JP4349846B2 - 内視鏡用鉗子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内視鏡用鉗子に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用鉗子は一般に、可撓性シースの先端部分に配置された一対の先端鉗子片が、可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤを可撓性シースの基端側から進退操作することよって嘴状に開閉するようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−321385
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
内視鏡用鉗子は内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱して使用され、内視鏡用鉗子の先端鉗子片内に生体組織片を採取したら、先端鉗子片を閉じた状態のまま処置具挿通チャンネルから引き抜く必要がある。
【0005】
その際に、鉗子の操作部の操作を行う助手は、先端鉗子片を閉じた状態に維持するだけでなく、内視鏡操作者によって処置具挿通チャンネルから引き出されてくる可撓性シースが撓んで周囲に接触しないように、操作者の動作に呼吸を合わせてシースを取り扱う必要がある。
【0006】
そのため、先端鉗子片を閉じた状態に維持している助手の手が一瞬緩んで先端鉗子片が開き、先端鉗子片内に収容されている生体組織片が落下して紛失してしまう場合がある。
【0007】
そこで本発明は、先端鉗子片内に生体組織片を採取して内視鏡の処置具挿通チャンネルから引き抜く際に、誤って先端鉗子片を開いても生体組織片を紛失しない内視鏡用鉗子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用鉗子は、可撓性シースの先端部分に配置された先端鉗子片が可撓性シースの基端側からの遠隔操作によって嘴状に開閉するようにした内視鏡用鉗子において、可撓性シースの先端開口部に弾力性のある蓋体を取り付け、先端鉗子片が蓋体を押し退けながら可撓性シースの先端開口から突没するようにしたものである。
【0009】
なお、可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤを基端側から押し込むことにより、先端鉗子片が開きながら可撓性シースの先端開口から突出し、操作ワイヤを基端側から牽引することにより、先端鉗子片が閉じながら可撓性シースの先端開口内に引き込まれるようにしてもよい。
【0010】
その場合、先端鉗子片が可撓性シースの先端開口から突没する際の移動範囲を規制するためのストッパを設けるとよく、そのストッパが、先端鉗子片の開閉支軸を支持する先端本体と、その先端本体のスライド範囲を一定範囲に規制するように可撓性シースの内面に形成された突起部であってもよい。
【0011】
また、蓋体の中央部分に孔が形成されていて、先端鉗子片が蓋体の孔を押し広げながら可撓性シースの先端開口から突没するようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図6は内視鏡用鉗子の全体構成を示しており、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シース10は、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のような可撓性チューブによって構成されている。ただし、ステンレス鋼線を一定の径で螺旋状に密着巻きして形成されたコイルパイプ等を用いることもできる。
【0013】
可撓性シース10の先端開口部には、例えばシリコンゴム等のように弾力性のある材料からなる蓋体11が取り付けられていて、その内側に嘴状に開閉自在な一対の先端鉗子片1が配置されている。
【0014】
可撓性シース10の基端は操作部20の操作部本体21に連結されており、操作部本体21にスライド自在に取り付けられている可動指掛け22をスライドさせることにより、可撓性シース10内に挿通配置された操作ワイヤ2が軸線方向に進退して先端鉗子片1が開閉する。23は、操作部本体21の端部に取り付けられた固定指掛けである。
【0015】
図2は、そのような内視鏡用鉗子の先端部分を拡大して示しており、可撓性シース10の先端には硬質の円筒状体である筒状先端チップ10aが真っ直ぐに固着されていて、蓋体11はその筒状先端チップ10aの先端開口に固着されている。
【0016】
蓋体11は、中心側へ向かって次第に肉厚が薄くなる形状に形成されていて、中心部分には孔12が穿設されている。この孔12は、先端鉗子片1により採取された体内組織片が通過できない程度の径(即ち、一対の先端鉗子片1が閉じた状態の径よりある程度小さな径)に形成されている。
【0017】
一対の先端鉗子片1は、開閉支軸3を中心にして嘴状に開閉することができるように開閉支軸3により先端本体4に支持されていて、操作ワイヤ2の先端に連結されたパンタグラフ状のリンク機構5が先端鉗子片1の後端部分に連結されている。
【0018】
先端本体4は、筒状先端チップ10a内において軸線方向に移動可能な状態に配置されており、先端本体4の後端部に形成された環状部4aが、筒状先端チップ10aの内周面に前後に間隔をあけて突設された一対の内周突起部14,15(ストッパ)に当接する間の範囲において移動自在である。
【0019】
その結果、操作ワイヤ2を操作部20側から引っ張ると、図2に示されるように、一対の先端鉗子片1が閉じると同時に、先端本体4の環状部4aと後側内周突起部14とが当接する位置まで先端本体4が退避して、先端本体4に支持されている先端鉗子片1が閉状態の蓋体11の内側に収容された状態になる。
【0020】
そして、操作ワイヤ2を操作部20側から押し込むと、図1に示されるように、一対の先端鉗子片1が開くと同時に、環状部4aと前側内周突起部15とが当接する位置まで先端本体4が押し出され、先端鉗子片1によって蓋体11が押し開かれて、広がった孔12から前方に先端鉗子片1が突出する状態になる。
【0021】
このように構成された内視鏡用鉗子を用いて体内組織片を採取する際には、図2に示されるように先端鉗子片1を可撓性シース10の筒状先端チップ10a内に格納した状態で内視鏡の処置具挿通チャンネルに通し、図3に示されるように、採取目標の体内組織100′を見つけたら、操作ワイヤ2を操作部20側から押し込んで一対の先端鉗子片1を体内組織100′に向けて開かせる。
【0022】
そして、図4に示されるように、操作ワイヤ2を操作部20側から牽引することにより、先端鉗子片1が閉じてその内部に体内組織片100が採取され、その状態で先端鉗子片1が筒状先端チップ10a内に引き込まれる。
【0023】
続いて、可撓性シース10が内視鏡の処置具挿通チャンネルから引き抜かれるのであるが、図5に示されるように、その最中に先端鉗子片1が開いて先端鉗子片1内から体内組織片100が飛び出しても、先端鉗子片1が筒状先端チップ10a内に収容されていて、蓋体11の孔12は体内組織片100が通過できない大きさなので、体内組織片100は筒状先端チップ10a内に留まる。
【0024】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、蓋体11の形状や開き方等はどのような態様をとってもよく、例えば、蓋体11が周辺部を支点にして開閉するようなものであっても差し支えない。
【0025】
また、本発明は生体組織を採取するための内視鏡用生検鉗子だけでなく、体内から異物を回収するための把持鉗子等にも適用することができ、その場合先端鉗子片1の数が3個以上であっても差し支えない。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性シースの先端開口部に弾力性のある蓋体を取り付け、先端鉗子片が蓋体を押し退けながら可撓性シースの先端開口から突没するようにしたことにより、先端鉗子片内に生体組織片を採取して内視鏡の処置具挿通チャンネルから引き抜く際に先端鉗子片を蓋体の内側に収容することができるので、誤って先端鉗子片を開いても生体組織片が可撓性シースの先端内に留まり、生体組織片を紛失することなく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用鉗子の先端鉗子片が開いた状態の先端部分の側面断面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用鉗子の先端鉗子片が閉じた状態の先端部分の側面断面図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用鉗子の先端鉗子片による生体組織片採取の状態を示す先端部分の側面断面図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用鉗子の先端鉗子片による生体組織片採取の状態を示す先端部分の側面断面図である。
【図5】本発明の実施例の内視鏡用鉗子の先端鉗子片による生体組織片採取の状態を示す先端部分の側面断面図である。
【図6】本発明の実施例の内視鏡用鉗子の全体構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 先端鉗子片
2 操作ワイヤ
3 開閉支軸
4 先端本体
4a 環状部
10 可撓性シース
10a 筒状先端チップ
11 蓋体
12 孔
14 後側内周突起部(ストッパ)
15 前側内周突起部(ストッパ)
20 操作部

Claims (4)

  1. 可撓性シースと、上記可撓性シースの先端部分に配置された一対の先端鉗子片とを備え、上記一対の先端鉗子片が上記可撓性シースの基端側からの遠隔操作により嘴状に開閉して上記一対の先端鉗子片内に生体組織片を採取することができるようにした内視鏡用鉗子において、
    上記可撓性シースの先端開口部を塞ぐように弾力性のある蓋体が設けられ
    上記蓋体は、外縁部が上記可撓性シースの先端開口部に固着されて、中心側へ次第に肉厚が薄くなる形状に形成され、上記蓋体の中央部分には上記一対の先端鉗子片が閉じた状態における組織採取空間の径よりも小さな径の孔が貫通形成されていて、
    上記先端鉗子片が上記蓋体に形成された孔を押し広げながら上記可撓性シースの先端開口から突没するようにしたことを特徴とする内視鏡用鉗子。
  2. 上記可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤを基端側から押し込むことにより、上記先端鉗子片が開きながら上記蓋体の前方に突出し、上記操作ワイヤを基端側から牽引することにより、上記先端鉗子片が閉じながら上記蓋体の後方に引き込まれる請求項1記載の内視鏡用鉗子。
  3. 上記先端鉗子片が上記可撓性シースの先端開口から突没する際の移動範囲を規制するためのストッパが設けられている請求項2記載の内視鏡用鉗子。
  4. 上記ストッパが、上記先端鉗子片の開閉支軸を支持する先端本体と、その先端本体のスライド範囲を一定範囲に規制するように上記可撓性シースの内面に形成された突起部である請求項3記載の内視鏡用鉗子。
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