JP4347977B2 - 蒸気タービン又はガスタービンのためのケーシング - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーシング半部が１つの半殻体と２つのフランジとから成っている形式の、蒸気タービン又はガスタービンのためのケーシングに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ガスタービンのための圧縮機ケーシングであって、ケーシング半部が１つの半殻体と２つのフランジとから成っているものは公知である。これらのケーシングは殻体全体の上方及び下方の範囲に疑似フランジを有している。しかしこれらのケーシングは、ガスタービンの運転の際に平均温度が高いために、疑似フランジの範囲内でより大きな半径方向の膨張が生じ、したがってケーシングの形状がその円形の形状から変化する。この変形は効率を低下せしめる。それはケーシングとタービン羽根の端部との間の間隙が増大し、この箇所において蒸気又は空気が、タービンにおける作業を行うことなしに、妨げられることなく貫流することができるからである。
【０００３】
蒸気タービンのためのケーシングであって、ケーシング半部が１つの半殻体と２つのフランジとから成り、かつ水平のフランジに鉛直のスリットを有しているものも公知である。しかしこのことは、半殻体とフランジとにおける温度分配に基づいて、半殻体が内実のフランジのねじによる固定によって著しく変形することをもたらす。この変形は半径方向でも、また軸方向でもケーシングに生じる。半径方向では、半殻体が上方に向かって膨張し、両方のフランジがわずかに内方にずらされることによって、円形の半殻体形状からだ円面形状が生じる。軸方向では、半径方向の効果がケーシング内部の種々異なる温度分配に基づいて種々異なって生じ、やはり変形をもたらす。これらの変形は、ケーシングとタービン羽根の端部との間の半径方向の遊びが必然的に増大せしめられることによって、よりわずかな効率をもたらす。それは、増大せしめられた蒸気が、タービンにおける作業を行うことなしに、貫流することができるからである。分離フランジが有しているスリットは特にケーシングの軸方向の変形を減少させるが、しかしこれ単独では、半径方向の変形ひいては効率の減少を阻止するには不充分である。
【０００４】
更に、蒸気タービンケーシングの変形を焼きばめリングによって防止する構造が公知である。しかしこの構造は、それが極めて高価であり、特別な組立装置を必要とするという欠点を有している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、蒸気タービン又はガスタービンのケーシングが、その円形の形状を運転中維持し、あるいは単に比較的にわずかな変形をするだけであって、ケーシングとタービン羽根の端部との間の半径方向の遊びを減少させ、ひいては効率の減少を回避させることである。更に高価な構造及び組立装置が回避されるようにする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、この課題は、半殻体が、種々異なる厚さの、フランジとは逆の側の１つの上方の範囲と、２つの中間の範囲と、フランジの方の側の２つの下方の範囲とを有しており、その際フランジとは逆の側の上方の範囲の壁厚はフランジの方の側の下方の範囲の壁厚よりも増厚されており、中間の範囲の壁厚は変化していて、フランジとは逆の側の範囲及びフランジの方の側の範囲に連続的に移行しているようにすることによって、解決される。
【０００７】
【発明の効果】
本発明の利点は、ケーシングの半殻体の壁厚を変化させることによって、だ円面形状への変形が半径方向でも、また軸方向でも、明確に減少せしめられることである。ケーシングはしたがって、ケーシングとタービン羽根の端部との間のわずかな半径方向遊びを有しており、これによって従来のものに比して著しく改善された効率を有している。全体として、本発明によって蒸気タービンの効率が 0.2 ％〜 0.3 ％改善される。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明の有利な実施の形態は従属請求項に記載したとおりである。
【０００９】
【実施例】
図１は本発明によるケーシング１の１実施例の断面図を示し、このケーシングは蒸気タービン又はガスタービンのために使用される。全体のケーシングは２つの同じケーシング半部から成り、これらのケーシング半部のうち単に一方のケーシング半部だけが示されている。ケーシング１のケーシング半部は１つの半殻体２と２つのフランジ３とから成り、これらのフランジはケーシング１の図示されていない他方のケーシング半部のフランジに固定される。半殻体２の壁厚は種々の範囲において異なっている。フランジとは逆の側の上方の範囲５は、フランジの方の側の下方の範囲７よりも増厚されている。図示の実施例では、フランジとは逆の側の上方の範囲５の壁厚はフランジの方の側の下方の範囲７の壁厚の 1.5 倍である。しかし上方の範囲をどの程度増厚するかは、種々異なることができ、タービンの設計ひいては運転圧力及び運転温度に関連している。しかし、フランジとは逆の側の上方の範囲５の増厚はフランジの方の側の下方の範囲７の壁厚の 2 倍を越えてはならないことが判明した。フランジとは逆の側の上方の範囲５及びフランジの方の側の下方の範囲７は中間の範囲６によって結合されている。この中間の範囲６の壁厚は変化しており、両側の範囲５，７に連続的に移行している。有利には図示の実施例ではフランジとは逆の側の上方の範囲５は、ケーシング１の中心軸線４を中心にして鉛直線から各側に４５°の角度にわたって配置されている。これに続いて中間の範囲６が１５°の角度にわたって配置されている。しかし本発明による構造作用を得るために別の角度も考えることができる。中間の範囲６及び特にフランジとは逆の側の上方の範囲５は、増厚されていないフランジの方の側の下方の範囲７よりも剛性であるので、運転中温度分配に基づいて範囲７よりもわずかにしか変形しない。フランジの方の側の下方の範囲７はより大きく変形し、継ぎ手のように作用し、極めて大質量に構成されていてねじによって固定されているフランジ３と部分的に増厚されている中間の範囲６若しくはフランジとは逆の側の増厚されている上方の範囲５との間で補償作用を行う。全体としてこのことは、ケーシング１のより小さい半径方向及び軸方向の変形をもたらし、ケーシング１はタービンの運転中明確により円形にとどまる。ケーシング１と図示していないタービン羽根の端部との間の半径方向遊びが小さいことによって、効率も著しく高められる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明によるケーシングの１実施例の断面図である。
【符号の説明】
１ ケーシング、 ２ 半殻体、 ３ フランジ、 ４ 中心軸線、 ５ 上方の範囲、 ６ 中間の範囲、 ７ 下方の範囲

Claims (4)

1. ケーシング半部が１つの半殻体（２）と２つのフランジ（３）とから成っている形式の、蒸気タービン又はガスタービンのためのケーシング（１）において、半殻体（２）が、種々異なる厚さの、フランジとは逆の側の１つの上方の範囲（５）と、２つの中間の範囲（６）と、フランジの方の側の２つの下方の範囲（７）とを有しており、その際フランジとは逆の側の上方の範囲（５）の壁厚はフランジの方の側の下方の範囲（７）の壁厚よりも増厚されており、中間の範囲（６）の壁厚は変化していて、フランジとは逆の側の範囲（５）及びフランジの方の側の範囲（７）に連続的に移行していることを特徴とする、蒸気タービン又はガスタービンのためのケーシング。
2. フランジとは逆の側の範囲（５）がケーシング（１）の中心軸線（４）を中心にして鉛直線から各側に４５°の角度にわたって配置されており、中間の範囲（６）はそれに続いて１５°の角度にわたって配置されていることを特徴とする、請求項１記載のケーシング。
3. フランジとは逆の側の上方の範囲（５）の壁厚が、最大で、フランジの方の側の範囲（７）の壁厚の２倍であることを特徴とする、請求項２記載のケーシング。
4. フランジとは逆の側の上方の範囲（５）の壁厚が、フランジの方の側の範囲（７）の壁厚の 1.5 倍であることを特徴とする、請求項３記載のケーシング。

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