JP4037254B2 - 内視鏡用把持鉗子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内視鏡用把持鉗子に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用把持鉗子は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱されるシースの先端部分に設けられた複数の把持片を手元側から開閉操作できるようになっているが、従来の内視鏡用把持鉗子の構造は二つの方式に大別される。
【0003】
即ち、図4に示されるものでは、バネ線材等により先側が外方に広がった形状に形成された複数の把持片82をシース81の先端部分内に突没自在に配置して、複数の把持片82が、操作ワイヤ83によってシース81内から押し出されると自己の弾性によって広がり、シース81内に引き込まれると窄まった状態に弾性変形するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、図5に示されるものでは、一対の把持片92を支軸93でシース91の先端部分に回動自在に支持し、把持片92と一体に形成された駆動アーム94を操作ワイヤ95で駆動することにより、一対の把持片92が支軸93を中心に嘴状に開閉するようになっている(例えば、特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−38496号公報
【特許文献2】
特開昭63−151111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図4に示されるように把持片82がシース81内に出入りする機構のものでは、把持片82を閉じようとするとそれと同時に把持片82が後方に退避してしまうので、把持対象物をなかなか把持することができない場合が珍しくなくて、把持操作が非常に難しい。
【0007】
また、図5に示されるように把持片92が嘴状に開閉するものでは、把持対象物を二方向から挟み付けるだけなので、把持対象物に丸みがある場合などは把持片92を閉じた時に把持対象物が把持片92の間から逃げてしまって、把持対象物をなかなか把持することができない場合がある。
【0008】
しかし、把持片92を三つ以上設けようとすると、支軸93より後方に延出する状態に配置された複数の駆動アーム94どうしが干渉してしまうので、把持片92が開閉動作をすることができない。
【0009】
そこで本発明は、三つ以上の把持片を前後方向に移動しないように円滑に開閉動作させて、把持対象物の形状等に制約されることなく把持対象物を容易かつ確実に把持することができる内視鏡用把持鉗子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用把持鉗子は、シースの先端部分から前方に向けて少なくとも三つの把持片を配置して、各把持片がそれらの基端部分を中心に開閉するように各把持片の基端部分をシースの先端部分に周方向に順に位置をずらして軸線より外側位置に各々回動自在に支持すると共に、シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端部分を、シースの先端部分において各把持片の支持部よりシースの先端部分の軸線寄りの空間に通して、各把持片に対し内面側から臨ませて連結したものである。
【0011】
なお、各把持片が、シースの先端部分の軸線周りに軸対称の位置関係で配置されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図3は内視鏡用把持鉗子の全体構成を示しており、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シース1は、例えばステンレス鋼線を一定の径で密着巻きして形成されている。ただし、四フッ化エチレン樹脂チューブ等により形成されたものであっても差し支えない。
【0013】
可撓性シース1の先端に連結固着された先端口金2には、三つの把持片3が開閉自在に取り付けられており、図3にはそれらが開いた状態が実線で示され、閉じた状態が二点鎖線で示されている。
【0014】
可撓性シース1内には、三つの把持片3を開閉駆動するための操作ワイヤ4が軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通配置されており、その操作ワイヤ4を進退操作するための操作部10が可撓性シース1の基端に連結されている。
【0015】
操作部10は、細長い操作部本体11の基端に固定指掛け12が設けられ、操作部本体11の長手方向にスライド自在に取り付けられた可動指掛け13に、操作ワイヤ4の基端部分4aが連結された構成になっている。
【0016】
その結果、矢印Aで示されるように可動指掛け13をスライド操作することにより、可撓性シース1内で操作ワイヤ4が進退して、可撓性シース1の先端側において把持片3が開閉動作をする。
【0017】
図1は、そのような把持片3が設けられた可撓性シース1の先端部分の斜視図であり、図2は、三つの把持片3のうちの一つの把持片3を横から見た状態の側面断面図である。
【0018】
可撓性シース1は、先端部分が先端口金2に被さるように広げられて先端口金2にロー付け等により固着され、操作ワイヤ4は先端の近傍で三本に分岐されている。ただし、そのような分岐部に接続パイプ等を用いてもよく、全長にわたって三本の操作ワイヤ4を並べて配置しても差し支えない。
【0019】
先端口金2は、例えばステンレス鋼の丸棒材を素材として、その軸線位置には三本の操作ワイヤ4が並んだ状態で緩く挿通される孔が貫通形成され、可撓性シース1が連結固着される先端口金2の後端寄りの部分は、連結部の外面に段差ができないように一段細く形成されている。
【0020】
先端口金2の先端部分には、先端面に開口するスリット2aが120°間隔で軸線を中心に放射状に三個形成されていて、そのスリット2aに基端側の細幅部分が挟まれた各把持片3が、スリット2aを横断するように先端口金2に取り付けられた支軸5により、基端部分を中心に開閉するように回動自在に支持されている。
【0021】
そのようにして、三つの把持片3の基端部分が可撓性シース1の先端部分の軸線の延長線の周りに軸対称の位置関係になるように120°ずつ順に位置をずらして、先端口金2の軸線より外側位置に各々回動自在に配置され、先端口金2の軸線位置を通った三本の操作ワイヤ4の各先端部分4bが、各把持片3に対して内面側から臨んだ状態でロー付け等により連結固着されている。
【0022】
このような構成により、操作ワイヤ4が操作部10側から遠隔的に押し込み操作されると、図2に示されるように、各把持片3が二点鎖線で示される閉状態から実線で示される開状態になり、操作ワイヤ4を操作部10側から牽引操作することにより、把持片3が閉状態になる。
【0023】
したがって、三つの把持片3が前後方向に移動することなく支軸5を中心に120°間隔で開閉するので、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して、体腔内において把持対象物の形状等に制約されることなく把持対象物を容易かつ確実に把持することができる。
【0024】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば把持片3を四つ又はそれ以上配置しても差し支えない。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも三つの把持片を前後方向に移動させることなく基端部分を中心に円滑に開閉動作させることができるので、把持対象物の形状等に制約されることなく把持対象物を容易かつ確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用把持鉗子の先端部分の斜視図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用把持鉗子の先端部分の部分側面断面図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用把持鉗子の全体構成を示す側面断面図である。
【図4】従来の内視鏡用把持鉗子の先端部分の第1の例の斜視図である。
【図5】従来の内視鏡用把持鉗子の先端部分の第2の例の側面断面図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 先端口金
3 把持片
4 操作ワイヤ
4b 先端部分
5 支軸
10 操作部

Claims (2)

  1. シースの先端部分から前方に向けて少なくとも三つの把持片を配置して、上記各把持片がそれらの基端部分を中心に開閉するように上記各把持片の基端部分を上記シースの先端部分に周方向に順に位置をずらして軸線より外側位置に各々回動自在に支持すると共に、上記シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端部分を、上記シースの先端部分において上記各把持片の支持部より上記シースの先端部分の軸線寄りの空間に通して、上記各把持片に対し内面側から臨ませて連結したことを特徴とする内視鏡用把持鉗子。
  2. 上記各把持片が、上記シースの先端部分の軸線周りに軸対称の位置関係で配置されている請求項1記載の内視鏡用把持鉗子
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