JP3727976B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に進退自在に挿通される可撓軸を有する内視鏡用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用処置具は一般に、密着巻きのステンレスコイル等で可撓軸を形成して、その先端に処置片を取り付けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのような従来の処置具で患部を狙撃すると、図9に示されるように、処置具の可撓軸91の先端部分が内視鏡92の処置具挿通チャンネル93から患部に対して真っ直ぐに突き出される。したがって、内視鏡92の正面に位置させることのできない患部A等に対しては、正確な処置を行うことができない。
【0004】
そこで、内視鏡用処置具の先端を患部付近に押しつけた状態で、可撓軸91を処置具挿通チャンネル93からさらに突き出せば、可撓軸91がたわんで先端の向きが変わるが、ステンレスコイル等は弾発性が強いので、たわんだ部分が跳ねて処置具の先端が患部部分から外れ、結局元の真っ直ぐの状態に戻ってしまう。
【0005】
そこで、可撓軸91の先端部分を遠隔操作によって任意に屈曲させることができるようにしたものもある(実公昭52−22146号、実開平1−119621号等)。
【0006】
しかし、そのような内視鏡用処置具では、処置具の操作部で処置操作と屈曲操作とを行う必要があるので非常に操作性が悪く、先端を患部に正面から当接させるのが容易でないばかりか、非常に細い可撓軸内に処置操作用の操作ワイヤと屈曲操作用の操作ワイヤとが並挿されるので、可撓軸が硬くなって処置具挿通チャンネルへの挿通性が悪くなってしまう。
【0007】
そこで本発明は、操作性及び挿通性がよく、しかも簡単な構造で容易に患部を正面から狙撃することができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用処置具は、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に進退自在に挿通される可撓軸を有する内視鏡用処置具において、軸方向への伸縮性が小さくて任意方向に屈曲自在な屈曲自在部を上記可撓軸の先端部分に形成して、上記屈曲自在部の最大屈曲角度を70°以下に設定したことを特徴とする。
【0009】
なお、上記屈曲自在部の長さが50mm以下に設定されているとよい。
【0010】
【実施例】
図面を参照して実施例を説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具10の先端部分を示しているが、内視鏡用処置具10は、図2に示されるように、内視鏡1の処置具挿通チャンネル2内に進退自在に挿通されて使用される。
【0011】
内視鏡用処置具10は、先端処置片11と手元側の操作部12との間を可撓軸13によって連結して構成されていて、先端処置片11の開閉等の動作を、操作部12側から遠隔操作によって行わせることができる。
【0012】
可撓軸13は、ほぼ全長にわたって、細いステンレス鋼線を同一径に密着巻きしたいわゆる密着巻きコイルによって形成されており、図1に示されるように、任意方向に屈曲自在な屈曲自在部14が可撓軸13の先端部分にだけ形成されている。可撓軸13の長さは例えば1〜2mである。
【0013】
この実施例においては、内視鏡用処置具10は生検鉗子であり、先端処置片11部分には、リンク機構11aによって開閉される一対の鉗子カップ11bが設けられている。
【0014】
そして、可撓軸13内には、リンク機構11aを動作させるために操作部12側から進退操作される装置片操作ワイヤ16が、全長にわたって進退自在に挿通されている。
【0015】
屈曲自在部14は、内視鏡のいわゆる4方向湾曲機構と同様に、短筒状に形成されたステンレスパイプ製の節輪14aを互いに回動自在に連結して構成されており、屈曲を遠隔操作するための操作ワイヤは設けられていない。
【0016】
各節輪14aの前後両端部には、前端側と後端側とで90°向きを変えて各々に一対の舌片が突設されていて、隣り合う節輪14aの舌片どうしがリベット14bによって回動自在に連結されている。そして、その節輪14a群の内部に処置片操作ワイヤ16が挿通されている。
【0017】
各節輪14aの前後両端面は、図1に示されるように、リベット14bで連結される舌片部を中心にして、そこから外側へ行くほど隣の節輪14aの端面と離れる斜面に形成されている。
【0018】
したがって、各節輪14aは、斜面が隣の節輪14aとぶつかる範囲までリベット14bを中心として自由に回動することができるので、屈曲自在部14全体としては任意の方向に屈曲することができる。ただし、軸方向には全く伸縮しない。
【0019】
このように構成された実施例の内視鏡用処置具10を使用するときは、まず図3に示されるように、処置具10の先端部分を内視鏡1の処置具挿通チャンネル2から突き出して、先端処置片11を患部Aのある部分に押しつける。
【0020】
そのようにしておいてから、可撓軸13をさらに押し出すと、図4に示されるように、患部A近くに押しつけられた先端処置片11を支点として屈曲自在部14が自然な状態でスムーズに屈曲して、先端処置片11部分の向きが変わり、先端処置片11を患部Aに対して正面から当接させることができる。
【0021】
その結果、このような生検鉗子の場合は患部Aの生検組織を正確に採取することができ、内視鏡用処置具10が生検鉗子以外の種類の場合でも、患部Aに対して正確に処置を行うことができる。
【0022】
ただし、屈曲自在部14が屈曲すればするほど、可撓軸13を管軸方向Uに押し出したときに、先端処置片11が患部Aに正面から向かう方向Vに進みにくくなり、患部Aに対する先端処置片11の押圧力が小さくなる。
【0023】
実験によれば、屈曲自在部14の屈曲角が70°を越えると、患部Aに対する先端処置片11の押圧力が極端に小さくなって、患部Aに対する処置を円滑に行えなくなる。したがって、屈曲自在部14の最大屈曲角度を70°以下に設定するのがよい。
【0024】
図5ないし図8は、本発明が適用された内視鏡用処置具の使用例を示している。なお、各図において屈曲自在部14は略示されている。
図5は、気管支内において内視鏡1から突出させた処置具10で患部Aを狙撃している使用状態を示しており、気管支の直径は太いところでも12mm〜16mm程度なので、屈曲自在部14の長さは10mm程度以下に設定するのがよい。
【0025】
図6は、十二指腸内において内視鏡1から突出させた処置具10で患部Aを狙撃している使用状態を示しており、十二支腸の直径は40mm〜60mm程度なので、屈曲自在部14の長さは30mm程度以下に設定するのがよい。
【0026】
図7は、大腸内において内視鏡1から突出させた処置具10で患部Aを狙撃している使用状態を示しており、大腸の直径は70mm程度なので、屈曲自在部14の長さは40mm程度以下に設定するのがよい。
【0027】
図8は胃内において内視鏡1から突出させた処置具10で患部Aを狙撃している使用状態を示しており、胃の容量は男性で1.4リットル程度であり、屈曲自在部14の長さは50mm程度以下に設定するのがよい。一般に、胃より大きな臓器に対する使用は考える必要がないので、屈曲自在部14の長さは50mm以下であることが望ましく、使用目的に応じて設定される。
【0028】
なお、本発明の屈曲自在部14の具体的構成は上述の各実施例に限定されるものではなく、例えばシリコンゴム等のように柔軟な筒状の弾性材料に金属コイル又は金属製網状管等を埋め込んで形成してもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、軸方向への伸縮性が小さくて任意方向に屈曲自在な屈曲自在部を可撓軸の先端部分に形成したことにより、処置具の先端部分を内視鏡の処置具挿通チャンネルから突き出して患部のある部分に押しつけておき、可撓軸をさらに押し出すと、患部に押しつけられた先端部分を支点として屈曲自在部が自然な状態でスムーズに屈曲して、先端部分の向きが変わり患部に対して正面から当接することができる。
【0030】
したがって、操作性がよくて簡単な構造で容易に患部を正面から狙撃することができ、湾曲操作ワイヤ等を必要としないので、処置具挿通チャンネルに対する挿入性もよい。
【0031】
そして、屈曲自在部の最大屈曲角度を70°以下に設定したことにより、可撓軸を進退させる力で先端部分を患部に対して確実に押し付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の内視鏡用処置具の先端部分の斜視図である。
【図2】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の全体側面図である。
【図3】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の先端部分の側面図である。
【図4】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の先端部分の側面図である。
【図5】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の略示図である。
【図6】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の略示図である。
【図7】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の略示図である。
【図8】実施例の内視鏡用処置具の使用状態の略示図である。
【図9】従来の内視鏡用処置具の使用状態の先端部分の側面図である。
【符号の説明】
2 処置具挿通チャンネル
10 処置具
11 先端処置片
13 可撓軸
14 屈曲自在部

Claims (2)

  1. 内視鏡の処置具挿通チャンネル内に進退自在に挿通される可撓軸と、上記可撓軸の先端に設けられた先端処置片と、上記先端処置片を遠隔操作によって動作させるために上記可撓軸内に全長にわたって挿通配置された操作ワイヤとを有する内視鏡用処置具において、
    上記可撓軸の先端部分に、複数の節輪を各々の前端側と後端側とで90°向きを変えてその前後位置に隣接する節輪とリベットで回動自在に連結することにより、軸方向への伸縮性が小さくて外力により任意方向に屈曲自在な屈曲自在部を形成して、上記屈曲自在部の最大屈曲角度を70°以下に設定すると共に、上記可撓軸内には上記先端処置片を遠隔操作によって動作させるための操作ワイヤのみを挿通配置したことを特徴とする内視鏡用処置具。
  2. 上記屈曲自在部の長さが50mm以下に設定されている請求項1記載の内視鏡用処置具。
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