JP4345015B2 - インバータ制御方式 - Google Patents

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本発明は、直流電力を交流電力に変換して交流モータに給電するインバータの制御方式に関する。
交流モータを駆動制御するインバータの従来のPWM(パルス幅変調)制御において、下記の特許文献1は、正弦波モードを超えてインバータの出力電圧を増大させるために、非同期式の過変調モード、同期式の1パルスモードに切り替えることを提案している。なお、ここで言う同期式とはパルス幅変調されるべき電圧指令の波形とキャリヤ電圧の波形の位相を合わせること意味する。以下、このインバータ制御方式を3モード切替式インバータ制御方式と称するものとする。
この3モード切替式インバータ制御方式では変調率Amが1以上となると過変調モードが実施される。この過変調モードでは、電圧指令の最大値近傍で電圧指令をハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)に固定するハイレベル期間を設定し、電圧指令の最小値近傍で電圧指令をローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)に固定するローレベル期間を設定し、これらハイレベル期間とローレベル値期間との間で電圧指令を単調に変化させて上記ハイレベル値と上記ローレベル値とを連ねる傾斜波形とする遷移期間を設定する。ただし、この過変調モードでは、電圧指令が増大するにつれて、ハイレベル期間及びローレベル期間を増大することにより、インバータ出力電圧を電圧指令に応じて変化させる。
なお、正弦波モードは、電圧指令の最大振幅値が変調率1未満において、入力された正弦波波形の電圧指令に上記した変形を与えることなくパルス幅変調するモードである。1パルスモードは変調率Amが略1.27に達する実施され、入力された電圧指令はパルス幅変調におけるキャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移するパルス電圧に変換される。
特開2003−125597号公報
しかしながら、上記した特許文献1のインバータ制御方式では、過変調モードの遷移期間における電圧指令の波形が急峻となるために特に高回転域において電圧指令の極性が変化するゼロクロス近傍にてパルス幅変調により本来発生するパルス成分が消失し、これによりモータ電圧の不連続性が生じたり、モータに平均して直流電流が流れたりすると言う不具合が生じたり、上記した正弦波モードと1パルスモードとの間でモータ出力を連続的に変化させることができないという不具合が生じた。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、過変調モードでのゼロクロス近傍でのPWM信号からのパルス消失を抑制して正弦波モードと1パルスモードとの間で滑らかにモータ出力を変化させることが可能なインバータ制御方式を提供することを、その目的としている。
上記課題を解決する本発明のインバータ制御方式は、交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段とを備え、前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、前記正弦波モードにて二相変調の三相電圧指令を前記PWM信号発生手段に出力することを特徴としている。
すなわち、この発明のインバータ制御方式では、過変調モードの遷移期間において、ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を電圧指令値としてPWM信号発生手段に出力するとともに、正弦波モードにて二相変調の三相電圧指令を前記PWM信号発生手段に出力する。
このようにすれば、過変調モードの実施の際に遷移期間において実質的に一定レベルであるミドルレベル値にてパルス幅変調のキャリヤ電圧と交差させることができるため、傾斜が急なキャリヤ電圧が遷移期間の傾斜が急な電圧指令と交差する場合に生じる現象(図12参照)によりパルス成分が消失するのを防止することができる。これにより、上記パルス成分の消失の結果としてのインバータの正電流成分と負電流成分とが不平衡となるのを防止することができる。好適には、所定相の前記ミドルレベル期間は、他の相の前記ハイレベル期間及びローレベル期間と時間的に同時に形成される。
なお、上記で言う「ミドルレベル値」とは、パルス幅変調のデューティ比に換算して13〜87%、更に好適には25〜75%、更に好適には40〜60%、更に好適には48〜52%の値を意味するものとする。
また、正弦波波形の三相電圧指令を用いる場合に比べて二相変調の高い電圧利用率を利用することにより過変調モードを用いる電圧利用率範囲を縮小できるとともに、正弦波モード(二相変調モード)と過変調モードとの切り替えにおける電圧急変も防止することができる。
上記課題を解決する本発明のインバータ制御方式は、交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段とを備え、前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、3次高調波電圧成分が重畳された正弦波波形の三相電圧指令を前記PWM信号発生手段に出力することを特徴としている。
すなわち、この発明のインバータ制御方式では、過変調モードの遷移期間において、ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を電圧指令値としてPWM信号発生手段に出力するとともに、3次高調波電圧成分が重畳された正弦波波形の三相電圧指令を前記PWM信号発生手段に出力する。
このようにすれば、過変調モードの実施の際に遷移期間において実質的に一定レベルであるミドルレベル値にてパルス幅変調のキャリヤ電圧と交差させることができるため、傾斜が急なキャリヤ電圧が遷移期間の傾斜が急な電圧指令と交差する場合に生じる現象(図12参照)によりパルス成分が消失するのを防止することができる。これにより、上記パルス成分の消失の結果としてのインバータの正電流成分と負電流成分とが不平衡となるのを防止することができる。好適には、所定相の前記ミドルレベル期間は、他の相の前記ハイレベル期間及びローレベル期間と時間的に同時に形成される。
また、正弦波波形の三相電圧指令を用いる場合に比べて3次高調波電圧成分が重畳された正弦波波形の三相電圧指令の高い電圧利用率を利用することにより過変調モードを用いる電圧利用率範囲を縮小できるとともに、正弦波モード(二相変調モード)と過変調モードとの切り替えにおける電圧急変も防止することができる。
上記課題を解決する本発明のインバータ制御方式は、交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段とを備え、前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、
前記電圧指令発生手段及びPWM信号発生手段は、前記過変調モードにて、同期数が6n(nは正の整数)である同期状態においてモータの電気角0度に一相の前記電圧指令のミドルレベル期間の時間的中央値、及び、前記PWM信号発生手段のキャリヤ電圧の最大値又は最小値を実質的に一致させる同期制御を行い、同期数が6n(nは正の整数)でない場合は前記同期制御を停止することを特徴としている。
すなわち、この発明のインバータ制御方式では、過変調モードの遷移期間において、ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を電圧指令値としてPWM信号発生手段に出力するとともに、過変調モードにて同期数が6n(nは正の整数)であるか否かに従って異なる制御を行う。
このようにすれば、過変調モードの実施の際に遷移期間において実質的に一定レベルであるミドルレベル値にてパルス幅変調のキャリヤ電圧と交差させることができるため、傾斜が急なキャリヤ電圧が遷移期間の傾斜が急な電圧指令と交差する場合に生じる現象(図12参照)によりパルス成分が消失するのを防止することができる。これにより、上記パルス成分の消失の結果としてのインバータの正電流成分と負電流成分とが不平衡となるのを防止することができる。好適には、所定相の前記ミドルレベル期間は、他の相の前記ハイレベル期間及びローレベル期間と時間的に同時に形成される。
また、電圧指令発生手段及びPWM信号発生手段は、過変調モードにて、同期数が6n(nは正の整数)である同期状態では所要の同期制御を行い、同期数が6n(nは正の整数)でない場合は同期制御を停止する。これにより、高いモータ回転数においてもパルス消失を防止することができる。
上記課題を解決する本発明のインバータ制御方式は、交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段とを備え、前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、
前記電圧指令発生手段は、モータ回転数が所定しきい値回転数Mrefより高い場合に前記過変調モードから前記1パルスモードへの切り替えを変調率が1より小さく、1に近い所定しきい値にて実施することを特徴としている。
すなわち、この発明のインバータ制御方式では、過変調モードの遷移期間において、ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を電圧指令値としてPWM信号発生手段に出力するとともに、過変調モードから1パルスモードへの切り替えを変調率が1より小さく、1に近い所定しきい値にて実施する。
このようにすれば、過変調モードの実施の際に遷移期間において実質的に一定レベルであるミドルレベル値にてパルス幅変調のキャリヤ電圧と交差させることができるため、傾斜が急なキャリヤ電圧が遷移期間の傾斜が急な電圧指令と交差する場合に生じる現象(図12参照)によりパルス成分が消失するのを防止することができる。これにより、上記パルス成分の消失の結果としてのインバータの正電流成分と負電流成分とが不平衡となるのを防止することができる。好適には、所定相の前記ミドルレベル期間は、他の相の前記ハイレベル期間及びローレベル期間と時間的に同時に形成される。
また、電圧指令発生手段は、モータ回転数が所定しきい値回転数Mrefより高い場合に前記過変調モードから前記1パルスモードへの切り替えを変調率が1より小さく、1に近い所定しきい値にて実施する。これにより、モータ回転数が高速となって、ミドルレベル期間が短縮されても確実に過変調モードにおいてゼロクロス点を検出することにより安定に過変調モードを実施することができる。なお、この方法は、上記した階段波電圧を用いる本発明の過変調モード制御に限らず、単調傾斜電圧を用いる従来の過変調モード制御にも実施することができる。すなわち、下記の発明の構成を採用することができる。
交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段とを備え、前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
前記電圧指令発生手段は、モータ回転数が所定しきい値回転数Mrefより高い場合に前記過変調モードから前記1パルスモードへの切り替えを変調率電圧利用率が1より小さく、1に近い所定しきい値にて実施することを特徴とするインバータ制御方式。
好適な態様において、前記ミドルレベル値は、前記パルス幅変調におけるデューティ比50%に相当する中央値に設定される。たとえば、遷移期間のミドルレベル期間におけるこのミドルレベル値をPWMのデューティ比50%に相当する中央値(0値)に設定する場合、一相の相電圧指令は、電気角0〜θの期間は0(Duty50%)、電気角θ〜π−θの期間は1(Duty100%)、電気角θ−π〜π+θの期間は0(Duty50%)、電気角π+θ〜2π−θの期間は−1(Duty0%)、電気角2π−θ〜2πの期間は0(Duty50%)となる。これにより、電気角(以下、位相角とも言うものとする)θを変化させることにより正弦波モードから1パルスモードまで電圧利用率を連続的に移行させることができる。
つまり、遷移期間において常時、0(Duty50%)を出力する階段波電圧波形の電圧指令をパルス幅変調する場合の電圧利用率の最大値は78%であり、正弦波の電圧指令をパルス幅変調する場合の電圧利用率の最大値は約61%であるので、電圧利用率61〜78%である過変調モードにおいてインバータ出力を連続的に変化させることができる。なお、上記した中間定常値出力期間が上記した遷移期間より短い場合、中間定常値出力期間は遷移期間の時間的中央位置に配置されることが好ましい。つまり、PWM信号中のパルス消失を防止することができるとともに、このミドルレベル値出力期間においてデューティ比50%のPWM信号を確実に出力することができるため、このミドルレベル値出力期間においてモータへ印加される相電圧に含まれる直流成分を低減することができる。
好適な態様において、前記ミドルレベル期間は、前記遷移期間すべてを実質的に占有する。このようにすれば、遷移期間における電圧指令波形の合成のための回路処理を簡素化することができる。
好適な態様において、前記電圧指令発生手段は、前記正弦波モードと前記過変調モードとの切り替えを、前記電圧指令発生手段が出力する三相電圧指令がデューティ比0%、50%、100%に相当するハイレベル値、ローレベル値、ミドルレベル値に達した場合に実施する。これにより、電圧急変を低減することができるため、電圧急変に伴う騒音や振動の増加を防止することができる。
以下、この発明のインバータ制御装置を用いた3相交流モータ制御の好適態様を説明する。ただし、この発明は下記の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想を他の公知技術又はその他の技術の組み合わせにより構成してもよい。
実施例1のインバータ制御装置を用いたモータ制御系を図面に基づき説明する。
(全体回路)
このモータ制御系の構成をブロック図である図1に示す。1は直流電源、2は駆動装置(PWMインバータとも言う)、3は三相同期モータ(3相モータとも言う)、4、5は相電流を検出する二つの電流センサ、6はモータ回転角を検出するモータ回転位置検出手段である。駆動装置2は、スイッチング素子のPWM制御により直流電源1から給電された直流電力を三相交流電力に変換して三相同期モータ3に供給するインバータ7と、このインバータ7の各スイッチング素子を断続制御する制御回路8とからなる。
(制御回路8)
制御回路8の構成及び基本動作を図2を参照して説明する。図2は制御回路8の機能構成を示すブロック回路図である。
制御回路8は、モータ回転数演算手段81、dq軸電流発生手段82、dq軸電流指令発生手段83、dq軸電圧指令発生手段84、座標軸変換手段85、変調率演算手段86、制御モード判定手段87、電圧指令発生手段88、PWM信号発生手段89、スイッチングゲートドライバ90からなる。
モータ回転数演算手段81は、モータ回転位置検出手段6から入力されるモータ回転子の回転角θに基づいてモータ回転数を演算してdq軸電流指令発生手段83に出力する。dq軸電流指令発生手段83は、モータ回転数と、入力電圧検出手段9から入力される直流電源1の電圧Vbと、外部から入力されるトルクの大きさ、方向を示すトルク指令trq*とから、3相モータ3に流れるべき電流としてのd軸電流id*及びq軸電流iq*であるdq軸電流指令を演算する。dq軸電流発生手段82は、電流センサすなわちモータ電流検出手段4、5から入力される実電流Iv、Iwをdq軸変換してそれぞれ実際の電流であるd軸電流id0及びq軸電流iq0を算出して、dq軸電圧指令発生手段84に出力する。
dq軸電圧指令発生手段84は、各座標軸ごとに電流偏差Δid(=d軸電流id*ーd軸電流id0)、及び、Δiq(=q軸電流iq*ーq軸電流iq0)を求め、求めた電流偏差Δid、Δiqを0に収束させるべく電流偏差Δid、Δiqに対応するdq軸電圧指令Vd、Vqを演算して、座標軸変換手段85及び変調率演算手段86に出力する。座標軸変換手段85は、入力されたdq軸電圧指令Vd、Vqを三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwに変換し、それらを電圧指令発生手段88に入力する。
電圧指令発生手段88は、後述する入力信号により三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを調整して三相電圧指令U、V、Wを演算し、それらをPWM信号発生手段89に出力する。PWM信号発生手段89は、入力された三相電圧指令U、V、Wに対応する三相PWM電圧Uout、Vout、Voutを発生し、これら三相PWM電圧Uout、Vout、Voutはスイッチングゲートドライバ90でそれぞれ電力増幅され、6つの信号電圧UU、UL、VU、VL、WU、WLにされた後、対応する3相のインバータ7の各スイッチング素子のゲート電極に個別に印加される。
変調率演算手段86は、dq軸電圧指令発生手段84から出力されるdq軸電圧指令Vd、Vqに基づいて変調率Amを演算し、制御モード判定手段87と電圧指令発生手段88とに出力する。制御モード判定手段87は、モータ回転数演算手段81から入力されたモータ回転数と、変調率演算手段86から入力された変調率Amとから、予め記憶する所定の複数のモードから現在において選択すべきモード(mode)を選択し、電圧指令発生手段88にそれを指令する。電圧指令発生手段88は、モータ回転子の回転角θと変調率Amと選択されたモードとに基づいて、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを調整してPWM信号発生手段89に出力するべき三相電圧指令U、V、Wを決定する。
上記した制御回路8において、変調率演算手段86、制御モード判定手段87及び電圧指令発生手段88を除く他の回路ブロックの構成及び動作は、座標軸変換手段85からPWM信号発生手段89に三相電圧指令U、V、Wとして三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを出力する通常のdq軸変換を行うトルク制御型のモータ制御用のインバータ制御回路と同じであるため説明を省略する。以下において、変調率演算手段86、制御モード判定手段87及び電圧指令発生手段88をモード制御回路とも称するものとする。
(モード制御回路の説明)
次に、この実施例の特徴をなすモード制御回路の動作について詳しく説明する。
(モードの説明)
まず、この実施例で採用する3つのモードについて図3を参照して以下に説明する。ただし、以下の説明では、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwは正弦波電圧に限定して説明するが、後述するようにそれに限定されるものではない。
(正弦波モード)
この正弦波モードは、本発明で言う正弦波モードに相当するが、パルス幅変調される電圧指令が正弦波であるため、特に正弦波モードと呼称するものとする。
図3の(a)、(b)、(c)は、電気角2πの間にて電圧指令発生手段88に入力するU相の三相基礎電圧指令Vuと、電圧指令発生手段88から出力されるU相の三相電圧指令Uと、PWM信号発生手段89内で形成されるキャリヤ電圧と、PWM信号発生手段89から出力されるU相の三相PWM電圧Uoutとを示す波形図である。ただし、図3の(c)ではキャリヤ電圧及びU相の三相PWM電圧Uoutとの図示は省略する。
PWM信号発生手段89から出力される三相PWM電圧Uout、Vout、Voutの最小値(交流電圧とみなす場合には負の最大値)が三相PWM電圧のデューティ比0%に、正の最大値(交流電圧とみなす場合には正の最大値)が三相PWM電圧のデューティ比100%となる状態を変調率Am=1とみなす。つまり、変調率Am=1において、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vw(及び三相電圧指令U、V、W)の最大値は、PWM信号発生手段89のキャリヤ電圧の最大値に一致する。
三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの最大値が、PWM信号発生手段89のキャリヤ電圧の最大値より小さい場合(より厳密に言えば、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの振幅の絶対値がPWM信号発生手段89のキャリヤ電圧の振幅の絶対値より小さい場合)、すなわち変調率Amが1未満の場合には、電圧指令発生手段88は、座標軸変換手段85から入力された三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwをそのまま三相電圧指令U、V、WとしてPWM信号発生手段89に出力する。したがって、この場合には、PWM信号発生手段89は正弦波電圧である三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwに相当する三相PWM電圧Uout、Vout、Voutを出力する。以下、これを正弦波モードと称する。
(過変調モード)
図3の(a)は、変調率Am=1におけるたとえばU相の電圧指令Uと基礎電圧指令Vuとキャリヤ電圧とを示す。変調率Amが1以上となると、電圧指令発生手段88は、過変調モードを実行する。この過変調モードにおいて、電圧指令発生手段88は、パルス幅変調におけるデューティ比100%に相当するハイレベル値が出力される期間(ハイレベル期間)と、パルス幅変調におけるデューティ比0%に相当するローレベル値が出力される期間(ローレベル期間)との間の遷移期間の実質的にすべてに、ミドルレベル値が出力されるミドルレベル期間を設定することにより、ハイレベル値とローレベル値との間にミドルレベル値をもつ3値ステップ波形(階段波波形)の電圧指令を発生し、それを三相電圧指令U、V、WとしてPWM信号発生手段89に出力する。
三相電圧指令U、V、Wの上記ハイレベル期間は三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの正ピーク値(最大値)を時間的な中心点としてその前後に等しく延在する波形とされ、三相電圧指令U、V、Wの上記ローレベル期間は三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの負のピーク値(最小値)を時間的な中心点としてその前後に等しく延在する波形となっている。
これは、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの振幅ゼロ点(パルス幅変調の50%に相当)を中心としてその前後に位相角θx、合計時間幅が2θxのミドルレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比50%に相当)を設けることと等価である。なお、位相角θxとは、階段波電圧が0すなわちPWM信号のデューティ比50%すなわちミドルレベル値であるミドルレベル期間の半分の電気角範囲を意味する。
この位相角θxを増加するとインバータから出力される実効電圧が小さくなり、この位相角θxが減少するとインバータから出力される実効電圧が大きくなる。そこで、過変調モードでは、入力される三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの大きさに応じて位相角θxを調整することにより、正弦波波形の三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwに等価な階段波電圧の三相電圧指令U、V、Wを発生する。なお、ここで言う「正弦波波形の三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwに等価な階段波電圧の三相電圧指令U、V、W」とは、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwと階段波電圧の三相電圧指令U、V、Wの正及び負の半波期間においてそれぞれモータの発生トルクが等しいことを意味する。
この実施例では、位相角θxは次式を利用して演算した。
(4/π)COSθx=Am
ただし、パルス幅変調におけるデューティ比100%に相当する場合の三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの振幅は1であるとする。したがって、演算した位相角θxを用いることにより、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwが0レベル(パルス幅変調におけるデューティ比50%)となる点(ゼロクロス点)からこの位相角θxを経過した時点にて階段波電圧の三相電圧指令U、V、Wのミドルレベル値とハイレベル値(三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwが正半波期間)又はローレベル値(三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwが負半波期間)との間のシフトを行うことにより、この階段波電圧の三相電圧指令U、V、Wを作成することができる。
その他、予め記憶するマップに三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを入力して対応する位相角範囲(単に位相角とも言う)θxを求めることにより行ってもよい。予め記憶するその他の演算式に三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを代入して位相角θxを算出して行ってもよい。三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwに基づく位相角θxの算出自体は、本発明の主旨ではなくかつ公知であるためこれ以上の説明は省略する。
これにより、この過変調モードでは、U相の三相PWM電圧Uoutは、図3の(a)に示すように、三相電圧指令Uのハイレベル値が出力されるハイレベル期間と、その前後のミドルレベル値が出力されるミドルレベル期間と、三相電圧指令Uのローレベル値が出力されるローレベル期間とを有する階段波電圧波形となる。他の相も位相が2π/3だけ異なるのみで同じである。ミドルレベル期間は2θxとなるとする。なお、変調率Am=1においては、位相角θxは0.21πとなる。変調率Amの増大とともに、ミドルレベル期間2θxは短縮され、ハイレベル期間とローレベル期間とは延長され、インバータの平均した交流出力電流は増加する。図3の(b)に変調率Am=1.2の時の各部電圧を示す。
(1パルスモード)
変調率Amが1.27に達すると、ミドルレベル期間は0となり、三相電圧指令U、V、Wはハイレベル値が出力されるハイレベル期間とローレベル値が出力されるローレベル期間とだけをもつ。図3の(c)にこの時のU相の三相基礎電圧指令Vuと三相電圧指令Uとの波形を示す。この状態を1パルスモードと称する。1パルスモードでは、三相PWM電圧Uout、Vout、Voutは実質的に三相電圧指令U、V、Wと同一波形となる。
つまり、この実施例は、正弦波モード、過変調モード及び1パルスモードという3つのモードの1つを変調率Amの大きさにより選択し、過変調モードでは三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwをそれとインバータ出力基準で同等の3値ステップ波形である階段波電圧に、1パルスモードでは三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwをそれとモータ出力基準で同等の2値パルス電圧波形に変換してPWM信号発生手段89に出力する。
変調率演算手段86は、変調率Amの演算を行う。すなわち、変調率演算手段86は、dq軸電圧指令Vd、Vqから合成電圧指令を求め、これを予め記憶する変調率Am=1における電圧値で割ることにより変調率Amを算出すればよい。また、実質的に同等の他の変調率Amの演算方式を採用しても良い。
制御モード判定手段87は、上記したモードの選択を行う。具体的に説明すれば、入力される変調率Amと予め記憶するそのモード切替しきい値とを比較してモードの切り替えを行う。
電圧指令発生手段88は、制御モード判定手段87から指令されたモードにより上記説明した3つのモードで三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを三相PWM電圧Uout、Vout、Voutに変換する。
制御回路8をマイコンによるソフトウエア処理により構成した例を図4に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS100は、モータ回転数演算手段81、dq軸電流発生手段82、dq軸電流指令発生手段83、dq軸電圧指令発生手段84及び座標軸変換手段85を構成するサブルーチンであり、上記したように回転角θ、外部からのトルク指令Trq*、モータ電流Iv、Iwに基づいて、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを発生させる。
次に、ステップS200を行う。このステップは、変調率演算手段86であり、上記した演算方法にて変調率Amを演算する。次に、ステップS300を行う。このステップは、制御モード判定手段87であり、変調率Amの値に基づいて実行するべき制御モードを決定する。なお、この実施例では、過変調モードは後述するように同期制御型過変調モードと非同期制御型過変調モードとをもち、制御モード判定手段87は、モータ回転数演算手段81からモータ回転数を読み込み、モータ回転数に基づいて過変調モード選択に際して同期制御型過変調モードと非同期型過変調モードとのどちらかを選択する。同期型過変調モード及び非同期型過変調モードについては後述するものとする。
次に、ステップS400を行う。このステップは、電圧指令発生手段88であり、入力される選択モードに従って三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwを回転角θごとに所定の値に設定して、三相電圧指令U、V、Wとする。このようにして演算された三相電圧指令U、V、Wは、PWM信号発生手段89により所定周波数のキャリヤ電圧(通常の場合と同様に三角波電圧)と比較されて三相PWM電圧Uout、Vout、Voutに変換される。PWM信号発生手段89もマイコンによりソフトウエア処理されることができるが、簡素なハードウエア回路により処理する方が簡単である。
(正弦波モードと過変調モードとの切り替え)
次に、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwとして正弦波電圧を用いる正弦波モードから、階段波電圧を用いる過変調モードへの切り替えタイミングについて図5を参照して以下に説明する。これは、過変調モードから正弦波モードへの切り替えにおいても本質的に同じである。
図5において、t1は三相基礎電圧指令Vuが−から+へゼロクロスする時点、t2は三相基礎電圧指令Vwが+から−へゼロクロスする時点、t3は三相基礎電圧指令Vvが−から+へゼロクロスする時点、t4は三相基礎電圧指令Vuが+から−へゼロクロスする時点、t5は三相基礎電圧指令Vwが−から+へゼロクロスする時点、t6は三相基礎電圧指令Vvが+から−へゼロクロスする時点である。各時点t1〜t6はそれぞれ電気角π/3だけシフトしている。
正弦波モードの正弦波電圧波形と、過変調モードの階段波電圧波形とでは大きく波形が異なるために、切り替え時時点において大きく三相電圧指令U、V、Wが大きく急変することにより、三相PWM電圧Uout、Vout、Voutの連続性が乱れてモータ電流の乱れなやそれに伴う振動、騒音などの問題が生じる。そこで、この実施例では、この問題を少しでも抑止するべく、正弦波モードの三相電圧指令U、V、Wの正弦波電圧の値と、過変調モードの三相電圧指令U、V、Wの階段波電圧の値が良く近似する時点(位相)であるところの正弦波モードの三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwのゼロクロス点(パルス幅変調におけるデューティ比50%の時点)にて上記切り替えを行うことにより上記連続性を好適に維持する。
具体的に説明すると、電圧指令発生手段88は、制御モード判定手段87から正弦波モードから過変調モードへの切り替え、又は、過変調モードから正弦波モードへの切り替えを指令された場合に、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの上記ゼロクロス点を検出して上記切り替えを行う。これにより電圧急変を抑止することができる。すなわち、図5に示すゼロクロス点t1〜t6のどれかを検出したら、もしくはゼロクロス点t1を検出したら過変調モードと正弦波モードとの間の移行を行う。
(同期型過変調モード及び非同期型過変調モード)
この実施例では、上記した過変調モードとして同期型過変調モードと非同期型過変調モードという二つの過変調モードを用いている。以下、これら同期型過変調モードと非同期型過変調モードについて図6を参照して以下に説明する。ただし、以下の説明は、三相交流を前提としている。
キャリヤ電圧の周波数が三相電圧指令U、V、Wの周波数の整数倍である同期状態において、更にキャリヤ電圧の周波数が三相電圧指令U、V、Wの周波数の6n(nは正の整数)倍であれば、キャリヤ電圧のn個の三角波パルス周期のn倍がモータの電気角π/3に一致する。過変調モードでは、各相のミドルレベル期間は電気角π/3ごとに相順次に発生する。
したがって、過変調モードにおいて、上記6n同期状態を検出したら、モータ回転位置検出手段6から出力されるNM(ノースメーカ)信号の立ち上がりエッジにより確定されるモータ電気角0度に三相電圧指令U、V、Wのうちの所定の相(この実施例ではU相)の0度を一致させることにより、演算誤差などによる三相電圧指令U、V、Wのずれを除去することができ、同期を取ることができる。
また、この実施例では、キャリヤ電圧のn個の三角波パルス周期のn倍がモータの電気角π/3に一致し、過変調モードでは各相のミドルレベル期間は電気角π/3ごとに相順次に発生するので、三相電圧指令U、V、Wのミドルレベル値とキャリヤ電圧のゼロレベル点とが一致するいわゆるゼロクロスポイントを上記U相電圧指令Uの電気角0度に一致させてもよい。このようにすれば、三相電圧指令U、V、Wのパルス幅変調において、各相のゼロクロス点は、ミドルレベル期間の時間的中央位置に設定されることになるため、1パルスモード近傍にまで変調率Amが増大してミドルレベル期間が縮小しても、三相電圧指令U、V、Wとキャリヤ電圧とのゼロクロスポイントを正確に確保することができ、三相電圧指令U、V、Wの正、負の不平衡を減らすことができる。
n=1の場合の過変調モードにおける同期型過変調モードにおけるU相電圧指令Uの波形とキャリヤ電圧の波形とNM信号の波形を図6に示す。θoffsetは、回路処理遅延などにより生じるU相の電圧指令Uの位相遅れである。なお、この実施例では、U相の電圧指令の電気角度0は本来はモータ回転角0度で生じるものとしているが、それに所定の角度偏差Δθが存在する場合には、予めわかっているこの角度偏差Δθを加味して補正すればよい。
上記説明した同期型過変調モードの制御を図7にフローチャートとして示す。既述したように、階段波電圧である過変調モードでの三相電圧指令U、V、Wは、位相角θxと三相電圧指令U、V、Wの電気角度0度がわかれば形成することができる。ただし、三相電圧指令U、V、Wの電気角度0度が本来の位置からずれているとこの誤差による騒音及び振動が増大してしまう。そこで、まず上記した6n同期状態であるかどうかを判定し、次に現在が過変調モードの状態かどうかを判定し、次にモータ電気角0度の位置とU相の電圧指令の電気角θ(0)との角度差θoffsetを算出し、この角度差θoffsetだけ、三相電圧指令U、V、Wを位相シフトして、更に具体的に説明すると上記した三相電圧指令U、V、Wを作成する基準となる位相角θxをこの角度差θoffsetだけシフトして過変調モードでの三相電圧指令U、V、Wを作成する。更に、キャリヤ電圧の位相を調整して、三相電圧指令U、V、Wの電気角0度にてキャリヤ電圧の−から+へのゼロクロスが生じるようにする。これにより、騒音、振動を抑制し、安定した同期を確保することができる。
なお、同期数が6n(nは正の整数)ではない場合には、上記した同期型の階段波電圧の三相電圧指令U、V、Wを形成は実施しない。これは、ある時点でそれを行ったとしても、三相電圧指令U、V、Wとキャリヤ電圧との間の位相ずれが時間の経過とともに増大していくため無駄なためである。
なお、上記説明では、モータ回転位置検出手段6が出力するモータ電気角0度を示すNM信号を用いて位相のずれを補正したが、モータ回転位置検出手段6の出力構造に合わせて種々の検出角度を同様に利用できることは明らかである。
(変形態様)
上記した実施例では、キャリヤ電圧の周波数は一定としたが、これはキャリヤ電圧の周波数をモータ回転数に合わせて変更すると低回転時にキャリヤ電圧が低下して騒音、振動が増大するのを抑止するためである。
しかし、振動、騒音が元々大きい過変調モードに限って、モータ回転数に対して常に上記した6n同期が成立するようにキャリヤ電圧の周波数を変更してもよい。このようにすれば、過変調モードにおいて常に上記した6n同期型過変調モードを実施することができる。
また、正弦波モードにおいても、キャリヤ電圧の周波数減少による騒音、振動が問題とならない所定回転数以上のモータ回転数においては、モータ回転数に対して常に上記した6n同期が成立するようにキャリヤ電圧の周波数を変更してもよい。
過変調モードと1パルスモードへの切り替えに関する制御を図8に示すフローチャートを参照して説明する。
上記した実施例では、変調率が1(位相角θx=0)にて過変調モードと1パルスモードとを切り替えると説明したが、実際には変調率が1近傍たとえば0.9以上の変調率Amにて過変調モードと1パルスモードとを切り替えるようにしてもよいことは明らかである。
この実施例はこの知見に基づいてなされたものであり、モータ回転数Nが所定のしきい値回転数Nrefを超える高回転となったかどうかを調べ、過変調モードであれば変調率が1より小さい所定値(この実施例では変調率が0.95に設定する)を超えたかどうかを調べ、超えていたら過変調モードから1パルスモードに早期に切り替えるものである。
このようにすれば、回転数が高いために時間的に非常に短いミドルレベル期間を利用してゼロクロス点を設定して階段波電圧波形の三相電圧指令U、V、Wを作成する必要がなく、制御安定性を向上することができる。なお、この実施例では、過変調モードから1パルスモードへの切り替え時に上記早期切り替えを行ったが、1パルスモードから過変調モードへの切り替えにおいても上記切り替え(結果的に遅延切り替えとなる)を行ってもよい。
実施例3のインバータ制御方式を以下に説明する。この実施例では、実施例1の正弦波モードで用いた三相変調の正弦波波形の三相電圧指令U、V、Wに代えて二相変調波形の三相電圧指令U、V、Wを正弦波モードにて採用した点をその特徴としている。
二相変調の正弦波モードにおける三相電圧指令U、V、Wの波形を図9(a)に示す。ただし、図9(a)では変調率Amは1である。
この二相変調は、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwのうち、最もハイレベル又はローレベルに近い一相を順次、ハイレベル値又はローレベル値に固定するとともに、それによる相間電圧の変化を防止するべく他の2相の電圧指令をレベルシフトさせる公知のインバータ制御方式である。この二相変調を行うには、図2に示すdq軸電圧指令発生手段84を公知の2相電圧指令発生手段91に変更すればよい。ただし、二相変調方式のインバータ制御の回路構成及び動作はもはや周知となっているため更なる説明は省略する。この二相変調方式の正弦波モードと既述した階段波電圧の過変調モードとの切り替えは、次に説明する利点をもつ。
まず、変調率Am=1において、図9(a)に示す二相変調電圧と図9(c)に示す階段波電圧とを切り替える場合、どちらにおいても、電気角π/3ごとに、ローレベル値(デューティ比0%)とハイレベル値(デューティ比100%)とミドルレベル値(50%)との組み合わせが現れる。したがって、正弦波モード(正確には二相変調モード)と過変調モードとの切り替えにおいて、切り替え直前も切り替え直後も三相電圧指令U、V、Wの二相がローレベル値(デューティ比0%)とハイレベル値(デューティ比100%)となり、残る一相がミドルレベル値(50%)となるため、三相PWM電圧Uout、Vout、Voutの各相すべてのデューティ比を急変させることはなく、実施例1で行った正弦波波形の三相電圧指令U、V、Wのゼロクロス点にて切り替えるよりも、格段にモード切替時の電圧連続性を改善することができる。
更に説明すると、実施例1で説明した正弦波モードと過変調モードとの切り替えにおいては、正弦波電圧である三相電圧指令U、V、Wの一相は電圧は等しいが、他の二相の電圧指令は電圧値が異なるために電圧非連続となる。これに対して二相変調の正弦波モードから過変調モードへの切り替えでは、三相電圧指令U、V、Wが変調率Am=1にてデューティ比0%、50%、100%となった時点にて過変調モードにおける階段波電圧に切り替えると、3相の階段波電圧すべてにおいて電圧連続性を保つことができるわけである。当然、これは、階段波電圧の過変調モードから二相変調の正弦波モードへの切り替えにおいても同じである。
また、二相変調の正弦波モードと過変調モードとの組み合わせによれば、二相変調波形の正弦波モードの電圧利用率が正弦波波形の正弦波モードの電圧利用率よりも大きくなるために、正弦波モードと過変調モードとの切り替え点における電圧利用率を高く設定でき、その結果、正弦波波形の正弦波モードや二相変調の正弦波モードに比べて電圧歪みが大きく三相PWM電圧Uout、Vout、Voutのデューティ比急変が大きい過変調モードが使用される電圧利用率範囲を減らすことができ、その分だけ騒音や振動を減らせるという利点も生じる。
(変形態様)
変形態様として、変調率Amが1となるまでは正弦波波形の電圧を用いる正弦波モードを用い、それより変調率Amが増大したら二相変調モードの正弦波モードを用い、更に変調率Amが増大したら過変調モードを用い、更に変調率Amが増大したら1パルスモードを用いることもできる。
上記実施例では、正弦波モードにて、正弦波の三相電圧指令U、V、Wを用いたが、その代わりに図9(b)に示すように、正弦波電圧に3次高調波電圧成分を重畳した波形の三相電圧指令U、V、Wを用いてもよい。
この場合、図9(b)からわかるように、切り替えが生じる変調率Am=1において、二相変調電圧がモータの電気角π/3ごとにハイレベル値(デューティ比100%)又はローレベル値(デューティ比0%)か、又は、ミドルレベル値(50%)をもつため、このタイミングにて切り替えを行うことにより実施例3の場合と同じく、電気角π/3ごとに、ローレベル値(デューティ比0%)とハイレベル値(デューティ比100%)とミドルレベル値(50%)との組み合わせが生じるタイミングで切り替えがなされ、その結果として実施例3の二相変調電圧と階段波電圧との切り替えと同様に三相電圧指令U、V、Wの急変は生じない。
(変形態様)
変形態様として、変調率Amが1となるまでは正弦波波形の電圧を用いる正弦波モードを用い、それより変調率Amが増大したら3次高調波電圧成分重畳正弦波モードを用い、更に変調率Amが増大したら過変調モードを用い、更に変調率Amが増大したら1パルスモードを用いることもできる。
(変形態様)
上記実施例では、階段波電圧波形の三相電圧指令U、V、Wのミドルレベル値を0レベル(デューティ比50%)の一定値に設定したが、たとえば図10に示すように、このミドルレベル値を他のレベルの一定値に設定しても良い。この場合においても、三相基礎電圧指令Vu、Vv、Vwの値がこのミドルレベル値と一致するクロス点からの位相角θxを算出して階段波電圧波形の三相電圧指令U、V、Wを作成することができる。なお、階段波電圧の三相電圧指令U、V、Wの各相電圧のハイレベル値(デューティ比100%)とローレベル値(デューティ比0%)との間のミドルレベル値は、1つの一定値ではなく、図10、図11に示すように複数の一定値を用いても良い。
(変形態様)
更に、上記実施例では、過変調モードにおける三相電圧指令U、V、Wのハイレベル値(デューティ比100%)とローレベル値(デューティ比0%)との間の遷移期間の全期間において、一つ又は複数の中間定常値であるミドルレベル値を設定するミドルレベル期間を設定したが、遷移期間の一部にこのミドルレベル期間を設定し、ハイレベル期間とミドルレベル期間との間やローレベル期間とミドルレベル期間との間は電圧が変化する期間としてもよい。
実施例1のモータ制御系の構成を示すブロック回路図である。 図1の制御回路の詳細構成を示すブロック回路図である。 過変調モードでの階段波波形の電圧指令の波形を示すタイムチャートである。 図2の制御回路の動作を示すフローチャートである。 階段波電圧の三相電圧指令の波形を示す波形図である。 6n同期状態を示すタイムチャートである。 同期制御動作の一例を示すフローチャートである。 1パルスモードと過変調モードとの切り替え動作の一例を示すフローチャートである。 二相変調電圧と3次高調波重畳正弦波電圧と階段波電圧との波形を示す波形図である。 過変調モードでの階段波電圧の変形態様を示す波形図である。 過変調モードでの階段波電圧の変形態様を示す波形図である。 従来のパルス欠け状態を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 直流電源
2 駆動装置
3 三相同期モータ
4 モータ電流検出手段
5 モータ電流検出手段
6 モータ回転位置検出手段
7 インバータ
8 制御回路
9 入力電圧検出手段
81 モータ回転数演算手段
82 軸電流発生手段
83 軸電流指令発生手段
84 軸電圧指令発生手段
85 座標軸変換手段
86 変調率演算手段
87 制御モード判定手段
88 電圧指令発生手段
89 信号発生手段
90 スイッチングゲートドライバ
91 相電圧指令発生手段

Claims (8)

  1. 交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、
    変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、
    入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、
    前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段と、
    を備え、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、前記正弦波モードにて二相変調の三相電圧指令を前記PWM信号発生手段に出力することを特徴とするインバータ制御方式。
  2. 交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、
    変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、
    入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、
    前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段と、
    を備え、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、3次高調波電圧成分が重畳された正弦波波形の三相電圧指令を前記PWM信号発生手段に出力することを特徴とするインバータ制御方式。
  3. 交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、
    変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、
    入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、
    前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段と、
    を備え、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、
    前記電圧指令発生手段及びPWM信号発生手段は、前記過変調モードにて、同期数が6n(nは正の整数)である同期状態においてモータの電気角0度に一相の前記電圧指令のミドルレベル期間の時間的中央値、及び、前記PWM信号発生手段のキャリヤ電圧の最大値又は最小値を実質的に一致させる同期制御を行い、同期数が6n(nは正の整数)でない場合は前記同期制御を停止することを特徴とするインバータ制御方式。
  4. 交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、
    変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、
    入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、
    前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段と、
    を備え、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードの前記ハイレベル期間と前記ローレベル期間との間の期間である遷移期間にて、前記ハイレベル値及びローレベル値から所定値だけ離れた略一定値であるミドルレベル値を前記PWM信号発生手段に出力するミドルレベル期間を有し、
    前記電圧指令発生手段は、モータ回転数が所定しきい値回転数Mrefより高い場合に前記過変調モードから前記1パルスモードへの切り替えを変調率が1より小さく、1に近い所定しきい値にて実施することを特徴とするインバータ制御方式。
  5. 請求項1乃至4のいずれか記載のインバータ制御方式において、
    前記ミドルレベル値は、前記パルス幅変調におけるデューティ比50%に相当する中央値近傍に設定されることを特徴とするインバータ制御方式。
  6. 請求項1乃至5のいずれか記載のインバータ制御方式において、
    前記ミドルレベル期間は、前記遷移期間すべてを占有することを特徴とするインバータ制御方式。
  7. 請求項1乃至6のいずれか記載のインバータ制御方式において、
    前記電圧指令発生手段は、前記正弦波モードと前記過変調モードとの切り替えを、前記正弦波モードにおける前記三相電圧指令が前記ハイレベル値、前記ローレベル値、前記ミドルレベル値に達した場合に実施することを特徴とするインバータ制御方式。
  8. 交流モータ駆動制御用のインバータのスイッチング素子を制御するゲートドライバにパルス幅変調して出力するべき各相の電圧指令の振幅をX、前記パルス幅変調に用いるキャリヤ電圧の振幅をYとする時、X/Yを変調率Amとして演算する変調率演算手段と、
    変調率Amが1未満の場合に正弦波モードを、1より大きい所定の変調率値に達したら1パルスモードを、前記正弦波モードと前記1パルスモードとの間の変調率Amにおいて所定の過変調モードを選択する制御モード選択手段と、
    入力された前記電圧指令を前記正弦波モードにてそのまま出力し、入力された前記電圧指令を前記1パルスモードにて前記キャリヤ電圧の最大値及び最小値とで遷移する二値パルス電圧に変換して出力し、入力された前記相電圧指令を前記過変調モードにて前記電圧指令の最大値近傍でハイレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比100%)をもち、前記相電圧指令の最小値近傍でローレベル値(パルス幅変調におけるデューティ比0%)をもつ過変調電圧に変換して出力する電圧指令発生手段と、
    前記電圧指令発生手段の出力電圧をパルス幅変調して前記ゲートドライバに出力するPWM信号発生手段と、
    を備え、
    前記電圧指令発生手段は、前記過変調モードにて前記ハイレベル値が出力されるハイレベル期間及び前記ローレベル値が出力されるローレベル期間を前記相電圧指令の振幅増大とともに延長するインバータ制御方式であって、
    前記電圧指令発生手段は、モータ回転数が所定しきい値回転数Mrefより高い場合に前記過変調モードから前記1パルスモードへの切り替えを変調率が1より小さく、1に近い所定しきい値にて実施することを特徴とするインバータ制御方式。
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