JP4291056B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡用処置具に関し、さらに詳しくは、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致しており、しかもこの手動操作と処置部材の作動とをコンパクトな構成によって行うことのできる内視鏡用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用処置具の一種であるスネアーは、通常、シース内に軸線方向に進退自在に操作ワイヤーを挿通して、その操作ワイヤーの先端に弾性ワイヤーから成るスネアーワイヤーを連結し、前記操作ワイヤーを軸線方向に進退させることによってスネアーワイヤーをシースの先端内に出入りさせ、スネアーワイヤーがシース外においては、スネアーワイヤー自身の弾性によりループ状に膨らむように構成されている。
【0003】
また、内視鏡用処置具の一種であるバスケット型異物回収具は、通常、シース内に軸線方向に進退自在に操作ワイヤーを挿通して、その操作ワイヤーの先端に弾性ワイヤーから成るバスケットを連結し、前記操作ワイヤーを軸線方向に進退させることによってバスケットをシースの先端内に出入りさせ、バスケットがシース外においては、バスケット自身の弾性により膨らむように構成されている。
【0004】
このような内視鏡用処置具として、これまでに、可撓性管内に、軸線方向に進退自在に挿通された操作ワイヤーの先端に装備された処置部材と、可撓性管の手元側に配置された第1指かけ部材および第2指かけ部材とを有する内視鏡用処置具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−5233号公報(請求項1)
【0006】
ところが、この内視鏡用処置具にあっては、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に相反するという不都合があった。この状況を図1および図2に基づいて説明する。
【0007】
図1および図2において、1−1は内視鏡用処置具を、2は操作部本体を、3は外管を、4はスライダーを、5は第1指かけ部材を、6は第2指かけ部材を、7は処置部材を、8は内管を表す。
【0008】
この内視鏡用処置具1−1においては、第1指かけ部材5に第1指(親指)をかけ、第2指かけ部材6に第2指と第3指(人差し指と中指)とをかけて、第2指かけ部材6を第1指かけ部材5に近づける方向に操作すると(すなわち、手を握ると)、外管3内に軸線方向に進退自在に挿通された操作ワイヤーの先端に装備された処置部材7は開くようになっている(図1参照)。
【0009】
また、この内視鏡用処置具1−1においては、第1指かけ部材5に第1指(親指)をかけ、第2指かけ部材6に第2指と第3指(人差し指と中指)とをかけて、第2指かけ部材6を第1指かけ部材5から遠ざける方向に操作すると(すなわち、手を開くと)、外管3内に軸線方向に進退自在に挿通された操作ワイヤーの先端に装備された処置部材7は閉じるようになっている(図2参照)。
【0010】
つまり、手を握ると処置部材は開き、手を開くと処置部材は閉じることになり、手動操作と処置部材の作動とが感覚的に逆になっているのである。このために、操作者は、臨床検査中または治療中に戸惑うことがしばしばあり、処置部材を閉止すべきときに開放し、開放すべきときに閉止するという誤操作を招くことがあった。
【0011】
さらに、図6に示すように、第1指かけ部材5と第2指かけ部材6とは、連結棒11によって連結されていることから、器具の外径も必然的に大きくなるという不都合があった。また、前記連結棒11が装備されることにより、軸線方向の中心に対して偏重した器具となり、円滑な操作の妨げになることもあった。
【0012】
このような不都合を解消した内視鏡用処置具として、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致した内視鏡用バスケット型異物回収具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
【特許文献2】
特許第3193637号公報(請求項1)
【0014】
この内視鏡用バスケット型異物回収具を、図3および図4に示す。この内視鏡用バスケット型異物回収具1−2においては、前記内視鏡用処置具1−1とは反対に、手を握ると処置部材7は閉じ(図3参照)、手を開くと処置部材は開くようになっている(図4参照)。つまり、手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致している内視鏡用バスケット型異物回収具である。
【0015】
しかしながら、この内視鏡用バスケット型異物回収具にあっては、図5に示すように、処置部材7の開閉操作に必要な作動距離L1と、これに続く指かけ長さL2と、内管3の接続に必要な長さDを包み込む長さL3とを要し、器具全体が長大になるという問題があった。図5において、10は操作ワイヤーを表す。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような従来の問題を解消し、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致しており、しかもこの手動操作と処置部材の作動とをコンパクトな構成によって行うことのできる内視鏡用処置具を提供することをその課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とを感覚的に一致させる機構について種々検討を重ねた結果、特定の内管受けと外管受けとを設け、これら内管受けと外管受けとを、外管、操作ワイヤー、第1指かけ部材および第2指かけ部材に有機的に接続または固定することにより、コンパクトな構成によって、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致した内視鏡用処置具とすることができるということを見出し、この知見に基づいての発明を完成するに到った。
【0018】
すなわち、この発明の前記課題を解決するための手段は、
内視鏡のチャンネルに通される外管と、前記外管の内側に配置された内管と、前記内管内に前記内管と相対的に軸線方向に進退自在に挿通され、先端に処置部材が装備された操作ワイヤーと、前記外管および前記内管の手元側に配置されると共に、操作部本体に取り付けられた、第1指かけ部材および第2指かけ部材とを有し、前記第1指かけ部材と前記第2指かけ部材とを操作することによって、前記外管と前記内管とが相対的に軸線方向に移動して、前記操作ワイヤーの先端に装備された処置部材が、前記内管の端部に収納または開放されるようにした内視鏡用処置具であって、一方の側に軸線方向の切り削ぎ部を備え、他方の側に前記内管の後端が接続された内管受けと、前記操作ワイヤーが内径の一部に固定され、かつ前記外管が嵌入して接続された外管受けとを有し、前記内管受けの切り削ぎ部を、前記外管受けの内径の一部に固定された前記操作ワイヤーに合わせて前記外管受けの内部に差し通して、前記内管受けの一方側の端部を前記第1指かけ部材に固定し、前記外管受けを前記第2指かけ部材に固定したことを特徴とする内視鏡用処置具。
である。
【0019】
この発明の前記課題を解決するための手段における好ましい態様としては、
前記外管が、第1の外管と第2の外管とに分離され、前記第1の外管と前記第2の外管とを回転自在とした内視鏡用処置具
を挙げることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明の内視鏡用処置具を、図面に基づいて説明する。図7は、この発明の内視鏡用処置具の開閉状態を示す側面断面図である。図8は、図7のA−A断面拡大図である。図7および8において、12は第1指かけ部材に結合するつなぎ具(第1指かけ部材のつなぎ具)を、13は第2指かけ部材に結合するつなぎ具(第2指かけ部材のつなぎ具)を、14は内管受けを、15は外管受けを、16は操作ワイヤー受けを、17はネジ(1)を、18はネジ(2)を表す。
【0021】
内視鏡用処置具は、図7(a)に示すように、内視鏡用処置具が挿通される内視鏡のチャンネル(図示していない。)に通される挿入部の外管3を有し、この外管3は、可撓性チューブによって形成されている。この外管3の内側には、外径が外管3の内径よりも細い可撓性チューブから成る内管8が外管3に対して相対的に軸線方向に移動自在に外管3に同軸に配置されている。
【0022】
この内管8の軸線位置には、可撓性を有する操作ワイヤー10が相対的に軸線方向に進退自在に配置されている。この操作ワイヤー10の先端には、処置部材7が接続固定されている。
【0023】
操作ワイヤー10としては、例えば、ステンレス鋼細線を複数本撚り合わせたワイヤーが用いられる。また、処置部材7は、例えば、バネ用ステンレス鋼または超合金のような弾力性のある材料により形成されている。この弾力性によって、先側が広がるように側方に付勢されている。
【0024】
操作部本体2の手元側には、操作者の第1指(親指)を通して係合させるための第1指かけ部材5と第2指と第3指(人差し指と中指)を係合させるための第2指かけ部材6が操作部本体2の軸上を移動可能に取り付けられている。
【0025】
このような構成の内視鏡用処置具にあって、この発明の内視鏡用処置具は、一方の側に軸線方向に沿った切り削ぎ部を備え、他方の側には内管8の後端が接続された内管受け14と、操作ワイヤー10が内径の一部に固定され、かつ外管3の外周に外径が嵌入して接続された外管受け15とを有し、前記内管受け14の切り削ぎ部を前記外管受け15の内径の一部に固定した前記操作ワイヤー10に合わせて前記外管受け15に差し通して、前記内管受け14が第1指かけ部材5に固定され、前記外管受け15が第2指かけ部材6に固定されたことを特徴とする。
【0026】
前記内管受け14は、一方の側を切り削いだ形態となっており、その内管受け14の端部には内管8が接続されている。外管受け15は、図8に示すように、外管受け15の内径の一部に凸部15aを有していて、この凸部15aに操作ワイヤー10が操作ワイヤー受け16を介して外管受け15の内径の一部に固定されている。さらに、外管受け15の外周には外管3が嵌入して接続されている。
【0027】
前記一方の側を切り削いだ形態の内管受け14のその切り削ぎ状態は、図8に示すように、一部を残して軸線方向に削がれU字状となっている。この軸線方向に削がれて形成されたスリワリ(溝)14aの部分が前記切り削ぎ部に相当し、操作ワイヤー受け16と接合された外管受け15の間に嵌遊して、軸線方向に移動することができるようになっている。
【0028】
前記のとおり、外管受け15と操作ワイヤー受け16とは接合されていることから、外管3、操作ワイヤー10および操作ワイヤー10先端の処置部材7は、一体的に形成された状態となっている。そして、内管受け14の端部に内管8が結合されているので、この一体的に形成された状態の操作ワイヤー10および操作ワイヤー10先端の処置部材7と外管3との間に内管8が嵌遊して軸線方向に移動することができる。したがって、内管受け14を軸線方向に押し引きすれば、操作ワイヤー10先端の処置部材7は、軸線方向に動くことなく、内管8内に処置部材7を収納し、また開放することができるのである。
【0029】
この発明の内視鏡用処置具における内管8、内管受け14および第1指かけ部材5は、ネジ17により固定されている。また、外管受け15には、外管3が固定され、さらに、外管受け15の内径の一部で、かつ外管受け15の中心に固定された操作ワイヤー受け16および第2指かけ部材のつなぎ具13がネジ17により固定されている(図8参照)。内管受け14は、切り削ぎ部である前記スリワリ(溝)14aに操作ワイヤー受け16が臨み、外管受け15の内径の中心に貫通して差し通されている。
【0030】
このように構成されたこの発明の内視鏡用処置具にあっては、図7(a)、(b)に示すように、第1指かけ部材のつなぎ具12に固定された内管受け14を、P→QまでLだけ押し込むと、内管8が先端側にP’→Q’のLだけ進むことになり、処置部材7が管内に納まって閉じるのである。逆に、処置部材7を開く場合には、第1指かけ部材5を、Q→Pへ移動すればよい。
【0031】
この発明の内視鏡用処置具は、前記構成およびこの構成に基づく作用により、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致したものとなり、しかも処置部材の開閉操作に必要な最小限の作動距離で足る構造とすることができ、器具全体がコンパクトになるという利点を有する。また、第1指かけ部材と第2指かけ部材とを連結する連結棒も必要とせず、軸線方向の中心に対して対照的な器具となることから、円滑な内視鏡治療を実施することができるという利点も有する。
【0032】
内管8および外管3を形成する材料に特に制限はないが、薄肉の可撓性を有する材料が好ましい。この可撓性を有する材料としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を挙げることができる。これらの中でも、より可撓性に優れたポリ四フッ化エチレンが好ましい。その肉厚は、0.1〜0.3mmである。
【0033】
また、内管受け14および外管受け15を形成する材料にも特に制限はないが、通常、ステンレス等の金属、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド等の硬質プラスチック等により形成され、その肉厚は、0.5〜2mmである。さらに、硬質の内視鏡用処置具においては、内管8および外管3は、ステンレス等の薄肉の金属管であってもよい。
【0034】
次に、この発明の内視鏡用処置具の別の実施態様を、図9に示す。図9において、19は第1の外管を、20は第2の外管を表す。この実施態様においては、外管が、操作部本体2近傍で、第1の外管19と第2の外管20とに分離され、外管19を回転自在とするように構成されている。
【0035】
この構成によって、第1の外管19に対して第2の外管20を回転させれば、操作部本体2が回転する。すなわち、第1の外管19に対して、その他全体を回転自在とすることができ、処置部材7を所望の方向に回転させることができるという利点を有する。
【0036】
【発明の効果】
この発明によれば、指かけ部材を用いて行う手動操作と処置部材の作動とが感覚的に一致しており、しかもこの手動操作と処置部材の作動とをコンパクトな構成によって行うことのできる内視鏡用処置具が提供され、医療分野、特に内視鏡治療分野に寄与するところはきわめて多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】手動操作と処置部材の作動(開放)とが感覚的に逆になっている内視鏡用処置具を示す図である。
【図2】手動操作と処置部材の作動(閉止)とが感覚的に逆になっている内視鏡用処置具を示す図である。
【図3】手動操作と処置部材の作動(開放)とが感覚的に一致している内視鏡用バスケット型異物回収具を示す図である。
【図4】手動操作と処置部材の作動(閉止)とが感覚的に一致している内視鏡用バスケット型異物回収具を示す図である。
【図5】従来の内視鏡用バスケット型異物回収具を示す図である。
【図6】従来の他の内視鏡用バスケット型異物回収具を示す図である。
【図7】この発明の内視鏡用処置具の開閉状態を示す側面断面図である。
【図8】図7のA−A断面拡大図である。
【図9】この発明の内視鏡用処置具の別の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
1 内視鏡用処置具
2 操作部本体
3 外管
4 スライダー
5 第1指かけ部材
6 第2指かけ部材
7 処置部材
8 内管
9 スリット
10 操作ワイヤー
11 連結棒
12 第1指かけ部材のつなぎ具
13 第2指かけ部材のつなぎ具
14 内管受け
15 外管受け
16 操作ワイヤー受け
17 ネジ(1)
18 ネジ(2)
19 第1の外管
20 第2の外管
Claims (2)
- 内視鏡のチャンネルに通される可撓性チューブからなる外管と、
前記外管より細い可撓性チューブで形成されて略全長にわたり前記外管の内側に配置された内管と、
前記内管内に前記内管と相対的に軸線方向に進退自在に挿通され、先端に処置部材が装備されて後端側において前記外管の後端側と連結された操作ワイヤーと、
前記外管および前記内管の後端側に配置されると共に、操作部本体に取り付けられた、第1指かけ部材および第2指かけ部材とを有し、
前記第1指かけ部材と前記第2指かけ部材とを前記軸線方向に相対的に進退操作することによって、前記外管と前記操作ワイヤーに対し前記内管が相対的に軸線方向に移動して、前記操作ワイヤーの先靖に装備された処置部材が、前記内管の端部に収納または開放されるようにした内視鏡用処置具であって、
前記第1指かけ部材は前記操作部本体の後端部に固定的に設けられて、前記第2指かけ部材は前記操作部本体に対しその外面に沿って前記軸線方向に相対的に進退自在に設けられると共に、
後端寄りの側に軸線方向の切り削ぎ部を備えていて、先端側に前記内管の後端が接続され、軸線位置に前記操作ワイヤーの後端部分が配置された筒状の内管受けと、
前記操作部本体の内側の領域に前記内管受けの外周を囲んで配置されて、その軸線位置まで内方に向かって突出形成された凸部に前記操作ワイヤーが真っ直ぐに固定され、かつ先端側に前記外管が嵌入して接続された外管受けとを有し、
前記内管受けの切り削ぎ部を、前記外管受けの凸部に固定された前記操作ワイヤーに合わせて前記外管受けの凸部に差し通して、前記内管受けの後端部を前記第1指かけ部材に固定し、
前記外管受けを前記第2指かけ部材に固定したことを特徴とする内視鏡用処置具。 - 前記外管が、第1の外管と第2の外管とに分離され、前記第1の外管と前記第2の外管とを回転自在とした請求項1に記載の内視鏡用処置具。
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