JP4131013B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱されて人体内における医療処置を行うのに用いられる内視鏡用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用処置具は一般に、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースの先端に、手元側からの遠隔操作により作動する先端処置片が配置された構成になっている。
【0003】
しかし、そのような構成だけでは、処置の対象である体内患部付近に狭窄等がある場合に、内視鏡の視野が妨げられて患部を目視しながら安全に処置を行うことができない。
【0004】
そこで従来は、内視鏡の挿入部の先端に筒状の透明フード等を取り付けることにより狭窄部位の粘膜を押し退けて、前方の視野を確保するようにしていた(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
実用新案登録第3077478号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、内視鏡の挿入部先端に透明フード等を取り付けるやり方では、挿入部先端から例えば10mm以内程度の至近距離の範囲しか開拡することができないので、患部との間に内視鏡的処置を最も行い易い20〜50mm程度の距離をとろうとすると、患部が狭窄部の向こう側に隠れてしまって安全に処置を行うことができない。
【0007】
そこで本発明は、内視鏡先端から処置の対象である患部までの距離に関係なく患部付近にある狭窄を開拡して、処置対象の患部を観察しながら安全に内視鏡的処置を行うことができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用処置具は、手元側からの遠隔操作により作動する先端処置片が可撓性シースの先端部分に配置された内視鏡用処置具において、可撓性シースの手元側からの遠隔操作により可撓性シースの先端から突没し、可撓性シースの先端から突出するにしたがって先端処置片を間に挟んでその両側に広がる開拡腕を、先端処置片とは独立して遠隔操作できるように併設したものである。
【0009】
なお、先端処置片を遠隔操作するための処置片操作ワイヤと、可撓性シース先端からの開拡腕の突没を遠隔操作するための開拡腕操作ワイヤとが、各々独立して長手方向に進退自在に可撓性シース内に並んで挿通配置されていてもよい。
【0010】
そして、開拡腕が、バネ線材又は板バネ材によって略「く」の字状に形成されていてもよく、その場合に、開拡腕の突端に球状チップが取り付けられていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図6は内視鏡用処置具の全体構成を示しており、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シース1は、例えば四フッ化エチレン樹脂製チューブ等によって形成されている。
【0012】
可撓性シース1の先端部分には、先端処置片2である例えば鉗子片と、粘膜の狭窄部位を開拡するための開拡腕3とが併置され、可撓性シース1の基端には、先端処置片2を遠隔操作するための固定指掛け11と処置片操作用スライド操作輪12、及び開拡腕3を遠隔操作するための固定指掛け13と開拡腕操作用スライド操作輪14とが併設されている。
【0013】
図1と図2は、開拡腕3が広げられた状態の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図と斜視図であり、図3と図4は、開拡腕3が窄められた状態の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図と斜視図である。
【0014】
可撓性シース1の先端には金属製の先端本体枠4が連結固着され、一対の先端処置片2を回動自在に支持する支軸5が先端本体枠4の先端付近に取り付けられている。
【0015】
一対の先端処置片2の後端付近には、可撓性シース1内に軸線方向に進退自在に挿通配置された処置片操作ワイヤ6の先端部分が、二つに分けられて連結されている。
【0016】
そのような処置片操作ワイヤ6の基端は、前述の操作部10の処置片操作用スライド操作輪12に連結されている。したがって、処置片操作用スライド操作輪12を図6の矢印A方向にスライド操作することにより、可撓性シース1内で処置片操作ワイヤ6が軸線方向に進退して、可撓性シース1の先端側において先端処置片2が開閉動作をする。
【0017】
開拡腕3は、バネ用ステンレス鋼線材等のようなバネ線材又は板バネ材等によって、外力が加えられていない自然状態のときに「く」の字状をなすように形成されて、先端処置片2を間に挟んでその両側に弾力的に広がった状態に配置され、両突端部分には球状チップ3aが取り付けられている。
【0018】
開拡腕3の中折れ部は「α」状のループに形成されていて、可撓性シース1内に軸線方向に進退自在に挿通配置された開拡腕操作ワイヤ7の先端部分がそこに連結されている。
【0019】
開拡腕操作ワイヤ7は、図1におけるV−V断面を図示する図5にも示されるように、処置片操作ワイヤ6と並んで可撓性シース1内に挿通配置されており、処置片操作ワイヤ6との間の摩擦抵抗を小さくするために金属ワイヤ7aに四フッ化エチレン樹脂被覆7bが施された構成になっている。
【0020】
そのような開拡腕操作ワイヤ7の基端は、前述の操作部10の開拡腕操作用スライド操作輪14に連結されており、開拡腕操作用スライド操作輪14を図6の矢印B方向にスライド操作することにより、可撓性シース1内で開拡腕操作ワイヤ7が軸線方向に進退して、先端処置片2の動作とは完全に独立した状態で開拡腕3が可撓性シース1の先端内に突没する。
【0021】
そして開拡腕3は、図1及び図2に示されるように、可撓性シース1の先端から前方に押し出されると自己の弾性によって「く」の字状に広がり、図3及び図4に示されるように、可撓性シース1内に引き込まれると窄まった状態に弾性変形する。
【0022】
このように構成された内視鏡用処置具は、開拡腕3を窄ませた状態で内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して使用され、図3に示されるように先端処置片2による処置の対象である患部100の周囲が粘膜の狭窄等によって観察が困難な場合には、図1に示されるように開拡腕3を開拡させて狭窄している粘膜部を内側から外方に押し広げ、処置対象の患部100を内視鏡観察しながら先端処置片2による処置を安全に行うことができる。このとき、開拡腕3の突端に球状チップ3aが取り付けられているので、粘膜面を傷めない。
【0023】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば先端処置片2は鉗子片以外の各種の処置片であっても差し支えない。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性シースの手元側からの遠隔操作により、先端処置片を間に挟んでその両側に広がるように開拡腕を動作させることができるので、内視鏡先端から処置の対象の患部までの距離に関係なく患部付近にある狭窄を開拡して、処置対象の患部を観察しながら安全に内視鏡的処置を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用処置具の開拡腕が開拡した状態の側面断面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用処置具の開拡腕が開拡した状態の斜視図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用処置具の開拡腕が窄んだ状態の側面断面図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用処置具の開拡腕が窄んだ状態の斜視図である。
【図5】本発明の実施例の図1におけるV−V断面図である。
【図6】本発明の実施例の内視鏡用処置具の全体構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 先端処置片
3 開拡腕
3a 球状チップ
6 処置片操作ワイヤ
7 開拡腕操作ワイヤ
10 操作部
12 処置片操作用スライド操作輪
14 開拡腕操作用スライド操作輪
100 患部
Claims (3)
- 手元側からの遠隔操作により前方に向かって開閉動作をする先端処置片が可撓性シースの先端部分に配置された内視鏡用処置具において、
上記可撓性シースの手元側からの遠隔操作により上記可撓性シースの先端から突没し、上記可撓性シースの先端から突出するにしたがって上記先端処置片を間に挟んでその両側に上記先端処置片の開閉方向と略同方向のみに広がる開拡腕が、上記先端処置片とは独立して遠隔操作できるように併設されて、
上記先端処置片を遠隔操作するための処置片操作ワイヤと、上記可撓性シース先端からの上記開拡腕の突没を遠隔操作するための開拡腕操作ワイヤとが、各々独立して長手方向に進退自在に上記可撓性シース内に並んで挿通配置され、
上記開拡腕操作ワイヤに、上記処置片操作ワイヤとの間の摩擦抵抗を少なくするための樹脂被覆が施されていることを特徴とする内視鏡用処置具。 - 上記開拡腕が、バネ線材又は板バネ材によって略「く」の字状に形成されている請求項1記載の内視鏡用処置具。
- 上記開拡腕の突端に球状チップが取り付けられている請求項1又は2記載の内視鏡用処置具。
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