JP4345563B2 - 追記型記録媒体 - Google Patents
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Description
しかしながら、現在、記録材料が無機材料による記録媒体(以下無機記録媒体という)に比し、記録材料が有機材料による記録媒体(以下有機記録媒体という)が広く用いられている。
その理由は、無機材料を記録膜とした場合、反射率の自由度が狭いためROM(Read on Memory)との互換性が得られないという不都合があったこと、更に、記録特性や耐久性の向上を図ると、多層膜とせざるを得ず、その製造装置、例えばスパッタ装置への設備投資などが必要となることから、有機材料による場合に比して、コスト高となるなどの問題を有することである。
しかし、このように光源が短波長化するに伴い、これに対する光学的な特性を満たすためには色素分子のサイズは小さくなる方向であり、分子設計の自由度が少なく、結果として、スピンコートが可能でかつ上述した短波長のブルー光源で良好な記録の行える有機色素の開発は、現在実用化されるに至っていない。
ところが、有機色素の成膜に用いられるスピンコート法では、基本的にランド部よりもグルーブ部に色素が厚く成膜される。Blu-ray Discにおいては、上述したように、光透過層側から光を入射させるという事情から、ランド部(Blu-ray Discにおけるいわゆるオン・グルーブ部)が記録トラックとして規格化されている。スピンコート法による場合、特性上有利なグルーブ部(Blu-ray Discにおけるいわゆるイン・グルーブ部)記録を採ると極性が逆となる。
そこで、スピンコートにより成膜した記録媒体においても、ランド部に記録することが必要であるが、上述したように、スピンコートによる成膜によるときは、グルーブ部に厚く記録層の有機色素が成膜されるために、ランド部間のクロストークが大きな問題となってくる。
また、次世代記録媒体として、記録容量の増大化のために記録層が2層設けられる記録媒体の開発が急務となっている。
この場合、無機記録媒体が特性的に有利である。
すなわち、このように2層の記録層を有する記録媒体を作製するには、例えば2枚の基板にそれぞれ記録層を形成し、これらを、透明な中間層によって貼りあわせ、一方の基板側からのレーザ光の照射によって、その焦点位置を調整して、各記録層に対しての追記および再生を行うとういう方法がとられる。
そこで、CD−RやDVD−Rの光学系においても、ランド・グルーブ部の膜厚が同一であるスパッタ法により成膜できる無機記録膜が有利である。
また、Cu/Siを記録膜とし、記録後にこれらの層が共融結晶化されることを記録原理としている記録媒体の提案がなされている(特許文献2)。
しかし、これらにはそれぞれ欠点がある。前者は、提案されている材料、膜厚等では、記録後のマークの不安定性が問題となる。
また、後者は、基本的にCuがSiにきわめて拡散しやすい材料であることから記録前の安定性が悪く、耐久性に問題がある。
また、本発明は、上述した追記型記録媒体にあって、上記Geを主成分とする記録膜が、膜厚6nm以上10nm以下であることを特徴とする。
また、本発明は、上述した追記型記録媒体にあって、上記無機記録膜を構成する上記Geを主成分とする記録膜が、該無機記録膜に対する光入射側に配置されて成ることを特徴とする。
また、本発明は、上述した追記型記録媒体にあって、上記無機記録膜が、誘電体層によって挟まれていることを特徴とする。
また、本発明は、上述した追記型記録媒体にあって、ランド・グルーブの凹凸面が形成された基体上に、少なくとも上記無機記録膜が形成されて成ることを特徴とする。
なお、本発明において、主成分ないしは主たる材料とは、他の元素に比して組成比が最も高いことを指称する。
したがって、追記型記録媒体を構成する基体に、ランド・グルーブによる凹凸面が形成されている場合において、グルーブ内に集中的に記録材が充填されることが回避される。
したがって、ランド・グルーブの記録層の著しい記録再生特性の変化を回避でき、例えばランドとグルーブとの双方に記録を行うランド・グルーブ記録が可能となる。
また、例えば貼りあわせ2層記録層構成をとる場合においても、極性の問題を回避できる。
また、後述するところから明らかなように、ROMとの互換性、記録特性、耐久性の向上を図ることができるものである。
図1は、本発明による追記型記録媒体10の実施の形態例の概略断面図である。
例えば図1に示すように、グルーブ11GおよびランドLが形成された凹凸面11を有するポリカーボネート基板等による基体1上に、順次、金属反射膜2、第1の誘電体膜41、第1および第2の記膜31および32より成る無機記録膜3、第2の誘電体膜42順が形成され、この上に光透過層5が塗布されて成る。
この追記型記録媒体10に対する記録および再生レーザ光は、光透過層5側から照射される。
第1の記録膜31は、Agより成る。
第2の記録膜32は、Ge1Oxで、その組成を、0.1<x<1.0に選定する事が望ましく、また、その厚さは、6nm〜10nmとすることが望ましい。
この第2の記録膜32は無機記録膜3において光入射側に配置されるものであり、この図1の形態例では、追記型記録媒体10に対して保護膜5側から光入射がなされる。
しかしながら、後述するように、基体側を光入射側とすることができる。
[実施例1]
この実施例においては、開口数(N.A.)0.85の2群対物レンズを通じて、波長405nmの青紫色半導体レーザ光源からの光ディスク記録再生装置によるBlu-ray Disc(以下BDという)対応の実施例である。
図2は、この実施例による追記型記録媒体10の構成を示す凹凸面を省略した膜構成を示す模式的断面図である。
基板1は、ポリカーボネート樹脂を用いて射出成型によってその1主面にランド・グルーブによる上述した凹凸面11がディスク基体1の成型と同時に成型される。
このランド・グルーブのピッチ、すなわちトラックピッチは、0.32μm(BD仕様))であり、グルーブ11Gの深さは20nmである。
更に、この上に膜厚0.1mmの光透過層5を、UVレジン(紫外線硬化樹脂)のスピンコート法により形成した。
また、反射膜2としてAlを用いた場合も同様であったため、反射膜2の材料としては特に制限はない。このことは、後述する実施例2以下でも同様である。
しかし、その一部にSiO2を用いたものでも同様の結果が得られている。ただし、この場合はSiO2の屈折率が1.5であるため、SiNのみの場合と同一の反射率を得るためには膜厚の選定が必要である。
また、第1および第2の誘電体膜41および42として、ZnS−SiO2やAl2O3を用いた場合も同様であった。
したがって、第1および第2の誘電体膜41および42の材料、膜厚については特に制限がない。
しかし、光学的理由により、これら誘電体には、用いられる光に対し吸収がないことが好ましい。これは実施例2以下でも同様である。
なお、図1の膜構成で得られた反射率は、グルーブ部にフォーカスをかけた際に、16%であった。
第2の記録膜32のGeOは、1:0.6の原子組成比のもので、純Geターゲットを用い、ArとO2の混合ガス中にて成膜した。耐久性向上や成膜特性向上のためにGeに添加物を入れても、同様に本発明の効果が得られる。
ジッターの評価はリミットイコライザーを通して評価した。規格では、ジッター値は6.5%以下である必要がある。ジッター評価には横河製TA720を、C/N評価にはTakeda Riken製TR4171を用いた。
この実施例においては、図3にその膜構成の模式的断面図を示すように、実施例1と同様の膜構成において、その第2の記録膜32のGe1Oxの酸素濃度xを変化させた場合で、それぞれの追記型記録媒体について、特性測定、すなわち2Tマークおよび8TマークのC/Nと変調度の酸素濃度依存性を測定した。
図4は、この測定結果を示すものである。変調度の定義は、8Tマークのスペース部分の戻り光量をI8H、マーク部分の戻り光量をI8Lとしたときの、(I8H−I8L)/ I8Hである。
測定した範囲はx=0〜1.5であるが、x=0.1〜1.0の範囲で変調度、C/N共に良好な値となっている。因みに、x=0.1で、変調度が53.7%、8TのC/Nが56.6、2TのC/Nが41.3であり、x=1.0で、変調度が57.1%、8TのC/Nが57.5、2TのC/Nが45.3であった。なお、酸素量(x)の測定精度はおよそ0.1きざみである。
したがって、GeOの酸素組成はx=0.1以上、x=1.0以下が好ましくはx=0.14以上、特にx=0.6付近が特性としては最も良好であった。
この実施例においては、実施例1と同様の膜構成とするものであるが、第2の記録膜32、すなわちGe1Ox(x=0.6)の膜厚のみを変化させた各追記型記録媒体を作製し、2Tマークおよび8TマークのC/Nおよび変調度の膜厚依存性を測定した。その測定結果を図5に示す。
この実施例においては、実施例1と同様の膜構成とするものであるが、この実施例においては、第1の記録膜31、すなわちAgの膜厚をそれぞれ変化させた追記型記録媒体を作製した。
これら追記型記録媒体について、2Tマークおよび8TマークのC/Nおよび変調度のAgの膜厚依存性を測定した。その測定結果を図6に示す。
一方、5nm以下の膜厚で変調度が急激に低下しており、4nmでかろうじて40%となっている。変調度がこれ以下となると実用レベルとは言えず、また、Blu-ray Discの規格からもはずれる。従って、Agの膜厚は4nm〜7nm以下の範囲が好ましい。
この実施例では、波長650nmでの光学系での記録再生がなされる追記型記録媒体を作製した。
この場合の膜構成は、図7にその膜構成の模式的断面図を示すように、厚さ0・6mmのポリカーボネートによる光透過基板による基体1上に、図2で示した実施例1とは、膜構成が反転された構成とした。そして、この場合、金属反射膜2上に、厚さ0.03mmのUVレジンによる保護層15をスピンコートとした。
基体1のトラックピッチは0.74μmである。この場合の反射率は25%であった。実施例1の場合よりも高くなっているが、これは波長が異なることからくるものであり、これら第1および第2の誘電体膜41および42の構成の選定によって反射率の調整を行うことができることは、言うまでもない。
評価機はパルステック製DDU−1000であり、波長650nm、レンズの開口数は0.6、基板の厚さ0.6mmにレンズを調整してある。
この情報記録媒体は、誘電体膜の膜厚を記録再生波長に応じて最適化することにより、波長に依存せず良好な記録が可能であることが示された。これは、記録のメカニズムがAgとGeOの反応・共融がメカニズムとなっていることと、AgおよびGeOの吸収係数が広い波長域で高い値となっているため、光ディスクで用いられている光波長範囲であれば、本発明の効果は特定の波長に限定されるものではない。
この実施例においては、実施例1と同様の膜構成のディスクを作製し、80℃、湿度85%の恒温槽に投入し、50時間の後にとりだし、実施例1と同様の測定を行った。
その結果、反射率、記録感度、変調ドープ、C/Nは、恒温槽投入前と同じ結果が得られた。これにより本発明による追記型記録媒体は、耐久性にすぐれていることが分かった。
また、上述したように、本発明構成によれば、記録特性、耐久性にすぐれた追記型記録媒体が得られる。
このように、本発明においては、基本的には、上述した3層を設けることによって、良好な記録再生が良好に行われるが、使用態様、目的応じて反射率を更に上げる場合や、耐久性を上げるなどの理由により、この3層以外にも反射膜、誘電体膜を設けることもできるなど上述した例に限定されるものではなく、本発明構成において、種々の変更を行うことができる。
Claims (6)
- 基体と、
上記基体上に形成され、GeとOを含み、GeとOとの組成比をGeOx(xはGeを1としたときの酸素の原子比)としたとき、0.1≦x≦1.0とされる記録膜と、膜厚が4nm以上7nm以下とされるAgを主成分とする記録膜とが隣接して形成される無機記録膜と、を有する
追記型記録媒体。 - 上記GeとOを含む記録膜が、膜厚6nm以上10nm以下である請求項1に記載の追記型記録媒体。
- 上記無機記録膜を構成する上記GeとOを含む記録膜が、該無機記録膜に対する光入射側に配置されて成る請求項1又は2に記載の追記型記録媒体。
- 上記無機記録膜が、誘電体層によって挟まれている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の追記型記録媒体。
- 上記無機記録膜に対する光入射側と反対側に反射膜が設けられて成る請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の追記型記録媒体。
- 上記基体にランド・グルーブの凹凸面が形成され、上記凹凸面上に少なくとも上記無機記録膜が形成されて成る請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の追記型記録媒体。
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