JP4345184B2 - 窓廻りの気密構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の気密構造、特に窓廻りの気密構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅には、計画的な換気による住宅の快適性の向上や、断熱性の向上による省エネルギー化を図るために、住宅の気密が求められるようになってきている。一般に、気密住宅とは、気密性能を表す相当隙間面積が床面積1平方メートル当たり5平方センチメートル以下のものをいい、これを達成するために、住宅の内部空間全体を気密面で囲うように気密工法が施工される。該気密工法は、住宅内部の隙間部分、例えば、窓廻りにおいては、窓枠、額縁等の接続部分にウレタン等の樹脂を吹き付けることにより、窓廻りの気密を確保していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記気密工法においては、発泡したウレタンが、直射日光や夏期などで高温となった場合に、さらに発泡して膨張することがあるため、ウレタンを吹付けた接続部分が変形する等の問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、住宅等の窓廻りの気密を確保し、かつ、施工が容易な気密構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に係る窓廻りの気密構造は、窓枠と、窓枠と略同形状の開口を有する内壁枠と、額縁とを備えてなる窓構造における、窓廻りの気密構造であって、弾性を有する第1の気密部材が、窓枠の周縁部に沿って設けられ、弾性を有する第2の気密部材が、内壁枠の開口周部に沿って設けられ、額縁が、第1の気密部材及び第2の気密部材を押圧するように、窓枠の周縁部に設けられてなるものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に係る額縁と内壁枠との間の気密構造は、窓と略同形状の開口を有する内壁枠と、額縁とを備えてなる窓構造における、額縁と内壁枠との間の気密構造であって、弾性を有する第2の気密部材が、内壁枠の開口周部に沿って設けられ、額縁が、第2の気密部材を押圧するように、内壁枠の開口周部に設けられてなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る窓廻りの気密構造を説明するための概略斜視図である。図に示すように、窓1は、壁の開口に設けられており、窓1の屋内側には、矩形の額縁3が配設されている。さらに、窓1の屋内側の壁面には、石膏ボード4が覆設されている。
【0008】
図2は、図1におけるA−A断面を示す断面図である。図に示すように、軸組6に沿って、屋外側には外壁パネル5が、屋内側には断熱内壁枠2が互いに平行になるように設けられ、さらに、断熱内壁枠2の屋内側には石膏ボード4が配設されており、これらにより、住宅の壁が構成されている。該壁の開口の上下部分には、窓台(図示せず)及び窓まぐさ(図示せず)が配設されており、窓1は、該窓台及び窓まぐさに固定された矩形の窓枠10と、ヒンジ12を介して屋外側に開閉する扉11とからなるものであり、扉11には、ガラス13が嵌め込まれている。窓1が設けられた壁の屋内側には、窓1と略同形状の開口を有する断熱内壁枠2が配設されており、該断熱内壁枠2の開口周部24と窓枠10の周縁部14との間には、額縁3が配設されている。窓枠10の周縁部14と額縁3との間には、気密発泡体(第1の気密部材)7が介設されており、さらに、断熱内壁枠2の開口周部24と額縁3との間には、気密ガスケット(第2の気密部材)8が介設されている。
なお、窓枠10及び扉11の材質は特に限定されるものはなく、アルミニウムやステンレス製のものであっても、ポリ塩化ビニル等のプラスチック製のものであってもよいが、住宅内部の気密を確保するためには、窓1自体が気密を確保できるものであることが必要である。
【0009】
断熱内壁枠2は、図3に示すように、縦桟と横桟とを組み合わせた矩形の枠体20に、適宜、補強部材を架設し、該枠体20の内部にグラスウール等の断熱材21を充填し、さらに、その屋内側の表面には、気密を確保するためのポリプロピレン製の気密シート22(図示せず)を覆設したものであり、この気密シート22により、住宅内部の気密を確保するための気密面が形成される。また、窓1の屋内側に配設される断熱内壁枠2には、図に示すように、窓1と略同形状の開口23が設けられている。
【0010】
額縁3は、図3に示すように、断熱内壁枠2の開口23の縦寸法又は横寸法と略同寸の板状体を縦横に組み合わせた矩形の枠体であり、断熱内壁枠2の開口周部24に配設されるものである。
【0011】
気密発泡体7は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン等の発泡合成樹脂からなる弾性体であり、予め窓枠10の形状に合わせて成形されたものであっても、棒状のものを必要に応じて現場で裁断したり折り曲げたりするものであってもよい。気密発泡体7は、接着剤等により窓枠10に固定され、さらに、額縁3により押圧されて窓枠10及び額縁3に密着しており、これにより、窓枠10と額縁3との間の気密が確保され、住宅内部の気密面を構成することとなる。
なお、気密発泡体7は、上記発泡合成樹脂の他、天然ゴム等の弾性体を用いることとしてもよい。
【0012】
気密ガスケット8は、ゴムや塩化ビニル等の軟性合成樹脂からなる弾性体であり、図4(a)に示すように、その断面形状が矩形の管状体である。気密ガスケット8も、予め断熱内壁枠2の開口周部23の形状に合わせて成形されたものであっても、管状体を必要に応じて現場で裁断したり折り曲げたりするものであってもよい。気密ガスケット8は、接着剤等により断熱内壁枠2の開口周部24に固定され、さらに、額縁3により押圧されて断熱内壁枠2の開口周部24及び額縁3に密着しており、これにより、窓枠10と断熱内壁枠2との間の気密が確保され、住宅内部の気密面を構成することとなる。
なお、気密ガスケット8は、図4(b)に示すような、その断面形状が半円の管状体のものであっても、また、気密発泡体7と同様の発泡体を用いることとしてもよい。
【0013】
以下、本気密構造の施工方法について、図5から図9に基づいて説明する。
まず、図5に示すように、軸組6に沿って外壁パネル5、窓台14及び窓まぐさ15を取り付け、窓台14及び窓まぐさ15に窓1を固定し、さらに、屋内側から、図6に示すように、窓1と略同形状の開口23を有する断熱内壁枠2を取り付ける。窓1は、窓1全体を固定しても、窓1から扉11を取り除いた窓枠10のみを固定し、以下に説明する施工を終えてから、扉11を取り付けることとしてもよい。
【0014】
つぎに、気密発泡体7及び気密ガスケット8を貼り付けるが、これらの貼付け方法は、図6に示す箇所Bを例に説明する。
図7に示すように、棒状の気密発泡体7を、窓枠10の周縁部14に沿って、額縁3が配設されるべき位置に対応する位置に、接着剤等を用いて貼り付ける。窓枠10の周縁部14の隅部においては、気密発泡体7同士の接合部分に隙間等が生じないように貼り付ける。これを、矩形の窓枠10の四辺それぞれについて行う。
なお、必要であれば、断熱内壁枠2の開口周部24の四隅にアルミテープ9を貼り付けて、該四隅の気密を確保する。
【0015】
つぎに、図8に示すように、気密ガスケット8を、断熱内壁枠2の開口周部24に沿って、額縁3が配設されるべき位置に対応する位置に、接着剤等を用いて貼り付ける。図では、予め断熱内壁枠2の開口周部24に合致するように成形された気密ガスケット8を用いているが、管状の気密ガスケットを現場にて裁断加工するような場合には、断熱内壁枠2の開口周部24の隅部において、気密ガスケット同士の接合部分に隙間等が生じないように貼り付ける。
【0016】
最後に、図9に示すように、断熱内壁枠2の開口周部24と窓枠10の周縁部14との間に形成される空間に、額縁3を嵌め込んで固定する。額縁3は、その裏面で、窓枠10の周縁部14に貼り付けた気密発泡体7を押圧し、かつ、その外側面で、断熱内壁枠2の開口周部24に貼り付けた気密ガスケット8を押圧するように配設する。額縁3の固定は、ビスや釘等を、額縁3を貫通して断熱内壁枠2の開口周部24に貫入するように打ち付けることにより、又は、適当な取付け金具等を用いて行う。その後、断熱内壁枠2の屋内側に石膏ボード4を覆設する。
【0017】
このように、本実施の形態に係る窓廻りの気密構造によれば、窓枠10の周縁部14と額縁3との間に、気密発泡体7を介設し、さらに、断熱内壁枠2の開口周部24と額縁3との間に、気密ガスケット8を介設したので、窓廻りの住宅の気密を簡便に確保することができる。
【0018】
なお、本実施の形態では、気密発泡体7は、窓枠10の周縁部14と額縁3の裏面との間に介設するものとしたが、図10に示すように、窓枠10の周縁部と額縁3の内側面との間に介設することとしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。この場合には、額縁3は、その内側面で、該気密発泡体7を押圧し、かつ、その外側面で、気密ガスケット8を押圧するように固定するものとする。
【0019】
また、本実施の形態では、気密発泡体7は、窓枠10の周縁部14に沿って貼り付けるものとし、気密ガスケット8は、断熱内壁枠2の開口周部24に沿って貼り付けるものとしたが、それぞれを額縁3の裏面又は外側面、及び内側面に予め貼り付けて、該額縁3を断熱内壁枠2の開口周部24に、気密発泡体7及び気密ガスケット8を押圧するように配設する施工方法を採用してもよい。
【0020】
また、本実施の形態では、窓枠と同形状の開口を有する内壁枠は、その枠内に断熱材21が充填された断熱内壁枠2を用いたが、内壁枠には必ずしも断熱材21が設けられる必要はない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る窓廻りの気密構造によれば、弾性を有する第1の気密部材を、窓枠の周縁部に沿って設け、弾性を有する第2の気密部材を、内壁枠の開口周部に沿って設け、額縁を、第1の気密部材及び第2の気密部材を押圧するように、窓枠の周縁部に設けたので、窓廻りにおける住宅の気密を簡便に確保することができる。
【0023】
また、本発明の請求項2に係る額縁と内壁枠との間の気密構造によれば、弾性を有する第2の気密部材を、内壁枠の開口周部に沿って設け、額縁を、第2の気密部材を押圧するように、内壁枠の開口周部に設けたので、額縁と内壁枠との間における住宅の気密を簡便に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る窓廻りの気密構造の構成を説明するための概略斜視図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】断熱内壁枠2及び額縁3の構成を説明するための概略斜視図である。
【図4】気密ガスケット8の構成を説明するための概略斜視図である。
【図5】窓1の取付け方法を説明するための概略斜視図である。
【図6】断熱内壁枠2の取付け方法を説明するための概略斜視図である。
【図7】気密発泡体7の貼付け方法を説明するための概略斜視図である。
【図8】気密ガスケット8の貼付け方法を説明するための概略斜視図である。
【図9】額縁3の取付け方法を説明するための概略斜視図である。
【図10】窓枠10の周縁部14と額縁3の内側面との間に気密発泡体7を介設した状態を説明するための断面図である。
【符号の説明】
10 窓枠
14 周縁部
2 断熱内壁枠
23 開口
24 開口周部
3 額縁
7 気密発泡体(第1の気密部材)
8 気密ガスケット(第2の気密部材)
Claims (2)
- 窓枠と、窓枠と略同形状の開口を有する内壁枠と、額縁とを備えてなる窓構造における、窓廻りの気密構造であって、
弾性を有する第1の気密部材が、窓枠の周縁部に沿って設けられ、
弾性を有する第2の気密部材が、内壁枠の開口周部に沿って設けられ、
額縁が、第1の気密部材及び第2の気密部材を押圧するように、窓枠の周縁部に設けられてなることを特徴とする窓廻りの気密構造。 - 窓と略同形状の開口を有する内壁枠と、額縁とを備えてなる窓構造における、額縁と内壁枠との間の気密構造であって、
弾性を有する第2の気密部材が、内壁枠の開口周部に沿って設けられ、
額縁が、第2の気密部材を押圧するように、内壁枠の開口周部に設けられてなることを特徴とする内壁枠と額縁との間の気密構造。
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