型ウレタンサーフェーサー[イサム塗料(株)製 ハイプラサフ2C]を塗装し、乾燥後#400研摩した。その上にマジクロンMK−77[商品名;メラミンアクリル樹脂クリアー塗料、関西ペイント(株)製]を塗装し、150℃で30分間焼き付けを行ない、中目コンパウンド処理したものを下地として用いた。
【0109】
上記の塗料を熱硬化性樹脂塗膜上に常法によりスプレー塗装した。これを60℃で30分強制乾燥させ、室温で7日間放置して硬化塗膜を得た。
密着性は、2mm幅の碁盤目をナイフで切り、その上にセロファンテープを張り付けた後、剥離を行い、塗膜の状態を目視で観察し、評価した。
その後、試験片をブリスターボツクス(50℃、98%RH)に3日間入れ、再度密着性評価を行なった。なお、密着性の評価は、日本塗料検査協会の密着性評価基準に従って行なった。10点は塗膜の剥離が認められず、0点は塗膜の全面剥離を基準とした。
【0110】
また、硬化速度の評価を次の方法で行なった。すなわち、硬化性組成物(原材料)をモールド(20×80×5mm)内に満たし、23℃、50%RHの条件で24時間養生した。
次いで、上記のようにして得られた硬化物を剥がし、硬化した部分の厚みを、スプリング力の弱いダイヤルゲージで0.1mm単位まで測定した。その測定した厚みが2mm以上である場合は◎、1.0〜1.9mmである場合は△、0.9mm以下である場合は×で硬化速度の評価を表した。
【0111】
これらの結果を第1表および第2表に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
Claims (34)
- 非共役ポリエンである下記一般式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物から導かれる構成単位を有し、かつ分子中に下記一般式[III]で表わされる加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)と、
下記一般式[V]
R1nSi(OCH3)4-n・・・[V]
[式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、
CH2=CH−CO−O(CH2)2CH2−、
CH2=CH−CH=C(CH3)−CO−O(CH2)2CH2−
を示し、nは0〜3の整数を示す]で表わされるシラン化合物の単独あるいは複数からなる部分加水分解縮合物で、加水分解性メトキシシリル基を有する、数平均分子量が250〜2,500のシラン化合物の部分加水分解縮合物(B)と、
硬化触媒(C)とを含有してなることを特徴とする常温硬化性ゴム組成物;
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である]、
Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、チオアルコキシ基およびアミノ基から選ばれる加水分解性基であり、
aは0、1または2の整数である]。 - 前記シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)が、メチルオルトシリケートの部分加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)が、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記シラン化合物の部分加水分解縮合物(B)が、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシランを一成分として含む部分加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記硬化触媒(C)が、リン酸および/または酸性リン酸エステルと、エポキシ化合物との付加反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記硬化触媒(C)が、リン酸および/または酸性リン酸エステルと、エポキシシランとの付加反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記硬化触媒(C)が、リン酸および/または酸性リン酸エステルと、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの付加反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物であって、電気・電子部品の用途に用いられることを特徴とする常温硬化性ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物であって、輸送機の用途に用いられることを特徴とする常温硬化性ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物であって、土木・建築の用途に用いられることを特徴とする常温硬化性ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物であって、医療の用途に用いられることを特徴とする常温硬化性ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物であって、レジャーの用途に用いられることを特徴とする常温硬化性ゴム組成物。
- 前記電気・電子部品の用途が、重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材であることを特徴とする請求項10に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記電気・電子部品の用途が、トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするために用いられるポッティング材であることを特徴とする請求項10に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記電気・電子部品の用途が、高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドICの回路素子、HIC、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、モジュール、印刷回路、セラミック基板、ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材、半導電体素子、または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするために用いられるコーティング材であることを特徴とする請求項10に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記電気・電子部品の用途が、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために用いられる接着剤であることを特徴とする請求項10に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記輸送機の用途が、自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途であることを特徴とする請求項11に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記自動車の用途が、自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルター用のシーリング材であることを特徴とする請求項19に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記自動車の用途が、イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のポッティング材であることを特徴とする請求項19に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記自動車の用途が、自動車ボディ、自動車用窓ガラスもしくはエンジンコントロール基板用のコーティング材であることを特徴とする請求項19に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記自動車の用途が、オイルパンのガスケット、タイミングベルトカバーのガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤であることを特徴とする請求項19に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記船舶の用途が、配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材であることを特徴とする請求項19に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記船舶の用途が、電線もしくはガラス用の接着剤であることを特徴とする請求項19に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記土木・建築の用途が、商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケースにおける内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラントであることを特徴とする請求項12に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記土木・建築の用途が、複層ガラス用シーリング材、道路の補修に用いられる土木用シーラント、金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料であることを特徴とする請求項12に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記医療の用途が、医薬用ゴム栓、シリンジガスケットもしくは減圧血管用ゴム栓用のシール材料であることを特徴とする請求項13に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記レジャーの用途が、スイミングキャップ、ダイビングマスクもしくは耳栓用のスイミング部材であることを特徴とする請求項14に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 前記レジャーの用途が、スポーツシューズもしくは野球グローブ用のゲル緩衝部材であることを特徴とする請求項14に記載の常温硬化性ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物からなることを特徴とするシーリング材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物からなることを特徴とするポッティング材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物からなることを特徴とするコーティング材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の常温硬化性ゴム組成物からなることを特徴とする接着剤。
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