JP4349670B2 - 親子式内視鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、親スコープのガイドチャンネルに子スコープを挿通して使用される親子式内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
子スコープが挿通される親スコープのガイドチャンネルは、処置具類を挿通するための処置具挿通チャンネル(或いは、鉗子チャンネル)であり、その入口は一般に、親スコープの操作部の上部又は下部の右斜め前方の位置に、斜め上方に向けて突設されている。
【0003】
そして、子スコープが親スコープのガイドチャンネルに挿通されると、ガイドチャンネルから手元側に延び出した子スコープの操作部を助手が操作して、親スコープを操作する術者との共同作業により親子式内視鏡観察が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の親子式内視鏡の親スコープを術者が操作し、子スコープを助手が操作すると、親スコープの誘導操作等のために親スコープの操作部を回転させたときに、ガイドチャンネルの入口より手元側部分に出ている子スコープの部分が振り回されてしまう。そのため、術者と助手の連携動作が非常に重要であり、二人が相当に熟練をしないと円滑に内視鏡検査を行うことができなかった。
【0005】
そこで本発明は、親スコープを回転させたときに子スコープが振り回されないようにして親子式内視鏡観察を容易に行うことができ、さらに必要に応じて術者が一人で親スコープと子スコープの操作を容易に行うことができる親子式内視鏡を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の親子式内視鏡は、子スコープを挿通するために親スコープの挿入部内に全長にわたって挿通配置されたガイドチャンネルの出口が上記親スコープの挿入部の先端に設けられ、上記挿入部の基端に連結された上記親スコープの操作部に上記ガイドチャンネルの入口が設けられた親子式内視鏡において、上記ガイドチャンネルの入口を、軸線が上記親スコープの挿入部の基端部分の軸線のほぼ延長線上に位置するように配置したことを特徴とする。
【0007】
なお、上記親スコープの内視鏡観察像を撮像するためのテレビカメラを接続自在なテレビカメラ接続部が、上記親スコープの操作部の側面に配置されていてもよく、上記テレビカメラ接続部が、上記親スコープを通して得られる内視鏡観察像を肉眼で観察するための接眼部であってもよい。
【0008】
また、挿入部が上記親スコープのガイドチャンネルに挿通された状態の子スコープの操作部を保持するための子スコープホルダーが、上記親スコープのガイドチャンネルの入口部分に着脱自在に取り付けられるようにしてもよい。
【0009】
なお、上記子スコープホルダーを構成する部材の中で互いに摺接する部材が、外観処理の施されていないステンレス鋼によって形成され、それ以外の比較的大きな部材が、プラスチック又は外観処理の施されたアルミニウム合金材によって形成されていてもよい。
【0010】
また、上記子スコープホルダーを構成する部材の中の上記親スコープと係合する部材が、上記外観処理の施されたアルミニウム合金材によって形成された部材であり、上記親スコープと係合する係合面にはプラスチック製のスリーブが取り付けられていてもよい。
【0011】
また、上記子スコープホルダーが長手方向に伸縮自在であってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、親子式内視鏡を構成する親スコープ10と子スコープ30と子スコープホルダー50とを並べて示したものである。
【0013】
親スコープ10には、可撓管によって外装された可撓性の挿入部11の基端に操作部12が連結され、操作部12からの遠隔操作によって任意の角度に屈曲自在な湾曲部11aが挿入部11の先端部分に形成されている。そして、観察窓や照明窓等は、湾曲部11aの先端に連結された先端部本体11bに設けられている。なお、挿入部11とは湾曲部11aと先端部本体11bを含めた部分をいう。
【0014】
操作部12の下半部は術者によって把持される握り部12aであり、上半部の機構部12bの前面側に吸引(又は送水)操作釦16が配置され、背面側に湾曲操作レバー(図示せず)が配置されている。
【0015】
子スコープ30の挿入部31を挿通するためのガイドチャンネル14は、挿入部11内の全長にわたって挿通配置されていて、その出口は観察窓等と並んで先端部本体11bの先端に開口している。
【0016】
ガイドチャンネル14の入口14bは操作部12の上端部に真っ直ぐに上向きに開口していて、いわゆるルアーロック雄口金状の口金17が取り付けられており、その軸線は、挿入部11の基端部分の軸線のほぼ延長線上に位置している。
【0017】
親スコープ10の内視鏡観察像は挿入部11内に挿通配置されたイメージガイドファイババンドルによって操作部12側に伝達され、接眼部20を通して肉眼で観察することができる。
【0018】
接眼部20は、操作部12の上端部側の側面部分に斜め上方向きに配置されている。接眼部20には、図示されていないテレビカメラを接続/取り外し自在であり、テレビカメラを接続することにより、内視鏡観察像をテレビモニターに表示することができる。
【0019】
子スコープ30は、可撓管によって外装された可撓性の挿入部31の基端に操作部32が連結され、操作部32からの遠隔操作によって任意の角度に屈曲自在な湾曲部31aが挿入部31の先端部分に形成されている。
【0020】
子スコープ30の挿入部31は、親スコープ10のガイドチャンネル14内に挿脱自在な太さに形成されており、観察窓や照明窓等は、湾曲部31aの先端に連結された先端部本体31bに設けられている。なお、挿入部31とは湾曲部31aと先端部本体31bを含めた部分を言う。
【0021】
操作部32の下半部は術者によって把持される握り部32aであり、上半部の機構部32bの前面側に吸引(又は送水)操作釦36が配置され、背面側に湾曲操作レバー(図示せず)が配置されている。
【0022】
34は、子スコープ30の処置具挿通チャンネルの入口部分に取り付けられた鉗子栓であり、操作部32の下部に配置されている。内視鏡観察像は、操作部32の上端部に上向きに配置された接眼部40を通して観察することができる。41は、照明光を発生させる光源ユニットであり、内蔵された電池によって小さな電球を点灯させるようになっている。
【0023】
50は子スコープホルダーであり、下端に設けられた親スコープ連結部53において、親スコープ10のガイドチャンネル14の入口14b部分に接続/取り外し自在になっている。
【0024】
中間筒51,52には子スコープ30の挿入部31を挿通することができ、上端部に設けられた子スコープ保持部54には、子スコープ30の操作部32を保持することができる。
【0025】
55は、親スコープ連結部53を親スコープ10側に固定するための親側ロックネジ、56は、子スコープ30の操作部32を子スコープ保持部54に固定するための子側ロックネジ、57は、中間筒51,52の長さを調整して固定するための筒長ロックネジである。
【0026】
各ロックネジ55,56,57のネジ部材は、いずれも外観処理の施されていないステンレス鋼によって形成されている。したがって、ネジ部からの外観処理剥れが発生しない。また、各ロックネジ55,56,57の手元側には、指先で摘んでネジを回転させるための摘まみが形成されている。
【0027】
図2は、子スコープホルダー50を示している。なお、各固定ネジ55,56,57は、固定状態と固定解除状態とが半分ずつに分けて示されている。又、二点鎖線により親スコープ10と子スコープ30が示されている。
【0028】
親スコープ連結部53は、親スコープ10のガイドチャンネル14の入口14b部分を囲むように操作部12の上端部分に被せられ、プラスチック製のスリーブ53aが操作部12側と嵌合する。したがって、外観処理の剥れ等が発生しない。
【0029】
そして、親スコープ連結部53の側壁に形成されたネジ孔に螺合する尖り先ネジ状の親側ロックネジ55を締め込むことによって、親スコープ連結部53が親スコープ10の操作部12に固定され、中間筒51,52がガイドチャンネル14と真っ直ぐに連通する状態になる。
【0030】
子スコープ保持部54には、子スコープ30の操作部32の下端部が上方から嵌め込まれ、子スコープ保持部54の側壁に形成されたネジ孔に螺合する尖り先ネジ状の子側ロックネジ56を締め込むことによって、子スコープ30の操作部32が子スコープ保持部54に固定される。60は、子スコープ30の操作部32に突設されたピン等を係合させるための位置決め用スリ割りである。
【0031】
中間筒51,52は、例えばアルマイト処理が施されたアルミニウム合金製の子スコープ保持部54と一体に形成された太い方の筒51内に、やはりアルマイト処理が施されたアルミニウム合金製の親スコープ連結部53と一体に形成された細い方の筒52が軸線方向にスライド自在に嵌挿されて接続されて構成されている。
【0032】
ただし、両筒51,52共に、摺接部分に外観処理が施されていないステンレス鋼製パイプ51a,52aを配置した二重筒構造に構成されている。したがって、摺接部分における外観処理の剥がれが発生しない。
【0033】
また、子スコープホルダー50を構成する部材の中で最も大きな部材である子スコープ保持部54と親スコープ連結部53とが各々中間筒51,52と一体に比重の小さなアルミニウム合金によって形成されているので、全体として軽量になり、操作性がよい。なお、それらをプラスチックで形成してもよい。
【0034】
筒長ロックネジ57のネジ部は、太い方の筒51の下端部近傍に形成されたネジ孔に側方から螺合しており、その先端には、細い方の筒52の外表面に当接するゴム又はプラスチック製の摩擦板58が取り付けられている。
【0035】
したがって、筒長ロックネジ57の摘まみ部を指先で摘んで筒長ロックネジ57を緩めておけば、太い方の筒51に対する細い方の筒52の差し込み長さを変えることにより、中間筒51,52を任意の長さに調整することができ、筒長ロックネジ57を締め込むことによりその状態を固定することができる。
【0036】
なお、筒長ロックネジ57を緩めた状態の時に、操作者が手で支えなくても、子スコープ保持部54に保持された子スコープ30の操作部32の重さで中間筒51,52が縮められないように、両筒51,52の嵌合部には摩擦力付与のためのOリング61が装着されている。
【0037】
また、細い方の筒52の外面には、長さ調整の目安にするための指標となる複数の円周溝59が等間隔に形成されており、Oリング61が各円周溝59の部分を通過する際に、軽くクリックがかかるようになっている。
【0038】
図3は、親スコープ10に子スコープホルダー50が取り付けられて、その子スコープ保持部54に子スコープ30の操作部32が保持された状態を示している。このように、子スコープホルダー50によって親スコープ10と子スコープ30とが一体化されるので、術者が親スコープ10と子スコープ30の双方の操作を一人で行うことができる。
【0039】
そして、子スコープホルダー50と子スコープ30の操作部32とが親スコープ10の挿入部11の基端部分の軸線のほぼ延長線上に位置するので、親スコープ10を誘導操作のために回転させたときに子スコープ30の操作部32が大きく振り回されず、親スコープ10と子スコープ30の両方の操作を術者が一人で容易に行うことができる。
【0040】
また、筒長ロックネジ57を緩めておけば、中間筒51,52が伸縮自在であり且つ細い方の筒52に対して太い方の筒51が軸線周りに回転自在なので、親スコープ10を動かすことなく子スコープ30を自由に進退及び回転操作することができる。
【0041】
図3に示される状態においては、中間筒51,52が最も短く縮められており、この時は、図4に示されるように子スコープ30の挿入部31の先端が親スコープ10の挿入部11の先端から最も突出した状態になる。その最大突出長をAとする。
【0042】
これに対して、図5は、子スコープホルダー50の中間筒51,52を最も長く伸ばした状態を示しており、中間筒51,52の伸縮長Bは、子スコープ30の挿入部31の最大突出長Aより長く構成されている。即ちA<Bである。
【0043】
したがって、中間筒51,52を図5に示されるように最も長く伸ばした状態では、子スコープ30の挿入部31は親スコープ10のガイドチャンネル14内に完全に引き込まれた状態になっている。
【0044】
したがって、親スコープ10を患者の体腔内で誘導操作する際には、そのように中間筒51,52を最も長く伸ばした状態で筒長ロックネジ57を締め込んでおけば、子スコープ30で体腔内粘膜を傷つけたりすることなく安全に内視鏡操作をすることができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、子スコープを挿通するために親スコープに設けられたガイドチャンネルの入口を、軸線が親スコープの挿入部の基端部分の軸線のほぼ延長線上に位置するように配置したことにより、親スコープを回転させたときにガイドチャンネルの入口より手元側部分に出ている子スコープの部分が振り回されないので、親子式内視鏡観察を容易に行うことができる。
【0046】
そして、子スコープの操作部を保持するための子スコープホルダーを親スコープのガイドチャンネルの入口部分に取り付けることにより、術者が親スコープと子スコープの操作を一人で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の親子式内視鏡の全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の子スコープホルダーの縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の子スコープホルダーを最も縮めた状態の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態の子スコープホルダーを最も縮めた時に親スコープの先端から子スコープの先端が突出した状態の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態の子スコープホルダーを最も伸ばした状態の正面図である。
【符号の説明】
10 親スコープ
11 挿入部
12 操作部
14 ガイドチャンネル
14a 出口
14b 入口
20 接眼部
30 子スコープ
31 挿入部
32 操作部
40 接眼部
50 子スコープホルダー
51,52 中間筒
53 親スコープ連結部
54 子スコープ保持部
57 筒長ロックネジ

Claims (4)

  1. 子スコープを挿通するために親スコープの挿入部内に全長にわたって挿通配置されたガイドチャンネルの出口が上記親スコープの挿入部の先端に設けられ、上記挿入部の基端に連結された上記親スコープの操作部に上記ガイドチャンネルの入口が設けられた親子式内視鏡であって、
    上記ガイドチャンネルの入口を、軸線が上記親スコープの挿入部の基端部分の軸線のほぼ延長線上に位置するように配置すると共に、上記子スコープの操作部を保持するための子スコープホルダーを、上記親スコープのガイドチャンネルの入口部分に着脱自在に取り付けたものにおいて、
    上記子スコープホルダーは、上記親スコープのガイドチャンネルの入口部分に取り付けられる親スコープ連結部と上記子スコープの操作部を保持する子スコープ保持部とを別部材として備えると共に、
    上記子スコープの挿入部が通過する位置に、径が相違する一対の中間筒が嵌合配置され、その一対の中間筒のうち一方は上記親スコープ連結部と一体物として形成されて、他方は上記子スコープ保持部と一体物として形成され、
    その一対の中間筒部分のみが、嵌合部に外観処理が施されていないステンレス鋼製パイプを配置した二重管構造に形成されて、上記一対の中間筒を相対的に動かないように固定するための手動ロック手段が設けられ、
    上記手動ロック手段によるロック状態を解除することにより、上記一対の中間筒が伸縮自在且つ軸線周りに回転自在になることを特徴とする親子式内視鏡。
  2. 上記親スコープの内視鏡観察像を撮像するためのテレビカメラを接続自在なテレビカメラ接続部が、上記親スコープの操作部の側面に配置されている請求項1記載の親子式内視鏡。
  3. 上記テレビカメラ接続部が、上記親スコープを通して得られる内視鏡観察像を肉眼で観察するための接眼部である請求項2記載の親子式内視鏡。
  4. 上記子スコープホルダーの上記親スコープ連結部には、上記親スコープと係合する係合面にプラスチック製のスリーブが取り付けられている請求項記載の親子式内視鏡。
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