JP4345227B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体電解質層を用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年デジタル機器の発展により、高周波領域においてもインピーダンスの低い高周波特性の優れたコンデンサが強く要望されている。このような市場の要望に応えて、電解質として二酸化マンガンやポリピロール、ポリチオフェンなどの固体電解質層を用いたものが開発され商品化されている。
【0003】
図3は代表的な固体電解コンデンサの構成を示す断面図である。同図において、陽極導出線31をその一部が表出するように埋設したアルミニウムやタンタル等の弁作用金属を多孔質に焼結した陽極体32の表面に、陽極酸化法により形成された誘電体酸化皮膜層33が形成されている。この陽極体32の表面に二酸化マンガンまたはポリピロールなどの固体電解質層34、カーボン層及び導電体層からなる陰極層35を順次形成してコンデンサ素子36を作製し、このコンデンサ素子36の陽極導出線31に接続された陽極端子37と陰極層35に導電性接着剤38を介して接続された陰極端子39の一部が外表面に露呈するように上記コンデンサ素子36を絶縁性の外装樹脂40で被覆して固体電解コンデンサが構成されている。
【0004】
このような固体電解コンデンサは、固体電解質層34の固有抵抗が著しく低いという特徴を有するため、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(以下、ESRと記す)特性の低減化を図ることができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記固体電解コンデンサにおいて、二酸化マンガンなどの遷移金属の酸化物またはポリピロールなどの複素環式化合物からなる導電性高分子を用いた固体電解質層34は、この固体電解質層34上にカーボン粒子と凝集安定剤を含む水溶液でカーボン層を形成する場合、水溶液の表面張力が高いためカーボン層に斑を生じたり、膜厚の薄い部分が生じたりして、均質なカーボン層を形成するのが極めて困難であった。
【0006】
このため、固体電解コンデンサのESR特性、容量引き出し率の悪い製品が多く発生し、製品の歩留まりが悪いという課題を有していた。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決し、固体電解質層と陰極層との接触抵抗の低減を図り、ESR特性および容量引き出し率に優れた固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、カーボン層と形成するときの表面張力の緩和性がある物質をカーボン層に用いることで上記課題を解決できることを見いだしたものである。
【0009】
すなわち、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層と固体電解質層と陰極層が順次形成され、前記陽極体から引き出された陽極端子および陰極層から引き出された陰極端子の一部を露出させて全体が樹脂で外装された固体電解コンデンサであって、前記陰極層はカーボン層と導電体層で構成し、このカーボン層がカーボン粒子に対して、カテコールまたはピロガロールを0.1〜1.8の範囲で含有したことを特徴とするもので、この構成により、カーボン層が緻密で均質に形成されることから、固体電解質層とカーボン層およびカーボン層と導電体層との接触抵抗を低減し、ESR特性および容量引き出し率に優れ、かつ長期的な信頼性にも優れた固体電解コンデンサを得ることができるものである。
【0011】
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属を多孔質に焼結した陽極体または弁作用金属の箔を粗面化した陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層を順次形成し、この固体電解質層の表面にカーボン粒子に対して、カテコールまたはピロガロールを0.1〜1.8の範囲で含まれるカーボン層と銀ペーストの導電体層とを形成して陰極層を得た後、前記陽極体から引き出された陽極端子および陰極層から引き出された陰極端子の一部を露出させて全体を樹脂で外装する製造方法としたものであり、この方法により、安定してESR特性および容量引き出し率の優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの構成を示す断面図である。同図において、陽極導出線1をその一部が表出するように埋設したアルミニウムやタンタル等の弁作用金属を多孔質に焼結した陽極体2の表面に陽極酸化法により形成された誘電体酸化皮膜層3が形成されている。この陽極体2の表面に二酸化マンガンからなる固体電解質層4、カーボン層5及び銀ペーストの導電体層6からなる陰極層を順次形成してコンデンサ素子7を作製し、このコンデンサ素子7の陽極導出線1に接続された陽極端子8と陰極層に導電性接着剤9を介して接続された陰極端子10の少なくとも一部が外表面に露呈するように上記コンデンサ素子7を絶縁性の外装樹脂11で被覆して固体電解コンデンサが構成されている。
【0013】
上記カーボン層5は、カーボン粒子に対して、カテコールまたはピロガロールを0.1〜1.8の範囲で含有されている。このカーボン層5は、カーボン粒子とカテコールまたはピロガロールとの構成メカニズムは不明なものの、カーボン層5が緻密で均一に形成されることから、固体電解質層4とカーボン層5との接触抵抗を低減することができる。
【0014】
このカーボン層5に含まれるカテコールまたはピロガロールは、カーボン粒子1に対して0.1〜1.8の範囲で、好ましくは0.2〜1.2の範囲とすることにより、高周波領域のESR特性の良好な、かつ長期的な信頼性にも優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
【0015】
なお、カテコールまたはピロガロールの含有量が0.1未満では均質な層を得ることができず、また、1.8を超えても厚い不均一な層が得られてしまう。
【0017】
上記カーボン層5の形成方法は、例えば、サブミクロンのカーボン粒子と、カテコールまたはピロガロールと、および界面活性剤を添加して懸濁させたアルカリ性(pH8〜11)の水溶液を、固体電解質層4の表面に塗布して乾燥させることにより形成される。この水溶液をアルカリ性にすることにより、カーボン粒子の分散性が良くなり、一般式(化2)のベンゼン化合物の安定性も増すことができる。
【0018】
なお、水溶液中のカーボン粒子の含有量は2〜10wt%が好ましい。この範囲にすることにより、カーボン粒子の分散性が良く、カーボン層5を均質で緻密な層に形成することができる。
【0019】
以下、具体的な実施例について説明する。
【0020】
(実施例1)
まず、タンタル粉末をタンタルリード線の一部を表出するように埋設した状態で成形した後焼結して、厚み1.4mm、幅3.0mm、長さ3.8mmの陽極体を得た。この陽極体の表面にリン酸水溶液を用いて化成電圧20Vで化成して誘電体酸化皮膜を形成した。
【0021】
次に、この陽極体を25℃の20wt%硝酸マンガン水溶液に10秒間含浸して引き上げた後、表面に付着した過剰の硝酸マンガン水溶液をエアーにより吹き飛ばした。続いて1分以内に250℃以上に上昇させ、300℃で5分間熱分解することにより陽極体の表面に二酸化マンガンの固体電解質層を形成した。
【0022】
次に、この固体電解質層の表面に2wt%のカーボン粒子と2wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液に浸漬し、150℃で乾燥してカーボン層を形成した。その後、銀ペーストの導電体層を形成してコンデンサ素子を得た。
【0023】
次に、タンタルリード線と陽極端子を接続し、また、コンデンサ素子の陰極層に導電性接着剤を介して陰極端子を接続して、この陽極端子と陰極端子の一部が露呈するように外装樹脂で被覆形成して固体電解コンデンサを作製した(Dサイズ:7.3×4.3×2.8mm)。
【0024】
(実施例2)
上記実施例1において、カーボン層の形成に用いたピロガロールを、カテコールに変えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0025】
(実施例3)
上記実施例1において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子と0.5wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは0.1であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0026】
(実施例4)
上記実施例1において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子と2wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは0.4であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0027】
(実施例5)
上記実施例1において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子と5wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは1.0であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0028】
(実施例6)
上記実施例1において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子と6wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは1.2であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0029】
(実施例7)
上記実施例1において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子と9wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは1.8であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0030】
(実施例8)
上記実施例1において、カーボン層を10wt%のカーボン粒子と10wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは1.0であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0031】
(比較例1)
上記実施例1において、カーボン層を2wt%のカーボン粒子とアンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0032】
(比較例2)
上記実施例1において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子とアンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0033】
このようにして作製された実施の形態1の実施例1〜8と比較例1および2の固体電解コンデンサの初期特性(静電容量C、ESR、漏れ電流LC)と、105℃で1000時間放置したときの容量変化率(△C)とESR変化率(△ESR)を(表1)に示す。なお、測定は温度25〜30℃で行い、静電容量は120Hz、ESRは100kHz、漏れ電流は定格電圧を印加した後30秒後の電流値を測定し、n=30個の平均値を示した。
【0034】
【表1】
【0035】
この(表1)から明らかなように、実施例1および2の固体電解コンデンサは、カーボン層にカーボン粒子とピロガロールまたはカテコールを含有することにより、比較例に比べて初期特性に優れ、105℃で1000時間放置したときの容量変化率およびESR変化率を小さくすることができる。
【0036】
また、実施例3〜8の固体電解コンデンサは、カーボン層の形成において、ピロガロールの重量を変化させたときの特性を示したものであるが、カーボン層のカーボン粒子1に対してピロガールを0.1〜1.8の範囲にすることで、比較例2に比べて初期特性に優れ、105℃で1000時間放置したときの容量変化率およびESR変化率を小さくすることができる。
【0037】
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、固体電解質層4の二酸化マンガンをポリピロールなどの導電性高分子にした以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0038】
上記導電性高分子は、ピロールやチオフェンなどの複素環式モノマーを化学酸化重合することにより得ることができる。
【0039】
この導電性高分子の形成方法は、誘電体酸化皮膜層3が形成された陽極体2の表面に、複素環式モノマーを含有する重合溶液と酸化剤を含有する酸化溶液とを個々に含浸させて、洗浄、修復化成する工程を複数回繰り返し行って導電性高分子の固体電解質層4を形成するか、または、複素環式モノマーと酸化剤とを含有する混合溶液を含浸させる工程を複数回繰り返し行って導電性高分子の固体電解質層4を形成する。或いは、複素環式モノマーを含有する重合溶液と酸化剤を含有する酸化溶液とを個々に含浸させて、洗浄、修復化成する工程を複数回繰り返し行った後、複素環式モノマーと酸化剤を含有する混合溶液を含浸させる工程を複数回繰り返し行って導電性高分子の固体電解質層4を形成することもできる。
【0040】
なお、複素環式モノマーとしては、例えば、ピロール、チオフェン、アニリンまたは3.4−エチレンジオキシチオフェンのモノマーで、これらは化学酸化重合する際、比較的容易に導電性の高い導電性高分子の固体電解質層4を得ることができる。
【0041】
また、酸化剤としては、例えば第2鉄塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、過酸化水素などが用いられ、好ましくは硫酸鉄、p−トルエンスルホン酸第2鉄を用いることができる。
【0042】
以下、実施の形態2における具体的な実施例について説明する。
【0043】
(実施例9)
まず、タンタル粉末をタンタルリード線の一部が表出するように埋設した状態で成形した後、焼結して、厚み1.4mm、幅3.0mm、長さ3.8mmの陽極体を得た。この陽極体の表面にリン酸水溶液を用いて化成電圧20Vで化成して誘電体酸化皮膜を形成した。
【0044】
次に、この陽極体をエチレングリコール水溶液に複素環式モノマーであるピロールとアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムを含んだ重合溶液に5分間浸漬して引き上げ、直ちにエチレングリコール水溶液に酸化剤である硫酸鉄(III)を含む酸化溶液に10分間浸漬して引き上げた後、この陽極体を洗浄して修復化成し乾燥(100℃)を行った。この一連の操作を10回繰り返して導電性高分子の固体電解質層を形成した。
【0045】
次に、この固体電解質層の表面に2wt%のカーボン粒子と2wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を含浸させ、150℃で乾燥してカーボン層を形成した。その後、銀ペーストの導電体層を形成してコンデンサ素子を得た。
【0046】
次に、タンタルリード線と陽極端子を接続し、また、コンデンサ素子の陰極層に導電性接着剤を介して陰極端子を接続して、この陽極端子と陰極端子の一部が露呈するように外装樹脂で被覆形成して固体電解コンデンサを作製した(Dサイズ:7.3×4.3×2.8mm)。
【0047】
(実施例10)
上記実施例1において、複素環式モノマーであるピロールをチオフェンに代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0048】
(実施例11)
上記実施例1において、複素環式モノマーであるピロールをアニリンに代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0049】
(実施例12)
上記実施例1において、複素環式モノマーであるピロールを3.4−エチレンジオキシチオフェンに代えた以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0050】
(比較例3)
上記実施例9において、カーボン層を2wt%のカーボン粒子とアンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0051】
このようにして作製された実施の形態2の実施例9〜12と比較例3の固体電解コンデンサの初期特性(静電容量C、ESR、漏れ電流LC)と、105℃で1000時間放置したときの容量変化率(△C)とESR変化率(△ESR)を(表2)に示す。なお、測定は温度25〜30℃で行い、静電容量は120Hz、ESRは100kHz、漏れ電流は定格電圧を印加した後30秒後の電流値を測定し、n=30個の平均値を示した。
【0052】
【表2】
【0053】
この(表2)から明らかなように、実施例9〜12の固体電解コンデンサは、導電性高分子の固体電解質層の表面にカーボン粒子とピロガロールを含有したカーボン層を形成することにより、比較例3に比べて初期特性に優れ、105℃で1000時間放置したときの容量変化率およびESR変化率を小さくすることができる。
【0054】
(実施の形態3)
図2は本発明の実施の形態3における固体電解コンデンサの構成を示した一部切欠き斜視図である。同図において、21は弁作用金属であるアルミニウム箔を粗面化した陽極体であり、このアルミニウム箔はエッチングにより表面を粗面化した後、化成処理によりその表面に誘電体酸化皮膜層22が形成されている。20は上記アルミニウム箔を陽極部と陰極部に分離するために設けられた絶縁性レジストであり、この絶縁性レジスト20により分離された陰極部には二酸化マンガン層23と、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの導電性高分子の固体電解質層24が形成されている。さらにこの固体電解質層24上にはカーボン層、銀ペーストの導電体層からなる陰極層25を設けてコンデンサ素子が構成されている。このように構成されたコンデンサ素子を、単独または複数枚積層し、上記陽極部と陰極部に端子部材26A,26Bを接続した後に外装樹脂27でモールドすることにより固体電解コンデンサが構成されている。
【0055】
上記二酸化マンガン層23は、硝酸マンガン水溶液を含浸させて自然乾燥させた後、300℃で熱分解処理を行うことによって、二酸化マンガン層を形成することができる。
【0056】
なお、二酸化マンガン層23の代わりに、導電性高分子等の導電性材料からなるプレコート層を形成して用いることもできる。
【0057】
上記導電性高分子の固体電解質層24の形成方法は、複素環式モノマー(例えばピロール)を含む重合液中で外部電極から給電を行って電解重合により導電性高分子の固体電解質層を形成する。これによって比較的短時間で安定的に特性の良い固体電解コンデンサを得ることが可能である。
【0058】
また、上記カーボン層は実施の形態1と同様にして形成させることができる。
【0059】
以下、実施の形態3における具体的な実施例について説明する。
【0060】
(実施例13)
約125倍の表面積にエッチングを施したアルミニウム箔に、絶縁性のレジストテープを貼り付けて陰極部と陽極部を分離し、有効面積が3.2mm×3.9mmとなるようにしたコンデンサ素子の陽極体を、液温が70℃で、かつ濃度が0.3wt%のリン酸2水素アンモニウム水溶液中に浸漬して12Vの直流電圧を20分間印加して陽極酸化皮膜を形成した。
【0061】
次に、この陽極体を25℃の20wt%硝酸マンガン水溶液に3秒間浸漬して引き上げた後、表面に付着した過剰の硝酸マンガン水溶液をエアーにより吹き飛ばした。続いて1分以内に250℃以上に上昇させ、300℃で5分間熱分解することにより陽極体の表面に二酸化マンガン層を形成した。
【0062】
次に、液温が70℃で、かつ濃度が0.3wt%のリン酸2水素アンモニウム水溶液中に浸漬して10Vの直流電圧を10分間印加して再化成を行った。続いて、陽極体に形成された二酸化マンガン層上に電解重合法によりポリピロール膜からなる導電性高分子の固体電解質層を形成した。
【0063】
次に、この固体電解質層上に5wt%のカーボン粒子と2wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液に浸漬し、150℃で乾燥してカーボン層を形成した(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは0.2であった)。続いて、銀ペーストの導電体層を塗布して陰極導電体層を形成し、この陽極体と陰極導電体層からリードを引き出した後、外装樹脂でモールドすることにより外装を施して固体電解コンデンサを作製した(Dサイズ:7.3×4.3×2.8mm)。
【0064】
(実施例14)
上記実施例13において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子と9wt%のピロガロールを含み、アンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成(このときのカーボン層は、カーボン粒子1に対してピロガロールは1.8であった)した以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0065】
(比較例4)
上記実施例13において、カーボン層を5wt%のカーボン粒子とアンモニアを添加してpH10からなる水溶液を用いて形成した以外は実施例13と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0066】
このようにして作製された実施の形態3の実施例13および14と比較例4の固体電解コンデンサの初期特性(静電容量C、ESR、漏れ電流LC)と、105℃で1000時間放置したときの容量変化率(△C)とESR変化率(△ESR)を(表3)に示す。なお、測定は温度25〜30℃で行い、静電容量は120Hz、ESRは100kHz、漏れ電流は定格電圧を印加した後30秒後の電流値を測定し、n=30個の平均値を示した。
【0067】
【表3】
【0068】
この(表3)から明らかなように、実施例13および実施例14の固体電解コンデンサは、カーボン層においてピロガロールの含有量をカーボン粒子1に対して0.1〜0.8の範囲にすることにより、比較例に比べて初期特性に優れ、105℃で1000時間放置したときの容量変化率およびESR変化率を小さくすることができる。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層と固体電解質層と陰極層が順次形成され、前記陽極体から引き出された陽極端子および陰極層から引き出された陰極端子の一部を露出させて全体が樹脂で外装された固体電解コンデンサであって、前記陰極層はカーボン層と導電体層で構成し、このカーボン層がカーボン粒子と一般式(化2)で表されるベンゼン化合物を含有したことを特徴とするもので、この構成により、一般式(化2)のベンゼン化合物とカーボンとの構成メカニズムは不明なもののカーボン層が緻密で均質に形成されることから、固体電解質層とカーボン層およびカーボン層と導電体層との接触抵抗を低減し、ESR特性および容量引き出し率に優れ、かつ長期的な信頼性にも優れた固体電解コンデンサを得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1および実施の形態2における固体電解コンデンサの構成を示す断面図
【図2】同実施の形態3における固体電解コンデンサの構成を示す一部切欠き斜視図
【図3】従来の固体電解コンデンサの構成を示す断面図
【符号の説明】
1 陽極導出線
2 陽極体
3 誘電体酸化皮膜層
4 固体電解質層
5 カーボン層
6 銀ペーストの導電体層
7 コンデンサ素子
8 陽極端子
9 導電性接着剤
10 陰極端子
11 外装樹脂
Claims (3)
- 弁作用金属からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層と固体電解質層と陰極層が順次積層され、前記陽極体から引き出された陽極端子および陰極層から引き出された陰極端子の一部を露出させて全体が樹脂で外装された固体電解コンデンサにおいて、前記陰極層はカーボン層と導電体層で構成し、このカーボン層がカーボン粒子に対して、カテコールまたはピロガロールを0.1〜1.8の範囲で含有されたもので構成した固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属を多孔質に焼結した陽極体または弁作用金属の箔を粗面化した陽極体の表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層を順次形成し、この固体電解質層の表面にカーボン粒子に対して、カテコールまたはピロガロールを0.1〜1.8の範囲で含まれるカーボン層と銀ペーストの導電体層を形成して陰極層を得た後、前記陽極体から引き出された陽極端子および陰極層から引き出された陰極端子の一部を露出させて全体を樹脂で外装する固体電解コンデンサの製造方法。
- カーボン粒子と、カテコールまたはピロガロールが含まれるカーボン層を形成する方法として、カーボン懸濁液にカテコールまたはピロガロールを溶解させた懸濁液に陽極体を浸漬させた後、これを引き上げて乾燥するようにした請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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