JP4349705B2 - 光凝固装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光源からのレーザ光を眼底等に照射して光凝固を行う光凝固装置に関する。
【0002】
【従来技術】
スリットランプ等の観察光学系により患者眼を観察しながら、治療部位に治療レーザ光を照射して凝固を行う光凝固装置が知られている。光凝固装置は眼底等の組織をレーザ光の熱作用を利用して蛋白凝固を生じさせるもので、増殖性糖尿病網膜症等の治療に使用される。
【0003】
レーザ照射に際しては凝固サイズ(レーザ照射領域の面積)や凝固時間(レーザ照射時間)、レーザ出力等の凝固条件を治療内容に応じて変更して定める。凝固サイズの変更は、一般に、レーザ導光光学系に配置されたズームレンズを移動することによりレーザ光束のスポット径を拡大することで行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光凝固においてはレーザ光のエネルギ分布の不均一性により、スポット周辺に比べ中心部が過凝固ぎみになったり、レーザ照射部位が滑らかに凝固せずに焼けムラがおこり、各照射部位にて必ずしも期待していた通りの凝固斑が形成されないことがあった。特にこの傾向は、レーザ光のスポット径を大きくする程顕著にあらわれる。
【0005】
また、ズーム光学系によりレーザ光の眼底でのスポット径を大きくすると、眼に対する入射角が狭くなり、角膜周辺をパワー密度の高いレーザ光が通るので、角膜、水晶体に混濁がある場合にはその部分にエネルギが吸収されて熱の影響が現われやすくなる。
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑み、焼けムラのない均一な凝固斑が得られ、適切な治療を行うことができる光凝固装置を提供することを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) レーザ光源からの治療レーザ光及びエイミング光源からのエイミング光のスポット径を変更する光学系が配置され、スポットに形成された治療レーザ光及びエイミング光を眼底上に照射するレーザ照射光学系と、光凝固を行う照射時間を含むレーザ照射条件を設定する設定手段と、前記レーザ照射光学系に配置され、スポットに形成された治療レーザ光及びエイミング光を眼底上で走査する走査手段と、を備え、眼底に照射されるエイミング光により患部への位置合わせを行い、治療レーザ光を眼底に導光して光凝固を行う光凝固装置において、
治療レーザ光の照射領域を決定する選択手段であって、形状及びそのサイズを選択可能な選択手段と、前記選択手段により選択された照射領域及び前記設定手段により設定されたレーザ照射条件に基づいて前記走査手段を制御する制御手段であって、治療レーザ光の照射時には、照射領域内を均一な凝固班を得るように、所定の走査パターンに基づいて前記走査手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の光凝固装置において、前記制御手段は、治療レーザ光の照射前のエイミング光による患部への位置合わせ時には、照射領域の輪郭部分をエイミング光のスポットで走査することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るレーザ光凝固装置の外観図を示した図である。
【0015】
1は装置本体であり、レーザ光源やレーザ光を光ファイバ2に入射させる光学系が収納されている。3はレーザ出力や照射時間等のレーザ照射条件や装置の必要な設定を行うコントロール部である。4は患者眼を観察しながらレーザ光を患者眼の患部に照射するスリットランプデリバリであり、光ファイバ2に導光されたレーザ光を照射するレーザ照射部5、患者眼をスリット照明する照明部6、双眼の顕微鏡部4aを備える。7は装置本体1とスリットランプデリバリ4間の信号を送信するためケーブルである。8はレーザ照射のトリガ信号を送出するフットスイッチである。
【0016】
図2は装置の概略的な光学系を説明する図である。10は治療レーザ光を出射する治療用レーザ光源であり、本形態では、1064nmの基本波を発振するNd:YAGレーザから、その2倍波(532nm 直線偏光)である緑色光を得るものを使用している。14はレーザ光源10からのレーザ光の大部分を透過し一部を反射するビームスプリッタで、ビームスプリッタ14を反射したレーザ光は拡散板15を通過し、出力センサ16に入射される。出力センサ16はレーザ光源10からのレーザ光の出力を検出する。
【0017】
17aはレーザ光を遮断するための第1安全シャッタであり、駆動装置17bにより光路に挿脱される。18はダイクロイックミラーである。可視半導体レーザ19からの赤色エイミング用レーザ光はコリメータレンズ20を介した後、ダイクロイックミラー18により治療用レーザ光と同軸にされる。21aは第2安全シャッタであり、半導体レーザ19からのエイミング用レーザ光が出ていないときに駆動装置21bによって光路に挿入される。第2安全シャッタ21aを通過した各レーザ光は、集光レンズ22により光ファイバ2の入射端面2aに集光して入射する。
【0018】
5はレーザ照射部であり、光ファイバ2により導光された治療レーザ光及びエイミング光は、六角形に開口したスリット23、リレーレンズ24、レーザ光のスポットサイズを変更するために光軸方向に移動可能なズームレンズ25、コリメーティングレンズ39、ガルバノ第一ミラー37、ガルバノ第二ミラー38、対物レンズ26を介した後、可動ミラー27で反射し、コンタクトレンズ28を経て患者眼Eの患部に照射される。以上によりレーザ照射光学系及びエイミング光照射光学系が構成される。
【0019】
なお、ガルバノ第一ミラー37及びガルバノ第二ミラー38には、図3に示すように、モータ37a、38aが取り付けられており、モータ37a、38aの回転が制御部50からの信号により制御されることによって、六角形に整形された照射スポットが眼底上で走査される。また、ズームレンズ25は図1に示すスポット径変更ノブ55により移動し、眼底に照射される治療レーザ光及びエイミング光のスポット径が変更される。
【0020】
6はスリット光を投影する照明部であり、照明光源30からの照明光はコンデンサーレンズ31、スリット32、投影レンズ33を介した後、分割ミラー35a、35bで反射され、コンタクトレンズ28を介して患者眼を照明する。34は分割ミラーで反射される照明光の光路長を補正する補正レンズである。
【0021】
4aは双眼の顕微鏡部であり、内部には対物レンズ40、変倍光学系41、保護フィルター42、正立プリズム群43、視野絞り44、接眼レンズ45を備える。
【0022】
制御部50はコントロール部3や変更ノブ55にて設定されたレーザ照射条件に基づき治療用レーザ光源10や、レーザ光を走査するモータ37a、37b等の各駆動部を制御する。
【0023】
図4はコントロール部3の詳細を示す図である。60は治療レーザ光の照射スキャン回数を表示するカウンター表示部、61はスポット径を表示するスポット径表示部である。スポット径は変更ノブ55により50〜100μmの間で10μmずつ変更可能であり、変更ノブ55によるスポット径の設定信号が制御部50に入力される。72は照射サイズ(凝固サイズ)を表示する照射径表示部であり、照射サイズは100〜1000μmの間で10μmずつ変更可能である。照射サイズの設定は照射径設定スイッチ73にて行われる。62は設定された照射サイズ全域を照射するに要する照射時間を表示する時間表示部であり、照射時間の設定は照射時間設定スイッチ64にて行われる。63は治療レーザ光の照射出力を表示する出力表示部であり、照射出力の設定は出力設定スイッチ65にて行われる。エイミング光の明るさ調整にはエイミングスイッチ66を使用する。67はフットスイッチ8が使用されている間、連続して照射する際のレーザ光の照射間隔時間を設定するためのINTERVALスイッチであり、照射間隔時間は0.2秒〜1.0まで0.2秒単位で変更可能である。71は治療レーザ光照射の可能、不可能の状態を切替えるSTATUSスイッチである。
【0024】
以上のような構成を備える装置において、その動作を説明する。
【0025】
術者は照明部6からの照明光によって照らされた眼底を、顕微鏡部4aを通して観察する。また、エイミングスイッチ66によりエイミング光を点灯させる。エイミング光が照射されるよう設定されると、制御部50は第2安全シャッタ21aを光路上から離脱させる。
【0026】
次に、術者はレーザ光照射条件を決定させるため、コントロール部3の各種スイッチにてレーザの照射サイズ、照射時間、出力、照射間隔時間を設定する。設定条件は患者の患部の状態等により、術者の経験に基づいて設定される。
【0027】
術者は眼底に照射されるエイミング光を観察しながら、スリットランプデリバリ4を移動するジョイスティック56、可動ミラー27を揺動するマニュピレータ(図示を省略する)を操作して、患部への位置合わせを行う。制御部50はガルバノ第一ミラー37及びガルバノ第二ミラー38の角度を制御して、半導体レーザ19から出射されるエイミング光を眼底上で走査する。治療レーザ光の出射が行われていないときのエイミング光の走査は、例えば、図5(a)で示すように、治療用レーザ光の照射領域の輪郭部分を六角形状に整形されるスポットによって走査する。この輪郭は、設定されているスポット径、照射サイズを基に制御部50により演算されて決定される。図5(a)は、スポット径が50μmの小スポットで照射サイズを500μmとしたときの例である。エイミング光のみが出射されているときは、制御部50は照射領域の輪郭部分が繋がった一つの輪郭に見えるような速度でエイミング光を走査する(1周期を1/30秒より速い速度で走査すれば、残存現象により一つの輪郭に見える)。これにより、従来と同じように、術者はエイミング光の観察によってレーザ照射の領域を定めることができる。
【0028】
術者はエイミング光の観察によってレーザ照射位置の特定ができたら、フットスイッチ8を踏み、レーザ照射のトリガ信号を制御部50へ送る。制御部50はトリガ信号の入力がなされると、第1安全シャッタ17aを開いて治療用レーザ光源10からのレーザ光が照射されるようにすると共に、コントロール部3にて設定されたレーザ照射条件に基づいてガルバノ第一ミラー37及びガルバノ第二ミラー38の走査をレーザ照射用の走査に変更する。このときのレーザ照射の走査は、図5(b)で示す如く、六角形状スポットが照射領域全体に連続して並べられるように、設定されているスポット径及び照射サイズに基づいて制御部50によって計算されて決定される。そして、それぞれのスポット位置ではガルバノ第一ミラー37及びガルバノ第二ミラー38を停止した時のみに照射し、レーザ照射のスポットの移動中は照射されないように、制御部50がレーザ光源10の駆動を制御する。
【0029】
一つのスポットの照射時間は、スイッチ64により設定する照射時間(凝固時間)が照射サイズの領域全体を照射する時間となるように、スポット数に応じて決定される。例えば、照射時間の設定が0.5秒でスポット数が100個であるならば、一つのスポット位置では5msecとされる。これにより、一つの小スポットにおいては、従来のスポット径を拡大して凝固を行うときと同じエネルギが与えられるようになり、この小スポットの光凝固を並べることによって、大きな照射領域であっても焼けムラを少なくして、均一に近い凝固班が形成されるようになる。
【0030】
なお、治療レーザ光の出射/停止の周期が短く、数ミリ秒でのレーザ光源10の制御が難しい場合には、図6に示すように開口孔101を一定間隔で多数持つ遮光円盤100を治療レーザ光が導光される光路中に設け、これをモータ102で回転させることにより、断続的なレーザ照射を得るようにしても良い。レーザ照射に際しては、レーザ照射のスポットの移動/停止と遮光円盤100の回転とを同期させるように、制御部50が制御する。
【0031】
また、断続的なレーザ照射を行わなずに連続照射とする場合であっても、移動速度を考慮して一つのスポット位置での照射時間を定めるよにすれば良い。さらに、全体の照射時間が設定した照射時間となるように、小スポットの走査を等速で行うようにしても良い。
【0032】
連続的にレーザ照射を行う走査の場合、その走査パターンとしては、図7(a)に示すように、小スポット(円形のスポットが好ましい)を中心から外側に向けて螺旋状に走査していく方法もある。この場合、小スポットの中心軌跡は照射エネルギが多くなり、小スポットの周辺部になるほどレーザ照射量が減るので、螺旋状の走査の1周目、2周目と軌跡が広がるにつれて円形の小スポットが重なり合うように走査し、照射量を均一にする。
【0033】
また、図7(b)に示すように、円形の小スポットで直線状に走査する方法であっても良く、この場合も1列目と2列目の一部分が重なり合うようにして、走査軌跡による不均一性をできるだけ無くすことが好ましい。
【0034】
以上のようにして、治療用レーザの照射時には小スポットのレーザ照射が走査されるので、増殖性糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固治療のように、一つの照射サイズを500μm以上に大きくする場合であっても、パワー密度のムラがなくなり、均一な光凝固が行える。
【0035】
なお、以上のような小スポットの走査において、一つのスポットの照射位置での時間が短くなり過ぎるときには、スポット径の大きさを変更ノブ55によって100μmまで大きくすることにより、一つのスポットの照射位置での照射時間を長くすることができる(変更ノブ55によりスポット径が変更されると、制御部50はスポット径に応じて各スポット位置での照射時間を算出する)。100μm程のスポット径であれば、一つのスポットにおける焼けムラはさほど大きく無いので、このスポット径のものを設定される照射サイズ内で走査することにより、少なくとも従来に比べれば均一な凝固班を得ることができる。
【0036】
また、1回の走査ではスポット位置に対するレーザ出力が高すぎる場合には、設定された凝固時間内で複数回の周期の走査を行うように分割すれば、その1走査当たりのレーザ出力を少なくできる。例えば、レーザ出力の設定が400mWであったときに、10回の周期の走査を行えば、1回の走査では40mWのレーザ照射を行うように出力を制御すれば良い。
【0037】
以上のように大きな照射サイズの光凝固に対して、小スポットの走査でを行うことにより、次のような利点もある。すなわち、図8(a)に示すように、光ファイバ2の出射端と眼底との像倍率が低い場合は、眼に対するレーザ光束の入射角θ1が大きい。これに対して、ズーム光学系によって像倍率を高くする場合は、図8(b)に示すように、眼に対するレーザ光束の入射角θ2が小さくなる。眼に対するレーザ光束の入射角θ2が小さいと、角膜周辺、水晶体を通るレーザ光束のエネルギー密度が大きくなり、角膜周辺、水晶体に混濁等により治療レーザ光の不透過要素があると、その部分への熱的影響も現われやすくなる。レーザ光束の入射角が大きい方が、この影響を少なくできる。
【0038】
以上ではレーザ照射領域の形状は従来と同じように略円形にする例で説明したが、本形態の装置はレーザ照射領域の形状パターンを、コントロール部3のFORMボタン70を押して、三角形や四角形などに変更することもできる。FORMボタン70で選択した形状パターンは、表示部70aの図形パターンの何れかが点灯することにより確認できる。変更できる形状パターンは制御部50が持つメモリに記憶されており、制御部50は変更した形状に応じてレーザ照射のスポット位置の走査を制御する。これにより、凝固位置の条件に応じて凝固形状を使い分けることができ、適切な凝固班の形状とすることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レーザ照射領域内を適切に凝固することができる。また、比較的広い範囲の凝固をする場合でも、焼けムラを少なくして、より均一な凝固斑を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ光凝固装置の外観を示した図である。
【図2】光学系と制御系を示す図である。
【図3】ガルバノミラーの光路を示す図である。
【図4】コントロール部の詳細を示す図である。
【図5】レーザ照射領域でのエイミング走査パターン、治療走査パターンを示す図である。
【図6】レーザの出射/停止をする遮光円盤を示す図である。
【図7】レーザ照射を連続して走査する方法を示す図である。
【図8】角膜周辺を通るレーザ光束を示す図である。
【符号の説明】
1 装置本体
3 コントロール部
4 スリットランプデリバリ
5 レーザ照射部
10 レーザ光源
19 可視半導体レーザ
37 ガルバノ第一ミラー
38 ガルバノ第二ミラー
50 制御部
55 スポット径変更ノブ
Claims (2)
- レーザ光源からの治療レーザ光及びエイミング光源からのエイミング光のスポット径を変更する光学系が配置され、スポットに形成された治療レーザ光及びエイミング光を眼底上に照射するレーザ照射光学系と、光凝固を行う照射時間を含むレーザ照射条件を設定する設定手段と、前記レーザ照射光学系に配置され、スポットに形成された治療レーザ光及びエイミング光を眼底上で走査する走査手段と、を備え、眼底に照射されるエイミング光により患部への位置合わせを行い、治療レーザ光を眼底に導光して光凝固を行う光凝固装置において、
治療レーザ光の照射領域を決定する選択手段であって、形状及びそのサイズを選択可能な選択手段と、前記選択手段により選択された照射領域及び前記設定手段により設定されたレーザ照射条件に基づいて前記走査手段を制御する制御手段であって、治療レーザ光の照射時には、照射領域内を均一な凝固班を得るように、所定の走査パターンに基づいて前記走査手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする光凝固装置。 - 請求項1の光凝固装置において、前記制御手段は、治療レーザ光の照射前のエイミング光による患部への位置合わせ時には、照射領域の輪郭部分をエイミング光のスポットで走査することを特徴とする光凝固装置
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